説明

エスカレータのステップ

【課題】ステップ/パレットの重量を軽減し、それによって、移動質量および構成要素の全体的な大きさ、並びに関連するエネルギーロスを縮小すること。
【解決手段】エスカレータのステップは、踏み位置において、乗客の安定性を高めるため、0.3と0.8との間の摩擦係数を有する材料を有する第1表面1と、第1表面1を支え、駆動システム30への接続装置を収容する軸受構造とを備える。上記ステップは、構成要素の取り外しがより容易であり、動作雑音を軽減し、ステップの強度を改善する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、利用者の安全性を改善し、ステップ/パレットの種々の部分に好適な材料を用いることにより移動質量を軽減するエスカレータのステップに関する。本発明はさらに、下記の優位な点を有する。第1に、構成要素の取り外しが容易であり、第2に、動作雑音を軽減し、第3に、ステップの強度を改善し、第4に、側面荷重により強固なスカートガードを提供する。
【背景技術】
【0002】
今日、動く歩道およびエスカレータは、互いに取り付けられるステップおよびパレットといった金属製構成要素の連続的帯から成る。動く歩道およびエスカレータの種々の駆動システムの目的は、上記金属製構成要素の連続的帯を駆動することである。この金属製構成要素の帯は、一般に、上記駆動システムが動かさなくてはならない設備の重量の大部分を構成している。従って、本発明が解決すべき課題の1つは、上記駆動システムによって駆動される移動構成要素の重量を軽減することである。
【0003】
ネジまたは他の取付手段で踏み面が取り付けられる金属架台によって形成されるエスカレータ/動く歩道のための、ステップ/パレットが知られている。上記金属架台がさらに上記ステップの滑らかなライザを構成している設計は一般的である。ここで、上記踏み面は、可動部分と乗り降り位置の固定部分との間の移行を容易にする、溝状面を有する。既知のシステムにおいて、上記溝状踏み面は木、アルミニウム、またはステンレススティールから製造されてきた。
【0004】
複数の部分から形成されるステップもまた知られており、ここで、踏む部分およびライザは溝状面を有し、ステンレススティールまたはアルミニウムから形成される。
【0005】
今日最も一般的なステップ/パレットは、アルミニウム鋳物部品から造られる。プラスチック材と、エスカレータ/動く歩道の運転に必要な強度を実現するための金属挿入物とで造られるステップ/パレットもまた知られている。
【0006】
幾つかの構成において、踏み面の縁は黄色の標示を有する。このラインは同じ標示機能を有する黄色のプラスチック部品に取り換えることができる。
【0007】
ステップ/パレットの幾つかの設計は、移動するステップ/パレットと、エスカレータ/動く歩道の固定されたスカートガードとの間に横から挟まれるという危険を最小化することを目的として、スティール製またはアルミニウム製の付属の側版を有し、または、勾配の付いた縁を有する。
【0008】
これらの全てのステップの設計は、特に或る種の靴について、エスカレータの勾配の付いている部分と水平な部分との間の移行域において、ステップとステップとの間に挟まれるという危険をもたらす。
【0009】
最後に、ES 2 334 630に開示されているように、エスカレータの全体的な大きさを縮小する目的で、かつ、ライザの形状を凸上から凹面状へと変更するために、ライザに接合される単独の踏み面から成るステップの設計も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】スペイン特許出願公開第2334630号明細書(2010年3月12日公開)
【発明の概要】
【0011】
本発明の目的は、ステップ/パレットの重量を軽減し、それによって、移動質量および構成要素の全体的な大きさ、並びに関連するエネルギーロスを縮小することにある。
【0012】
本発明の別の目的は、全ての種類の靴について、水平移動域と傾斜面移動域との間の遷移において、エスカレータのステップとステップとの間に挟まれる危険を軽減することである。
【0013】
本発明に係るステップは、互いに異なる機械的性質を有する以下の2つの表面を含み、すなわち、
(a)乗客の安定性を高めるため高い摩擦係数を有する、踏み位置にある第1表面と、
(b)ステップ間に相対的な移動がある、水平移動域と傾斜面移動域との間の遷移において、ステップとステップとの間に挟まれる危険を軽減するための、低い摩擦係数を有する、ライザの位置にある第2表面とを含む。
【0014】
上記ステップのための表面の好ましい構成において、上記踏み面は、以下の方法によって製造され得る。すなわち、
・好適な機械的強度と高い摩擦係数とを有する複合材料を成形すること、
・高い摩擦係数を有する合成樹脂を用いて、レジンインジェクション成形(RTM,Resin Transfer Molding)または類似の方法によって、乾式繊維上に、減圧下で合成樹脂を射出すること、
・高い摩擦係数を有する合成樹脂の専用フィルムを真空熱成形し、その部分の強度を最適化するのに好適な方向に配置される、炭素繊維または好適な機械的強度を有する任意の他の材料によって補強すること、
・高い摩擦係数を有する被膜で覆った、アルミニウム鋳物製の部品を用いること、
・上記踏み面の位置に高い摩擦係数を有する溝状部分が取り付けられ、好適な機械的性質を有する架台を用いることである。
【0015】
上記踏み面は、さらに、その縁かつ/または付属の側板に、標示要素を有することができる。
【0016】
上記ステップのライザの表面は、以下の方法によって製造され得る。すなわち、
・好適な機械的強度と低い摩擦係数とを有する複合材料を成形すること、
・低い摩擦係数を有する合成樹脂を用いて、レジンインジェクション成形(RTM,Resin Transfer Molding)または類似の方法によって、乾式繊維上に、減圧下で合成樹脂を射出すること、
・低い摩擦係数を有する合成樹脂の専用フィルムを真空熱成形し、その部分の強度を最適化するのに好適な方向に配置される、炭素繊維または好適な機械的強度を有する任意の他の材料によって補強すること、
・低い摩擦係数を有する被膜で覆った、アルミニウム鋳物製の部品を用いること、
・好適な機械的強度を有する複合材料で造られた支持架台に、好適な手段によって取り付けられる、上記溝状表面を構成するためのステンレススティール板を用いることである。
【0017】
さらに、上記ライザは、その縁かつ/または付属の側板に、標示要素を有することができる。
【0018】
好ましい構成において、上記ステップは、互いに接合された上記踏み面とライザとを有することができる。
【0019】
(i)上記接合されたライザは、凹面形状を有し、エスカレータにおけるその位置は、駆動チェーンの環によって固定されている。
【0020】
(ii)エスカレータにおける上記ライザの位置が、当該ライザに取り付けられるローラによって固定されている、凸形状ライザの構成もまた可能である。
【0021】
本発明に係るステップは、上記踏み面とライザとの間に継ぎ目のない一体型として製造され得る。この場合、製造工程は、上記2つの表面の、つまり、高い摩擦係数を有する、踏み位置における第1表面と、低い摩擦係数を有する、ライザ位置における第2表面という、2つの面のそれぞれについての異なる摩擦条件を有する、互いに異なる材料の使用を考慮しなければならない。従って、上記一体型ステップは、以下の方法によって製造され得る。すなわち、
・上記ライザにおいて低い摩擦係数を有し、上記踏み面において高い摩擦係数を有する材料を用いる、2成分プラスチックを射出すること、
・上記ライザの位置のための低い摩擦係数を有し、上記踏み面の位置において高い摩擦係数を有する、合成樹脂の専用フィルムを真空熱成形し、その部分の強度を最適化するのに好適な方向に配置される、炭素繊維または好適な機械的強度を有する任意の他の材料によって補強すること、
・上記ステップのライザのための低い摩擦係数を有する被膜と、上記踏み面のための高い摩擦係数を有する被膜とを用いる、アルミニウム鋳造を行うこと、
・上記踏み面の位置に高い摩擦係数を有する溝状部分が取り付けられ、上記ライザの位置に低い摩擦係数を有する溝状部分が取り付けられる、好適な機械的性質を有する架台を用いることである。
【0022】
このようにして造られたステップは、その縁かつ/または付属の側板に、標示要素を有することができる。
【0023】
好ましい構成において、移動質量と、関連する動力消費と、水平移動域と傾斜面移動域との間の遷移において、エスカレータのスッテプとステップとの間に挟まれる危険とを抑えることによって、上記ステップの総重量は削減される。
【0024】
本発明の他の優位な点は、第1に、構成要素の取り外しが容易であり、修理/保守作業が楽になる点であり、第2に、動作雑音を軽減し、特に、本発明においてはプラスチック材料を用いるスカートガードの製造が可能となるため、動作雑音を軽減する点であり、第3に、支えが最適化されるため、ステップの強度が改善される点であり、第4に、側面荷重に対しより強固なスカートガードを提供する点、すなわち、一方で、上記荷重を支えるための補強を実現することができ、他方で、その構成要素の一部、特に第2板は、上記ステップの踏み板または第1表面に強固に取り付けられる点である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
添付の図面は、本発明の範囲を制限することのない実施形態を示すものであり、その記載は、本発明に係るステップの構造、特徴、優位な点をよりよく理解する助けとなるであろう。
【図1】凹面状ライザを伴う、本発明の好ましい構成に従うステップの透視図である。
【図2】射出されたアルミニウムから製造される、図1のプラットフォームの上からの透視図である。
【図2A】射出されたアルミニウムから製造される、図1のプラットフォームの下からの透視図である。
【図3】図1のプラットフォームの透視図である。
【図3A】図3の詳細図であり、プラットフォームは摩擦係数の高い複合材から製造されている。
【図3B】図3の詳細図であり、プラットフォームは、摩擦係数の高い合成樹脂の専用フィルムから熱形成されており、炭素繊維で補強されている。
【図3C】図3の詳細図であり、プラットフォームは、複合材の架台を用い、溝の付いた踏み面はステンレススティールの薄板から形成されている。
【図4】図1のライザの透視図である。
【図4A】図4の詳細図であり、ライザは摩擦係数の低い複合材から製造されている。
【図4B】図4の詳細図であり、摩擦係数の低い合成樹脂の専用フィルムから熱形成されており、炭素繊維で補強されている。
【図4C】図1の別のライザの透視図である。
【図4D】図4Cの詳細図であり、ライザは射出されたアルミニウムから製造される。
【図4E】図4の詳細図であり、ライザは複合材を用い、溝の付いた踏み面はステンレススティールの薄板から形成されている。
【図5】凸形状のライザを示す、図1に類似する透視図である。
【図6】本発明に係る、2つの複合材を射出する方法によって製造される、全く継ぎ目のないステップの透視図である。
【図7】本発明に係る、踏み面に摩擦係数の高い合成樹脂の専用フィルムを、ライザに摩擦係数の低い専用フィルムを、熱形成する方法によって製造し、炭素繊維または高い機械的強度を有する別の材料の繊維で補強した、継ぎ目のないステップの透視図である。
【図8】一群のパレットの透過図である。
【図9A】乗り降り位置の固定板を示しており、乗客はこの場所でステップ/パレットから降り、ステップ/パレットに乗る。
【図9B】乗り降り位置の固定板を示しており、乗客はこの場所でステップ/パレットから降り、ステップ/パレットに乗る。
【図10A】踏み板または第1表面と、ライザまたは第2表面とを示しており、これらの構成要素の一部であり得る上記繊維が示されている。
【図10B】踏み板または第1表面と、ライザまたは第2表面とを示しており、これらの構成要素の一部であり得る上記繊維が示されている。
【発明を実施するための形態】
【0026】
1.本発明の一実施形態は、エスカレータのステップに関するものであり、当該エスカレータのステップは、
(1a)踏み位置または踏み板にある第1表面1であって、当該踏み位置または当該踏み板において、第1表面1は乗客の安定性を高めるため、第1制御摩擦係数を有する第1材料を含む、第1表面1と、
(1b)軸受構造2であって、
(1b1)第1表面1を支えるよう構成されている支持面と、
(1b2)駆動手段30に接続されるよう構成されている第1接続手段3を収容するよう構成されている接続面とを有する、軸受構造2と、
(1c)駆動ローラ31であって、上記ステップがたどる経路を規定する第1軌道上を転がるよう構成されている駆動ローラ31と、
(1d)支持ローラ31’であって、上記ステップがたどる経路を規定する第2軌道上を転がるよう構成されている支持ローラ31’と、
(1e)ライザ位置にある第2表面4であって、ステップ間に相対的な移動がある、水平移動域と傾斜面移動域との間の遷移において、ステップとステップとの間に挟まれる危険を軽減するための、第2制御摩擦係数を有する第2材料を含む、第2表面4と、
(1f)第2表面4の台枠5であって、
(1f1)第2表面4を支え、
(1f2)第1表面1に取り付けるための取付手段6を収容するよう構成されている台枠5とを含み、
(1g)駆動ローラ31は軸受構造2と駆動手段30との間に配置されており、
(1h)台枠5は駆動手段30に接続されるよう構成されている第2接続手段7を収容していることを特徴としている。
【0027】
本発明の別の特徴点は以下の通りである。
【0028】
2.駆動ローラ31は、上記ステップ/パレットの移動方向に従って前後方向の中央平面に対して対称に配置されている。
【0029】
3.駆動ローラ31は、軸受構造2の幅よりも大きな幅員で互いに隔てられている。
【0030】
4.駆動ローラ31の回転軸は、第1表面1に平行な駆動面に含まれる。
【0031】
5.上記駆動面は、上記接続面に含まれる第1低層面内にある。
【0032】
6駆動ローラ31は、第1接続手段3によって支えられているシャフトの回りを回転するよう構成されている。
【0033】
7.上記エスカレータのステップは、上記ステップと並行して移動されるよう構成され、上記ステップに接続されるスカートガード32を含む。
【0034】
8.スカートガード32は、連続的な側面の帯状板を形成するよう、互いに接続または連結または結合された複数のプレート(32’、32’’)を含む。
【0035】
(9a)第1プレート32’は、第1表面1に一体化しており、
(9b)第2プレート32’’は、第2表面4に一体化している。
【0036】
10.上記プレート32’および32’’は、前方端部と後方端部とを有し、ここで、
(10a1)第1プレート32’の前方端部は、第2プレート32’’の後方端部に接合される形状を有し、
(10a2)第1プレート32’の後方端部は、第2プレート32’’の前方端部に接合される形状を有し、
(10a3)上記前方端部および後方端部の接合形状は、第1プレート32’と第2プレート32’’との間の相対的な移動を可能とするよう構成されている。
【0037】
11.上記接合形状は円弧状であり、当該円弧の中心は第1接続手段3内にある。
【0038】
12.支持ローラ31’は、軸受構造2と駆動手段30との間に配置されている。
【0039】
13.支持ローラ31’は、上記ステップ/パレットの移動方向に従って前後方向の中央平面に対して対称に配置されている。
【0040】
14.支持ローラ31’は、軸受構造2の幅よりも大きな幅員で互いに隔てられている。
【0041】
15.支持ローラ31’の回転軸は、第1表面1に平行な支持面に含まれる。
【0042】
16.上記支持面は、上記接続面に対する第2低層面内にある。
【0043】
17.上記第2低層面は、上記第1低層面の下にある。
【0044】
18.上記エスカレータのステップは、乗客の乗り降り位置にある、くし10’を有する固定板10へ上記ステップが入ること、および、上記固定板10から上記ステップが出ることを可能とするよう構成された、第1表面1における第1溝11を含む。
【0045】
19.軸受構造2は、以下から選択される構造的補強材を含み、すなわち、
(19a)上記エスカレータ/動く歩道の移動方向に平行な、複数の第1前後方向部材20と、
(19b)上記エスカレータ/動く歩道の移動方向に垂直な、複数の第1交差片20’と、
(19c)その組合せとである。
【0046】
20.第1前後方向部材20は、U字型断面を有する金属部分である。
【0047】
(21a)上記U字型の両端部は、第1表面1に垂直に配置され、
(21b)上記U字型の中央分岐部は、第1表面1に平行に配置されている。
【0048】
22.第1前後方向部材20は隣接して配置され、或る1つの第1前後方向部材20のU字型の両端部は他の第1前後方向部材20の端部に接している。
【0049】
23.上記エスカレータのステップは、ステップ間に相対的な移動がある、水平移動域と傾斜面移動域との間の遷移において、或るステップが別のステップへ入ること、および、或るステップが別のステップから出ることが可能となるよう構成されている、第2表面4における第2溝44を含む。
【0050】
24.台枠5は、以下から選択される構造的補強材を含み、すなわち、
(24a)上記エスカレータの移動方向に平行な、複数の第2前後方向部材50と、
(24b)上記エスカレータの移動方向に垂直な、複数の第2交差片50’と、
(24c)その組合せとである。
【0051】
25.第2前後方向部材50は、U字型断面を有する金属部分である。
【0052】
(26a)上記U字型の両端部は、第2表面4に垂直に配置され、
(26b)上記U字型の中央分岐部は、第2表面4に平行に配置されている。
【0053】
27.第2前後方向部材50は隣接して配置され、或る1つの第2前後方向部材50のU字型の両端部は他の第2前後方向部材50の端部に接している。
【0054】
28.第2表面4は円弧状であり、当該円弧の中心は、下のステップと上のステップとから選択されるステップの第2接続手段7内にある。
【0055】
29.第1表面1と第2表面4とは互いに接合されている。
【0056】
30.第2表面4は凹面状である。
【0057】
31.第1表面1と第2表面4とは互いに一体的に取り付けられている。
【0058】
32.第2表面4は凸面状である。
【0059】
33.スカートガード32は、プラスチックと金網上に射出されたプラスチックとから選択される材料を含む。
【0060】
34.第1制御摩擦係数は、0.3と0.8との間に含まれる値を有する。
【0061】
35.第2制御摩擦係数は、0.1と0.4との間に含まれる値を有する。
【0062】
36.上述のステップを製造する方法は、第1表面1が以下から選択される方法によって取得される、という特徴点を有し、すなわち、
(36a1)0.3と0.8との間に含まれる第1摩擦係数を有し、
(36a2)第1繊維1’で補強される、
(36a)第1合成樹脂を含む複合材料を成形することと、
(36b)減圧下で、0.3と0.8との間に含まれる第1摩擦係数を有する第1合成樹脂を、第1乾式繊維1’上に射出することと、
(36c1)0.3と0.8との間に含まれる第1摩擦係数を有し、
(36c2)第1繊維1’で補強される、
(36c)第1合成樹脂のフィルムを真空熱成形することとである。
【0063】
37.上記方法は、第1繊維1’を、第1表面1の機械的強度を最適化するよう構成された第1方向に配置することを含む。第1繊維1’の配置は、異方性の材料によって実行される機能のための機械的性質を最適化した、異方性の材料の取得を可能にする。従って、第1繊維1’は、以下のように配置することができ、すなわち、
(37a1)縦方向の曲げ強度を向上するよう、縦方向に配置することができるし、
(37b2)横方向の曲げ強度を向上するよう、横方向に配置することができる。
【0064】
38.第1繊維1’は、炭素繊維を含む。
【0065】
39.第1表面1は、以下から選択される方法によって取得され、すなわち、
(39a)アルミニウム鋳物に、0.3と0.8との間に含まれる第1摩擦係数を有する被膜で覆われる第1部分を成形することと、
(39b)0.3と0.8との間に含まれる第1摩擦係数を有する第1溝状部分を、第1架台に取り付けることとである。
【0066】
40.第2表面4は、以下から選択される方法によって取得され、すなわち、
(40a1)0.1と0.4との間に含まれる第2摩擦係数を有し、
(40a2)第2繊維2’で補強される、
(40a)合成樹脂を含む複合材料を成形することと、
(40b)減圧下で、0.1と0.4との間に含まれる第2摩擦係数を有する合成樹脂を、第2乾式繊維2’上に射出することと、
(40c1)0.1と0.4との間に含まれる第2摩擦係数を有し、
(40c2)第2繊維2’で補強される、
(40c)合成樹脂のフィルムを真空熱成形することとである。
【0067】
41.上述のステップの製造方法は、その方法が第2繊維2’を、第2表面4の機械的強度を最適化するよう構成された方向に配置することを含む点に特徴がある。第2繊維2’の配置は、異方性の材料によって実行される機能のための機械的性質を最適化した、異方性の材料の取得を可能にする。従って、第2繊維2’は、以下のように配置することができ、すなわち、
(41a1)縦方向の曲げ強度を向上するよう、縦方向に配置することができるし、
(41a2)横方向の曲げ強度を向上するよう、横方向に配置することができる。
【0068】
42.第2繊維2’は、炭素繊維を含む。
【0069】
43.第2表面4は、以下から選択される方法によって取得され、すなわち、
(43a)アルミニウム鋳物に、0.1と0.4との間に含まれる第2摩擦係数を有する被膜で覆われる第2部分を成形することと、
(43b)0.1と0.4との間に含まれる第2摩擦係数を有する第2溝状部分を、第2架台に取り付けることとである。
【0070】
44.上記ステップは、以下から選択される方法によって取得され、すなわち、
(44a1)第1表面1を形成するための、0.3と0.8との間に含まれる第1摩擦係数を有する第1材料と、
(44a2)第2表面4を形成するための、0.1と0.4との間に含まれる第2摩擦係数を有する第2材料と、
(44a)を有する2成分プラスチック材料を射出することと、
(44c1)第1表面1を形成するための、0.3と0.8との間に含まれる第1摩擦係数を有する第1被膜と、
(44c2)第2表面4を形成するための、0.1と0.4との間に含まれる第2摩擦係数を有する第2被膜と、
(44c)で覆われる部分をアルミニウム鋳物に成形することと、
(44d1)第1表面1を形成するための、0.3と0.8との間に含まれる第1摩擦係数を有する第1溝状部分と、
(44d2)第2表面4を形成するための、0.1と0.4との間に含まれる第2摩擦係数を有する第2溝状部分と、
(44d)を架台に取り付けることとである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エスカレータのステップであって、
踏み位置にある第1表面(1)であって、当該踏み位置において、当該第1表面(1)は、乗客の安定性を高めるため、第1制御摩擦係数を有する第1材料を含んでいる、第1表面(1)と、
上記第1表面(1)を支えるよう構成されている支持面と、駆動手段(30)に接続されるよう構成されている第1接続手段(3)を収容するよう構成されている接続面とを有する、軸受構造(2)と、
上記ステップがたどる経路を規定する第1軌道上を転がるよう構成されている駆動ローラ(31)と、
上記ステップがたどる経路を規定する第2軌道上を転がるよう構成されている支持ローラ(31’)と、
ライザ位置にある第2表面(4)であって、ステップ間に相対的な移動がある、水平移動域と傾斜面移動域との間の遷移において、ステップとステップとの間に挟まれる危険を軽減するための、第2制御摩擦係数を有する第2材料を含む、第2表面(4)と、
上記第2表面(4)の台枠(5)であって、上記第2表面(4)を支え、上記第1表面(1)に取り付けるための取付手段(6)を収容するよう構成されている台枠(5)と
を含み、
上記駆動ローラ(31)は、上記軸受構造(2)と上記駆動手段(30)との間に配置されており、
上記台枠(5)は、上記駆動手段(30)に接続されるよう構成されている第2接続手段(7)を収容し、
上記駆動ローラ(31)は、上記ステップ/パレットの移動方向に従って前後方向の中央平面に対して対称に配置され、
上記駆動ローラ(31)は、上記軸受構造(2)の幅よりも大きな幅員で互いに隔てられ、
上記駆動ローラ(31)の回転軸は、上記第1表面(1)に平行な駆動面に含まれ、当該駆動面は、上記接続面に含まれる第1低層面内にあり、
上記駆動ローラ(31)は、上記第1接続手段(3)によって支えられているシャフトの回りを回転するよう構成されている
ことを特徴とするエスカレータのステップ。
【請求項2】
上記ステップと並行して移動されるよう構成され、上記ステップに接続されるスカートガード(32)を含み、
上記スカートガード(32)は、連続的な側面の帯状板を形成するよう、互いに接続された複数のプレート(32’、32’’)を含み、
第1プレート(32’)は、上記第1表面(1)に一体化しており、
第2プレート(32’’)は、上記第2表面(4)に一体化しており、
上記プレート(32’、32’’)は、前方端部と後方端部とを有し、ここで、上記第1プレート(32’)の前方端部は、上記第2プレート(32’’)の後方端部に接合される形状を有し、上記第1プレート(32’)の後方端部は、上記第2プレート(32’’)の前方端部に接合される形状を有し、当該前方端部および後方端部の当該接合形状は、第1プレート(32’)と第2プレート(32’’)との間の相対的な移動を可能とするよう構成されており、
上記接合形状は円弧状であり、当該円弧の中心は上記第1接続手段(3)内にある
ことを特徴とする請求項1に記載のエスカレータのステップ。
【請求項3】
上記支持ローラ(31’)は、上記軸受構造(2)と上記駆動手段(30)との間に配置されており、
上記支持ローラ(31’)は、上記ステップ/パレットの移動方向に従って前後方向の中央平面に対して対称に配置されており、
上記支持ローラ(31’)は、上記軸受構造(2)の幅よりも大きな幅員で互いに隔てられており、
上記支持ローラ(31’)の回転軸は、上記第1表面(1)に平行な支持面に含まれ、 上記支持面は、上記接続面に対する第2低層面内にあり、
上記第2低層面は、上記第1低層面の下にある
ことを特徴とする請求項2に記載のエスカレータのステップ。
【請求項4】
乗客の乗り降り位置にある、くし(10’)を有する固定板(10)へ上記ステップが入ること、および、上記固定板(10)から上記ステップが出ることを可能とするよう構成された、上記第1表面(1)における第1溝(11)と、
ステップ間に相対的な移動がある、水平移動域と傾斜面移動域との間の遷移において、或るステップが別のステップへ入ること、および、或るステップが別のステップから出ることが可能となるよう構成されている、上記第2表面(4)における第2溝(44)と
を含むことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のエスカレータのステップ。
【請求項5】
上記軸受構造(2)は、
上記エスカレータ/動く歩道の移動方向に平行な、複数の第1前後方向部材(20)と、
上記エスカレータ/動く歩道の移動方向に垂直な、複数の第1交差片(20’)と、
その組合せと
から選択される、構造的補強材を含み、
上記台枠(5)は、
上記エスカレータの移動方向に平行な、複数の第2前後方向部材(50)と、
上記エスカレータの移動方向に垂直な、複数の第2交差片(50’)と、
その組合せと
から選択される、構造的補強材を含む
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のエスカレータのステップ。
【請求項6】
上記第1前後方向部材(20)は、U字型断面を有する金属部分であり、
上記U字型の両端部は、上記第1表面(1)に垂直に配置されており、
上記U字型の中央分岐部は、上記第1表面(1)に平行に配置されており、
上記第1前後方向部材(20)は隣接して配置され、或る1つの第1前後方向部材(20)のU字型の両端部は他の第1前後方向部材(20)の端部に接しており、
上記第2前後方向部材(50)は、U字型断面を有する金属部分であり、
上記U字型の両端部は、上記第2表面(4)に垂直に配置されており、
上記U字型の中央分岐部は、上記第2表面(4)に平行に配置されており、
上記第2前後方向部材(50)は隣接して配置され、或る1つの第2前後方向部材50のU字型の両端部は他の第2前後方向部材(50)の端部に接している
ことを特徴とする請求項5に記載のエスカレータのステップ。
【請求項7】
上記第2表面(4)は円弧状であり、当該円弧の中心は、下のステップと上のステップとから選択されるステップの上記第2接続手段(7)内にある
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のエスカレータのステップ。
【請求項8】
上記第1表面(1)と上記第2表面(4)とは互いに接合されており、
上記第2表面(4)は凹面状である
ことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載のエスカレータのステップ。
【請求項9】
上記第1表面(1)と上記第2表面(4)とは互いに一体的に取り付けられており、
上記第2表面(4)は凸面状である
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のエスカレータのステップ。
【請求項10】
上記スカートガード(32)は、プラスチックと金網上に射出されたプラスチックとから選択される材料を含む
ことを特徴とする請求項2から9のいずれか1項に記載のエスカレータのステップ。
【請求項11】
上記第1制御摩擦係数は、0.3と0.8との間に含まれる値を有し、
上記第2制御摩擦係数は、0.1と0.4との間に含まれる値を有する
ことを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載のエスカレータのステップ。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか1項に記載のエスカレータのステップの製造方法であって、
上記第1表面(1)は、
0.3と0.8との間に含まれる第1摩擦係数を有し、第1繊維(1’)で補強される第1合成樹脂を含む、複合材料を成形することと、
減圧下で、0.3と0.8との間に含まれる第1摩擦係数を有する第1合成樹脂を、第1乾式繊維(1’)上に、射出することと、
0.3と0.8との間に含まれる第1摩擦係数を有し、第1繊維(1’)で補強される第1合成樹脂のフィルムを真空熱成形することと
から選択される方法によって取得され、
従って、当該製造方法は、
上記第1繊維(1’)を、上記第1表面(1)の機械的強度を最適化するよう構成された第1方向に配置することを含み、
上記第2表面(4)は、
0.1と0.4との間に含まれる第2摩擦係数を有し、第2繊維(2’)で補強される合成樹脂を含む、複合材料を成形することと、
減圧下で、0.1と0.4との間に含まれる第2摩擦係数を有する合成樹脂を、第2乾式繊維(2’)上に射出することと、
0.1と0.4との間に含まれる第2摩擦係数を有し、第2繊維(2’)で補強される合成樹脂のフィルムを真空熱成形することと
から選択される方法によって取得され、
従って、当該製造方法は、
上記第2繊維(2’)を、上記第2表面(4)の機械的強度を最適化するよう構成された方向に配置することを含む
ことを含むことを特徴とするエスカレータのステップの製造方法。
【請求項13】
上記第1繊維(1’)は、炭素繊維を含み、
上記第2繊維(2’)は、炭素繊維を含む
ことを特徴とする請求項12に記載のエスカレータのステップの製造方法。
【請求項14】
請求項1から11のいずれか1項に記載のエスカレータのステップの製造方法であって、
上記第1表面(1)は、
アルミニウム鋳物に、0.3と0.8との間に含まれる第1摩擦係数を有する被膜で覆われる第1部分を成形することと、
0.3と0.8との間に含まれる第1摩擦係数を有する第1溝状部分を、第1架台に取り付けることと
から選択される方法によって取得され、
上記第2表面(4)は、
アルミニウム鋳物に、0.1と0.4との間に含まれる第2摩擦係数を有する被膜で覆われる第2部分を成形することと、
0.1と0.4との間に含まれる第2摩擦係数を有する第2溝状部分を、第2架台に取り付けることと
から選択される方法によって取得される
ことを特徴とするエスカレータのステップの製造方法。
【請求項15】
請求項9から11のいずれか1項に記載のエスカレータのステップの製造方法であって、
上記第1表面(1)を形成するための、0.3と0.8との間に含まれる第1摩擦係数を有する第1材料と、上記第2表面(4)を形成するための、0.1と0.4との間に含まれる第2摩擦係数を有する第2材料とを有する2成分プラスチック材料を射出することと、
上記第1表面(1)を形成するための、0.3と0.8との間に含まれる第1摩擦係数を有する第1被膜と、上記第2表面(4)を形成するための、0.1と0.4との間に含まれる第2摩擦係数を有する第2被膜とで覆われる部分を、アルミニウム鋳物に成形することと、
上記第1表面(1)を形成するための、0.3と0.8との間に含まれる第1摩擦係数を有する第1溝状部分と、上記第2表面(4)を形成するための、0.1と0.4との間に含まれる第2摩擦係数を有する第2溝状部分とを架台に取り付けることと
から選択される方法によって、ステップが取得されることを特徴とするエスカレータのステップの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図2A】
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【図3】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図4E】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10A】
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【図10B】
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【公開番号】特開2013−6700(P2013−6700A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−139556(P2012−139556)
【出願日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【出願人】(512163680)
【氏名又は名称原語表記】THYSSENKRUPP ELEVATOR INNOVATION CENTER,S.A.
【住所又は居所原語表記】Laboral Ciudad de la Cultura,c/Luis Moya Blanco 261,33203 GIJON,Asturias,Spain
【Fターム(参考)】