エッチングプロセス内の赤外線伝播による基板温度測定
プロセス中の温度を測定するための方法及び装置が提供される。一実施形態において、チャンバ本体と、チャンバ本体を取り囲むチャンバ蓋と、基板サポートアセンブリを含む、エッチングプロセス中の基板温度を測定するための装置が提供される。基板サポートアセンブリの基板サポート面には、複数の窓が形成される。基板サポートアセンブリを介して信号発生器が窓に光学的に結合される。センサが基板サポートの上方に位置し、少なくとも1つの窓を通して信号発生器から伝播されたエネルギーを受信するために配置されており、センサは透過率の計量値を検出するために構成される。
【発明の詳細な説明】
【背景】
【0001】
(分野)
本発明の態様は、概して、半導体基板温度を測定するための方法及び装置に関する。より明確には、本発明の態様は、基板の赤外線伝播によるエッチングプロセス内の半導体基板温度を測定するための方法及び装置に関する。
【0002】
(関連技術の説明)
超大規模集積(ULSI)回路は、シリコン(Si)基板などの半導体基板上に形成される10億個以上の電子デバイス(例えば、トランジスタ)を含み、装置内で様々な機能を実行するために協調するかもしれない。処理の間、時折多くの熱処理工程が基板表面上で実行される。熱処理は通常、工程管理のための正確な基板温度測定を必要とする。不正確な基板温度制御は、デバイス性能に悪影響を及ぼすかもしれない悪いプロセス結果をもたらし、及び/又は基板フィルム材料の損傷をもたらすかもしれない。
【0003】
処理の間、異なるタイプの温度計測ツールが、基板温度を測定するのに使用されてもよい。例えば、熱電対は基板表面上の所定の位置で物理的に基板に接触することによって基板温度を測定するのにしばしば使用される。しかしながら、より大きな直径の基板において、基板表面全域に亘る全体の温度ばらつきは、測定地点間の距離が大きいので決定するのは困難である。更に、基板表面への熱電対の熱的物理的接触の信頼性は、制御が困難であり、コンタミネーションの問題を抱えている。
【0004】
あるいは、光高温測定が基板温度を測定するのに時々使用される。処理の間に基板表面から放出される放射が、光高温測定センサによって測定され、基板温度が決定される。しかしながら、基板表面からの光放射の測定は、加熱要素からの強力な照明又はプラズマ源からの熱、チャンバ壁からの光放射及び/又は窓からの迷光のような背景ノイズから分離するのが困難である。基板表面からの光放射が正確に測定されず、背景ノイズが温度測定に更に誤差を与えるかもしれないので、実際の基板表面温度を正確に測定するのは困難である。これは、誤った基板温度の決定と、その結果悪い処理結果をもたらすかもしれない。
【0005】
従って、基板温度測定のための改良された方法及び装置に対する必要性がある。
【概要】
【0006】
プロセス中の温度を測定するための方法及び装置が提供される。一実施形態において、チャンバ本体と、チャンバ本体を閉じ込めるチャンバ蓋と、基板サポートアセンブリを含む、エッチングプロセス中の基板温度を測定するための装置が提供される。基板サポートアセンブリの基板サポート面には、複数の窓が提供される。基板サポートアセンブリを介して信号発生器は窓に光学的に結合される。センサが基板サポートの上方に位置し、少なくとも1つの窓を通して信号発生器から伝播されたエネルギーを受信するために配置されており、センサは透過率の計量値を検出するために構成される。
【0007】
別の実施形態において、プロセスチャンバ内に基板を提供し、基板にエッチングプロセスを実行し、エッチング中に基板の透過率の変化を検出し、透過率の変化に基づいて基板の温度を決定するステップを含む、エッチングプロセス中の基板温度を測定する方法が提供される。
【0008】
更に別の実施形態においては、ワークピースの温度を変えるプロセスをワークピースに実行し、プロセスを実行している間、赤外光をワークピースに通過させ、ワークピースの透過率を示す伝播された赤外光の計量値を検出し、検出された計量値に基づいてワークピース温度を計算するステップを含む、処理中にワークピースに実行される間の温度を測定する方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本発明の上述した構成を詳細に理解することができるように、上記に簡単にまとめた本発明のより特定の説明を実施形態を参照して行う。いくつかの実施形態は添付図面に示されている。しかしながら、添付図面は、本発明の典型的な実施形態を示しているに過ぎず、従って、その範囲を制限していると解釈されるべきではなく、本発明は他の等しく有効な実施形態を含み得ることに留意すべきである。
【0010】
【図1A】〜
【図1C】本発明を実施するために適した例示的処理装置の簡素化された概略図を示す。
【図2】異なる基板温度におけるシリコン基板透過率とIR光波長の関係を示したグラフを示す。
【図3】あるIR光波長におけるシリコン基板透過率と基板温度の関係を示したグラフを示す。
【図4】伝播されたエネルギーと時間の関係を示したグラフを示す。
【図5A】本発明を実施するために構成された例示的処理装置の概略図を示す。
【図5B】〜
【図5C】図5Aの処理装置内に配置された基板サポートアセンブリの異なる実施形態の上面図を示す。
【図6】本発明を実施するためにそれに組み込まれた図5Aの装置の少なくとも1つを有する例示的処理システムの概略図を示す。
【図7】図5A〜図5Cの装置を利用して基板温度を検出するフローチャートを示す。
【0011】
理解を促進するために、図面に共通する同一の要素を示す際には可能な限り同一の参照番号を使用している。一実施形態の要素及び構成は更なる説明なしに他の実施形態に有益に組み込んでもよいと理解される。
【0012】
しかしながら、添付図面は本発明の例示的な実施形態を示しているに過ぎず、従って、その範囲を制限していると解釈されず、本発明は他の均しく有効な実施形態を含みえることに留意すべきである。
【詳細な説明】
【0013】
本発明の実施形態は、エッチングプロセス中の基板温度を測定するための方法及び装置を提供する。一実施形態において、基板温度は基板を通過するエネルギーの透過率における変化をモニターすることによって決定されてもよい。例示的なプラズマプロセスには特に、エッチング、堆積、アニーリング、プラズマ表面処理、イオン注入が含まれる。
【0014】
図1A〜1Cは、本発明を実施するために適した簡略化された処理装置の概略図を示している。簡略化された処理装置100は、真空下で動作される。装置100は、装置100に配置された基板102に熱エネルギーを提供するために適応した発熱体108を含んでいる。一実施形態において、発熱体108は基板102に隣接して発生するプラズマから提供される。別の実施形態において、発熱体108はその代わりに加熱された基板ホルダー、加熱されたサポート台、抵抗ヒーター、又は基板の温度を上げるのに適当な他の発熱体によって提供されてもよい。
【0015】
図1Aに示される一実施形態において、信号発生器104及びセンサ106は、基板102の上側の上方に配置される。信号発生器104は、基板102の上方に配置され、基板102を通して伝播される信号110を発生させる。信号発生器104は、基板102を透過できる少なくとも1つの波長を有するエネルギーを提供するエネルギー源であってもよく、レーザ及び広帯域光源を含んでもよい。信号110が基板102に当たると、信号110の一部112が基板の上面から直接反射する。信号110の別の一部114は、基板102を通過し、少なくとも部分的に基板102によって吸収される。信号110の一部114は、基板102を通過し、基板102の下面で反射する。センサ106は、基板102の下面で反射した信号114を受信するのに利用される。基板102を通過しないでセンサ106に反射した信号112をスクリーニングするのに、フィルタ(図示せず)を使用してもよい。
【0016】
コントローラ120は、受信した信号を分析するためにセンサ106に接続されている。コントローラ120は、概して、中央演算処理装置(CPU)138、メモリ140、サポート回路142を含む。CPU138は工業環境で使用可能な汎用コンピュータプロセッサのどんな形態のうちの1つであってもよい。サポート回路142は、慣習的にCPU138と結合され、キャッシュ、クロック回路、入力/出力サブシステム、電源等を含んでいてもよい。ソフトウェアルーチンがCPU138によって実行されると、CPU138は特定の目的のコンピュータ(コントローラ)144に変わる。また、ソフトウェアルーチンは、システム100から離れて位置する第2のコントローラ(図示せず)によって格納され、及び/又は実行されてもよい。
【0017】
図1Aの構成と同様に、図1Bは、信号発生器104及びセンサ106が基板102の下面の下方に配置される別の実施形態を示している。
【0018】
図1Cは、信号発生器104及びセンサ106が基板102の反対側に配置されている更に別の実施形態を示している。信号発生器104は、基板102の上方に配置され、信号110を生成する。センサ106は、基板102を通過する信号110の一部114を受信するために信号発生器104と反対側の位置に配置される。二次反射した信号122がセンサ106から反射し、信号122の一部124が基板102の上側へ更に戻って基板102を通過してもよい。従って、信号発生器104とセンサ106の1組以上が、プロセス中に信号114、124をどんな方向へも発生させて受信するように、基板102の異なる側に配置されて利用されてもよい。
【0019】
異なる基板材料は、異なる温度及び異なる波長で異なる光透過率を持っているかもしれない。発熱体108が熱エネルギーを基板表面に提供すると、基板温度は変化する。信号110の一部114は基板102を通過し、別の一部は吸収される。基板102を通過した信号の量は基板102の温度に依存している。従って、基板102が加熱されると、基板102を通過してセンサ106へ伝播される信号114の量は変化する。センサ106は基板102の温度を示す信号114の変化を検出する。検出された信号114の変化に基づいて、それに従って基板温度を決定してもよい。
【0020】
一実施形態において、信号発生器104は異なる波長を有する光発生器であってもよい。例えば、信号発生器104は約1000nmと約1400nmの間の範囲に中心をもつ狭い波長帯域を有するレーザ光線を提供してもよい。別の実施形態において、信号発生器104は約1100nmと約1300nmの間の波長を有する光エネルギーを提供してもよい。
【0021】
図2は、異なる基板温度で異なる波長で基板の材料としてシリコンを使用した基板の光スペクトルトレースを示している。スペクトルトレース202、204、206は、異なる温度での波長の関数としてシリコン半導体材料の透過率を示している。一実施形態において、測定されたような透過率は、例えば摂氏約25度のような室温におけるシリコンの非透過性をベースラインとして基準化するために正規化され、点線210によって示されるように1.00の値を示している。基板透過率のその後の測定は、基板温度の上昇に伴う、正規化されたベースラインに対する測定対象への相対的で断片的な光伝播である。なお、正規化及び断片的で相対的な基板光伝播測定によって、異なる基板ドーパント又は異なる材料を基板上に配置した基板のように、基板の無感度を除去することができ、その結果、基板温度測定プロセスを標準化する。
【0022】
トレースは、透過率が特定の波長範囲で基板温度に関連するかもしれないことを示している。例えば、第1ゾーン230内の約1000nm未満の第1波長においては、基板温度の変化にもかかわらず、基板は実質的にIR光を透過しない状態を維持している。第2ゾーン234内の約1250nmより大きい第2波長においては、基板温度の変化にもかかわらず、基板は実質的にIR光を透過する状態を維持している。対照的に、約1000nmと約1250nmの間の波長においては、第3ゾーン232に示されるように、基板の透過率は急速に変化する。従って、第3ゾーン232の波長範囲に対して、基板温度が増加すると、それぞれの透過率のトレースライン202、204、206の傾きは変化する。従って、良好な測定分解能を得るのに十分な傾きを有する波長を選択することにより、基板温度の変化は強度における変化を検出することによって決定されてもよい。更に、第3ゾーン232内の異なる波長は異なる基板温度挙動を有しているので、興味のある温度に対して透過率の変化が急速な波長を選択してもよい。興味のある温度を決定する際に良好な分解能を確保するために、興味のある温度を含む温度範囲において基板の透過率が急速に変化する波長を慎重に選択する必要がある。例えば、約1100nmの光の波長212において、基板温度の上昇によって、シリコン基板の透過率は、トレースライン202上の第1ポイント216から第2ポイント218へ向かって第3ポイント220へと急速に変化する。これらのポイント216、218、220の信号強度値の変化は、コントローラによって高い信頼性で検出可能な範囲内、(例えば、信号強度が0.2より大きい)範囲内にあり、その結果、コントローラは検出された信号強度値を正確に読み、測定された信号強度に基づいて基板温度を正確に決定することができる。一実施形態においては、コントローラは、約1100nmの波長における基板の温度変化が摂氏約25度から摂氏約350度まで及ぶことを決定するために構成される。対照的に、約1200nmを超える光の波長240において、摂氏約300度を超える基板温度は、信号強度の変化が摂氏250度未満の基板温度と比べて相対的に低いので、検出可能な範囲を逸脱するかもしれない。従って、約1200nmの波長範囲において高い信頼性で検出可能な基板の温度変化は、摂氏約25度から摂氏約200度まで決定できる。従って、慎重に選択された波長で基板透過率における変化を測定することによって、基板温度は高い信頼性で正確に測定されるかもしれない。
【0023】
図3は基板温度が上昇した際の約1200nmの波長で測定された基板の光の透過率を示している。トレース302は摂氏約60度と摂氏約300度の間の温度関数としてシリコン半導体材料の透過率を示している。基板が摂氏60度未満の温度であるときは、第1温度ゾーン304に示されるように、基板の光透過性は一定に保たれており、それに続くデータ点の測定対象に対するベースラインとして正規化されている。基板温度が、例えば摂氏60度を超えるように、ある値を超えて上昇すると、基板の透過率における変化は急速となる。従って、トレースライン302の傾き360は、より急速に変化を始める。基板温度が増加するのにつれて、トレースライン302の傾きは変化し、基板はその透過性を失う。従って、基板温度は測定されたエネルギー強度に基づいて決定されてもよい。
【0024】
図4は、コントローラ120によって検出されるように、基板102を通して伝播されたIR光エネルギーのトレース402を基板温度の関数として示している。エネルギートレース402は、基板温度が増加した際の、基板102を通して伝播された光エネルギー強度の変化を表している。装置100に入る基板は、高い透過率と低い温度T1を有していてもよい。従って、発熱体108及び/又は信号発生器104からかなりの量の光エネルギーが基板102を通ってセンサ106に伝播される。トレース402のポイント404に示されるように、センサ106は、低い温度T1で初期検出時間t1において高いエネルギー透過率を示している。IR光が基板102に一定のレベルで供給されると、基板の温度は上昇する。基板温度がより高い温度T2に上昇すると、より熱い基板はより多くのIR光を吸収し、伝播されるIRエネルギーの減少をもたらすので、シリコン基板に対する透過率の変化は減少する。時間t2のポイント406に示されるように、高い基板温度T2で多くの吸収が起こるので、センサ106によって検出された光エネルギーは低い。
【0025】
図5Aは、図1A〜Cの基板102などのような基板上でエッチング又は他のプラズマプロセスを実行するために使用可能なプロセスチャンバ500の一実施形態を示している。例示的なプロセスチャンバ500は本発明を実施するのに実例として使用されるかもしれない基板台アセンブリ502及びチャンバ蓋532の一実施形態を含んでいる。ここに示されるプロセスチャンバ500の特定の実施形態は説明の目的のために提供され、本発明の範囲を制限するために使用されるべきではない。一実施形態において、プロセスチャンバはアプライドマテリアルズ社から入手可能なHART(商標名)チャンバであってもよい。その代わりに、他のメーカー製のものを含む他のプロセスチャンバが、本発明の恩恵を得るために適用されてもよい。
【0026】
エッチングプロセスチャンバ500は概して、プロセスチャンバ本体550と、ガスパネル574と、コントローラ580を含んでいる。チャンバ本体500は、プロセスボリューム536を閉じ込める導電性のある本体(壁)530及びチャンバ蓋532を含んでいる。プロセスガスはガスパネル574からチャンバ500のプロセスボリューム536へ提供される。
【0027】
コントローラ580は、中央演算処理装置(CPU)584と、メモリ582と、サポート回路586を含んでいる。コントローラ580は、製作された集積回路のデータベースと任意のデータ交換を促進するのみならず、プロセスチャンバ500の部品及びプロセスチャンバ500内で実行されるプロセスと結合し制御する。
【0028】
一実施形態において、少なくとも1つの信号発生器508は、基板温度測定のためのプロセスチャンバ信号に対して配置され、台アセンブリ502上にサポートされる基板の少なくとも一部とぶつかるだろう。少なくとも1つのセンサ510が、信号発生器508から発生し基板を通して伝播される信号の一部を受信するために配置される。ある実施形態では、信号源512及びセンサ514の1組以上が、基板の異なる領域で基板温度を検出するために利用されてもよい。信号発生器及びセンサの構成と配置は、図1A〜Cを参照した上述の信号発生器104及びセンサ106の構成と同様であってもよい。
【0029】
一実施形態において、信号発生器508は、例えば約1050nmと約1300nmの間や、約1100nmと約1200nmの間のような、約1000nmと約1400nmの間の波長を有する赤外線放射が提供可能なレーザ又は他の光源である。信号発生器508の波長は、例えばエッチングプロセス中の基板温度のような、測定が求められる温度範囲で処理される材料及び/又はフィルムを通して透過率に大きな変化をもつように選択される。
【0030】
一実施形態において、センサ510はInGaAsダイオードセンサである。センサ510は、基板102を通過して収集されたエネルギーを検出する。収集された信号をフィルタリングするために、そして所望の波長内のIR光のみがセンサ510に到達するのを許容するために、フィルタ(図示せず)をセンサ510に隣接して配置してもよい。センサ510は基板102の温度を計算するためにコントローラ580によってその後更に分析されるセンサ510に到達する光エネルギーの計量値を提供する。
【0031】
示された実施形態において、チャンバ蓋532は実質的に平坦な誘電部材である。プロセスチャンバ500の他の実施形態には、他のタイプの天井、例えばドーム型の天井を有していてもよい。チャンバ蓋532の上方には、1以上の誘導コイル要素(2つの同軸コイル要素572A及び572Bが実例として示されている)を含むアンテナ572が配置されている。アンテナ572は、第1マッチングネットワーク570を介して、高周波(RF)プラズマ電源568に結合されている。
【0032】
一実施形態において、チャンバ蓋532は、その中に形成される複数の窓プラグ520を有していてもよい。プラグ520はプラグ520の交換を容易にするために取り外し可能であってもよい。一実施形態において、プラグ520は信号発生器508からの光が窓を通過してセンサ510へ到達可能な光アクセス窓である。なお、信号発生器508及びセンサ510の構成、配置、機能は、図1A〜Cを参照して上述した信号発生器104及びセンサ106と同様である。
【0033】
一実施形態において、基板台アセンブリ502はベースプレート506上に配置された静電チャック504を含んでいる。基板サポートアセンブリ502を構成するために必要とされる他の基板サポートアセンブリ部品の関連説明は、ここでは簡潔にするために割愛される。ここで使用される基板サポートアセンブリ502の一実施形態は、ホーランド(Holland)による公開された米国特許出願第2006/0076108号を参照してもよく、本明細書に参照によって組み込まれる。
【0034】
一実施形態において、基板サポートアセンブリ502は、基板サポートアセンブリ502に加熱又は冷却液を供給するのを促進する少なくとも1つの任意の埋設されたヒーター522又は複数の任意のコンジット(図示せず)を更に含んでいる。ヒーター522及びコンジットは、基板サポートアセンブリ502の温度を制御するのに利用され、その結果、エッチング処理中にその上に配置された基板102の温度を制御する。
【0035】
一実施形態において、複数の窓プラグ524が、信号発生器508からの信号の伝播を促進するために、静電チャック504の本体内に形成されている。また、ベースプレート506は、静電チャック504内に形成された窓524と整列してその中に形成された複数の開口及び/又は窓526を有していてもよい。ベースプレート506及び静電チャック504内の整列した窓526、524によって、信号発生器508からの信号528は、最小限の屈折でそれを通過できる。図5A及び図1Cで示されるようにセンサ及び信号源が基板102の反対側にある実施形態では、基板サポートアセンブリ502内に形成された整列した窓526、524は、それを通してチャンバ蓋532の上方に配置されたセンサ510へ光伝播を促進するためにチャンバ蓋532内に形成された窓520と更に整列される。更にまた、整列した窓526、524は、チャンバ蓋532の上方に配置された第2信号源512からの信号も、それを通過して基板サポートアセンブリ502の下方に配置された第2センサ514へ到達するのを促進する。
【0036】
一実施形態において、基板サポートアセンブリ502及びチャンバ蓋532に形成される窓524、526、520の数と配置は、全基板表面に亘って温度の均一性の検出を可能にするように、例えば少なくとも縁と中心位置に構成される。窓524、526、520の異なる構成と配置は、基板表面全域に亘る異なる領域とゾーンに位置する各ピンポイントの温度を検出するために、信号が基板の異なる領域とゾーンに伝播するのを促進する。各ピンポイントの基板温度が一旦決定されると、基板102の温度均一性及び温度プロファイルを入手することができる。従って、測定温度プロファイルに応じて、基板サポートアセンブリ502の温度を制御するために供給される加熱又は冷却液が、全体の基板温度均一性を制御し維持するように調整されてもよい。
【0037】
一実施形態において、窓524、526、520は、石英、サファイア、及び検出信号に透過性をもち、基板サポートアセンブリ502及びチャンバ蓋532を作るために選択された材料と互換性のある他のセラミック材料で作られてもよい。窓524、526、520は、基板サポートアセンブリ502及びチャンバ蓋532から容易に取り外し、取り替えることができるプラグ形状であってもよい。窓524、526、520のプラグは、基板サポートアセンブリ502及びチャンバ蓋532に他の適当な方法によって焼結され、固定され、又は取り付けられてもよい。
【0038】
なお、窓プラグ524、526は、図1Bに記述された構成と同様に、基板サポートアセンブリ502内だけに形成されてもよく、又は窓プラグ520は、図1Aに記述された構成と同様に、チャンバ蓋532内だけに形成されてもよい。あるいは、窓プラグ524、526、520は、図1C及び図5Aに記述された構成と同様に、チャンバ蓋532及び基板サポートアセンブリ502の両方の中に形成されてもよい。
【0039】
図5Bは、内部に焼結され取り付けられた窓524を有する静電チャック504の上面図を示している。窓524は、それを通過した信号が、基板温度を検出できる静電チャック504の表面全域に亘って一様に配置されてもよい。その中に形成された各窓524は、互いに実質的に等しい距離にあってもよく、基板温度の異なる領域とゾーンを測定するために適用されてもよい。同様に、チャンバ蓋532内に形成された窓520の配置及び構成は、それを通過した信号が、透過率の変化によって基板の異なる領域の温度を検出できるように同様に構成されてもよい。
【0040】
図5Cは、内部に焼結され取り付けられた窓524の異なる数及び構成を有する静電チャック504の別の実施形態の上面図を示している。静電チャック504は、第1半径R1を有する中心ゾーン598及び第2半径R2を有する周辺ゾーン596を有していてもよい。第1半径R1は、約0mmと約75mmの間の長さを有していてもよく、第2半径R2は、約75mmと約150mmの間の長さを有していてもよい。あるいは、第2半径R2は、第1半径R1の長さの約2倍又は3倍の長さに制御されてもよい。窓524は、実質的に中心ゾーン598内に形成されていてもよく、及び/又は静電チャック504内に構成される周辺ゾーン596内に形成されていてもよい。あるいは、窓524は、必要に応じてどんな構成又は配置で形成されていてもよい。
【0041】
稼働中においては、基板102はエッチングプロセスを実行するためにプロセスチャンバ500内に搬送される。チャンバ500は、堆積プロセス、アニールプロセス、又は基板温度測定から恩恵を得る他のいかなるプロセスなどの他のプロセスを実行するために構成されてもよいことが想到される。一実施形態において、基板102は、エッチングプロセス又は他のプロセスが実行され得るどんな基板又は材料であってもよい。一実施形態において、基板はゲート構造のような構造を形成するために使用され、その上に一層又は多層を形成するシリコン半導体基板であってもよい。あるいは、基板は構成又は構造を基板に転写するのを促進するために、基板上に配置されたエッチングマスク及び/又はエッチングストップ層のようなマスク層を利用してもよい。別の実施形態において、基板は、例えばデュアルダマシン構造等のように異なるパターン及び/又は構成を形成するために使用される、例えばフィルムスタックのような多層を有するシリコン半導体基板であってもよい。基板は結晶シリコン(例えば、Si<100>又はSi<111>)、酸化ケイ素、ストレインド・シリコンや、シリコンゲルマニウム、ドープされた又は非ドープのポリシリコン、ドープされた又は非ドープのシリコンウェハ及びパターニングされた又はパターニングされていないウェハのシリコン・オン・インシュレータ(SOI)、炭素をドープした酸化ケイ素、窒化ケイ素、ドープされたシリコン、ゲルマニウム、ガリウムヒ素、ガラス、サファイア、シリコン上に配置された金属層等のような材料であってもよい。基板は、長方形又は正方形のパネルであるのみならず、直径200mm又は300mmのウェハのように、様々な寸法を有していてもよい。一実施形態において、基板はシリコン半導体基板である。
【0042】
一実施形態において、処理チャンバ500に搬送された基板は、少なくともハロゲンを含有するガスのガス混合物を供給することによってエッチングされる。ハロゲン含有ガスの適当な例は、臭化水素(HBr)、塩素(Cl2)、四フッ化炭素(CF4)等を含むが、これらに限定されない。エッチングの間、IR放射を基板表面に提供するために、信号発生器508などの光源は点けられる。一実施形態において、信号発生器508は1200nmの測定波長に非常に高い強度をもつ約1000nmと約1400nmの間の波長の赤外光を発生させる。一実施形態において、強度は約50ミリワットと約1000ミリワットの間である。信号発生器508が定常状態出力に達してベースラインの透過率の読み込みを確立した後に、基板102を通して伝播される信号発生器508からのIR光を検出するためにセンサ510からの情報が継続して利用される。センサ510は、信号発生器508からの出力が安定化した後で点けられる。一実施形態において、出力は約2秒から約5秒の間の後で安定化する。
【0043】
上述したように、異なる基板温度における基板の透過率は、基板102を通過し更にセンサ510に到達する光エネルギーの量に大きく影響を及ぼす。基板温度が上がるにつれて、基板102を通過する光エネルギーの量は変化し、その結果、センサ510に伝播される光エネルギーの量の変化を引き起こす。従って、センサ510は基板温度を決定するために利用できる透過率における変化の計量値を提供する。透過率における変化の計量値に基づいて、基板温度はそれに従って決定されてもよい。どのようにして透過率における変化の計量値を取得できるかに関する詳細はDavisによって出願された米国特許出願第11/676,092号に記載されており、参照によって組み込まれる。
【0044】
図6は、エッチングプロセスの間、基板温度測定を実行するために図5に示されているような装置500をそれぞれ含むように構成された少なくとも1つの領域を含んでいる例示的な処理システム600の概略上面図である。一実施形態において、処理システム600は、カリフォルニア州サンタクララに位置するアプライドマテリアルズ社から購入可能な適切に適用されたCENTURA(商標名)統合処理システムであってもよい。本発明から恩恵を得るために、他の処理システム(他のメーカー製のシステムを含む)が適用されてもよいことが想到される。
【0045】
システム600は、耐真空処理プラットホーム604と、ファクトリーインタフェース602と、システムコントローラ644を含んでいる。プラットホーム604は複数の処理チャンバ500、612、632、628、620及び真空基板搬送チャンバ636と結合される少なくとも1つのロードロックチャンバ622を含んでいる。図6には、2つのロードロックチャンバ622が示されている。ファクトリーインタフェース602はロードロックチャンバ622によって搬送チャンバ636と結合されている。
【0046】
一実施形態において、ファクトリーインタフェース602は、基板の搬送を容易にするために少なくとも1つのドッキングステーション608及び少なくとも1つのファクトリーインタフェースロボット614を含んでいる。ドッキングステーション608は、1以上のフープ(FOUP)を受け入れるために構成されている。2つのフープ606A〜Bが、図6の実施形態に示されている。ロボット614の一端に配置されたブレード616を有するファクトリーインタフェースロボット614は、ファクトリーインタフェース602から処理プラットホーム604のロードロックチャンバ622まで基板を搬送するために構成されている。任意に、1以上の計測ステーション618が、ファクトリーインタフェース602内における基板の測定を容易にするために、ファクトリーインタフェース602の末端626に接続されてもよい。
【0047】
各ロードロックチャンバ622は、ファクトリーインタフェース602に結合した第1ポート及び搬送チャンバ736に結合した第2ポートを有している。ロードロックチャンバ622は、基板が搬送チャンバ636の真空環境とファクトリーインタフェース602の実質的に周囲(例えば大気)の環境との間を通過するのを容易にするために、ロードロックチャンバ622を減圧し排気する圧力コントロールシステム(図示せず)と結合されている。
【0048】
搬送チャンバ636は、その中に真空ロボット630を配置している。真空ロボット630は、基板624をロードロックチャンバ622と処理チャンバ500、612、632、628、620の間に搬送可能なブレード634を有している。
【0049】
一実施形態において、少なくとも1つのプロセスチャンバ500、612、632、628、620はエッチングチャンバである。例えば、エッチングチャンバは、アプライドマテリアルズ社から入手可能なHART(商標名)チャンバがであってもよい。例えばチャンバ500などのエッチングチャンバは、その中に配置された基板102をエッチングするのにハロゲンを含むガスを使用してもよい。ハロゲンを含むガスの例としては、臭化水素(HBr)、塩素(Cl2)、四フッ化炭素(CF4)等が含まれる。エッチングプロセスの間、プロセスチャンバ500、612、632、628、620のいずれかにおいて、例えば図5のセンサ510、514などのセンサが、基板温度と関連のあるエッチングプロセス中に基板を通過した信号強度をモニターするのに使用される。
【0050】
システムコントローラ644は処理システム600と結合されている。システムコントローラ644は、システム600のプロセスチャンバ500、612、632、628、620の直接制御を利用することによって、又はその代わりにプロセスチャンバ500、612、632、628、620及びシステム600と関連するコンピュータ(又はコントローラ)を制御することによって、システム600の動作を制御する。稼働中には、システムコントローラ644によって、各チャンバ及びシステムコントローラ644からのデータ収集及びフィードバックが、システム600の性能を最適化するのを可能にする。
【0051】
一般に、システムコントローラ644は、中央演算処理装置(CPU)638と、メモリ640と、サポート回路642を含んでいる。CPU638は工業環境で使用可能な汎用コンピュータプロセッサのどんな形態のうちの1つであってもよい。サポート回路642は、慣習的にCPU638と結合され、キャッシュ、クロック回路、入力/出力サブシステム、電源等を含んでいてもよい。ソフトウェアルーチンがCPU638によって実行されると、CPU638は特定の目的のコンピュータ(コントローラ)644に変わる。また、ソフトウェアルーチンは、システム600から離れて配置された第2のコントローラ(図示せず)によって格納され、及び/又は実行されてもよい。
【0052】
図7は、図5A〜Cの装置を利用して基板温度を検出するプロセス700のフローチャートを示している。プロセスは、ブロック702で図5Aの装置500などの処理装置内に基板を供給することによって始まる。ブロック704では、エッチングプロセスが、基板上に構造を形成するために基板上で実行される。ブロック706では、エッチング中における基板の透過率の変化を検出するために、処理チャンバ500内に配置された光発生器508、512からの光源が基板に伝播される。次にブロック708では、検出された透過率が分析される。異なる基板温度における基板の透過率は、基板の光透過率の変化に基づいて基板を通過する光エネルギーの量に大きく影響を及ぼすので、透過率における変化の計量値に基づいて基板温度を決定してもよい。
【0053】
従って、本発明は、エッチングプロセス中の基板温度を測定するための方法及び装置を提供する。この方法及び装置は、基板を通して伝播されたIR透過率を測定することによって、センサによってエッチングプロセス中の実際の基板温度を有利にモニターする。異なる温度における基板の非伝導性によって、異なるIR透過量が基板を通過する。その結果、センサが実際の基板温度を決定するのを助ける。有利なことに、本発明の実施形態は、非接触、非侵襲、リアルタイムの手法を用いることで、処理中の基板の温度プロファイル及び温度勾配を決定するのを促進する複数の窓を提供する。
【0054】
上記は本発明の実施形態を対象としているが、本発明の他の及び更なる実施形態は本発明の基本的範囲を逸脱することなく創作することができ、その範囲は以下の特許請求の範囲に基づいて定められる。
【背景】
【0001】
(分野)
本発明の態様は、概して、半導体基板温度を測定するための方法及び装置に関する。より明確には、本発明の態様は、基板の赤外線伝播によるエッチングプロセス内の半導体基板温度を測定するための方法及び装置に関する。
【0002】
(関連技術の説明)
超大規模集積(ULSI)回路は、シリコン(Si)基板などの半導体基板上に形成される10億個以上の電子デバイス(例えば、トランジスタ)を含み、装置内で様々な機能を実行するために協調するかもしれない。処理の間、時折多くの熱処理工程が基板表面上で実行される。熱処理は通常、工程管理のための正確な基板温度測定を必要とする。不正確な基板温度制御は、デバイス性能に悪影響を及ぼすかもしれない悪いプロセス結果をもたらし、及び/又は基板フィルム材料の損傷をもたらすかもしれない。
【0003】
処理の間、異なるタイプの温度計測ツールが、基板温度を測定するのに使用されてもよい。例えば、熱電対は基板表面上の所定の位置で物理的に基板に接触することによって基板温度を測定するのにしばしば使用される。しかしながら、より大きな直径の基板において、基板表面全域に亘る全体の温度ばらつきは、測定地点間の距離が大きいので決定するのは困難である。更に、基板表面への熱電対の熱的物理的接触の信頼性は、制御が困難であり、コンタミネーションの問題を抱えている。
【0004】
あるいは、光高温測定が基板温度を測定するのに時々使用される。処理の間に基板表面から放出される放射が、光高温測定センサによって測定され、基板温度が決定される。しかしながら、基板表面からの光放射の測定は、加熱要素からの強力な照明又はプラズマ源からの熱、チャンバ壁からの光放射及び/又は窓からの迷光のような背景ノイズから分離するのが困難である。基板表面からの光放射が正確に測定されず、背景ノイズが温度測定に更に誤差を与えるかもしれないので、実際の基板表面温度を正確に測定するのは困難である。これは、誤った基板温度の決定と、その結果悪い処理結果をもたらすかもしれない。
【0005】
従って、基板温度測定のための改良された方法及び装置に対する必要性がある。
【概要】
【0006】
プロセス中の温度を測定するための方法及び装置が提供される。一実施形態において、チャンバ本体と、チャンバ本体を閉じ込めるチャンバ蓋と、基板サポートアセンブリを含む、エッチングプロセス中の基板温度を測定するための装置が提供される。基板サポートアセンブリの基板サポート面には、複数の窓が提供される。基板サポートアセンブリを介して信号発生器は窓に光学的に結合される。センサが基板サポートの上方に位置し、少なくとも1つの窓を通して信号発生器から伝播されたエネルギーを受信するために配置されており、センサは透過率の計量値を検出するために構成される。
【0007】
別の実施形態において、プロセスチャンバ内に基板を提供し、基板にエッチングプロセスを実行し、エッチング中に基板の透過率の変化を検出し、透過率の変化に基づいて基板の温度を決定するステップを含む、エッチングプロセス中の基板温度を測定する方法が提供される。
【0008】
更に別の実施形態においては、ワークピースの温度を変えるプロセスをワークピースに実行し、プロセスを実行している間、赤外光をワークピースに通過させ、ワークピースの透過率を示す伝播された赤外光の計量値を検出し、検出された計量値に基づいてワークピース温度を計算するステップを含む、処理中にワークピースに実行される間の温度を測定する方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本発明の上述した構成を詳細に理解することができるように、上記に簡単にまとめた本発明のより特定の説明を実施形態を参照して行う。いくつかの実施形態は添付図面に示されている。しかしながら、添付図面は、本発明の典型的な実施形態を示しているに過ぎず、従って、その範囲を制限していると解釈されるべきではなく、本発明は他の等しく有効な実施形態を含み得ることに留意すべきである。
【0010】
【図1A】〜
【図1C】本発明を実施するために適した例示的処理装置の簡素化された概略図を示す。
【図2】異なる基板温度におけるシリコン基板透過率とIR光波長の関係を示したグラフを示す。
【図3】あるIR光波長におけるシリコン基板透過率と基板温度の関係を示したグラフを示す。
【図4】伝播されたエネルギーと時間の関係を示したグラフを示す。
【図5A】本発明を実施するために構成された例示的処理装置の概略図を示す。
【図5B】〜
【図5C】図5Aの処理装置内に配置された基板サポートアセンブリの異なる実施形態の上面図を示す。
【図6】本発明を実施するためにそれに組み込まれた図5Aの装置の少なくとも1つを有する例示的処理システムの概略図を示す。
【図7】図5A〜図5Cの装置を利用して基板温度を検出するフローチャートを示す。
【0011】
理解を促進するために、図面に共通する同一の要素を示す際には可能な限り同一の参照番号を使用している。一実施形態の要素及び構成は更なる説明なしに他の実施形態に有益に組み込んでもよいと理解される。
【0012】
しかしながら、添付図面は本発明の例示的な実施形態を示しているに過ぎず、従って、その範囲を制限していると解釈されず、本発明は他の均しく有効な実施形態を含みえることに留意すべきである。
【詳細な説明】
【0013】
本発明の実施形態は、エッチングプロセス中の基板温度を測定するための方法及び装置を提供する。一実施形態において、基板温度は基板を通過するエネルギーの透過率における変化をモニターすることによって決定されてもよい。例示的なプラズマプロセスには特に、エッチング、堆積、アニーリング、プラズマ表面処理、イオン注入が含まれる。
【0014】
図1A〜1Cは、本発明を実施するために適した簡略化された処理装置の概略図を示している。簡略化された処理装置100は、真空下で動作される。装置100は、装置100に配置された基板102に熱エネルギーを提供するために適応した発熱体108を含んでいる。一実施形態において、発熱体108は基板102に隣接して発生するプラズマから提供される。別の実施形態において、発熱体108はその代わりに加熱された基板ホルダー、加熱されたサポート台、抵抗ヒーター、又は基板の温度を上げるのに適当な他の発熱体によって提供されてもよい。
【0015】
図1Aに示される一実施形態において、信号発生器104及びセンサ106は、基板102の上側の上方に配置される。信号発生器104は、基板102の上方に配置され、基板102を通して伝播される信号110を発生させる。信号発生器104は、基板102を透過できる少なくとも1つの波長を有するエネルギーを提供するエネルギー源であってもよく、レーザ及び広帯域光源を含んでもよい。信号110が基板102に当たると、信号110の一部112が基板の上面から直接反射する。信号110の別の一部114は、基板102を通過し、少なくとも部分的に基板102によって吸収される。信号110の一部114は、基板102を通過し、基板102の下面で反射する。センサ106は、基板102の下面で反射した信号114を受信するのに利用される。基板102を通過しないでセンサ106に反射した信号112をスクリーニングするのに、フィルタ(図示せず)を使用してもよい。
【0016】
コントローラ120は、受信した信号を分析するためにセンサ106に接続されている。コントローラ120は、概して、中央演算処理装置(CPU)138、メモリ140、サポート回路142を含む。CPU138は工業環境で使用可能な汎用コンピュータプロセッサのどんな形態のうちの1つであってもよい。サポート回路142は、慣習的にCPU138と結合され、キャッシュ、クロック回路、入力/出力サブシステム、電源等を含んでいてもよい。ソフトウェアルーチンがCPU138によって実行されると、CPU138は特定の目的のコンピュータ(コントローラ)144に変わる。また、ソフトウェアルーチンは、システム100から離れて位置する第2のコントローラ(図示せず)によって格納され、及び/又は実行されてもよい。
【0017】
図1Aの構成と同様に、図1Bは、信号発生器104及びセンサ106が基板102の下面の下方に配置される別の実施形態を示している。
【0018】
図1Cは、信号発生器104及びセンサ106が基板102の反対側に配置されている更に別の実施形態を示している。信号発生器104は、基板102の上方に配置され、信号110を生成する。センサ106は、基板102を通過する信号110の一部114を受信するために信号発生器104と反対側の位置に配置される。二次反射した信号122がセンサ106から反射し、信号122の一部124が基板102の上側へ更に戻って基板102を通過してもよい。従って、信号発生器104とセンサ106の1組以上が、プロセス中に信号114、124をどんな方向へも発生させて受信するように、基板102の異なる側に配置されて利用されてもよい。
【0019】
異なる基板材料は、異なる温度及び異なる波長で異なる光透過率を持っているかもしれない。発熱体108が熱エネルギーを基板表面に提供すると、基板温度は変化する。信号110の一部114は基板102を通過し、別の一部は吸収される。基板102を通過した信号の量は基板102の温度に依存している。従って、基板102が加熱されると、基板102を通過してセンサ106へ伝播される信号114の量は変化する。センサ106は基板102の温度を示す信号114の変化を検出する。検出された信号114の変化に基づいて、それに従って基板温度を決定してもよい。
【0020】
一実施形態において、信号発生器104は異なる波長を有する光発生器であってもよい。例えば、信号発生器104は約1000nmと約1400nmの間の範囲に中心をもつ狭い波長帯域を有するレーザ光線を提供してもよい。別の実施形態において、信号発生器104は約1100nmと約1300nmの間の波長を有する光エネルギーを提供してもよい。
【0021】
図2は、異なる基板温度で異なる波長で基板の材料としてシリコンを使用した基板の光スペクトルトレースを示している。スペクトルトレース202、204、206は、異なる温度での波長の関数としてシリコン半導体材料の透過率を示している。一実施形態において、測定されたような透過率は、例えば摂氏約25度のような室温におけるシリコンの非透過性をベースラインとして基準化するために正規化され、点線210によって示されるように1.00の値を示している。基板透過率のその後の測定は、基板温度の上昇に伴う、正規化されたベースラインに対する測定対象への相対的で断片的な光伝播である。なお、正規化及び断片的で相対的な基板光伝播測定によって、異なる基板ドーパント又は異なる材料を基板上に配置した基板のように、基板の無感度を除去することができ、その結果、基板温度測定プロセスを標準化する。
【0022】
トレースは、透過率が特定の波長範囲で基板温度に関連するかもしれないことを示している。例えば、第1ゾーン230内の約1000nm未満の第1波長においては、基板温度の変化にもかかわらず、基板は実質的にIR光を透過しない状態を維持している。第2ゾーン234内の約1250nmより大きい第2波長においては、基板温度の変化にもかかわらず、基板は実質的にIR光を透過する状態を維持している。対照的に、約1000nmと約1250nmの間の波長においては、第3ゾーン232に示されるように、基板の透過率は急速に変化する。従って、第3ゾーン232の波長範囲に対して、基板温度が増加すると、それぞれの透過率のトレースライン202、204、206の傾きは変化する。従って、良好な測定分解能を得るのに十分な傾きを有する波長を選択することにより、基板温度の変化は強度における変化を検出することによって決定されてもよい。更に、第3ゾーン232内の異なる波長は異なる基板温度挙動を有しているので、興味のある温度に対して透過率の変化が急速な波長を選択してもよい。興味のある温度を決定する際に良好な分解能を確保するために、興味のある温度を含む温度範囲において基板の透過率が急速に変化する波長を慎重に選択する必要がある。例えば、約1100nmの光の波長212において、基板温度の上昇によって、シリコン基板の透過率は、トレースライン202上の第1ポイント216から第2ポイント218へ向かって第3ポイント220へと急速に変化する。これらのポイント216、218、220の信号強度値の変化は、コントローラによって高い信頼性で検出可能な範囲内、(例えば、信号強度が0.2より大きい)範囲内にあり、その結果、コントローラは検出された信号強度値を正確に読み、測定された信号強度に基づいて基板温度を正確に決定することができる。一実施形態においては、コントローラは、約1100nmの波長における基板の温度変化が摂氏約25度から摂氏約350度まで及ぶことを決定するために構成される。対照的に、約1200nmを超える光の波長240において、摂氏約300度を超える基板温度は、信号強度の変化が摂氏250度未満の基板温度と比べて相対的に低いので、検出可能な範囲を逸脱するかもしれない。従って、約1200nmの波長範囲において高い信頼性で検出可能な基板の温度変化は、摂氏約25度から摂氏約200度まで決定できる。従って、慎重に選択された波長で基板透過率における変化を測定することによって、基板温度は高い信頼性で正確に測定されるかもしれない。
【0023】
図3は基板温度が上昇した際の約1200nmの波長で測定された基板の光の透過率を示している。トレース302は摂氏約60度と摂氏約300度の間の温度関数としてシリコン半導体材料の透過率を示している。基板が摂氏60度未満の温度であるときは、第1温度ゾーン304に示されるように、基板の光透過性は一定に保たれており、それに続くデータ点の測定対象に対するベースラインとして正規化されている。基板温度が、例えば摂氏60度を超えるように、ある値を超えて上昇すると、基板の透過率における変化は急速となる。従って、トレースライン302の傾き360は、より急速に変化を始める。基板温度が増加するのにつれて、トレースライン302の傾きは変化し、基板はその透過性を失う。従って、基板温度は測定されたエネルギー強度に基づいて決定されてもよい。
【0024】
図4は、コントローラ120によって検出されるように、基板102を通して伝播されたIR光エネルギーのトレース402を基板温度の関数として示している。エネルギートレース402は、基板温度が増加した際の、基板102を通して伝播された光エネルギー強度の変化を表している。装置100に入る基板は、高い透過率と低い温度T1を有していてもよい。従って、発熱体108及び/又は信号発生器104からかなりの量の光エネルギーが基板102を通ってセンサ106に伝播される。トレース402のポイント404に示されるように、センサ106は、低い温度T1で初期検出時間t1において高いエネルギー透過率を示している。IR光が基板102に一定のレベルで供給されると、基板の温度は上昇する。基板温度がより高い温度T2に上昇すると、より熱い基板はより多くのIR光を吸収し、伝播されるIRエネルギーの減少をもたらすので、シリコン基板に対する透過率の変化は減少する。時間t2のポイント406に示されるように、高い基板温度T2で多くの吸収が起こるので、センサ106によって検出された光エネルギーは低い。
【0025】
図5Aは、図1A〜Cの基板102などのような基板上でエッチング又は他のプラズマプロセスを実行するために使用可能なプロセスチャンバ500の一実施形態を示している。例示的なプロセスチャンバ500は本発明を実施するのに実例として使用されるかもしれない基板台アセンブリ502及びチャンバ蓋532の一実施形態を含んでいる。ここに示されるプロセスチャンバ500の特定の実施形態は説明の目的のために提供され、本発明の範囲を制限するために使用されるべきではない。一実施形態において、プロセスチャンバはアプライドマテリアルズ社から入手可能なHART(商標名)チャンバであってもよい。その代わりに、他のメーカー製のものを含む他のプロセスチャンバが、本発明の恩恵を得るために適用されてもよい。
【0026】
エッチングプロセスチャンバ500は概して、プロセスチャンバ本体550と、ガスパネル574と、コントローラ580を含んでいる。チャンバ本体500は、プロセスボリューム536を閉じ込める導電性のある本体(壁)530及びチャンバ蓋532を含んでいる。プロセスガスはガスパネル574からチャンバ500のプロセスボリューム536へ提供される。
【0027】
コントローラ580は、中央演算処理装置(CPU)584と、メモリ582と、サポート回路586を含んでいる。コントローラ580は、製作された集積回路のデータベースと任意のデータ交換を促進するのみならず、プロセスチャンバ500の部品及びプロセスチャンバ500内で実行されるプロセスと結合し制御する。
【0028】
一実施形態において、少なくとも1つの信号発生器508は、基板温度測定のためのプロセスチャンバ信号に対して配置され、台アセンブリ502上にサポートされる基板の少なくとも一部とぶつかるだろう。少なくとも1つのセンサ510が、信号発生器508から発生し基板を通して伝播される信号の一部を受信するために配置される。ある実施形態では、信号源512及びセンサ514の1組以上が、基板の異なる領域で基板温度を検出するために利用されてもよい。信号発生器及びセンサの構成と配置は、図1A〜Cを参照した上述の信号発生器104及びセンサ106の構成と同様であってもよい。
【0029】
一実施形態において、信号発生器508は、例えば約1050nmと約1300nmの間や、約1100nmと約1200nmの間のような、約1000nmと約1400nmの間の波長を有する赤外線放射が提供可能なレーザ又は他の光源である。信号発生器508の波長は、例えばエッチングプロセス中の基板温度のような、測定が求められる温度範囲で処理される材料及び/又はフィルムを通して透過率に大きな変化をもつように選択される。
【0030】
一実施形態において、センサ510はInGaAsダイオードセンサである。センサ510は、基板102を通過して収集されたエネルギーを検出する。収集された信号をフィルタリングするために、そして所望の波長内のIR光のみがセンサ510に到達するのを許容するために、フィルタ(図示せず)をセンサ510に隣接して配置してもよい。センサ510は基板102の温度を計算するためにコントローラ580によってその後更に分析されるセンサ510に到達する光エネルギーの計量値を提供する。
【0031】
示された実施形態において、チャンバ蓋532は実質的に平坦な誘電部材である。プロセスチャンバ500の他の実施形態には、他のタイプの天井、例えばドーム型の天井を有していてもよい。チャンバ蓋532の上方には、1以上の誘導コイル要素(2つの同軸コイル要素572A及び572Bが実例として示されている)を含むアンテナ572が配置されている。アンテナ572は、第1マッチングネットワーク570を介して、高周波(RF)プラズマ電源568に結合されている。
【0032】
一実施形態において、チャンバ蓋532は、その中に形成される複数の窓プラグ520を有していてもよい。プラグ520はプラグ520の交換を容易にするために取り外し可能であってもよい。一実施形態において、プラグ520は信号発生器508からの光が窓を通過してセンサ510へ到達可能な光アクセス窓である。なお、信号発生器508及びセンサ510の構成、配置、機能は、図1A〜Cを参照して上述した信号発生器104及びセンサ106と同様である。
【0033】
一実施形態において、基板台アセンブリ502はベースプレート506上に配置された静電チャック504を含んでいる。基板サポートアセンブリ502を構成するために必要とされる他の基板サポートアセンブリ部品の関連説明は、ここでは簡潔にするために割愛される。ここで使用される基板サポートアセンブリ502の一実施形態は、ホーランド(Holland)による公開された米国特許出願第2006/0076108号を参照してもよく、本明細書に参照によって組み込まれる。
【0034】
一実施形態において、基板サポートアセンブリ502は、基板サポートアセンブリ502に加熱又は冷却液を供給するのを促進する少なくとも1つの任意の埋設されたヒーター522又は複数の任意のコンジット(図示せず)を更に含んでいる。ヒーター522及びコンジットは、基板サポートアセンブリ502の温度を制御するのに利用され、その結果、エッチング処理中にその上に配置された基板102の温度を制御する。
【0035】
一実施形態において、複数の窓プラグ524が、信号発生器508からの信号の伝播を促進するために、静電チャック504の本体内に形成されている。また、ベースプレート506は、静電チャック504内に形成された窓524と整列してその中に形成された複数の開口及び/又は窓526を有していてもよい。ベースプレート506及び静電チャック504内の整列した窓526、524によって、信号発生器508からの信号528は、最小限の屈折でそれを通過できる。図5A及び図1Cで示されるようにセンサ及び信号源が基板102の反対側にある実施形態では、基板サポートアセンブリ502内に形成された整列した窓526、524は、それを通してチャンバ蓋532の上方に配置されたセンサ510へ光伝播を促進するためにチャンバ蓋532内に形成された窓520と更に整列される。更にまた、整列した窓526、524は、チャンバ蓋532の上方に配置された第2信号源512からの信号も、それを通過して基板サポートアセンブリ502の下方に配置された第2センサ514へ到達するのを促進する。
【0036】
一実施形態において、基板サポートアセンブリ502及びチャンバ蓋532に形成される窓524、526、520の数と配置は、全基板表面に亘って温度の均一性の検出を可能にするように、例えば少なくとも縁と中心位置に構成される。窓524、526、520の異なる構成と配置は、基板表面全域に亘る異なる領域とゾーンに位置する各ピンポイントの温度を検出するために、信号が基板の異なる領域とゾーンに伝播するのを促進する。各ピンポイントの基板温度が一旦決定されると、基板102の温度均一性及び温度プロファイルを入手することができる。従って、測定温度プロファイルに応じて、基板サポートアセンブリ502の温度を制御するために供給される加熱又は冷却液が、全体の基板温度均一性を制御し維持するように調整されてもよい。
【0037】
一実施形態において、窓524、526、520は、石英、サファイア、及び検出信号に透過性をもち、基板サポートアセンブリ502及びチャンバ蓋532を作るために選択された材料と互換性のある他のセラミック材料で作られてもよい。窓524、526、520は、基板サポートアセンブリ502及びチャンバ蓋532から容易に取り外し、取り替えることができるプラグ形状であってもよい。窓524、526、520のプラグは、基板サポートアセンブリ502及びチャンバ蓋532に他の適当な方法によって焼結され、固定され、又は取り付けられてもよい。
【0038】
なお、窓プラグ524、526は、図1Bに記述された構成と同様に、基板サポートアセンブリ502内だけに形成されてもよく、又は窓プラグ520は、図1Aに記述された構成と同様に、チャンバ蓋532内だけに形成されてもよい。あるいは、窓プラグ524、526、520は、図1C及び図5Aに記述された構成と同様に、チャンバ蓋532及び基板サポートアセンブリ502の両方の中に形成されてもよい。
【0039】
図5Bは、内部に焼結され取り付けられた窓524を有する静電チャック504の上面図を示している。窓524は、それを通過した信号が、基板温度を検出できる静電チャック504の表面全域に亘って一様に配置されてもよい。その中に形成された各窓524は、互いに実質的に等しい距離にあってもよく、基板温度の異なる領域とゾーンを測定するために適用されてもよい。同様に、チャンバ蓋532内に形成された窓520の配置及び構成は、それを通過した信号が、透過率の変化によって基板の異なる領域の温度を検出できるように同様に構成されてもよい。
【0040】
図5Cは、内部に焼結され取り付けられた窓524の異なる数及び構成を有する静電チャック504の別の実施形態の上面図を示している。静電チャック504は、第1半径R1を有する中心ゾーン598及び第2半径R2を有する周辺ゾーン596を有していてもよい。第1半径R1は、約0mmと約75mmの間の長さを有していてもよく、第2半径R2は、約75mmと約150mmの間の長さを有していてもよい。あるいは、第2半径R2は、第1半径R1の長さの約2倍又は3倍の長さに制御されてもよい。窓524は、実質的に中心ゾーン598内に形成されていてもよく、及び/又は静電チャック504内に構成される周辺ゾーン596内に形成されていてもよい。あるいは、窓524は、必要に応じてどんな構成又は配置で形成されていてもよい。
【0041】
稼働中においては、基板102はエッチングプロセスを実行するためにプロセスチャンバ500内に搬送される。チャンバ500は、堆積プロセス、アニールプロセス、又は基板温度測定から恩恵を得る他のいかなるプロセスなどの他のプロセスを実行するために構成されてもよいことが想到される。一実施形態において、基板102は、エッチングプロセス又は他のプロセスが実行され得るどんな基板又は材料であってもよい。一実施形態において、基板はゲート構造のような構造を形成するために使用され、その上に一層又は多層を形成するシリコン半導体基板であってもよい。あるいは、基板は構成又は構造を基板に転写するのを促進するために、基板上に配置されたエッチングマスク及び/又はエッチングストップ層のようなマスク層を利用してもよい。別の実施形態において、基板は、例えばデュアルダマシン構造等のように異なるパターン及び/又は構成を形成するために使用される、例えばフィルムスタックのような多層を有するシリコン半導体基板であってもよい。基板は結晶シリコン(例えば、Si<100>又はSi<111>)、酸化ケイ素、ストレインド・シリコンや、シリコンゲルマニウム、ドープされた又は非ドープのポリシリコン、ドープされた又は非ドープのシリコンウェハ及びパターニングされた又はパターニングされていないウェハのシリコン・オン・インシュレータ(SOI)、炭素をドープした酸化ケイ素、窒化ケイ素、ドープされたシリコン、ゲルマニウム、ガリウムヒ素、ガラス、サファイア、シリコン上に配置された金属層等のような材料であってもよい。基板は、長方形又は正方形のパネルであるのみならず、直径200mm又は300mmのウェハのように、様々な寸法を有していてもよい。一実施形態において、基板はシリコン半導体基板である。
【0042】
一実施形態において、処理チャンバ500に搬送された基板は、少なくともハロゲンを含有するガスのガス混合物を供給することによってエッチングされる。ハロゲン含有ガスの適当な例は、臭化水素(HBr)、塩素(Cl2)、四フッ化炭素(CF4)等を含むが、これらに限定されない。エッチングの間、IR放射を基板表面に提供するために、信号発生器508などの光源は点けられる。一実施形態において、信号発生器508は1200nmの測定波長に非常に高い強度をもつ約1000nmと約1400nmの間の波長の赤外光を発生させる。一実施形態において、強度は約50ミリワットと約1000ミリワットの間である。信号発生器508が定常状態出力に達してベースラインの透過率の読み込みを確立した後に、基板102を通して伝播される信号発生器508からのIR光を検出するためにセンサ510からの情報が継続して利用される。センサ510は、信号発生器508からの出力が安定化した後で点けられる。一実施形態において、出力は約2秒から約5秒の間の後で安定化する。
【0043】
上述したように、異なる基板温度における基板の透過率は、基板102を通過し更にセンサ510に到達する光エネルギーの量に大きく影響を及ぼす。基板温度が上がるにつれて、基板102を通過する光エネルギーの量は変化し、その結果、センサ510に伝播される光エネルギーの量の変化を引き起こす。従って、センサ510は基板温度を決定するために利用できる透過率における変化の計量値を提供する。透過率における変化の計量値に基づいて、基板温度はそれに従って決定されてもよい。どのようにして透過率における変化の計量値を取得できるかに関する詳細はDavisによって出願された米国特許出願第11/676,092号に記載されており、参照によって組み込まれる。
【0044】
図6は、エッチングプロセスの間、基板温度測定を実行するために図5に示されているような装置500をそれぞれ含むように構成された少なくとも1つの領域を含んでいる例示的な処理システム600の概略上面図である。一実施形態において、処理システム600は、カリフォルニア州サンタクララに位置するアプライドマテリアルズ社から購入可能な適切に適用されたCENTURA(商標名)統合処理システムであってもよい。本発明から恩恵を得るために、他の処理システム(他のメーカー製のシステムを含む)が適用されてもよいことが想到される。
【0045】
システム600は、耐真空処理プラットホーム604と、ファクトリーインタフェース602と、システムコントローラ644を含んでいる。プラットホーム604は複数の処理チャンバ500、612、632、628、620及び真空基板搬送チャンバ636と結合される少なくとも1つのロードロックチャンバ622を含んでいる。図6には、2つのロードロックチャンバ622が示されている。ファクトリーインタフェース602はロードロックチャンバ622によって搬送チャンバ636と結合されている。
【0046】
一実施形態において、ファクトリーインタフェース602は、基板の搬送を容易にするために少なくとも1つのドッキングステーション608及び少なくとも1つのファクトリーインタフェースロボット614を含んでいる。ドッキングステーション608は、1以上のフープ(FOUP)を受け入れるために構成されている。2つのフープ606A〜Bが、図6の実施形態に示されている。ロボット614の一端に配置されたブレード616を有するファクトリーインタフェースロボット614は、ファクトリーインタフェース602から処理プラットホーム604のロードロックチャンバ622まで基板を搬送するために構成されている。任意に、1以上の計測ステーション618が、ファクトリーインタフェース602内における基板の測定を容易にするために、ファクトリーインタフェース602の末端626に接続されてもよい。
【0047】
各ロードロックチャンバ622は、ファクトリーインタフェース602に結合した第1ポート及び搬送チャンバ736に結合した第2ポートを有している。ロードロックチャンバ622は、基板が搬送チャンバ636の真空環境とファクトリーインタフェース602の実質的に周囲(例えば大気)の環境との間を通過するのを容易にするために、ロードロックチャンバ622を減圧し排気する圧力コントロールシステム(図示せず)と結合されている。
【0048】
搬送チャンバ636は、その中に真空ロボット630を配置している。真空ロボット630は、基板624をロードロックチャンバ622と処理チャンバ500、612、632、628、620の間に搬送可能なブレード634を有している。
【0049】
一実施形態において、少なくとも1つのプロセスチャンバ500、612、632、628、620はエッチングチャンバである。例えば、エッチングチャンバは、アプライドマテリアルズ社から入手可能なHART(商標名)チャンバがであってもよい。例えばチャンバ500などのエッチングチャンバは、その中に配置された基板102をエッチングするのにハロゲンを含むガスを使用してもよい。ハロゲンを含むガスの例としては、臭化水素(HBr)、塩素(Cl2)、四フッ化炭素(CF4)等が含まれる。エッチングプロセスの間、プロセスチャンバ500、612、632、628、620のいずれかにおいて、例えば図5のセンサ510、514などのセンサが、基板温度と関連のあるエッチングプロセス中に基板を通過した信号強度をモニターするのに使用される。
【0050】
システムコントローラ644は処理システム600と結合されている。システムコントローラ644は、システム600のプロセスチャンバ500、612、632、628、620の直接制御を利用することによって、又はその代わりにプロセスチャンバ500、612、632、628、620及びシステム600と関連するコンピュータ(又はコントローラ)を制御することによって、システム600の動作を制御する。稼働中には、システムコントローラ644によって、各チャンバ及びシステムコントローラ644からのデータ収集及びフィードバックが、システム600の性能を最適化するのを可能にする。
【0051】
一般に、システムコントローラ644は、中央演算処理装置(CPU)638と、メモリ640と、サポート回路642を含んでいる。CPU638は工業環境で使用可能な汎用コンピュータプロセッサのどんな形態のうちの1つであってもよい。サポート回路642は、慣習的にCPU638と結合され、キャッシュ、クロック回路、入力/出力サブシステム、電源等を含んでいてもよい。ソフトウェアルーチンがCPU638によって実行されると、CPU638は特定の目的のコンピュータ(コントローラ)644に変わる。また、ソフトウェアルーチンは、システム600から離れて配置された第2のコントローラ(図示せず)によって格納され、及び/又は実行されてもよい。
【0052】
図7は、図5A〜Cの装置を利用して基板温度を検出するプロセス700のフローチャートを示している。プロセスは、ブロック702で図5Aの装置500などの処理装置内に基板を供給することによって始まる。ブロック704では、エッチングプロセスが、基板上に構造を形成するために基板上で実行される。ブロック706では、エッチング中における基板の透過率の変化を検出するために、処理チャンバ500内に配置された光発生器508、512からの光源が基板に伝播される。次にブロック708では、検出された透過率が分析される。異なる基板温度における基板の透過率は、基板の光透過率の変化に基づいて基板を通過する光エネルギーの量に大きく影響を及ぼすので、透過率における変化の計量値に基づいて基板温度を決定してもよい。
【0053】
従って、本発明は、エッチングプロセス中の基板温度を測定するための方法及び装置を提供する。この方法及び装置は、基板を通して伝播されたIR透過率を測定することによって、センサによってエッチングプロセス中の実際の基板温度を有利にモニターする。異なる温度における基板の非伝導性によって、異なるIR透過量が基板を通過する。その結果、センサが実際の基板温度を決定するのを助ける。有利なことに、本発明の実施形態は、非接触、非侵襲、リアルタイムの手法を用いることで、処理中の基板の温度プロファイル及び温度勾配を決定するのを促進する複数の窓を提供する。
【0054】
上記は本発明の実施形態を対象としているが、本発明の他の及び更なる実施形態は本発明の基本的範囲を逸脱することなく創作することができ、その範囲は以下の特許請求の範囲に基づいて定められる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エッチングプロセス中の基板温度を測定する装置であって、
チャンバ蓋を有するチャンバ本体を含み、前記チャンバ蓋は前記チャンバ本体を閉じ込めており、
前記装置は、前記チャンバ本体内に配置され、基板サポート面を有する基板サポートアセンブリと、
前記基板サポート面に形成された複数の窓と、
前記基板サポートアセンブリを介して前記窓に光学的に結合した信号発生器と、
前記基板サポートの上方に位置し、前記信号発生器から前記窓プラグのうちの少なくとも1つを通して伝播されたエネルギーを受信するために整列されたセンサを更に含み、前記センサは透過率の計量値を検出するために構成される装置。
【請求項2】
前記チャンバ蓋内に形成された複数の蓋窓を更に含み、前記蓋窓のうちの少なくとも1つが前記センサを前記チャンバ本体の内部から隔離して前記チャンバ蓋内に形成されている請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記信号発生器は、約1000nmと約1400nmの間の波長の赤外光を供給するために構成されている請求項1記載の装置。
【請求項4】
前記窓は、石英、サファイア、又は約1000nmと約1400nmの間の波長の赤外光を透過する他のセラミック材料で作られている請求項1記載の装置。
【請求項5】
前記基板サポート面の下方に向けて信号を生成するために配置された第2信号発生器と、
前記基板サポートアセンブリの前記窓を通過した前記第2信号発生器の前記信号の一部を修正するために配置された第2センサを更に含む請求項1記載の装置。
【請求項6】
前記チャンバ蓋内に形成された複数の蓋窓を更に含み、前記チャンバ蓋内に形成された前記蓋窓のうちの少なくとも1つが前記第2信号発生器を前記チャンバ本体の内部から隔離している請求項5記載の装置。
【請求項7】
前記センサへ向かう前記信号をフィルタリングするために位置するフィルタを更に含む請求項1記載の装置。
【請求項8】
前記窓は前記基板サポート面全域に亘って配置されている請求項1記載の装置。
【請求項9】
前記窓は、前記基板サポートアセンブリの中心線近くに位置する内側窓と、前記内側窓の位置に対して前記中心線からより大きな半径位置に位置する複数の外側窓を少なくとも含む請求項1記載の装置。
【請求項10】
前記外側窓のうちの前記少なくとも1つは、前記内側窓から約75mmと約150mmの間に位置する請求項9記載の装置。
【請求項11】
前記チャンバ蓋内に形成された複数の蓋窓を更に含み、前記蓋窓は前記基板サポート内に形成される前記窓と整列している請求項9記載の装置。
【請求項12】
ワークピースに実行されるプロセス中の温度を測定する方法であって、
ワークピースにプロセスを実行するステップを含み、前記プロセスは前記ワークピースの温度を変化させ、
前記方法は、前記プロセスを実行している間に赤外光を前記ワークピースに通過させ、
前記ワークピースの透過率の伝播された赤外光計量値を検出し、
前記検出された計量値に基づいてワークピースの温度を計算するステップを更に含む方法。
【請求項13】
前記ワークピースは半導体ウェハであり、
検出は、約1000nmと約1400nmの間の波長を有する赤外光を前記ワークピースを通るように指向させるステップを含む請求項12記載の方法。
【請求項14】
検出は、前記ワークピースの異なる領域を通って伝播された赤外光の計量値を検出するステップを含む請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記伝播された赤外光の前記計量値の検出は、
前記ワークピースの中心部を通過する第1信号を分析し、
前記中心部の前記ワークピース外方を通過する第2信号を分析するステップを更に含む請求項12記載の方法。
【請求項1】
エッチングプロセス中の基板温度を測定する装置であって、
チャンバ蓋を有するチャンバ本体を含み、前記チャンバ蓋は前記チャンバ本体を閉じ込めており、
前記装置は、前記チャンバ本体内に配置され、基板サポート面を有する基板サポートアセンブリと、
前記基板サポート面に形成された複数の窓と、
前記基板サポートアセンブリを介して前記窓に光学的に結合した信号発生器と、
前記基板サポートの上方に位置し、前記信号発生器から前記窓プラグのうちの少なくとも1つを通して伝播されたエネルギーを受信するために整列されたセンサを更に含み、前記センサは透過率の計量値を検出するために構成される装置。
【請求項2】
前記チャンバ蓋内に形成された複数の蓋窓を更に含み、前記蓋窓のうちの少なくとも1つが前記センサを前記チャンバ本体の内部から隔離して前記チャンバ蓋内に形成されている請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記信号発生器は、約1000nmと約1400nmの間の波長の赤外光を供給するために構成されている請求項1記載の装置。
【請求項4】
前記窓は、石英、サファイア、又は約1000nmと約1400nmの間の波長の赤外光を透過する他のセラミック材料で作られている請求項1記載の装置。
【請求項5】
前記基板サポート面の下方に向けて信号を生成するために配置された第2信号発生器と、
前記基板サポートアセンブリの前記窓を通過した前記第2信号発生器の前記信号の一部を修正するために配置された第2センサを更に含む請求項1記載の装置。
【請求項6】
前記チャンバ蓋内に形成された複数の蓋窓を更に含み、前記チャンバ蓋内に形成された前記蓋窓のうちの少なくとも1つが前記第2信号発生器を前記チャンバ本体の内部から隔離している請求項5記載の装置。
【請求項7】
前記センサへ向かう前記信号をフィルタリングするために位置するフィルタを更に含む請求項1記載の装置。
【請求項8】
前記窓は前記基板サポート面全域に亘って配置されている請求項1記載の装置。
【請求項9】
前記窓は、前記基板サポートアセンブリの中心線近くに位置する内側窓と、前記内側窓の位置に対して前記中心線からより大きな半径位置に位置する複数の外側窓を少なくとも含む請求項1記載の装置。
【請求項10】
前記外側窓のうちの前記少なくとも1つは、前記内側窓から約75mmと約150mmの間に位置する請求項9記載の装置。
【請求項11】
前記チャンバ蓋内に形成された複数の蓋窓を更に含み、前記蓋窓は前記基板サポート内に形成される前記窓と整列している請求項9記載の装置。
【請求項12】
ワークピースに実行されるプロセス中の温度を測定する方法であって、
ワークピースにプロセスを実行するステップを含み、前記プロセスは前記ワークピースの温度を変化させ、
前記方法は、前記プロセスを実行している間に赤外光を前記ワークピースに通過させ、
前記ワークピースの透過率の伝播された赤外光計量値を検出し、
前記検出された計量値に基づいてワークピースの温度を計算するステップを更に含む方法。
【請求項13】
前記ワークピースは半導体ウェハであり、
検出は、約1000nmと約1400nmの間の波長を有する赤外光を前記ワークピースを通るように指向させるステップを含む請求項12記載の方法。
【請求項14】
検出は、前記ワークピースの異なる領域を通って伝播された赤外光の計量値を検出するステップを含む請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記伝播された赤外光の前記計量値の検出は、
前記ワークピースの中心部を通過する第1信号を分析し、
前記中心部の前記ワークピース外方を通過する第2信号を分析するステップを更に含む請求項12記載の方法。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6】
【図7】
【図1B】
【図1C】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6】
【図7】
【公表番号】特表2011−525632(P2011−525632A)
【公表日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−516440(P2011−516440)
【出願日】平成21年6月15日(2009.6.15)
【国際出願番号】PCT/US2009/047398
【国際公開番号】WO2010/008721
【国際公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【出願人】(390040660)アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド (1,346)
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月15日(2009.6.15)
【国際出願番号】PCT/US2009/047398
【国際公開番号】WO2010/008721
【国際公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【出願人】(390040660)アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド (1,346)
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【Fターム(参考)】
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