説明

エスカレーター或は自動歩道の手摺に情報シートを表示する装置

【課題】エスカレーターや自動歩道の利用者へ、安全に、情報シートを交換容易に、低コストで、汚すことなく手摺に表示し提供すること。
【解決手段】手摺の表面と両側曲面中心部までは透明シートで覆い、手摺の片側曲面中心部は手摺に接着し、他の片側曲面中心部では、手摺裏面までのシートを間隔を開けて、矩形状や梯形状に切除して残し延設した接続テープの先端にファスナーや留め具を付ける。或は手摺曲面中心相当部で切断した透明シートに間隔を開けて、接続した手摺裏面までの接続テープの先端の手摺側に面ファスナーや留め具を付けるか、面ファスナー自体を接続テープとして接続する。対応する手摺裏面には、固設した受けの面ファスナーや留め受け具で接続テープを着脱する。又エスカレーターや自動歩道の終り部分の手摺をほぼ隙間無く不透明のシートや軟質又は硬質の成形カバーで覆い、手摺保持固定壁や床面に固定する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エスカレーターや自動歩道の手摺上に、情報シートを表示する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のエスカレーターや自動歩道の手摺上に、情報を表示する装置は、手摺に直接、情報を印刷する。或は手摺上に固着したプラスチックシートの上面や裏面に情報を印刷する方法を採用している。
【0003】
又は、特願平8−260107のごとく、透明のプラスチックシートでエスカレーターや自動歩道の手摺の表面と裏面を覆い、手摺の両側裏面に接続、又取り外し自由に留めて、その中に情報シートを挿入する装置やそれに米国特許登録第6,047,809号のごとくプラスチックシートを手摺裏面に巻き込む部分に切り欠きを設ける方法であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の技術の内、手摺や手摺上に固着する透明のプラスチックシートに情報類を直接印刷する方法は、情報を交換する場合に、従来の情報を消去したり、新情報を印刷したプラスチックシートに交換するランニングコストの高い方法であった。
【0005】
透明プラスチックシートを手摺に巻き付け、手摺の両側裏面で接続、取り外し自由に留める装置は、手摺が階段の裏側に回動する部分でシートに皺が入る欠点があった。又その皺が出ないようにシート両端の随所にカーブ状の切り欠きを入れる方法でも、手摺の回転部で、その皺を完全に取り去ることが出来ず、シートが手摺から剥離したり、エスカレーター利用者の手に当たったり又皺のある見栄えの悪い装置であった。
【0006】
なお、エスカレーターや自動歩道の利用者が、移動している階段から降りる際に、手摺に表示してある情報に見とれて足元の注意がおろそかになり、よろけたり、転んだりすることがあった。
【0007】
【課題を解決するための手段】
透明な軟質又は半硬質のプラスチックシートで、エスカレーターや自動歩道の手摺上面を覆い、その片側は手摺曲面のほぼ中心部に接着剤又は強力な粘着剤で接着する。反対側の透明シートは、手摺曲面のほぼ中心部で、手摺裏面までの接続テープが残るように間隔を開けて矩形状又は梯形状に切除する。その透明プラスチックシートの接続テープの先端に雄又は雌の面ファスナーや留め具を取り付ける。
【0008】
或いは手摺接着と反対側の手摺曲面中心部で長手方向に切断した透明シートに、間隔を開けて、手摺の裏面までの長さの軟質や半硬質のプラスチックシート或は柔軟な織布などの接続テープを取り付ける。接続テープの先端には、手摺面側に雄又は雌の面ファスナーや留め具を取り付ける。又は雄又は雌の面ファスナーそのものを接続テープとして、接続面を手摺側に向けて接着する。接続テープに対応する手摺の裏面部には、雌又は雄の面ファスナー或は留め受け具を固設して、接続テープと剥離自由に接続や嵌着する。
【0009】
エスカレーターや自動歩道から降りる時、表示情報に見とれて足元の不安全となることを除くために、エスカレーターを降りる手前約1.5m乃至1mから降りるまでやその先の手摺部分を不透明のカバーで覆う。この安全カバーは、硬質の金属板やプラスチック板を手摺の回転部分やさらに床面までも覆うようにプレス成形や真空成形或いは部分的に接合してエスカレーターや自動歩道の不動の手摺保持固定壁などの構造基体や床面に固設する。安全カバーと手摺との間は、少なくとも指先が入らないように成形する。さらに硬質板の縁は、曲面にしておくことを必要とする。
【0010】
安全カバーを不透明な軟質又は半硬質のプラスチックシートにして覆う場合は、手摺の回転部分の側面を切り欠きを設けて、手摺形状に沿うように接着したり、真空成形で手摺の側面を含め、その回転部分を隙間無く覆うようにして、手摺保持固定壁などの構造基体に固設する。又安全カバーが最初に手摺と接する部分は、手摺の透明シートとの間隙に指先が入らないように、又指先がシートの端で傷付かないように、手摺側内方に折り曲げて、手摺保持固定壁などの構造基体に固設する。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の具体例をエスカレーターについて、図によって説明する。自動歩道の対応も全く同じである。
【0012】
図2は、エスカレーター下部の斜視図であり、図3は、エスカレーターの全体側面図であり、そのA−A断面が図1である。
図1の手摺1は、手摺保持固定壁3の上部に繋がる手摺保持装置2を包むようにして移動する。その手摺1の上面から両端の手摺曲面中心部4までは、軟質や半硬質のプラスチック透明シート5で完全に覆う。透明プラスチックは、一般にポリプロピレンや塩化ビニール或いはEVA樹脂を使う。その厚みの設定は、自由であるが、0.2mmから0.4mmの厚みが加工しやすい。手摺曲面中心部4は、正確に設定するものではないが、一般には、手摺その物を製作するときに、出来る曲面の中心線が目安になる。
【0013】
透明シート5は、手摺表面の情報シートを表示する部分、一般には手摺の全長を覆う。その幅方向の両端の内片方は、手摺曲面中心部4を透明シートの手摺接着部6として、接着剤や強力な粘着剤で接着する。透明シート5の固着側の手摺接着部6は、一般には、エスカレーター双方の手摺共、それぞれ内側を選ぶ方が、エスカレーターの利用者の手に触れて透明シート5が手摺から剥離するのを防止出来る。
【0014】
反対側の透明シート5の端は、間隔を開けて、接続テープ8を形成するように矩形状に切除する。その透明シートの展開図が図6である。又は図示していないが、梯形状に切除して、接続テープ8を形成させる。長手方向の切断部は、透明シート5が手摺1を覆ったときに、手摺曲面中心部4に位置するようにする。そこに、矩形状切除部16や梯形状切除によって接続テープ8が延設される。接続テープ8は、手摺1に巻き付けたときに、手摺の裏面端に位置する長さとする。その先端の手摺1側には、雄又は雌の面ファスナー9や留めホックなどの留め具を固着する。接続テープ8の透明シート5からの延設部は、曲面形状カット部17を形成させると接続テープ8が透明シート5から千切れることを防止する。
【0015】
接続テープ8の代わりに、展開図7に示すごとく、透明シート5が手摺1を覆ったときの曲面中心部に相当する所で切断して、その位置を接続テープ接着部7として、間隔を開けて手摺1の裏面端までの長さの別な接続テープ81を接着する方法がある。接続テープ81の大きさは、接続テープ8とほぼ同じでよい。接続テープ81は、雄又は雌の面ファスナーそのものでもよいし、柔軟な織布や透明シート5と同材質のシートの先端に、雄又は雌の面ファスナー9や留めホックを手摺1側に取り付けたものでもよい。又透明シート5には接続テープ接続部7で接着剤や物理的な方法で取り付ける。なお、テープ81の透明シート5との接続基部の幅を広く設定すると接続テープ81の接着強度は増す。
【0016】
接続テープ8又は81の幅は、特定することはないが、その強度保持と手摺1の回転部で皺になることを避けることが必要で、一般に1cmから5cmを適当とする。接続テープ8の間隔即ち矩形状切除部16又は梯形状切除部の長さ或いは接続テープ81間の間隔は、透明シート5が手摺1から浮き上がるのを防止する間隔であることが必要条件であり、一般に20cmから30cmを適当とする。
【0017】
接続テープ8又は81の先端の面ファスナー9やホックなどの留め具に対応する手摺1の裏面先端部には、雌又は雄の面ファスナー10や留め受け具を固着して接続テープ8や81が手摺1に接続し又剥離出来るようにする。図1の実施例は、透明シート5の接続テープ接続部7に接着した接続テープ81の先に固着した面ファスナー9と手摺1の裏面に固着した面ファスナー10を利用している。
【0018】
情報シート11を手摺1の表面に表示するときは、手摺1の裏面先端に取り付けた面ファスナー10などの留め具から透明シート5に取り付けてある接続テープ8又は81を剥離し、情報シート11を手摺1表面に置き、透明シート5が情報シート11を手摺1表面に押さえるように、再び接続テープ8又は81先端に付けてある面ファスナー9や留め具を手摺1裏面の面ファスナー10や留め受け具に留める。なお、情報シート11の裏面に弱い粘着剤を点付けして手摺1の表面におくと、情報シート11のずれ動きが防止出来る。以上の手順で、情報シート11の交換が容易に可能となる。
【0019】
図2は、エスカレーター下部の斜視図であり、透明シート5の下に情報シート11が置かれていることを示している。又手摺1の曲面を覆った透明シート5から出ている接続テープ8が手摺1の裏面に取り付けてある状態を示している。又透明シート5は、手摺曲面中心部4から手摺1の上面を覆っていることを示している。
【0020】
図3は、透明シート5で覆ったエスカレーター全体の側面を示している。符号15は、階上、階下の床である。又手摺1を覆っている透明シート5の手摺曲面中心部4に位置する接続テープ接着部7に固接してある接続テープ81を示している。
【0021】
図4は、上昇エスカレーター最終部分の側面図である。エスカレーターを利用する人が手摺1表面の情報シートに見とれてエスカレーターを降りるときに、足元が床で躓くのを防止するために、エスカレーター階段の最終部の手前約1.5mから1mの手摺1を不透明な安全カバー12で、エスカレーター階段の終り部分やその先までの手摺1を透明シート5に接して覆い、手摺保持固定壁3に接着剤や留め具13で固設する。手摺保持固定壁3の下部が硝子の場合は、図1の手摺保持装置2に続く部分の手摺固定壁3に留める。
【0022】
不透明の安全カバー12は、手摺1の形状に沿うように成形する。安全カバー12が熱可塑性樹脂材であれば、軟質材でも硬質材でも真空成形法で成形出来る。
熱溶着の出来る樹脂であれば、手摺1や手摺保持固定壁3の形状に沿って分割して、それを熱溶着してもよい。又金属板をプレス成形や溶接してカバーとしてもよい。安全カバーの厚みに限定はないが、軟質の場合は、0.3mmから0.5mmを適当とし、硬質の場合は、1mmから5mmを適当とする。
【0023】
透明シート5と安全カバー12との間には、指先が入らないように設定する。安全カバー12が軟質材の場合には、手摺1の初めを覆う部分で図4の折り返し線14のごとく内側に折り返して透明シート5に接しておくと、シートの縁も曲面となり、透明シート5との隙間も無くなり、安全性は高まる。又安全カバー12が硬質材の場合の、手摺1に接する初めの縁は、曲面を形成するように削っておくか成形しておくとそれに触れる指先を傷付けることはない。
【0024】
図5のごとく、金属板や硬質樹脂シートを成形して安全カバー12を図4における手摺1の回転大部分を覆って成形し、硬質安全カバー18として手摺保持固定壁3や床面15に固設して、図示していないが、中で手摺1を覆っている透明シート5を常時拭い清掃する用具装置或いはオゾン発生装置や紫外線照射装置などを設置して、透明シート5の清掃や殺菌機能を内臓させることも出来る。
【0025】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したような形態で実施され、以下に記載されるような効果を奏する。
【0026】
エスカレーターや自動歩道の不特定多数の利用者に、利用し続ける間は確実に、宣伝、案内、その他各種のPR情報を提供することが出来る。
【0027】
手摺に表示する情報シートを、容易に又早く交換して表示出来る。
【0028】
本情報表示装置は、軟質や半硬質のプラスチックシートによる手摺の安全カバー装置であれば、誰にでも設置出来る。
【0029】
本情報表示装置の材料費、加工費の設備費は安く又ランニングコストは必要としない。
【0030】
手摺の安全カバーの中に、手摺の清掃装置や殺菌装置を設置すれば、人手による手摺の清掃や殺菌作業が省力化出来る。
【0031】
エスカレーターや自動歩道を利用する人が手摺表面に表示してある情報に見とれて降りる際に、足元がよろけたり、躓くことを防止出来て、安全である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図3のA−A断面図である。
【図2】エスカレーター下部の斜視図である。
【図3】エスカレーターの全体側面図である。
【図4】上昇エスカレーターの最終部分側面図である。
【図5】エスカレーターの最終部分の手摺を覆って手摺固定壁や床に留めた硬質成形板による安全カバーの側面図である。
【図6】片側を矩形状に切除し、接続テープを延設した透明シートの展開図である。
【図7】片側に接続テープを接続した透明シートの展開図である。
【符号の説明】
1 手摺 2 手摺保持装置
3 手摺保持固定壁 4 手摺曲面中心部
5 透明シート 6 手摺接着部
7 接続テープ接着部 8、81 接続テープ
9、10 面ファスナー 11 情報シート
12 安全カバー 13 留め具
14 折り返し線 15 床面
16 矩形状切除部 17 曲面形状カット部
18 硬質安全カバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エスカレーターや自動歩道の手摺表面を長手方向に、透明の軟質又は半硬質のプラスチックシートで、片端は手摺曲面のほぼ中心部に固着して覆い、その反対端は手摺曲面のほぼ中心部で、長さ方向に間隔を開けて矩形状か梯形状に切除して、手摺裏面に掛けて延設し残したテープ形状の先端か或いは手摺を覆った透明シートを曲面のほぼ中心部で長さ方向に切断した所に、間隔を開けて接続した別の軟質か半硬質のテープの先端の手摺裏面側に、雄又は雌の面ファスナーや留め具を固定するか、雄又は雌の面ファスナーをテープとして、手摺に向けて接続して、対応する手摺の裏面に固設した雌又は雄の面ファスナー或は留め受け具に剥離自由に留めて、手摺の表面と透明プラスチックシートとの間に、情報シートを交換自由に挿入し手摺に表示するエスカレーター或は自動歩道の装置。
【請求項2】
エスカレーター或は自動歩道から人が降りる手前から、降りるまで又はその先までの手摺を、覆うように成形した不透明の硬質板或は軟質又は半硬質のプラスチックシートでカバーして、エスカレーター又は自動歩道の手摺保持固定壁や床に固設した、請求項1項に記載の情報シートを交換自由に挿入し手摺に表示するエスカレーター或は自動歩道の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2004−292159(P2004−292159A)
【公開日】平成16年10月21日(2004.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2003−107125(P2003−107125)
【出願日】平成15年3月6日(2003.3.6)
【出願人】(596063001)
【出願人】(592101172)
【Fターム(参考)】