説明

エポキシ樹脂組成物

【課題】低温(−20℃程度)から常温のみならず、高温(80℃程度)においても、接着性能および柔軟性に優れ、構造用接着剤として好ましく用いることができるエポキシ樹脂組成物。
【解決手段】エポキシ樹脂(A)と、コアシェル型ゴム粒子(B)とを含有するエポキシ樹脂組成物であって、該エポキシ樹脂(A)がウレタン変性エポキシ樹脂および/またはゴム変性エポキシ樹脂を含み、該コアシェル型ゴム粒子(B)がコア層、中間層およびシェル層の少なくとも3層を有する構造を備え、および該コアシェル型ゴム粒子(B)の表面がエポキシ基および/またはエポキシ基と反応する官能基で修飾されているエポキシ樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエポキシ樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のルーフレール、各種ビラー等の部位においては、車体剛性や強度の確保等を目的として、スポット溶接と接着剤を併用した工法(ウェルドボンド工法)を採用することが一般的である。
ルーフレール、各種ビラー等の部位は、自動車の走行時において80℃程度の高温となる場合があるため、ウェルドボンド工法に用いる構造用接着剤は、−20℃程度の低温から80℃程度の高温の下で、鋼板に対する高い接着強度を有することが望まれる。また、接着強度が高ければ、スポット溶接におけるスポット数を減らすことができる。
【0003】
一方、自動車のフード、ドア、トランクリッド等の開きもの(蓋もの)と呼ばれる部品は、基本的に外板(アウターパネル)と内板(インナーパネル)とから構成されており、その端部はほぼ全周にわたって「ヘミング」と呼ばれるかしめ構造を採用することが一般的である。
ヘミング部は、自動車の走行時において80℃程度の高温となる場合があるため、およびヘミング部の接着部位に負荷がかかった場合には応力が分散されず一点に集中しやすいため、ヘミング部の接着に用いる構造用接着剤は、−20℃程度の低温から80℃程度の高温の下で、十分な接着強度および柔軟性を有することが望まれる。
【0004】
このように、構造用接着剤は、接着部位によっては、低温のみならず高温での十分な接着強度および柔軟性が要求される。
【0005】
このような接着剤に関連するものとして、例えば特許文献1に記載のものが挙げられる。
【0006】
特許文献1は、エポキシ樹脂(A)中にコアシェルポリマー(B)が一次粒子の状態で分散しているエポキシ樹脂組成物(C)が記載されている。
そして、エポキシ樹脂組成物(C)を硬化剤(D)により硬化させて得られる硬化物を含有するゴム強化エポキシ樹脂製品は、従来のゴム強化エポキシ樹脂を使用したエポキシ樹脂製品と比較して優れた破壊靱性、耐クラック性、剛性、耐熱性、ヒートショック性、接着性、耐疲労性を示すことができると記載されている。また、コアシェルポリマー(B)は、エラストマーまたはゴム状のポリマーを主成分とするポリマーからなるコア部(B−1)と、これにグラフト重合されたポリマー成分からなるシェル層(B−2)より構成されるポリマーであることが好ましい旨が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−255822号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載されたエポキシ樹脂組成物の接着剤は、80℃程度の高温においては十分な接着性能を得ることができない。
【0009】
そこで、本発明は、低温(−20℃程度)から常温のみならず、高温(80℃程度)においても、接着性能および柔軟性に優れ、構造用接着剤として好ましく用いることができるエポキシ樹脂組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、鋭意検討した結果、次に示す(1)〜(4)に係る発明によって前記課題を解決できることを知得した。
[1] エポキシ樹脂(A)と、コアシェル型ゴム粒子(B)とを含有するエポキシ樹脂組成物であって、該エポキシ樹脂(A)がウレタン変性エポキシ樹脂および/またはゴム変性エポキシ樹脂を含み、該コアシェル型ゴム粒子(B)がコア層、中間層およびシェル層の少なくとも3層を有する構造を備え、該コアシェル型ゴム粒子(B)の表面がエポキシ基および/またはエポキシ基と反応する官能基で修飾されているエポキシ樹脂組成物。
[2] さらに硬化剤(C)を含む[1]に記載のエポキシ樹脂組成物。
[3] 前記エポキシ樹脂(A)の5〜70質量%がウレタン変性エポキシ樹脂および/またはゴム変性エポキシ樹脂である、[1]または[2]に記載のエポキシ樹脂組成物。
[4] 前記エポキシ基と反応する官能基がカルボキシル基および/またはグリシジル基である、[1]〜[3]のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
[5] 前記エポキシ樹脂(A)と反応する官能基がカルボキシル基およびグリシジル基である、[1]〜[3]のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
[6] 前記エポキシ樹脂(A)と反応する官能基がカルボキシル基である、[1]〜[3]のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
[7] 前記エポキシ樹脂(A)と反応する官能基がグリシジル基である、[1]〜[3]のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
[8] 前記シェル層のガラス転移温度が50℃以上である、[1]〜[7]のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
[9] 前記エポキシ樹脂組成物(A)を100質量部に対して、前記コアシェル型ゴム粒子(B)を10〜100質量部を含む、[1]〜[8]のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
[10] 前記コアシェル型ゴム粒子(B)の1次粒子径の平均が50nm〜500nmである、[1]〜[9]に記載のエポキシ樹脂組成物。
[11] 構造用接着剤である、[1]〜[10]のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
[12] [1]〜[11]のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物を含む構造用接着剤。
[13] [12]に記載の構造用接着剤を使用して接着された部材を使用する自動車。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、低温(−20℃程度)から常温(25℃程度)においてのみならず、高温(80℃程度)においても接着性能および柔軟性に優れるエポキシ樹脂組成物を提供することができる。そして、本発明の組成物は構造用接着剤として好ましく用いることができる。ここで「構造用接着剤」とは、「長時間大きな荷重がかかっても接着特性の低下が少なく、信頼性の高い接着剤」(JIS K 6800:2006)である。例えば、自動車や車両(新幹線、電車)、土木、建築、エレクトロニクス、航空機、宇宙産業分野の構造部材の接着として用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、エポキシ樹脂(A)と、コアシェル型ゴム粒子(B)とを含有するエポキシ樹脂組成物であって、該エポキシ樹脂(A)がウレタン変性エポキシ樹脂および/またはゴム変性エポキシ樹脂を含み、該コアシェル型ゴム粒子(B)がコア層、中間層およびシェル層の少なくとも3層を有する構造を備え、および該コアシェル型ゴム粒子(B)の表面がエポキシ基および/またはエポキシ基と反応する官能基で修飾されているエポキシ樹脂組成物である。
本明細書においては、このようなエポキシ樹脂組成物を単に「本発明の組成物」やより簡略に「組成物」という場合がある。
以下、本発明について詳細に説明する。
【0013】
1.エポキシ樹脂(A)
本発明の組成物に含有されるエポキシ樹脂(A)は、エポキシ基を2個以上有する化合物であれば特に制限されない。
エポキシ樹脂(A)としては、例えば、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、臭素化ビスフェノールA型、水添ビスフェノールA型、ビスフェノールS型、ビスフェノールAF型、ビフェニル型のようなビスフェニル基を有するエポキシ化合物、ポリアルキレングリコール型、アルキレングリコール型のエポキシ化合物、ナフタレン環を有するエポキシ化合物、フルオレン基を有するエポキシ化合物等の二官能型のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;フェノールノボラック型、オルソクレゾールノボラック型、トリスヒドロキシフェニルメタン型、テトラフェニロールエタン型のような多官能型のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;ダイマー酸のような合成脂肪酸のグリシジルエステル型エポキシ樹脂;N,N,N´,N´−テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン(TGDDM)、テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン、トリグリシジル−p−アミノフェノール、N,N−ジグリシジルアニリンのようなグリシジルアミノ基を有する芳香族エポキシ樹脂;トリシクロデカン環を有するエポキシ化合物(例えば、ジシクロペンタジエンとm−クレゾールのようなクレゾール類またはフェノール類を重合させた後、エピクロルヒドリンを反応させる製造方法によって得られるエポキシ化合物)等に例示されるエポキシ樹脂を単独でまたは組み合わせて使用することができる。
【0014】
エポキシ樹脂(A)としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂および/またはビスフェノールF型エポキシ樹脂と、ウレタン変性エポキシ樹脂と、ゴム変性エポキシ樹脂とを組み合わせて使用することが好ましい。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂および/またはビスフェノールF型エポキシ樹脂と、ウレタン変性エポキシ樹脂および/またはゴム変性エポキシ樹脂とを組み合わせて使用する場合には、エポキシ樹脂(A)中、ウレタン変性エポキシ樹脂および/またはゴム変性エポキシ樹脂が5〜70質量%であることが好ましく、10〜50質量%であることがより好ましい。
【0015】
(1.1)ビスフェノールA型エポキシ樹脂
ビスフェノールA型エポキシ樹脂は、エポキシ当量180〜300g/eqの範囲内であるものが好ましい。なお、エポキシ当量は1グラム当量のエポキシ基を含む樹脂のグラム数を意味する(単位:g/eq)。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、具体的には、例えば、jER827(エポキシ当量=180〜190)、jER828(エポキシ当量=184〜194)、jER828EL(エポキシ当量=184〜194)、jER828XA(エポキシ当量=197〜215)、jER834(エポキシ当量=230〜270)(以上、ジャパンエポキシレジン社製)、エピクロン840(エポキシ当量=180〜190)、エピクロン840−S(エポキシ当量=180〜190)、エピクロン850(エポキシ当量=183〜193)、エピクロン850−S(エポキシ当量=183〜193)、エピクロン850−LC(エポキシ当量=180〜190)(以上、DIC社製)、アデカレジンEP−4100シリーズ(ADEKA社製)等を使用することができる。
【0016】
(1.2)ビスフェノールF型エポキシ樹脂
ビスフェノールF型エポキシ樹脂は、エポキシ当量150〜200g/eqの範囲内であるものが好ましい。
ビスフェノールF型エポキシ樹脂としては、具体的には、例えば、jER806(エポキシ当量=160〜170)、jER806L(エポキシ当量=180〜190)、jER807(エポキシ当量=160〜175)(以上、ジャパンエポキシレジン社製)、エピクロン830(エポキシ当量=165〜177)、エピクロン830−S(エポキシ当量=165〜177)、エピクロン835(エポキシ当量=165〜180)、エピクロンEXA−830CRP(エポキシ当量=155〜163)、エピクロンEXA−830LVP(エポキシ当量=157〜165)、エピクロンEXA−835LV(エポキシ当量=160〜170)(以上DIC社製)、アデカレジンEP−4900シリーズ(ADEKA社製)等を使用することができる。
【0017】
(1.3)ウレタン変性エポキシ樹脂
エポキシ樹脂(A)中にウレタン変性エポキシ樹脂を含有する場合、ウレタン変性エポキシ樹脂は、分子中にウレタン結合と2個以上のエポキシ基とを有するものであれば特に限定されず、1種類または2種類以上を組み合わせて使用することができる。
上記ウレタン変性エポキシ樹脂は、エポキシ当量が200〜250g/eqの範囲内であるのが好ましい。
【0018】
ウレタン変性エポキシ樹脂としては、例えば、ポリヒドロキシ化合物(x)とポリイソシアネート化合物(x)とを反応させて得られるイソシアネート基を有するウレタン結合含有化合物(X)と、ヒドロキシ基含有エポキシ化合物(Y)とを反応させて得られるものを好ましく使用することができる。
【0019】
ポリヒドロキシ化合物(x)としては、例えば、ポリプロピレングリコールのようなポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ヒドロキシカルボン酸とアルキレンオキシドの付加物、ポリブタジエンポリオール、ポリオレフィンポリオール等が挙げられる。ポリヒドロキシ化合物(x)の分子量は、柔軟性と硬化性のバランスに優れる点から、質量平均分子量として300〜5000、特に500〜2000の範囲のものを用いることが好ましい。
【0020】
ポリイソシアネート化合物(x)は、イソシアネート基を2個以上有する化合物であれば特に制限されない。例えば、脂肪族ポリマーイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート、芳香族炭化水素基を有するポリイソシアネート基が挙げられる。なかでも、芳香族ポリイソシアネートが好ましい。芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネートが挙げられる。
【0021】
ウレタン結合含有化合物(X)と、ヒドロキシ基含有エポキシ化合物(Y)とを反応させると、末端に遊離のイソシアネート基を含有するウレタンプレポリマーが得られる。これに1分子中に少なくとも1個の水酸基を有するエポキシ樹脂(例えばビスフェノールAのジグリシジルエーテル、ビスフェノールFのジグリシジルエーテル、脂肪族多価アルコールのジグリシジルエーテルおよびグリシドールなど)を反応せしめることでウレタン変性エポキシ樹脂が得られる。
【0022】
ウレタン変性エポキシ樹脂はその製造について特に制限されない。例えば、多量のエポキシ(例えば、エポキシ樹脂)中でウレタンとエポキシとを反応させて製造することができる。ウレタン変性エポキシ樹脂を製造する際に使用されるエポキシは特に制限されない。例えば、従来公知のものが挙げられる。
なお、本発明において、ウレタン変性エポキシ樹脂のエポキシ当量およびその添加量は、製造時に用いる過剰のエポキシ樹脂を含んだウレタン変性エポキシ樹脂としての量を示すものとする。
【0023】
ウレタン変性エポキシ樹脂としては、具体的には、例えば、アデカレジンEPU-78−11、EPU−1395、EPU−17T−6、EPU−78−13S、EPU−6E、EPU−11N、EPU−15N、EPU−16AN、EPU−18BN(ADEKA社製)等を使用することができる。
【0024】
(1.4)ゴム変性エポキシ樹脂
エポキシ樹脂(A)中にゴム変性エポキシ樹脂を含有する場合、エポキシ基を2個以上有し、骨格がゴムであるエポキシ樹脂であれば特に制限されず使用することができる。骨格を形成するゴムとしては、例えば、ポリブタジエン、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、カルボキシル基末端NBR(CTBN)が挙げられる。ゴム変性エポキシ樹脂はそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
上記ゴム変性エポキシ樹脂は、エポキシ当量が200〜350g/eqの範囲内であるのが好ましい。
【0025】
ゴム変性エポキシ樹脂はその製造について特に制限されない。例えば、多量のエポキシ中でゴムとエポキシとを反応させて製造することができる。ゴム変性エポキシ樹脂を製造する際に使用されるエポキシ(例えば、エポキシ樹脂)は特に制限されない。例えば、従来公知のものが挙げられる。
なお、本発明において、ゴム変性エポキシ樹脂のエポキシ当量およびその添加量は製造時に用いる過剰のエポキシ樹脂が含まれるため“そのエポキシを含んだゴム変性エポキシ樹脂”としての量を示すものとする。
【0026】
ゴム変性エポキシ樹脂としては、具体的には、例えば、アデカレジンEPR-1309、EPR−4030、EPR−4023、EPR−1415−1、EPR−21(ADEKA社製)等を使用することができる。
【0027】
2.コアシェル型ゴム粒子(B)
本発明の組成物が含有するコアシェル型ゴム粒子(B)は、コア層、中間層およびシェル層の少なくとも3層を有する構造を備えるもので、ゴム弾性を示す架橋ゴム層(中間層)を、ゴム弾性を示さない架橋ポリマー(シェル層)で被覆した構造で、かつ架橋ゴム層の内側のコア層のガラス転移点が50℃以上の層であることが好ましい。
例えばコアシェル型ゴム粒子(B)が3層構造の略球形粒子である場合、中心にガラス転移点が50℃以上のコア層を有し、コア層を覆うようにガラス転移点が−30℃以下の中間層を有し、さらに中間層を覆うようにガラス転移点が50℃以上の最外殻にシェル層を有する。
コアシェル型ゴム粒子(B)は4層以上の構造を有していてもよい。例えば上記コア層の内部にガラス転移点が50℃以下の層を有する4層構造であってもよい。
次に、コアシェル型ゴム粒子(B)を構成する各層について説明する。
【0028】
(2.1)コア層
上記のようにコア層はコアシェル型ゴム粒子(B)の中心付近に存在する部分である。
コア層を形成する物質は特に限定されないが、ガラス転移点が50℃以上の物質であることが好ましい。この温度は50〜200℃であることがより好ましく、80〜200℃であることがさらに好ましい。より高温で接着力を備える本発明の組成物が得られるからである。
なお、ガラス転移点は、動的な粘弾性測定におけるtanδのピーク値の温度をいう。中間層およびシェル層におけるガラス転移点も同様とする。
【0029】
コア層はメチルメタクリレートおよび/またはスチレンのモノマーが重合してなるポリマー、またはこれらと共重合可能なモノマーとが共重合したポリマーからなることが好ましい。
メチルメタクリレートまたはスチレンと共重合可能なモノマーとして、エチルアクリレート、ブチルアクリレート等のアルキルアクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート等のアルキルメタクリレート、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル、芳香族ビニリデン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル、シアン化ビニリデン等のビニル重合性モノマーを挙げることができる。中でもエチルアクリレート又はアクリロニトリルが好ましい。また、エポキシ基、カルボキシル基、水酸基、アミノ基などの官能基を持ったモノマーを共重合させることができる。例えばエポキシ基を持つモノマーとしては、グリシジルメタクリレートが挙げられ、カルボキシル基を持つモノマーとしては、メタクリル酸、アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸が挙げられる。また、水酸基を持つモノマーとしては、2−ヒドロキシメタクリレート、2−ヒドロキシアクリレートが挙げられる。
【0030】
また、メチルメタクリレートまたはスチレンと共重合可能なモノマーとして、架橋性モノマーまたはグラフト用モノマーを10質量%以内用いることが好ましい。層間の結合が得られ、加熱時においても粒子が変形し難いからである。
【0031】
架橋性モノマーとしては、例えばジビニルベンゼン等の芳香族ジビニル化合物、ヘキサンジオールジアクリレート、ノルボルネンジメチロールジメタクリレート等のアルカンポリオールポリアクリレートなどを挙げることができる。グラフト用モノマーとしては、例えば、アリルメタクリレート等の不飽和カルボン酸アリルエステルなどを挙げることができる。
【0032】
(2.2)中間層
中間層は前記コア層の外側に存在する層である。
中間層を形成する物質は特に限定されないが、ガラス転移点が−30℃以下の物質であることが好ましい。この温度は−110〜−30℃であることがより好ましく、−110〜−40℃であることがさらに好ましい。低温での弾性率を下げ、剥離強度を上げることができるからである。
なお、コアシェル型ゴム粒子(B)が4層以上を有する構造であって、中間層が2層以上存する場合、中間層の少なくとも1層が、ガラス転移点が−30℃以下の物質からなることが好ましい。
【0033】
中間層は共役ジエンおよび/またはアルキル基の炭素数が2〜8であるアルキルアクリレートが重合してなるポリマー、またはこれらと共重合可能なモノマーとが共重合したポリマーからなることが好ましい。
共役ジエンとしてはブタジエン、イソプレン、クロロプレン等を挙げることができ、中でもブタジエンが好ましい。
アルキル基の炭素数が2〜8であるアルキルアクリレートとしては、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等を挙げることができ、中でもブチルアクリレートが好ましい。
【0034】
また、共役ジエンまたはアルキルアクリレートと共重合可能なモノマーとして、例えばスチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル、芳香族ビニリデン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル、シアン化ビニリデン、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート等のアルキルメタクリレート、ベンジルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ベンジルメタクリレート等の芳香族(メタ)アクリレートが挙げられる。また、エポキシ基、カルボキシル基、水酸基、アミノ基などの官能基を持ったモノマーを共重合させることができる。例えばエポキシ基を持つモノマーとしては、グリシジルメタクリレートが挙げられ、カルボキシル基を持つモノマーとしては、メタクリル酸、アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸が挙げられる。また、水酸基を持つモノマーとしては、2−ヒドロキシメタクリレート、2−ヒドロキシアクリレートが挙げられる。
【0035】
また、共役ジエンまたはアルキルアクリレートと共重合可能なモノマーとして、架橋性モノマーまたはグラフト用モノマーを少量用いることが好ましい。層間の結合が得られ、加熱時においても粒子が変形し難いからである。
具体的には、上記のコア層の形成に用いることができる架橋性モノマーまたはグラフト用モノマーを10質量%以内で用いることができる。
【0036】
(2.3)シェル層
上記のようにシェル層は中間層を覆う最外殻の層であり、コアシェル粒子の凝集を防ぐための層である。
シェル層は、その表面がエポキシ基および/またはエポキシ基と反応する官能基で修飾されていればよく、シェル層を構成する物質は特に限定されない。前記エポキシ基と反応する官能基とは、具体的には、例えば、アミノ基、水酸基、カルボキシル基等をいう。また、ガラス転移点が50℃以上の物質であることが好ましく、50〜200℃であることがより好ましく、80〜200℃であることがさらに好ましい。より高温下で十分な接着性能を得られるからである。
【0037】
コアシェル型ゴム粒子(B)は、1次粒子径の平均が50nm〜500nmであることが好ましく、50〜300nmであることがより好ましい。コアシェル粒子が凝集し難いので作業性が良好だからである。また、本発明の組成物の接着強度がより高まるからである。
なお、コアシェル粒子の1次粒子径の平均値はゼータ電位 粒度分布測定装置(ベックマン・コールター社)を用いて測定して得た値を意味するものとする。
【0038】
また、コアシェル型ゴム粒子(B)は、前記エポキシ樹脂(A)の100質量部に対して、10〜100質量部であることが好ましく、20〜100質量部であることがより好ましく、25〜80質量部であることがさらに好ましい。本発明の組成物の柔軟性がより高まり、接着剤としての強度もより十分になるからである。
【0039】
シェル層はメチルメタクリレートおよび/またはスチレンのモノマーが重合してなるポリマー、またはこれらと共重合可能なモノマーとが共重合したポリマーからなることが好ましい。
メチルメタクリレートまたはスチレンと共重合可能なモノマーとして、エチルアクリレート、ブチルアクリレート等のアルキルアクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート等のアルキルメタクリレート、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル、芳香族ビニリデン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル、シアン化ビニリデン等のビニル重合性モノマーを挙げることができる。中でもエチルアクリレート又はアクリロニトリルが好ましい。
また、エポキシ基、カルボキシル基、水酸基、アミノ基などの官能基を持ったモノマーを共重合させることが好ましい。例えばエポキシ基を持つモノマーとしては、グリシジルメタクリレートが挙げられ、カルボキシル基を持つモノマーとしては、メタクリル酸、アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸が挙げられる。また、水酸基を持つモノマーとしては、2−ヒドロキシメタクリレート、2−ヒドロキシアクリレートが挙げられる。
【0040】
また、メチルメタクリレートまたはスチレンと共重合可能なモノマーとして、架橋性モノマーまたはグラフト用モノマーを10質量%以内用いることが好ましい。層間の結合が得られ、加熱時においても粒子が変形し難いからである。
架橋性モノマーとしては、例えばジビニルベンゼン等の芳香族ジビニル化合物、ヘキサンジオールジアクリレート、ノルボルネンジメチロールジメタクリレート等のアルカンポリオールポリアクリレートなどを挙げることができる。グラフト用モノマーとしては、例えば、アリルメタクリレート等の不飽和カルボン酸アリルエステルなどを挙げることができる。
【0041】
また、シェル層を製造する際に使用されるモノマーがアクリロニトリルを含むのが好ましい。シェル層によってコアシェル粒子の凝集を防ぐことができる。また、シェル層を製造する際に使用されるモノマーが極性の高いアクリロニトリルを含むことによって、マトリックスであるエポキシ樹脂(A)との相溶性が高まり分散性が向上する。
また、シェル層を製造する際に使用されるモノマーがアクリロニトリルを含む場合、ポリマーがニトリル基を有することになるので、ニトリル基はエポキシ樹脂(A)が硬化して生成するヒドロキシ基と水素結合を形成することができる。また、ニトリル基は、被着体(例えば、鋼板)の界面に対し作用し接着性を高めることができる。
このように、ニトリル基が形成することができるエポキシ樹脂(A)との水素結合および/または被着体に対する作用によって、本発明の組成物は、低温から高温におけるより優れた接着性能およびより優れた柔軟性を有することができる。
【0042】
シェル層を製造する際に使用されるモノマーがアクリロニトリルを含む場合、アクリロニトリル以外にアクリロニトリルと共重合しうるモノマーとして、さらに芳香族ビニル単量体、アクリロニトリル以外の非芳香族系単量体を含むことができる。
芳香族ビニル単量体としては、例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、モノクロルスチレン、3,4−ジクロロスチレン、ブロモスチレン等が挙げられる。なかでも、低温から高温における接着性能および柔軟性により優れるという観点から、スチレンが好ましい。
【0043】
アクリロニトリルの量は、シェル層を製造する際に使用されるモノマーの全量中、好ましくは70質量%以下の範囲であり、より好ましくは50質量%以下の範囲である。
【0044】
アクリロニトリル以外の非芳香族系単量体としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル等のアクリル酸アルキル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル等のメタクリル酸アルキル;メタクリロニトリル等のシアン化ビニル;シアン化ビニリデンが挙げられる。
アクリロニトリル以外の非芳香族系単量体の量は、シェル層を製造する際に使用されるモノマーの全量中、好ましくは70質量%以下の範囲であり、より好ましくは50質量%以下の範囲である。
【0045】
また、シェル層を製造する際に使用されるモノマーがアクリロニトリルを含む場合、シェル層は、架橋性単量体にて架橋されていてもよい。
シェル層を製造する際に使用することができる架橋性単量体としては、例えば、ジビニルベンゼン、ブチレングリコールジメタクリレートが挙げられる。特に低温から高温における接着性能および柔軟性により優れるという観点から、ジビニルベンゼンが好ましい。架橋性単量体の量は、シェル層を製造する際に使用されるモノマーの全量中、通常、30質量%以下の範囲であり、好ましくは0.5〜20質量%の範囲であり、より好ましくは5〜15質量%の範囲である。
【0046】
また、シェル層を製造する際に使用されるモノマーがアクリロニトリルを含む場合、シェル層は、スチレン−アクリロニトリル系共重合体、スチレン−アクリロニトリル−ジビニルベンゼン系共重合体が好ましい。
【0047】
3.硬化剤(C)
本発明の組成物が含有する硬化剤(C)は特に限定されず、通常エポキシ樹脂の硬化剤として用いられるものを用いることができる。例えばジシアンジアミド、4,4'−ジアミノジフェニルスルホン、2−n−ヘプタデシルイミダゾールのようなイミダゾール誘導体、イソフタル酸ジヒドラジド、N,N−ジアルキル尿素誘導体、N,N−ジアルキルチオ尿素誘導体、テトラヒドロ無水フタル酸のような酸無水物、イソホロンジアミン、m−フェニレンジアミン、N−アミノエチルピペラジン、メラミン、グアナミン、三フッ化ホウ素錯化合物、トリスジメチルアミノメチルフェノールなどを用いることができる。これらの中の2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0048】
また、硬化剤(C)の本発明の組成物中における含有量は特に限定されず、最適な量は硬化剤の種類によって異なる。例えば従来公知である各硬化剤ごとの最適量を好ましく用いることができる。この最適量は、例えば「総説 エポキシ樹脂 基礎編」(エポキシ樹脂技術協会、2003年発行)の第3章に記載されている。
【0049】
4.その他の成分
本発明の組成物は、上記のエポキシ樹脂(A)およびコアシェル粒子(B)、ならびに、所望により、硬化剤(C)の他に、その用途に応じて、さらに触媒、硬化促進剤、無機充填剤、有機もしくは高分子充填剤、難燃剤、帯電防止剤、導電性付与剤、滑剤、摺動性付与剤、界面活性剤、着色剤等を含有することができる。これらの中の2種類以上を含有してもよい。
【0050】
5.製造方法
本発明の組成物の製造方法は特に限定されず、例えば従来公知の方法で製造することができる。例えばエポキシ樹脂(A)、コアシェル粒子(B)、硬化剤(C)および必要に応じて硬化促進剤等のその他の成分を、室温で均質に混練することで得ることができる。
【実施例】
【0051】
以下に、実施例を示して本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されない。
〈I. 組成物〉
《1.エポキシ樹脂(A)》
エポキシ樹脂(A)として、以下の(1)〜(3)を使用した。
(1)エポキシ樹脂1…ビスフェノールA型エポキシ樹脂(jER828、ジャパンエポキシレジン社製)
(2)エポキシ樹脂2…ウレタン変性エポキシ樹脂(アデカレジンEPU−78−11、ADEKA社製)
(3)エポキシ樹脂3…ゴム変性エポキシ樹脂(アデカレジンEPR−1309、ADEKA社製)
《2.コアシェル型ゴム粒子(B)》
コアシェル型ゴム粒子(B)として、以下の(1)〜(3)を使用した。
(1)コアシェル型ゴム粒子1…表面層にメタクリル酸が導入されたアクリル樹脂系3層構造コアシェル(コアシェル型ゴム粒子3のメチルメタクリレートに対する20mol%にメタクリル酸を導入したもの;1次粒子の平均粒径=200〜300nm)
(2)コアシェル型ゴム粒子2…表面層にグリシジルメタクリレートが導入されたアクリル樹脂系3層構造コアシェル(コアシェル型ゴム粒子3のメチルメタクリレートに対する20mol%にグリシジルメタクリレートを導入したもの;1次粒子の平均粒径=200〜300nm)
(3)コアシェル型ゴム粒子3…表面層にメチルメタクリレートが導入されたアクリル樹脂系3層構造コアシェル(IM−602、ガンツ化成社製:1次粒子の平均粒径=200〜300nm)
《3.硬化剤(C)その他の成分》
硬化剤(C)その他の成分として、下記のものを使用した。
(1)硬化剤(C)…jERキュアDICY15(ジシアンジアミド微粉砕品、ジャパンエポキシレジン社製)
(2)触媒…DCMU99(芳香族尿素化合物、保土谷化学工業社製)
(3)シリカ…RY−200S(日本アエロジル社製)
(4)シランカップリング剤…KBM−403(3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、信越化学工業社製)
《4.製造方法》
上記各成分を第1表に記載した各成分の添加量(質量部)で配合し、混合機で均一に混合して、実施例1〜6および比較例1、2の組成物を得た。
【0052】
〈II. 物性〉
《1.せん断強度》
0.8×25×200mmのサイズの非めっき鋼板を被着材として使用し、剛性被着材の引張せん断接着強さ試験方法に関する規格(JIS K 6850:1999)の試験方法に準拠して引張せん断接着強さ(せん断強度)を、低温(−20℃)、室温(25℃)および高温(80℃)のそれぞれについて、求めた(単位:MPa)。試験結果を第1表に示す。なお、破壊モードは、80℃でのはく離試験時の破壊様式であり、主要破壊様式の名称に関する規格(JIS K 6866:1999)に掲げる様式を略記号で第1表に記載した。
せん断強度は、15.0MPaを基準とし、これ以上を合格と判定した。
《2.はく離強度》
0.8×25×200mmのサイズの非めっき鋼板を被着材として使用し、T形はく離接着強さ試験方法に関する規格(JIS K 6854−3:1999)の試験方法に準拠してはく離接着強さ(はく離強度)を、低温(−20℃)、室温(25℃)および高温(80℃)のそれぞれについて、求めた(単位:N/25mm)。試験結果を第1表に示す。なお、破壊モードは、80℃でのはく離試験時の破壊様式であり、主要破壊様式の名称に関する規格(JIS K 6866:1999)に掲げる様式を略記号で第1表に記載した(CF=凝集破壊、AF=界面破壊)。
はく離強度は、150N/25mmを基準とし、これ以上を合格と判定した。
【0053】

【表1】

【0054】
〈III. 評価〉
《1.実施例》
実施例1〜8は、ウレタン変性エポキシ樹脂(エポキシ樹脂2)および/またはゴム変性エポキシ樹脂(エポキシ樹脂2)を含むエポキシ樹脂(A)と、コア層、中間層およびシェル層からなる3層構造を有し、表面がカルボキシル変性されたコアシェル型ゴム粒子および/または表面がエポキシ変性されたコアシェル型ゴム粒子を含むコアシェル型ゴム粒子(B)とを含有するエポキシ樹脂組成物に関するものである。
せん断強度試験については、−20℃、室温および80℃のすべての条件においてせん断強度15.0MPa以上であり、かつ、80℃における破壊モードが「凝集破壊(CF)」であった。また、はく離強度試験については、−20℃、室温および80℃のすべての条件においてはく離強度150N/25mm以上であり、かつ、80℃における破壊モードが「凝集破壊(CF)」であった。
接着剤と被着材とが接着されていることを保証するため、破壊モードとしては「凝集破壊」でなければならない。
したがって、実施例1〜8に係るエポキシ樹脂組成物は、本発明の解決しようとする課題を解決するものである。
【0055】
《2.比較例》
比較例1は、コアシェル型ゴム粒子(B)の表面がエポキシ基と反応性をもつ官能基で修飾されていないエポキシ樹脂組成物の例である。
せん断強度試験については、−20℃、室温および80℃のすべての条件においてせん断強度15.0MPa以上であったが、80℃における破壊モードが「界面破壊(AF)」であった。また、はく離強度試験については、−20℃、室温および80℃のすべての条件においてはく離強度150N/25mm以上であったが、80℃における破壊モードが「界面破壊(AF)」であった。
「界面破壊(AF)」は接着剤と被着体(鋼材)との界面で剥がれるものであり、「凝集破壊(CF)」は接着剤層の内部が破壊されるものである。「界面破壊」は接着力をコントロールできていない状態であり、信頼性に乏しい。接着剤と被着材とが接着されていることを保証するため、破壊モードとしては「凝集破壊」でなければならない。
したがって、比較例1に係るエポキシ樹脂組成物は、本発明が解決しようとする課題を解決するものではない。
比較例2は、エポキシ樹脂(A)としてビスフェノールA型エポキシ樹脂のみ含有し、ウレタン変性エポキシ樹脂も、ゴム変性エポキシ樹脂も含有しないエポキシ樹脂組成物の例である。
せん断強度試験については、−20℃、室温および80℃のすべての条件においてせん断強度15.0MPa以下であり、しかも、80℃における破壊モードが「界面破壊(AF)」であった。さらに、はく離強度試験については、−20℃、室温および80℃のすべての条件においてはく離強度150N/25mm以下であり、しかも、80℃における破壊モードが「界面破壊(AF)」であった。
せん断強度15.0MPa以上、かつ、はく離強度150N/25mm以上でなければ接着力が不足であり、また、接着剤と被着材とが接着されていることを保証するため、破壊モードとしては「凝集破壊」でなければならない。
したがって、比較例2に係るエポキシ樹脂組成物は、本発明が解決しようとする課題を解決するものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エポキシ樹脂(A)と、コアシェル型ゴム粒子(B)とを含有するエポキシ樹脂組成物であって、該エポキシ樹脂組成物(A)がウレタン変性エポキシ樹脂および/またはゴム変性エポキシ樹脂を含み、該コアシェル型ゴム粒子(B)がコア層と、中間層と、シェル層とを有し、該コアシェル型ゴム粒子(B)の表面がエポキシ基および/またはエポキシ基と反応する官能基で修飾されているエポキシ樹脂組成物。
【請求項2】
前記ウレタン変性エポキシ樹脂および/またはゴム変性エポキシ樹脂が、前記エポキシ樹脂(A)中の5〜70質量%である、請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項3】
前記エポキシ基と反応する官能基がカルボキシル基および/またはグリシジル基である、請求項1または2に記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項4】
前記シェル層のガラス転移温度が50℃以上である、請求項1〜3のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項5】
前記エポキシ樹脂組成物(A)100質量部に対して、前記コアシェル型ゴム粒子(B)10〜100質量部を含む、請求項1〜4のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項6】
構造用接着剤である、請求項1〜5のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。

【公開番号】特開2010−270204(P2010−270204A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−122152(P2009−122152)
【出願日】平成21年5月20日(2009.5.20)
【出願人】(000006714)横浜ゴム株式会社 (4,905)
【Fターム(参考)】