説明

エチレン−酢酸ビニル系共重合体組成物及びそれを用いた硬化物

【課題】接着性に優れた接着剤となるエチレン−酢酸ビニル系共重合体組成物を提供する。
【解決手段】酢酸ビニル残基単位が15〜70重量%、MFRが50〜10000g/10分であるエチレン−酢酸ビニル系共重合体、及び有機溶剤を含有するエチレン−酢酸ビニル系共重合体組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接着性に優れた硬化物となるエチレン−酢酸ビニル系共重合体組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
2液性接着剤は、色々な材料を簡単に接着できることから広く利用されている。一般に、2液性接着剤はポリオール成分等を含む主剤、イソシアネート化合物等の硬化剤の2種から構成され、主剤はポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール等のポリオールと有機溶剤を主成分とし、2液性接着剤の性能は主剤成分に大きく依存する。
【0003】
主剤成分にポリプロピレングリコール等のポリエーテル系ポリオールを使用した2液性接着剤は、耐湿熱性に優れるものの120℃を越える高温下では熱劣化してしまうと言う課題を有している。また、主剤成分にポリエステル等のポリエステル系ポリオールを使用した2液性接着剤は、耐熱性に優れるものの耐湿熱性に劣るため高温高湿下で放置しておくと劣化してしまうと言う欠点を有している。そこで、これら課題を解決するため水添ポリブタジエンポリオール等を使用した2液性接着剤(例えば特許文献1参照。)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−26346号公報(特許請求の範囲参照。)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に提案された2液性接着剤は、耐久性の向上には一定の効果はあるもののイソシアネート化合物との混合性が悪いため接着性に課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定のエチレン−酢酸ビニル系共重合体及び有機溶剤からなるエチレン−酢酸ビニル系共重合体組成物を用いると接着性に優れた硬化物が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、下記(A)〜(B)を満足するエチレン−酢酸ビニル系共重合体及び有機溶剤を含有するエチレン−酢酸ビニル系共重合体組成物、及びそれを用いた硬化物に関するものである。
(A)JIS K6924−1(1997年版)に準拠して測定した酢酸ビニル残基単位が15〜70重量%
(B)JIS K6924−1(1997年版)に準拠して測定したメルトマスフローレート(以下、MFRと記す。) が50〜10000g/10分
以下、本発明を詳細に説明する。
【0008】
本発明のエチレン−酢酸ビニル系共重合体組成物は、下記(A)〜(B)を満足するエチレン−酢酸ビニル系共重合体及び有機溶剤を含有するものであれば特に制限は無い。
(A)JIS K6924−1(1997年版)に準拠して測定した酢酸ビニル残基単位が15〜70重量%
(B)JIS K6924−1(1997年版)に準拠して測定したMFR が50〜10000g/10分
本発明に用いるエチレン−酢酸ビニル系共重合体中の酢酸ビニル残基単位は15〜70重量%であり、特に接着性に優れることから酢酸ビニル残基単位が20〜50重量%、さらに20〜45重量%であるケン化エチレン−酢酸ビニル系共重合体が好ましい。15重量%未満では常温で有機溶剤に溶解しないことがあり、70重量%を超えると接着性が低下することがある。
【0009】
さらに、本発明に用いるエチレン−酢酸ビニル系共重合体は、MFRが50〜10000g/10分であり、60〜5000g/10分であることが好ましく、60〜2400g/10分が更に好ましい。MFRが50g/10分未満では粘度が高く加工性が悪化したり、エチレン−酢酸ビニル系共重合体組成物が常温で流動しないことがある。10000g/10分を超えると接着強度が劣る。
【0010】
また、本発明で用いるエチレン−酢酸ビニル系共重合体は、特に接着強度に優れる接着剤となることから、ビニルアルコール残基単位を0.01〜10モル%含むことが好ましく、0.1〜5.0モル%含むことが更に好ましい。
【0011】
該エチレン−酢酸ビニル系共重合体は、例えば高圧重合法、エマルジョン重合法、または溶液重合法により製造される。含むことが好ましいビニルアルコール残基単位は、例えばエチレン−酢酸ビニル系共重合体中の酢酸ビニル残基単位を加水分解し、ビニルアルコール残基単位にケン化することにより得ることができる。この際、例えば、高圧法により製造されたエチレン−酢酸ビニル系共重合体を加水分解する方法としては、水酸化ナトリウム等のアルカリ又は酸を触媒として加水分解反応を行う方法を挙げることができ、具体的には良溶媒にエチレン−酢酸ビニル系共重合体を溶解させて均一系で反応を行う均一ケン化法、メタノール、エタノールのような貧溶媒中でペレット又は粉体のまま不均一系で反応を行う不均一ケン化法等が挙げられる。
【0012】
本発明のエチレン−酢酸ビニル系共重合体組成物に用いる有機溶剤は特に制限は無く、沸点が30℃以上200℃以下の有機溶剤が好ましく、40℃以上150℃以下が更に好ましい。
【0013】
本発明で用いる有機溶剤としては、例えばトルエン、キシレン等の芳香族系有機溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系有機溶剤、メチルエチルケトン等のケトン系有機溶剤、塩化メチレン等の塩素系有機溶剤、テトラヒドロフラン等のエーテル系有機溶剤を挙げることができ、これらは単独で用いてもよいし、2種以上用いてもよい。そして、加工性に優れる接着剤が得られることから、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、塩化メチレンが好ましく、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトンが特に好ましい。
【0014】
本発明のエチレン−酢酸ビニル系共重合体組成物は、エチレン−酢酸ビニル系共重合体と有機溶剤を各々1〜80重量部、99〜20重量部含有することが好ましく、更に各々5〜75重量部、95〜25重量部含有することが好ましく、各々15〜50重量部、85〜50重量部含有することが最も好ましい。但し、エチレン−酢酸ビニル系共重合体と有機溶剤の合計は100重量部である。この含有割合であると、接着性能、加工性に優れる。
【0015】
本発明のエチレン−酢酸ビニル系共重合体組成物は、速乾性を高めるために反応触媒を更に含有することが好ましい。ここで、反応触媒とは、速乾性を高める作用を有するものである。該反応触媒としては、特に限定は無く公知のものを用いることができ、例えばトリエチルアミン、トリエチレンジアミン、N−メチルモルホリン等のアミン系触媒、テトラメチル錫、テトラオクチル錫、ジメチルジオクチル錫、トリエチル錫塩化物、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート等の錫系触媒、トリブチルフォスフィン、トリフェニルフォスフィン等のリン系触媒、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ナトリウム等の炭素原子数が10以上であるモノカルボン酸および/またはジカルボン酸類の元素周期律表より選ばれる1族または2族の金属塩系触媒等が挙げられ、これらの1種または2種以上が使用できる。中でも触媒活性が高いことからジブチル錫ジラウレートが好適に使用される。
【0016】
また、含有することが好ましい反応触媒の含有量としては、得られる接着剤の速乾性が向上することから、エチレン−酢酸ビニル系共重合体と有機溶剤の合計100重量部に対して0.0001〜3重量部添加することが好ましく、0.0005〜1重量部がさらに好ましく、0.001〜0.5重量部が特に好ましい。
【0017】
また、本発明のエチレン−酢酸ビニル系共重合体組成物は、耐久性に優れることから、カルボジイミド化合物を含有することが好ましい。該カルボジイミド化合物としては、分子内に1個以上のカルボジイミド基を有する化合物であれば如何なるものでもよく、例えばN,N’−ジイソプロピルカルボジイミド、N,N’−ジ(o−トルイル)カルボジイミド、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド、N,N’−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)カルボジイミド等の一官能性カルボジイミド化合物;p−フェニレン−ビス(2,6−キシリルカルボジイミド)、p−フェニレン−ビス(t−ブチルカルボジイミド)、p−フェニレン−ビス(メシチルカルボジイミド)、テトラメチレン−ビス(t−ブチルカルボジイミド)、シクロヘキサン−1,4−ビス(メチレン−t−ブチルカルボジイミド)等の二官能性カルボジイミド化合物;多官能性カルボジイミド化合物等が挙げられ、その中でも多官能性カルボジイミド化合物が好ましい。該一官能性カルボジイミド化合物としては、例えば(商品名)スタバクゾールI(RheinChemie社製)、該多官能性カルボジイミド化合物としては、例えば(商品名)エラストスタブH01(日清紡社製)、(商品名)スタバクゾールP(RheinChemie社製)、(商品名)スタバクゾールP−400(RheinChemie社製)等の商品名で一般的に知られているカルボジイミド化合物が挙げられる。これらのカルボジイミド化合物は1種又は2種以上が使用できる。また、含有することが好ましいカルボジイミド化合物の含有量としては、得られる接着剤の耐久性が向上することから、エチレン−酢酸ビニル系共重合体と有機溶剤の合計100重量部に対して0.001〜5.0重量部添加することが好ましく、0.005〜3.0重量部がさらに好ましく、0.01〜2.0重量部が特に好ましい。
【0018】
本発明のエチレン−酢酸ビニル系共重合体組成物を製造するには、特に制限は無く公知の方法を用いることができ、例えばエチレン−酢酸ビニル系共重合体、及び有機溶剤を室温混合する方法、加熱混合する方法等が挙げられ、溶解が早いことから加熱混合する方法が好ましく用いられる。加熱混合する際の温度は30〜150℃が好ましく、特に好ましくは50〜110℃である。
【0019】
本発明のエチレン−酢酸ビニル系共重合体組成物は硬化剤を反応させることにより硬化物が得られる。硬化剤に特に制限は無く、本発明のエチレン−酢酸ビニル系共重合体組成物を硬化することができるものであれば如何なるものを用いることもできる。
【0020】
本発明で用いる硬化剤は接着強度に優れる接着剤が得られることから2官能以上であることが好ましい。
【0021】
硬化剤としては、例えばイソシアネート化合物、エポキシ化合物等が挙げられ、イソシアネート化合物及び/又はエポキシ化合物が好ましく用いられる。
【0022】
イソシアネート化合物としては、例えば芳香族イソシアネート化合物、脂肪族イソシアネート化合物、脂環族イソシアネート化合物、及びこれらのポリイソシアネート誘導体などが挙げられる。
【0023】
芳香族イソシアネート化合物としては、例えばトリレンジイソシアネート(2,4−または2,6−トリレンジイソシアネートもしくはその混合物)(TDI)、フェニレンジイソシアネート(m−、p−フェニレンジイソシアネートもしくはその混合物)、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシネート(4,4’−、2,4’−、または2,2’−ジフェニルメタンジイソシネートもしくはその混合物)(MDI)、4,4’−トルイジンジイソシアネート(TODI)、4,4′−ジフェニルエーテルジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(1,3−または1,4−キシリレンジイソシアネートもしくはその混合物)(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(1,3−または1,4−テトラメチルキシリレンジイソシアネートもしくはその混合物)(TMXDI)、ω,ω′−ジイソシアネート−1,4−ジエチルベンゼン、ナフタレンジイソシアネート(1,5−、1,4−又は1,8−ナフタレンジイソシアネートもしくはその混合物)(NDI)、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオホスフェート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート、ニトロジフェニル−4,4′−ジイソシアネート、2,2′−ジフェニルプロパン−4,4′−ジイソシアネート、3,3′−ジメチルジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、4,4′−ジフェニルプロパンジイソシアネート、3,3′−ジメトキシジフェニル−4,4′−ジイソシアネート、等が挙げられる。
【0024】
脂肪族イソシアネート化合物としては、例えばトリメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、ブチレンジイソシアネート(テトラメチレンジイソシアネート、1,2−ブチレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート)、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシネート、2,6−ジイソシアネートメチルカプエート、リジンジイソシアネート、リジンエステルトリイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート等が挙げられる。
脂環族ジイソシアネートとしては、例えば単環式脂環族ジイソシアネート、架橋環式脂環族ジイソシアネートが挙げられる。
【0025】
単環式脂環族ジイソシアネートとしては、例えば1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,3−シクロペンテンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート(1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート)、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、IPDI)、メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)(4,4′−、2,4′−又は2,2′−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)もしくはこれらの混合物)(水添MDI)、メチルシクロヘキサンジイソシアネート(メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート)、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン(1,3−または1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサンもしくはその混合物)(水添XDI)、ダイマー酸ジイソシアネート、トランスシクロヘキサン1,4−ジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート(水添TDI)、水素添加テトラメチルキシリレンジイソシアネート(水添TMXDI)等を挙げることができる。
【0026】
架橋環式脂環族ジイソシアネートとしては、例えばノルボルネンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネートメチル、ビシクロヘプタントリイソシアネート、ジイソシアナートメチルビシクロヘプタン、ジ(イソシアナートメチル)トリシクロデカン等が挙げられる。
これらのポリイソシアネート誘導体としては、例えば、上記イソシアネート化合物の多量体(2量体、3量体、5量体、7量体、ウレチジンジオン、ウレイトンイミン、イソシヌレート変性体、ポリカルボジイミド等)、ウレタン変性体(例えば、上記イソシアネート化合物又は多量体におけるイソシアネート基の一部をモノオールやポリオールで変性又は反応したウレタン変性体など)、ビウレット変性体(例えば、上記イソシアネート化合物と水との反応により生成するビウレット変性体など)、アロファネート変性体(例えば、上記イソシアネート化合物と、モノオール又はポリオール成分との反応より生成するアロファネート変性体など)、ウレア変性体(例えば、上記イソシアネート化合物とジアミンとの反応により生成するウレア変性体など)、オキサジアジントリオン(例えば、上記イソシアネート化合物と炭酸ガス等との反応により生成するオキサジアジントリオンなど)などを挙げることができる。
これらの誘導体のうち、3官能以上のイソシアネート基を形成できる誘導体、例えば、3個以上の活性水素原子を有する成分と上記イソシアネート化合物とのアダクト体が好ましい。3個以上の活性水素原子を有する成分としては、3官能以上のポリオール、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ソルビトールなどのC3−12脂肪族ポリオールなどが挙げられる。なお、このようなアダクト体は、未反応モノマーの含有量が少ないアダクト体が好ましい。未反応モノマー含有量の少ないアダクト体は、反応生成物を慣用の分離精製方法、例えば、薄膜蒸留や抽出などを用いて製造できる。アダクト体のイソシアネート含量は、例えば、1〜30重量%、好ましくは3〜25重量%、さらに好ましくは5〜20重量%程度である。
【0027】
上記のイソシアネート化合物は単独で用いてもよいし、2種以上で用いてもよい。
【0028】
具体的商品としては、「コロネートL」、「コロネートHL」、「コロネート2030」、「コロネート2031」、「ミリオネートMR」、「ミリオネートMTL」(商品名、日本ポリウレタン株式会社製)、「タケネートD−102」、「タケネートD−110N」、「タケネートD−200」、「タケネートD−202」、「タケネート300S」、「タケネート500」(商品名、武田薬品株式会社製)、「スミジュールN3300」、「スミジュールT−80」、「スミジュール44S」、「スミジュールPF」、「スミジュールL」、「スミジュールN」、「デスモジュールL」、「デスモジュールIL」、「デスモジュールN」、「デスモジュールHL」、「デスモジュールT65」、「デスモジュール15」、「デスモジュールR」、「デスモジュールRF」、「デスモジュールSL」、「デスモジュールZ4273」(商品名、住化バイエルウレタン株式会社製)等が挙げられる。
【0029】
中でも、特に接着耐久性に優れる接着剤が得られることから、芳香族イソシアネート化合物が好ましく、特にジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、及びこれらイソシアネート化合物のアダクト体が好ましく、さらにジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート及び/またはトリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンのアダクト体が好ましい。
【0030】
イソシアネート化合物は、接着強度に優れる接着剤が得られることから3官能以上のイソシアネート化合物であることが好ましい。
【0031】
また、エポキシ化合物としては、例えばフェニルグリシジルエーテル、ラウリルグリシジルエーテル、フェノキシポリエチレングリコールグリシジルエーテル、安息香酸グリシジルエーテル等の一官能性エポキシ化合物;テレフタル酸ジグリシジルエステル、イソフタル酸ジグリシジルエステル、フタル酸ジグリシジルエステル、p−フェニレンジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエステル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、2,2−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)プロパン、ビスフェノールA型エポキシ樹脂等のエポキシ化合物等が挙げられ、その中でも二官能以上のエポキシ化合物が好ましく、特に2,2−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)プロパンが好ましい。
【0032】
これらは1種又は2種以上が使用できる。
【0033】
また、硬化剤は単独でも、溶液として用いることも可能であり、例えば硬化剤と有機溶剤とからなる溶液、硬化剤と水とからなる水溶液,懸濁液、液状硬化剤等を挙げることができ、その中でも加工性に優れる接着剤が得られることから硬化剤と有機溶剤とからなる溶液であることが好ましい。
【0034】
硬化剤と有機溶剤とからなる溶液を硬化剤として使用する際の有機溶剤としては、例えばトルエン、キシレン等の芳香族系有機溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系有機溶剤、メチルエチルケトン等のケトン系有機溶剤、塩化メチレン等の塩素系有機溶剤、テトラヒドロフラン等のエーテル系有機溶剤を挙げることができ、これらは単独で用いてもよいし、2種以上用いてもよい。そして、加工性に優れる接着剤が得られることから、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、塩化メチレンが好ましく、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトンが特に好ましい。
【0035】
硬化剤と有機溶剤とからなる溶液を硬化剤として使用する際の硬化剤の濃度は、加工性に優れる接着剤が得られることから1〜90重量%が好ましく、10〜75重量%が更に好ましい。
【0036】
硬化剤と有機溶剤とからなる溶液を硬化剤として使用する際の混合方法に特に制限は無く公知の方法を用いることができ、例えばイソシアネート化合物、有機溶剤を室温混合する方法、加熱混合する方法等が挙げられ、室温混合する方法が好ましく用いられる。
【0037】
本発明の硬化物は、本発明のエチレン−酢酸ビニル系共重合体組成物と該硬化剤を混合して反応させることにより得られ、その配合比は硬化物になれば特に制限は無く、特に接着性に優れる硬化物が得られることから、エチレン−酢酸ビニル系共重合体と有機溶剤の合計100重量部に対し、硬化剤は0.01〜150重量部であることが好ましく、0.1〜100重量部であることがさらに好ましく、0.1〜50重量部であることが特に好ましい。
【0038】
そして、これらを混合配合する方法に特に制限は無く公知の方法を用いることができ、例えばエチレン−酢酸ビニル系共重合体組成物と硬化剤を室温混合する方法、加熱混合する方法等が挙げられ、室温混合する方法が好ましく用いられる。
【0039】
さらに、本発明のチレン−酢酸ビニル系共重合体組成物は、着色を抑制できることから酸化防止剤を含むことが好ましく、該酸化防止剤としては、何ら制限はなく、例えばフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、ラクトン系酸化防止剤、ビタミンE系酸化防止剤等が挙げられる。これらの酸化防止剤は、より大きな効果を発現するために2種以上を併用して用いることができる。また、添加することが好ましい酸化防止剤の配合量としては、着色を抑制できることから、エチレン−酢酸ビニル系共重合体と有機溶剤の合計100重量部に対して0.001〜1.0重量部添加することが好ましく、0.001〜0.5重量部がさらに好ましく、0.001〜0.1重量部が特に好ましい。
【0040】
そして、これらの酸化防止剤の中でも、着色を抑制する効果が大きいことから、フェノール系酸化防止剤である2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、ペンタエリスリトールテトラキス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)が好ましい。
【0041】
本発明のエチレン−酢酸ビニル系共重合体組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で各種添加剤を含有していても良い。各種添加剤としては、例えば、染料、有機顔料、無機顔料、無機補強剤、可塑剤、アクリル加工助剤等の加工助剤、紫外線吸収剤、光安定剤、滑剤、ワックス、結晶核剤、可塑剤、離型剤、加水分解防止剤、アンチブロッキング剤、帯電防止剤、防曇剤、防徽剤、防錆剤、イオントラップ剤、難燃剤、難燃助剤、無機充填材、有機充填材等を挙げることができる。
【0042】
本発明のエチレン−酢酸ビニル系共重合体組成物は、例えば樹脂フィルム、発泡体、布、不織布、合成繊維、合成皮革、皮革、金属、金属酸化物、ゴム、熱可塑性エラストマー、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、紙、木材、ガラス、石材、陶器、磁器を貼り合せるのに有用で有り、樹脂フィルム、シート、成形体、発泡体のラミネート接着等の接着に特に有用である。
【0043】
本発明のエチレン−酢酸ビニル系共重合体組成物は、例えば、レジャーシート、テント、ビニールハウス、ベランダ用シート、雨合羽、雨傘、幌、防水布、自動車用カバーシート、建築用カバーシート、太陽電池バックシート等屋外環境で使用される屋外用積層体の接着に好適に用いられる。また、バリアフィルム、レトルト等の食品、飲料、医薬品および医薬部外品などの各種の産業分野における包装用積層体の接着にも好適に用いられる。
【発明の効果】
【0044】
本発明のエチレン−酢酸ビニル系共重合体組成物は、接着性に優れており、様々な分野で有用である。
【実施例】
【0045】
以下に実施例に基づき本発明をさらに詳しく説明するが、これらは本発明の理解を助けるための例であって本発明はこれらの実施例により何等の制限を受けるものではない。尚、用いた試薬等は断りのない限り市販品を用いた。
【0046】
(試薬等)
実施例、比較例の中で用いた試薬等は、以下の略号を用いて表す。
【0047】
<エチレン−酢酸ビニル系共重合体>
EVA−1;ウルトラセン(登録商標)727(酢酸ビニル残基単位含量28重量%、MFR=2200g/10分)、東ソー株式会社製。
EVA−2;ウルトラセン(登録商標)760(酢酸ビニル残基単位含量42重量%、MFR=70g/10分)、東ソー株式会社製。
EVA−3;ウルトラセン(登録商標)726−2(酢酸ビニル残基単位含量33重量%、MFR=700g/10分)、東ソー株式会社製。
EVA−4;ウルトラセン(登録商標)750(酢酸ビニル残基単位含量32重量%、MFR=30g/10分)、東ソー株式会社製。
EVA−5;ウルトラセン(登録商標)8A56A(酢酸ビニル残基単位含量20重量%、MFR=30000g/10分)、東ソー株式会社製。
EVA−6;LEVAPREN(登録商標)800HV(酢酸ビニル残基単位含量80重量%)LANXESS社製。
EVA−7;ウルトラセン(登録商標)685(酢酸ビニル残基単位含量14重量%、MFR=2500g/10分)、東ソー株式会社製。
【0048】
<硬化剤>
1)イソシアネート化合物
イソシアネート化合物(A1);(商品名)コロネートL(トリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンからなるアダクト体の酢酸エチル溶液、イソシアネート含量13.4重量%)、日本ポリウレタン工業株式会社製。
イソシアネート化合物(A2);(商品名)コロネートHX(ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシヌレート変性体、イソシアネート含量21.0wt%)、日本ポリウレタン工業株式会社製。
2)エポキシ化合物
エポキシ化合物(E1);(商品名)エピコート828(2,2−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)プロパン)、ジャパンエポキシレジン(株)製
<カルボジイミド化合物>
カルボジイミド(C1);エラストスタブ(登録商標)H01、日清紡社製。
【0049】
<基材>
PET−1;ポリエチレンテレフタレートフィルム、メリネックス(登録商標)タイプS(厚み:100μm),帝人デュポンフィルム株式会社製。
【0050】
(物性試験法)
<接着強度>
試験片を25mm幅に切り出して、引張試験機((商品名)テンシロンRTE−1210、オリエンテック製)を用いてT型剥離強度を測定し、接着強度とした。
【0051】
実施例1
0.5リットルのセパラブルフラスコに、トルエンを80重量部、酢酸エチル5重量部、EVA−1を15重量部を入れ、撹拌しながら70℃に加温して1時間かけて溶解した後冷却し、エチレン−酢酸ビニル系共重合体組成物を得た。得られたエチレン−酢酸ビニル系共重合体組成物は溶液状で流動性を示した。
【0052】
得られたエチレン−酢酸ビニル系共重合体組成物100重量部に対し、イソシアネート化合物(A1)を5重量部添加して混合し接着剤を調製した。
【0053】
得られた接着剤を、スピンコーター((商品名)1H−DX、ミカサ株式会社製)を用いて基材であるPET−1に塗布し、乾燥機((商品名)SPH−101、エスペック株式会社製)中で100℃で1分間乾燥後、別の基材であるPET−1と貼り合せ試験片を得た。
【0054】
得られた試験片を100℃、24時間エージングした後、接着強度を測定した。結果を表1に示す。得られたエチレン−酢酸ビニル系共重合体組成物と硬化剤を反応させることにより得られる硬化物は接着性に優れることが判った。
【0055】
実施例2
0.5リットルのセパラブルフラスコに、キシレンを50重量部、EVA−2を50重量部を入れ、撹拌しながら70℃に加温して1時間かけて溶解した後冷却し、エチレン−酢酸ビニル系共重合体組成物を得た。得られたエチレン−酢酸ビニル系共重合体組成物は溶液状で流動性を示した。
【0056】
得られたエチレン−酢酸ビニル系共重合体組成物100重量部に対し、イソシアネート化合物(A1)を5重量部添加して混合し接着剤を調製した。
【0057】
得られた接着剤を用いて実施例1と同様に試験片を作製し接着強度を測定した。結果を表1に示す。得られたエチレン−酢酸ビニル系共重合体組成物と硬化剤を反応させることにより得られる硬化物は接着性に優れることが判った。
【0058】
実施例3
3リットルの撹拌翼付きセパラブルフラスコに、メタノールを1000ml、EVA−1を300g、水酸化ナトリウムを5g入れ、45℃に加温して5時間ケン化反応を行った。反応後内容物をろ過し、メタノールで洗浄した後、中和、水洗、真空乾燥してケン化エチレン−酢酸ビニル系共重合体(以下、EVAOH−1と記す。)を得た。EVAOH−1は、酢酸ビニル残基単位含量24重量%、ビニルアルコール残基単位1.6モル%、MFR=2250g/10分であった。
【0059】
0.5リットルのセパラブルフラスコに、トルエンを80重量部、酢酸エチルを5重量部、得られたEVAOH−1を15重量部を入れ、撹拌しながら60℃に加温して1時間かけて溶解した後冷却し、エチレン−酢酸ビニル系共重合体組成物を得た。得られたエチレン−酢酸ビニル系共重合体組成物は溶液状で流動性を示した。
【0060】
得られたエチレン−酢酸ビニル系共重合体組成物100重量部に対し、イソシアネート化合物(A1)を5重量部添加して混合し接着剤を調製した。
【0061】
得られた接着剤を用いて実施例1と同様に試験片を作製し接着強度を測定した。結果を表1に示す。得られたエチレン−酢酸ビニル系共重合体組成物と硬化剤を反応させることにより得られる硬化物は接着性に優れることが判った。
【0062】
実施例4
3リットルの撹拌翼付きセパラブルフラスコに、メタノールを1000ml、EVA−3を300g、水酸化ナトリウムを5g入れ、45℃に加温して2時間ケン化反応を行った。反応後内容物をろ過し、メタノールで洗浄した後、中和、水洗、真空乾燥してケン化エチレン−酢酸ビニル系共重合体(以下、EVAOH−2と記す。)を得た。EVAOH−2は、酢酸ビニル残基単位含量32.3重量%、ビニルアルコール残基単位0.1モル%、MFR=680g/10分であった。
【0063】
0.5リットルのセパラブルフラスコに、トルエンを80重量部、メチルエチルケトンを5重量部、得られたEVAOH−2を15重量部を入れ、撹拌しながら70℃に加温して1時間かけて溶解した後冷却し、エチレン−酢酸ビニル系共重合体組成物100重量部に対し、反応触媒としてジブチル錫ジラウレートを0.005重量部入れ、エチレン−酢酸ビニル系共重合体組成物を得た。得られたエチレン−酢酸ビニル系共重合体組成物は溶液状で流動性を示した。
【0064】
得られたエチレン−酢酸ビニル系共重合体組成物100.005重量部に対し、イソシアネート化合物(A1)を0.5重量部添加して混合し接着剤を調製した。
【0065】
得られた接着剤を用いて実施例1と同様に試験片を作製し接着強度を測定した。結果を表1に示す。得られたエチレン−酢酸ビニル系共重合体組成物と硬化剤を反応させることにより得られる硬化物は接着性に優れることが判った。
【0066】
実施例5
3リットルの撹拌翼付きセパラブルフラスコに、メタノールを1000ml、EVA−2を300g、水酸化ナトリウムを20g入れ、45℃に加温して1時間ケン化反応を行った。反応後内容物をろ過し、メタノールで洗浄した後、中和、水洗、真空乾燥してケン化エチレン−酢酸ビニル系共重合体(以下、EVAOH−3と記す。)を得た。EVAOH−3は、酢酸ビニル残基単位含量35.8重量%、ビニルアルコール残基単位2.8モル%、MFR=68g/10分であった。
【0067】
0.5リットルのセパラブルフラスコに、トルエンを80重量部、酢酸ブチルを5重量部、得られたEVAOH−3を15重量部を入れ、撹拌しながら60℃に加温して1時間かけて溶解した後冷却し、エチレン−酢酸ビニル系共重合体組成物100重量部に対し、カルボジイミド化合物としてカルボジイミド(C1)を0.2重量部入れ、エチレン−酢酸ビニル系共重合体組成物を得た。得られたエチレン−酢酸ビニル系共重合体組成物は溶液状で流動性を示した。
【0068】
得られたエチレン−酢酸ビニル系共重合体組成物100.2重量部に対し、イソシアネート化合物(A2)を2.0重量部添加して混合し接着剤を調製した。
【0069】
得られた接着剤を用いて実施例1と同様に試験片を作製し接着強度を測定した。結果を表1に示す。得られたエチレン−酢酸ビニル系共重合体組成物と硬化剤を反応させることにより得られる硬化物は接着性に優れることが判った。
【0070】
実施例6
0.5リットルのセパラブルフラスコに、トルエンを85重量部、実施例3で得られたEVAOH−1を15重量部を入れ、撹拌しながら70℃に加温して1時間かけて溶解した後冷却し、エチレン−酢酸ビニル系共重合体組成物を得た。得られたエチレン−酢酸ビニル系共重合体組成物は溶液状で流動性を示した。
【0071】
得られたエチレン−酢酸ビニル系共重合体組成物100重量部に対し、エポキシ化合物(E1)を5重量部添加して混合し接着剤を調製した。
【0072】
得られた接着剤を用いて実施例1と同様に試験片を作製し接着強度を測定した。結果を表1に示す。得られたエチレン−酢酸ビニル系共重合体組成物と硬化剤を反応させることにより得られる硬化物は接着性に優れることが判った。
【0073】
比較例1
0.5リットルのセパラブルフラスコに、トルエンを85重量部、EVA−4を15重量部を入れ、撹拌しながら100℃に加温して1時間かけて溶解した後冷却し、エチレン−酢酸ビニル系共重合体組成物を得た。得られたエチレン−酢酸ビニル系共重合体組成物はゲル状で流動性を示さなかった。MFRが低すぎたためと思われる。
【0074】
比較例2
0.5リットルのセパラブルフラスコに、トルエンを85重量部、EVA−5を15重量部を入れ、撹拌しながら100℃に加温して1時間かけて溶解した後冷却し、エチレン−酢酸ビニル系共重合体組成物を得た。得られたエチレン−酢酸ビニル系共重合体組成物は溶液状で流動性を示した。
【0075】
得られたエチレン−酢酸ビニル系共重合体組成物100重量部に対し、イソシアネート化合物(A2)を5重量部添加して混合し接着剤を調製した。
【0076】
得られた接着剤を用いて実施例1と同様に試験片を作製し接着強度を測定した。結果を表1に示す。得られたエチレン−酢酸ビニル系共重合体組成物と硬化剤を反応させることにより得られる硬化物は接着性に優れるものではなかった。MFRが高過ぎるためと思われる。
【0077】
比較例3
0.5リットルのセパラブルフラスコに、トルエンを85重量部、EVA−6を15重量部を入れ、撹拌しながら100℃に加温して1時間かけて溶解した後冷却し、エチレン−酢酸ビニル系共重合体組成物を得た。得られたエチレン−酢酸ビニル系共重合体組成物は溶液状で流動性を示した。
【0078】
得られたエチレン−酢酸ビニル系共重合体組成物100重量部に対し、イソシアネート化合物(A1)を0.5重量部添加して混合し接着剤を調製した。
【0079】
得られた接着剤を用いて実施例1と同様に試験片を作製し接着強度を測定した。結果を表1に示す。得られたエチレン−酢酸ビニル系共重合体組成物と硬化剤を反応させることにより得られる硬化物は接着性に優れるものではなかった。酢酸ビニル残基単位が多過ぎるためと思われる。
【0080】
比較例4
0.5リットルのセパラブルフラスコに、トルエンを85重量部、EVA−7を15重量部を入れ、撹拌しながら100℃に加温して1時間かけて溶解した後冷却し、エチレン−酢酸ビニル系共重合体組成物を得た。得られたエチレン−酢酸ビニル系共重合体組成物はゲル状で流動性を示さなかった。酢酸ビニル残基単位が少なすぎたためと思われる。
【0081】
比較例5
実施例5で得られたEVAOH−3を100重量部に対し、イソシアネート化合物(A2)を5重量部添加したが、室温ではEVAOH−3が固体のため均一に混合できなかった。
【0082】
そこで、均一な混合物を得るため、ラボプラストミルミキサーR−60(東洋精機株式会社製)にEVAOH−3を100重量部、イソシアネート化合物(A2)を5重量部添加し、120℃で加熱溶融混合した。内容物は増粘し接着剤として使用できるものではなかった。即ち、有機溶剤を配合しないと室温で均一に混合することができなかった。
【0083】
比較例6
トルエン100重量部に対し、イソシアネート化合物(A1)を5重量部添加して混合し接着剤を調製した。
【0084】
得られた接着剤を用いて実施例1と同様に試験片を作製したが、簡単に剥がれてしまい、接着強度は測定できなかった。エチレン−酢酸ビニル系共重合体が配合されていないためと思われる。
【0085】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明のエチレン−酢酸ビニル系共重合体組成物は、接着耐久性に優れており、特に接着剤の分野において極めて有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(A)〜(B)を満足するエチレン−酢酸ビニル系共重合体及び有機溶剤を含有するエチレン−酢酸ビニル系共重合体組成物。
(A)JIS K6924−1(1997年版)に準拠して測定した酢酸ビニル残基単位が15〜70重量%
(B)JIS K6924−1(1997年版)に準拠して測定したメルトマスフローレート(以下、MFRと記す。) が50〜10000g/10分
【請求項2】
エチレン−酢酸ビニル系共重合体が、さらに、下記(C)を満足する請求項1に記載のエチレン−酢酸ビニル系共重合体組成物。
(C)ビニルアルコール残基単位が0.01〜10モル%
【請求項3】
エチレン−酢酸ビニル系共重合体を1〜80重量部、有機溶剤を99〜20重量部(但し、エチレン−酢酸ビニル系共重合体と有機溶剤の合計は100重量部)含有する請求項1又は2に記載のエチレン−酢酸ビニル系共重合体組成物。
【請求項4】
エチレン−酢酸ビニル系共重合体組成物が、さらに反応触媒を含有する請求項1〜3のいずれかに記載のエチレン−酢酸ビニル系共重合体組成物。
【請求項5】
エチレン−酢酸ビニル系共重合体組成物が、さらにカルボジイミド化合物を含有する請求項1〜4のいずれかに記載のエチレン−酢酸ビニル系共重合体組成物。
【請求項6】
有機溶剤が、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル及びメチルエチルケトンからなる群から選ばれる1種以上である請求項1〜5のいずれかに記載のエチレン−酢酸ビニル系共重合体組成物。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかの項に記載のエチレン−酢酸ビニル系共重合体組成物と硬化剤を反応させることにより得られる硬化物。
【請求項8】
硬化剤が、イソシアネート化合物及び/又はエポキシ化合物である請求項6に記載の硬化物。

【公開番号】特開2013−1825(P2013−1825A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−135048(P2011−135048)
【出願日】平成23年6月17日(2011.6.17)
【出願人】(000003300)東ソー株式会社 (1,901)
【Fターム(参考)】