エスカレータ骨組据付用仮設材、及びエスカレータ骨組据付用仮設材による架設方法
【課題】既設エスカレータ骨組内に新設エスカレータ骨組を走行させる際に、既設エスカレータ骨組を補強しつつ安全に据え付けるエスカレータ骨組据付用仮設材、及びその架設方法を提供する。
【解決手段】エスカレータの骨組内側の部品と、複数の骨組側面トラス21及び骨組側面トラス21の底部相互を繋ぐ骨組底面トラス22からなるフレームを補強するトラス補強梁23と、が撤去された既設エスカレータの骨組内部に、分割された新設エスカレータ骨組30を走行させる仮設レール6と、分割された新設エスカレータ骨組30ごとに設けられた仮設車輪5と、既設エスカレータの骨組側面トラス21の上部に設けられ、梁材4に取付けられた治具により新設エスカレータ骨組30を吊る仮設構台2とを備え、仮設構台2は、トラス補強梁23が撤去された既設エスカレータ骨組20の補強を兼ねる。
【解決手段】エスカレータの骨組内側の部品と、複数の骨組側面トラス21及び骨組側面トラス21の底部相互を繋ぐ骨組底面トラス22からなるフレームを補強するトラス補強梁23と、が撤去された既設エスカレータの骨組内部に、分割された新設エスカレータ骨組30を走行させる仮設レール6と、分割された新設エスカレータ骨組30ごとに設けられた仮設車輪5と、既設エスカレータの骨組側面トラス21の上部に設けられ、梁材4に取付けられた治具により新設エスカレータ骨組30を吊る仮設構台2とを備え、仮設構台2は、トラス補強梁23が撤去された既設エスカレータ骨組20の補強を兼ねる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エスカレータ骨組据付用仮設材、及びエスカレータ骨組据付用仮設材による架設方法に係り、特に、既設エスカレータを新設エスカレータに切り替える工事に用いられるエスカレータ骨組据付用仮設材、及びそのエスカレータ骨組据付用仮設材による架設方法に関する。
【背景技術】
【0002】
所定の期間が経過したエスカレータは撤去され、新設のエスカレータに切り替える工事が行われる。このエスカレータの切替工事は屋内で行われる場合が多く、その場合には施工上の制約が発生する。例えば、駅の構内に設置されているエスカレータでは、エスカレータ周囲の店舗、自動販売機等の営業を停止せずに新設のエスカレータを据え付けなければならない場合がある。従って、駅の構内に持ち込み可能な軽微な器具や治具により施工する必要がある。また、建物の仕上材と取り合うエスカレータの外装を撤去せずに新設のエスカレータを据え付けることが望ましい。これにより、建物の仕上材をそのまま生かすことが可能となる。また、既設及び新設エスカレータの部品を駅の構内の天井から吊下げずに施工しなければならない場合がある。これは、エスカレータの設置位置の直上に、揚重に耐え得る梁がない場合があるからである。
【0003】
図10にエスカレータ骨組40の側面図を示す。また、図11に図10のA−A断面を示す。エスカレータの撤去新設工事において、施工上最も上記制約に関係するのがこのエスカレータ骨組40である。このエスカレータ骨組40は一般的にエスカレータトラスともいわれている。既設エスカレータ骨組20は、2列の骨組側面トラス21と、その骨組側面トラス21の底部相互を繋ぐ骨組底面トラス22と、それらを補強するトラス補強梁23とから構成される。このトラス補強梁23は、一般に「ボクシング・メンバー」といわれ、図10の骨組側面トラス21の弦材に直交する部材の中間位置に取り付けられる。骨組側面トラス21と骨組底面トラス22とによる柔なフレームを、ボックス状(箱状)に閉じることで剛なフレームとする役目を有する。
【0004】
このエスカレータの撤去新設工事の施工法として、いわゆる「トラス・イン・トラス」工法がある。これは、既設エスカレータの骨組側面トラス21の間隔が、新設エスカレータの骨組側面トラスの間隔よりも大きい場合に採用される。すなわち、既設エスカレータ骨組20の内部に新設エスカレータ骨組を走行させ、既設エスカレータ骨組20とともに設置させる工法である。この工法によると、既設エスカレータの外装を撤去せずに新設エスカレータを据え付けることが可能となり、建物の仕上工事が発生しないというメリットがある。
【0005】
この「トラス・イン・トラス」工法は、旧式のエスカレータの手摺の下部の欄干の幅が最新のエスカレータの欄干の幅よりも厚く、ステップ(踏板)の幅は同じであっても、旧式のエスカレータの骨組側面トラスの幅が最新のエスカレータの骨組側面トラスの幅よりも広いため成立する。
【0006】
既設エスカレータを新設エスカレータに切り替える工事の施工法としては、一般に既設エスカレータ上に大掛かりな構台を設け、既設エスカレータ骨組をワイヤーで吊るして撤去し、新設エスカレータ骨組をワイヤーで吊るして落とし込む方法が採用されている。
【0007】
一方、特許文献1には、エスカレータを吊りワイヤーにより吊り上げて所定の位置に設置する工法が開示されている。また、特許文献2には、エスカレータの上部昇降口に揚重装置を設け、エスカレータトラスを分割してエスカレータ設置面に移動させる工法が開示されている。
【0008】
【特許文献1】特開2005−298189号公報
【特許文献2】特開平8−26643号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
「トラス・イン・トラス」工法を採用した場合、新設エスカレータ骨組を既設エスカレータ骨組内に走行させ設置させるためには、既設エスカレータのトラス補強梁を撤去する必要がある。つまり、このトラス補強梁が、新設エスカレータ骨組の走行の妨げになるからである。しかし、このトラス補強梁を溶断等により撤去すると、上述したように、骨組側面トラスと骨組底面トラスとによる柔なフレームとなり、骨組側面トラスは外側に変形し、骨組底面トラスの中央部は上向きに変形する。さらに、このフレーム上に新設エスカレータを走行させると、過大な変形が生じる虞がある。
【0010】
骨組側面トラスや骨組底面トラスは、この過大な強制変形により塑性化し、塑性化域が永久変形をする可能性がある。また、骨組側面トラスや骨組底面トラスの接合部のボルトが抉られて切断したり、溶接部が破断したりするという事故が発生する危険がある。さらに、骨組側面トラスと骨組底面トラスとの過大な変形により、それらに取り付いている建物側の仕上材が損傷する虞がある。
【0011】
本願の目的は、かかる課題を解決し、既設エスカレータ骨組内に新設エスカレータ骨組を走行させる際に、既設エスカレータ骨組を補強しつつ安全に据え付けるエスカレータ骨組据付用仮設材、及びエスカレータ骨組据付用仮設材による架設方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本発明に係るエスカレータ骨組据付用仮設材は、既設エスカレータを新設エスカレータに切り替える工事に用いられるエスカレータ骨組据付用仮設材であって、エスカレータの骨組内側の部品と、複数の骨組側面トラス、及びその骨組側面トラスの底部相互を繋ぐ骨組底面トラスからなるフレームを補強するトラス補強梁と、が撤去された既設エスカレータの骨組内部に、分割された新設エスカレータ骨組を走行させる仮設レールと、分割された新設エスカレータ骨組ごとに設けられ、仮設レール上を走行する仮設車輪と、既設エスカレータの骨組側面トラスの上部に設けられ、複数の柱材と、その柱材同士を繋ぐ梁材とからなり、梁材に取付けられた治具により、分割された新設エスカレータ骨組を吊る複数の仮設構台とを備え、仮設構台はトラス補強梁が撤去された既設エスカレータ骨組の補強を兼ねることを特徴とする。
【0013】
また、エスカレータ骨組据付用仮設材は、仮設レールが、既設エスカレータの骨組底面トラス上に設置され、新設エスカレータ骨組の下部に設けられた車輪を走行させることが好ましい。
【0014】
また、エスカレータ骨組据付用仮設材は、仮設レールが、複数の仮設構台の梁材相互を繋いで設置され、新設エスカレータ骨組の上部に設けられた車輪を走行させることが好ましい。
【0015】
また、エスカレータ骨組据付用仮設材は、複数の仮設構台の柱材の中間部同士を繋ぎ、既設エスカレータ骨組を補強する着脱可能な中間仮設補強材を有することが好ましい。
【0016】
また、本発明に係るエスカレータ骨組据付用仮設材による架設方法は、既設エスカレータを新設エスカレータに切り替える工事に用いられるエスカレータ骨組据付用仮設材による架設方法であって、エスカレータの骨組内側の部品と、複数の骨組側面トラス、及びその骨組側面トラスの底部相互を繋ぐ骨組底面トラスからなるフレームを補強するトラス補強梁と、が撤去された既設エスカレータの骨組内部に仮設レールを設け、既設エスカレータの骨組側面トラスの上部に、複数の柱材と、その柱材同士を繋ぐ梁材とからなり、トラス補強梁が撤去された既設エスカレータ骨組の補強を兼ねる複数の仮設構台を設け、分割された新設エスカレータ骨組のそれぞれに仮設車輪を設ける工程と、梁材に取付けられた治具を用い、分割された新設エスカレータ骨組を吊り、仮設レールを用いて分割された新設エスカレータ骨組を既設エスカレータの骨組内部に走行させ、所定の位置に設置する工程と、仮設レールと、複数の仮設構台と、仮設車輪とを撤去する工程と、を備えることを特徴とする。
【0017】
また、エスカレータ骨組据付用仮設材による架設方法は、仮設レールが、既設エスカレータの骨組底面トラス上に設置され、新設エスカレータ骨組の下部に設けられた車輪を走行させることが好ましい。
【0018】
また、エスカレータ骨組据付用仮設材による架設方法は、仮設レールが、仮設構台の梁材相互を繋いで設置され、新設エスカレータ骨組の上部に設けられた車輪を走行させることが好ましい。
【0019】
さらに、エスカレータ骨組据付用仮設材による架設方法は、仮設構台の柱材の中間部同士を繋ぎ、既設エスカレータ骨組を補強する着脱可能な中間仮設補強材を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
上記構成により、エスカレータ骨組据付用仮設材は、骨組側面トラスや骨組底面トラスが過大な変形により塑性化して永久変形が発生することを防止できる。また、骨組側面トラスや骨組底面トラスの接合部のボルトが抉られて切断したり、溶接部が破断したりするという事故を防止することが可能となる。そして、骨組側面トラスと骨組底面トラスとの過大な変形による建物側の仕上材の損傷を防止することが可能となる。
【0021】
また、上記構成により、エスカレータ骨組据付用仮設材による架設方法は、骨組側面トラスや骨組底面トラスが過大な変形により塑性化して永久変形が発生することを防止できる。また、骨組側面トラスや骨組底面トラスの接合部のボルトが抉られて切断したり、溶接部が破断したりするという事故を防止することが可能となる。そして、骨組側面トラスと骨組底面トラスとの過大な変形による建物側の仕上材の損傷を防止することが可能となる。
【0022】
以上のように、本発明に係るエスカレータ骨組据付用仮設材、及びエスカレータ骨組据付用仮設材による架設方法によれば、既設エスカレータの骨組内に新設エスカレータ骨組を走行させる際に、既設エスカレータ骨組を補強しつつ安全に据え付けることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下に、図面を用いて本発明に係るエスカレータ骨組据付用仮設材の実施形態につき、詳細に説明する。
【0024】
図1に、既設エスカレータ骨組20の内部に新設エスカレータ骨組30を引き上げる「トラス・イン・トラス」工法の概要を示す。図1は、既設エスカレータ骨組20を側面から見た図である。新設エスカレータ骨組30は、引き上げ作業に適した重量及び長さを有するユニットに分割される。このユニットの重量は最大で2.5トン程度となる。図1では新設エスカレータ骨組30の1つのユニットのみを示す。実線で示した新設エスカレータ骨組30は、引き上げ前の状態を示し、破線で示した新設エスカレータ骨組30は、引き上げ途中の状態を示す。
【0025】
既設エスカレータ骨組20の骨組側面トラス21上には、仮設構台2が設置される。また、エスカレータ下部には、エスカレータ下部仮設構台11が、エスカレータ上部には、エスカレータ上部仮設構台12が、それぞれ設置される。さらに、既設エスカレータ骨組20の骨組側面トラス21上には、図1中に破線で示す仮設レール6が設けられる。また、新設エスカレータ骨組30の下部には仮設車輪5が取付けられ、この仮設車輪5は仮設レール6上を走行する。エスカレータ上部仮設構台12に設けられたウインチ9によりロープ10が巻き上げられ、新設エスカレータ骨組30が引き上げられ、所定の位置に設置される。仮設構台2には、新設エスカレータ骨組30を吊るためにウインチ(図示せず)が設置される。
【0026】
図2を用いて、本発明に係るエスカレータ骨組据付用仮設材1の概略構成を示す。図2は、図1のA−A断面を示す。骨組側面トラス21及び骨組底面トラス22からなる既設エスカレータ骨組20の内部に、骨組側面トラス31及び骨組底面トラス32からなる新設エスカレータ骨組30が走行する。ここで、エスカレータ骨組据付用仮設材1は、複数の仮設構台2、仮設レール6及び仮設車輪5から構成される。
【0027】
仮設構台2は、柱材3及び梁材4から構成され、門型のフレームを構成する。図3には仮設構台2の拡大した側面を示す。本実施形態では、仮設構台2の柱材3は、主柱材13及び補強柱材14から構成される。ここで、主柱材13は、新設エスカレータ骨組30のユニットを吊る際に、その荷重方向に向くように略鉛直方向に取り付けられる。しかし、新設エスカレータ骨組30のユニットが左右に振れる場合に、骨組側面トラス21に取り付けるボルトがこじれる可能性がある。そこで斜材である補強柱材14により主柱材13を支持する。これにより、仮設構台2は安全な仮設材となる。
【0028】
仮設レール6は、図2に示すように、既設エスカレータ骨組20の骨組底面トラス22上に取付けられ、既設エスカレータ骨組20のうち据付工事に必要な全長にわたって取り付けられる。本実施形態では、仮設レール6はチャンネル材の刃を上向きに向けて取付けられる。このチャンネル材の2枚の刃の間に仮設車輪5を乗せることにより、仮設車輪5は安定した走行が可能となる。この仮設レール6は、チャンネル材に限らず、例えば、プレートをコの字状に溶接した組み立て部材のように仮設車輪5がその上を走行可能なものであれば良い。
【0029】
仮設車輪5は、新設エスカレータ骨組30のユニットごとに取付けられる。この仮設車輪5は、新設エスカレータ骨組30のユニットを走行させるローラ状のものであれば、例えばコロのようなものでも良い。また、新設エスカレータ骨組30のユニットを車輪付きの台車の上に乗せて走行させても良い。さらに、仮設レール6が三角形状であり、その山の上に、底部が逆三角形である仮設車輪5が乗る組合せであっても良い。
【0030】
既設エスカレータ骨組20には、もともとトラス補強梁23が取り付けられている。トラス補強梁23は、図10の骨組側面トラス21の弦材に直交する部材の中間位置に取り付けられる。図4に一般的なトラス補強梁23の概要をエスカレータの断面により示す。図4に示すように、トラス補強梁23は、ステップ16を移動させる走行コンベア15の上面(往路)と下面(復路)の間に設けられる。既設エスカレータ骨組20を構成する骨組側面トラス21及び骨組底面トラス22は、コの字型のフレームであり、骨組側面トラス21の中間部にトラス補強梁23を取付けることにより、箱型のフレームとなり安定する。さらに、トラス補強梁23を走行コンベア15の上面(往路)と下面(復路)の間の位置に設けることで、走行コンベア15により発生する振動を効果的に抑え、フレームに発生する変形を低減することができる。
【0031】
既設エスカレータ骨組20の内部に新設エスカレータ骨組30を引き上げる「トラス・イン・トラス」工法の場合には、このトラス補強梁23を撤去しなければ新設エスカレータ骨組30が走行することができない。図5にトラス補強梁23を撤去した既設エスカレータ骨組20を示す。新設エスカレータ骨組30のユニットの重量が仮設車輪5に荷重Pとして積載されると、両側の骨組側面トラス21には変位δ1が、骨組底面トラス22の中央部には変位δ2が発生する。この骨組側面トラス21や骨組底面トラス22は、この変形が過大である場合には、変形により塑性化し、永久変形が発生する可能性がある。また、骨組側面トラス21や骨組底面トラス22の接合部のボルト(図示せず)が抉られて切断したり、溶接部が破断したりするという事故が発生する危険がある。さらに、骨組側面トラス21と骨組底面トラス22との過大な変形により、それらの外側に取り付いている建物側の仕上材が損傷する虞がある。この工法では、既設エスカレータ骨組20の内部に新設エスカレータ骨組30を設置した後には、建物側の既設の仕上材は既設エスカレータ骨組20に取り付いたまま使用するため、この損傷は回避しなければならない。
【0032】
図6に、図4のB−B断面図を示す。骨組底面トラス22は、つなぎ材24及びブレース材25から構成される。トラス補強梁23は、骨組側面トラス21の縦材39が取り付く位置でこの縦材39を連結する。このトラス補強梁23を撤去せずに新設エスカレータ骨組30を引き上げ、全ユニットを走行させ所定の位置に配置した後、トラス補強梁23を撤去し、所定の位置に引き下げることも可能ではあるが、新設エスカレータ骨組30の吊り位置が高くなり仮設構台2をより高くしなければならない。このことは、作業の危険性が増大することになる。トラス補強梁23は、あくまでも骨組側面トラス21間に発生する横方向の変形(図6中のδ3)及び骨組側面トラス21間の相対的なずれ(図6中のδ4)を抑える役割を有する。従って、仮設レール6をトラス補強梁23の上に設置した場合、本来トラス補強梁23が意図しない方向からの荷重を負担しなければならず、強度上の問題が発生する。このことから、仮設レール6をトラス補強梁23の上に設置することは作業上危険を伴うため好ましくない。
【0033】
本発明に係るエスカレータ骨組据付用仮設材1の他の実施形態を図7に示す。この実施形態では、仮設構台2の柱材3の中間部を繋ぐ中間仮設補強梁8を設置する。この中間仮設補強梁8は、本実施形態では、その端部に設けられた孔(図示せず)を、各仮設構台2の柱材3に取り付けられた孔付きプレート19の孔に合わせてピン(図示せず)により接合する。そして、中間仮設補強梁8に設けられたターンバックル7を回すことで、両側の骨組側面トラス21を引き寄せる。この中間仮設補強梁8により、骨組側面トラス21や骨組底面トラス22の変形をより効果的に抑えることができる。それにより、骨組側面トラス21や骨組底面トラス22が過大な変形により塑性化して永久変形が発生することを防止できる。また、骨組側面トラス21や骨組底面トラス22の接合部のボルトが抉られて切断したり、溶接部が破断したりするという事故を防止することが可能となる。そして、骨組側面トラス21と骨組底面トラス22との過大な変形による建物側の仕上材の損傷を防止することが可能となる。
【0034】
この中間仮設補強梁8の取り付け位置は、図7に示すように、施工上可能な限り骨組側面トラス21に接近した高さであり、新設エスカレータ骨組30と衝突しない位置とすることが好ましい。また、施工の際にこの中間仮設補強梁8が障害となる場合には簡単に取り外しができる接合方法が望ましい。本実施形態では、中間仮設補強梁8の端部を側面から当て、ピンで留める方式としたが、中間仮設補強梁8を骨組側面トラス21に止める方法であれば、例えば、中間仮設補強梁8を上部から落とし込み、ピンで留める方法であっても良い。
【0035】
本発明に係るエスカレータ骨組据付用仮設材1の他の実施形態を図8に示す。この実施形態では、仮設構台2の梁材4同士を仮設構台繋ぎ梁18により繋ぎ、仮設構台2をより安定化させる。そしてこの仮設構台繋ぎ梁18を仮設レール18として兼用する。すなわち、新設エスカレータ骨組30のユニットと連結した仮設車輪17をこの仮設レール18に取り付け、新設エスカレータ骨組30のユニットを吊るす。そして、エスカレータ上部仮設構台12に設置されたウインチ9によりユニットを引き上げ、仮設レール18から懸垂して吊られた新設エスカレータ骨組30のユニットを走行させる。このように仮設車輪17及び仮設レール18を仮設構台2に取り付けることで、本発明に係る仮設材をすべて一体として設置することや撤去することが可能となる。
【0036】
図9に、エスカレータ骨組据付用仮設材1による架設方法をフロー図で示す。このフロー図では、新設エスカレータ骨組30は、すでに各ユニットに分割されて製作されているものとする。
【0037】
まず、既設エスカレータの内部の部品を撤去する。これにより、既設エスカレータ骨組20が露出し、既設エスカレータ骨組20のトラス補強梁23を、例えば部材の溶断により撤去する(S1)。次に、エスカレータ骨組据付用仮設材1をそれぞれ設置する。すなわち、既設エスカレータ骨組20に仮設構台2を取り付ける(S2a)。この仮設構台2の設置には、エスカレータ下部仮設構台11及びエスカレータ上部仮設構台12の取り付けも含まれる。また、新設エスカレータ骨組30又は仮設構台2に仮設車輪5を取り付ける(S2b)。さらに、既設エスカレータ骨組20の骨組底面トラス22の上、又は仮設構台2に仮設レール6を取り付ける(S2c)。これ以外の準備作業、例えば、ウインチの取付け、ロープの取付け等、通常エスカレータ切替工事に必要とされる作業もこのステップ内に行われる。これらの作業はどのような順番で行っても良く、また同時に行っても良い。これらの作業が全て終了するとエスカレータ切替工事の事前準備が完了する。
【0038】
次に、仮設レール6上に仮設車輪5を乗せるか、又は吊るし、分割された新設エスカレータ骨組30のユニットを既設エスカレータ骨組20の内部に走行させる(S3)。このとき、仮設構台2により新設エスカレータ骨組30のユニットを引き上げ、エスカレータ上部仮設構台12に設置されたウインチ9により新設エスカレータ骨組30のユニットを既設エスカレータ骨組20の内部に走行させる。
【0039】
この作業を全ての新設エスカレータ骨組30のユニットについて順次行い、それぞれ所定の位置に設置する(S4及びS5)。次に仮設構台2を用いて全ての新設エスカレータ骨組30のユニットを引き上げ、仮設レール6及び仮設車輪5を撤去し、仮設構台2を全て撤去する(S6)。これにより、新設エスカレータ骨組30の据付が完了する。
【0040】
さらに、新設エスカレータ内部の部品を取り付けて仕上げを行い据付工事がすべて完了する。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】既設エスカレータ骨組の内部に新設エスカレータ骨組を引き上げる工法の概要を示す側面図である。
【図2】本発明に係るエスカレータ骨組据付用仮設材の概略構成を示す、図1のA−A断面図である。
【図3】仮設構台の拡大した側面図である。
【図4】一般的なトラス補強梁の概要を示すエスカレータの断面図である。
【図5】トラス補強梁を撤去した既設エスカレータ骨組を示す断面図である。
【図6】図4のB−B断面からみたトラス補強梁を示す平面図である。
【図7】エスカレータ骨組据付用仮設材1の他の実施形態である中間仮設補強梁の概要を示す断面図である。
【図8】エスカレータ骨組据付用仮設材1の他の実施形態の概要を示す断面図である。
【図9】エスカレータ骨組据付用仮設材による架設方法を示すフロー図である。
【図10】エスカレータの骨組を示す側面図である。
【図11】図10のA−A断面図である。
【符号の説明】
【0042】
1 エスカレータ骨組据付用仮設材、2 仮設構台、3 柱材、4 梁材、5、17 仮設車輪、6 仮設レール、7 ターンバックル、8 中間仮設補強梁、9 ウインチ、10 ロープ、11 エスカレータ下部仮設構台、12 エスカレータ上部仮設構台、13 主柱材、14 補強柱材、15 走行コンベア、16 ステップ、18 仮設レール(仮設構台繋ぎ梁)、19 孔付きプレート、20 既設エスカレータ骨組、21 骨組側面トラス(既設)、22 骨組底面トラス(既設)、23 トラス補強梁(既設)、24 つなぎ材、25 ブレース材、30 新設エスカレータ骨組、31 骨組側面トラス(新設)、32 骨組底面トラス(新設)、33 トラス補強梁(新設)、39 縦材、40 エスカレータ骨組。
【技術分野】
【0001】
本発明は、エスカレータ骨組据付用仮設材、及びエスカレータ骨組据付用仮設材による架設方法に係り、特に、既設エスカレータを新設エスカレータに切り替える工事に用いられるエスカレータ骨組据付用仮設材、及びそのエスカレータ骨組据付用仮設材による架設方法に関する。
【背景技術】
【0002】
所定の期間が経過したエスカレータは撤去され、新設のエスカレータに切り替える工事が行われる。このエスカレータの切替工事は屋内で行われる場合が多く、その場合には施工上の制約が発生する。例えば、駅の構内に設置されているエスカレータでは、エスカレータ周囲の店舗、自動販売機等の営業を停止せずに新設のエスカレータを据え付けなければならない場合がある。従って、駅の構内に持ち込み可能な軽微な器具や治具により施工する必要がある。また、建物の仕上材と取り合うエスカレータの外装を撤去せずに新設のエスカレータを据え付けることが望ましい。これにより、建物の仕上材をそのまま生かすことが可能となる。また、既設及び新設エスカレータの部品を駅の構内の天井から吊下げずに施工しなければならない場合がある。これは、エスカレータの設置位置の直上に、揚重に耐え得る梁がない場合があるからである。
【0003】
図10にエスカレータ骨組40の側面図を示す。また、図11に図10のA−A断面を示す。エスカレータの撤去新設工事において、施工上最も上記制約に関係するのがこのエスカレータ骨組40である。このエスカレータ骨組40は一般的にエスカレータトラスともいわれている。既設エスカレータ骨組20は、2列の骨組側面トラス21と、その骨組側面トラス21の底部相互を繋ぐ骨組底面トラス22と、それらを補強するトラス補強梁23とから構成される。このトラス補強梁23は、一般に「ボクシング・メンバー」といわれ、図10の骨組側面トラス21の弦材に直交する部材の中間位置に取り付けられる。骨組側面トラス21と骨組底面トラス22とによる柔なフレームを、ボックス状(箱状)に閉じることで剛なフレームとする役目を有する。
【0004】
このエスカレータの撤去新設工事の施工法として、いわゆる「トラス・イン・トラス」工法がある。これは、既設エスカレータの骨組側面トラス21の間隔が、新設エスカレータの骨組側面トラスの間隔よりも大きい場合に採用される。すなわち、既設エスカレータ骨組20の内部に新設エスカレータ骨組を走行させ、既設エスカレータ骨組20とともに設置させる工法である。この工法によると、既設エスカレータの外装を撤去せずに新設エスカレータを据え付けることが可能となり、建物の仕上工事が発生しないというメリットがある。
【0005】
この「トラス・イン・トラス」工法は、旧式のエスカレータの手摺の下部の欄干の幅が最新のエスカレータの欄干の幅よりも厚く、ステップ(踏板)の幅は同じであっても、旧式のエスカレータの骨組側面トラスの幅が最新のエスカレータの骨組側面トラスの幅よりも広いため成立する。
【0006】
既設エスカレータを新設エスカレータに切り替える工事の施工法としては、一般に既設エスカレータ上に大掛かりな構台を設け、既設エスカレータ骨組をワイヤーで吊るして撤去し、新設エスカレータ骨組をワイヤーで吊るして落とし込む方法が採用されている。
【0007】
一方、特許文献1には、エスカレータを吊りワイヤーにより吊り上げて所定の位置に設置する工法が開示されている。また、特許文献2には、エスカレータの上部昇降口に揚重装置を設け、エスカレータトラスを分割してエスカレータ設置面に移動させる工法が開示されている。
【0008】
【特許文献1】特開2005−298189号公報
【特許文献2】特開平8−26643号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
「トラス・イン・トラス」工法を採用した場合、新設エスカレータ骨組を既設エスカレータ骨組内に走行させ設置させるためには、既設エスカレータのトラス補強梁を撤去する必要がある。つまり、このトラス補強梁が、新設エスカレータ骨組の走行の妨げになるからである。しかし、このトラス補強梁を溶断等により撤去すると、上述したように、骨組側面トラスと骨組底面トラスとによる柔なフレームとなり、骨組側面トラスは外側に変形し、骨組底面トラスの中央部は上向きに変形する。さらに、このフレーム上に新設エスカレータを走行させると、過大な変形が生じる虞がある。
【0010】
骨組側面トラスや骨組底面トラスは、この過大な強制変形により塑性化し、塑性化域が永久変形をする可能性がある。また、骨組側面トラスや骨組底面トラスの接合部のボルトが抉られて切断したり、溶接部が破断したりするという事故が発生する危険がある。さらに、骨組側面トラスと骨組底面トラスとの過大な変形により、それらに取り付いている建物側の仕上材が損傷する虞がある。
【0011】
本願の目的は、かかる課題を解決し、既設エスカレータ骨組内に新設エスカレータ骨組を走行させる際に、既設エスカレータ骨組を補強しつつ安全に据え付けるエスカレータ骨組据付用仮設材、及びエスカレータ骨組据付用仮設材による架設方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本発明に係るエスカレータ骨組据付用仮設材は、既設エスカレータを新設エスカレータに切り替える工事に用いられるエスカレータ骨組据付用仮設材であって、エスカレータの骨組内側の部品と、複数の骨組側面トラス、及びその骨組側面トラスの底部相互を繋ぐ骨組底面トラスからなるフレームを補強するトラス補強梁と、が撤去された既設エスカレータの骨組内部に、分割された新設エスカレータ骨組を走行させる仮設レールと、分割された新設エスカレータ骨組ごとに設けられ、仮設レール上を走行する仮設車輪と、既設エスカレータの骨組側面トラスの上部に設けられ、複数の柱材と、その柱材同士を繋ぐ梁材とからなり、梁材に取付けられた治具により、分割された新設エスカレータ骨組を吊る複数の仮設構台とを備え、仮設構台はトラス補強梁が撤去された既設エスカレータ骨組の補強を兼ねることを特徴とする。
【0013】
また、エスカレータ骨組据付用仮設材は、仮設レールが、既設エスカレータの骨組底面トラス上に設置され、新設エスカレータ骨組の下部に設けられた車輪を走行させることが好ましい。
【0014】
また、エスカレータ骨組据付用仮設材は、仮設レールが、複数の仮設構台の梁材相互を繋いで設置され、新設エスカレータ骨組の上部に設けられた車輪を走行させることが好ましい。
【0015】
また、エスカレータ骨組据付用仮設材は、複数の仮設構台の柱材の中間部同士を繋ぎ、既設エスカレータ骨組を補強する着脱可能な中間仮設補強材を有することが好ましい。
【0016】
また、本発明に係るエスカレータ骨組据付用仮設材による架設方法は、既設エスカレータを新設エスカレータに切り替える工事に用いられるエスカレータ骨組据付用仮設材による架設方法であって、エスカレータの骨組内側の部品と、複数の骨組側面トラス、及びその骨組側面トラスの底部相互を繋ぐ骨組底面トラスからなるフレームを補強するトラス補強梁と、が撤去された既設エスカレータの骨組内部に仮設レールを設け、既設エスカレータの骨組側面トラスの上部に、複数の柱材と、その柱材同士を繋ぐ梁材とからなり、トラス補強梁が撤去された既設エスカレータ骨組の補強を兼ねる複数の仮設構台を設け、分割された新設エスカレータ骨組のそれぞれに仮設車輪を設ける工程と、梁材に取付けられた治具を用い、分割された新設エスカレータ骨組を吊り、仮設レールを用いて分割された新設エスカレータ骨組を既設エスカレータの骨組内部に走行させ、所定の位置に設置する工程と、仮設レールと、複数の仮設構台と、仮設車輪とを撤去する工程と、を備えることを特徴とする。
【0017】
また、エスカレータ骨組据付用仮設材による架設方法は、仮設レールが、既設エスカレータの骨組底面トラス上に設置され、新設エスカレータ骨組の下部に設けられた車輪を走行させることが好ましい。
【0018】
また、エスカレータ骨組据付用仮設材による架設方法は、仮設レールが、仮設構台の梁材相互を繋いで設置され、新設エスカレータ骨組の上部に設けられた車輪を走行させることが好ましい。
【0019】
さらに、エスカレータ骨組据付用仮設材による架設方法は、仮設構台の柱材の中間部同士を繋ぎ、既設エスカレータ骨組を補強する着脱可能な中間仮設補強材を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
上記構成により、エスカレータ骨組据付用仮設材は、骨組側面トラスや骨組底面トラスが過大な変形により塑性化して永久変形が発生することを防止できる。また、骨組側面トラスや骨組底面トラスの接合部のボルトが抉られて切断したり、溶接部が破断したりするという事故を防止することが可能となる。そして、骨組側面トラスと骨組底面トラスとの過大な変形による建物側の仕上材の損傷を防止することが可能となる。
【0021】
また、上記構成により、エスカレータ骨組据付用仮設材による架設方法は、骨組側面トラスや骨組底面トラスが過大な変形により塑性化して永久変形が発生することを防止できる。また、骨組側面トラスや骨組底面トラスの接合部のボルトが抉られて切断したり、溶接部が破断したりするという事故を防止することが可能となる。そして、骨組側面トラスと骨組底面トラスとの過大な変形による建物側の仕上材の損傷を防止することが可能となる。
【0022】
以上のように、本発明に係るエスカレータ骨組据付用仮設材、及びエスカレータ骨組据付用仮設材による架設方法によれば、既設エスカレータの骨組内に新設エスカレータ骨組を走行させる際に、既設エスカレータ骨組を補強しつつ安全に据え付けることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下に、図面を用いて本発明に係るエスカレータ骨組据付用仮設材の実施形態につき、詳細に説明する。
【0024】
図1に、既設エスカレータ骨組20の内部に新設エスカレータ骨組30を引き上げる「トラス・イン・トラス」工法の概要を示す。図1は、既設エスカレータ骨組20を側面から見た図である。新設エスカレータ骨組30は、引き上げ作業に適した重量及び長さを有するユニットに分割される。このユニットの重量は最大で2.5トン程度となる。図1では新設エスカレータ骨組30の1つのユニットのみを示す。実線で示した新設エスカレータ骨組30は、引き上げ前の状態を示し、破線で示した新設エスカレータ骨組30は、引き上げ途中の状態を示す。
【0025】
既設エスカレータ骨組20の骨組側面トラス21上には、仮設構台2が設置される。また、エスカレータ下部には、エスカレータ下部仮設構台11が、エスカレータ上部には、エスカレータ上部仮設構台12が、それぞれ設置される。さらに、既設エスカレータ骨組20の骨組側面トラス21上には、図1中に破線で示す仮設レール6が設けられる。また、新設エスカレータ骨組30の下部には仮設車輪5が取付けられ、この仮設車輪5は仮設レール6上を走行する。エスカレータ上部仮設構台12に設けられたウインチ9によりロープ10が巻き上げられ、新設エスカレータ骨組30が引き上げられ、所定の位置に設置される。仮設構台2には、新設エスカレータ骨組30を吊るためにウインチ(図示せず)が設置される。
【0026】
図2を用いて、本発明に係るエスカレータ骨組据付用仮設材1の概略構成を示す。図2は、図1のA−A断面を示す。骨組側面トラス21及び骨組底面トラス22からなる既設エスカレータ骨組20の内部に、骨組側面トラス31及び骨組底面トラス32からなる新設エスカレータ骨組30が走行する。ここで、エスカレータ骨組据付用仮設材1は、複数の仮設構台2、仮設レール6及び仮設車輪5から構成される。
【0027】
仮設構台2は、柱材3及び梁材4から構成され、門型のフレームを構成する。図3には仮設構台2の拡大した側面を示す。本実施形態では、仮設構台2の柱材3は、主柱材13及び補強柱材14から構成される。ここで、主柱材13は、新設エスカレータ骨組30のユニットを吊る際に、その荷重方向に向くように略鉛直方向に取り付けられる。しかし、新設エスカレータ骨組30のユニットが左右に振れる場合に、骨組側面トラス21に取り付けるボルトがこじれる可能性がある。そこで斜材である補強柱材14により主柱材13を支持する。これにより、仮設構台2は安全な仮設材となる。
【0028】
仮設レール6は、図2に示すように、既設エスカレータ骨組20の骨組底面トラス22上に取付けられ、既設エスカレータ骨組20のうち据付工事に必要な全長にわたって取り付けられる。本実施形態では、仮設レール6はチャンネル材の刃を上向きに向けて取付けられる。このチャンネル材の2枚の刃の間に仮設車輪5を乗せることにより、仮設車輪5は安定した走行が可能となる。この仮設レール6は、チャンネル材に限らず、例えば、プレートをコの字状に溶接した組み立て部材のように仮設車輪5がその上を走行可能なものであれば良い。
【0029】
仮設車輪5は、新設エスカレータ骨組30のユニットごとに取付けられる。この仮設車輪5は、新設エスカレータ骨組30のユニットを走行させるローラ状のものであれば、例えばコロのようなものでも良い。また、新設エスカレータ骨組30のユニットを車輪付きの台車の上に乗せて走行させても良い。さらに、仮設レール6が三角形状であり、その山の上に、底部が逆三角形である仮設車輪5が乗る組合せであっても良い。
【0030】
既設エスカレータ骨組20には、もともとトラス補強梁23が取り付けられている。トラス補強梁23は、図10の骨組側面トラス21の弦材に直交する部材の中間位置に取り付けられる。図4に一般的なトラス補強梁23の概要をエスカレータの断面により示す。図4に示すように、トラス補強梁23は、ステップ16を移動させる走行コンベア15の上面(往路)と下面(復路)の間に設けられる。既設エスカレータ骨組20を構成する骨組側面トラス21及び骨組底面トラス22は、コの字型のフレームであり、骨組側面トラス21の中間部にトラス補強梁23を取付けることにより、箱型のフレームとなり安定する。さらに、トラス補強梁23を走行コンベア15の上面(往路)と下面(復路)の間の位置に設けることで、走行コンベア15により発生する振動を効果的に抑え、フレームに発生する変形を低減することができる。
【0031】
既設エスカレータ骨組20の内部に新設エスカレータ骨組30を引き上げる「トラス・イン・トラス」工法の場合には、このトラス補強梁23を撤去しなければ新設エスカレータ骨組30が走行することができない。図5にトラス補強梁23を撤去した既設エスカレータ骨組20を示す。新設エスカレータ骨組30のユニットの重量が仮設車輪5に荷重Pとして積載されると、両側の骨組側面トラス21には変位δ1が、骨組底面トラス22の中央部には変位δ2が発生する。この骨組側面トラス21や骨組底面トラス22は、この変形が過大である場合には、変形により塑性化し、永久変形が発生する可能性がある。また、骨組側面トラス21や骨組底面トラス22の接合部のボルト(図示せず)が抉られて切断したり、溶接部が破断したりするという事故が発生する危険がある。さらに、骨組側面トラス21と骨組底面トラス22との過大な変形により、それらの外側に取り付いている建物側の仕上材が損傷する虞がある。この工法では、既設エスカレータ骨組20の内部に新設エスカレータ骨組30を設置した後には、建物側の既設の仕上材は既設エスカレータ骨組20に取り付いたまま使用するため、この損傷は回避しなければならない。
【0032】
図6に、図4のB−B断面図を示す。骨組底面トラス22は、つなぎ材24及びブレース材25から構成される。トラス補強梁23は、骨組側面トラス21の縦材39が取り付く位置でこの縦材39を連結する。このトラス補強梁23を撤去せずに新設エスカレータ骨組30を引き上げ、全ユニットを走行させ所定の位置に配置した後、トラス補強梁23を撤去し、所定の位置に引き下げることも可能ではあるが、新設エスカレータ骨組30の吊り位置が高くなり仮設構台2をより高くしなければならない。このことは、作業の危険性が増大することになる。トラス補強梁23は、あくまでも骨組側面トラス21間に発生する横方向の変形(図6中のδ3)及び骨組側面トラス21間の相対的なずれ(図6中のδ4)を抑える役割を有する。従って、仮設レール6をトラス補強梁23の上に設置した場合、本来トラス補強梁23が意図しない方向からの荷重を負担しなければならず、強度上の問題が発生する。このことから、仮設レール6をトラス補強梁23の上に設置することは作業上危険を伴うため好ましくない。
【0033】
本発明に係るエスカレータ骨組据付用仮設材1の他の実施形態を図7に示す。この実施形態では、仮設構台2の柱材3の中間部を繋ぐ中間仮設補強梁8を設置する。この中間仮設補強梁8は、本実施形態では、その端部に設けられた孔(図示せず)を、各仮設構台2の柱材3に取り付けられた孔付きプレート19の孔に合わせてピン(図示せず)により接合する。そして、中間仮設補強梁8に設けられたターンバックル7を回すことで、両側の骨組側面トラス21を引き寄せる。この中間仮設補強梁8により、骨組側面トラス21や骨組底面トラス22の変形をより効果的に抑えることができる。それにより、骨組側面トラス21や骨組底面トラス22が過大な変形により塑性化して永久変形が発生することを防止できる。また、骨組側面トラス21や骨組底面トラス22の接合部のボルトが抉られて切断したり、溶接部が破断したりするという事故を防止することが可能となる。そして、骨組側面トラス21と骨組底面トラス22との過大な変形による建物側の仕上材の損傷を防止することが可能となる。
【0034】
この中間仮設補強梁8の取り付け位置は、図7に示すように、施工上可能な限り骨組側面トラス21に接近した高さであり、新設エスカレータ骨組30と衝突しない位置とすることが好ましい。また、施工の際にこの中間仮設補強梁8が障害となる場合には簡単に取り外しができる接合方法が望ましい。本実施形態では、中間仮設補強梁8の端部を側面から当て、ピンで留める方式としたが、中間仮設補強梁8を骨組側面トラス21に止める方法であれば、例えば、中間仮設補強梁8を上部から落とし込み、ピンで留める方法であっても良い。
【0035】
本発明に係るエスカレータ骨組据付用仮設材1の他の実施形態を図8に示す。この実施形態では、仮設構台2の梁材4同士を仮設構台繋ぎ梁18により繋ぎ、仮設構台2をより安定化させる。そしてこの仮設構台繋ぎ梁18を仮設レール18として兼用する。すなわち、新設エスカレータ骨組30のユニットと連結した仮設車輪17をこの仮設レール18に取り付け、新設エスカレータ骨組30のユニットを吊るす。そして、エスカレータ上部仮設構台12に設置されたウインチ9によりユニットを引き上げ、仮設レール18から懸垂して吊られた新設エスカレータ骨組30のユニットを走行させる。このように仮設車輪17及び仮設レール18を仮設構台2に取り付けることで、本発明に係る仮設材をすべて一体として設置することや撤去することが可能となる。
【0036】
図9に、エスカレータ骨組据付用仮設材1による架設方法をフロー図で示す。このフロー図では、新設エスカレータ骨組30は、すでに各ユニットに分割されて製作されているものとする。
【0037】
まず、既設エスカレータの内部の部品を撤去する。これにより、既設エスカレータ骨組20が露出し、既設エスカレータ骨組20のトラス補強梁23を、例えば部材の溶断により撤去する(S1)。次に、エスカレータ骨組据付用仮設材1をそれぞれ設置する。すなわち、既設エスカレータ骨組20に仮設構台2を取り付ける(S2a)。この仮設構台2の設置には、エスカレータ下部仮設構台11及びエスカレータ上部仮設構台12の取り付けも含まれる。また、新設エスカレータ骨組30又は仮設構台2に仮設車輪5を取り付ける(S2b)。さらに、既設エスカレータ骨組20の骨組底面トラス22の上、又は仮設構台2に仮設レール6を取り付ける(S2c)。これ以外の準備作業、例えば、ウインチの取付け、ロープの取付け等、通常エスカレータ切替工事に必要とされる作業もこのステップ内に行われる。これらの作業はどのような順番で行っても良く、また同時に行っても良い。これらの作業が全て終了するとエスカレータ切替工事の事前準備が完了する。
【0038】
次に、仮設レール6上に仮設車輪5を乗せるか、又は吊るし、分割された新設エスカレータ骨組30のユニットを既設エスカレータ骨組20の内部に走行させる(S3)。このとき、仮設構台2により新設エスカレータ骨組30のユニットを引き上げ、エスカレータ上部仮設構台12に設置されたウインチ9により新設エスカレータ骨組30のユニットを既設エスカレータ骨組20の内部に走行させる。
【0039】
この作業を全ての新設エスカレータ骨組30のユニットについて順次行い、それぞれ所定の位置に設置する(S4及びS5)。次に仮設構台2を用いて全ての新設エスカレータ骨組30のユニットを引き上げ、仮設レール6及び仮設車輪5を撤去し、仮設構台2を全て撤去する(S6)。これにより、新設エスカレータ骨組30の据付が完了する。
【0040】
さらに、新設エスカレータ内部の部品を取り付けて仕上げを行い据付工事がすべて完了する。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】既設エスカレータ骨組の内部に新設エスカレータ骨組を引き上げる工法の概要を示す側面図である。
【図2】本発明に係るエスカレータ骨組据付用仮設材の概略構成を示す、図1のA−A断面図である。
【図3】仮設構台の拡大した側面図である。
【図4】一般的なトラス補強梁の概要を示すエスカレータの断面図である。
【図5】トラス補強梁を撤去した既設エスカレータ骨組を示す断面図である。
【図6】図4のB−B断面からみたトラス補強梁を示す平面図である。
【図7】エスカレータ骨組据付用仮設材1の他の実施形態である中間仮設補強梁の概要を示す断面図である。
【図8】エスカレータ骨組据付用仮設材1の他の実施形態の概要を示す断面図である。
【図9】エスカレータ骨組据付用仮設材による架設方法を示すフロー図である。
【図10】エスカレータの骨組を示す側面図である。
【図11】図10のA−A断面図である。
【符号の説明】
【0042】
1 エスカレータ骨組据付用仮設材、2 仮設構台、3 柱材、4 梁材、5、17 仮設車輪、6 仮設レール、7 ターンバックル、8 中間仮設補強梁、9 ウインチ、10 ロープ、11 エスカレータ下部仮設構台、12 エスカレータ上部仮設構台、13 主柱材、14 補強柱材、15 走行コンベア、16 ステップ、18 仮設レール(仮設構台繋ぎ梁)、19 孔付きプレート、20 既設エスカレータ骨組、21 骨組側面トラス(既設)、22 骨組底面トラス(既設)、23 トラス補強梁(既設)、24 つなぎ材、25 ブレース材、30 新設エスカレータ骨組、31 骨組側面トラス(新設)、32 骨組底面トラス(新設)、33 トラス補強梁(新設)、39 縦材、40 エスカレータ骨組。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
既設エスカレータを新設エスカレータに切り替える工事に用いられるエスカレータ骨組据付用仮設材であって、
エスカレータの骨組内側の部品と、複数の骨組側面トラス、及びその骨組側面トラスの底部相互を繋ぐ骨組底面トラスからなるフレームを補強するトラス補強梁と、が撤去された既設エスカレータの骨組内部に、分割された新設エスカレータ骨組を走行させる仮設レールと、
分割された新設エスカレータ骨組ごとに設けられ、仮設レール上を走行する仮設車輪と、
既設エスカレータの骨組側面トラスの上部に設けられ、複数の柱材と、その柱材同士を繋ぐ梁材とからなり、梁材に取付けられた治具により、分割された新設エスカレータ骨組を吊る複数の仮設構台と、を備え、
仮設構台はトラス補強梁が撤去された既設エスカレータ骨組の補強を兼ねることを特徴とするエスカレータ骨組据付用仮設材。
【請求項2】
請求項1に記載のエスカレータ骨組据付用仮設材において、仮設レールは、既設エスカレータの骨組底面トラス上に設置され、新設エスカレータ骨組の下部に設けられた車輪を走行させることを特徴とするエスカレータ骨組据付用仮設材。
【請求項3】
請求項1に記載のエスカレータ骨組据付用仮設材において、仮設レールは、複数の仮設構台の梁材相互を繋いで設置され、新設エスカレータ骨組の上部に設けられた車輪を走行させることを特徴とするエスカレータ骨組据付用仮設材。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1に記載のエスカレータ骨組据付用仮設材において、複数の仮設構台の柱材の中間部同士を繋ぎ、既設エスカレータ骨組を補強する着脱可能な中間仮設補強材を有することを特徴とするエスカレータ骨組据付用仮設材。
【請求項5】
既設エスカレータを新設エスカレータに切り替える工事に用いられるエスカレータ骨組据付用仮設材による架設方法であって、
エスカレータの骨組内側の部品と、複数の骨組側面トラス、及びその骨組側面トラスの底部相互を繋ぐ骨組底面トラスからなるフレームを補強するトラス補強梁と、が撤去された既設エスカレータの骨組内部に仮設レールを設け、既設エスカレータの骨組側面トラスの上部に、複数の柱材と、その柱材同士を繋ぐ梁材とからなり、トラス補強梁が撤去された既設エスカレータ骨組の補強を兼ねる複数の仮設構台を設け、分割された新設エスカレータ骨組のそれぞれに仮設車輪を設ける工程と、
梁材に取付けられた治具を用い、分割された新設エスカレータ骨組を吊り、仮設レールを用いて分割された新設エスカレータ骨組を既設エスカレータの骨組内部に走行させ、所定の位置に設置する工程と、
仮設レールと、複数の仮設構台と、仮設車輪とを撤去する工程と、
を備えることを特徴とするエスカレータ骨組据付用仮設材による架設方法。
【請求項6】
請求項5に記載のエスカレータ骨組据付用仮設材による架設方法において、仮設レールは、既設エスカレータの骨組底面トラス上に設置され、新設エスカレータ骨組の下部に設けられた車輪を走行させることを特徴とするエスカレータ骨組据付用仮設材による架設方法。
【請求項7】
請求項5に記載のエスカレータ骨組据付用仮設材による架設方法において、仮設レールは、仮設構台の梁材相互を繋いで設置され、新設エスカレータ骨組の上部に設けられた車輪を走行させることを特徴とするエスカレータ骨組据付用仮設材による架設方法。
【請求項8】
請求項5乃至7のいずれか1に記載のエスカレータ骨組据付用仮設材による架設方法において、仮設構台の柱材の中間部同士を繋ぎ、既設エスカレータ骨組を補強する着脱可能な中間仮設補強材を有することを特徴とするエスカレータ骨組据付用仮設材による架設方法。
【請求項1】
既設エスカレータを新設エスカレータに切り替える工事に用いられるエスカレータ骨組据付用仮設材であって、
エスカレータの骨組内側の部品と、複数の骨組側面トラス、及びその骨組側面トラスの底部相互を繋ぐ骨組底面トラスからなるフレームを補強するトラス補強梁と、が撤去された既設エスカレータの骨組内部に、分割された新設エスカレータ骨組を走行させる仮設レールと、
分割された新設エスカレータ骨組ごとに設けられ、仮設レール上を走行する仮設車輪と、
既設エスカレータの骨組側面トラスの上部に設けられ、複数の柱材と、その柱材同士を繋ぐ梁材とからなり、梁材に取付けられた治具により、分割された新設エスカレータ骨組を吊る複数の仮設構台と、を備え、
仮設構台はトラス補強梁が撤去された既設エスカレータ骨組の補強を兼ねることを特徴とするエスカレータ骨組据付用仮設材。
【請求項2】
請求項1に記載のエスカレータ骨組据付用仮設材において、仮設レールは、既設エスカレータの骨組底面トラス上に設置され、新設エスカレータ骨組の下部に設けられた車輪を走行させることを特徴とするエスカレータ骨組据付用仮設材。
【請求項3】
請求項1に記載のエスカレータ骨組据付用仮設材において、仮設レールは、複数の仮設構台の梁材相互を繋いで設置され、新設エスカレータ骨組の上部に設けられた車輪を走行させることを特徴とするエスカレータ骨組据付用仮設材。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1に記載のエスカレータ骨組据付用仮設材において、複数の仮設構台の柱材の中間部同士を繋ぎ、既設エスカレータ骨組を補強する着脱可能な中間仮設補強材を有することを特徴とするエスカレータ骨組据付用仮設材。
【請求項5】
既設エスカレータを新設エスカレータに切り替える工事に用いられるエスカレータ骨組据付用仮設材による架設方法であって、
エスカレータの骨組内側の部品と、複数の骨組側面トラス、及びその骨組側面トラスの底部相互を繋ぐ骨組底面トラスからなるフレームを補強するトラス補強梁と、が撤去された既設エスカレータの骨組内部に仮設レールを設け、既設エスカレータの骨組側面トラスの上部に、複数の柱材と、その柱材同士を繋ぐ梁材とからなり、トラス補強梁が撤去された既設エスカレータ骨組の補強を兼ねる複数の仮設構台を設け、分割された新設エスカレータ骨組のそれぞれに仮設車輪を設ける工程と、
梁材に取付けられた治具を用い、分割された新設エスカレータ骨組を吊り、仮設レールを用いて分割された新設エスカレータ骨組を既設エスカレータの骨組内部に走行させ、所定の位置に設置する工程と、
仮設レールと、複数の仮設構台と、仮設車輪とを撤去する工程と、
を備えることを特徴とするエスカレータ骨組据付用仮設材による架設方法。
【請求項6】
請求項5に記載のエスカレータ骨組据付用仮設材による架設方法において、仮設レールは、既設エスカレータの骨組底面トラス上に設置され、新設エスカレータ骨組の下部に設けられた車輪を走行させることを特徴とするエスカレータ骨組据付用仮設材による架設方法。
【請求項7】
請求項5に記載のエスカレータ骨組据付用仮設材による架設方法において、仮設レールは、仮設構台の梁材相互を繋いで設置され、新設エスカレータ骨組の上部に設けられた車輪を走行させることを特徴とするエスカレータ骨組据付用仮設材による架設方法。
【請求項8】
請求項5乃至7のいずれか1に記載のエスカレータ骨組据付用仮設材による架設方法において、仮設構台の柱材の中間部同士を繋ぎ、既設エスカレータ骨組を補強する着脱可能な中間仮設補強材を有することを特徴とするエスカレータ骨組据付用仮設材による架設方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−179435(P2008−179435A)
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−13146(P2007−13146)
【出願日】平成19年1月23日(2007.1.23)
【出願人】(000236056)三菱電機ビルテクノサービス株式会社 (1,792)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年1月23日(2007.1.23)
【出願人】(000236056)三菱電機ビルテクノサービス株式会社 (1,792)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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