説明

エッジワイズコイル製造装置

【課題】絶縁被覆自己融着電線を編んだ編組線であって且つ断面が偏平形状の編組線(W3)を巻いたエッジワイズコイルを製造する。
【解決手段】編組線予備圧縮送出機構(10)から送り出された予備圧縮編組線(W2)を巻芯(1)にソレノイド状に巻き取る。この時、予備圧縮編組線(W2)が押し側面板(30C)の押し面(33)に接触してから円弧状に変形し巻芯(1)に巻き取られるまでの間に扁平編組線(W3)の扁平度へと扁平度を高めるように押し面(33)をテーパ面にする。
【効果】編組線にダメージを与えずにエッジワイズコイルを製造できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エッジワイズコイル製造装置に関し、さらに詳しくは、絶縁被覆自己融着電線を編んだ編組線であって且つ断面が偏平形状の編組線を巻いたエッジワイズコイルを製造するためのエッジワイズコイル製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数本の丸線、箔又は平角線の線材を配列して板状線材群とし、その板状線材群をエッジワイズ巻きしたエッジワイズコイルが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
他方、編組線をボビンに巻回した電子部品が知られている(例えば、特許文献2参照。)。但し、これはエッジワイズコイルではない。
【特許文献1】特開平4−75303号公報
【特許文献2】特開2002−141232号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
エッジワイズコイルでは、板状線材群を構成する素線本数を増やすほど渦電流が細分化され高周波損失を低減させうるが、上記従来のエッジワイズコイルでは素線が平行である構造上、素線本数を増やすのに限界があり、高周波損失を十分に低減させるのにも限界がある。また、各素線が平行であると、外側から内側までの素線間で電流の不均一を生じる問題点がある。
これに対して、絶縁被覆自己融着電線を編んだ編組線であって且つ断面が扁平形状の編組線を用いてエッジワイズコイルを製造すれば上記問題点を改善することが出来る。
しかし、従来、このようなエッジワイズコイルを製造するための装置は知られていない。
そこで、本発明の目的は、絶縁被覆自己融着電線を編んだ編組線であって且つ断面が偏平形状の編組線を巻いたエッジワイズコイルを製造するためのエッジワイズコイル製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1の観点では、本発明は、絶縁被覆自己融着電線を編んだ編組線であって且つ断面が扁平形状の編組線(W3)をソレノイド状に巻き取るための回転しうる巻芯(1)と、前記巻芯(1)に巻き取られた前記扁平形状の編組線(W3)よりも扁平度の低い編組線を前記巻芯(1)へ送り出す編組線送出手段(10)と、前記巻芯(1)に巻き取られた前記扁平形状の編組線(W3)の巻初め側面が押し付けられるのを受けるための受け面(21)を有し且つ前記巻芯(1)と共に回転しうる受け側面板(20)と、前記編組線送出手段(10)から送り出された前記編組線と接触して前記巻初め側面板(20)の受け面(21)に押し付ける方向に押す押し面(33)を有し且つ前記巻芯(1)に巻き取られた前記扁平形状の編組線(W3)の巻数に応じて前記巻芯(1)の回転軸方向に前記巻芯(1)に対して相対移動する押し側面板(30)とを具備し、前記巻初め側面板(20)の受け面(21)と前記押し面(33)の間隔は、前記編組線送出手段(10)から送り出された前記編組線が前記押し面(33)に接触してから円弧状に変形し前記巻芯(1)に巻き取られるまでの間に次第に近くなり、その間に前記編組線の扁平度が高められることを特徴とするエッジワイズコイル製造装置を提供する。
【0005】
上記構成において、扁平度が高い/低いとは、断面の長軸方向の長さ(幅)を短軸方向の長さ(厚さ)で割った値が大きい/小さいことをいう。
また、上記構成において、編組線送出手段(10)から送り出す編組線は、絶縁被覆自己融着電線を断面円形状または楕円状に編んだ編組線(W1)を用いてもよいし、巻芯(1)に巻き取る時の扁平度よりも低い扁平度の予備的偏平形状に圧縮した編組線(W2)を用いてもよい。
また、上記構成において、相対移動とは、巻芯(1)を固定し押し側面板(30)を移動してもよいし、その逆でもよいし、巻芯(1)および押し側面板(30)の両方を移動してもよい。
さらに、上記構成において、巻初め側面板(20)の受け面(21)と押し面(33)の間隔は、滑らかに変化させてもよいし、段階的に変化させてもよい。
【0006】
最初から高い扁平度にした編組線を円弧状に変形し巻芯に巻き取るようにすると、既に巻き取られている編組線と新たに巻き取られている編組線の摩擦によるダメージが大きかった。
そこで、上記第1の観点によるエッジワイズコイル製造装置では、編組線送出手段(10)から送り出された編組線が押し面(33)に接触してから円弧状に変形し巻芯(1)に巻き取られるまでの間に編組線の扁平度を高めるようにした。これにより、最初から高い扁平度にした編組線を円弧状に変形し巻芯に巻き取るよりも、編組線の受けるダメージを少なくすることが出来た。
【0007】
なお、所定の巻数だけソレノイド状に巻き終わると、編組線(W3)の巻初め側の端部と巻終り側の端部の絶縁被覆を除去し、それら端部に通電加熱装置を接続し通電加熱するか、又は、温風発生装置で温風を吹き付けて加熱し、自己融着させた後、冷却する。これにより、巻芯(1)から取り外しても、コイル形状を保つことが出来る。
【0008】
第2の観点では、本発明は、前記第1の観点によるエッジワイズコイル製造装置において、前記編組線送出手段が、断面円形状または楕円形状に絶縁被覆自己融着電線を編んだ編組線(W1)を圧縮し予備的扁平形状の編組線(W2)にして送り出す圧縮送りローラー(11,12)を含むことを特徴とするエッジワイズコイル製造装置を提供する。
上記第2の観点によるエッジワイズコイル製造装置では、圧縮送りローラー(11,12)により、絶縁被覆自己融着電線を断面円形状または楕円状に編んだ編組線(W1)を圧縮して断面が偏平形状の編組線(W2)とする。このため、絶縁被覆自己融着電線を断面円形状または楕円状に編んだ、入手が容易な編組線(W1)を用いることが出来る。
【0009】
第3の観点では、本発明は、前記第1または第2の観点によるエッジワイズコイル製造装置において、前記押し側面板(30)は、前記編組線送出手段(10)から送り出された前記編組線が嵌るガイド溝(32)を有し、前記ガイド溝(32)の底面が前記押し面(33)であることを特徴とするエッジワイズコイル製造装置を提供する。
上記第3の観点によるエッジワイズコイル製造装置では、ガイド溝(32)の形状により、編組線を円弧状に変形する速度や扁平度を高める速度を規定することが出来る。
【0010】
第4の観点では、本発明は、前記第3の観点によるエッジワイズコイル製造装置において、前記ガイド溝(32)は、直線部および円弧部からなることを特徴とするエッジワイズコイル製造装置(100)を提供する。
上記第4の観点によるエッジワイズコイル製造装置(100)では、直線と円弧でガイド溝(32)の形状を規定できるため、製作し易くなる。
【0011】
第5の観点では、本発明は、前記第3の観点によるエッジワイズコイル製造装置において、前記ガイド溝(32)は、螺旋部および円弧部からなることを特徴とするエッジワイズコイル製造装置(200)を提供する。
上記第5の観点によるエッジワイズコイル製造装置(200)では、曲率半径が徐々に変化する螺旋部があるため、編組線を自然に円弧状に変形させることが出来る。
【0012】
第6の観点では、本発明は、前記第1または前記第2の観点によるエッジワイズコイル製造装置において、前記押し側面板(30)は、截頭円錐面を有し、前記截頭円錐面の所定の角度位置が前記受け側面板(20)の受け面(21)に平行になるように前記巻芯(1)の回転軸方向に対して傾斜して設置され、前記截頭円錐面が前記押し面(33)であることを特徴とするエッジワイズコイル製造装置(300)を提供する。
上記第6の観点によるエッジワイズコイル製造装置(300)では、截頭円錐面の中心軸を含む断面で截頭円錐面を切る線が中心軸に対して成す角度により、編組線を円弧状に変形する速度や扁平度を高める速度を規定することが出来る。
【発明の効果】
【0013】
本発明のエッジワイズコイル製造装置によれば、絶縁被覆自己融着電線を編んだ編組線であって且つ断面が偏平形状の編組線を用いてエッジワイズコイルを製造することが出来る。また、巻線する際に編組線に与えるダメージを抑えることが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図に示す実施の形態により本発明をさらに詳細に説明する。なお、これにより本発明が限定されるものではない。
【実施例1】
【0015】
図1は、実施例1に係るエッジワイズコイル製造装置100を示す模式的側面図である。
このエッジワイズコイル製造装置100は、絶縁被覆自己融着電線を編んだ編組線であって且つ断面が扁平形状の扁平編組線W3をソレノイド状に巻き取るための回転しうる巻芯1と、扁平編組線W3よりも扁平度の低い予備圧縮編組線W2を巻芯1へ送り出す編組線予備圧縮送出機構10と、扁平編組線W3の巻初め側面が押し付けられるのを受けるための受け面21を有し且つ巻芯1と共に回転しうる受け側面板20と、予備圧縮編組線W2と接触して受け面21に押し付ける方向に押す押し面33を有し且つ巻芯1に巻き取られた扁平編組線W3の巻数に応じて巻芯1の回転軸方向に移動する押し側面板30Aと、主要な駆動部を内蔵した駆動機構部5とを具備している。
【0016】
巻芯1は、巻取りモーター40により、回転軸41で軸回転する。
【0017】
編組線予備圧縮送出機構10は、絶縁被覆自己融着電線を断面円形状または楕円状に編んだ編組線W1を圧縮し予備圧縮編組線W2として送り出す圧縮送りローラー11,12と、圧縮送りローラー12を回転駆動する送りモーター13と、圧縮送りローラー11,12および送りモーター13を支持し縦方向(巻芯1の回転軸41に平行な方向)および横方向(図1の紙面に直交する方向)に移動可能な可動アーム14と、可動アーム14を縦方向に移動させるための縦移動モーター15と、可動アーム14を横方向に移動させるための横移動モーター16とを含んでいる。
可動アーム14を縦方向および横方向に移動させることにより、予備圧縮編組線W2が押し側面板30Aに入る角度を調整できる。
【0018】
受け側面板20には、扁平編組線W3の巻き初めの端部である巻端末W4を通すスリットとそれを留める巻端末止め具22と最初の半ターンが嵌る傾斜状窪みを有している。
【0019】
押し側面板30Aは、回転しないが、巻芯1の回転軸41方向に移動しうる。すなわち、巻取りモータ−40の回転によりネジ棒47が回転すると、ネジ棒47と螺合している押し側面板30Aが移動する。48aおよび図2の48bは、押し側面板30Aが移動しうるように押し側面板30Aを支持する支持棒である。
【0020】
図2は、押し側面板30Aを取り去り且つ押し側面板30A側から受け側面板20側を見た模式図である。
編組線予備圧縮送出機構10から直線的に下がってきた予備圧縮編組線W2は、巻芯1に巻き付くように円弧状に変形し巻芯1に巻き取られる。
【0021】
図3は、押し側面板30Aを押し面33側から見た模式図である。
押し側面板30Aは、巻芯1が挿通される巻芯孔31および予備圧縮編組線W2が嵌るガイド溝32を有している。
ガイド溝32は、直線部および円弧部からなっている。
ガイド溝32の底面が、押し面33である
【0022】
図4は、図3のA−A’端面図である。図5は、図3のB−B’端面図である。図6は、図3のC−C’端面図である。図7は、図3のD−D’端面図である。図8は、図3のE−E’端面図である。図9は、図3のF−F’端面図である。
二点鎖線で示すように、予備圧縮編組線W2は、図8の右側、図9の右側、図4の左側、図5の左側、図6の左側、図7の左側、図8の左側、図9の左側、図4の右側、図5の右側、図6の右側、と進み、図7の右側に進むと巻芯1に巻き取られた扁平編組線W3となる。
図4の左側から図7の右側まで約270度の間に、ガイド溝32の底面すなわち押し面33が滑らかにせり上がっている。このため、この約270度の間に、予備圧縮編組線W2は、巻芯1に合った円弧状に変形し且つ扁平編組線W3の扁平度へと扁平度が高められてゆく。
【0023】
実施例1のエッジワイズコイル製造装置100によれば、絶縁被覆自己融着電線を編んだ編組線であって且つ断面が偏平形状の扁平編組線W3を巻いたエッジワイズコイルを製造することが出来る。そして、予備圧縮編組線W2が押し面33に接触してから円弧状に変形し巻芯1に巻き取られるまでの間に扁平編組線W3の扁平度へと扁平度を高めるようにしたので、最初から扁平編組線W3の扁平度にした編組線を巻芯1に巻き取るよりも、編組線の受けるダメージを少なくすることが出来る。
【実施例2】
【0024】
図10は、実施例2に係るエッジワイズコイル製造装置200を示す模式的側面図である。
このエッジワイズコイル製造装置200は、押し側面板30B以外の構成は、実施例1に係るエッジワイズコイル製造装置100と同じである。
【0025】
図11は、押し側面板30Bを取り去り且つ押し側面板30B側から受け側面板20側を見た模式図である。
編組線予備圧縮送出機構10から直線的に下がってきた予備圧縮編組線W2は、曲率半径を小さくしながら螺旋状に変形し、次いで巻芯1に巻き付くように円弧状に変形し、巻芯1に巻き取られる。
【0026】
図12は、押し側面板30Bを押し面33側から見た模式図である。
押し側面板30Bは、巻芯1が挿通される巻芯孔31および予備圧縮編組線W2が嵌るガイド溝32を有している。
ガイド溝32は、螺旋部および円弧部からなっている。
ガイド溝32の底面が、押し面33である
【0027】
図13は、図12のA−A’端面図である。図14は、図12のB−B’端面図である。図15は、図12のC−C’端面図である。図16は、図12のD−D’端面図である。図17は、図12のE−E’端面図である。図18は、図12のF−F’端面図である。
二点鎖線で示すように、予備圧縮編組線W2は、図18の右側の外側、図13の左側の外側、図14の左側、図15の左側、図16の左側、図17の左側、図18の左側、図13の右側、図14の右側、図15の右側、図16の右側、図17の右側、図18の右側の内側、と進み、図13の右側の内側に進むと巻芯1に巻き取られた扁平編組線W3となる。
図18の右側の外側から図13の右側まで約210度の間は、ガイド溝32の底面すなわち押し面33は深いまま一定である。このため、この約210度の間には、予備圧縮編組線W2は、曲率半径を小さくしながら螺旋状に変形するが、扁平度はほとんど変化しない。そして、図13の右側から図13の左側の内側まで約180度の間に、ガイド溝32の底面すなわち押し面33が滑らかにせり上がっている。このため、この約180度の間に、予備圧縮編組線W2は、巻芯1に合った円弧状に変形し且つ扁平編組線W3の扁平度へと扁平度が高められてゆく。
【0028】
実施例2のエッジワイズコイル製造装置200によれば、絶縁被覆自己融着電線を編んだ編組線であって且つ断面が偏平形状の扁平編組線W3を巻いたエッジワイズコイルを製造することが出来る。そして、予備圧縮編組線W2が押し面33に接触してから円弧状に変形し巻芯1に巻き取られるまでの間に扁平編組線W3の扁平度へと扁平度を高めるようにしたので、最初から扁平編組線W3の扁平度にした編組線を巻芯1に巻き取るよりも、編組線の受けるダメージを少なくすることが出来る。
【実施例3】
【0029】
図19は、実施例3に係るエッジワイズコイル製造装置300を示す模式的側面図である。
このエッジワイズコイル製造装置300は、押し側面板30Cおよび押し側面板30Cの保持機構45,46以外の構成は、実施例1に係るエッジワイズコイル製造装置100と同じである。
【0030】
押し側面板30Cは、截頭円錐面を有し、その截頭円錐面が押し面33になっている。そして、図19で最も手前方向となる截頭円錐面の角度位置が受け側面板20の受け面21に平行になるように巻芯1の回転軸方向に対して傾斜して設置されている。
【0031】
押し側面板30Cの保持機構45,46は、押し側面板30Cの姿勢を一定に維持し且つ従動的に回転しうるように押し側面板30Cを保持する。
【0032】
図20は、押し側面板30Cを取り去り且つ押し側面板30C側から受け側面板20側を見た模式図である。
編組線予備圧縮送出機構10から直線的に下がってきた予備圧縮編組線W2は、巻芯1に巻き付くように円弧状に変形し、巻芯1に巻き取られる。
【0033】
図21の(a)〜(d)は、押し側面板30Cの四面図である。
(b)を正面図とすると、(a)は上面図、(c)は左側面図、(d)は右側面図である。
図21の(a)に示す截頭円錐面すなわち押し面33のテーパ角αは、先に巻芯1に巻き取られている扁平編組線W3と押し面33の間に予備圧縮編組線W2が無理なく入れるように設定する。
巻芯1が挿通される巻芯孔31の内面も截頭円錐面になっている。
【0034】
実施例3のエッジワイズコイル製造装置300によれば、絶縁被覆自己融着電線を編んだ編組線であって且つ断面が偏平形状の扁平編組線W3を巻いたエッジワイズコイルを製造することが出来る。そして、予備圧縮編組線W2が押し面33に接触してから円弧状に変形し巻芯1に巻き取られるまでの間に扁平編組線W3の扁平度へと扁平度を高めるようにしたので、最初から扁平編組線W3の扁平度にした編組線を巻芯1に巻き取るよりも、編組線の受けるダメージを少なくすることが出来る。
【実施例4】
【0035】
図22は、実施例4に係るエッジワイズコイル製造装置400を示す模式的側面図である。
このエッジワイズコイル製造装置400は、反射型光センサ17,18および送り制御部16以外の構成は、実施例3に係るエッジワイズコイル製造装置300と同じである。
【0036】
図23は、押し側面板30Cを取り去り且つ押し側面板30C側から受け側面板20側を見た模式図である。
編組線予備圧縮送出機構10から直線的に下がってきた予備圧縮編組線W2は、曲率半径を小さくしながら螺旋状に変形し、次いで巻芯1に巻き付くように円弧状に変形し、巻芯1に巻き取られる。
【0037】
送り制御部16は、螺旋状に変形する予備圧縮編組線W2が反射型光センサ17,18の間を通るように、送りモーター13の回転速度を制御する。すなわち、予備圧縮編組線W2が反射型光センサ18より下がれば送りモーター13の回転速度を遅くし、予備圧縮編組線W2が反射型光センサ17より上がれば送りモーター13の回転速度を速くする。これにより、実施例1,2のようなガイド溝32がなくても、予備圧縮編組線W2の変形パターンを螺旋状に維持することが出来る。
【0038】
実施例4のエッジワイズコイル製造装置400によれば、絶縁被覆自己融着電線を編んだ編組線であって且つ断面が偏平形状の扁平編組線W3を巻いたエッジワイズコイルを製造することが出来る。そして、予備圧縮編組線W2が押し面33に接触してから円弧状に変形し巻芯1に巻き取られるまでの間に扁平編組線W3の扁平度へと扁平度を高めるようにしたので、最初から扁平編組線W3の扁平度にした編組線を巻芯1に巻き取るよりも、編組線の受けるダメージを少なくすることが出来る。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明のエッジワイズコイル製造装置は、高周波での損失が少ないエッジワイズコイルの製造に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】実施例1に係るエッジワイズコイル製造装置を示す模式的側面図である。
【図2】押し側面板を取り去り且つ押し側面板側から受け側面板側を見たときの模式図である。
【図3】押し側面板を押し面側から見た模式図である。
【図4】図3のA−A’端面図である。
【図5】図3のB−B’端面図である。
【図6】図3のC−C’端面図である。
【図7】図3のD−D’端面図である。
【図8】図3のE−E’端面図である。
【図9】図3のF−F’端面図である。
【図10】実施例2に係るエッジワイズコイル製造装置を示す模式的側面図である。
【図11】押し側面板を取り去り且つ押し側面板側から受け側面板側を見たときの模式図である。
【図12】押し側面板を押し面側から見た模式図である。
【図13】図12のA−A’端面図である。
【図14】図12のB−B’端面図である。
【図15】図12のC−C’端面図である。
【図16】図12のD−D’端面図である。
【図17】図12のE−E’端面図である。
【図18】図12のF−F’端面図である。
【図19】実施例3に係るエッジワイズコイル製造装置を示す模式的側面図である。
【図20】押し側面板を取り去り且つ押し側面板側から受け側面板側を見たときの模式図である。
【図21】押し側面板の四面図である。
【図22】実施例4に係るエッジワイズコイル製造装置を示す模式的側面図である。
【図23】押し側面板を取り去り且つ押し側面板側から受け側面板側を見たときの模式図である。
【符号の説明】
【0041】
1 巻芯
10 編組線予備圧縮送出機構
11,12 圧縮送りローラー
13 送りモーター
20 受け側面板
21 受け面
30 押し側面板
31 巻芯孔
32 ガイド溝
33 押し面
100,200,300,400 エッジワイズコイル製造装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁被覆自己融着電線を編んだ編組線であって且つ断面が扁平形状の編組線(W3)をソレノイド状に巻き取るための回転しうる巻芯(1)と、前記巻芯(1)に巻き取られた前記扁平形状の編組線(W3)よりも扁平度の低い編組線を前記巻芯(1)へ送り出す編組線送出手段(10)と、前記巻芯(1)に巻き取られた前記扁平形状の編組線(W3)の巻初め側面が押し付けられるのを受けるための受け面(21)を有し且つ前記巻芯(1)と共に回転しうる受け側面板(20)と、前記編組線送出手段(10)から送り出された前記編組線と接触して前記巻初め側面板(20)の受け面(21)に押し付ける方向に押す押し面(33)を有し且つ前記巻芯(1)に巻き取られた前記扁平形状の編組線(W3)の巻数に応じて前記巻芯(1)の回転軸方向に前記巻芯(1)に対して相対移動する押し側面板(30)とを具備し、前記巻初め側面板(20)の受け面(21)と前記押し面(33)の間隔は、前記編組線送出手段(10)から送り出された前記編組線(W2)が前記押し面(33)に接触してから円弧状に変形し前記巻芯(1)に巻き取られるまでの間に次第に近くなり、その間に前記編組線の扁平度が高められることを特徴とするエッジワイズコイル製造装置。
【請求項2】
請求項1に記載のエッジワイズコイル製造装置において、前記編組線送出手段が、断面円形状または楕円形状に絶縁被覆自己融着電線を編んだ編組線(W1)を圧縮し予備的扁平形状の編組線(W2)にして送り出す圧縮送りローラー(11,12)を含むことを特徴とするエッジワイズコイル製造装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のエッジワイズコイル製造装置において、前記押し側面板(30)は、前記編組線送出手段(10)から送り出された前記編組線が嵌るガイド溝(32)を有し、前記ガイド溝(32)の底面が前記押し面(33)であることを特徴とするエッジワイズコイル製造装置。
【請求項4】
請求項3に記載のエッジワイズコイル製造装置において、前記ガイド溝(32)は、直線部および円弧部からなることを特徴とするエッジワイズコイル製造装置(100)。
【請求項5】
請求項3に記載のエッジワイズコイル製造装置において、前記ガイド溝(32)は、螺旋部および円弧部からなることを特徴とするエッジワイズコイル製造装置(200)。
【請求項6】
請求項1または請求項2に記載のエッジワイズコイル製造装置において、前記押し側面板(30)は、截頭円錐面を有し、前記截頭円錐面の所定の角度位置が前記受け側面板(20)の受け面(21)に平行になるように前記巻芯(1)の回転軸方向に対して傾斜して設置され、前記截頭円錐面が前記押し面(33)であることを特徴とするエッジワイズコイル製造装置(300)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2010−62481(P2010−62481A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−229178(P2008−229178)
【出願日】平成20年9月8日(2008.9.8)
【出願人】(000003414)東京特殊電線株式会社 (173)
【Fターム(参考)】