説明

エッチング液組成物及びこれを利用したアレイ基板の製造方法

【課題】 エッチング液の安定性を確保しエッチング工程上のマージンを保障して費用を節減することができるエッチング液組成物及びこれを利用したアレイ基板の製造方法を提供する。
【解決手段】 本発明のエッチング液組成物は、過硫酸アンモニウム((NH4228;ammonium persulfate)0.1〜30質量%、無機酸0.1〜10質量%、酢酸塩0.1〜10質量%、フッ素含有化合物0.01〜5質量%、スルホン酸化合物0.01〜5質量%、アゾール系化合物0.01〜2質量%、及び総量が100質量%となる量の水を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エッチング液組成物及びこれを利用したアレイ基板の製造方法に関するものであって、より詳しくは、チタニウム/銅(Ti/Cu)二重膜のエッチングに使用されるエッチング液組成物及びこれを利用したアレイ基板の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置を駆動する電子回路として代表的なものは薄膜トランジスタ(thin film transistor、TFT)回路である。TFT−LCDの製造時、先ずガラス基板の上にゲート及びソース/ドレイン電極用配線材料で金属層を積層させ、これら金属層を腐食性を有する気体または溶液で腐食させて所望の電気回路の金属線を形成するエッチング過程がその後に従う。
【0003】
TFT基板の上には多くの薄膜、薄層が置かれるので、これらの間で望まない電気的短絡が起こることを防止するためには、エッチングした基板の切断側面、即ちエッチングプロファイルが均一に傾斜しており下方が上方より広い、緩慢なテーパー形状であることが好ましい。
【0004】
一方、銅は電気伝導度が卓越し賦存量が豊富な金属であって、銅膜をTFT配線に使用する場合、その抵抗がアルミニウム膜やクロム膜より顕著に低く、環境に一層やさしいという長所がある。しかし、銅は酸化剤に対する抵抗性がアルミニウムやクロムよりさらに高いため過酸化水素(H22)と第二鉄Fe(III)などのようなエッチング液が使用されてきた。
【0005】
しかし、過酸化水素の場合、銅及び鉄イオン存在下で不均化反応を起こして水と酸素とに分解されるため、発熱と急激な組成変化が起こることがあって製造工程マージン及び安定性に問題があった。過酸化水素のこのような問題点を解決するために過酸化水素の安定化剤が使用されるが、製造コストが増加する問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、高い安定性及び製造工程マージンを保障し、チタニウム/銅(Ti/Cu)二重膜を同時にエッチングすることができる優秀なエッチング液を提供することにある。
本発明の他の目的は、前記エッチング液を利用したアレイ基板の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記本発明の目的を達成するための本発明のエッチング液組成物は、過硫酸アンモニウム((NH4228;ammonium persulfate)約0.1〜約30質量%、無機酸約0.1〜約10質量%、酢酸塩約0.1〜約10質量%、フッ素含有化合物約0.01〜約5質量%、スルホン酸化合物約0.01〜約5質量%、アゾール系化合物約0.01〜約2質量%、及び総量が100質量%となる量の水を含む。
【0008】
前記無機酸の例としては、硝酸、リン酸、硫酸、塩酸などが挙げられる。これらは単独でまたは混合して使用することができる。
【0009】
前記酢酸塩の例としては、酢酸アンモニウム(CH3COONH4)、酢酸リチウム(CH3COOLi)、酢酸カリウム(CH3COOK)などが挙げられる。これらは単独でまたは混合して使用することができる。
【0010】
前記フッ素含有化合物の例としては、フッ化ナトリウム(NaF)、フッ化水素ナトリウム(NaHF2)、フッ化アンモニウム(NH4F)、フッ化水素アンモニウム(NH4HF2)、ホウフッ化アンモニウム(NH4BF4)、フッ化カリウム(KF)、フッ化水素カリウム(KHF2)、フッ化アルミニウム(AlF3)、フッ化ホウ素酸(HBF4)、フッ化リチウム(LiF)、ホウフッ化カリウム(KBF4)、フッ化カルシウム(CaF2)などが挙げられる。これらは単独でまたは混合して使用することができる。
【0011】
前記スルホン酸化合物の例としては、メタンスルホン酸(CH3SO3H)、ベンゼンスルホン酸(C65SO3H)、p−トルエンスルホン酸(C77SO3H)などが挙げられる。これらは単独でまたは混合して使用することができる。
【0012】
前記アゾール系化合物の例としては、ベンゾトリアゾール、アミノテトラゾール、アミノテトラゾールカリウム塩、イミダゾール、ピラゾールなどが挙げられる。これらは単独でまたは混合して使用することができる。
【0013】
前記エッチング液組成物は、約0.01〜5質量%のボロン含有化合物をさらに含むことができる。
【0014】
前記ボロン含有化合物は、ボレート(R1BO3、R2HBO3、R32BO3)、メタボレート(R3BO2)、テトラボレート(R247、R3HB47)、ホウフッ化アンモニウム(NH4BF4)、フッ化ホウ素酸(HBF4)、ホウフッ化リチウム(LiBF4)、ホウフッ化ナトリウム(NaBF4)、ホウフッ化カリウム(KBF4)などが挙げられる。これらは単独でまたは混合して使用することができる(前記式中、R1はH3、Li3、Na3、(NH43またはK3を表し、R2はLi2、Na2、K2または(NH42を表し、R3はLi、Na、KまたはNH4を表す。)。
【0015】
前記エッチング液組成物はチタニウムを含む第1金属層及び銅を含む第2金属層を同時にエッチングすることに使用される。
【0016】
前記本発明の他の目的を実現するための実施例によるアレイ基板の製造方法は、ベース基板を形成する工程、前記ベース基板上に第1導電膜を形成した後、パターニングしてゲート配線及びゲート電極を形成する工程、前記ゲート配線が形成された前記基板上に半導体層を形成する工程、前記半導体層上に第2導電膜を形成した後、パターニングしてソース電極及びドレイン電極を形成する工程、前記ドレイン電極の一部分を露出するコンタクトホールを備える保護層を形成する工程、及び前記保護層上に位置し、前記コンタクトホールを通して前記ドレイン電極と電気的に連結される第3導電膜を形成した後にパターニングして画素電極を形成する工程を含み、前記第1導電膜及び前記第2導電膜は過硫酸アンモニウム((NH4228)、無機酸、酢酸塩、フッ素含有化合物、スルホン酸化合物、アゾール系化合物、及び水を含むエッチング液組成物を利用してエッチングする工程を含む。
【0017】
前記エッチング液組成物は、過硫酸アンモニウム((NH4228)0.1〜30質量%、無機酸0.1〜10質量%、酢酸塩0.1〜10質量%、フッ素含有化合物0.01〜5質量%、スルホン酸化合物0.01〜5質量%、アゾール系化合物0.01〜2質量%、及び総量が100質量%となる量の水を含む。
【0018】
前記エッチング液組成物は、さらにボロン含有化合物0.01〜5質量%を含むことができる。
前記第1導電膜及び前記第2導電膜のうちの少なくとも一つはチタニウムを含む第1金属層及び銅を含む第2金属層を積層する工程を含む。
【発明の効果】
【0019】
本発明によるエッチング液組成物は、過酸化水素を使用しないので発熱現象やエッチング液の安定性低下、高価な安定化剤添加のような問題点がなくてチタニウム/銅(Ti/Cu)二重膜を良好な速度で同時に、即ち、同一工程で共にテーパーエッチングすることができる。また、エッチング液の安定性を確保してエッチング液の性能をさらに長時間維持することができ、エッチング工程上マージンを十分に保障して費用を低くすることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施例によるアレイ基板の製造方法を説明するための断面図である。
【図2】本発明の他の実施例によるアレイ基板の製造方法を説明するための断面図である。
【図3】本発明の他の実施例によるアレイ基板の製造方法を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を好ましい実施例を挙げて添付図面を参照しながらより詳しく説明する。
本発明は多様な変更を加えることができ多様な形態を有することができる。以下に説明する本発明の実施例により本発明が特定の開示形態に限定されるものではなく、本発明の技術思想及び技術範囲に含まれる全ての変更、均等物乃至代替物は本発明の範囲に含まれる。各図面の説明において、同一番号の参照符号は同一の構成要素に対して使用した。第1、第2などの用語は多様な構成要素を説明することに使用されるが、前記構成要素は前記用語によって限定されるものではない。前記用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的のみに使用される。本出願で使用する用語は特定の実施例を説明するためにのみ使用されたものであって、本発明を限定するものではない。単数での表現は文脈上明白に異なることが明らかでない限り、複数の表現を含む。
【0022】
本出願において、「含む」または「からなる」などの用語は明細書に記載された特徴、数字、工程、動作、構成要素、部分品またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定するものであり、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、工程、動作、構成要素、部分品またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性を排除するものではない。
【0023】
異なるように定義されていない限り、技術的または科学的な用語を含む本明細書に使用されている全ての用語は本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者によって一般的に理解されるものと同一の意味を有している。一般的に使用される、辞典に定義されている用語は関連技術の文脈上有する意味と一致する意味を有するものとして解釈されなければならず、本出願で明白に定義してしない限り、理想的または過度に形式的な意味に解釈されない。
【0024】
添付図面においては、基板、層(膜)またはパターンの寸法は本発明の明確性を期するために実際より拡大して示されている。本発明において、各層(膜)、パターンまたは構造物が基板、各層(膜)またはパターンの「上に」、「上部に」または「下部」に形成されると言及されている場合には、各層(膜)、パターンまたは構造物が直接基板、各層(膜)またはパターンの上に形成され、下に位置するものを意味し、他の層(膜)、他のパターンまたは他の構造物が基板上に追加的に形成される。
【0025】
エッチング液組成物
本発明のエッチング液組成物は、過硫酸アンモニウム((NH4228)、無機酸、酢酸塩、フッ素含有化合物、スルホン酸化合物、アゾール系化合物、及び水を含む。具体的には、過硫酸アンモニウム((NH4228)0.1〜30質量%、無機酸0.1〜10質量%、酢酸塩0.1〜10質量%、フッ素含有化合物0.01〜5質量%、スルホン酸化合物0.01〜5質量%、アゾール系化合物0.01〜2質量%、及び総量が100質量%となる量の水を含む。
【0026】
本発明の組成物は、過硫酸アンモニウム((NH4228)を含む。過硫酸アンモニウム((NH4228)は酸化剤として銅膜をエッチングする主成分であって、下記反応式1に示す反応によって銅膜をエッチングして安定した化合物を形成する。
【0027】
反応式1
28-2+2Cu→2CuSO4
【0028】
前記過硫酸アンモニウム((NH4228)は、好ましく半導体工程用の純度を有するものを使用することができる。前記過硫酸アンモニウム((NH4228)の含量が全体の約0.1質量%未満である場合には銅膜のエッチングが難しく、約30質量%を超過する場合には銅膜のエッチング速度が過度に速くて工程上の調節が難しいことがある。そのため、本発明の組成物は過硫酸アンモニウム((NH4228)を約0.1〜30質量%、好ましくは約5〜25質量%、より好ましくは約10〜20質量%を含むことができる。
【0029】
本発明の組成物は無機酸を含む。無機酸は銅膜をエッチングする補助酸化剤であって、銅エッチング過程で溶出された銅イオンによるエッチング速度低下現象を防止する。前記無機酸の例としては、硝酸、リン酸、硫酸、塩酸などが挙げられ、好ましくは硝酸である。これらは単独でまたは混合して使用することができる。前記無機酸は好ましく半導体工程用の純度を有するものを使用することができる。前記無機酸の含量が全体の約0.1質量%未満である場合には補助酸化剤としての役割を果たさず、約10質量%を超過する場合には銅膜のエッチングが過度に速くなって配線が短絡される不良を招く。そのため、本発明の組成物は無機酸を約0.1〜10質量%、好ましくは約1〜8質量%、より好ましくは約2〜5質量%を含むことができる。
【0030】
本発明の組成物は酢酸塩を含む。酢酸塩は銅膜のエッチング速度を調節する役割を果たす。前記酢酸塩の例としてはCH3COO-に解離される化合物として、酢酸アンモニウム(CH3COONH4)、酢酸リチウム(CH3COOLi)、酢酸カリウム(CH3COOK)などが挙げられ、好ましくは酢酸アンモニウム(CH3COONH4)である。これらは単独でまたは混合して使用することができる。前記酢酸塩は、好ましく半導体工程用の純度を有するものを使用することができる。前記酢酸塩の含量が全体の約0.1質量%未満である場合にはエッチング速度調節がされず、約10質量%を超過する場合には銅膜のエッチングが不均一になったりエッチングされない。そのため、本発明の組成物は、酢酸塩を約0.1〜10質量%、好ましくは約1〜8質量%、より好ましくは約2〜5質量%を含むことができる。
【0031】
本発明の組成物はフッ素含有化合物を含む。フッ素含有化合物は銅下部のチタン膜をエッチングする主成分としてフッ素を含んでいる化合物をいう。前記フッ素含有化合物の例としては、フッ化ナトリウム(NaF)、フッ化水素ナトリウム(NaHF2)、フッ化アンモニウム(NH4F)、フッ化水素アンモニウム(NH4HF2)、ホウフッ化アンモニウム(NH4BF4)、フッ化カリウム(KF)、フッ化水素カリウム(KHF2)、フッ化アルミニウム(AlF3)、フッ化ホウ素酸HBF4)、フッ化リチウム(LiF)、ホウフッ化カリウム(KBF4)、フッ化カルシウム(CaF2)などが挙げられ、好ましくはフッ化アンモニウム(NH4F)である。これらは単独でまたは混合して使用することができる。前記フッ素含有化合物の含量が全体の約0.01質量%未満である場合にはチタン膜のエッチングが難しく、約5質量%を超過する場合にはチタン膜の下部のガラス及び絶縁膜をエッチングして不良を招く。そのため、本発明の組成物はフッ素含有化合物を約0.01〜5質量%、好ましくは約0.1〜3質量%、より好ましくは約0.5〜1質量%を含むことができる。
【0032】
本発明の組成物はスルホン酸化合物を含む。スルホン酸化合物は−SO3Hで構成される化合物であって過硫酸アンモニウムの分解を抑制させてエッチング液の安定性を増加させる役割を果たす。前記スルホン酸化合物の例としては、メタンスルホン酸(CH3SO3H)、ベンゼンスルホン酸(C65SO3H)、p−トルエンスルホン酸(C77SO3H)などが挙げられ、好ましくはメタンスルホン酸(CH3SO3H)である。これらは単独でまたは混合して使用することができる。前記スルホン酸化合物の含量が全体の約0.01質量%未満である場合には安定剤としての役割を果たすことができず、約5質量%を超過する場合には銅膜のエッチング速度が速くなって工程上の調節が難しくなる。そのため、本発明の組成物はスルホン酸化合物を約0.01〜5質量%、好ましくは約0.01〜3質量%、より好ましくは約0.05〜1質量%を含むことができる。
【0033】
本発明の組成物はアゾール系化合物を含む。アゾール系化合物は窒素元素を含有し少なくとも一つ以上の非炭素原子を環中に備えている5員へテロ環をいう。前記アゾール系化合物は銅膜のエッチングを抑制して銅及び他の金属の多層膜で金属の間のエッチング速度を調節する役割を果たす。前記アゾール系化合物の例としては、ベンゾトリアゾール、アミノテトラゾール、アミノテトラゾールカリウム塩、イミダゾール、ピラゾールなどが挙げられ、好ましくはアミノテトラゾールである。これらは単独でまたは混合して使用することができる。前記アゾール系化合物の含量が全体の約0.01質量%未満である場合には銅に対するエッチング速度を調節することができずCD損失が大きくなり、約2質量%を超過する場合には銅膜のエッチングが不均一になったりエッチングされない。そのため、本発明の組成物はアゾール系化合物を約0.01〜2質量%、好ましくは約0.1〜1.5質量%を含むことができる。
【0034】
本発明の組成物は約0.01〜5質量%のボロン含有化合物をさらに含むことができる。
【0035】
前記ボロン含有化合物はチタン膜のエッチング速度を均一に調節する主成分としてホウ素を含んでいる化合物をいう。前記ボロン含有化合物の例としては、ボレート(R1BO3、R2HBO3、R32BO3)、メタボレート(R3BO2)、テトラボレート(R247、R3HB47)、ホウフッ化アンモニウム(NH4BF4)、フッ化ホウ素酸(HBF4)、ホウフッ化リチウム(LiBF4)ホウフッ化ナトリウム(NaBF4)、ホウフッ化カリウム(KBF4)(前記式中、R1はH3、Li3、Na3、(NH43またはK3を表し、R2はLi2、Na2、K2または(NH42を表し、R3はLi、Na、KまたはNH4を表す。)などが挙げられ、好ましくはフッ化ホウ素酸(HBF4)である。これらは単独でまたは混合して使用することができる。前記ボロン含有化合物の含量が全体の約0.01質量%未満である場合にはチタン膜のエッチング速度調節が難しく、約5質量%を超過する場合にはチタン膜のエッチングが難しくなる。そのため、本発明の組成物はボロン含有化合物を約0.01〜5質量%、好ましくは約0.05〜3質量%を含むことができる。
【0036】
本発明のエッチング液組成物は前述の過硫酸アンモニウム((NH4228)、無機酸、酢酸塩、フッ素含有化合物、スルホン酸化合物、アゾール系化合物、及び水を共に含む。本発明のエッチング液組成物に使用される水の例としては、純水、超純水、脱イオン水、蒸留水などが挙げられる。本発明のエッチング液組成物に含まれる水の含量は組成物の含量を考慮して適切に調節することができる。
【0037】
本発明のエッチング液組成物はエッチング液の安定性を確保し、ゲート配線材料であるチタニウム及び銅(Ti/Cu)を含む金属層を同時に、即ち、同一工程で共にエッチングして優秀なプロファイルを収得して、エッチング工程上のマージンを保障することができる。
【0038】
本発明で開示するエッチング液またはエッチング液組成物の範囲には前記示した質量比の範囲内に含まれたエッチング液はもちろん、たとえ組成がその質量比範囲の数値外であったり、前述で例示として示した一部成分の置換があっても、その変化された構成がこの分野における通常の知識を有する者に前記エッチング液組成と実質的に均等であることが自明であれば、その構成も含まれる。
【実施例】
【0039】
以下、実施例を挙げて本発明をより詳しく説明する。本発明の実施例は多様な形態に変形され、本発明の範囲は以下に詳述する実施例によって限定されるものではない。
【0040】
実施例1〜7:
下記表1の処方に従って本発明のエッチング液組成物による実施例1〜7のエッチング液を製造した。
【0041】
【表1】

【0042】
表1に示す通り、本発明の実施例1によるエッチング液は、過硫酸アンモニウム12質量%、硝酸3質量%、酢酸アンモニウム3質量%、フッ化アンモニウム0.8質量%、メタンスルホン酸0.1質量%、アミノテトラゾール1質量%、及び水80.1質量%を含む。
【0043】
本発明の実施例2によるエッチング液は、過硫酸アンモニウム12質量%、硝酸3質量%、酢酸アンモニウム3質量%、フッ化ホウ素酸0.2質量%、フッ化アンモニウム0.8質量%、メタンスルホン酸0.1質量%、アミノテトラゾール1質量%、及び水79.9質量%を含む。
【0044】
本発明の実施例3によるエッチング液は、過硫酸アンモニウム12質量%、硝酸3質量%、酢酸アンモニウム3質量%、フッ化アンモニウム0.8質量%、メタンスルホン酸0.1質量%、アミノテトラゾール1質量%、及び水80.1質量%を含む。
【0045】
本発明の実施例4によるエッチング液は、過硫酸アンモニウム12質量%、3硝酸.4質量%、酢酸アンモニウム3質量%、フッ化アンモニウム0.8質量%、メタンスルホン酸0.1質量%、アミノテトラゾール1質量%、及び水79.7質量%を含む。
【0046】
本発明の実施例5によるエッチング液は、過硫酸アンモニウム12質量%、硝酸3質量%、酢酸アンモニウム3.4質量%、フッ化ホウ素酸0.2質量%、フッ化アンモニウム0.8質量%、メタンスルホン酸0.1質量%、アミノテトラゾール1質量%、及び水79.5質量%を含む。
【0047】
本発明の実施例6によるエッチング液は、過硫酸アンモニウム12質量%、硝酸3質量%、酢酸アンモニウム3質量%、フッ化ホウ素酸0.5質量%、フッ化アンモニウム0.8質量%、メタンスルホン酸0.1質量%、アミノテトラゾール1質量%、及び水79.6質量%を含む。
【0048】
本発明の実施例7によるエッチング液は、過硫酸アンモニウム12質量%、硝酸3質量%、酢酸アンモニウム3質量%、フッ化ホウ素酸0.5質量%、フッ化アンモニウム1.0質量%、メタンスルホン酸0.1質量%、アミノテトラゾール1質量%、及び水79.4質量%を含む。
【0049】
実験例:エッチング性能の評価
実施例1〜7の各エッチング液について、チタニウム及び銅(Ti/Cu)二重膜を時間基準に60%超過してエッチングしたオーバーエッチング実験を行い、実施例1〜7のエッチング液のエッチング速度、CD skew(Cut dimension skew)とテーパー角を評価した。また、顕微鏡写真でエッチングされたチタニウム及び銅(Ti/Cu)二重膜の側断面を観察した。その結果を表2に示した。
【0050】
【表2】

【0051】
表2において、エッチング終点は、エッチング液による膜のエッチングが完了しガラス基板のガラスが露出された状態に至るまでの時間(秒)を示す。エッチング終点の値が小さいほど旺盛なエッチング能力を示す。CD skew(Cut dimension skew)はフォトレジスト末端と銅末端との間の距離を示し、段差がなく均一なテーパーエッチングが行われるためにはこの距離は適切な範囲内でなければならない。テーパー角はエッチングされた金属膜の側面から見た傾斜であって、45〜60°程度が適切な値である。
【0052】
前記表2を参照すれば、本発明のエッチング液組成物は優れたエッチング速度及びCD skewを示し、テーパープロファイルを30〜70°に調節できることが分かる。
【0053】
アレイ基板の製造方法
図1〜図3は本発明の一実施例によるアレイ基板の製造方法を説明するための断面図である。
【0054】
図1の例では、ベース基板100上に第1導電膜を形成した後にパターニングしてゲート配線(図示せず)及びゲート電極110を形成する。このとき、前記ゲート配線(図示せず)及びゲート電極110はチタニウムと銅を順次に積層した二重膜に形成することが好ましい。たとえば、前記ゲート配線及びゲート電極110はチタニウムを含む第1金属層及び銅を含み、第1金属層の上に位置した第2金属層を含むことができる。
【0055】
図2の例では、前記ゲート配線及びゲート電極の上に酸化シリコン膜、窒化シリコン膜または前記酸化シリコン膜及び前記窒化シリコン膜を順次に積層した二層膜からなるゲート絶縁膜120を形成する。前記ゲート絶縁膜120は化学気相蒸着法またはスパッタリング法を利用して形成することができる。
【0056】
前記ゲート電極と対応する前記ゲート絶縁膜120の上にアクティブ層131及びオーミックコンタクト層132を積層して半導体層130を形成する。ここで、前記アクティブ層131は非晶質シリコンからなることができ、前記オーミックコンタクト層132はN形またはP形不純物がドーピングされている非晶質シリコンからなることができる。前記オーミックコンタクト層132は互いに離隔されている一対のパターンからなることができる。
【0057】
その後、前記半導体層の上に第2導電膜を形成した後にパターニングしてデータ配線(図示せず)、ソース電極140a、及びドレイン電極140bを形成する。このとき、前記データ配線(図示せず)、ソース電極140a、及びドレイン電極140bはチタニウム及び銅を順次に積層した二重膜に形成することが好ましい。たとえば、前記データ配線、ソース電極140a、及びドレイン電極140bはチタニウムを含む第1金属層及び銅を含み第1金属層の上に位置した第2金属層を含むことができる。
【0058】
図3の例では、前記データ配線及びソース/ドレイン電極140a、140bの上に保護層150を形成し、前記ドレイン電極の一部分を露出するコンタクトホール(CNT)を形成する。ここで、前記保護層150は窒化シリコン、酸化シリコンからなることができる。
【0059】
その後、前記コンタクトホールを通じて前記ドレイン電極と電気的に連結されるように前記保護層の上に第3導電膜を形成した後、パターニングして画素電極160を形成する。
【0060】
前記画素電極160は透明電極であって、インジウム−亜鉛酸化物(ITO)またはインジウム−亜鉛酸化物(IZO)などからなることができる。
【0061】
前記ゲート電極、前記ソース/ドレイン電極、及び前記画素電極をなす各導電膜は同一のエッチング組成物からなるエッチング液でパターニングすることができる。ここで、前記エッチング液組成物は過硫酸アンモニウム((NH4228)0.1〜30質量%、無機酸0.1〜10質量%、酢酸塩0.1〜10質量%、フッ素含有化合物0.01〜5質量%、スルホン酸化合物0.01〜5質量%、アゾール系化合物0.01〜2質量%、及び総量が100質量%となる量の水を含むことができる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明によるエッチング液組成物は過酸化水素を使用しないので、発熱現象やエッチング液の安定性低下、高価の安定化剤添加のような問題点がなく、チタニウム及び銅(Ti/Cu)からなる金属層を良好な速度で同時に、即ち、同一工程で共にテーパーエッチングすることができる。また、エッチング液の安定性を確保してエッチング液の性能をさらに長時間維持することができ、エッチング工程上のマージンを十分に保障して費用を低くすることができる効果がある。
【0063】
前記のように、本発明の好ましい実施例を参照して説明したが、当該技術分野の熟練した当業者であれば特許請求の範囲に記載された本発明の思想及び領域から外れない範囲内で本発明を多様に修正及び変更させることができることを理解することができる。
【符号の説明】
【0064】
100 ベース基板
110 ゲート電極
120 ゲート絶縁膜
130 半導体層
131 アクティブ層
132 オーミックコンタクト層
140a ソース電極
140b ドレイン電極
150 保護層
160 画素電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
過硫酸アンモニウム((NH4228;ammonium persulfate)0.1〜30質量%、
無機酸0.1〜10質量%、
酢酸塩0.1〜10質量%、
フッ素含有化合物0.01〜5質量%、
スルホン酸化合物0.01〜5質量%、
アゾール系化合物0.01〜2質量%、及び
総量が100質量%となる量の水を含むことを特徴とするエッチング液組成物。
【請求項2】
前記無機酸が、硝酸、リン酸、硫酸、及び塩酸からなる群より選択される少なくとも一つの物質を含む請求項1に記載のエッチング液組成物。
【請求項3】
前記酢酸塩が、酢酸アンモニウム(CH3COONH4)、酢酸リチウム(CH3COOLi)、及び酢酸カリウム(CH3COOK)からなる群より選択される少なくとも一つの物質を含む請求項1に記載のエッチング液組成物。
【請求項4】
前記フッ素含有化合物が、フッ化ナトリウム(NaF)、フッ化水素ナトリウム(NaHF2)、フッ化アンモニウム(NH4F)、フッ化水素アンモニウム(NH4HF2)、ホウフッ化アンモニウム(NH4BF4)、フッ化カリウム(KF)、フッ化水素カリウム(KHF2)、フッ化アルミニウム(AlF3)、フッ化ホウ素酸(HBF4)、フッ化リチウム(LiF)、ホウフッ化カリウム(KBF4)、及びフッ化カルシウム(CaF2)からなる群より選択される少なくとも一つの物質を含む請求項1に記載のエッチング液組成物。
【請求項5】
前記スルホン酸化合物が、メタンスルホン酸(CH3SO3H)、ベンゼンスルホン酸(C65SO3H)、p−トルエンスルホン酸(C77SO3H)からなる群より選択される少なくとも一つの物質を含む請求項1に記載のエッチング液組成物。
【請求項6】
前記アゾール系化合物が、ベンゾトリアゾール、アミノテトラゾール、アミノテトラゾールカリウム塩、イミダゾール、及びピラゾールからなる群より選択される少なくとも一つの物質を含む請求項1に記載のエッチング液組成物。
【請求項7】
さらに0.01〜5質量%のボロン含有化合物を含む請求項1に記載のエッチング液組成物。
【請求項8】
前記ボロン含有化合物が、ボレート(R1BO3、R2HBO3、R32BO3)、メタボレート(R3BO2)、テトラボレート(R247、R3HB47)、ホウフッ化アンモニウム(NH4BF4)、フッ化ホウ素酸(HBF4)、ホウフッ化リチウム(LiBF4)ホウフッ化ナトリウム(NaBF4)、及びホウフッ化カリウム(KBF4)からなる群より選択される少なくとも一つの物質(前記式中、R1はH3、Li3、Na3、(NH43またはK3を表し、R2はLi2、Na2、K2または(NH42を表し、R3はLi、Na、KまたはNH4を表す。)を含む請求項7に記載のエッチング液組成物。
【請求項9】
チタニウムを含む第1金属層及び銅を含む第2金属層を同時にエッチングすることに使用される請求項1に記載のエッチング液組成物。
【請求項10】
ベース基板を形成する工程、
前記ベース基板上に第1導電膜を形成した後、パターニングしてゲート配線及びゲート電極を形成する工程、
前記ゲート配線が形成された前記基板上に半導体層を形成する工程、
前記半導体層上に第2導電膜を形成した後、パターニングしてソース電極及びドレイン電極を形成する工程、
前記ドレイン電極の一部分を露出するコンタクトホールを備える保護層を形成する工程、及び
前記保護層上に位置し、前記コンタクトホールを通して前記ドレイン電極と電気的に連結される第3導電膜を形成した後にパターニングして画素電極を形成する工程を含み、
前記第1導電膜及び前記第2導電膜が過硫酸アンモニウム((NH4228)、無機酸、酢酸塩、フッ素含有化合物、スルホン酸化合物、アゾール系化合物、及び水を含むエッチング液組成物を使用してエッチングする工程を含むアレイ基板の製造方法。
【請求項11】
前記エッチング液組成物が、過硫酸アンモニウム((NH4228)0.1〜30質量%、無機酸0.1〜10質量%、酢酸塩0.1〜10質量%、フッ素含有化合物0.01〜5質量%、スルホン酸化合物0.01〜5質量%、アゾール系化合物0.01〜2質量%、及び水を総量が100質量%となる量含む請求項10に記載のアレイ基板の製造方法。
【請求項12】
前記第1導電膜及び前記第2導電膜のうちの少なくとも一つが、チタニウムを含む第1金属層及び銅を含み、第1金属層上に位置した第2金属層を含む請求項10に記載のアレイ基板の製造方法。
【請求項13】
前記エッチング液組成物を用いて、前記第1金属層及び前記第2金属層を同時にエッチングする請求項12に記載のアレイ基板の製造方法。
【請求項14】
前記エッチング液組成物が、さらにボロン含有化合物を含む請求項10に記載のアレイ基板の製造方法。
【請求項15】
前記ボロン含有化合物を0.01〜5質量%を含む請求項14に記載のアレイ基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−265547(P2010−265547A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−110960(P2010−110960)
【出願日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【出願人】(500013751)東進セミケム株式会社 (72)
【氏名又は名称原語表記】Dongjin Semichem Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】472−2 Gajwa−dong,Seo−ku,Incheon−city 404−250,Korea
【Fターム(参考)】