説明

エネルギー効率の改善及び再循環ガスのEB気化器への注入によるスチレンモノマーの製造のためのプロセス

本発明は、再循環ガスの存在下でのエチルベンゼンの脱水素又は酸化脱水素によりスチレンモノマーを製造するためのプロセス、特にはスチレンモノマーの製造において液状エチルベンゼン供給流の沸点を低下させる方法に関する。プロセスは、実質的に二酸化炭素を含む混合物の存在下でエチルベンゼンを触媒的に脱水素又は酸化脱水素し、それによりスチレンモノマーを触媒的に生成する工程を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、再循環ガスの存在下でのエチルベンゼンの脱水素によりスチレンモノマーを製造するためのプロセス、特にはスチレンモノマーの製造において液状エチルベンゼン供給流の沸点を低下させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スチレンは、広範な材料の製造にとって基礎的な構成単位である。スチレンは、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、ポリエステル樹脂、合成ゴム及びその他多数の製品を製造するために使用される。
【0003】
エチルベンゼンの脱水素によるスチレンの製造は、一般に、エチルベンゼンと蒸気とを混合し、この混合物を脱水素触媒充填層に通すことによって行われる。スチレンへのエチルベンゼンの吸熱反応に必要とされる熱を供給するために、蒸気は脱水素反応系において希釈ガスとして使用される。蒸気/水は、共沸組成(すなわち、極小沸点)又はある非共沸組成(すなわち、低下した沸点)のいずれかにおけるエチルベンゼン供給流の沸点を低下させるためにも使用される。米国特許第4628136号及び米国特許第4765398号を参照のこと。これらの文献は、本明細書に全体的に取り入れられる。気化されたエチルベンゼン/蒸気は、脱水素反応装置に供給する前に希釈用の蒸気/水と混合され、そこに含まれている水は、反応系に必要とされる希釈流を補う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第4628136号
【特許文献2】米国特許第4765398号
【特許文献3】韓国公開特許第20060092305号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
エチルベンゼンの沸点を低下させると、脱水素反応系へのエチルベンゼン供給流を低レベルの熱を使用して気化できるようになる。エチルベンゼン供給流の沸点を低下させるために蒸気/水を使用するにも関わらず、その蒸気の使用は、プロセスの総エネルギー効率を低下させる。代替案として、Samsung Total Petrochemicals社(韓国公開特許第20060092305号)は、エチルベンゼン供給流の沸点を低下させるために、蒸気の全て又は一部の代わりに不活性ガスを使用した。しかしながら、反応装置に供給される不活性物質の追加は、プロセスの原料要件、オフガスコンプレッサの負荷、及び電力要件を増加させる。また、不活性ガスは、完全に不活性ではなく、エチルベンゼン脱水素の平衡反応又は触媒活性に悪影響を及ぼす場合もある。
【0006】
エチルベンゼンの酸化脱水素プロセスにおいて、エチルベンゼン供給流の沸点を経済的に低下させるプロセスはいまだに報告されていない。そのため、エチルベンゼン原料からスチレンモノマーを製造するための経済的でエネルギー効率の高い方法に対して、業界において進行しつつも満たされない需要が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、再循環ガスの存在下におけるエチルベンゼンの脱水素又は酸化脱水素(oxydehydrogenation)によりスチレンモノマー(すなわち、スチレン)を製造するプロセスに関する。本発明は、従来のスチレンモノマープロセスにおいて主として使用される蒸気/水の全て又は一部の代わりに再循環ガスを注入することによって、エチルベンゼン供給流の沸点の低下を達成する。一態様において、再循環ガスは主に二酸化炭素を含む。
【0008】
一実施形態において、本発明は、液状エチルベンゼンをガス状エチルベンゼンに変化させることが可能であるとともにガス状エチルベンゼンを含む塔頂生成物を生成する気化器ユニット(すなわち、気化器)に、液状エチルベンゼン原料を供給する工程と、エチルベンゼンの沸点を少なくとも5℃低下させるに十分な量の再循環二酸化炭素を含む混合物を気化器ユニットに供給する工程と、気化器を加熱することによって液状エチルベンゼンを気化器の塔頂生成物において回収されるガス状エチルベンゼンに変化させる工程と、気化された塔頂生成物中のエチルベンゼンを触媒的に脱水素又は酸化脱水素することによってスチレンモノマーを触媒的に生成する工程と、を含む、エチルベンゼンからスチレンモノマーを製造するプロセスに向けられたものである。
【0009】
本発明は、液状エチルベンゼンをガス状エチルベンゼンに変化させることが可能であるとともにガス状エチルベンゼンを含む塔頂生成物を生成する気化器ユニットに、液状エチルベンゼン原料を供給する工程と、エチルベンゼン1モルに対して約2〜5モルの再循環二酸化炭素を含む混合物を気化器ユニットに供給する工程と、気化器を加熱することによって液状エチルベンゼンを気化器の塔頂生成物において回収されるガス状エチルベンゼンに変化させる工程と、気化された塔頂生成物中のエチルベンゼンを触媒的に酸化脱水素することによってスチレンモノマーを触媒的に生成する工程と、を含む、エチルベンゼンからスチレンモノマーを製造するプロセスに向けられたものでもある。
【0010】
エチルベンゼン供給流の沸点を低下させるために二酸化炭素を含む再循環ガスを使用する利点は以下の通りである。(1)二酸化炭素は希釈剤であり、二酸化炭素は、酸化脱水素(ODH)プロセスにおいて、通常エチルベンゼンに対して約5:1(モル比)で供給されるので、ODH反応系内に本来備わっている。(2)気化器内のエチルベンゼンを希釈するために十分な量の二酸化炭素が系において利用可能であり、これは追加の(例えば、新鮮な)二酸化炭素の供給が必要とされないことを意味する。(3)エチルベンゼン気化器の中に注入される二酸化炭素は、反応系の希釈に対して必要とされる二酸化炭素を補い、二酸化炭素再循環ガス要件を増やさない。(4)二酸化炭素は、ODHプロセスの反応系に供給する再循環ガスにおける主成分である。(5)二酸化炭素は、極めて低い通常沸点を有する。(6)二酸化炭素は不活性ではなく、反応系において「穏やかな」酸化剤として使用される。これらの利点は、非限定的な例として与えられたにすぎず、更なる利益及び利点は、本明細書に記載の説明を参照することで当業者にはすぐに明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明の一実施形態を示すフローチャートであり、液状エチルベンゼンはガス状エチルベンゼンに変化させられ、またスチレンモノマーへと触媒的に脱水素される。エチルベンゼン原料は、気化器内において、二酸化炭素を含む再循環ガス及び任意で蒸気及び/又は不活性ガスと混合される。気化器は、従来の系より少ない熱エネルギーを使用して液状エチルベンゼンをガス状エチルベンゼンに変化させることが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、再循環ガス、主に二酸化炭素の存在下におけるエチルベンゼンの脱水素によりスチレンモノマーを製造するプロセスに関する。特に、本発明は、スチレンモノマーの製造において液状エチルベンゼン供給流の沸点を低下させる方法に関する。
【0013】
二酸化炭素は、再循環ガス、新鮮な供給流又はこれらの組み合わせからエチルベンゼン気化器に供給されることができる。望ましくは、二酸化炭素源は再循環ガスである。望ましい実施形態において、再循環ガスは、約50体積%から100体積%の二酸化炭素、より望ましくは約90体積%の二酸化炭素を含む。再循環ガス中に不純物が存在することがある。不純物の幾つかの例には、一酸化炭素、水素、メタン、アルゴン、窒素、微量の芳香族及び脂肪族の炭化水素が含まれる。
【0014】
本発明の再循環二酸化炭素による酸化脱水素プロセスは、以下の点で従来技術とは異なる。二酸化炭素を含む再循環ガスは、蒸気/水の代わりに又は蒸気/水で補われてエチルベンゼン気化器の中に注入される。望ましくは、再循環ガス/水混合物、再循環ガス/不活性ガス混合物、再循環ガス/不活性ガス/水混合物がエチルベンゼン気化器の中に注入される。二酸化炭素が望ましいが、これは、二酸化炭素がエチルベンゼン混合物の沸点を低下させる目的に対して水より良好な熱物理的特性(例えば、より低い沸点)を有するからである。そして、新鮮な二酸化炭素の供給は、必要とされない。酸化水素プロセスからの再循環二酸化炭素を使用することができ、オフガスコンプレッサの負荷及び電力要件を増やさない。
【0015】
一実施形態において、本発明は、液状エチルベンゼン原料を、液状エチルベンゼンをガス状エチルベンゼンに変化させることが可能であるとともにガス状エチルベンゼンを含む塔頂生成物を生成する気化器ユニットに供給する工程と、エチルベンゼンの沸点を少なくとも5℃低下させるのに十分な再循環二酸化炭素を含む混合物を気化器ユニットに供給する工程と、気化器を加熱することによって液状エチルベンゼンを気化器の塔頂生成物において回収されるガス状エチルベンゼンに変化させる工程と、気化した塔頂生成物中のエチルベンゼンを触媒的に脱水素又は酸化脱水素することによってスチレンモノマーを触媒的に生成する工程と、を含む、エチルベンゼンからスチレンモノマーを製造するプロセスに向けられたものである。
【0016】
本明細書で使用される用語“エチルベンゼン原料”は、エチルベンゼンを含有する炭化水素混合物のことである。望ましくは、原料は、純粋なエチルベンゼン、再循環エチルベンゼン又はこれらの組み合わせを含有する。
【0017】
本明細書で使用される用語“気化器ユニット”は、液状エチルベンゼンをガス状エチルベンゼンに変化させるために使用されるエチルベンゼン気化器のことである。望ましくは、ガス状エチルベンゼンは、塔頂生成物において回収され、エチルベンゼン供給流に含有される重質不純物を含む液状ブローダウンは、いくらかのエチルベンゼンとともに塔底生成物において回収される。
【0018】
本明細書で使用される用語“触媒的な脱水素”は、ガス相における炭化水素の連続的で不均一な触媒部分脱水素のためのプロセスのことである。
【0019】
本明細書で使用される用語“触媒的な酸化脱水素”は、ガス相における二酸化炭素及び/又は分子酸素の存在下において、炭化水素の連続的で不均一な触媒部分脱水素のためのプロセスのことである。
【0020】
図1は本発明の一実施形態を示し、スチレンモノマーは、エチルベンゼンの触媒的な脱水素によって生成される。エチルベンゼン原料(6)は、気化器(10)に供給される。エチルベンゼン原料は、純粋なエチルベンゼン(2)、再循環エチルベンゼン(4)又はこれらの組み合わせを含むことができる。また、再循環ガス(8)も気化器(10)に供給される。再循環ガスは、蒸気(12)、不活性ガス(14)又はその両方と混合されることができる。気化器(10)は、液状エチルベンゼンをガス状エチルベンゼンに変化させるために、熱源(18)で加熱される。残留重質物質及び液状エチルベンゼンは、気化器塔底生成物(16)から回収され、その中に含まれるエチルベンゼンは、分別による回収後、エチルベンゼン原料(4)に再循環されることができる。気化したエチルベンゼン/再循環ガスは、気化器の塔頂生成物(22)から回収され、脱水素システム(20)に供給されることができる。任意で、気化したエチルベンゼン/再循環ガスは、追加の再循環ガス(24)と結合され、脱水素ユニット(20)に供給されることができる。
【0021】
脱水素ユニット(20)は、エチルベンゼンからスチレンモノマーを生成するために使用される脱水素又は酸化脱水素ユニットのいずれのタイプであってもよく、特にCOを酸化剤として使用するユニットである。従来の脱水素又は酸化脱水素ユニットで典型的に使用されたエチルベンゼン気化器流は、本発明のものと置き換えられる。エチルベンゼン気化器は、例えば、2008年6月14日付で出願され、“Styrene Monomer Process Based on Oxidative Dehydrogenation of Ethylbenzene Using CO as a Soft Oxidant”というタイトルの米国特許出願第12/139,455号に記載された酸化脱水素システムにおいて使用されることができ、その全内容は参照により本明細書に取り込まれる。脱水素ユニット(26)からの流出物は、再循環ガス(40)からスチレン生成物を分離するように処理されることができる。このスチレン生成物は、更なる処理のためにライン(32)を通して送られる。いくつかの実施形態において、再循環ガスの一部は、ライン(24)を通して脱水素ユニット(20)に返されることができる。その他の実施形態において、再循環ガスの一部又は全ては、ライン(34)を通してエチルベンゼン気化器(10)に戻されることができる。一実施形態において、再循環ガス(8)は、スチレンモノマープロセスから又は別のプロセス(32)から供給されることができる。例えば、再循環ガス(8)は、再循環ガスヒータから気化器ユニットへと迂回されて液状エチルベンゼンの中に注入される、フラックスオイルスクラバの塔頂生成物からの少量のスリップストリームである。結果として生じるエチルベンゼン/再循環ガス混合物は、純粋なエチルベンゼンの沸点より大幅に低い沸点を有する。
【0022】
更なる実施形態において、熱源(18)は、凝縮低圧蒸気(凝縮温度約100℃〜110℃)又は低温プロセス流(例えば、凝縮温度約97℃〜103℃を有するエチルベンゼン/スチレンモノマースプリッタ塔頂生成物、凝縮温度約108℃〜123℃を有するエチルベンゼン回収カラム塔頂生成物等)とされてもよい。これらの熱源は、エチルベンゼン供給流を気化させるための中圧又は高圧の蒸気を使用するよりも低温で経済的である。プロセス流からの熱回収(プロセス交換)は、総ユーティリティ消費量(すなわち、蒸気と冷却水)を低減し、結果として経済的に大幅な節約となる。
【0023】
望ましくは、エチルベンゼン気化器への十分な再循環ガスの追加は、エチルベンゼンの沸点を、約760mmHgで約122℃未満に低下させる。最も望ましくは、エチルベンゼン気化器への十分な再循環ガスの追加は、エチルベンゼンの沸点を、約760mmHgで約105℃未満に低下させる。当業者であれば、温度と圧力が反比例して変化することが分かる。システムの圧力が760mmHgから変化するにつれて、比較され得る温度値も変化する。89℃〜110℃/760mmHgと同等の比較され得る温度/圧力値は、使用されることができ、また本発明において意図される。
【0024】
望ましくは、エチルベンゼン1モルに対する再循環二酸化炭素の範囲は、約0.5〜5モルである。より望ましくは、エチルベンゼン1モルに対する再循環二酸化炭素の範囲は、約1〜2モルである。最も望ましくは、エチルベンゼン1モルに対する再循環二酸化炭素の範囲は、約1.5モルである。
【0025】
別の実施形態において、追加の再循環ガス(24)は、エチルベンゼン1モルあたり約2.0モルの二酸化炭素を含み、例えば第2段階酸化装置又は同等物からの下流で回収されることとしてもよい。結合された追加の再循環ガス(24)と気化されたエチルベンゼン/再循環ガス(22)とは、望ましくは、必要とされる二酸化炭素/エチルベンゼンのモル比約3.5で酸化脱水素に結合される。
【0026】
別の実施形態において、再循環ガスヒータとエチルベンゼン気化器との間で再循環ガスを分流することから、より良好な熱回収のために、再循環ガスヒータと追加のエチルベンゼン供給流ヒータとの間で反応装置の流出物を分流することが望ましい。反応装置の流出物は、2つのヒータの間で、エチルベンゼン供給流気化器と再循環ガスヒータとの間での再循環ガスの分流に比例して分流されるようにしてもよい。
【0027】
スチレンモノマーへのエチルベンゼンの酸化脱水素は、触媒の存在下で行われることができる。二酸化炭素は、従来型のスチレンモノマープロセスの触媒との反応を抑制する可能性がある。触媒の選択肢は、その分野において知られる、二酸化炭素/一酸化炭素耐性エチルベンゼン酸化脱水素触媒とされることができる。望ましくは、触媒は、バナジウム及び鉄触媒、プラチナを含有する触媒、又は担持酸化鉄触媒から成る群から選択される。
【0028】
数々の変化又は変更が本発明の範囲から逸脱することなく上述のプロセスになされることができるということを、当業者は分かるであろう。従って、望ましい実施形態の上述の説明及び以下の実施例は、限定的な意味よりはむしろ、本発明を例示的に説明するように意図されている。
【0029】
出願人は、特に、全引用文献の全内容を本開示に取り込む。更に、量、濃度、又は他の値又はパラメータが、ある範囲、望ましい範囲、又は望ましい上方値及び望ましい下方値のリストとして与えられる場合、これは、範囲が別々に開示されるかどうかに関わらず、任意の上方の範囲限界又は望ましい値と任意の下方の範囲限界又は望ましい値との対から形成される全ての範囲を具体的に開示しているものとして理解されるべきである。数値範囲が本明細書に列挙される場合、特に明記しない限り、その範囲は、その終点と、その範囲内の全ての整数及び分数と、を含むように意図されている。ある範囲を定めるときに、本発明の範囲が列挙された特定の値に限定されることは意図されていない。
【実施例】
【0030】
実施例1:本発明の使用により、エチルベンゼンの1モルに対して約0.5モルの再循環ガス(二酸化炭素)を気化器に注入することによって、760mmHgの典型的な反応系圧力での沸点は、122℃に制御されることが可能である。比較すると、純粋なエチルベンゼンの沸点は136℃である。
【0031】
実施例2:本発明の使用により、エチルベンゼンの1モルに対して約1.5モルの再循環ガス(二酸化炭素)を気化器に注入することによって、760mmHgの典型的な反応系圧力での沸点は、105℃に制御されることが可能である。比較すると、純粋なエチルベンゼンの沸点は136℃である。
【0032】
実施例3:本発明の使用により、エチルベンゼンの1モルに対して約2.5モルの再循環ガス(二酸化炭素)を気化器に注入することによって、760mmHgの典型的な反応系圧力での沸点は、95℃に制御されることが可能である。比較すると、純粋なエチルベンゼンの沸点は136℃である。
【0033】
実施例4:本発明の使用により、エチルベンゼンの1モルに対して約3.5モルの再循環ガス(二酸化炭素)を気化器に注入することによって、760mmHgの典型的な反応系圧力での沸点は、88℃に制御されることが可能である。比較すると、純粋なエチルベンゼンの沸点は136℃である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチルベンゼンからスチレンモノマーを製造するためのプロセスであって、
液状エチルベンゼンをガス状エチルベンゼンに変化させることが可能である、ガス状エチルベンゼンを含む塔頂生成物を生成する気化器ユニットに、液状エチルベンゼン原料を供給する工程と、
エチルベンゼンの前記沸点を少なくとも5℃低下させるに十分な量の再循環ガスを含むガス状混合物を、前記気化器ユニットに供給する工程と、
前記気化器を加熱することによって、液状エチルベンゼンを前記気化器の塔頂生成物において回収されるガス状エチルベンゼンに変化させる工程と、
前記気化された塔頂生成物の中の前記エチルベンゼンを触媒的に脱水素又は酸化脱水素することによってスチレンモノマーを触媒的に生成する工程と、
を含むプロセス。
【請求項2】
前記再循環ガスは二酸化炭素を含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記再循環ガスは約90体積%の二酸化炭素を含む、請求項2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記ガス状混合物は、一酸化炭素、水素、メタン、アルゴン、窒素、及び微量の芳香族及び脂肪族の炭化水素を更に含む、請求項2に記載のプロセス。
【請求項5】
前記ガス状混合物は、エチルベンゼンの前記沸点を約760mmHgで約105℃未満に低下させるに十分な量の再循環二酸化炭素を含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項6】
前記ガス状混合物は、エチルベンゼンの前記沸点を約760mmHgで約95℃未満に低下させるに十分な量の再循環二酸化炭素を含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項7】
エチルベンゼンからスチレンモノマーを製造するためのプロセスであって、
液状エチルベンゼンをガス状エチルベンゼンに変化させることが可能である、ガス状エチルベンゼンを含む塔頂生成物を生成する気化器ユニットに、液状エチルベンゼン原料を供給する工程と、
エチルベンゼンの1モルに対して約2〜5モルの再循環二酸化炭素を含むガス状混合物を、前記気化器ユニットに供給する工程と、
前記気化器を加熱することによって、液状エチルベンゼンを前記気化器の塔頂生成物において回収されるガス状エチルベンゼンに変化させる工程と、
前記気化された塔頂生成物の中の前記エチルベンゼンを触媒的に脱水素又は酸化脱水素することによってスチレンモノマーを触媒的に生成する工程と、
を含むプロセス。
【請求項8】
前記ガス状混合物は、エチルベンゼンの1モルに対して約1〜2モルの再循環二酸化炭素を含む、請求項7に記載のプロセス。
【請求項9】
前記ガス状混合物は、エチルベンゼンの1モルに対して約1.5モルの再循環二酸化炭素を含む、請求項7に記載のプロセス。
【請求項10】
前記混合物は、一酸化炭素、水素、メタン、アルゴン、窒素、及び微量の芳香族及び脂肪族の炭化水素を更に含む、請求項7に記載のプロセス。

【図1】
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【公表番号】特表2011−524370(P2011−524370A)
【公表日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−513729(P2011−513729)
【出願日】平成21年6月12日(2009.6.12)
【国際出願番号】PCT/US2009/047214
【国際公開番号】WO2009/152438
【国際公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願人】(509317874)ラムス テクノロジー インコーポレイテッド (6)
【氏名又は名称原語表記】LUMMUS TECHNOLOGY INC.
【住所又は居所原語表記】1515 Broad Street,Bloomfield,NJ 07003−3096(US).
【Fターム(参考)】