エチレンポリマーブレンドから製造されたフィルム層
配合されたエチレンポリマー組成物から製造されたフィルム層が開示される。そのような配合された組成物から製造されるフィルム層は、著しく良好なヒートシール特性、および、特に良好なヒートシール開始温度の低下を有する。エチレンポリマー組成物は、少なくとも1つの均一分枝エチレン/α−オレフィンインターポリマーおよび少なくとも1つの均一または不均一分枝エチレンポリマーを有し、メルトインデックスが第1の成分よりも低い。第1の均一分枝エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、メルトインデックスが配合された組成物より高い。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定のエチレン/α−オレフィンポリマーブレンド類を含む組成物に関連する。好適には、このポリマーブレンド類は(A)特定の性質を有する少なくとも1つの均一分枝エチレン/α−オレフィンインターポリマーを、(B)均一または不均一分枝エチレンポリマーと一緒にブレンドしたものを含む。このような組成物は、フィルム用途(例えばヒートシール性包装フィルム)にて特に有用である。
【背景技術】
【0002】
直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)および/または高密度ポリエチレン(HDPE)から製造される薄いフィルム製品は、商品用の袋、買い物袋、食品および専門品包装、および、産業用ライナー類などの包装用途に幅広く使用される。これらの用途において、フィルム製造者が、包装性能を維持しながら、正確な温度調節をあまり必要とせずに包装工程をより迅速に操作できるため、ヒートシール開始温度が低く、ヒートシール特性(例えばシール強度)に優れたフィルムが求められる。
【0003】
これまで、種々の不均一ポリマーを混合することによって、フィルムのヒートシール強度を最適化する試みがなされてきた。しかしこれらの場合では、得られるシール強度は、ブレンドのシール強度はその1成分のシール強度より低いことを意味する、混合物のルールに従うものだった。これらのブレンド類のシール強度に関しては、相乗効果は観察されなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これらの特性(例えば、改善されたモジュラス、降伏強度、衝撃強度、および、引裂強度)の組み合わせを有する加工品(例えばフィルム)を形成可能なポリマー類の開発が継続的に必要とされている。フィルム製造者および消費者の節約だけではなく、原料削減による環境保護も得られる、強度を失わずに薄肉化可能なフィルムを製造可能なポリマー類の必要性は特に大きい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
驚くべきことに、フィルムが少なくとも1つの均一分枝エチレン/α−オレフィンインターポリマーおよび均一もしくは不均一の分枝エチレン/α−オレフィンインターポリマーのブレンドから製造される場合に、そのフィルムは相乗的に強化された物理特性を持ちうることが見出された。これらの強化された特性としては、ヒートシールおよびホットタック開始温度が低く、シールバーの温度範囲が広く、エルメンドルフ引裂A、2パーセントMDセカントモジュラス、ブロッキング力およびヘイズが向上していることを挙げることができる。
【0006】
配合されたエチレン/α−オレフィン組成物は、物理的および機械的強度が改善されることが見出され、加工品の製造において有用である。これらの新規組成物から製造されるフィルム類およびフィルム層は、低ヒートシール開始温度において著しく優れたヒートシール性質を示し、シーラント類またはコーキング材類(特にフィルム層間における)に有用である。
【0007】
この組成物は、
(A)(i)密度が0.86グラム/立方センチメートル(g/cm3)から0.92g/cm3であり、
(ii)分子量分布(Mw/Mn)が1.8から2.8であり、
(iii)メルトインデックス(I2)が0.2グラム/10分から200g/10分であり、
(iv)高密度フラクションが存在しない、
少なくとも1つの均一分枝エチレン/α−オレフィンインターポリマーを10パーセント(全組成物の重量基準)から95パーセント(全組成物の重量基準)、および、
(B)密度が0.88g/cm3から0.945g/cm3の少なくとも1つの不均一分枝エチレンポリマーを5パーセント(全組成物の重量基準)から90パーセント(全組成物の重量基準)含み、
ここで、前記組成物は、(A)よりもメルトインデックスが低い。
【0008】
関連する実施態様においては、この組成物は、
(A)(i)密度が0.86グラム/立方センチメートル(g/cm3)から0.92g/cm3であり、
(ii)分子量分布(Mw/Mn)が1.8から2.8であり、
(iii)メルトインデックス(I2)が0.2グラム/10分から200g/10分であり、
(iv)高密度フラクションが存在しない、
少なくとも1つの均一分枝エチレン/α−オレフィンインターポリマーを10パーセント(全組成物の重量基準)から95パーセント(全組成物の重量基準)、および、
(B)密度が成分(A)よりも高く、ここで前記密度は0.88g/cm3から0.945g/cm3の少なくとも1つの均一分枝エチレンポリマーを5パーセント(全組成物の重量基準)から90パーセント(全組成物の重量基準)含み、
ここで、前記組成物は前記成分(A)よりもメルトインデックスが低い。
【0009】
他の態様においては、少なくとも1つのフィルム層がポリマー組成物から製造され、ここで、前記組成物のATREF−DVは、30℃から90℃の間に少なくとも1つの低温ピークを有することで特徴付けられ、ここで、前記最低温度ピークのMvは組成物の平均Mvより低い。好適には、前記最低温度ピークのMvは、組成物の平均Mvより少なくとも6パーセント低く、より好適には少なくとも7パーセント、8パーセント、9パーセント、10パーセント、11パーセント、12パーセント、13パーセント、14パーセント、または、最も好適には組成物全体の平均Mvよりも少なくとも15パーセント低い。好適には、前記最低温度ピークのMvは、組成物の平均Mvより40パーセント以下の範囲で低く、より好適には組成物の平均Mvより35パーセント、33パーセント、31パーセント、29パーセント、27パーセント以下の範囲で低く、最も好適には組成物の平均Mvより25パーセント以下の範囲で低い。本発明の目的においては、前記最低温度のピークが組成物の平均Mvより低い量は、以下の式に基づき決定可能である。
((平均Mv−最低温度のピークにおけるMv)/平均Mv)×100
【0010】
組成物はまた、好適には、ATREF−DVにおける低い温度ピークのMvよりも、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)により測定したMwが高い。
【0011】
さらに他の態様において、本発明はポリマー組成物から製造されたフィルム層であり、ここで前記組成物のCRYSTAF−LSは、30℃から90℃の間に最低温度ピークを有することにより特徴付けられ、ここで、前記最低温度ピークのMwは、組成物の平均Mwより少なくとも6パーセント低く、さらに好適には少なくとも7パーセント、8パーセント、9パーセント、10パーセント、11パーセント、12パーセント、13パーセント、14パーセント低く、または、最も好適には組成物全体の平均Mwよりも少なくとも15パーセント低い。好適には、前記最低温度ピークのMwは、組成物の平均Mwより40パーセント以下の範囲で低く、より好適には組成物の平均Mwより35パーセント、33パーセント、31パーセント、29パーセント、27パーセント以下の範囲で低く、最も好適には組成物の平均Mwより25パーセント以下の範囲で低い。本発明の目的においては、前記最低温度のピークが組成物の平均Mwより低い量は、以下の式に基づき決定可能である。
((平均Mw−最低温度のピークにおけるMw)/平均Mw)×100
【0012】
また、本発明は、少なくとも1つの均一分枝エチレン/α−オレフィンインターポリマーおよび少なくとも1つの他のエチレンポリマー、好適には、少なくとも1つの不均一分枝エチレン/α−オレフィンインターポリマーを含む組成物の改善であり、前記改善は、30℃から90℃の間に少なくとも1つの低温ピークを有することにより特徴づけられるCRYSTAF−LSを有する組成物を含み、ここで、前記最低温度ピークのMwは組成物の平均Mwよりも低い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
均一分枝エチレンポリマー
均一分枝エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、直鎖状または実質的に直鎖状であることが可能である。好適には、米国特許第5,272,236号に記載のような均一分枝の実質的に直鎖状のエチレン/α−オレフィンインターポリマーである。また、均一分枝エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、米国特許第3,645,992号に記載のような直鎖状エチレン/α−オレフィンインターポリマーでもよい。
【0014】
実質的に直鎖状のエチレン/α−オレフィンインターポリマーは、直鎖状低密度ポリエチレン(例えばチーグラー重合直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE))の記述に用いる従来の意味での「直鎖状」ポリマーではなく、低密度ポリエチレン(LDPE)の記述に用いるような高分枝ポリマーでもない。本発明の実質的に直鎖状のエチレン/α−オレフィンインターポリマーは、参照により全体として本明細書に組み込まれる米国特許第5,272,236号および米国特許第5,278,272号のように、本明細書中で定義される。
【0015】
本明細書に記載の組成物の形成に有用な均一分枝エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、コモノマーがあるインターポリマー分子内でランダムに分布し、実質的に全てのインターポリマー分子が、そのインターポリマー中で同一のエチレン/コモノマー比率を有するものである。インターポリマーの均一性は一般的には、SCBDI(短鎖分枝分布インデックス)またはCDBI(組成分布分枝インデックス)で表され、コモノマー含有量が総モルコモノマー含有量の中央値の50パーセント以内であるポリマー分子の重量パーセントとして規定される。ポリマーのCDBIは、例えばWild et al, Journal of Polymer Science, Poly. Phys. Ed., Vol. 20, p. 441 (1982)、または、米国特許第4,798,081号(Hazlitt et al.)もしくは米国特許第5,089,321号(Chum et al.)に記載の分析昇温溶出分別(本明細書では「ATREF」と略称する)のような、公知技術で得られるデータから容易に算出される。本発明の直鎖状および実質的に直鎖状のオレフィンポリマー類のSCBDIまたはCDBIは、好適には30パーセントより大きく、特に50パーセントより大きい。本発明で用いる均一エチレン/α−オレフィンポリマー類は、TREF技術で測定される測定限界以上の「高密度」フラクションを本質的に含まない(すなわち、均一エチレン/α−オレフィンポリマー類は、分枝度が2メチル/1000炭素以下のポリマーフラクションを含まない)。
【0016】
本発明で使用される実質的に直鎖状のエチレン/α−オレフィンインターポリマーは、一般的にエチレンと少なくとも1つのC3〜C20α−オレフィンおよび/またはC4〜C18ジオレフィンとのインターポリマーである。エチレンと1−オクテンのコポリマー類が特に好適である。
【0017】
本明細書で用いる「インターポリマー」の語は、コポリマーまたはターポリマーなどを示す。すなわち、インターポリマーの生成には、エチレンと少なくとも1つの他のコモノマーとを重合させる。2つ以上のコモノマーと共重合されるエチレンはまた、本発明で有用な均一分枝の実質的に直鎖状のインターポリマーの製造にも使用可能である。好適なコモノマーとしては、C3〜C20α−オレフィン類、特にプロペン、イソブチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル‐1‐ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネンおよび1−デセン、さらに好適には1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル‐1‐ペンテン、および、1−オクテンが挙げられる。
【0018】
「直鎖状エチレン/α−オレフィンインターポリマー」の語は、インターポリマーが長鎖分枝を含まないことを意味する。すなわち、直鎖状エチレン/α−オレフィンインターポリマーは長鎖分枝を含まず、例えば、均質(すなわち均一)分枝分布重合プロセス(例えば米国特許第3,645,992号(Elston)に記載)を用いて製造する直鎖状低密度ポリエチレンポリマーまたは直鎖状高密度ポリエチレンポリマーであり、ならびに、コモノマーが所定のインターポリマー分子内でランダムに分布し、実質的に全てのインターポリマー分子が、当該インターポリマー内で同一のエチレン/コモノマー比率を有するものである。「直鎖状エチレン/α−オレフィンインターポリマー」の語は、当業者に公知の多数の長鎖分枝を持つ高圧分枝(フリーラジカル重合)ポリエチレンを示さない。均一分枝直鎖状エチレン/α−オレフィンインターポリマー類の分枝分布は、直鎖状エチレン/α−オレフィンインターポリマー類には長鎖分枝がないことを除き、均一分枝の実質的に直鎖状のエチレン/α−オレフィンインターポリマー類の分枝分布と同一または実質的に同一である。均一分枝直鎖状エチレン/α−オレフィンインターポリマー類は、エチレンと少なくとも1つのC3〜C20α−オレフィンおよび/またはC4〜C18ジオレフィンとを含む。エチレンと1−オクテンのコポリマー類が特に好適である。好適なコモノマーとしては、C3〜C20α−オレフィン類、特にプロペン、イソブチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル‐1‐ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、および、1−デセンが挙げられ、より好適には1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル‐1‐ペンテン、および1−オクテンである。
【0019】
均一分枝の実質的に直鎖状および均一分枝の直鎖状エチレン/α−オレフィンインターポリマー類は両方とも、示差走査熱量測定法(DSC)を用いて測定した融点を単一で有することが可能であり、2つ以上の融点を有する従来の不均一分枝チーグラー重合エチレン/α−オレフィンコポリマー類とは対照的である。
【0020】
本発明の成分(A)として用いられる均一分枝エチレン/α−オレフィンインターポリマー類の密度(ASTM D−792に従って測定)は、一般的に0.86g/cm3から0.92g/cm3、好適には0.88g/cm3から0.915g/cm3、特に0.89g/cm3から0.91g/cm3未満である。本発明において成分(B)を使用の場合、密度は一般的に0.88g/cm3から0.945g/cm3である。
【0021】
組成物に含まれる均一分枝の実質的に直鎖状および均一分枝の直鎖状エチレン/α−オレフィンポリマーの量は、混合されるメルトインデックスが高い(好適には不均一分枝)エチレンポリマーによって異なる。
【0022】
本発明で使用される均一分枝エチレン/α−オレフィンインターポリマー類の分子量は、ASTM D−1238、条件190℃/2.16kg(以前は条件(E)またはI2として知られていた)に基づくメルトインデックスの測定値を使用して便利に示される。メルトインデックスは、ポリマーの分子量に反比例する。よって、分子量が高いほどメルトインデックスが低いが、線形の相関はない。成分(A)で用いられる均一分枝の直鎖状または実質的に直鎖状のエチレン/α−オレフィンインターポリマーのメルトインデックスの限界は200g/10分、好適には10g/10分であり、0.2g/10分以上、好適には1g/10分以上であることが可能である。
【0023】
均一分枝の直鎖状または実質的に直鎖状のエチレン/α−オレフィンインターポリマーの分子量を特徴づけるのに有用な他の測定は、ASTM D−1238、条件190℃/10kg(以前は条件(N)またはI10として知られる)に基づくメルトインデックス測定を使用して便利に示される。I10とI2のメルトインデックス条件の比はメルトフロー比であり、I10/I2と表す。一般的に、均一分枝直鎖状エチレン/α−オレフィンインターポリマーのI10/I2比は、5.6より大きい。本発明の組成物に用いる均一分枝の実質的に直鎖状のエチレン/α−オレフィンインターポリマー類においては、I10/I2比は長鎖分枝の程度を示し、すなわちI10/I2比が大きくなればなるほどインターポリマー中の長鎖分枝が多くなる。均一分枝の実質的に直鎖状のエチレン/α−オレフィンインターポリマー類では、I10/I2比が大きいほど、一般的に観察される加工性が良好となる。
【0024】
出願人が発見した強化された配合特性と干渉しない程度であれば、酸化防止剤(例えば、ヒンダードフェノール系(例えばCiba Geigy Corp.製造のIrganox 1010)、亜リン酸エステル系(例えばCiba Geigy Corp.製造のIrgafos(登録商標)168)、粘着剤類(例えばPIB)、ブロッキング防止剤類、顔料類、フィラー類のような他の添加物もまた組成物に含めることができる。
【0025】
CRYSTAF 光散乱粘度測定法
短鎖分枝分布の関数としての重量平均分子量および固有粘度推定値は、スペインのPolymer Charによって提供された特注のCRYSTAF光散乱/粘度測定器を使用した三次元結晶化分析分画(3D CRYSTAF)によって決定した。
【0026】
ポリマーサンプルを160℃において2時間、1、2、4−トリクロロベンゼンに1.5mg/mLの濃度で溶解し、次に95℃まで冷却し、それを分析開始まで45分間一定に保った。サンプリング温度は、0.1℃/分の冷却速度で95℃から30℃の範囲であった。この冷却段階において、結晶ポリマーが沈殿を起こし、よって溶液中のポリマー濃度が減少した。10μmプレカラム(PL Laboratories)、Precision Detectorsの光散乱ユニット、Polymer Charの赤外線濃度ユニット、および、自作4毛細管粘度計を備えるGPC様システムを含む、加熱されたオーブン(160℃に保つ)を通して、250μlのフィルター処理したアリコートを注入することによって、温度制御されたオーブン中の容器から自動化サンプリング測定を行った。適切なシステムを図12に図示する。各注入で、個別の濃度、光散乱、1mL/分の流量で作用する粘度計クロマトグラムを作成した。
【0027】
分析全体においては、25〜30の個別点を結晶化プロセスを通して測定する。各クロマトグラムのピーク高さまたは面積積分は、各サンプル点の濃度、光散乱および粘度計の反応の結果である。
【0028】
分析前には、既知の濃度、分子量および固有粘度の直鎖状ポリマー標準を用いて検出器を較正し、各検出器の較正定数を得る。実際のサンプル濃度は、濃度検出器の較正済みピーク高さまたは積分面積を参照して算出する。また、分子量および固有粘度を、光散乱または粘度計の高さもしくは面積の比によって算出し、続いて各較正定数によって補正し、絶対的分子量および固有粘度を得る。
【0029】
図13に示すような収集された濃度、分子量および固有粘度データは、結晶化後に残存する可溶ポリマーの累積的プロフィールを表す。これらの累積的分布の一次導関数は、図14で示すように、結晶ポリマーの濃度、分子量および固有粘度分布を結晶化温度の関数として与える。また、この結果として得られたプロフィールは、ポリマーの短鎖分枝分布の関数としての分子量および固有粘度値と解釈される。
【0030】
分子量分布の決定
ポリオレフィンポリマー、特にエチレンポリマーの分子量分布は、示差屈折率検出器および混合多孔度カラムを3本備えるWaters 150℃高温クロマトグラフィー装置により、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)を用いて行う。カラムはPolymer Laboratories製であり、一般的に103、104、105、106Åの細孔径で充填されている。溶媒は1,2,4−トリクロロベンゼンであり、それを用いて試料の0.3重量%溶液を調製して注入する。流速は1.0ミリリットル/分であり、ユニット操作温度は140℃であり、そして、注入量は100マイクロリットルである。
【0031】
ポリマー主鎖に関する分子量決定は狭分子量分布ポリスチレン標準(Polymer Laboratories製)を用い、その溶出容積との相関によって推定する。相当するポリエチレンの分子量は、ポリエチレンおよびポリスチレンに妥当するMark−Houwink係数(Williams and Word in Journal of Polymer Science, Polymer Letters, Vol. 6, (621) 1968に記載)を用いて、次の式:
M ホ゜リエチレン=a×(M ホ゜リスチレン)b
から求める。
【0032】
上記式においては、a=0.4316およびb=1.0である。重量平均分子量Mwは、通常の方式で、次の式:Mj=(Σwi*(Mij))jに従って算出する。[式中、wiは、GPCカラムから溶出するフラクションiの分子量Miの分子の重量フラクションであり、Mw測定時にはj=1であり、Mn測定時にはj=−1である。]。
【0033】
直鎖状および実質的に直鎖状のエチレン/α−オレフィンポリマー類の両方を含む均一分枝エチレン/α−オレフィンポリマー類においては、好適には分子量分布(Mw/Mn)は1.8から2.8であり、より好適には1.89から2.2であり、特に2である。
【0034】
不均一分枝エチレンポリマー
成分(A)の均一エチレン/α−オレフィンインターポリマーと混合されるエチレンポリマーは、密度が0.88g/cm3から0.945cm3g/で、メルトインデックスは成分(A)のメルトインデックスよりもさらに低い。この成分(B)は他の均一エチレン/α−オレフィンインターポリマーでもよいが、好適にはエチレンと少なくとも1つのC3〜C20α−オレフィンとの不均一分枝(例えばチーグラー重合)インターポリマー(例えば直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE))である。
【0035】
不均一分枝エチレン/α−オレフィンインターポリマー類は、主に分枝分布という点で均一分枝エチレン/α−オレフィンインターポリマーと異なる。例えば、不均一分枝LLDPEポリマーが有する分枝分布としては、高度分枝部分(超低密度ポリエチレンと同様)、中度分枝部分(中程度に分枝したポリエチレンと同様)、および、実質的に直鎖状の部分(直鎖状ホモポリマーポリエチレンと同様)が挙げられる。不均一分枝エチレンポリマーは、米国特許第4,076,698号(Anderson et al.)の技術を用いて製造可能である。
【0036】
これら各フラクションの量は、所望のポリマーの全体的特性によって異なり得る。例えば直鎖状ホモポリマーポリエチレンは、分枝および高度分枝フラクションのどちらでもない直鎖状フラクションを有する。また、密度が0.9g/cm3から0.915g/cm3の超低密度不均一ポリエチレン(Dow Chemical Company が販売するATTANE(商標)コポリマーおよびUnion Carbide Corporation が販売するFLEXOMER(商標)のような)は、高度短鎖分枝フラクションのパーセンテージが高く、よって、ポリマー全体の密度が低い。不均一分枝LLDPE(The Dow Chemical Companyから市販のDOWLEXのような)の高度分枝フラクションの量はより低いが、中度分枝フラクションの量はより大きい。
【0037】
より好適には、不均一分枝エチレンポリマーはエチレンとC3〜C20α−オレフィンとのコポリマーであり、ここで前記コポリマーは(i)密度が0.88g/cm3から0.945g/cm3であり、(ii)メルトインデックス(I2)が0.01g/10分から50g/10分である。
【0038】
本発明の組成物の成分(B)に用いるため選択された好適には不均一分枝のエチレンポリマーは、ポリマー組成物のメルトインデックスが成分(A)の分枝部分のメルトインデックスよりも低いメルトインデックスとなるようなものであるべきである。
【0039】
配合組成物
【0040】
本発明に開示の組成物は、各成分をドライブレンドした後に溶融混合したり、別の押出機(例えばBanburyミキサー、Haakeミキサー、Brabender内部ミキサー、または、二軸押出機)で事前に溶融混合するといった便利な方法で配合可能である。
【0041】
米国特許第5,844,045号、米国特許第5,869,575号、および、米国特許第6,448,341号は特に、少なくとも1つの反応器における均一系触媒および少なくとも1つの別の反応器における不均一系触媒を用いたエチレンおよびC3〜C20α−オレフィン類のインターポリマー化について説明している。これらの反応器は直列または並列に操作可能である。
【0042】
米国特許第6,538,070号、米国特許第6,566,446号および米国特許第6,545,088号は特に、均一触媒を少なくとも1つの反応器で用い、別の均一触媒を少なくとも1つの別の反応器で用いるエチレンとC3〜C20α−オレフィン類のインターポリマー化を記載する。これらの反応器は直列または並列に操作可能である。
【0043】
この組成物は、不均一分枝エチレン/α−オレフィンポリマーを、各フラクションの組成物(すなわち分枝)分布が狭い特定ポリマーフラクションへと分画し、特定の性質を有するフラクションを選択し、そして、適当量の選択されたフラクションを他のエチレンポリマーに配合することによって製造可能である。この方法は明らかに米国特許第5,844,045号、米国特許第5,869,575号および米国特許第6,448,341号の反応器内(in-situ)共重合体ほど経済的ではないが、本発明の組成物を得るためには使用可能である。
【0044】
新規組成物から製造された加工品
本明細書に開示の新規組成物から、多くの有用な加工品を得ることが可能である。例えば、成形操作を用いて、本明細書に開示の組成物から有用な加工品または部品を形成可能であり、これには様々な射出成形法(例えば、H. Randall ParkerによるModern Plastics Encyclopedia/89, Mid October 1988 Issue, Volume 65, Number 11, pp. 264-268, "Introduction to Injection Molding"およびMichael W. Greenによるpp. 270-271, "Injection Molding Thermoplastics"に記載のもの)、ブロー成形法(例えば、Christopher IrwinのModern Plastics Encyclopedia/89, Mid October 1988 Issue, Volume 65, Number 11, pp. 217-218, "Extrusion-Blow Molding"に記載のもの)、プロフィール押出、カレンダー加工、引抜成形(例えばパイプ)が挙げられる。本明細書に開示の新規組成物から、回転成形によって物品を製造することも可能である。回転成形技術は当業者に公知であるが、例えば、R. L. FairによるModern Plastics Encyclopedia/89, Mid October 1988 Issue, Volume 65, Number 11, pp. 296-301, "Rotational Molding"に記載のものがある。
【0045】
ファイバー類(例えばステープルファイバー類、メルトブローファイバー類またはスパンボンドファイバー類(例えば米国特許第4,340,563号、第4,663,220号、第4,668,566号、または第4,322,027号に開示されているシステムを用いたもの)、およびゲルスパンファイバー類(例えば米国特許第4,413,110号に開示されているシステムを用いたもの)、織布および不織布の両方(例えば米国特許第3,485,706号に開示されているスパンレース布)、または、そのようなファイバー類から製造される構造体(例えば、これらのファイバー類と他のファイバー類、例えばPETまたは綿とのブレンド))もまた、本明細書に記載の新規組成物から製造可能である。
【0046】
フィルムおよびフィルム構造体が本明細書に記載の新規組成物から特に恩恵を受け、それらは従来のホットブロウンフィルム製造方法、または、テンターフレームもしくは2重バブルプロセスのような他の2軸延伸プロセスを用いて製造可能である。従来のホットブロンフィルムプロセスは、例えばThe Encyclopedia of Chemical Technology, Kirk-Othmer, Third Edition, John Wiley & Sons, New York, 1981, Vol. 16, pp. 416-417 and Vol. 18, pp. 191-192に記載されている。米国特許第3,456,044号(Pahlke)に記載の「2重バブルプロセス」、ならびに、米国特許第4,352,849号(Mueller)、米国特許第4,820,557号(Warren)、米国特許第4,837,084号(Warren)、米国特許第4,865,902号(Golike et al.)、米国特許第4,927,708号(Herran et al.)、米国特許第4,952,451号(Mueller)、米国特許第4,963,419(Lustig et al.)、および、米国特許第5,059,481号(Lustig et al.)に記載のプロセスのような2軸延伸プロセスもまた、本明細書に記載の新規組成物からフィルム構造体を製造するため使用可能である。フィルム構造体は、延伸ポリプロピレンに用いられるようなテンターフレーム法によっても製造可能である。
【0047】
食品包装用途向けの他の多層フィルム製造方法は、Wilmer A. Jenkins および James P. HarringtonによるPackaging Foods With Plastics(1991), pp. 19-27、および、Thomas I. Butlerによる"Coextrusion Basics", Film Extrusion Manual:Process, Materials, Properties pp. 31-80 (TAPPI Press (1992)発行)に記載されている。
【0048】
フィルム類は単層でも多層フィルム類でもよい。本明細書に記載の組成物から製造されるフィルムを、他の1つまたは複数の層と共押出することもまた可能であり、また、前記フィルムは他の1つまたは複数の層と加工時にラミネート可能である。例えばこれらは、Wilmer A. JenkinsおよびJames P. HarringtonによるPackaging Foods With Plastics(1991)、またはW. J. SchrenkおよびC. R. Finchによる"Coextrusion For Barrier Packaging", Society of Plastics Engineers RETEC Proceedings, Jun. 15-17(1981), pp.211-229に記載されている。211-229. K. R. OsbornおよびW. A. Jenkinsによる "Plastic Films, Technology and Packaging Applications" (Technomic Publishing Co., Inc.(1992))に記載のように、単層フィルムをチューブラーフィルム(すなわちブロウンフィルム法)、またはフラットダイ(すなわちキャストフィルム)により製造する場合、これらのフィルムはさらに他の包装素材層と接着または押出ラミネートされる押出後工程を通過し、多層フィルムを形成してもよい。フィルムを2つ以上の層で共押出する場合(同じくOsbornおよびJenkinsに記載されている)でも、最終フィルムに対する物理的要求仕様に応じて、フィルムを追加の包装素材層とラミネートしてもよい。D. Dumbletonによる"Laminations Vs. Coextrusion" (Converting Magazine(September 1992)もまた、ラミネート対共押出を検討している。単層および共押出フィルム類にも、2軸延伸プロセスのような他の押出後加工をしてもよい。
【0049】
押出コーティングは、本明細書に記載の組成物を用いて多層フィルム構造体を製造するさらに別の手法である。新規組成物は、少なくとも1層のフィルム構造を含む。押出コーティングは、キャストフィルムのようなフラットダイを用いる手法である。単層または共押出された押出物として、シーラントを基材上に押出コーティングすることが可能である。
【0050】
本発明のフィルムおよびフィルム層は、縦型製袋充填(VFFS)用途に特に有用である。VFFS用途の改善、特にポリマーの改善を記載する特許としては、米国特許第5,228,531号、第5,360,648号、第5,364,486号、第5,721,025号、第5,879,768号、第5,942,579号および第6,117,465号が挙げられる。一般的には、多層フィルム構造体においては、本明細書に記載の組成物は多層フィルム構造体の少なくとも1層を構成する。多層構造体の他の層は、これらに限定されるものではないが、バリア層および/または接着層、および/または構造的な層を含む。これらの層には様々な素材を使用可能であり、同じフィルム構造体中で2層以上に用いられるものもある。これらの素材の一部としては、ホイル、ナイロン、エチレン/ビニルアルコール(EVOH)コポリマー類、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、延伸ポリプロピレン(OPP)、エチレン/酢酸ビニル(EVA)コポリマー類、エチレン/アクリル酸(EAA)コポリマー類、エチレン/メタクリル酸(EMAA)コポリマー類、LLDPE、HDPE、LDPE、ナイロン、グラフト接着ポリマー類(例えば無水マレイン酸でグラフトされたポリエチレン)、ならびに紙が挙げられる。一般的には、多層フィルム構造体は、2から7層を含む。
【実施例】
【0051】
実施例1
実施例1は、米国特許第5,844,045号、米国特許第5,869,575号および米国特許第6,448,341号に従って製造された反応器内ブレンドであり、ここで、均一分枝ポリマーは第1反応器で製造され、メルトインデックス(I2)が3.5g/10分、密度が0.895g/cm3、メルトフロー比(I10/I2)が6.5、および、分子量分布(Mw/Mn)が2.1のエチレン/1−オクテンコポリマーであり、47パーセント(全組成物の重量基準)を構成した。また、不均一分枝エチレン/1−オクテンコポリマーは、第1の反応器に続いて操作される第2反応器で製造され、メルトインデックス(I2)が0.8g/10分、密度が0.925g/cm3であり、残余の53パーセント(全組成物の重量基準)を構成した。組成物全体は、メルトインデックス(I2)が1.5g/10分、密度が0.914g/cm3、メルトフロー比(I10/I2)が7.3、および分子量分布(Mw/Mn)が2.89である。図1は本実施例のゲル透過クロマトグラフィー(GPC)曲線を示し、図2は短鎖分枝分布(示差粘度計を備える分析昇温溶出分別(ATREF−DV)により測定)を示す。表1に記載のように、この組成物はシーラントとして使用され、単層ブロウンフィルムを製造した。得られた単層フィルムの特性を表3に示す。表2に記載のように、実施例1の組成物はスリップ剤やアンチブロック剤とブレンドされ、共押出ブロウンフィルムのシーラントとして使用された。スリップ添加剤およびアンチブロック添加剤の使用は公知であった。これらの実施例では、スリップ剤は1000〜1500ppmのエルクアミドまたは0〜500ppmのステアルアミドであった。用いられたアンチブロック剤は、2500〜3000ppmのSiO2、または、0〜700ppmのフッ化エラストマーポリマー加工助剤であった。
【0052】
比較実施例2
比較実施例2は、米国特許第5,844,045号、米国特許第5,869,575号および米国特許第6,448,341号に従って製造された反応器内ブレンドであり、ここで、均一分枝ポリマーは第1反応器で製造され、メルトインデックス(I2)が0.27g/10分、密度が0.902g/cm3、および、分子量分布(Mw/Mn)が2のエチレン/1−オクテンコポリマーであり、38.5パーセント(全組成物の重量基準)を構成した。また、不均一分枝エチレン/1−オクテンコポリマーは、第1の反応器に続いて操作される第2反応器で製造され、メルトインデックス(I2)が1.7g/10分、密度が0.925g/cm3であり、残余の61.5パーセント(全組成物の重量基準)を構成する。組成物全体は、メルトインデックス(I2)が1g/10分、密度が0.916g/cm3、メルトフロー比(I10/I2)が7.7、および分子量分布(Mw/Mn)3.8である。図3は本実施例のゲル透過クロマトグラフィー(GPC)曲線を示し、図4は短鎖分枝分布(示差粘度計を備える分析昇温溶出分別(ATREF−DV)により測定)を示す。この組成物はシーラントとして使用され、表1に記載のような単層ブロウンフィルムおよび表2に記載のような共押出ブロウンフィルムを製造した。得られた単層フィルムの特性を表3に示す。
【0053】
表3はまた、未ブレンドのポリマーBおよびEXCEED 1012CAを比較のため含む。ポリマーBは、メルトインデックス(I2)が1g/10分で密度が0.92g/cm3の不均一分枝エチレン/1−オクテンコポリマーであった。EXCEED 1012CAは、メタロセン触媒を用い気相法で製造されたエチレン/1−ヘキセンコポリマーであり、メルトインデックス(I2)が1g/10分で密度が0.912g/cm3であった。
【0054】
表3に示したフィルムの特性は以下のように測定された。フィルムのダート衝撃(タイプB)をASTM D−1709−85に従い測定した。フィルムの引張強度、降伏点、靭性および2パーセントセカントモジュラスをASTM D−882に従い測定した。エルメンドルフ引裂(タイプB)をASTM D−1922に従い測定した。
【0055】
突刺は、インテグレーター、円形開口部にフィルムサンプルを張った状態にする試験片ホルダー、および、インストロンのクロスヘッドに装着されフィルムサンプル上を垂直に突く丸い先端(ボール)の棒状突刺装置を備える、インストロン張力計引張試験器を用いて測定した。インストロンは、クロスヘッドスピードが10インチ/分であり、チャート速度(使用される場合)が10インチ/分となるよう設定した。さらに、ロードセル能力(これらのテストでは100ポンドの加重)の50パーセントの加重範囲を用いるべきである。突刺装置は、クランピングユニットを下のマウントに取り付け、ボールをクロスヘッドの上部マウントへ取り付けるように、インストロンに設置した。6枚のフィルム試験片を用いた(各6インチ四方)。この試験片をフィルムホルダーに挟持し、またこのフィルムホルダーを取付金具で固定した。クロスヘッド移動を試験品が破れるまで続行するよう設定した。また、突刺抵抗は、突刺のエネルギーを試験フィルムの体積で除したものとして定義される。貫通抵抗(PR)は以下の式PR=E/((12)(T)(A))で算出される。[式中、PR=突刺抵抗(ft−lbs/in3)、E=エネルギー(インチ−ポンド)=荷重変位曲線下の面積、12=インチ/フィート、T=フィルム厚(インチ)、および、A=クランプ中のフィルムサンプル面積=12.56in2。]
【0056】
一般的に、新規配合のエチレン/α−オレフィン組成物から製造されたフィルムは、優れた衝撃および伸張特性、特に光学特性と引裂特性の良好な組み合わせを示す。さらに、実施例の樹脂によるフィルムは、数多くの主要な特性に関し、比較実施例の樹脂から製造されたフィルムと比較して著しい改善を示す。
【0057】
実施例1と比較例実施2を比較すると(両方とも米国特許第5,844,045号、米国特許第5,869,575号、および、米国特許第6,448,341号に基づき製造した)、図5に示されたデータは、本発明のブレンドから製造されたフィルムは、比較実施例2で製造されたフィルムより著しく低いヒートシール開始温度(10℃)を示すことを表す(ヒートシール開始温度は、一般的に最低でも1ポンドのピーク強度を達成する温度として測定される)。
【0058】
表1
単層ブロウンフィルム加工条件
ブロウアップ比: 2.5
フロストライン高:2.5 in
ダイ: 6 in Gloucester
ダイギャップ: 70 mil
溶融温度: 450 oF
スクリュー: 単一フライトダブルミックス
速度: ダイの6 lb/hr/in(120 lb/hr)
ゲージ: 2 mil
スクリーンパック:20/40/60/80/20
【0059】
表2
共押出ブロウンフィルム加工条件
層成分: 層1:ポリマーA/層2:75%ポリマーA+25%ポリマーC/
層3(シーラント層)実施例1の樹脂
層比率: 0.5 mil/1.0 mil/1.0 mil
ブロウアップ比: 2.5
ダイ: 8 in Coex
ダイギャップ:70 mil
溶融温度: 440-460 oFあたりでフロート
ゲージ: 2.5 mil
【0060】
表3
【表1】
【0061】
表中のデータが示すように、実施例1は他の3つの比較実施例よりかなり優れた(さらに低い)ヘイズ値を有し、より高い引裂特性も有する(実施例1では、Elmendorf引裂B CD(クロス方向)は1354gだが、比較実施例2では1095gどまりであり、さらに実施例1ではElmendorf引裂B MD(流れ方向)は1129gだが、比較実施例2では807gどまりである)。
【0062】
表4のデータは、VFFS構造体をシールし水槽に入れた後に減圧する水槽の水中で行われた、縦型製袋充填(VFFS)の袋完全性検査を示す。このデータは、漏れのないVFFS袋構造体のパーセントを示す。データは、比較実施例2に対して、実施例1のシールウィンドウが15°F広いことを示す。
【0063】
表4:シール完全性試験の結果。この結果は、シール完全性試験(水槽試験)に合格した袋のパーセントを示す。水槽の水中に袋を沈め、空気が漏出しないサンプルを合格サンプルとする。シール完全性試験水槽は、2フィート幅、2フィート高さ、2フィート深さであった。袋中には加圧(大気圧以外)しない。よって、袋には大気圧での充填後もいくらか空気が入っている。垂直シール温度は、各サンプルの最適温度を設定した。報告されている全温度の100パーセントを実際に検査したわけではない(グラフ用にデータを記入した)。試験品は、285°Fより温度が高くなると密閉部分の端部に深刻な変形を示した。袋は1分間に25袋製造された。
【0064】
表4のサンプル説明:
・EXCEED 1012CA−メルトインデックスが1.0g/10分、密度が0.912g/cm3の気相メタロセン。VFFS用途で要求されるCOFを調整するためにスリップ剤およびアンチブロック剤をブレンドした。
・比較実施例2:上述通りではあるが、VFFS用途で要求されるCOFを調整するためにスリップ剤およびアンチブロック剤をブレンドした。
・実施例1:上述通りではあるが、VFFS用途で要求されるCOFを調整するためにスリップ剤およびアンチブロック剤をブレンドした。
・ポリマーAは、200ppmのスリップ剤および3000ppmのアンチブロック剤を含む上述のポリマーBであった。ポリマーAおよびポリマーBは、米国特許第4,076,698号(Anderson et al.)に基づき製造可能である。ポリマーAおよびポリマーBは、メルトインデックス(I2)が1グラム/10分で、密度が0.92グラム/立方センチメートルの不均一分枝エチレン/1−オクテンコポリマーであった。
・ポリマーDは、メルトインデックス(I2)が0.85g/10分で密度が0.928g/cm3の不均一分枝エチレン/1−オクテンコポリマーであり、スリップ剤やアンチブロック剤とブレンドされ、米国特許第4,076,698号(Anderson et al.)に従って製造可能である。
・ポリマーEは、メルトインデックス(I2)が1g/10分で、密度が0.904g/cm3の実質的に直鎖状のエチレン/1−オクテンコポリマーであり、亜リン酸エステルおよびヒンダードフェノールで安定化された。ポリマーEは米国特許第5,272,236号および第5,278,272号に従い製造された。
・ポリマーFは、メルトインデックス(I2)が3g/10分で、密度が0.904g/cm3の実質的に直鎖状のエチレン/1−オクテンコポリマーであり、亜リン酸エステルおよびヒンダードフェノールで安定化された。ポリマーFは米国特許第5,272,236号および第5,278,272号に従い製造された。
・比較実施例3:47パーセントのポリマーEと53パーセントのポリマーDのブレンドである。
・比較実施例4:57パーセントのポリマーFと43パーセントのポリマーDのブレンドである。
【0065】
これらの樹脂はすべて以下の構造でシーラント層として使用された。
第1層:0.5ミルのポリマーA/第2層:1.0ミルで75パーセントのポリマーAおよび25パーセントのポリマーC/第3層(シーラント層)1.0ミル
【0066】
・ポリマーCは、改質プロピレン/エチレンコポリマー(酸化ジフェニル4,4’ビス‐スルホニルアジド(150ppm)改質インパクトコポリマーエチレン(8〜10重量パーセント)/ポリプロピレンであり、500ppmのステアリン酸カルシウム、600ppmのIrgafos 168、および、1000ppmのIrganox 1010を含む)、改質前メルトフロー比が0.8g/10分(条件230℃/2.16kg)であり、最終(改質後)MFRが0.4g/10分(条件230℃/2.16kg)であり、米国特許第6,528,136号、第6,143,829号、第6,359,073号およびWO99/10424の方法を用いて製造された。
【0067】
【表2】
【0068】
図5は、上述の様々なポリマー組成物をシーラント層として使用した3層フィルム構造のヒートシールデータ(平均ピーク荷重対温度)を示す。
【0069】
図6は、上述の様々なポリマー組成物をシーラント層として使用した3層フィルム構造のホットタックデータ(平均ホットタック対温度)を示す。
【0070】
実施例2
実施例2は、米国特許第5,844,045号、米国特許第5,869,575号および米国特許第6,448,341号に従って製造された反応器内ブレンドであり、ここで、均一分枝ポリマーは第1反応器で製造され、メルトインデックス(I2)が2.5g/10分、密度が0.895g/cm3、メルトフロー比(I10/I2)が6.5、および、分子量分布(Mw/Mn)が2.1のエチレン/1−オクテンコポリマーであり、43パーセント(全組成物の重量基準)を構成する。また、不均一分枝エチレン/1−オクテンコポリマーは、第1の反応器に続いて操作される第2反応器で製造され、メルトインデックス(I2)が0.86g/10分、密度が0.926g/cm3であり、残余の57パーセント(全組成物の重量基準)を構成する。組成物全体は、メルトインデックス(I2)が1.5g/10分、密度が0.914g/cm3、メルトフロー比(I10/I2)が7.6、および分子量分布(Mw/Mn)が3である。図7は、この実施例のゲル透過クロマトグラフィー(GPC)曲線を示す。図8は、短鎖分枝分布(示差粘度計を備える分析昇温溶出分別(ATREF−DV)により測定)を示す。図9は、CRYSTAF LSで測定した短鎖分枝分布(SCBD)およびSCBDに対応する分子量を示す。この組成物を用い、表1に記載の条件に基づき、単層ブロウンフィルムを製造した。得られた単層フィルム特性を表6に示す。この樹脂を、表5に記載の条件に基づいて製造された共押出ブロウンフィルムのシーラントとして用いた。その共押出フィルムの構造は、1ミルのポリマーG/1ミルのポリマーH/1.5ミルの実施例2である。ここで、
・PolymerGは、BASFから市販のポリアミドコポリマー66/6(ナイロン66/6)であるCapron CA95QPであった。
・PolymerHは、Dow Chemical Companyから市販のエチレンアクリル酸コポリマー(メルトインデックス1.5g/10分、9.7重量パーセントアクリル酸)であるPRIMACOR 1410であった。
【0071】
表5
共押出ブロウンフィルム加工条件
ブロウアップ比: 2.5
ダイ: 8 in Coex
ダイギャップ: 70 mil
溶融温度: 440-460 oFあたりでフロート
ゲージ: 3.5 mil
【0072】
表6に示したフィルムの特性は以下のように測定された。フィルムのダート衝撃(タイプB)をASTM D−1709−85に従い測定した。エルメンドルフ引裂(タイプB)をASTM D−1922に従い測定した。ヘイズをASTM D−10003に従い測定した。45度グロスをASTM D−2457に従い測定した。透明度をASTM D−1746に従い測定した。
【0073】
一般的に、新規配合のエチレン/α−オレフィン組成物から製造されたフィルムは、光学特性(ヘイズ、45度グロス、透明度)とエルメンドルフ引裂の組合せが特に良好である。
表6
【表3】
【0074】
図10は、シーラント層として実施例2を使用した3層フィルム構造体のヒートシールデータ(平均ピーク荷重対温度)を示す。
【0075】
図11は、シーラント層として実施例2を使用した3層フィルム構造体のホットタックデータ(平均ホットタック対温度)を示す。
【0076】
一般的に、新規配合のエチレン/α−オレフィン組成物から製造されたシーラント層を含むフィルムは、卓越したヒートシール性能を示す。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】図1は、実施例1のゲル透過クロマトグラフィー(GPC)曲線を示す
【図2】図2は、実施例1の短鎖分枝分布(示差粘度計を備える分析昇温溶出分別(ATREF−DV)により測定)を示す。
【図3】図3は、比較実施例2のゲル透過クロマトグラフィー(GPC)曲線を示す。
【図4】図4は、比較実施例2の短鎖分枝分布(示差粘度計を備える分析昇温溶出分別(ATREF−DV)により測定)を示す。
【図5】図5は、様々なポリマー組成物をシーラント層として用いた3層フィルム構造のヒートシールのデータ(平均ピーク荷重対温度)を示す。
【図6】図6は、様々なポリマー組成物をシーラント層として用いた3層フィルム構造のホットタックのデータ(平均ホットタック対温度)を示す。
【図7】図7は、実施例2のゲル透過クロマトグラフィー(GPC)曲線およびデータを示す。
【図8】図8は、実施例2のATREF−DVを示す。
【図9】図9は、実施例2のCRYSTAF−LSデータを示す。
【図10】図10は、実施例2をシーラント層として用いる3層構造のヒートシールデータを示す。
【図11】図11は、実施例2をシーラント層として用いる3層フィルム構造のホットタックデータを示す。
【図12】図12は、適するCRYSTAF光散乱/粘度機器の図式である。
【図13】図13は、CRYSTAF−LSマルチ検出器プロフィールのプロットを示す。
【図14】図14は、CRYTAF−LSからの測定および推定分子量ならびに固有粘度のプロットを示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定のエチレン/α−オレフィンポリマーブレンド類を含む組成物に関連する。好適には、このポリマーブレンド類は(A)特定の性質を有する少なくとも1つの均一分枝エチレン/α−オレフィンインターポリマーを、(B)均一または不均一分枝エチレンポリマーと一緒にブレンドしたものを含む。このような組成物は、フィルム用途(例えばヒートシール性包装フィルム)にて特に有用である。
【背景技術】
【0002】
直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)および/または高密度ポリエチレン(HDPE)から製造される薄いフィルム製品は、商品用の袋、買い物袋、食品および専門品包装、および、産業用ライナー類などの包装用途に幅広く使用される。これらの用途において、フィルム製造者が、包装性能を維持しながら、正確な温度調節をあまり必要とせずに包装工程をより迅速に操作できるため、ヒートシール開始温度が低く、ヒートシール特性(例えばシール強度)に優れたフィルムが求められる。
【0003】
これまで、種々の不均一ポリマーを混合することによって、フィルムのヒートシール強度を最適化する試みがなされてきた。しかしこれらの場合では、得られるシール強度は、ブレンドのシール強度はその1成分のシール強度より低いことを意味する、混合物のルールに従うものだった。これらのブレンド類のシール強度に関しては、相乗効果は観察されなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これらの特性(例えば、改善されたモジュラス、降伏強度、衝撃強度、および、引裂強度)の組み合わせを有する加工品(例えばフィルム)を形成可能なポリマー類の開発が継続的に必要とされている。フィルム製造者および消費者の節約だけではなく、原料削減による環境保護も得られる、強度を失わずに薄肉化可能なフィルムを製造可能なポリマー類の必要性は特に大きい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
驚くべきことに、フィルムが少なくとも1つの均一分枝エチレン/α−オレフィンインターポリマーおよび均一もしくは不均一の分枝エチレン/α−オレフィンインターポリマーのブレンドから製造される場合に、そのフィルムは相乗的に強化された物理特性を持ちうることが見出された。これらの強化された特性としては、ヒートシールおよびホットタック開始温度が低く、シールバーの温度範囲が広く、エルメンドルフ引裂A、2パーセントMDセカントモジュラス、ブロッキング力およびヘイズが向上していることを挙げることができる。
【0006】
配合されたエチレン/α−オレフィン組成物は、物理的および機械的強度が改善されることが見出され、加工品の製造において有用である。これらの新規組成物から製造されるフィルム類およびフィルム層は、低ヒートシール開始温度において著しく優れたヒートシール性質を示し、シーラント類またはコーキング材類(特にフィルム層間における)に有用である。
【0007】
この組成物は、
(A)(i)密度が0.86グラム/立方センチメートル(g/cm3)から0.92g/cm3であり、
(ii)分子量分布(Mw/Mn)が1.8から2.8であり、
(iii)メルトインデックス(I2)が0.2グラム/10分から200g/10分であり、
(iv)高密度フラクションが存在しない、
少なくとも1つの均一分枝エチレン/α−オレフィンインターポリマーを10パーセント(全組成物の重量基準)から95パーセント(全組成物の重量基準)、および、
(B)密度が0.88g/cm3から0.945g/cm3の少なくとも1つの不均一分枝エチレンポリマーを5パーセント(全組成物の重量基準)から90パーセント(全組成物の重量基準)含み、
ここで、前記組成物は、(A)よりもメルトインデックスが低い。
【0008】
関連する実施態様においては、この組成物は、
(A)(i)密度が0.86グラム/立方センチメートル(g/cm3)から0.92g/cm3であり、
(ii)分子量分布(Mw/Mn)が1.8から2.8であり、
(iii)メルトインデックス(I2)が0.2グラム/10分から200g/10分であり、
(iv)高密度フラクションが存在しない、
少なくとも1つの均一分枝エチレン/α−オレフィンインターポリマーを10パーセント(全組成物の重量基準)から95パーセント(全組成物の重量基準)、および、
(B)密度が成分(A)よりも高く、ここで前記密度は0.88g/cm3から0.945g/cm3の少なくとも1つの均一分枝エチレンポリマーを5パーセント(全組成物の重量基準)から90パーセント(全組成物の重量基準)含み、
ここで、前記組成物は前記成分(A)よりもメルトインデックスが低い。
【0009】
他の態様においては、少なくとも1つのフィルム層がポリマー組成物から製造され、ここで、前記組成物のATREF−DVは、30℃から90℃の間に少なくとも1つの低温ピークを有することで特徴付けられ、ここで、前記最低温度ピークのMvは組成物の平均Mvより低い。好適には、前記最低温度ピークのMvは、組成物の平均Mvより少なくとも6パーセント低く、より好適には少なくとも7パーセント、8パーセント、9パーセント、10パーセント、11パーセント、12パーセント、13パーセント、14パーセント、または、最も好適には組成物全体の平均Mvよりも少なくとも15パーセント低い。好適には、前記最低温度ピークのMvは、組成物の平均Mvより40パーセント以下の範囲で低く、より好適には組成物の平均Mvより35パーセント、33パーセント、31パーセント、29パーセント、27パーセント以下の範囲で低く、最も好適には組成物の平均Mvより25パーセント以下の範囲で低い。本発明の目的においては、前記最低温度のピークが組成物の平均Mvより低い量は、以下の式に基づき決定可能である。
((平均Mv−最低温度のピークにおけるMv)/平均Mv)×100
【0010】
組成物はまた、好適には、ATREF−DVにおける低い温度ピークのMvよりも、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)により測定したMwが高い。
【0011】
さらに他の態様において、本発明はポリマー組成物から製造されたフィルム層であり、ここで前記組成物のCRYSTAF−LSは、30℃から90℃の間に最低温度ピークを有することにより特徴付けられ、ここで、前記最低温度ピークのMwは、組成物の平均Mwより少なくとも6パーセント低く、さらに好適には少なくとも7パーセント、8パーセント、9パーセント、10パーセント、11パーセント、12パーセント、13パーセント、14パーセント低く、または、最も好適には組成物全体の平均Mwよりも少なくとも15パーセント低い。好適には、前記最低温度ピークのMwは、組成物の平均Mwより40パーセント以下の範囲で低く、より好適には組成物の平均Mwより35パーセント、33パーセント、31パーセント、29パーセント、27パーセント以下の範囲で低く、最も好適には組成物の平均Mwより25パーセント以下の範囲で低い。本発明の目的においては、前記最低温度のピークが組成物の平均Mwより低い量は、以下の式に基づき決定可能である。
((平均Mw−最低温度のピークにおけるMw)/平均Mw)×100
【0012】
また、本発明は、少なくとも1つの均一分枝エチレン/α−オレフィンインターポリマーおよび少なくとも1つの他のエチレンポリマー、好適には、少なくとも1つの不均一分枝エチレン/α−オレフィンインターポリマーを含む組成物の改善であり、前記改善は、30℃から90℃の間に少なくとも1つの低温ピークを有することにより特徴づけられるCRYSTAF−LSを有する組成物を含み、ここで、前記最低温度ピークのMwは組成物の平均Mwよりも低い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
均一分枝エチレンポリマー
均一分枝エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、直鎖状または実質的に直鎖状であることが可能である。好適には、米国特許第5,272,236号に記載のような均一分枝の実質的に直鎖状のエチレン/α−オレフィンインターポリマーである。また、均一分枝エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、米国特許第3,645,992号に記載のような直鎖状エチレン/α−オレフィンインターポリマーでもよい。
【0014】
実質的に直鎖状のエチレン/α−オレフィンインターポリマーは、直鎖状低密度ポリエチレン(例えばチーグラー重合直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE))の記述に用いる従来の意味での「直鎖状」ポリマーではなく、低密度ポリエチレン(LDPE)の記述に用いるような高分枝ポリマーでもない。本発明の実質的に直鎖状のエチレン/α−オレフィンインターポリマーは、参照により全体として本明細書に組み込まれる米国特許第5,272,236号および米国特許第5,278,272号のように、本明細書中で定義される。
【0015】
本明細書に記載の組成物の形成に有用な均一分枝エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、コモノマーがあるインターポリマー分子内でランダムに分布し、実質的に全てのインターポリマー分子が、そのインターポリマー中で同一のエチレン/コモノマー比率を有するものである。インターポリマーの均一性は一般的には、SCBDI(短鎖分枝分布インデックス)またはCDBI(組成分布分枝インデックス)で表され、コモノマー含有量が総モルコモノマー含有量の中央値の50パーセント以内であるポリマー分子の重量パーセントとして規定される。ポリマーのCDBIは、例えばWild et al, Journal of Polymer Science, Poly. Phys. Ed., Vol. 20, p. 441 (1982)、または、米国特許第4,798,081号(Hazlitt et al.)もしくは米国特許第5,089,321号(Chum et al.)に記載の分析昇温溶出分別(本明細書では「ATREF」と略称する)のような、公知技術で得られるデータから容易に算出される。本発明の直鎖状および実質的に直鎖状のオレフィンポリマー類のSCBDIまたはCDBIは、好適には30パーセントより大きく、特に50パーセントより大きい。本発明で用いる均一エチレン/α−オレフィンポリマー類は、TREF技術で測定される測定限界以上の「高密度」フラクションを本質的に含まない(すなわち、均一エチレン/α−オレフィンポリマー類は、分枝度が2メチル/1000炭素以下のポリマーフラクションを含まない)。
【0016】
本発明で使用される実質的に直鎖状のエチレン/α−オレフィンインターポリマーは、一般的にエチレンと少なくとも1つのC3〜C20α−オレフィンおよび/またはC4〜C18ジオレフィンとのインターポリマーである。エチレンと1−オクテンのコポリマー類が特に好適である。
【0017】
本明細書で用いる「インターポリマー」の語は、コポリマーまたはターポリマーなどを示す。すなわち、インターポリマーの生成には、エチレンと少なくとも1つの他のコモノマーとを重合させる。2つ以上のコモノマーと共重合されるエチレンはまた、本発明で有用な均一分枝の実質的に直鎖状のインターポリマーの製造にも使用可能である。好適なコモノマーとしては、C3〜C20α−オレフィン類、特にプロペン、イソブチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル‐1‐ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネンおよび1−デセン、さらに好適には1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル‐1‐ペンテン、および、1−オクテンが挙げられる。
【0018】
「直鎖状エチレン/α−オレフィンインターポリマー」の語は、インターポリマーが長鎖分枝を含まないことを意味する。すなわち、直鎖状エチレン/α−オレフィンインターポリマーは長鎖分枝を含まず、例えば、均質(すなわち均一)分枝分布重合プロセス(例えば米国特許第3,645,992号(Elston)に記載)を用いて製造する直鎖状低密度ポリエチレンポリマーまたは直鎖状高密度ポリエチレンポリマーであり、ならびに、コモノマーが所定のインターポリマー分子内でランダムに分布し、実質的に全てのインターポリマー分子が、当該インターポリマー内で同一のエチレン/コモノマー比率を有するものである。「直鎖状エチレン/α−オレフィンインターポリマー」の語は、当業者に公知の多数の長鎖分枝を持つ高圧分枝(フリーラジカル重合)ポリエチレンを示さない。均一分枝直鎖状エチレン/α−オレフィンインターポリマー類の分枝分布は、直鎖状エチレン/α−オレフィンインターポリマー類には長鎖分枝がないことを除き、均一分枝の実質的に直鎖状のエチレン/α−オレフィンインターポリマー類の分枝分布と同一または実質的に同一である。均一分枝直鎖状エチレン/α−オレフィンインターポリマー類は、エチレンと少なくとも1つのC3〜C20α−オレフィンおよび/またはC4〜C18ジオレフィンとを含む。エチレンと1−オクテンのコポリマー類が特に好適である。好適なコモノマーとしては、C3〜C20α−オレフィン類、特にプロペン、イソブチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル‐1‐ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、および、1−デセンが挙げられ、より好適には1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル‐1‐ペンテン、および1−オクテンである。
【0019】
均一分枝の実質的に直鎖状および均一分枝の直鎖状エチレン/α−オレフィンインターポリマー類は両方とも、示差走査熱量測定法(DSC)を用いて測定した融点を単一で有することが可能であり、2つ以上の融点を有する従来の不均一分枝チーグラー重合エチレン/α−オレフィンコポリマー類とは対照的である。
【0020】
本発明の成分(A)として用いられる均一分枝エチレン/α−オレフィンインターポリマー類の密度(ASTM D−792に従って測定)は、一般的に0.86g/cm3から0.92g/cm3、好適には0.88g/cm3から0.915g/cm3、特に0.89g/cm3から0.91g/cm3未満である。本発明において成分(B)を使用の場合、密度は一般的に0.88g/cm3から0.945g/cm3である。
【0021】
組成物に含まれる均一分枝の実質的に直鎖状および均一分枝の直鎖状エチレン/α−オレフィンポリマーの量は、混合されるメルトインデックスが高い(好適には不均一分枝)エチレンポリマーによって異なる。
【0022】
本発明で使用される均一分枝エチレン/α−オレフィンインターポリマー類の分子量は、ASTM D−1238、条件190℃/2.16kg(以前は条件(E)またはI2として知られていた)に基づくメルトインデックスの測定値を使用して便利に示される。メルトインデックスは、ポリマーの分子量に反比例する。よって、分子量が高いほどメルトインデックスが低いが、線形の相関はない。成分(A)で用いられる均一分枝の直鎖状または実質的に直鎖状のエチレン/α−オレフィンインターポリマーのメルトインデックスの限界は200g/10分、好適には10g/10分であり、0.2g/10分以上、好適には1g/10分以上であることが可能である。
【0023】
均一分枝の直鎖状または実質的に直鎖状のエチレン/α−オレフィンインターポリマーの分子量を特徴づけるのに有用な他の測定は、ASTM D−1238、条件190℃/10kg(以前は条件(N)またはI10として知られる)に基づくメルトインデックス測定を使用して便利に示される。I10とI2のメルトインデックス条件の比はメルトフロー比であり、I10/I2と表す。一般的に、均一分枝直鎖状エチレン/α−オレフィンインターポリマーのI10/I2比は、5.6より大きい。本発明の組成物に用いる均一分枝の実質的に直鎖状のエチレン/α−オレフィンインターポリマー類においては、I10/I2比は長鎖分枝の程度を示し、すなわちI10/I2比が大きくなればなるほどインターポリマー中の長鎖分枝が多くなる。均一分枝の実質的に直鎖状のエチレン/α−オレフィンインターポリマー類では、I10/I2比が大きいほど、一般的に観察される加工性が良好となる。
【0024】
出願人が発見した強化された配合特性と干渉しない程度であれば、酸化防止剤(例えば、ヒンダードフェノール系(例えばCiba Geigy Corp.製造のIrganox 1010)、亜リン酸エステル系(例えばCiba Geigy Corp.製造のIrgafos(登録商標)168)、粘着剤類(例えばPIB)、ブロッキング防止剤類、顔料類、フィラー類のような他の添加物もまた組成物に含めることができる。
【0025】
CRYSTAF 光散乱粘度測定法
短鎖分枝分布の関数としての重量平均分子量および固有粘度推定値は、スペインのPolymer Charによって提供された特注のCRYSTAF光散乱/粘度測定器を使用した三次元結晶化分析分画(3D CRYSTAF)によって決定した。
【0026】
ポリマーサンプルを160℃において2時間、1、2、4−トリクロロベンゼンに1.5mg/mLの濃度で溶解し、次に95℃まで冷却し、それを分析開始まで45分間一定に保った。サンプリング温度は、0.1℃/分の冷却速度で95℃から30℃の範囲であった。この冷却段階において、結晶ポリマーが沈殿を起こし、よって溶液中のポリマー濃度が減少した。10μmプレカラム(PL Laboratories)、Precision Detectorsの光散乱ユニット、Polymer Charの赤外線濃度ユニット、および、自作4毛細管粘度計を備えるGPC様システムを含む、加熱されたオーブン(160℃に保つ)を通して、250μlのフィルター処理したアリコートを注入することによって、温度制御されたオーブン中の容器から自動化サンプリング測定を行った。適切なシステムを図12に図示する。各注入で、個別の濃度、光散乱、1mL/分の流量で作用する粘度計クロマトグラムを作成した。
【0027】
分析全体においては、25〜30の個別点を結晶化プロセスを通して測定する。各クロマトグラムのピーク高さまたは面積積分は、各サンプル点の濃度、光散乱および粘度計の反応の結果である。
【0028】
分析前には、既知の濃度、分子量および固有粘度の直鎖状ポリマー標準を用いて検出器を較正し、各検出器の較正定数を得る。実際のサンプル濃度は、濃度検出器の較正済みピーク高さまたは積分面積を参照して算出する。また、分子量および固有粘度を、光散乱または粘度計の高さもしくは面積の比によって算出し、続いて各較正定数によって補正し、絶対的分子量および固有粘度を得る。
【0029】
図13に示すような収集された濃度、分子量および固有粘度データは、結晶化後に残存する可溶ポリマーの累積的プロフィールを表す。これらの累積的分布の一次導関数は、図14で示すように、結晶ポリマーの濃度、分子量および固有粘度分布を結晶化温度の関数として与える。また、この結果として得られたプロフィールは、ポリマーの短鎖分枝分布の関数としての分子量および固有粘度値と解釈される。
【0030】
分子量分布の決定
ポリオレフィンポリマー、特にエチレンポリマーの分子量分布は、示差屈折率検出器および混合多孔度カラムを3本備えるWaters 150℃高温クロマトグラフィー装置により、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)を用いて行う。カラムはPolymer Laboratories製であり、一般的に103、104、105、106Åの細孔径で充填されている。溶媒は1,2,4−トリクロロベンゼンであり、それを用いて試料の0.3重量%溶液を調製して注入する。流速は1.0ミリリットル/分であり、ユニット操作温度は140℃であり、そして、注入量は100マイクロリットルである。
【0031】
ポリマー主鎖に関する分子量決定は狭分子量分布ポリスチレン標準(Polymer Laboratories製)を用い、その溶出容積との相関によって推定する。相当するポリエチレンの分子量は、ポリエチレンおよびポリスチレンに妥当するMark−Houwink係数(Williams and Word in Journal of Polymer Science, Polymer Letters, Vol. 6, (621) 1968に記載)を用いて、次の式:
M ホ゜リエチレン=a×(M ホ゜リスチレン)b
から求める。
【0032】
上記式においては、a=0.4316およびb=1.0である。重量平均分子量Mwは、通常の方式で、次の式:Mj=(Σwi*(Mij))jに従って算出する。[式中、wiは、GPCカラムから溶出するフラクションiの分子量Miの分子の重量フラクションであり、Mw測定時にはj=1であり、Mn測定時にはj=−1である。]。
【0033】
直鎖状および実質的に直鎖状のエチレン/α−オレフィンポリマー類の両方を含む均一分枝エチレン/α−オレフィンポリマー類においては、好適には分子量分布(Mw/Mn)は1.8から2.8であり、より好適には1.89から2.2であり、特に2である。
【0034】
不均一分枝エチレンポリマー
成分(A)の均一エチレン/α−オレフィンインターポリマーと混合されるエチレンポリマーは、密度が0.88g/cm3から0.945cm3g/で、メルトインデックスは成分(A)のメルトインデックスよりもさらに低い。この成分(B)は他の均一エチレン/α−オレフィンインターポリマーでもよいが、好適にはエチレンと少なくとも1つのC3〜C20α−オレフィンとの不均一分枝(例えばチーグラー重合)インターポリマー(例えば直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE))である。
【0035】
不均一分枝エチレン/α−オレフィンインターポリマー類は、主に分枝分布という点で均一分枝エチレン/α−オレフィンインターポリマーと異なる。例えば、不均一分枝LLDPEポリマーが有する分枝分布としては、高度分枝部分(超低密度ポリエチレンと同様)、中度分枝部分(中程度に分枝したポリエチレンと同様)、および、実質的に直鎖状の部分(直鎖状ホモポリマーポリエチレンと同様)が挙げられる。不均一分枝エチレンポリマーは、米国特許第4,076,698号(Anderson et al.)の技術を用いて製造可能である。
【0036】
これら各フラクションの量は、所望のポリマーの全体的特性によって異なり得る。例えば直鎖状ホモポリマーポリエチレンは、分枝および高度分枝フラクションのどちらでもない直鎖状フラクションを有する。また、密度が0.9g/cm3から0.915g/cm3の超低密度不均一ポリエチレン(Dow Chemical Company が販売するATTANE(商標)コポリマーおよびUnion Carbide Corporation が販売するFLEXOMER(商標)のような)は、高度短鎖分枝フラクションのパーセンテージが高く、よって、ポリマー全体の密度が低い。不均一分枝LLDPE(The Dow Chemical Companyから市販のDOWLEXのような)の高度分枝フラクションの量はより低いが、中度分枝フラクションの量はより大きい。
【0037】
より好適には、不均一分枝エチレンポリマーはエチレンとC3〜C20α−オレフィンとのコポリマーであり、ここで前記コポリマーは(i)密度が0.88g/cm3から0.945g/cm3であり、(ii)メルトインデックス(I2)が0.01g/10分から50g/10分である。
【0038】
本発明の組成物の成分(B)に用いるため選択された好適には不均一分枝のエチレンポリマーは、ポリマー組成物のメルトインデックスが成分(A)の分枝部分のメルトインデックスよりも低いメルトインデックスとなるようなものであるべきである。
【0039】
配合組成物
【0040】
本発明に開示の組成物は、各成分をドライブレンドした後に溶融混合したり、別の押出機(例えばBanburyミキサー、Haakeミキサー、Brabender内部ミキサー、または、二軸押出機)で事前に溶融混合するといった便利な方法で配合可能である。
【0041】
米国特許第5,844,045号、米国特許第5,869,575号、および、米国特許第6,448,341号は特に、少なくとも1つの反応器における均一系触媒および少なくとも1つの別の反応器における不均一系触媒を用いたエチレンおよびC3〜C20α−オレフィン類のインターポリマー化について説明している。これらの反応器は直列または並列に操作可能である。
【0042】
米国特許第6,538,070号、米国特許第6,566,446号および米国特許第6,545,088号は特に、均一触媒を少なくとも1つの反応器で用い、別の均一触媒を少なくとも1つの別の反応器で用いるエチレンとC3〜C20α−オレフィン類のインターポリマー化を記載する。これらの反応器は直列または並列に操作可能である。
【0043】
この組成物は、不均一分枝エチレン/α−オレフィンポリマーを、各フラクションの組成物(すなわち分枝)分布が狭い特定ポリマーフラクションへと分画し、特定の性質を有するフラクションを選択し、そして、適当量の選択されたフラクションを他のエチレンポリマーに配合することによって製造可能である。この方法は明らかに米国特許第5,844,045号、米国特許第5,869,575号および米国特許第6,448,341号の反応器内(in-situ)共重合体ほど経済的ではないが、本発明の組成物を得るためには使用可能である。
【0044】
新規組成物から製造された加工品
本明細書に開示の新規組成物から、多くの有用な加工品を得ることが可能である。例えば、成形操作を用いて、本明細書に開示の組成物から有用な加工品または部品を形成可能であり、これには様々な射出成形法(例えば、H. Randall ParkerによるModern Plastics Encyclopedia/89, Mid October 1988 Issue, Volume 65, Number 11, pp. 264-268, "Introduction to Injection Molding"およびMichael W. Greenによるpp. 270-271, "Injection Molding Thermoplastics"に記載のもの)、ブロー成形法(例えば、Christopher IrwinのModern Plastics Encyclopedia/89, Mid October 1988 Issue, Volume 65, Number 11, pp. 217-218, "Extrusion-Blow Molding"に記載のもの)、プロフィール押出、カレンダー加工、引抜成形(例えばパイプ)が挙げられる。本明細書に開示の新規組成物から、回転成形によって物品を製造することも可能である。回転成形技術は当業者に公知であるが、例えば、R. L. FairによるModern Plastics Encyclopedia/89, Mid October 1988 Issue, Volume 65, Number 11, pp. 296-301, "Rotational Molding"に記載のものがある。
【0045】
ファイバー類(例えばステープルファイバー類、メルトブローファイバー類またはスパンボンドファイバー類(例えば米国特許第4,340,563号、第4,663,220号、第4,668,566号、または第4,322,027号に開示されているシステムを用いたもの)、およびゲルスパンファイバー類(例えば米国特許第4,413,110号に開示されているシステムを用いたもの)、織布および不織布の両方(例えば米国特許第3,485,706号に開示されているスパンレース布)、または、そのようなファイバー類から製造される構造体(例えば、これらのファイバー類と他のファイバー類、例えばPETまたは綿とのブレンド))もまた、本明細書に記載の新規組成物から製造可能である。
【0046】
フィルムおよびフィルム構造体が本明細書に記載の新規組成物から特に恩恵を受け、それらは従来のホットブロウンフィルム製造方法、または、テンターフレームもしくは2重バブルプロセスのような他の2軸延伸プロセスを用いて製造可能である。従来のホットブロンフィルムプロセスは、例えばThe Encyclopedia of Chemical Technology, Kirk-Othmer, Third Edition, John Wiley & Sons, New York, 1981, Vol. 16, pp. 416-417 and Vol. 18, pp. 191-192に記載されている。米国特許第3,456,044号(Pahlke)に記載の「2重バブルプロセス」、ならびに、米国特許第4,352,849号(Mueller)、米国特許第4,820,557号(Warren)、米国特許第4,837,084号(Warren)、米国特許第4,865,902号(Golike et al.)、米国特許第4,927,708号(Herran et al.)、米国特許第4,952,451号(Mueller)、米国特許第4,963,419(Lustig et al.)、および、米国特許第5,059,481号(Lustig et al.)に記載のプロセスのような2軸延伸プロセスもまた、本明細書に記載の新規組成物からフィルム構造体を製造するため使用可能である。フィルム構造体は、延伸ポリプロピレンに用いられるようなテンターフレーム法によっても製造可能である。
【0047】
食品包装用途向けの他の多層フィルム製造方法は、Wilmer A. Jenkins および James P. HarringtonによるPackaging Foods With Plastics(1991), pp. 19-27、および、Thomas I. Butlerによる"Coextrusion Basics", Film Extrusion Manual:Process, Materials, Properties pp. 31-80 (TAPPI Press (1992)発行)に記載されている。
【0048】
フィルム類は単層でも多層フィルム類でもよい。本明細書に記載の組成物から製造されるフィルムを、他の1つまたは複数の層と共押出することもまた可能であり、また、前記フィルムは他の1つまたは複数の層と加工時にラミネート可能である。例えばこれらは、Wilmer A. JenkinsおよびJames P. HarringtonによるPackaging Foods With Plastics(1991)、またはW. J. SchrenkおよびC. R. Finchによる"Coextrusion For Barrier Packaging", Society of Plastics Engineers RETEC Proceedings, Jun. 15-17(1981), pp.211-229に記載されている。211-229. K. R. OsbornおよびW. A. Jenkinsによる "Plastic Films, Technology and Packaging Applications" (Technomic Publishing Co., Inc.(1992))に記載のように、単層フィルムをチューブラーフィルム(すなわちブロウンフィルム法)、またはフラットダイ(すなわちキャストフィルム)により製造する場合、これらのフィルムはさらに他の包装素材層と接着または押出ラミネートされる押出後工程を通過し、多層フィルムを形成してもよい。フィルムを2つ以上の層で共押出する場合(同じくOsbornおよびJenkinsに記載されている)でも、最終フィルムに対する物理的要求仕様に応じて、フィルムを追加の包装素材層とラミネートしてもよい。D. Dumbletonによる"Laminations Vs. Coextrusion" (Converting Magazine(September 1992)もまた、ラミネート対共押出を検討している。単層および共押出フィルム類にも、2軸延伸プロセスのような他の押出後加工をしてもよい。
【0049】
押出コーティングは、本明細書に記載の組成物を用いて多層フィルム構造体を製造するさらに別の手法である。新規組成物は、少なくとも1層のフィルム構造を含む。押出コーティングは、キャストフィルムのようなフラットダイを用いる手法である。単層または共押出された押出物として、シーラントを基材上に押出コーティングすることが可能である。
【0050】
本発明のフィルムおよびフィルム層は、縦型製袋充填(VFFS)用途に特に有用である。VFFS用途の改善、特にポリマーの改善を記載する特許としては、米国特許第5,228,531号、第5,360,648号、第5,364,486号、第5,721,025号、第5,879,768号、第5,942,579号および第6,117,465号が挙げられる。一般的には、多層フィルム構造体においては、本明細書に記載の組成物は多層フィルム構造体の少なくとも1層を構成する。多層構造体の他の層は、これらに限定されるものではないが、バリア層および/または接着層、および/または構造的な層を含む。これらの層には様々な素材を使用可能であり、同じフィルム構造体中で2層以上に用いられるものもある。これらの素材の一部としては、ホイル、ナイロン、エチレン/ビニルアルコール(EVOH)コポリマー類、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、延伸ポリプロピレン(OPP)、エチレン/酢酸ビニル(EVA)コポリマー類、エチレン/アクリル酸(EAA)コポリマー類、エチレン/メタクリル酸(EMAA)コポリマー類、LLDPE、HDPE、LDPE、ナイロン、グラフト接着ポリマー類(例えば無水マレイン酸でグラフトされたポリエチレン)、ならびに紙が挙げられる。一般的には、多層フィルム構造体は、2から7層を含む。
【実施例】
【0051】
実施例1
実施例1は、米国特許第5,844,045号、米国特許第5,869,575号および米国特許第6,448,341号に従って製造された反応器内ブレンドであり、ここで、均一分枝ポリマーは第1反応器で製造され、メルトインデックス(I2)が3.5g/10分、密度が0.895g/cm3、メルトフロー比(I10/I2)が6.5、および、分子量分布(Mw/Mn)が2.1のエチレン/1−オクテンコポリマーであり、47パーセント(全組成物の重量基準)を構成した。また、不均一分枝エチレン/1−オクテンコポリマーは、第1の反応器に続いて操作される第2反応器で製造され、メルトインデックス(I2)が0.8g/10分、密度が0.925g/cm3であり、残余の53パーセント(全組成物の重量基準)を構成した。組成物全体は、メルトインデックス(I2)が1.5g/10分、密度が0.914g/cm3、メルトフロー比(I10/I2)が7.3、および分子量分布(Mw/Mn)が2.89である。図1は本実施例のゲル透過クロマトグラフィー(GPC)曲線を示し、図2は短鎖分枝分布(示差粘度計を備える分析昇温溶出分別(ATREF−DV)により測定)を示す。表1に記載のように、この組成物はシーラントとして使用され、単層ブロウンフィルムを製造した。得られた単層フィルムの特性を表3に示す。表2に記載のように、実施例1の組成物はスリップ剤やアンチブロック剤とブレンドされ、共押出ブロウンフィルムのシーラントとして使用された。スリップ添加剤およびアンチブロック添加剤の使用は公知であった。これらの実施例では、スリップ剤は1000〜1500ppmのエルクアミドまたは0〜500ppmのステアルアミドであった。用いられたアンチブロック剤は、2500〜3000ppmのSiO2、または、0〜700ppmのフッ化エラストマーポリマー加工助剤であった。
【0052】
比較実施例2
比較実施例2は、米国特許第5,844,045号、米国特許第5,869,575号および米国特許第6,448,341号に従って製造された反応器内ブレンドであり、ここで、均一分枝ポリマーは第1反応器で製造され、メルトインデックス(I2)が0.27g/10分、密度が0.902g/cm3、および、分子量分布(Mw/Mn)が2のエチレン/1−オクテンコポリマーであり、38.5パーセント(全組成物の重量基準)を構成した。また、不均一分枝エチレン/1−オクテンコポリマーは、第1の反応器に続いて操作される第2反応器で製造され、メルトインデックス(I2)が1.7g/10分、密度が0.925g/cm3であり、残余の61.5パーセント(全組成物の重量基準)を構成する。組成物全体は、メルトインデックス(I2)が1g/10分、密度が0.916g/cm3、メルトフロー比(I10/I2)が7.7、および分子量分布(Mw/Mn)3.8である。図3は本実施例のゲル透過クロマトグラフィー(GPC)曲線を示し、図4は短鎖分枝分布(示差粘度計を備える分析昇温溶出分別(ATREF−DV)により測定)を示す。この組成物はシーラントとして使用され、表1に記載のような単層ブロウンフィルムおよび表2に記載のような共押出ブロウンフィルムを製造した。得られた単層フィルムの特性を表3に示す。
【0053】
表3はまた、未ブレンドのポリマーBおよびEXCEED 1012CAを比較のため含む。ポリマーBは、メルトインデックス(I2)が1g/10分で密度が0.92g/cm3の不均一分枝エチレン/1−オクテンコポリマーであった。EXCEED 1012CAは、メタロセン触媒を用い気相法で製造されたエチレン/1−ヘキセンコポリマーであり、メルトインデックス(I2)が1g/10分で密度が0.912g/cm3であった。
【0054】
表3に示したフィルムの特性は以下のように測定された。フィルムのダート衝撃(タイプB)をASTM D−1709−85に従い測定した。フィルムの引張強度、降伏点、靭性および2パーセントセカントモジュラスをASTM D−882に従い測定した。エルメンドルフ引裂(タイプB)をASTM D−1922に従い測定した。
【0055】
突刺は、インテグレーター、円形開口部にフィルムサンプルを張った状態にする試験片ホルダー、および、インストロンのクロスヘッドに装着されフィルムサンプル上を垂直に突く丸い先端(ボール)の棒状突刺装置を備える、インストロン張力計引張試験器を用いて測定した。インストロンは、クロスヘッドスピードが10インチ/分であり、チャート速度(使用される場合)が10インチ/分となるよう設定した。さらに、ロードセル能力(これらのテストでは100ポンドの加重)の50パーセントの加重範囲を用いるべきである。突刺装置は、クランピングユニットを下のマウントに取り付け、ボールをクロスヘッドの上部マウントへ取り付けるように、インストロンに設置した。6枚のフィルム試験片を用いた(各6インチ四方)。この試験片をフィルムホルダーに挟持し、またこのフィルムホルダーを取付金具で固定した。クロスヘッド移動を試験品が破れるまで続行するよう設定した。また、突刺抵抗は、突刺のエネルギーを試験フィルムの体積で除したものとして定義される。貫通抵抗(PR)は以下の式PR=E/((12)(T)(A))で算出される。[式中、PR=突刺抵抗(ft−lbs/in3)、E=エネルギー(インチ−ポンド)=荷重変位曲線下の面積、12=インチ/フィート、T=フィルム厚(インチ)、および、A=クランプ中のフィルムサンプル面積=12.56in2。]
【0056】
一般的に、新規配合のエチレン/α−オレフィン組成物から製造されたフィルムは、優れた衝撃および伸張特性、特に光学特性と引裂特性の良好な組み合わせを示す。さらに、実施例の樹脂によるフィルムは、数多くの主要な特性に関し、比較実施例の樹脂から製造されたフィルムと比較して著しい改善を示す。
【0057】
実施例1と比較例実施2を比較すると(両方とも米国特許第5,844,045号、米国特許第5,869,575号、および、米国特許第6,448,341号に基づき製造した)、図5に示されたデータは、本発明のブレンドから製造されたフィルムは、比較実施例2で製造されたフィルムより著しく低いヒートシール開始温度(10℃)を示すことを表す(ヒートシール開始温度は、一般的に最低でも1ポンドのピーク強度を達成する温度として測定される)。
【0058】
表1
単層ブロウンフィルム加工条件
ブロウアップ比: 2.5
フロストライン高:2.5 in
ダイ: 6 in Gloucester
ダイギャップ: 70 mil
溶融温度: 450 oF
スクリュー: 単一フライトダブルミックス
速度: ダイの6 lb/hr/in(120 lb/hr)
ゲージ: 2 mil
スクリーンパック:20/40/60/80/20
【0059】
表2
共押出ブロウンフィルム加工条件
層成分: 層1:ポリマーA/層2:75%ポリマーA+25%ポリマーC/
層3(シーラント層)実施例1の樹脂
層比率: 0.5 mil/1.0 mil/1.0 mil
ブロウアップ比: 2.5
ダイ: 8 in Coex
ダイギャップ:70 mil
溶融温度: 440-460 oFあたりでフロート
ゲージ: 2.5 mil
【0060】
表3
【表1】
【0061】
表中のデータが示すように、実施例1は他の3つの比較実施例よりかなり優れた(さらに低い)ヘイズ値を有し、より高い引裂特性も有する(実施例1では、Elmendorf引裂B CD(クロス方向)は1354gだが、比較実施例2では1095gどまりであり、さらに実施例1ではElmendorf引裂B MD(流れ方向)は1129gだが、比較実施例2では807gどまりである)。
【0062】
表4のデータは、VFFS構造体をシールし水槽に入れた後に減圧する水槽の水中で行われた、縦型製袋充填(VFFS)の袋完全性検査を示す。このデータは、漏れのないVFFS袋構造体のパーセントを示す。データは、比較実施例2に対して、実施例1のシールウィンドウが15°F広いことを示す。
【0063】
表4:シール完全性試験の結果。この結果は、シール完全性試験(水槽試験)に合格した袋のパーセントを示す。水槽の水中に袋を沈め、空気が漏出しないサンプルを合格サンプルとする。シール完全性試験水槽は、2フィート幅、2フィート高さ、2フィート深さであった。袋中には加圧(大気圧以外)しない。よって、袋には大気圧での充填後もいくらか空気が入っている。垂直シール温度は、各サンプルの最適温度を設定した。報告されている全温度の100パーセントを実際に検査したわけではない(グラフ用にデータを記入した)。試験品は、285°Fより温度が高くなると密閉部分の端部に深刻な変形を示した。袋は1分間に25袋製造された。
【0064】
表4のサンプル説明:
・EXCEED 1012CA−メルトインデックスが1.0g/10分、密度が0.912g/cm3の気相メタロセン。VFFS用途で要求されるCOFを調整するためにスリップ剤およびアンチブロック剤をブレンドした。
・比較実施例2:上述通りではあるが、VFFS用途で要求されるCOFを調整するためにスリップ剤およびアンチブロック剤をブレンドした。
・実施例1:上述通りではあるが、VFFS用途で要求されるCOFを調整するためにスリップ剤およびアンチブロック剤をブレンドした。
・ポリマーAは、200ppmのスリップ剤および3000ppmのアンチブロック剤を含む上述のポリマーBであった。ポリマーAおよびポリマーBは、米国特許第4,076,698号(Anderson et al.)に基づき製造可能である。ポリマーAおよびポリマーBは、メルトインデックス(I2)が1グラム/10分で、密度が0.92グラム/立方センチメートルの不均一分枝エチレン/1−オクテンコポリマーであった。
・ポリマーDは、メルトインデックス(I2)が0.85g/10分で密度が0.928g/cm3の不均一分枝エチレン/1−オクテンコポリマーであり、スリップ剤やアンチブロック剤とブレンドされ、米国特許第4,076,698号(Anderson et al.)に従って製造可能である。
・ポリマーEは、メルトインデックス(I2)が1g/10分で、密度が0.904g/cm3の実質的に直鎖状のエチレン/1−オクテンコポリマーであり、亜リン酸エステルおよびヒンダードフェノールで安定化された。ポリマーEは米国特許第5,272,236号および第5,278,272号に従い製造された。
・ポリマーFは、メルトインデックス(I2)が3g/10分で、密度が0.904g/cm3の実質的に直鎖状のエチレン/1−オクテンコポリマーであり、亜リン酸エステルおよびヒンダードフェノールで安定化された。ポリマーFは米国特許第5,272,236号および第5,278,272号に従い製造された。
・比較実施例3:47パーセントのポリマーEと53パーセントのポリマーDのブレンドである。
・比較実施例4:57パーセントのポリマーFと43パーセントのポリマーDのブレンドである。
【0065】
これらの樹脂はすべて以下の構造でシーラント層として使用された。
第1層:0.5ミルのポリマーA/第2層:1.0ミルで75パーセントのポリマーAおよび25パーセントのポリマーC/第3層(シーラント層)1.0ミル
【0066】
・ポリマーCは、改質プロピレン/エチレンコポリマー(酸化ジフェニル4,4’ビス‐スルホニルアジド(150ppm)改質インパクトコポリマーエチレン(8〜10重量パーセント)/ポリプロピレンであり、500ppmのステアリン酸カルシウム、600ppmのIrgafos 168、および、1000ppmのIrganox 1010を含む)、改質前メルトフロー比が0.8g/10分(条件230℃/2.16kg)であり、最終(改質後)MFRが0.4g/10分(条件230℃/2.16kg)であり、米国特許第6,528,136号、第6,143,829号、第6,359,073号およびWO99/10424の方法を用いて製造された。
【0067】
【表2】
【0068】
図5は、上述の様々なポリマー組成物をシーラント層として使用した3層フィルム構造のヒートシールデータ(平均ピーク荷重対温度)を示す。
【0069】
図6は、上述の様々なポリマー組成物をシーラント層として使用した3層フィルム構造のホットタックデータ(平均ホットタック対温度)を示す。
【0070】
実施例2
実施例2は、米国特許第5,844,045号、米国特許第5,869,575号および米国特許第6,448,341号に従って製造された反応器内ブレンドであり、ここで、均一分枝ポリマーは第1反応器で製造され、メルトインデックス(I2)が2.5g/10分、密度が0.895g/cm3、メルトフロー比(I10/I2)が6.5、および、分子量分布(Mw/Mn)が2.1のエチレン/1−オクテンコポリマーであり、43パーセント(全組成物の重量基準)を構成する。また、不均一分枝エチレン/1−オクテンコポリマーは、第1の反応器に続いて操作される第2反応器で製造され、メルトインデックス(I2)が0.86g/10分、密度が0.926g/cm3であり、残余の57パーセント(全組成物の重量基準)を構成する。組成物全体は、メルトインデックス(I2)が1.5g/10分、密度が0.914g/cm3、メルトフロー比(I10/I2)が7.6、および分子量分布(Mw/Mn)が3である。図7は、この実施例のゲル透過クロマトグラフィー(GPC)曲線を示す。図8は、短鎖分枝分布(示差粘度計を備える分析昇温溶出分別(ATREF−DV)により測定)を示す。図9は、CRYSTAF LSで測定した短鎖分枝分布(SCBD)およびSCBDに対応する分子量を示す。この組成物を用い、表1に記載の条件に基づき、単層ブロウンフィルムを製造した。得られた単層フィルム特性を表6に示す。この樹脂を、表5に記載の条件に基づいて製造された共押出ブロウンフィルムのシーラントとして用いた。その共押出フィルムの構造は、1ミルのポリマーG/1ミルのポリマーH/1.5ミルの実施例2である。ここで、
・PolymerGは、BASFから市販のポリアミドコポリマー66/6(ナイロン66/6)であるCapron CA95QPであった。
・PolymerHは、Dow Chemical Companyから市販のエチレンアクリル酸コポリマー(メルトインデックス1.5g/10分、9.7重量パーセントアクリル酸)であるPRIMACOR 1410であった。
【0071】
表5
共押出ブロウンフィルム加工条件
ブロウアップ比: 2.5
ダイ: 8 in Coex
ダイギャップ: 70 mil
溶融温度: 440-460 oFあたりでフロート
ゲージ: 3.5 mil
【0072】
表6に示したフィルムの特性は以下のように測定された。フィルムのダート衝撃(タイプB)をASTM D−1709−85に従い測定した。エルメンドルフ引裂(タイプB)をASTM D−1922に従い測定した。ヘイズをASTM D−10003に従い測定した。45度グロスをASTM D−2457に従い測定した。透明度をASTM D−1746に従い測定した。
【0073】
一般的に、新規配合のエチレン/α−オレフィン組成物から製造されたフィルムは、光学特性(ヘイズ、45度グロス、透明度)とエルメンドルフ引裂の組合せが特に良好である。
表6
【表3】
【0074】
図10は、シーラント層として実施例2を使用した3層フィルム構造体のヒートシールデータ(平均ピーク荷重対温度)を示す。
【0075】
図11は、シーラント層として実施例2を使用した3層フィルム構造体のホットタックデータ(平均ホットタック対温度)を示す。
【0076】
一般的に、新規配合のエチレン/α−オレフィン組成物から製造されたシーラント層を含むフィルムは、卓越したヒートシール性能を示す。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】図1は、実施例1のゲル透過クロマトグラフィー(GPC)曲線を示す
【図2】図2は、実施例1の短鎖分枝分布(示差粘度計を備える分析昇温溶出分別(ATREF−DV)により測定)を示す。
【図3】図3は、比較実施例2のゲル透過クロマトグラフィー(GPC)曲線を示す。
【図4】図4は、比較実施例2の短鎖分枝分布(示差粘度計を備える分析昇温溶出分別(ATREF−DV)により測定)を示す。
【図5】図5は、様々なポリマー組成物をシーラント層として用いた3層フィルム構造のヒートシールのデータ(平均ピーク荷重対温度)を示す。
【図6】図6は、様々なポリマー組成物をシーラント層として用いた3層フィルム構造のホットタックのデータ(平均ホットタック対温度)を示す。
【図7】図7は、実施例2のゲル透過クロマトグラフィー(GPC)曲線およびデータを示す。
【図8】図8は、実施例2のATREF−DVを示す。
【図9】図9は、実施例2のCRYSTAF−LSデータを示す。
【図10】図10は、実施例2をシーラント層として用いる3層構造のヒートシールデータを示す。
【図11】図11は、実施例2をシーラント層として用いる3層フィルム構造のホットタックデータを示す。
【図12】図12は、適するCRYSTAF光散乱/粘度機器の図式である。
【図13】図13は、CRYSTAF−LSマルチ検出器プロフィールのプロットを示す。
【図14】図14は、CRYTAF−LSからの測定および推定分子量ならびに固有粘度のプロットを示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)(i)密度が0.86グラム/立方センチメートル(g/cm3)から0.92g/cm3であり、
(ii)分子量分布(Mw/Mn)が1.8から2.8であり、
(iii)メルトインデックス(I2)が0.2グラム/10分から200g/10分であり、
(iv)高密度フラクションが実質的に存在しない、
少なくとも1つの均一分枝エチレン/α−オレフィンインターポリマーを10パーセント(全組成物の重量基準)から95パーセント(全組成物の重量基準)、および、
(B)密度が0.88g/cm3から0.945g/cm3の少なくとも1つの不均一分枝エチレンポリマーを5パーセント(全組成物の重量基準)から90パーセント(全組成物の重量基準)含み、
成分(A)よりもメルトインデックスが低いポリマー組成物より製造されたフィルム層。
【請求項2】
(C)(i)密度が0.86グラム/立方センチメートル(g/cm3)から0.92g/cm3であり、
(ii)分子量分布(Mw/Mn)が1.8から2.8であり、
(iii)メルトインデックス(I2)が0.2グラム/10分から200g/10分であり、
(iv)高密度フラクションが実質的に存在しない、
少なくとも1つの均一分枝エチレン/α−オレフィンインターポリマーを10パーセント(全組成物の重量基準)から95パーセント(全組成物の重量基準)、および、
(D)密度が0.88g/cm3から0.945g/cm3の均一分枝エチレンポリマーを5パーセント(全組成物の重量基準)から90パーセント(全組成物の重量基準)含み、
成分(A)よりも密度が高く、前記密度が0.88g/cm3から0.945g/cm3であり、前記成分(A)よりもメルトインデックスが低いポリマー組成物より製造したフィルム層。
【請求項3】
ヒートシール開始温度が105℃以下である、請求項1または2のフィルム層。
【請求項4】
前記組成物のメルトインデックスが0.5グラム/10分から30グラム/10分である、請求項1または2のフィルム層。
【請求項5】
ポリマー組成物から製造されたフィルム層であって、ここで前記組成物のATREF−DVは、30℃から90℃の間に少なくとも1つの低温ピークを有することで特徴付けられ、ここで、前記最低温度ピークのMvは前記組成物の平均Mvより最低でも6パーセント低い、フィルム層。
【請求項6】
前記成分(A)の均一分枝エチレン/α−オレフィンポリマーが、エチレンと少なくとも1つのC3〜C20α−オレフィンとのインターポリマーである、請求項1または2のフィルム層。
【請求項7】
前記不均一分枝エチレンポリマーが、エチレンとC3〜C20α−オレフィンとのコポリマーである、請求項1のフィルム層。
【請求項8】
前記不均一分枝エチレンポリマーが、エチレンと1−オクテンとのコポリマーである、請求項1のフィルム層。
【請求項9】
前記ポリマー組成物が、エチレンと1−オクテンとのコポリマーである均一分枝エチレン/α−オレフィンコポリマーを含む、請求項5のフィルム層。
【請求項10】
少なくとも1つの均一分枝エチレン/α−オレフィンインターポリマーおよび少なくとも1つの他の不均一分枝エチレン/α−オレフィンインターポリマーを含む組成物において、前記組成物のATREF−DVは30℃から90℃の間に少なくとも1つの低温ピークを有することにより特徴づけられ、ここで、前記最低温度ピークのMvは組成物の平均Mvよりも低いことを含む改善。
【請求項11】
(A)(i)密度が0.86グラム/立方センチメートル(g/cm3)から0.92g/cm3であり、
(ii)分子量分布(Mw/Mn)が1.8から2.8であり、
(iii)メルトインデックス(I2)が0.2グラム/10分から200g/10分であり、
(iv)高密度フラクションが実質的に存在しない、
少なくとも1つのエチレン/α−オレフィンインターポリマーを10パーセント(全組成物の重量基準)から95パーセント(全組成物の重量基準)、および、
(B)密度が0.88g/cm3から0.945g/cm3の少なくとも1つのエチレンポリマーを5パーセント(全組成物の重量基準)から90パーセント(全組成物の重量基準)含み、
(A)よりもメルトインデックスが低いポリマー組成物より製造したフィルム層。
【請求項12】
少なくとも1つの均一分枝エチレン/α−オレフィンインターポリマーおよび少なくとも1つの他のエチレンポリマーを含む組成物において、前記組成物のATREF−DVは30℃から90℃の間に少なくとも1つの低温ピークを有することにより特徴づけられ、ここで、前記最低温度ピークのMvは前記組成物の平均Mvよりも低いことを含む改善。
【請求項13】
(B)の密度が前記組成物の密度より高い、請求項1のフィルム層。
【請求項14】
前記均一分枝の実質的に直鎖状のエチレン/α−オレフィンインターポリマーが、エチレンと少なくとも1つのC3〜C20α−オレフィンとのインターポリマーである、請求項10の改善。
【請求項15】
前記均一分枝の実質的に直鎖状のエチレン/α−オレフィンインターポリマーが、エチレンとC3〜C20α−オレフィンとのコポリマーである、請求項10の改善。
【請求項16】
前記均一分枝の実質的に直鎖状のエチレン/α−オレフィンインターポリマーが、エチレンと1−オクテンとのコポリマーである、請求項10の改善。
【請求項17】
前記不均一分枝エチレンポリマーが、エチレンとC3〜C20α−オレフィンとのコポリマーである、請求項10の改善。
【請求項18】
前記不均一分枝エチレンポリマーが、エチレンと1−オクテンとのコポリマーである、請求項10の改善。
【請求項19】
前記組成物が、40パーセント(総組成物の重量基準)より多い成分(A)を含む、請求項1、2もしくは4のフィルム、または、請求項10もしくは12の組成物。
【請求項20】
(A)(i)密度が0.86グラム/立方センチメートル(g/cm3)から0.92g/cm3であり、
(ii)分子量分布(Mw/Mn)が1.8から2.8であり、
(iii)メルトインデックス(I2)が0.2グラム/10分から200g/10分であり、
(iv)高密度フラクションが実質的に存在しない、
少なくとも1つの均一分枝エチレン/α−オレフィンインターポリマーを10パーセント(全組成物の重量基準)から95パーセント(全組成物の重量基準)、および、
(B)密度が0.88g/cm3から0.945g/cm3で、分子量分布(Mw/Mn)が1.8から2.8である少なくとも1つの不均一分枝エチレンポリマーを5パーセント(全組成物の重量基準)から90パーセント(全組成物の重量基準)を含み、
全体として(A)よりもメルトインデックスが低いポリマー組成物より製造したフィルム層。
【請求項21】
ポリマー組成物から製造されたフィルム層であって、ここで前記組成物のCRYSTAF−LSは、30℃から90℃の間に最低温ピークを有することで特徴付けられ、ここで、前記最低温度ピークのMwは前記組成物の平均Mwより最低でも6パーセント低い、フィルム層。
【請求項22】
少なくとも1つの均一分枝エチレン/α−オレフィンインターポリマーおよび少なくとも1つの他の不均一分枝エチレン/α−オレフィンインターポリマーを含む組成物において、前記組成物のCRYSTAF−LSは30℃から90℃の間に少なくとも1つの低温ピークを有することにより特徴づけられ、ここで、前記最低温度ピークのMwは前記組成物の平均Mwよりも低いことを含む改善。
【請求項23】
少なくとも1つの均一分枝エチレン/α−オレフィンインターポリマーおよび少なくとも1つの他のエチレンポリマーを含む組成物において、前記組成物のCRYSTAF−LSは30℃から90℃の間に少なくとも1つの低温ピークを有することにより特徴づけられ、ここで、前記最低温度ピークのMwは前記組成物の平均Mwよりも低いことを含む改善。
【請求項1】
(A)(i)密度が0.86グラム/立方センチメートル(g/cm3)から0.92g/cm3であり、
(ii)分子量分布(Mw/Mn)が1.8から2.8であり、
(iii)メルトインデックス(I2)が0.2グラム/10分から200g/10分であり、
(iv)高密度フラクションが実質的に存在しない、
少なくとも1つの均一分枝エチレン/α−オレフィンインターポリマーを10パーセント(全組成物の重量基準)から95パーセント(全組成物の重量基準)、および、
(B)密度が0.88g/cm3から0.945g/cm3の少なくとも1つの不均一分枝エチレンポリマーを5パーセント(全組成物の重量基準)から90パーセント(全組成物の重量基準)含み、
成分(A)よりもメルトインデックスが低いポリマー組成物より製造されたフィルム層。
【請求項2】
(C)(i)密度が0.86グラム/立方センチメートル(g/cm3)から0.92g/cm3であり、
(ii)分子量分布(Mw/Mn)が1.8から2.8であり、
(iii)メルトインデックス(I2)が0.2グラム/10分から200g/10分であり、
(iv)高密度フラクションが実質的に存在しない、
少なくとも1つの均一分枝エチレン/α−オレフィンインターポリマーを10パーセント(全組成物の重量基準)から95パーセント(全組成物の重量基準)、および、
(D)密度が0.88g/cm3から0.945g/cm3の均一分枝エチレンポリマーを5パーセント(全組成物の重量基準)から90パーセント(全組成物の重量基準)含み、
成分(A)よりも密度が高く、前記密度が0.88g/cm3から0.945g/cm3であり、前記成分(A)よりもメルトインデックスが低いポリマー組成物より製造したフィルム層。
【請求項3】
ヒートシール開始温度が105℃以下である、請求項1または2のフィルム層。
【請求項4】
前記組成物のメルトインデックスが0.5グラム/10分から30グラム/10分である、請求項1または2のフィルム層。
【請求項5】
ポリマー組成物から製造されたフィルム層であって、ここで前記組成物のATREF−DVは、30℃から90℃の間に少なくとも1つの低温ピークを有することで特徴付けられ、ここで、前記最低温度ピークのMvは前記組成物の平均Mvより最低でも6パーセント低い、フィルム層。
【請求項6】
前記成分(A)の均一分枝エチレン/α−オレフィンポリマーが、エチレンと少なくとも1つのC3〜C20α−オレフィンとのインターポリマーである、請求項1または2のフィルム層。
【請求項7】
前記不均一分枝エチレンポリマーが、エチレンとC3〜C20α−オレフィンとのコポリマーである、請求項1のフィルム層。
【請求項8】
前記不均一分枝エチレンポリマーが、エチレンと1−オクテンとのコポリマーである、請求項1のフィルム層。
【請求項9】
前記ポリマー組成物が、エチレンと1−オクテンとのコポリマーである均一分枝エチレン/α−オレフィンコポリマーを含む、請求項5のフィルム層。
【請求項10】
少なくとも1つの均一分枝エチレン/α−オレフィンインターポリマーおよび少なくとも1つの他の不均一分枝エチレン/α−オレフィンインターポリマーを含む組成物において、前記組成物のATREF−DVは30℃から90℃の間に少なくとも1つの低温ピークを有することにより特徴づけられ、ここで、前記最低温度ピークのMvは組成物の平均Mvよりも低いことを含む改善。
【請求項11】
(A)(i)密度が0.86グラム/立方センチメートル(g/cm3)から0.92g/cm3であり、
(ii)分子量分布(Mw/Mn)が1.8から2.8であり、
(iii)メルトインデックス(I2)が0.2グラム/10分から200g/10分であり、
(iv)高密度フラクションが実質的に存在しない、
少なくとも1つのエチレン/α−オレフィンインターポリマーを10パーセント(全組成物の重量基準)から95パーセント(全組成物の重量基準)、および、
(B)密度が0.88g/cm3から0.945g/cm3の少なくとも1つのエチレンポリマーを5パーセント(全組成物の重量基準)から90パーセント(全組成物の重量基準)含み、
(A)よりもメルトインデックスが低いポリマー組成物より製造したフィルム層。
【請求項12】
少なくとも1つの均一分枝エチレン/α−オレフィンインターポリマーおよび少なくとも1つの他のエチレンポリマーを含む組成物において、前記組成物のATREF−DVは30℃から90℃の間に少なくとも1つの低温ピークを有することにより特徴づけられ、ここで、前記最低温度ピークのMvは前記組成物の平均Mvよりも低いことを含む改善。
【請求項13】
(B)の密度が前記組成物の密度より高い、請求項1のフィルム層。
【請求項14】
前記均一分枝の実質的に直鎖状のエチレン/α−オレフィンインターポリマーが、エチレンと少なくとも1つのC3〜C20α−オレフィンとのインターポリマーである、請求項10の改善。
【請求項15】
前記均一分枝の実質的に直鎖状のエチレン/α−オレフィンインターポリマーが、エチレンとC3〜C20α−オレフィンとのコポリマーである、請求項10の改善。
【請求項16】
前記均一分枝の実質的に直鎖状のエチレン/α−オレフィンインターポリマーが、エチレンと1−オクテンとのコポリマーである、請求項10の改善。
【請求項17】
前記不均一分枝エチレンポリマーが、エチレンとC3〜C20α−オレフィンとのコポリマーである、請求項10の改善。
【請求項18】
前記不均一分枝エチレンポリマーが、エチレンと1−オクテンとのコポリマーである、請求項10の改善。
【請求項19】
前記組成物が、40パーセント(総組成物の重量基準)より多い成分(A)を含む、請求項1、2もしくは4のフィルム、または、請求項10もしくは12の組成物。
【請求項20】
(A)(i)密度が0.86グラム/立方センチメートル(g/cm3)から0.92g/cm3であり、
(ii)分子量分布(Mw/Mn)が1.8から2.8であり、
(iii)メルトインデックス(I2)が0.2グラム/10分から200g/10分であり、
(iv)高密度フラクションが実質的に存在しない、
少なくとも1つの均一分枝エチレン/α−オレフィンインターポリマーを10パーセント(全組成物の重量基準)から95パーセント(全組成物の重量基準)、および、
(B)密度が0.88g/cm3から0.945g/cm3で、分子量分布(Mw/Mn)が1.8から2.8である少なくとも1つの不均一分枝エチレンポリマーを5パーセント(全組成物の重量基準)から90パーセント(全組成物の重量基準)を含み、
全体として(A)よりもメルトインデックスが低いポリマー組成物より製造したフィルム層。
【請求項21】
ポリマー組成物から製造されたフィルム層であって、ここで前記組成物のCRYSTAF−LSは、30℃から90℃の間に最低温ピークを有することで特徴付けられ、ここで、前記最低温度ピークのMwは前記組成物の平均Mwより最低でも6パーセント低い、フィルム層。
【請求項22】
少なくとも1つの均一分枝エチレン/α−オレフィンインターポリマーおよび少なくとも1つの他の不均一分枝エチレン/α−オレフィンインターポリマーを含む組成物において、前記組成物のCRYSTAF−LSは30℃から90℃の間に少なくとも1つの低温ピークを有することにより特徴づけられ、ここで、前記最低温度ピークのMwは前記組成物の平均Mwよりも低いことを含む改善。
【請求項23】
少なくとも1つの均一分枝エチレン/α−オレフィンインターポリマーおよび少なくとも1つの他のエチレンポリマーを含む組成物において、前記組成物のCRYSTAF−LSは30℃から90℃の間に少なくとも1つの低温ピークを有することにより特徴づけられ、ここで、前記最低温度ピークのMwは前記組成物の平均Mwよりも低いことを含む改善。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
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【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公表番号】特表2007−502907(P2007−502907A)
【公表日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−533552(P2006−533552)
【出願日】平成16年6月2日(2004.6.2)
【国際出願番号】PCT/US2004/017447
【国際公開番号】WO2004/111123
【国際公開日】平成16年12月23日(2004.12.23)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド (1,383)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年6月2日(2004.6.2)
【国際出願番号】PCT/US2004/017447
【国際公開番号】WO2004/111123
【国際公開日】平成16年12月23日(2004.12.23)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド (1,383)
【Fターム(参考)】
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