説明

エネルギーホメオスタシスに関係する新規ペプチド

76アミノ酸分泌タンパク質(“Swir1”)候補の発現が、空腹時トリグリセリドおよびコレステロールレベルと負に相関することが見いだされた。組換えアデノウイルスを使用して2種のマウス肥満モデル、KK−AyおよびLepob/LepobマウスにおけるSwir1の発現を増加させた。アデノウイルス注射によるSwir1の過剰発現は両モデルにおける空腹時トリグリセリドおよびコレステロールレベルを有意に、および再現可能に減少させた。その上、Swir1タンパク質を過剰発現するトランスジェニックマウスが作製された。脂肪生成に関係する主要遺伝子(脂肪酸シンターゼ)の発現およびFASタンパク質レベルは、Lepob/LepobマウスにおけるSWIR1アデノウイルス処理により低下した。経口摂取、注射、皮下パッチ、または鼻腔内経路によって送達される全長SWIR1ペプチド、またはそのペプチド誘導体、ホモログ、アナログ、もしくはミメティックは、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、インスリン抵抗性、肥満、糖尿病、および/またはエネルギー不均衡の治療または診断薬として使用可能であった。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 米国仮出願番号60/705,940の2005年8月5日の出願日の利益が、すべての国における適用可能な条約および協定の下で主張される。米国では、2005年8月5日に出願された米国仮出願番号60/705,940の利益は35U.S.C.§119(e)の下で主張される。
【0002】
技術分野
[0002] 本発明は、肥満とインスリン抵抗性および脂肪血症の関連、およびエネルギーホメオスタシスの変化に関係することが見いだされ、“suppressed with insulin resistance 1”(Swir1)と命名された、新規遺伝子およびその結果として生じるタンパク質に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
[0003] 肥満はますます一般的になっている世界的な疾患であり、流行に相当する程度に到達している。現在の推定では、少なくとも西欧人口の50%が体重過剰かまたは肥満のいずれかである。肥満、とりわけ腹部肥満は、インスリン抵抗性、脂質代謝異常、肝脂肪症、および高血圧のような他の状態と組み合わせて、メタボリック、またはインスリン抵抗性シンドロームとして公知である。インスリン抵抗性および2型糖尿病に関連した脂質代謝異常の主要な病態生理学的特徴は、超低密度リポタンパク質(VLDL)中の増加した血漿トリグリセリド(TG)、および低下した高密度リポタンパク質(HDL)コレステロールである。一般的に、増加した循環しているTGは遊離脂肪酸(FFA)に加水分解され、肝臓を含む末梢組織によって吸収され、そして肝脂肪症、または非アルコール性脂肪肝を導くことができる。肥満および代謝障害のいくつかの突然変異マウスモデルの研究は、インスリン抵抗性と調節困難なTG間の関連が複雑で末梢性および中枢性の両方の要因を含むことを暗示する。
【0004】
[0004] インスリン抵抗性は骨格筋および脂肪組織(fat)における、低下したインスリン刺激グルコース取込、ならびに損なわれた肝臓グルコース放出抑制を表す(2)。高血糖症および高脂肪血症は2型糖尿病の病態生理の副作用でもあり、その原因となる要因でもある。グルコース毒性および脂肪毒性は、インスリン作用およびβ‐細胞からの分泌の抑制によって、インスリン抵抗性および2型糖尿病をさらに促進する。高インスリン血症は肝臓グルコース放出を抑制することに初めは成功するが、増大したインスリンの有害な効果が正常な血糖値を維持することに関連した利益を相殺する(2)。高インスリン血症は、高血圧、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、および冠動脈心疾患を含む、一群の代謝異常における要因であると考えられている。NAFLD疾患は一般にインスリン抵抗性に関連し、2種の転写因子:ステロール調節要素結合タンパク質‐1c(SREBP1c)およびペルオキシソーム増殖因子受容体‐γ(PPARγ)を必要とする(3〜6)。肝臓におけるSREBP1cまたはPPARγシグナリングの欠如は、肥満インスリン抵抗性マウスにおいて起こる肝脂肪症の発症を阻止する(5〜7)。
【0005】
[0005] インスリン抵抗性を説明する一般的な機序を定義することは、インスリン受容体(IR)シグナリングシステムの複雑さ、およびこの障害の発症に貢献するのは1つではなく多くの要因であるという認識ゆえに、困難であり続けた。2種のアダプタータンパク質、IRS1およびIRS2のチロシンリン酸化はインスリンによるグルコース取込刺激における重要な初期のステップである(8〜11)。IRS1およびIRS2は固有の酵素活性を持たず、キナーゼ、ホスファターゼまたはユビキチンリガーゼ機能を持つタンパク質の複合体の形成を促進する分子足場の一部として機能を果たすと考えられている(12)。IRSとの結合によるホスホイノシチド3′キナーゼ(PI3K)の刺激は、インスリン刺激グルコース取込における重要なステップである。PI3Kのp110触媒サブユニットの活性化は脂質キナーゼドメインを活性化し、それがホスファチジル−4,5−ビホスフェートをリン酸化する。PI3Kの活性化はインスリンによるグルコース取込の最大限の刺激に必須であるが、他の経路がさらに含まれていてもよい(12)。
【0006】
[0006] インスリン抵抗性の発症に通じる代謝状態は、酸化的代謝によるカロリー摂取の不均衡に起因すると考えられている(13,14)。研究は、筋肉におけるミトコンドリア機能の低下が肥満に関連したインスリン抵抗性の発症における要因であることを暗示する(14,15)。エネルギー消費の刺激および食欲の抑制は共に、肥満および2型糖尿病のマウスモデルにおいて、グルコース代謝改善に帰着する。このことを十分に特徴付ける例としては、アディポサイトカインのレプチンが挙げられる。レプチンは、視床下部および後脳において作用して食欲を抑制し、自律神経系の刺激を通して骨格筋における酸化的代謝を亢進させる(16〜20)。しかし、レプチンはまた、食物摂取または体重に対する顕著な効果とは独立して、肝臓のインスリン感受性を改善することができる(17)。
【0007】
[0007] 脂肪酸(FA)の注入は、4〜6時間以内の筋肉のインスリン感受性の迅速な低下と関連する(21〜23)。FAがインスリン刺激グルコース取込を低下させる厳密な機序は、依然として論争の種である。最近のデータは、FAがグルコース取込を刺激するIRシグナル伝達経路を妨害することを示唆している(21、22、24)。FAおよびジアシルグリセロールの細胞内濃度の増加がセリンプロテアーゼである、タンパク質キナーゼCθ(PKCθ)の活性化を導くという1つの仮説がある(25)。PKCθによるSer307でのIRS1のリン酸化は、IRによるIRS‐1のリン酸化を阻止し、低下したPI3Kの活性化およびインスリンによるグルコース取込の刺激における低下を導く。
【0008】
[0008] 肥満とインスリン抵抗性間のリンクとしての分泌されたポリペプチドの異常な活性. 肥満とインスリン抵抗性を関連させる機序を特定することは、新規なグルコース低下療法を開発するために重要である。インスリン抵抗性を究明する最近の研究は脂肪細胞に焦点を合わせてきた。肥満は脂肪細胞から分泌されるポリペプチド(アディポサイトカイン)の調節性ネットワークの異常な調節と機能に関連する。レプチン、アディポネクチン、およびレジスチンのようなアディポサイトカインは肝グルコース生産、筋肉におけるグルコース処理、および脂肪細胞における増殖および脂質貯蔵を調節する(26)。レプチンは、摂取行動、自律神経活動、および代謝を支配する神経内分泌(甲状腺、副腎)を調節する視床下部および後脳に位置するニューロンへの作用を通じてエネルギーホメオスタシスを調節する(16)。肥満に関連したレプチン抵抗性または低下した血清アディポネクチンは、減少したインスリン‐増感作用を通じて、および脂肪症(細胞内脂肪酸蓄積)発症のリスクを増やすことによってインスリン抵抗性に貢献する要因である(27、28)。非脂肪組織はまた、筋肉由来のマスクリン(29)および肝臓由来のアンギオポイエチン‐関連成長因子(30)のような、エネルギー代謝およびインスリン感受性に影響を与えるペプチドを分泌する。これらの因子はまた、メタボリックシンドロームの治療にとっての標的であってもよい。
【0009】
[0009」 肥満とインスリン抵抗性間のリンクを調査するためのメラノコルチン受容体ノックアウト: 中枢神経系の領域において発現された2種のメラノコルチン受容体はエネルギーホメオスタシスに関係する。マウス(Mc4r−/−またはMc4rKOマウス)におけるニューロンのメラノコルチン‐4受容体(MC4R)遺伝子を標的とした枯渇も肥満および高インスリン血症を引き起こし、同様に肝臓の脂質生成遺伝子発現増大および肝脂肪症に関連する。別のニューロンメラノコルチン受容体が欠失しているマウス(Mc3r−/−またはMc3rKOマウス)は、高脂肪規定食を与えられるとMc4r−/−マウスと同じ程度の肥満を発症するが、同じレベルのインスリン抵抗性、高脂肪血症および悪化した肝脂肪症を提示しない。Mc3rKOおよびMc4rKO系統を使用する研究は、両方とも誇張された規定食‐誘発肥満を提示することを示しているが、Mc4rKOにおけるインスリン感受性の低下はより速やかで深刻である(31、32)。図1A〜1Eは、低脂肪規定食または高脂肪規定食のいずれかの関数としての体格に換算して野生型マウス(C57BL/6J)および2種のノックアウトマウスにおける既知の違いの一部を説明する(31、32)。マウスおよびヒトにおける重いインスリン抵抗性は、肝腫脹および脂肪症に関連する(33)。Mc4rKOは肥満状態で肝臓のインスリン抵抗性および増大した肝臓の脂質生成を伴う肝腫脹を発症し、高脂肪規定食(HFD)で重いグルコースおよびインスリン不耐性に関連したグルコースホメオスタシスの著しい悪化を提示する。図2A〜2Eは2種のマウス系統における肝腫脹および脂肪症における違い、さらに脂質代謝に関係した遺伝子発現の違いを示す(4、17、57)。一方、脂肪量(FM)に関してMc4rKOに匹敵するMc3rKOは、グルコースホメオスタシスの非常にわずかな悪化を提示する。
【0010】
[0010] SWIR1に類似したcDNAの配列. SWIR1に相同なタンパク質候補をコードするcDNAの配列およびオープンリーディングフレーム候補は、cDNAの大規模シークエンシングに関係したいくつかのコンソーシアムによって以前に公開されている。R.L.Stausberg et al.,“Generation and initial analysis of more than 15,000 full−length human and mouse cDNA sequences,”Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,99巻,pp.16899−16903(2002)(Genbank受託番号:BC021944,完全なコーディング配列をもつcDNA);およびH.F.Clark et al.,“The secreted protein discovery initiative(SPDI),a large−scale effort to identify novel human secreted and transmembrane proteins:a bioinformatics assessment,”Genome Res.,13巻,pp.2265−2270(Genbank受託番号:NM_198573,完全なコーディング配列をもつcDNA)を参照されたい。SEQ ID NO:2の初めの37アミノ酸残基と類似した相同性を持つタンパク質が同定されている。しかし、この記載されたタンパク質の核酸およびアミノ酸配列はcDNAシークエンシングの一ヌクレオチドエラーのために不正確であるかもしれない。本明細書に記載されたタンパク質に関して、以前に機能は公開されていない。
【発明の開示】
【0011】
[0011] 我々は2種の肥満のトランスジェニックマウスモデルを使用した調査に基づいて新規な分泌ペプチド(Swir1)を発見している。マイクロアレイ遺伝子発現解析およびリアルタイム定量PCRによる実証を使用して、重いインスリン抵抗性およびグルコース不耐性Mc4rKOおよびレプチン‐欠乏(Lepob/Lepob)マウスにおいて、76アミノ酸分泌タンパク質候補をコードするmRNA(genbank受託番号:AK009710)の発現が1/10に減少していることが見いだされた。対照的に、適度にグルコース不耐性であるが、正常なインスリンへの反応を提示する肥満Mc3rKOマウスでは、Swir1タンパク質の発現において30〜40%の限られた減少が見られた。C57BL/6Jマウスにおいて、肝臓のSwir1mRNA発現と空腹時グルコースレベルにおける負の相関が見いだされた。また、視床下部におけるSwir1の発現は肥満およびインスリン抵抗性によって減少した。我々はまた、mRNAが分泌タンパク質をコードすることを確証した。肝臓および脳のSwir1mRNA発現に対する規定食‐誘発肥満の負の作用に基づいてタンパク質をコードする遺伝子は“Swir1”(“suppressed with insulin resistance 1”)と呼ばれた。組換えアデノウイルスを使用してマウス肥満モデルにおけるSwir1の発現を増加させた。アデノウイルス注射によるSwir1の過剰発現は、空腹時インスリン、トリグリセリドおよびコレステロールレベルを有意に、および再現可能に低下させた。その上、脂質生成(脂肪酸合成)およびFASタンパク質レベルに関係する重要な遺伝子の発現はLepob/LepobマウスにおけるSwir1アデノウイルス処理によって低下した。
【0012】
[0012] すべての組織において発現されるヒトβ‐アクチンプロモーターによって制御されるSwir1DNA(SEQ ID NO:1)を使用して、Swir1タンパク質を過剰発現するマウスのトランスジェニックFVB/DNA系統が作製された。Swir1を過剰発現する雌FVB/NJマウスは著しく減少した脂肪量、およびより高い代謝率を有し、これは間接熱量測定法(Oxymax,Columbus Instruments,Columbus,Ohio)を使用して酸素消費(VO2)を測定することによって特定された。トランスジェニックマウスにおいて観察された代謝率の増大は、Swir1を発現する組換えアデノウイルスを注射されたマウスを使用した実験から生じた結果に基づいて予言されていた。Swir1を発現する組換えアデノウイルスに感染したマウスは一晩の絶食中にさらに多くの体重を失い、絶食中に代謝率を低下させて補償する能力が損なわれたことを暗示する。FVB/NJ Swir1トランスジェニックマウスは、より高い代謝率と関連して、絶食中に同様の過大な体重損失を提示した。Swir1の抗糖尿病作用の要素はしたがって、酸化的代謝に関連する経路の刺激を含み得る。すなわち、Swir1は身体活動度、基礎代謝率、または両方の組み合わせに対する作用を通じて、部分的に熱(kJ)消費とカロリー支出のバランスを標準化することを通じて、肥満のインスリン抵抗性個体の代謝的特徴を改善し得る。
【0013】
[0013] 経口摂取、注射、皮下パッチ、または鼻腔内経路によって送達される全長Swir1ペプチド、またはそのペプチドフラグメント、誘導体、ホモログ、アナログ、もしくはミメティックは、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、インスリン抵抗性、肥満、糖尿病、および/またはエネルギー不均衡障害にとっての治療または診断薬として使用可能であった。
【0014】
[0014] 抗体(AB1(SEQ ID NO:8)およびAB2(SEQ ID NO:9))は、BC021944にとって予言されたオープンリーディングフレームに由来するペプチドフラグメントに対して産生され、図5に示される。これらの抗体を使用して、ヒト血清、およびラット脳におけるSwir1‐免疫反応性の存在を証明し、BC021944に対して予言されたオープンリーディングフレームが小さい分泌ペプチドをコードするという結論を強く支持した。Swir1‐免疫反応性はヒト血漿において検出された(データは示さない)。ラット脳では、Swir1免疫反応性を持つニューロンは視床下部の弓状核において同定されている。この観察の重要性は、視床下部の弓状核のニューロンが任意の熱産生および身体活動度の両方に対する、およびグルコースホメオスタシスに対する効果を通じて、エネルギー支出の調節に関係しているということである[Cone RD.Anatomy and regulation of the central melanocortin system. Nat Neurosci.2005 May;8(5):571−8;Coppari R,Ichinose M,Lee CE,Pullen AE,Kenny CD,McGovern RA,Tang V,Liu SM,Ludwig T,Chua SC Jr,Lowell BB,Elmquist JK.The hypothalamic arcuate nucleus:a key site for mediating leptin’s effects on glucose homeostasis and locomotor activity.Cell Metab.2005 Jan;1(1):63−72.]FVB/NJトランスジェニックマウスの増大したエネルギー支出および身体活動度は、したがって中枢神経系における、より明確には、視床下部の弓状核におけるニューロンの活動を調節することに基づいた作用を通じた、作用を含んでいてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明を実施するための方法
[0058] 本発明は新規分泌タンパク質(Swir1)を開示し、その機能の一部を確認する。このタンパク質の配列はいくつかの哺乳動物種にまたがって高度に保存されていることが見いだされ、該配列はSEQ ID NO:2および12〜18で示される。その上、このタンパク質をコードする核酸を使用して、Swir1を発現する組換えアデノウイルスによる感染によって、またはアクチンプロモーターに制御されたSwir1DNAを使用してトランスジェニック系統を作製することによって、のいずれかで、Swir1タンパク質を過剰発現するマウスを作製した。
【0016】
[0059] 一態様において、Swir1タンパク質、フラグメント、誘導体またはアナログを使用して、増大した体格に関連した病態生理、たとえば、肥満、高血糖症、高インスリン血症、インスリン抵抗性、高脂肪血症、およびインスリン非依存的2型糖尿病を治療的に予防することができる。
【0017】
[0060] 別の態様において、精製されたSwir1タンパク質、フラグメント、誘導体またはアナログは、SEQ ID NO:1における、そして図4に示されるオープンリーディングフレーム由来の少なくとも20のアミノ酸をコードする核酸を使用して、種々の哺乳動物から単離される、または合成される、またはタンパク質、フラグメント、誘導体またはアナログを発現する細胞培養物を使用して作製される。
【0018】
[0061] 別の態様において、Swir1タンパク質、そのフラグメント、誘導体またはアナログに対する抗体が作製される。これらの抗体はキットの状態で使用され、体液を含む種々の試料由来のSwir1タンパク質を同定することができる。
【0019】
[0062] 別の態様において、活性なプロモーター、たとえばアクチンプロモーターにSwir1配列を連結することにより、Swir1タンパク質を過剰発現するトランスジェニック動物が作製される。別の態様において、少なくともSEQ ID NO:1のオープンリーディングフレーム(図4において下線を施した部分)を含む形質転換ベクターが作製される。
【実施例1】
【0020】
Swir1タンパク質の発見およびその機能
[0063] 痩せた、および肥満のMc3rKOマウスにおける肝臓の遺伝子発現を解析するマイクロアレイは、16,463〜18,400の70−マーオリゴヌクレオチドのライブラリー(Mouse Array−Ready Oligo Set Version 2.0,Qiagen Operon,Alameda,CA)からプリントしたアレイを使用して実施された(34〜36)。マイクロアレイデータは、脂質代謝(アポリポタンパク質)および肥満から派生する酸化ストレスに関連する遺伝子の増加した発現を示唆した。興味深いことに、年齢、性、および肥満(adiposity)にかかわらず、Mc3rKOマウスの肝臓において3種の遺伝子だけの発現が低下した。2種の遺伝子:糖タンパク質および糖脂質からシアル酸を切断する酵素をコードするノイラミニダーゼ3(neu3)、および有機アニオントランスポーターをコードする溶質キャリアファミリー(solute carrier family 21(slc21a1)は、既知の機能を持つタンパク質をコードした。第3の遺伝子(AK009710)は新規であり、データベース上に特定された機能は全くなかった。
【0021】
[0064] 定量的リアルタイム(Quantitative RealTime)PCRは、Mc3rKOの肝臓におけるAK009710の発現のあまり多くない低下傾向を示すマイクロアレイデータを確証した(図3A)。興味深いことに、AK009710発現のより劇的な低下が、重いインスリン抵抗性のMc4rKOおよびレプチン‐欠乏(Lepob/Lepob)マウスの肝臓で観察された(図3B)。その上、レプチンの短期間処理(2日間にわたり0.5mg/gレプチンを4回注射)はLepob/Lepobマウスの肝臓におけるSwir1を有意に増加させた。(図3C)。6週齢の痩せたMc4rKOにおけるAK009710 の発現は正常であり(データは示さない)、肝臓におけるMc4rKOの発現の減少は肥満、インスリン抵抗性、および肝脂肪症の年齢に関連した開始から派生していることを示唆する(32)。さらに、AK009710発現は、規定食‐誘発肥満C57BL/6Jマウスにおける空腹時グルコースと負に相関した(n=13、R=0.67、P<0.001)(データは示さない)。
【0022】
[0065] 結局、これらの結果は、肝臓における発現がインスリン感受性および肝脂肪症と共に減少する小さい分泌タンパク質の同定を示唆する。肝臓におけるAK009710発現の減少が肝脂肪症およびインスリン抵抗性の重症度と相関する、およびこの減少がインスリン増感物質によって逆転するという観察に基づいて、“suppressed with insulin resistance 1”(Swir1)という名称が選ばれた。
【0023】
[0066] AK009710のmRNAを標的としたオリゴヌクレオチドプライマーを利用して、肥満およびインスリン抵抗性の種々のマウスモデル由来の肝臓cDNAにおけるAK009710遺伝子発現を測定した。プライマーの配列は:センス5′−cctgagggtgctgtctgtcatg−3′(SEQ ID NO:3)、アンチセンス5′−cagtagcagcaagaagcctacg−3′(SEQ ID NO:4)、プローブ5′−6FAM−ctctcatcgccatcgtctgca−BHQ−3′(SEQ ID NO:5)であった。初めのマイクロアレイの結果と一致して、AK009710 mRNAはWTマウスに比較してMc3r−/−マウスの肝臓においてダウンレギュレーションされた(55%、p<0.05;図3A)。次に2種の他の肥満モデル、Mc4r−/−マウスおよびレプチン‐欠乏Lepob/LepobマウスにおけるAK009710肝臓mRNA発現を調べた。AK009710mRNAは野生型マウス(WT)に比較して、これらの2種のモデルでは約1/10の低いレベルで発現された(図3B)。すべての動物を一群に寄せ集めた場合、AK009710mRNA発現とグルコースおよびインスリン値間の負の関係が観察された(データは示さない)。随意に餌を食べさせた、16時間絶食させた、または24時間絶食させ、その後4時間再給餌した、若年および老年WTマウスの肝臓では、AK009710遺伝子発現は変化しなかった(データは示さない)。AK009710は栄養状態によって変化しないと考えられる。
【0024】
[0067] AK009710mRNAがインスリン抵抗性の発症から二次的に調節される可能性があるかを判断するために、若年、正常インスリン血および老年高インスリン血Mc4r−/−マウスの肝臓においてAK009710mRNAが測定された。若年Mc4r−/−マウス(平均約7週齢)ではAK009710mRNAは野生型マウスに類似していることが観察されたが、老年(約16週齢)Mc4r−/−マウスではそれは著しく減少していた(データは示さない)。その上、AK009710mRNAはまた糖尿病および糖尿病でない対象に由来する少数(n=4)のヒト‐由来肝細胞において測定された。糖尿病試料では発現がより低い傾向であったが、違いは統計的に有意ではなかった(データは示さない)。
【0025】
[0068] したがって、Mc3r−/−およびMc4r−/−マウスの肥満は類似しているが、インスリン抵抗性および上昇した血清脂質(トリグリセリド、コレステロール)はMc4r−/−マウスにとってはずっと深刻であることが知られている。肝臓におけるAK009710遺伝子発現の低下は、Mc4r−/−マウスのインスリン抵抗性および高脂肪血症の既知の重症度と相関した。
【実施例2】
【0026】
配列およびバイオインフォマティックス解析
[0069] AK009710は、長さ1247bpのマウス舌cDNAクローンであり、Unigene cluster Mm.34074,2310040A07Rik:RIKEN cDNA 2310040A07遺伝子に属する。それは、配列の5′末端に接した534アミノ酸のタンパク質をコードできると仮説された。このタンパク質候補がメチオニン残基によって開始しなかった場合、それは切断された産物として記載された。NCBIデータベース上の相同なESTまたはcDNA配列に対するAK009710のBLAST解析は、大規模なSecreted Protein Discovery Initiativeによって発見された、87aaの仮説タンパク質(UNQ470/GAAI470)をコードするヒト転写物、NM198573との著しい対応を明らかにした(37)。ヒト配列−NM_198573との対応は、392ヌクレオチドにまたがって85%であった、p=5e−83。ヒト配列は、1エキソンにおいて87アミノ酸タンパク質をコードした。6フレームのAK009710の翻訳は76アミノ酸のタンパク質(SEQ ID NO:2)をコードするオープンリーディングフレームを明らかにした。このマウスタンパク質候補とNM_198573によってコードされたヒトタンパク質(GAAI470、またはUNQ470)間のアラインメントは、初めの37残基にわたる強い相同性を明らかにした。UNQ470/GAAI470はクロモソーム9p13.2に位置し、毛様体神経成長因子受容体(CNTFR)遺伝子に隣接する。
【0027】
[0070] AK009710の配列はマウス肝臓から単離されたcDNAを使用して確証された。その上、National Institutes of Health Mammalian Gene Collection (MGC)プログラムによってマウス肝臓からクローニングされ、最近NCBIデータベースに提供された、受託番号BC021944を持つ868bpのcDNAは、我々の配列データに一致した(図4、SEQ ID NO:1)。BLAST解析は、マウスの予言された76aa配列(SEQ ID NO:2)はいくつかの哺乳動物種(図5;SEQ ID NO:12(ラット)、SEQ ID NO:13(チンパンジー);SEQ ID NO:14(ヒト);SEQ ID NO:15(イヌ);SEQ ID NO:16(ブタ);SEQ ID NO:17(ウシ);SEQ ID NO:18(ヒツジ))に高度に保存されていることを明らかにした。図5では、pAB1(SEQ ID NO:8)およびpAB2(SEQ ID NO:9)は、ポリクローナル抗体を生み出すために使用される分泌タンパク質候補の領域を表す。予言されたシグナル配列には下線を施す。その上、マウスタンパク質、SEQ ID NO:2の34〜76までのアミノ酸(Swir134−76;SEQ ID NO:10)、および39〜76までのアミノ酸(Swir139−76;SEQ ID NO:11)に対応するペプチドが合成された。
【0028】
[0071] AK009710由来のマウス配列候補とヒトGAAI1470のそれ以上の解析は、GenBank上のヒト配列における1ヌクレオチドギャップを明らかにした。したがって、マウスAK009710のPCR産物は両方向においてクローニングされ、配列決定されて、マウスまたはヒトのいずれの配列が正しいかを確証した。配列が実証されたAK009710マウスクローンは76アミノ酸翻訳産物(SEQ ID NO:2)を明らかにした(図4)。一般に利用できるヒトGAAI470のOrigeneクローンが解析され、ヌクレオチドギャップを含まないことが示され、GenBankのNM_198573配列におけるシークエンシングエラーを示唆した。ヒトを含む、異なる種由来のAK009710配列のアラインメントは、タンパク質レベルでラット、ヒト、マウスおよびチンパンジー間の100%相同性を明らかにした(図5)。
【0029】
[0072] バイオインフォマティックス解析は、このタンパク質が位置33および34間に最も可能性のある開裂部位を持つ分泌タンパク質(87%の確率、SignalP 3.0)である可能性が高いことを明らかにした。ヒト配列は、予言された開裂点に対してすべて3′の1つの可能性のあるセリン部位、および1つの可能性のあるトレオニンリン酸化部位、ならびに開裂部位に対して同様にすべて3′の6つの可能性のあるグリコシル化部位を含む。
【実施例3】
【0030】
Swir1の組織分布
[0073] AK009710mRNAの組織分布を調べるために、76アミノ酸タンパク質SWIR1を含む210nt配列およびhuman Multiple Tissue Northern blot(BD Biosciences,Palo Alto,California)を使用してノーザンブロットを行った。図6Aで見ることができるように、約1.35kbの単一バンドはヒトでは脳および肝臓試料だけに検出され、最も高レベルは肝臓において検出された、しかし、図6Bで見られるように、Swir1はマウスでは肝臓、脳、および筋肉において見いだされた。
【実施例4】
【0031】
Swir1が分泌タンパク質であるという確証
[0074] バイオインフォマティックス解析は、AK009710が分泌タンパク質であることを暗示するシグナル配列候補の存在を予言した。これを試験するために、76アミノ酸タンパク質のコーディング配列は、制限部位Not1 (5′−ggggcggccgcaccatgggggcagccatctcccaa−3′(SEQ ID NO:6))およびXho1(5′−gggctcgagggccagagcccttcagggctgcag−3′(SEQ ID NO:7))を付加したプライマーを使用して、マウス肝臓cDNAから増幅された。産物はC−末端にFLAGエピトープを持つpCMV−Tag1ベクター(pCMV−Swir1:FLAG)に連結され、その後HEKヒト腎臓由来細胞に一過性にトランスフェクションされた。また、この産物を使用して、2種のアデノウイルス構築物FLAGエピトープに結合したSwir1を持つ1種(Ad−Swir1:FLAG)、およびFLAGエピトープのない別の1種(Ad−Swir1)を作製した。
【0032】
[0075] HEK293細胞は、pCMV−Swir1またはpCMV−Swir1:FLAGをトランスフェクションされた。培地は16時間後に集め、免疫沈降し、その後20%ポリアクリルアミドゲルに流し、抗‐FLAG抗体によって視覚化した。これらの実験は生来の、またはFLAG‐標識Swir1を発現する組換えアデノウイルス(Ad5)を使用して繰り返された。
【0033】
[0076] HEK293細胞は、トランスフェクションされなかった(レーン1、2)、または空の(empty)ベクター(レーン5、6)もしくはGFPを含むベクター(レーン7、8)をトランスフェクションされた場合、FLAG‐免疫反応性バンドは視覚化されなかった(図6C)。しかし、pCMV−Swir1:FLAG構築物がHEK293細胞にトランスフェクションされた(レーン3、4)場合、FLAG‐陽性免疫反応性が培地および細胞ペレットの両方に検出され、少なくともトランスフェクションされたSwir1産物の一部が細胞によって培地に能動的に分泌されていたことを示唆した。類似の結果がAd−Swir1:FLAGに感染したHEK293細胞(図8、レーン9)の培地において観察された。レーン10および11は、それぞれFLAGエピトープがない、またはGFPの付いたSwir1を含むアデノウイルスに感染した細胞の培地においてFLAG免疫反応が全くないことを示した。したがって、エピトープで標識した融合タンパク質(pCMV−Swir1:FLAG)を発現する発現ベクターをトランスフェクションされたHEK293細胞の培地におけるFLAG免疫反応性の存在は、76aaタンパク質の定義されていない部分が分泌されることを確証した。
【0034】
[0077] 尾静脈に注射された大部分のアデノウイルスは肝臓に感染する(38)。アデノウイルスの尾静脈注射が肝臓、および他の組織におけるSwir1mRNAの増加した発現を導くかどうかを試験するために、3匹のMc4r−/−マウスはAd−Swir1:FLAGアデノウイルスを注射され、4日後に組織が集められた。ウェスタンブロットによる解析は、肝臓、筋肉、および脳組織におけるFLAG免疫反応性の存在を明らかにし、これらの組織におけるSwir1の存在を示唆した(図6D)。Ad−Swir1:FLAGに感染したマウス組織におけるSwir1FLAG免疫反応性の分布は肝臓から循環系に分泌されるポリペプチドと一致する。これらの試験は共にSwir1が分泌タンパク質であることを示唆した。
【実施例5】
【0035】
Ad−Swir1による肥満インスリン抵抗性マウスの処理:Mc4rKO
[0078] 組換えアデノウイルスベクター‐媒介発現を使用して肝代謝の調節およびインスリン感受性を検討してきた(39〜41)。76aaタンパク質(Ad5‐Swir1)、C−末端FLAG‐標識融合タンパク質(Ad5‐Swir1:FLAG)、または陰性対照のための緑色蛍光タンパク質を発現する3種の組換えアデノウイルスベクターが構築された。尾静脈注射後のタンパク質の発現は、抗‐FLAG抗体を使用して確証された(図6D、データは示さない)。分泌タンパク質候補のN−およびC−末端領域に対するポリクローナル抗体(図5におけるpAB1(SEQ ID NO:8)&pAB2(SEQ ID NO:9))を使用して、Ad5‐Swir1をトランスフェクションされたHEK293細胞におけるSwir1の合成が確証された(図7A、B)。
【0036】
[0079] Swir1がグルコース代謝に関係するかどうかを検討するために、20週齢の雄および雌Mc4−/−(1群につきそれぞれの性のn=3)の尾静脈にAd5‐SWAIR1またはAd5‐GFP(5x10pfu)を注射した。両群の動物は、Ad5‐Swir1またはAd5‐GFP注射の前に、体重、グルコースレベルおよびグルコース耐性を対応させた。Ad5‐Swir1またはAd5‐GFP注射の1週間前に、腹腔内グルコース耐性試験(IPGTT)が実施され、すべてのマウスがグルコース不耐性であることが観察された。IPGTTは、W.Fan et al.,“The Central Melanocortin System Can Directly Regulate Serum Insulin Levels,”Endocrinology,141巻,pp.93072−3079(2000)に記載のように、一晩絶食したマウスに、1g/kgグルコースを1回腹腔内注射し、血糖は血糖メーターおよび試験細片(Glucometer Elite, Bayer Corp., Elkhart, Indiana)により数回、間隔をあけて動物の尾部血液から測定することによって実施した。
【0037】
[0080] マウスは100μLの希釈液(DMEM)中の5x10pfuのAd5−Swir1またはAd5−GFPを尾静脈に注射された。動物は4日間の実験を通して観察され、毎日体重を測定された。4日目に、マウスは別のIPGTT(0.4mgグルコース/g体重)を与えられた。
【0038】
[0081] IPGTTを使用して測定されるように、マウスはAd5‐Swir1注射後4日目に改善されたグルコース耐性を証明した(データは示さない)。実験を通して体重、血糖、またはコレステロールレベルにおける変化は見られなかった。インスリンおよび血清トリグリセリドレベルにおける減少傾向が見られた(表1)。
【0039】
【表1】

【実施例6】
【0040】
Ad5‐Swir1による肥満インスリン抵抗性マウスの処理:B6Ay/a
[0082] 第2のアデノウイルスによる実験は、約3ヶ月間、超高脂肪規定食で維持されてきた雄C57BL/6 Ay/aマウス(1群につきn=9)の尾静脈にAd5‐Swir1またはAd5‐GFPを注射することによって実施された。マウスを1週間注射から回復させた後、IPGTTが実施された。その後マウスをもう1週間回復させ、インスリン抵抗性試験(ITT)が実施された。
【0041】
[0083] 注射後20日目に、体重(Ad5−SWIR1マウスの場合、40.3±1.3g;Ad5−GFPマウスの場合41.4±1.2g)、空腹時インスリン(Ad5−SWIR1マウスの場合、0.97±0.2ng/mL;Ad5−GFPマウスの場合、1.13±0.2ng/mL)、または空腹時グルコースレベル(Ad5−SWIR1マウスの場合、126±7mg/dL;Ad5−GFPマウスの場合、139±8mg/dL)における違いは観察されなかった。注射後7日目のIPGTTは、Ad5−SWIR1群の30分時点(p=0.06)および45分時点(p=0.15)におけるグルコース耐性の非常にわずかな程度の改善を明らかにした。注射後14日目の血糖値の変化は群間で著しく異なり、Ad5‐Swir1群では著しく低下した(データは示さない)。注射後14日目のITTは、いずれの時点でもインスリン感受性の有意な差は明らかではなかったが、Ki(基準グルコースからインスリン注射後30分のグルコースを引き、30で割ったものとして計算する)は有意に異なった。
【0042】
[0084] 注射後14日目にこれらのマウスにおいて観察された、より低い空腹時血糖値は、注射後21日目では明白ではなかった。Mc4−/−マウスにおける初めのアデノウイルスの実験と一致して、Ad5‐Swir1群では血清トリグリセリドにおける減少傾向が見られた(表2)。
【0043】
【表2】

【実施例7】
【0044】
Ad5‐Swir1による肥満インスリン抵抗性マウスの処理:Agouti(KK−A)マウス(遺伝的な肥満および高脂肪血マウス)
[0085] 血液脂質の尺度に対するアデノウイルス注入の効果をより明確に検討するために、アデノウイルス構築物はさらに精製され、汚染しているウイルス粒子および細胞の破片をすべて除去した。次に、遺伝的な肥満および高脂肪血KK−Aマウス(1群につきn=6の雌)の尾静脈にAd5‐SWIR1またはAd5‐GFPAd5‐GFPを注射することによって別のアデノウイルスの実験が行われた。マウスはウイルス注射後5日目にIPGTTを与えられ、その後一晩絶食し、2日目に死に至らせた。
【0045】
[0086] IPGTTはAd5‐GFP処理に比較してAd5‐SWIR1処理によって有意にグルコース耐性が改善されないことを示した。Ad5‐GFP対照に比較して、Ad5‐SWIR1の循環トリグリセリド(28%、p=0.04)およびコレステロール(20%、p=0.02)における統計的に有意な低下が観察された(表1)。Ad5‐SWIR1マウスの肝重量はAd5‐GFP対照の肝重量より低い傾向が見られた(表2)。体重、ならびに血清グルコースおよびインスリンレベルは、Ad5‐SWIR1とAd5‐GFP対照間に有意な差は見られなかった(表2)。
【0046】
【表3】

[0087] Swir1mRNAは、Ad5‐GFP処理マウスに比較して、KK−A Ad5‐Swir1処理マウスの肝臓において約4倍上昇した(データは示さない)。
【実施例8】
【0047】
Ad5‐Swir1による肥満インスリン抵抗性マウスの処理:Lepob/Lepobマウス
[0088] アデノウイルス媒介性のSwir1過剰発現の脂質低下効果を確証するために、高脂肪血、脂肪症およびインスリン抵抗性の別のマウスモデルである、Lepob/Lepob(OBOB)マウスの尾静脈にAd5‐Swir1またはAd5‐GFPが注射され、別の実験が行われた(1群につきn=7〜8)。注射されたマウスはIPGTTを与えられないが、体重変化をモニターされ、一晩絶食後、注射7日目に死に至らせた。
【0048】
[0089] Ad5‐GFP処理マウスは7日間でおよそ1g体重が増加した。しかし、Ad5‐Swir1処理はこれらの肥満Lepob/Lepobマウスにおける体重増加を遮断した。平均体重は群間で統計的に差がなく、食物摂取は測定されなかった。KK−Aマウスで観察されたもの(先の実施例7を参照されたい)と類似の表現型の変化が同様に観察された。血清トリグリセリドはAd5‐Swir1群で40%低下した(Ad5−GFP 63±6mg/dL(Ad5−GFP);38±4mg/dL(Ad5−SWIR1)、p=0.006;表2)。血清コレステロールの15%低下も観察された(173±6mg/dL(Ad5−GFP);146±8mg/dL(Ad5−Swir1)、p=0.02;表2)。肝重量低下の傾向が観察され、それは体重の百分率として表した場合有意ではなかった(p=0.12)。Ad5‐Swir1群における空腹時血糖およびインスリンレベル低下の傾向は統計的有意に及ばなかった。
【0049】
[0090] アデノウイルス構築物の精製およびKK−AマウスおよびLepob/Lepob(OBOB)マウスを使用した実験におけるより大きな試料集団の使用は、7〜8日間のSwir1の過剰発現が対照マウスと比較して、低下した循環トリグリセリドおよびコレステロールレベルを導くことを証明した。(表2)。これらの効果の傾向は未精製アデノウイルスを使用した以前の実験において、より後の時点での観察によって観察された。肝臓におけるSwir1遺伝子発現はこれらの実験においてAd5‐Swir1処理群で上昇したが、以前の実験において、より後の時点における増加は検出可能でなかった。この理論に束縛されることを望まないが、Swir1の増加した遺伝子発現が増加したSwir1タンパク質の循環レベルを導くと考えられる。
【実施例9】
【0050】
Ad5‐Swir1による肥満インスリン抵抗性マウス処理の結果の概要
[0091] 要約すると、5x10pfuのAd5−Swir1またはAd5−GFPが、Jackson Laboratory (Bar Harbor, Maine)から購入したKKA、B6 Ay/a、またはOBOBマウスの尾静脈に投与された。図7Cに示した処理プロトコルは、この期間にAd5‐Swir1:FLAGのピーク発現を証明するパイロット実験に基づいた(データは示さない)。動物と食物の重量は毎日記録した。Ad5‐Swir1感染はこれらの実験のために使用されるマウス系統において十分に許容された。処理期間にわたり、Ad5‐GFPに感染した対照と比較して、Ad5‐Swir1に感染したマウスの体重に著しい変化は見られなかった(表2)。Ad5‐GFPで処理した対照と比較して、Ad5‐Swir1に感染したマウスではSwir1mRNAの4〜5倍の増加が観察された(データは示さない)。
【0051】
[0092] 肝重量および脂質含量はAd5‐Swir1に感染したマウスにおいて首尾一貫して低下した。KK‐AおよびOBOBマウスでは、空腹時トリグリセリドおよび総コレステロールの有意な低下(約40%)が観察された。類似の減少がAy/aマウスにおいて観察された。肥満OBOB、KK‐AおよびAy/aマウスを使用したいくつかの実験に由来するデータのメタ解析は、OBOB、KK‐AおよびAy/aマウスにおけるHOMA−IR[(空腹時インスリンxグルコース)/22.5]の40%低下を示唆した。Ay/aマウスでは、空腹時インスリンレベルはAd5‐Swir1により有意に低下(2.6±0.4対3.9±0.3ng/ml、P<0.05)し、血糖は差がなかった(175±12 対 162±11mg/dL)。
【0052】
【表4】

【実施例10】
【0053】
脂質生合成に関係する遺伝子に対するSwir1過剰発現の効果
[0093] アディポサイトカインによる肝脂肪症の逆転は少なくとも部分的に肝脂肪形成の抑制および脂肪酸酸化の刺激に起因すると考えられる(42、43)。Swir1が肝脂肪含量を低下させる機序を検討するために、脂肪形成に関係する遺伝子の発現を定量的RT−PCRによって測定した(図8A〜8D)。Ad5‐Swir1に感染したOBOB、およびKKAマウス肝臓の脂肪形成に関連するいくつかの遺伝子の発現において同等の40〜50%の低下が見られた。Swir1はしたがって、少なくとも部分的に、肝臓の脂肪形成を阻止することによって肝脂肪含量を低下させる可能性がある。
【0054】
[0094] Ad5‐GFP対照と比較してAd5‐Swir1処理群における脂肪酸シンターゼ(Fasn)mRNAにおける有意な減少(図8A、p=0.02)、およびタンパク質レベルの減少(データは示さない)が観察された。Fasn mRNAおよびタンパク質レベルの減少はD.C.Albarado et al.,“Impaired Coordination of Nutrient Intake and Substrate Oxidation in Melanocortin−4 Receptor Knockout Mice,”Endocrinology,145巻,pp.243−252(2004)に記載のように、定量的リアルタイムPCRおよびウェスタンブロットを使用して測定された。脂肪酸トランスロカーゼCD36の遺伝子発現もAd5‐Swir1群において有意に上昇した(p=0.02、データは示さない)。図8Aは、Ad5‐Swir1またはAd5‐GFPのいずれかを注射後8日目の肥満したレプチン‐欠乏(Lepob/Lepob)マウス由来の肝臓における脂肪酸シンターゼ(Fasn)の発現レベルを説明する。データは任意単位(AU)で表した(n=6〜8/群、“*”p<0.05)。Swir1過剰発現はFasnの減少を引き起こした。図8Bは、Ad5‐Swir1またはAd5‐GFPのいずれかを注射後8日目の肥満したレプチン‐欠乏(Lepob/Lepob)マウス由来の肝臓におけるステアロイル‐CoAデサチュラーゼ(Scd1)タンパク質の発現レベルを説明する。データは任意単位(AU)で表した(n=6〜8/群、“*”p<0.05)。さらにまた、Swir1過剰発現はScd1の減少を引き起こした。図8Cは、Ad5‐Swir1またはAd5‐GFPのいずれかを注射後8日目の肥満したレプチン‐欠乏(Lepob/Lepob)マウス由来の肝臓におけるアセチルCoAカルボキシラーゼ(Acc)mRNAの発現レベルを説明する。データは任意単位(AU)で表した(n=6〜8/群、“*”p<0.05)。さらにまた、Swir1を持つマウスは肝臓Accのより低いレベルを示した。図8Dは、Ad5‐Swir1またはAd5‐GFPのいずれかを注射後8日目の肥満したレプチン‐欠乏(Lepob/Lepob)マウス由来の肝臓におけるインスリン抵抗性に関係する遺伝子(サイトカインシグナリングのサプレッサー3またはSocs3)発現レベルを説明する。データは任意単位(AU)で表した(n=6〜8/群、“*”p<0.05)。Swir1の存在はさらにまたSocs3遺伝子発現を減少させた。
【実施例11】
【0055】
トランスジェニックによるSwir1過剰発現(BAP−Swir1)
[0095] ヒトβ‐アクチンプロモーター、合成エキソン1およびイントロン、ならびに76aaSwir1タンパク質をコードするオープンリーディングフレームを含む構築物(BAP−Swir1)を使用して、Swir1を過剰発現するトランスジェニック系統が生み出された(図9A;図4を参照されたい、オープンリーディングフレームは下線を施される)。8匹のファウンダーが得られた(2FVB/NJ、6C57BL/6J)。FVB系統の1種[FVB/NJ.Tg−(BAP−Swir1)AAB20]、以後FVB.Tgと表す、は5〜6週齢において肝Swir1発現の増加を提示した(図9B)。図10は、C57BL/6J卵母細胞へのBAP−Swir1の1回目の注射における仔のPCRスクリーニングの結果を説明し、6匹の仔(6、8、14、19、21、および22)がゲノムにトランスジーンを組み込んだことを示した。
【0056】
[0096] FVB.Tgでは、5〜6週齢で血清TGおよびTCの低下がすでに明白であった(表5、図9c)。FVB.Tgトランスジェニックの体重(表5)およびFM(図9D)はWT同腹仔に比較して低下していた。FVB.Tgマウスの体重増加もHFD(60%KJ/脂肪)の状態で低下し、規定食‐誘発肥満からの保護を示唆した(図9E)。低下した体重および脂肪含量はHFDを食べて1ヶ月後でも依然として観察され、WT対照に比較してBAP−Swir1トランスジェニックの低下した空腹時インスリンレベルの傾向に関連した(180±60対310±40pg/ml、両側‐スチューデントのt‐検定P=0.085)。
【0057】
【表5】

[0097] 上に示すように、Swir1過剰発現は絶食に対する代謝的適合を損ない、増加したエネルギー支出を示唆することが観察された。Swir1がエネルギー支出を増加させるかどうかを特定するために、VO2およびRERが間接熱量測定によって測定された(15、46、50)。Pennington Biomedical Research Centerは、温度制御されたインキュベーターに入れられた16チャンバー総合的実験動物モニタリングシステム(CLAMS)を有する。CLAMSは、酸素消費(VO2)、呼吸交換比(RER、丸ごとの動物の基質酸化の指標)、XおよびZ軸における身体活動度、および食物摂取を同時に測定する。マウスはCLAMSシステムに置かれ、示されたパラメータを72時間記録した。マウスは48時間随意に餌を与え、最後の24時間は絶食させた。FVB.Tgの結果は図13A〜13Fに示す。肥満したKK−A、Ad5Swir1を発現する肥満したB6 Ay/aマウス(Ad5−Swir1対Ad5−GFPの一晩絶食後の%体重損失:5.5±0.4%対3.5±0.4%、P<0.01)、および9週齢の痩せたFVB.Tg(13.6±1.1%対10.0±0.7%、P<0.05)において一晩絶食後の体重損失の増加が観察された。1ヶ月の高脂肪食による飼育後、間接熱量測定によるトランスジェニックマウスにおけるエネルギー代謝の測定は、対照と比較して、著しく増加した酸素消費(VO2、ml/h:BAP−Swir1 Tg 4551±240、WT FVB 3807±145、P<0.05)および光を消した状態での身体活動度(1時間ごとのXビームブレーク:BAP−Swir1 Tg 1431±181;WT FVB 2678±327、P<0.01)を示唆した。増加したエネルギー支出はしたがって、Swir1による規定食‐誘発肥満およびインスリン抵抗性の改善における要因であり得る。
【実施例12】
【0058】
Swir1は脂肪細胞を操作する
[0098] 組換えまたは合成型の短い分泌ポリペプチドSwir134〜76(SEQ ID NO:10)の使用を試験するために実験が行われた。合成Swir134〜76に対する脂肪細胞および肝細胞(2種の潜在的なSwir1作用の部位)の反応は、細胞外シグナル調節キナーゼ(ERK)の変化を分析した。ERK1/2およびp38αは脂肪細胞における脂肪分解および熱発生の調節において重要である。
【0059】
[0099] 1μg/mlのSwir134〜76の適用は十分に分化した3T3−L1脂肪細胞(図11A)、およびHepG2細胞(図11B)における、Erk1リン酸化の盛んな増加に関係した。これらの結果は、Swir134〜76にとっての機能的受容体が脂肪細胞および肝細胞において活性であること、および合成ペプチドが生物学的に活性であることを示唆した。その上、より短い、第2のペプチドがSEQ ID NO:2のアミノ酸39〜76までを使用して合成され、“Swir139〜76”(SEQ ID NO:11)と呼ばれた。脂肪細胞および肝細胞を使用して、類似の結果がこのペプチドに関して観察された。4つのアミノ酸の損失はSwir1機能に影響を与えるように見えなかった。
【実施例13】
【0060】
視床下部におけるSwir1機能
[0100] 視床下部Swir1は、エネルギーホメオスタシスの調節に関係する可能性がある。pAB1(SEQ ID NO:8)を使用した予備的な解析は、視床下部の弓状核に位置するニューロンにおいてSwir1免疫反応性の存在を証明した。視床下部Swir1発現と肥満およびインスリン抵抗性間には負の相関が存在することが予言された。言い換えると、肥満の状況における肝臓および視床下部でのSwir1合成の低下が肥満およびインスリン抵抗性に貢献する要因である可能性がある。
【0061】
[0101] Swir1のmRNA発現は、対照(低脂肪規定食)および規定食‐誘発肥満C57BL/6J、Mc3rKOおよびMc4rKOマウス由来の視床下部内側底部ブロックにおいて定量的RT−PCRによって測定された(図12A〜12B)。予言したように、視床下部における多量のSwir1mRNAは肥満状態において低下した(図12A)。Swir1発現は、インスリン抵抗性の指標である高いHOMA−IR値を持つマウスにおいても低かった(図12B)。
【0062】
[0102] 対照的に、Socs3mRNA発現は肥満およびインスリン抵抗性の状況において上昇した(図11C)。このデータは肥満の状況における低下したSwir1合成は肝臓に限定されないことを示唆した。視床下部における低下したSwir1活性も、肥満およびインスリン抵抗性の発症に貢献することになる。
【0063】
[0103] 要約すると、カルボキシ末端にエピトープ‐タグを持つ、予言された76残基のSwir1(BC021944のヌクレオチド207〜437間;SEQ ID NO:2)をコードする部分的cDNA配列を使用して発現ベクターが構築され、タグに対する市販の抗体を使用したウェスタンブロットでのタンパク質の視覚化を可能にした。この構築物を使用して、報告された配列が分泌タンパク質をコードすることを実証した。次にこの発現ベクターとエピトープラベルを持たない生来のタンパク質をコードする発現ベクターを使用して、マウスの研究における使用のための組換えアデノウイルス(Ad5‐Swir1)を構築した。アデノウイルス5x10pfuの尾静脈への注射は、主に肝臓、そしてより低い程度に膵臓の感染に帰着した。エピトープ‐タグSwir1を発現するアデノウイルスを使用して、ウイルスの注射後5日目に肝臓、脳、および骨格筋においてSwir1タンパク質の広範な分布が見られることが証明された。生来の形態のSwir1を発現するこのアデノウイルスを使用して、分泌タンパク質にとっての新規な機能(空腹時血清トリグリセリドおよびコレステロールの低下)が示された。肝臓Swir1mRNA発現の低下が高脂肪血の肥満マウスにおいて観察され、低下の程度は総コレステロールとトリグリセリドの増加と相関した。生来の形態のSwir1を発現するこのアデノウイルスを使用して、高コレステロールおよびトリグリセリドの状態の肥満マウスモデルにおいてSwir1タンパク質をコードするmRNAの発現を増加させることがコレステロールおよびトリグリセリドの両方を正常レベルに低下させることにおいて有効であることが示された。トリグリセリドおよび総コレステロールを低下させるAd5‐Swir1感染の効果は再現可能であり、3種の異なるマウス系統(Lepob/Lepob、KK−A、およびC57BL/6J)において観察された。一部のマウスでは、より低い空腹時インスリンおよびグルコースの傾向においてインスリン感受性の改善が観察され、グルコース耐性試験における改善が生じる。後者の観察は、Swir1が肥満した、インスリン抵抗性患者においてインスリン感受性を改善することにおいて有効であり得ることを示唆する。
【0064】
[0104] データは、経口摂取、注射、皮下パッチ、または鼻腔内経路によって送達された全長Swir1ペプチド(SEQ ID NO:2)、またはそのペプチド誘導体、ホモログ、アナログ、もしくはミメティックが、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、インスリン抵抗性、肥満、糖尿病、および/またはエネルギー不均衡の治療または診断薬として使用可能であることを暗示する。当該技術分野で公知の方法により、生来のコーディング配列内の置換物を作製し、増大した安定性および/または生物学的潜在力を持つSwir1の誘導体を作製することができる。その上、Swir1は総コレステロール、トリグリセリド、インスリン抵抗性、肥満、糖尿病、および/またはエネルギー不均衡を低下させることを目的とした療法の開発のための潜在的な薬物標的であるため、Swir1ペプチドを使用して、未だ同定されていない受容体として使用しうるその細胞受容体を同定することができる。
【0065】
[0105] 新規な分泌タンパク質、Swir1は肥満状態におけるインスリン抵抗性および肝脂肪症の病因における重要な要因であり、中等症〜重症の糖尿肥満(diabety)のマウスモデルにおける遺伝子発現のマイクロアレイ解析によって同定されている。Swir1は、2型糖尿病のマウスモデルにおける空腹時インスリンおよびグルコースの指標であるHOMA−IR、および血清脂質を有意に低下させ、そして肝脂質を低下させて、肝脂肪症の逆転を示唆する。Swir1のトランスジェニック過剰発現は痩せた表現型に関連する。Swir1はレプチンおよびアディポネクチンに類似した様式で働くようであり、エネルギー支出を刺激し、酸化的代謝を増やすことにより、肥満したインスリン状態における代謝の特性を改善する。
【実施例14】
【0066】
Swir1処理は肝インスリン抵抗性を逆転することになる
[0106] Ad5‐Swir1およびBAP−Swir1トランスジェニック由来の予備データ(先に記載)は、改善されたインスリン作用および脂質代謝を示唆した。FVB.Tgマウスでは、増加した酸化的代謝がこれらの効果を説明する有望な因子である。FMの低下に対して二次的なそれらから、Swir1の抗糖尿病作用を詳細に分析することが可能でないかもしれない。組換えアデノウイルスを使用した予備データは、肥満に対する効果とは独立して、Swir1が高インスリン血および高脂肪血を低下させることを示唆する。したがって、組換えアデノウイルスおよび合成ペプチドを使用した別の実験が、肝臓代謝およびインスリン感受性に対するSwir1の‘直接’効果に関する重要な情報を提供してもよい。
【0067】
[0107] インスリン受容体シグナリングを測定することにより、Ad5‐Swir1処理による肝脂肪症の逆転が、肝臓および骨格筋において改善されたインスリン感受性に関連するかどうかを特定する実験が行われることになる。これらはインスリン受容体チロシンキナーゼにとって遠位であるインスリン受容体基質1および2のリン酸化の解析を含む。グルコース輸送の調節に関係し、ホスファチジル−3′キナーゼの下流である(44、45)、セリン/トレオニンキナーゼであるタンパク質キナーゼB(PKB)/Aktの活性も、インスリン受容体活性化の指標として測定されることになる。Ad5‐Swir1に感染したマウスの著しく大きな体重損失を示すパイロットデータは、増加した基礎代謝率を暗示した。Ad5‐Swir1が食後および空腹状態中の全身代謝率を増すかどうかは、間接熱量測定を使用して特定されることになる。肝臓、骨格筋および褐色脂肪組織由来の組織溶解産物における酸化的代謝も特定されることになる。
【0068】
[0108] アデノウイルス処理の基本的プロトコルは図7Cに示す。手短に述べると、すべてのマウスは、5x10pfuのAd5‐Swir1またはAd5‐GFPを尾静脈に注射される(n=12/群、全部で24)。マウスは4日間回復させた後に、次の実験で使用される。終了時に採取された肝臓試料を使用し、リアルタイムPCRおよびノーザンブロット解析によりSwir1mRNAを測定することによって感染を推定する。予備実験では、Swir1mRNAの4倍の増加が感染後4〜7日目に観察された。Swir1タンパク質はまた、ウェスタンブロットにより、または現在開発中のアッセイ(RIA/ELISA)の使用を通じてのいずれかで測定される。マウスはアデノウイルス注射の当日、ならびに絶食前および後に体重測定される。可能ならば、身体組成は核磁気共鳴法(NMR)を使用して特定される(15、32、46)。以前に記載のように、マウスは食物摂取およびこぼした量の測定を考慮するワイアメッシュケージでの飼育に慣らされることになる(15)。
【0069】
[0109] FVB.Tgの性的二形が再現可能であり、C57BL/6Jバックグラウンド上のBAP−Swir1トランスジェニックにおいて観察される場合、Ad5実験は改変されて雄および雌の反応を検討することになる。Ad5‐Swir1処理に対する肥満したインスリン抵抗性マウスの反応を検討する実験の大部分は雄を使用した;雌は異なる反応、おそらく改善されたインスリン感受性に加えて、体重損失を提示することになるかもしれない。このことは新規なことではなく、たとえば性的二形はインスリンおよびレプチンの食欲抑制作用に対する雄および雌の反応において観察されている(47、48)。
【0070】
[0110] 肝脂肪症の逆転が増加したインスリン感受性に関連するかどうかを判断すること。 この実験は2群の遺伝子型(Ad5‐Swir1、Ad5‐GFP対照)内の12匹が含まれるKK−AおよびAy/aマウスを含むことになる(24 KKA、24 Ay/a)。一晩絶食後5日目に、Ad5‐SWAIR1およびAd5‐GFP群の6匹はインスリン(1U/kg)を1回腹腔内投与され、残りの6匹は生理食塩水を与えられる。マウスは注射後10または20分のいずれかに死に至らせ(n=3/群)、組織試料(肝臓、大腿四頭筋)が集められ、即座に液体窒素で凍結される。IRSリン酸化、PKB活性、およびFoxO1リン酸化は先に記載のように測定される(15、49)。この実験は、インスリンおよびグルコース耐性試験を行うために、1群につき8匹のマウスだけでさらに2回繰り返される。
【0071】
[0111] Ad5‐Swir1の抗‐脂肪症効果は、肝臓におけるインスリン受容体チロシンキナーゼのインスリンに刺激された活性を増加させることになる。Ad5‐Swir1はまた、筋肉および/または脂肪組織におけるインスリンシグナリングを改善してもよい。グルコースクリアランスを検討する初期の研究は、おそらく最適下の実験デザイン[すなわち、少数のマウス(n=4〜5);アデノウイルス注射後多様な時間(2週間まで)において実施された]のために混合した結果に終わった。Ad5‐Swir1はグルコース/インスリン注射に反応してグルコースクリアランスを改善することになる。
【0072】
[0112] Swir1が全身のエネルギー支出および酸化的代謝を増加させるかどうかを判断すること。 Swir1の肝発現がエネルギー支出を増加させるかどうかを特定するために、間接熱量測定を使用して、Ad5‐Swir1またはAd5‐GFPを注射された、肥満したAy/aならびに痩せた、および規定食‐誘発肥満C57BL/6JマウスのVO2およびRERが測定される(15、46、50)。Pennington Biomedical Research Centerは、温度制御されたインキュベーターに入れられた16チャンバー総合的実験動物モニタリングシステム(CLAMS)を有する。CLAMSは、酸素消費(VO2)、呼吸交換比(RER、丸ごとの動物の基質酸化の指標)、XおよびZ軸における身体活動度、および食物摂取を同時に測定する。マウスはCLAMSシステムに96時間置かれ、示されたパラメータを72時間記録する。マウスは48時間随意に餌を与え、最後の24時間は絶食させる。別個の実験において、Ad5‐Swir1またはAd5‐GFPに感染したAy/aおよびC57BL/6Jマウス(n=8/群)から集めた肝臓、腓腹筋、および褐色脂肪組織における脂肪酸酸化(C14−パルミテート)およびミトコンドリア酵素機能(シトレートシンターゼ活性、シトクロムcオキシダーゼ)が測定される。転写因子(すなわち、SREBP1c、PPARγ)のmRNAおよびタンパク質発現、ならびに脂肪生成に関係する酵素の測定のために肝臓の一部が集められ、即座に凍結される(32)。
【0073】
[0113] Ad5‐Swir1に感染したマウスの増大した体重損失は、増大した基礎代謝率を示唆し、発見はBAP−Swir1トランスジェニック由来の空腹時体重損失および間接熱量測定データにより確証された(図13A〜Fを参照されたい)。Ad5‐Swir1による感染はVO2を増加させることが予言されているが、このことは空腹相中だけに明白であってもよい。肝臓だけにおけるミトコンドリア酸化酵素活性の増加は、オートクリン/パラクリン因子として働くSwir1と一致することになる。骨格筋および褐色脂肪組織における増加したミトコンドリア酸化酵素活性は、自律神経系を通じて、または筋肉および/または褐色脂肪組織において発現される受容体を通じてのいずれかで働く内分泌機能を暗示することになる。Ad5‐Swir1は著しくエネルギー支出を増加させている(FVB.Tgにおいて観察されるように)が、体重に影響を与えていない場合、食物摂取の代償的増加が予言されることになる。Ad5‐Swir1で処理されたOBOBマウスにおいて観察される、脂肪生成に関係する遺伝子発現の低下が同様に予言される(図8A〜8D)。
【実施例15】
【0074】
Swir1のトランスジェニック発現は肥満およびインスリン抵抗性を予防する
[0114] レプチン(51、52)およびアディポネクチン(53、54)を過剰発現するトランスジェニックマウスは、いずれかのタンパク質の過剰発現の抗糖尿病作用を証明している。Swir1の過剰発現はアディポネクチンおよびレプチンの過剰発現で観察されたものに匹敵する結果;すなわち、規定食によって‐および遺伝的に誘発された肥満の状況における改善されたインスリン感受性およびグルコース耐性、ならびにより低い空腹時脂質を有することになると予測される。Swir1は肝臓、骨格筋および/または褐色脂肪組織における酸化的代謝を増加させることによりエネルギー支出を増加させることが同様に予測される。Swir1作用の生理学の包括的解析は、このポリペプチドがエネルギー代謝およびインスリンシグナリングを調節する機序に焦点を合わせる将来の実験にとって重要である。
【0075】
[0115] トランスジェニック: 76aaタンパク質をコードする配列はヒトβ‐アクチンプロモーターによって制御される合成トランスジーンに連結されている(図9A)。Swir1は分泌タンパク質であり、それゆえ組織選択性はこれらのトランスジェニック研究にとって重要ではない。内因性遺伝子の抑制が過剰発現の効力を限定する可能性があるため、内因性遺伝子が豊富に発現されている場合、組織特異的プロモーターは使用されていない(53、54)。mRNA発現の包括的解析は、先に記載(31、32、46)の定量的RT−PCR(qRT−PCR)およびノーザンブロット解析を使用して完了することになる。タンパク質レベルは、Swir34〜76のN−およびC−末端に対する2種のポリクローナル抗体(pAB1(SEQ ID NO:8)、pAB2(SEQ ID NO:9))を使用して、ウェスタンブロットにより測定される(図5)。これは免疫沈降を使用してタンパク質を検出することを必要としてもよい。あるいは、手持ちの、または開発中の抗体が、感度のよい、定量的アッセイを開発するために有用である場合、これらが使用されることになる。トランスジーンコピー数はサウザンブロット解析によって特定される。この実験の下位の目的はしたがって、マウス組織(肝臓、視床下部、前脳、後脳、骨格筋および心筋、腹膜後および鼠径脂肪貯留物、胃、腸、膵臓、腎臓)におけるSwir1mRNA発現のいっそう包括的な解析である。主要臓器(心臓、腎臓、腸、肝臓)は重量を測定され、主要な形態学的変化を組織学的に精査されることになる。
【0076】
[0116] 本発明者らは、Swir1が、過剰発現された場合に肥満およびインスリン抵抗性のマウスモデルにおける代謝特性を改善する(すなわち、増加したインスリン感受性、低下した肝脂肪生成)分泌ポリペプチドの小グループ(レプチン、アディポネクチン)の中の1種であることを示した。Swir1の過剰発現はエネルギー代謝に対してレプチン様の効果を有し、規定食‐誘発肥満およびインスリン抵抗性から保護する。Swir1を投与することは規定食‐および遺伝‐誘発肥満に関連するインスリン抵抗性および脂質代謝異常を逆転することができ、そして2型糖尿病の開始を予防するか、または遅らせることができる。
【0077】
その他
[0117] 本明細書および特許請求の範囲で使用する“Swir1”という用語は、タンパク質Swir1(SEQ ID NO:2)、その機能的ペプチド(たとえばSwir134〜76)、誘導体およびアナログを表す。“誘導体”および“アナログ”という用語は構造がSwir1に類似し、そして改変されていないSwir1に質的に類似した効果を提示するタンパク質であると理解される。“機能的ペプチド”という用語は依然としてSwir1受容体に結合するか、または身体細胞、たとえば、脂肪細胞または肝細胞内の変化を活性化しうるSwir1タンパク質の一部を表す。
【0078】
[0118] 本発明に記載のSwir1、その機能的ペプチド、そのアナログおよび誘導体の投与を使用して、インスリン抵抗性および脂質代謝異常を逆転し、肥満の開始を予防するか、または遅らせてもよい。これらの化合物はまた、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、インスリン抵抗性、肥満、および糖尿病の治療または診断薬として使用されうる。
【0079】
[0119] 本明細書で使用する、“治療的有効量”という用語は、統計的に有意な程度(p<0.05)に、インスリン抵抗性患者において、身体エネルギー支出を増加させる、血清トリグリセリドを減少させる、血清コレステロールを減少させる、高脂肪血を軽減する、インスリン抵抗性を軽減する、または2型糖尿病の開始を遅らせるか、もしくは軽減する、のいずれかに十分なSwir1タンパク質、フラグメント、または誘導体もしくはアナログの量を表す。Swir1タンパク質投与のための投薬量範囲は所望する効果を生み出す範囲である。一般に、投薬量は患者の年齢、体重、状態、および性と共に変化することになる。当業者は本明細書の教示が与えられる場合、適切な投薬量範囲を容易に特定してもよい。投薬量はいかなる禁忌の事象においても個々の医師によって調整されうる。どんな事象においても、治療の有効性は身体代謝、体重、または血清グルコース、トリグリセリド、もしくはコレステロールレベルのいずれかを当業者に公知の方法によりモニターすることによって決定しうる。その上、Swir1は当該技術分野で公知の薬剤的に受容できるキャリアに加えることができる。
【0080】
[0120] この治療方法は一般に、ヒトおよび非ヒト哺乳動物を含む、哺乳動物において使用してもよい。本発明に記載のペプチドは、経口、静脈内、非経口、皮下、肺内、および鼻腔内投与を含む、いずれか適切な手段によって患者に投与されてもよい。
【0081】
[0121] 非経口注入には、筋肉内、静脈内、動脈内、または腹腔内投与が挙げられる。ペプチドはまた、たとえば徐放性皮下インプラントの形態で、またはカプセル剤、粉末剤もしくは顆粒剤の形態で経皮的に投与されてもよい。それはまた、吸入によって投与されてもよい。
【0082】
[0122] 非経口投与のための薬剤的に受容できるキャリア製剤には、滅菌、水性または非水性溶液、懸濁液、および乳濁液が挙げられる。非水性溶媒の例としては、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブオイルのような植物油、およびオレイン酸エチルのような注射可能な有機エステルが挙げられる。水性キャリアには、生理食塩水および緩衝液を含む水、アルコール性/水性溶液、乳濁液または懸濁液が挙げられる。非経口ベヒクルには、塩化ナトリウム溶液、リンゲルデキストロース、デキストロースおよび塩化ナトリウム、乳酸加リンゲル、または不揮発油が挙げられる。ペプチドは薬剤的に受容できる賦形剤と混合されてもよく、そして活性成分に匹敵する。適切な賦形剤には、水、生理食塩水、デキストロース、グリセロールおよびエタノール、またはその組み合わせが挙げられる。静脈内ベヒクルには、流動物および栄養素補充剤、電解質補充剤、たとえば、リンゲルデキストロースに基づいたものなどが挙げられる。保存剤および他の添加剤、たとえば抗菌剤、抗酸化剤、キレート剤、不活性ガスが同様に存在してよい。
【0083】
[0123] 形態は投与経路に依存して変化してもよい。たとえば、注射用組成物はそれぞれが単位投薬量を含むアンプルの形態で、または複数の投薬量を含む容器の形態で提供されてもよい。
【0084】
[0124] 化合物は薬剤的に受容できる塩として治療用組成物に製剤されてもよい。これらの塩には、無機酸、たとえば塩酸もしくはリン酸塩、または酢酸、蓚酸、もしくは酒石酸のような有機酸などと共に製剤される酸付加塩が挙げられる。塩はまた、たとえばナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウムまたは鉄の水酸化物のような無機塩基、およびイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ヒスチジン、プロカインなどのような有機塩基から形成される塩が挙げられる。組成物は静脈内、皮下、または筋肉内に投与されてもよい。
【0085】
[0125] 制御された送達は、ペプチドを適切な高分子、たとえばポリエステル、ポリアミノ酸、ポリビニルピロリドン、エチレンビニルアセテート、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、硫酸プロラミン、またはラクチド/グリコリドコポリマーと混合することによって成し遂げられてもよい。活性化合物の放出速度は高分子の濃度を変化させることにより制御されてもよい。
【0086】
[0126] 作用時間を制御するための別の方法は、ポリエステル、ペプチド、ヒドロゲル、ポリラクチド/グリコリドコポリマー、またはエチレンビニルアセテートコポリマーのような重合物質の粒子にペプチドを取り込むことを含む。あるいは、ペプチドは、たとえばコアセルべーション技術により、もしくはたとえばヒドロキシメチルセルロースまたはゼラチン‐マイクロカプセルまたはポリ(メチルメタクリレート)マイクロカプセルそれぞれの使用による界面ポリマー化により作製されたマイクロカプセル中に、またはコロイド薬物送達系中にカプセル化されてもよい。コロイド分散系には、高分子複合体、ナノ‐カプセル、マイクロスフェア、ビーズ、ならびに水中油型乳濁液、ミセル、混合ミセル、およびリポソームを含む脂質を基礎にした系が挙げられる。
【0087】
[0127] その上、核酸配列(SEQ ID NO:1)(たとえば、図4の下線を施したオープンリーディングフレーム)のすべてまたは一部を使用してプラスミドまたはベクターを作り、Swir1遺伝子を微生物に組み込んで、Swir1タンパク質の生産を増加させることができる。SEQ ID NO:1の核酸配列はSwir1タンパク質を生産するために使用できる唯一の配列ではないことを当業者は理解するであろう。また、同一のタンパク質をコードするが、遺伝コードの縮退のために異なる核酸配列を有する核酸配列も企図される。遺伝コードは、たとえばB.Lewin,Genes VI(Oxford University Press,New York,1997)の214ページの図9.1を含む非常にたくさんの遺伝学および生物学に関係する参考文献に見いだされてもよい。Lewinの216ページの図9.3は直接遺伝コードの縮退を説明する。たとえば、アスパラギンのコドンはAATまたはAACであってもよい。
【0088】
[0128] 本発明はまた、受容体結合またはタンパク質分泌に関係しない分子の部分における1以上のサイレントアミノ酸変化を有するSwir1タンパク質をコードするヌクレオチド配列を包含する。たとえば、与えられた部位において化学的に等価なアミノ酸を生産することになるヌクレオチド配列の変更が企図され;したがって、疎水性アミノ酸である、アミノ酸アラニンのコドンは、グリシンのような、別の疎水性アミノ酸をコードするコドンによって置換されてもよく、またはバリン、ロイシン、またはイソロイシンのようなさらに疎水性の強い残基によって置換されてもよい。同じように、1つの負に荷電した残基を別の物、たとえばグルタミン酸に対してアスパラギン酸、または1つの正に荷電した残基を別の物、たとえばアルギニンに対してリジンと置換することになる変化も生物学的に等価な産物を生産することが予想されうる。たとえば、遺伝コードによってコードされる“標準”20アミノ酸の側鎖の性質を示すLewin(1997)の10ページの図1.8を参照されたい。(また、刊行された図の誤植、すなわち、グルタミンの略は“Glu”であるべきであることを注意されたい)。
【0089】
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[0129] 本明細書に引用されたすべての参考文献の完全な開示は参照として本明細書に援用される。しかし、別の相容れない対立となった場合、本明細書が照査することになる。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】[0015] 図1Aは、3種の異なる系統、野生型(WT)、Mc3r−/−欠失マウス(Mc3rKO)およびMc4r−/−欠失マウス(Mc4rKO)間の、低脂肪規定食(LF)または高脂肪規定食(HF)のいずれかを12週間与えた後の6ヶ月齢の雌マウスにおける体格の違いを例示する。(規定食の有意な効果は“*”(p<0.001)または“#”(p<0.05)によって示される;規定食内の有意な効果は文字によって示され、有意に異なる(p<0.05)群は異なる文字を与えられる;有意性は2−way AVOVAに基づく) [0016] 図1Bは、3種の異なる系統、野生型(WT)、Mc3r−/−欠失マウス(Mc3rKO)およびMc4r−/−欠失マウス(Mc4rKO)間の、低脂肪規定食(LF)または高脂肪規定食(HF)のいずれかを12週間与えた後の6ヶ月齢の雌マウスにおける体重増加の違いを例示する。(規定食の有意な効果は“*”(p<0.001)または“#”(p<0.05)によって示される;規定食内の有意な効果は文字によって示され、有意に異なる(p<0.05)群は異なる文字を与えられる;有意性は2−way AVOVAに基づく) [0017] 図1Cは、3種の異なる系統、野生型(WT)、Mc3r−/−欠失マウス(Mc3rKO)およびMc4r−/−欠失マウス(Mc4rKO)間の、低脂肪規定食(LF)または高脂肪規定食(HF)のいずれかを12週間与えた後の6ヶ月齢の雌マウスにおける体脂肪率の違いを例示する。(規定食の有意な効果は“*”(p<0.001)または“#”(p<0.05)によって示される;規定食内の有意な効果は文字によって示され、有意に異なる(p<0.05)群は異なる文字を与えられる;有意性は2−way AVOVAに基づく) [0018] 図1Dは、3種の異なる系統、野生型(WT)、Mc3r−/−欠失マウス(Mc3rKO)およびMc4r−/−欠失マウス(Mc4rKO)間の、低脂肪規定食(LF)または高脂肪規定食(HF)のいずれかを12週間与えた後の6ヶ月齢の雌マウスにおける脂肪量の違いを例示する。(規定食の有意な効果は“*”(p<0.001)または“#”(p<0.05)によって示される;規定食内の有意な効果は文字によって示され、有意に異なる(p<0.05)群は異なる文字を与えられる;有意性は2−way AVOVAに基づく。) [0019] 図1Eは、3種の異なる系統、野生型(WT)、Mc3r−/−欠失マウス(Mc3rKO)およびMc4r−/−欠失マウス(Mc4rKO)間の、低脂肪規定食(LF)または高脂肪規定食(HF)のいずれかを12週間与えた後の6ヶ月齢の雌マウスにおける除脂肪量の違いを例示する。(規定食の有意な効果は“*”(p<0.001)または“#”(p<0.05)によって示される;規定食内の有意な効果は文字によって示され、有意に異なる(p<0.05)群は異なる文字を与えられる;有意性は2−way AVOVAに基づく)
【図2】[0020] 図2Aは、高脂肪規定食を与えられた雌マウス由来の、ヘマトキシリンおよびエオジンにより染色した肝臓横断図で示した肝臓微細構造の、3種のマウス系統、野生型(WT)、Mc3r−/−欠失マウス(Mc3rKO)およびMc4r−/−欠失マウス(Mc4rKO)間の比較を例示する。
【0091】
[0021] 図2Bは、低および高脂肪規定食両方を与えられたマウスにおける肥満(adiposity)(体脂肪率)の相関的要素としての肝重量における、3種のマウス系統、野生型(WT)、Mc3r−/−欠失マウス(Mc3rKO)およびMc4r−/−欠失マウス(Mc4rKO)間の違いを例示する。
【0092】
[0022] 図2Cは、適度の高脂肪規定食を与えられた雄および雌マウスの平均肝重量(n=5〜6/群)における3種のマウス系統、野生型(WT)、Mc3r−/−欠失マウス(Mc3rKO)およびMc4r−/−欠失マウス(Mc4rKO)間の違いを例示する。(“*”はWTおよびMc3rKOマウスに対してp<0.05を示す)。
【0093】
[0023] 図2Dは、高脂肪規定食を与えられたマウス肝臓のステアロイル‐CoAデサチュラーゼ1(SCD1)発現における3種のマウス系統、野生型(WT)、Mc3r−/−欠失マウス(Mc3rKO)およびMc4r−/−欠失マウス(Mc4rKO)間の違いを例示する。データは任意単位(a.u.)として表される。(“*”はWTおよびMc3rKOマウスに対してp<0.05を示す。)
[0024] 図2Eは、高脂肪規定食を与えられたマウス肝臓のアポリポタンパク質A4(ApoA4)発現における3種のマウス系統、野生型(WT)、Mc3r−/−欠失マウス(Mc3rKO)およびMc4r−/−欠失マウス(Mc4rKO)間の違いを例示する。(“*”はWTおよびMc3rKOマウスに対してp<0.05を示し、“#”は同性内の、WTマウスに対してp<0.05を示す)。
【図3】[0025] 図3Aは、野生型(WT)マウスおよび肥満Mc3r−/−欠失マウス(Mc3rKO)における肝AK009710mRNA発現の量(WT発現の百分率として示される)を例示する。
【0094】
[0026] 図3Bは、野生型マウス(WT)、Mc4r−/−欠失マウス(Mc4rKO)およびレプチン‐欠乏Lepob/Lepobマウス(2種の肥満モデル)における肝AK009710mRNA発現の量(WT発現の百分率として示される)を例示する。
【0095】
[0027] 図3Cは、2日間にわたり生理食塩水またはレプチン(0.5mg/g)のいずれかを4回注射された、レプチン‐欠乏Lepob/Lepobマウスにおける肝AK009710mRNA発現の量(生理食塩水による発現の百分率として示される)を例示する。
【図4】[0028] 下線を施したSwir1タンパク質をコードするオープンリーディングフレームを持つ、Swir1遺伝子(BC021944;SEQ ID NO:1)のmRNA配列を示し、そのアミノ酸翻訳産物Swir1候補(SEQ ID NO:2)を示す。
【図5】[0029] マウス(SEQ ID NO:2)、ヒト(SEQ ID NO:14)、ラット(SEQ ID NO:12)、イヌ(SEQ ID NO:15)、ブタ(SEQ ID NO:16)、ウシ(SEQ ID NO:17)、ヒツジ(SEQ ID NO:18)、およびチンパンジーのSwir1タンパク質候補配列のアラインメントを説明し、ポリクローナル抗体(pAB1((SEQ ID NO:8)およびpAB2(SEQ ID NO:9)を生み出すために使用される分泌ポリペプチド候補の領域を示す。
【図6】[0030] 図6Aは、ヒト組織試料の、Swir1タンパク質をコードするAK009710DNA配列の放射活性標識部分を使用したノーザンブロット解析の結果を例示する(レーン1〜8は心臓、脳、胎盤、肺、肝臓、骨格筋、腎臓および膵臓をそれぞれ表す)。
【0096】
[0031] 図6Bは、マウス組織試料上の全長マウスAK009710DNAプローブを使用したノーザンブロット解析に由来するSwir1mRNAバンドの相対強度を例示する。
【0097】
[0032] 図6Cは、培地(M)およびpCMV‐Swir1:FLAG、pCMV‐GFPをトランスフェクションしたHEK293ヒト‐腎臓由来細胞の細胞溶解産物(Pel)における、またはSwir1:FLAG融合タンパク質を発現するアデノウイルスベクターに感染したHEK293細胞由来の培地におけるFLAG免疫反応性に関するウェスタンブロット解析の結果を例示する[DNAをトランスフェクションしない(レーン1、2);pCMV‐Swir1:FLAG構築物によるトランスフェクション(レーン3、4);pCMV‐Swir1によるトランスフェクション(レーン5、6);またはpCMV‐GFPによるトランスフェクション(レーン7、8);Ad5Swir1:FLAGに感染(レーン9);Ad5Swir1に感染(レーン10);またはAdGFPに感染(レーン11)]。Swir1タンパク質を視覚化するために、C−末端FLAG‐エピトープタグを持つ融合タンパク質が作製された。
【0098】
[0033] 図6Dは、アッセイ4日前にAd5‐Swir1:FLAGを注射されたMc4r−/−マウス由来の種々の組織(肝臓、筋肉、および脳)、ならびに陽性(Ad5‐Swir1:FLAGにより感染したHEK293細胞)および陰性(注射されないMc4r−/−マウス由来の肝臓)の両方の対照におけるSwir1タンパク質ウェスタンブロット解析の結果を例示する。
【図7】[0034] 図7Aは、Swir1(図5に示す)のN−末端に対するポリクローナル抗体(pAB1)とのインキュベーション後に、組換えAd5‐Swir1(生来のタンパク質)またはAd5Swir1:FLAG(C−末端にFLAGを付けた融合タンパク質)に感染したHEK293細胞由来の溶解産物を使用したウェスタンブロット解析の結果を例示する。
【0099】
[0035] 図7Bは、Swir1(図5に示す)のC−末端に対するポリクローナル抗体(pAB2、SEQ ID NO:9)とのインキュベーション後に、組換えAd5Swir1(生来のタンパク質)またはAd5Swir1:FLAG(C−末端にFLAGを付けた融合タンパク質)に感染したHEK293細胞由来の溶解産物を使用したウェスタンブロット解析の結果を例示する。
【0100】
[0036] 図7Cは、種々の系統のマウスの尾静脈にAd5Swir1またはAd5‐GFPを投与してマウス代謝へのSwir1処理の効果を試験する(結果は表1に示す)ために使用される処理プロトコルを例示する。
【図8】[0037] 図8Aは、Ad5‐Swir1またはAd5‐GFPのいずれかを注射後8日目の肥満したレプチン‐欠乏(Lepob/Lepob)マウス由来の肝臓における脂肪酸シンターゼ(Fasn)mRNAの発現レベルを例示する。データは任意単位(AU)で表した(n=6〜8/群、“*”p<0.05)。
【0101】
[0038] 図8Bは、Ad5‐Swir1またはAd5‐GFPのいずれかを注射後8日目の肥満したレプチン‐欠乏(Lepob/Lepob)マウス由来の肝臓におけるステアロイル‐CoAデサチュラーゼ(Scd1)タンパク質の発現レベルを例示する。データは任意単位(AU)で表した(n=6〜8/群、“*”p<0.05)。
【0102】
[0039] 図8Cは、Ad5‐Swir1またはAd5‐GFPのいずれかを注射後8日目の肥満したレプチン‐欠乏(Lepob/Lepob)マウス由来の肝臓におけるアセチルCoAカルボキシラーゼ(Acc)mRNAの発現レベルを例示する。データは任意単位(AU)で表した(n=6〜8/群、“*”p<0.05)。
【0103】
[0040] 図8Dは、Ad5‐Swir1またはAd5‐GFPのいずれかを注射後8日目の肥満したレプチン‐欠乏(Lepob/Lepob)マウス由来の肝臓におけるインスリン抵抗性に関係する遺伝子(サイトカインシグナリングのサプレッサー)の発現レベルを例示する。データは任意単位(AU)で表した(n=6〜8/群、“*”p<0.05)。
【図9】[0041] 図9Aは、Swir1を過剰発現するトランスジェニックマウス系統を生み出すために使用されるトランスジーン(BAP−Swir1)の構築を例示する。
【0104】
[0042] 図9Bは、5週目のFVB/NJファウンダー由来のトランスジェニックマウスの仔(図9Aのトランスジーンを使用して生み出された)由来の肝臓におけるSwir1発現の量を例示する。
【0105】
[0043] 図9Cは、9週目のFVB/NJファウンダー由来のトランスジェニックマウスの仔(図9Aのトランスジーンを使用して生み出された)の血清由来の空腹時トリグリセリド(TG)のレベルを例示する。
【0106】
[0044] 図9Dは、5および9週目の対照と比較した、FVB/NJファウンダー由来のトランスジェニックマウスの仔(図9Aのトランスジーンを使用して生み出された)の、体脂肪率(%体脂肪;左のグラフ)および脂肪量(除脂肪量(FFM)および脂肪量(FM)の両方を示す;右のグラフ)によって測定された身体組成を例示する。
【0107】
[0045] 図9Eは、60%高脂肪規定食を食べて7日目のFVB/NJファウンダー由来のトランスジェニックマウスの仔(図9Aのトランスジーンを使用して生み出された)の脂肪量(除脂肪量(FFM)および脂肪量(FM)の両方を示す)の変化を例示する。
【図10】[0046] C57BL/6Jの仔のゲノムへのBAP−Swir1の組み込み(C57BL/6J卵母細胞へのBAP−Swir1の注入に由来)のPCRスクリーニングから生じた結果を例示し、23匹のうち6匹の仔のゲノムへのトランスジーンの組み込みを示す。
【図11】[0047] 図11Aは、タンパク質Swir1(Swir134−76;SEQ ID NO:10)の分泌される部分の適用15分後の3T3−L1脂肪細胞におけるErkリン酸化の増加を例示する。
【0108】
[0048] 図11Bは、分泌タンパク質Swir1(Swir134−76;SEQ ID NO:10)の適用15分後のHepG2肝細胞におけるErkリン酸化の増加を例示する。
【図12】[0049] 図12Aは、2種の規定食(LF=10%kJ/脂肪;HF=60%kJ/脂肪)のうちの1種を3ヶ月間与えられた3種の系統(C57BL/6J(WT)、Mc3rKO(Mc3r)またはMc4rKO(Mc4r)の6ヶ月齢マウスにおける視床下部Swir1mRNA発現と体重間の関連を例示する。
【0109】
[0050] 図12Bは、2種の規定食(LF=10%kJ/脂肪;HF=60%kJ/脂肪)のうちの1種を3ヶ月間与えられた3種の系統(C57BL/6J(WT)、Mc3rKO(Mc3r)またはMc4rKO(Mc4r)の6ヶ月齢マウスにおける視床下部Swir1mRNA発現とHOMA−IR(空腹時インスリンxグルコース/22.5)間の関連を例示する。
【0110】
[0051] 図12Cは、2種の規定食(LF=10%kJ/脂肪;HF=60%kJ/脂肪)のうちの1種を3ヶ月間与えられた3種の系統(C57BL/6J(WT)、Mc3rKO(Mc3r)またはMc4rKO(Mc4r)の6ヶ月齢マウスにおけるHOMA−IR(空腹時インスリンxグルコース/22.5)と視床下部Socs3(サイトカインシグナリングのサプレッサー3)mRNA発現間の関連を例示する。
【図13−1】[0052] 図13Aは、3日間にわたる野生型(WT)およびBAP−Swir1トランスジェニックマウス(FVB.Tg)における身体活動度(ビームブレーク/10分で測定)を例示する。
【0111】
[0053] 図13Bは、24時間にわたる野生型(WT)およびBAP−Swir1トランスジェニックマウス(FVB.Tg)における暗期および明期の身体活動度(その期間の平均ビームブレーク/10分で測定)を例示する。
【図13−2】[0054] 図13Cは、24時間にわたる野生型(WT)およびBAP−Swir1トランスジェニックマウス(FVB.Tg)における暗期および明期の全身脂肪酸化(RER)を例示する。
【0112】
[0055] 図13Dは、24時間にわたる野生型(WT)およびBAP−Swir1トランスジェニックマウス(FVB.Tg)における暗期および明期の代謝率(VO2(ml/hx10)として測定)を例示する。
【0113】
[0056] 図13Eは、24時間にわたる野生型(WT)およびBAP−Swir1トランスジェニックマウス(FVB.Tg)における暗期および明期の遊離脂肪量(VO2(ml/h/gFFMx10)として測定)の関数としての代謝率を例示する。
【0114】
[0057] 図13Fは、24時間にわたる野生型(WT)およびBAP−Swir1トランスジェニックマウス(FVB.Tg)における暗期および明期の体重(VO2(ml/h/gBWx10)として測定)の関数としての代謝率を例示する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペプチドが以下の特徴:
a.実質的に均質の調製物である;および
b.SEQ ID NO:2、10、11、12〜18に示された配列のいずれか1つに少なくとも70%の相同性を有する、
を有する、精製されたSwir1ペプチド、ならびにそのフラグメント、ホモログ、アナログおよび誘導体。
【請求項2】
ペプチドが哺乳動物ペプチドである、請求項1に記載のペプチド。
【請求項3】
ペプチドがマウスペプチドである、請求項1に記載のペプチド。
【請求項4】
ペプチドがヒトペプチドである、請求項1に記載のペプチド。
【請求項5】
ペプチドが合成ペプチドである、請求項1に記載のペプチド。
【請求項6】
SEQ ID NO:2、10、11、12〜18で示す配列のいずれか1つに対する前記相同性が85%より大きい、請求項1に記載のペプチド。
【請求項7】
相同性が95%より大きい、請求項6に記載のペプチド。
【請求項8】
請求項1〜7のSwir1ペプチドのいずれか1つ、および薬剤的に受容できるキャリアを含む、医薬組成物。
【請求項9】
Swir1ペプチド、またはそのフラグメント、ホモログ、アナログおよび誘導体を含む治療的有効量の医薬組成物を対象に投与することを含む、体格のホメオスタシスに関連する病態生理を治療するための方法。
【請求項10】
Swir1ペプチド、またはそのフラグメント、ホモログ、アナログおよび誘導体を含む治療的有効量の医薬組成物を対象に投与することを含む、体格のホメオスタシスに関連する病態生理を予防するための方法。
【請求項11】
Swir1ペプチドがSEQ ID NO:2、および10〜18に示された配列のいずれか1つに少なくとも70%の相同性を有する、請求項9または10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
病態生理が肥満である、請求項9または10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
レプチンおよびアディポネクチンからなる群から選択される化合物を対象に投与することを付加的に含む、請求項9または10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
病態生理が高血糖症、高インスリン血症、インスリン抵抗性、高脂肪血症、および2型糖尿病のいずれか1つを含む、肥満に関連する1種である、請求項9または10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
対象への投与のステップが腹腔内投与を含む、請求項9または10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
SEQ ID NO:1のオープンリーディングフレームの少なくとも20のアミノ酸をコードする核酸を含むベクター。
【請求項17】
請求項1〜7のいずれか1項に記載のSwir1ペプチドを生産する培養細胞。
【請求項18】
細胞が細菌、酵母、哺乳動物細胞、植物細胞、および昆虫細胞からなる群から選択される、請求項17に記載の細胞。
【請求項19】
以下のことを含む、Swir1ペプチドを調製するための方法:
a.SEQ ID NO:1のオープンリーディングフレームの少なくとも20のアミノ酸をコードする核酸を含む細胞を、当該ペプチドの発現を規定する条件下で培養すること;および
b.発現された当該ペプチドを回収すること。
【請求項20】
SEQ ID NO:1のオープンリーディングフレームの少なくとも20のアミノ酸をコードする核酸、および薬剤的に受容できるキャリアを含む医薬組成物であって、該核酸がSwir1ペプチドをコードする、医薬組成物。
【請求項21】
請求項1〜7のいずれか1つのペプチドに免疫特異的に結合する、抗体、ならびにそのフラグメント、誘導体、ホモログおよびアナログ。
【請求項22】
検出可能なラベルで明示された、請求項21に記載の抗体。
【請求項23】
前記抗体がSEQ ID NO:2および8〜18のペプチドのいずれか1つ、ならびに前記ペプチドのフラグメント、誘導体、ホモログおよびアナログを使用して産生される、請求項21に記載の抗体。
【請求項24】
抗体がポリクローナル抗体である、請求項21に記載の抗体またはフラグメント。
【請求項25】
抗体がモノクローナル抗体である、請求項21に記載の抗体またはフラグメント。
【請求項26】
1つ以上の容器に、請求項1〜7のいずれか1項に記載のSwir1ペプチド、SEQ ID NO:1の核酸配列の一部、または請求項21〜25のいずれか1項に記載のSwir1タンパク質を認識する抗体を含むキット。
【請求項27】
核酸を含む組換え非ヒト動物であって、当該核酸がSEQ ID NO:2および8〜18のSwir1関連ペプチド、ならびにそのようなペプチドのフラグメント、誘導体、ホモログおよびアナログのいずれか1つをコードする核酸配列を有する単離された核酸である、前記非ヒト動物。
【請求項28】
SEQ ID NO:2および8〜18で与えられた配列を持つSwir1ペプチド、ならびにそのようなペプチドのフラグメント、誘導体、ホモログおよびアナログの治療的有効量を対象に投与することを含む、対象におけるインスリン抵抗性を改善するか、または軽減する方法。
【請求項29】
SEQ ID NO:2および8〜18で与えられた配列を持つSwir1ペプチド、ならびにそのようなペプチドのフラグメント、誘導体、ホモログおよびアナログの治療的有効量を対象に投与することを含む、対象における糖尿病の症状を改善するか、または治療する方法。
【請求項30】
SEQ ID NO:2および8〜18で与えられた配列を持つSwir1ペプチド、ならびにそのようなペプチドのフラグメント、誘導体、ホモログおよびアナログの治療的有効量を対象に投与することを含む、対象における肥満の開始を予防するか、または遅らせる方法。
【請求項31】
SEQ ID NO:2および8〜18で与えられた配列を持つSwir1ペプチド、ならびにそのようなペプチドのフラグメント、誘導体、ホモログおよびアナログの治療的有効量を対象に投与することを含む、対象における高脂肪血症を改善するか、または軽減する方法。
【請求項32】
SEQ ID NO:2および8〜18で与えられた配列を持つSwir1ペプチド、ならびにそのようなペプチドのフラグメント、誘導体、ホモログおよびアナログの治療的有効量を対象に投与することを含む、対象における血清中総コレステロールを軽減する方法。
【請求項33】
SEQ ID NO:2および8〜18で与えられた配列を持つSwir1ペプチド、ならびにそのようなペプチドのフラグメント、誘導体、ホモログおよびアナログの治療的有効量を対象に投与することを含む、対象における血清トリグリセリドを軽減する方法。
【請求項34】
レプチンおよびアディポネクチンからなる群から選択される化合物を対象に投与することを付加的に含む、請求項28〜33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
外因性プロモーターおよびSEQ ID NO:1のオープンリーディングフレームの少なくとも20のアミノ酸をコードする核酸に対応するcDNAを保持する細胞を有する非ヒトトランスジェニック動物であって、ここで、当該細胞が、SEQ ID NO:2および8〜18で与えられた配列を持つSwir1ペプチド、ならびにそのようなペプチドのフラグメント、誘導体、ホモログおよびアナログを構成的に過剰発現する細胞である、前記非ヒトトランスジェニック動物。
【請求項36】
前記外因性プロモーターがアクチンプロモーターである、請求項35に記載のトランスジェニック動物。
【請求項37】
前記非ヒト動物がマウスである、請求項35に記載のトランスジェニック動物。
【請求項38】
SEQ ID NO:1のオープンリーディングフレームの少なくとも20のアミノ酸をコードする核酸を含む、形質転換ベクター。
【請求項39】
SEQ ID NO:1のオープンリーディングフレームの少なくとも20のアミノ酸をコードする核酸を含む、ホスト細胞。
【請求項40】
SEQ ID NO:1のオープンリーディングフレームの少なくとも20のアミノ酸をコードする核酸を含む核酸構築物であって、前記配列が哺乳動物において機能できるプロモーターに作動可能なように連結する、核酸構築物。
【請求項41】
前記プロモーターがアクチンプロモーターである、請求項40に記載の核酸構築物。
【請求項42】
請求項40に記載の核酸構築物により形質転換された動物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図9】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12】
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【図13−1】
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【図13−2】
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【公表番号】特表2009−502208(P2009−502208A)
【公表日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−525274(P2008−525274)
【出願日】平成18年8月7日(2006.8.7)
【国際出願番号】PCT/US2006/030686
【国際公開番号】WO2007/019426
【国際公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【出願人】(507405212)ボード オブ スーパーバイザーズ オブ ルイジアナ ステイト ユニバーシティー アンド アグリカルチュラル アンド メカニカル カレッジ (3)
【氏名又は名称原語表記】BOARD OF SUPERVISORS OF LOUISIANA STATE UNIVERSITY AND AGRICULTURAL AND MECHANICAL COLLEGE
【Fターム(参考)】