説明

エネルギー自給スイッチを使用する通知システム

例示の通知システムは、電源と、当該電源と選択的に電気通信を行う通知装置とを含む。通知装置は、当該通知装置が電源と電気的に接続された場合に建物管理ロケーションへ通知を与える。電源と通知装置との間には受信機が電気的に接続される。受信機は、ワイヤレス通信に応答して通知装置を電源に選択的に電気接続するべく動作可能である。スイッチは、エネルギー自給部から電力が供給されるワイヤレス送信部を含む。ワイヤレス送信部は、スイッチの作動に応答して受信機へワイヤレス通信を伝える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は通知システムに関し、詳しくはエネルギー自給スイッチを使用する通知システムに関する。
【0002】
関連出願の相互参照
本願は、2007年8月5日出願の米国仮特許出願第60/954007号の優先権を主張する。これは、本明細書に参照として組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
ワイヤレス通信を送るスイッチが周知である。例えば、ワイヤレス通信をガレージドア開閉器へ送信するスイッチがある。多くのスイッチが、バッテリのような交換可能な内部電源を使用してワイヤレス通信の送信に電力を供給する。かかる内部電源の保守を行うことは手間及びコストがかかる。例えば、壁取付けライトスイッチ内のバッテリにアクセスすることは困難であり、かつ時間がかかる場合が多い。交換可能な内部電源ではなく、ワイヤレス通信送信に電力を供給するためのエネルギーを回収するスイッチもある。
【0004】
通知システムを使用する建物もある。当該通知システムは、建物管理ロケーションへ当該建物の様々な部屋の中のアクティビティに注意するよう警告する。上述の通知システムは、有線スイッチ及びバッテリ動作スイッチを含む。双方とも高価であり、かつ融通がきかないことが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2003/016089(A1)号明細書
【特許文献2】国際公開第03/005388(A)号パンフレット
【特許文献3】欧州特許出願公開第0656612(A)号明細書
【発明の概要】
【0006】
例示の通知システムは、電源と、当該電源と選択的に電気通信を行う通知装置とを含む。通知装置は、当該通知装置が電源と電気的に接続された場合に建物管理ロケーションへ通知を与える。電源と通知装置との間には受信機が電気的に接続される。受信機は、ワイヤレス通信に応答して通知装置を電源に選択的に電気接続するべく動作可能である。スイッチは、エネルギー自給部から電力が供給されるワイヤレス送信部を含む。ワイヤレス送信部は、スイッチの作動に応答して受信機へワイヤレス通信を伝える。
【0007】
他の一例では、通知システムは、電源と、当該電源と選択的に電気通信を行う通知装置とを含む。通知装置は、電源と電気的に接続された場合に第1室内への通知を開始するべく動作可能である。電源と通知装置との間には受信機が電気的に接続される。受信機は、通知装置を電源に選択的に電気接続するべく動作可能である。これにより、通知が開始される。スイッチは第2室内に配置され、エネルギー自給部から電力を供給されるワイヤレス送信部を有する。ワイヤレス送信部は、エネルギー自給部からの電力に応答して受信機へワイヤレス通信を伝える。
【0008】
例示の通知方法は、スイッチのエネルギー自給部から与えられる電力を使用してワイヤレス通信を伝えることと、当該伝えられたワイヤレス通信に応答して建物管理ロケーションへ通知を与えることとを含む。
【0009】
本願発明のこれら及びその他の特徴が以下の明細書及び図面から最もよく理解することができる。図面の簡単な説明は以下のとおりである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】例示の通知システムを概略的に示す。
【図2】例示の建物内に実装された図1の通知システムを示す。
【図3】他例の建物内に実装された図1の通知システムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1を参照すると、例示の通知システム10は、受信機18とワイヤレス通信を行うスイッチ14を含む。電源22が、第1通知ライト26a、第2通知ライト26b、及び第3通知ライト26cに電力を供給するべく動作可能である。第1通知ライト26a、第2通知ライト26b、及び第3通知ライト26cはそれぞれが通知装置の例である。受信機18は、スイッチ14からのワイヤレス通信30に応答して電源22を通知ライト26a−26cの1つ以上に選択的に接続する。
【0012】
この例では、スイッチ14はエネルギー自給式であり、ワイヤレス送信部34及びエネルギー自給部38を含む。エネルギー自給部38は、ワイヤレス送信部34に電力を与える。ワイヤレス送信部34は、ワイヤレス通信30を送る。ワイヤレス通信30を送るのに適した一例のスイッチ14は、EnOcean(登録商標)から製品番号PTM250として入手可能である。
【0013】
例示のスイッチ14はロッカータイプスイッチである。すなわち、スイッチ14は、当該スイッチ14の一部をスイッチハウジング42内で揺動させることにより作動する。他例のスイッチ14は、ユーザの手の存在により作動する運動センサが組み入れられる。他例は、プッシュボタンタイプスイッチを含む。
【0014】
一例では、スイッチ14の一部の作動により、当該スイッチ14のエネルギー自給部38にエネルギーが供給される。他例では、エネルギー自給部38は、光起電力電池、圧電装置等によりエネルギーが供給される。したがって、例示のスイッチ14は、ワイヤレス通信30に電力を供給する内部電源に依存することがない代わりに、外部エネルギー源を回収してワイヤレス通信30に電力を供給する。
【0015】
受信機18が多チャンネル受信機として示されるが、受信機18は単チャンネル受信機であってもよい。他例は、これよりも多い又は少ない通知ライト26a−26cに接続された受信機18を含む。通知ライト26a−26cとして記載されているが、他例の通知システム10は、音楽又はコンピュータ表示の更新のような他の形態の通知を使用する。
【0016】
他例の通知システム10はまた、1つ以上の受信機18を使用する。さらに、この例では受信機18の位置が固定されているが、他例の受信機は携帯可能である。例えば、他例の受信機18はUSB部分を含み、ひとたび当該USB部分がコンピュータにつながった場合にワイヤレス通信を受信するべく動作可能である(図示せず)。かかる例では、受信機18を移動させて複数のエリアでワイヤレス通信を受信することが容易となる。通知システム10との使用に適した一例の受信機18は、EnOceanから製品番号No.RCM130Cとして入手可能である。この例の受信機は電波動作であり、通知システム10内に組み込まれるべく構成される。
【0017】
例示の受信機18はプログラム可能コントローラ46を含む。プログラム可能コントローラ46は、電源22と各通知ライト26a−26cとの接続、電源22から通知ライト26a−26cへ供給される電力レベル、又はその双方を制御することにより、通知ライト26a−26cの照明レベルを制御する。通知ライト26a−26cの1つを点灯することにより通知が与えられる。本開示により利益を享受する当業者であれば、通知ライト26a−26cを使用して通知を与えるのに適したコントローラを開発することができる。プログラム可能コントローラ46のいくつかの例には、マイクロプロセッサ、ラップトップコンピュータ等が含まれる。
【0018】
この例では、スイッチ14は部屋50a内に配置され、他の部屋50c内に位置する建物管理ロケーション54へワイヤレス通信を送るべく動作可能である。例示のスイッチ14は、有線又はバッテリ動作の電源に依存しない。このため、スイッチ14を部屋50aと他の部屋50bとの間で移動すること、及び双方においてワイヤレス通信可能性を維持することが容易となる。
【0019】
ここで図1への参照を続けながら図2を参照すると、基本通知システム10のためのアプリケーションの一例は、建物58内に実装された通知システム110である。本開示では、同じ参照番号は適宜同じ要素を示すこととする。また、100又は100の倍数を付加した参照番号は修正要素を示すこととする。修正要素は、特に言及がある場合を除き、対応する元の要素と同じ特徴及び利点を含む。
【0020】
この例では、建物58は、複数の部屋150a−150eを有する多層ホテルである。部屋150a−150dのいくつかが、建物管理ロケーション154a、154bを含む。この例では、管理ロケーション154aは、ロビー又は受付エリアである。管理ロケーション154bはキッチンである。なお、建物管理ロケーション154a、154bは、建物58内の複数の部屋150a−150eを管理する。多くのタイプの建物(例えば、アパート、寮、図書館等)が建物管理ロケーション154a、154bを含む。他例の建物管理ロケーションは、コンシェルジュステーション、パーキングステーション、ラゲッジキャリアステーション等を含む。
【0021】
この例では1つの建物として記載しているが、本開示はまた、建物管理ロケーション154a、154bにより管理を受ける関連する複数の建物のグループに適用される。例えば、離れた分譲マンション(図示せず)のデベロップメントが、建物管理ロケーション154a、154bによる管理を受けてよい。建物保守部門が、かかる使用に適した建物管理ロケーション154a、154bの1つのタイプである。
【0022】
通知システム110はスイッチ114a、114bを含む。スイッチ114a、114bのそれぞれは、部屋150a−150eの対応する1つの中に配置される。スイッチ114aは、当該スイッチ114aが作動すると、ワイヤレス通信130aを受信機118aに送る。スイッチ114bは、当該スイッチ114bが作動すると、ワイヤレス通信130bを受信機118aに伝える。この例では、受信機118aは、建物管理ロケーション154aの近くに配置される。他例では、第2の受信機が、スイッチ114aと電気通信を行う部屋150aの1つの中に取り付けられる。第2の受信機は、スイッチ114aが作動する場合にワイヤレス通信130aを受信機118aに送るトランシーバを含む。
【0023】
ワイヤレス通信130a、130bを受信すると、受信機118aはライト126a、126bを電源22に選択的に接続する。点灯するライト126a、126bは、ワイヤレス通信130a、130bの受信した1つに対応する。ライト126cは、作動していないことにより受信機118aとワイヤレス通信を行っていないスイッチ114cを有する部屋150eに対応する。部屋150aのスイッチ114aを作動させることによりライト126aが点灯する。部屋150bのスイッチ114bを作動させることによりライト126bが点灯する。ライト126a、126bは、管理ロケーション154aの従業員62aに通知するべく、スイッチ114a、114bが作動された特定の部屋150a、150bというラベルが付けられる。そして、従業員120は、部屋150a又は部屋150bの中の客66a、66bに適切に対応することができる。他例では、受信機118aが、コンピュータモニタ64上の表示を開始する。例えば、部屋150aの中の客66aが助けを必要としているということが表示される。
【0024】
一例では、客66aがスイッチ114aを作動させて、部屋にタオルを届けてもらうよう依頼する。他例は、スイッチ114aを作動させて客66aが部屋150aをチェックアウトしつつあることを示すことを含む。さらに他の例では、部屋150aの中のスイッチ114aの1つ以上が使用されて、それぞれが客66aの特定の依頼を示す。
【0025】
スイッチ114aはまた、ワイヤレス通信130cを介して、建物58の他のエリアへワイヤレス通信を送ることもできる。一例では、客66aがスイッチ114aを第1の態様で作動させてワイヤレス通信130aを送り、スイッチ114aを第2の態様で作動させてワイヤレス通信130cを送る。例えば、客66aがスイッチ114aを1回作動させるとワイヤレス通信130aが送られ、スイッチ114aを2回作動させるとワイヤレス通信130cが送られる。こうすることで、スイッチ114aは、ワイヤレス通信130aとワイヤレス通信130とを送るべく動作可能である。これにより、スイッチ114aは、建物管理ロケーション154aと建物管理ロケーション154dとの双方と通信することができる。
【0026】
建物58の中の第2の受信機118bは、第2のワイヤレス通信130cを受信するべく動作可能である。この例では、第2の受信機118bは、キッチンすなわち他のタイプの建物管理ロケーション154bの近くに配置される。この例では、第2のワイヤレス通信130bの受信により、ライト126dが起動する。これにより、キッチンの従業員70は部屋150aの中の客66aにルームサービスをするべき信号として認識する。
【0027】
ここで図1への参照を続けながら図3を参照すると、他例の建物258は、複数の画定エリアすなわち部屋250a−250eを含む病院である。部屋250b−250dは、建物管理ロケーション254b−254dを含む。建物管理ロケーション254b−254dはそれぞれ、部屋250a−250eの各1つの中の複数のスイッチ214a、214eからワイヤレス通信230a、230eを受信する受信機218b−218dを含む。
【0028】
一例では、部屋250aの中の患者74がスイッチ214aを作動させて、この例ではナースステーションである建物管理ロケーション254bに通知を行う。患者74は、何かをこぼしたこと又は患者74が助けを必要としていることのような部屋250a内の状況を建物管理ロケーション254b近くの看護師78又は他の医療従事者に通知する。
【0029】
他例では、医療従事者82がスイッチ214eを作動させて、ライト226cを点灯させ楽音94を鳴らす。これらは双方とも、建物258に入った患者90が早急な外科処置を必要としていることを外科助手86に知らせるための通知のタイプである。外科助手86及び受信機218cは外科ステーション、他のタイプの建物管理ロケーション254cの近くに配置される。
【0030】
一例では、受信機218cは、壁コンセントを受け入れるべく構成された壁空洞98内に受け入れられる。かかる設計により、既存かつ通常の壁コンセントを使用して受信機218cを建物258内に設置することが容易となる。
【0031】
本開示の特徴は、エネルギー自給スイッチを使用して複数の部屋と建物管理ロケーションとの通信を行うことを含む。本開示の他の特徴は、ワイヤレススイッチ及び受信機が建物内で移動しつつワイヤレス通信能力を維持することができることにある。
【0032】
本発明の好ましい実施例が開示されたが、当業者であれば、所定の修正が本発明の範囲内に収まることがわかる。したがって、本発明の真の範囲及び内容を決定するべく以下の特許請求の範囲を精査する必要がある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源と、
前記電源と選択的に電気通信する通知装置であって、前記電源と電気的に接続された場合に建物管理ロケーションに通知を与えるべく動作可能である通知装置と、
前記電源と前記通知装置との間に電気的に接続された受信機であって、ワイヤレス通信に応答して前記通知装置を前記電源に選択的に電気接続するべく動作可能である受信機と、
エネルギー自給部により電力が供給されるワイヤレス送信部を有するスイッチと
を含み、
前記ワイヤレス送信部は、前記スイッチの作動に応答して前記ワイヤレス通信を前記受信機に伝える通知システム。
【請求項2】
前記通知は、建物管理ロケーションから離れた部屋の中の状況を表す、請求項1に記載の通知システム。
【請求項3】
病院の建物が前記建物管理ロケーションを含む、請求項1に記載の通知システム。
【請求項4】
前記スイッチは、前記病院の建物の病室内に配置される、請求項3に記載の通知システム。
【請求項5】
ホテルが前記建物管理ロケーションを含む、請求項1に記載の通知システム。
【請求項6】
前記スイッチは前記ホテルの客室に配置される、請求項5に記載の通知システム。
【請求項7】
前記通知装置はライトである、請求項1に記載の通知システム。
【請求項8】
前記通知装置は、聴覚通知を鳴らすべく動作可能である、請求項1に記載の通知システム。
【請求項9】
前記建物管理ロケーションは、病院内のステーション又はホテル内のロビーの少なくとも1つである、請求項1に記載の通知システム。
【請求項10】
電源と、
前記電源と選択的に電気通信する通知装置であって、前記電源と電気的に接続された場合に第1室内の通知を開始するべく動作可能である通知装置と、
前記電源と前記通知装置との間に電気的に接続された受信機であって、前記通知装置を前記電源に選択的に電気接続して前記通知を開始するべく動作可能である受信機と、
エネルギー自給部から電力の供給を受けるワイヤレス送信部を有して第2室内に配置されたスイッチと
を含み、
前記ワイヤレス送信部は、前記エネルギー自給部からの電力供給に応答して前記ワイヤレス通信を前記受信機へ伝える通知システム。
【請求項11】
前記第1室は建物管理ロケーションを含む、請求項10に記載の通知システム。
【請求項12】
前記通知はコンピュータモニタ上の表示を含む、請求項10に記載の通知システム。
【請求項13】
前記通知は少なくとも1つの聴覚音を含む、請求項10に記載の通知システム。
【請求項14】
前記受信機は前記第1室内に配置される、請求項10に記載の通知システム。
【請求項15】
前記スイッチの作動を通知装置に関連付けるべくプログラム可能なコントローラを含む、請求項10に記載の通知システム。
【請求項16】
前記受信機は前記コントローラを含む、請求項15に記載の通知システム。
【請求項17】
スイッチのエネルギー自給部から供給される電力を使用してワイヤレス通信を送ることと、
前記送られたワイヤレス通信に応答して建物管理ロケーションへ通知を与えることと
を含む通知方法。
【請求項18】
スイッチを作動させて前記スイッチの前記エネルギー自給部に電力を供給する請求項17に記載の通知方法。
【請求項19】
前記スイッチを1回作動させて前記ワイヤレス通信を伝えることと、
前記スイッチを2回作動させて異なるワイヤレス通信を伝えることと
を含む、請求項17に記載の通知方法。
【請求項20】
前記スイッチを第1の態様で作動させて前記ワイヤレス通信を伝えることと、
前記スイッチを第2の態様で作動させて異なるワイヤレス通信を伝えることと
を含む、請求項17に記載の通知方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2010−536247(P2010−536247A)
【公表日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−520089(P2010−520089)
【出願日】平成20年7月25日(2008.7.25)
【国際出願番号】PCT/US2008/071120
【国際公開番号】WO2009/020775
【国際公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【出願人】(503322205)マスコ コーポレイション (8)
【Fターム(参考)】