説明

エポキシ組成物、及びそのエポキシ組成物製の表面フィルム

a)硬化性エポキシ樹脂と、b)式Iによるポリカルボジイミド0.01〜30重量%とを含む組成物を提供する。
R−{−N=C=N−R−}n−N=C=N−R (I)
式中、nは0〜100の整数であり、各Rは独立して、1〜24個の炭素を含むと共に、任意で置換されている芳香族基及び脂肪族基から選択され、典型的にはポリカルボジイミドを0.1〜20重量%含む。いくつかの実施形態では、本開示は、硬化されているか、未硬化であるか、又は部分的に硬化されている上記のような物質で作製したシート材を提供する。いくつかの実施形態では、これらの組成物は、複合パーツの表面フィルムを作製するのに有用である場合があると共に、良好なペイントリムーバ耐性及びマイクロクラック耐性を示す場合がある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2009年12月29日に出願された米国特許仮出願第61/290719号の優先権を主張するものであり、その開示内容の全体が参照として本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本開示は、ポリカルボジイミド種を含むエポキシ組成物、特に、良好なペイントリムーバ耐性及びマイクロクラック耐性を有する表面フィルムを作製するのに有用なエポキシ組成物に関する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
簡潔に言うと、本開示は、a)硬化性エポキシ樹脂と、b)式Iによるポリカルボジイミド0.01〜30重量%とを含む組成物を提供する。
【0004】
R−{−N=C=N−R−}−N=C=N−R (I)
式中、nは0〜100の整数であり、各Rは独立して、1〜24個の炭素を含むと共に、任意で置換されている芳香族基及び脂肪族基から選択される。本発明の組成物は典型的には、0.1〜20重量%のポリカルボジイミドを含み、いくつかの実施形態では0.1〜10重量%のポリカルボジイミド、いくつかの実施形態では0.5〜5重量%のポリカルボジイミド、いくつかの実施形態では1〜3重量%のポリカルボジイミドを含んでよい。いくつかの実施形態では、nは少なくとも1である。いくつかの実施形態では、nは少なくとも2である。いくつかの実施形態では、Rは3〜12個の炭素を含む。いくつかの実施形態では、全てのR基は芳香族である。いくつかの実施形態では、全てのR基はフェニル又はフェニレンである。いくつかの実施形態では、本開示は、部分的に硬化されているか又は完全に硬化されている上記の組成物である組成物を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、硬化されているか、未硬化であるか、又は部分的に硬化されている物質で作製したシート材を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、上記の硬化組成物を含む複合パーツを提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、上記の硬化組成物を含む最外表面を有する複合パーツを提供する。
【0005】
本出願では、「置換された」とは、所望の生成物又はプロセスを阻害しない従来の置換基によって化学種、基、又は部分が置換されていることを意味し、例えば、置換基は、アルキル、アルコキシ、アリール、フェニル、ハロ(F、Cl、Br、I)、シアノ、ニトロなどであることができる。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本開示は、いくつかの実施形態において、ペイントリムーバに対する耐性が向上した表面フィルムを形成させる目的で用いてよいエポキシ組成物を提供する。
【0007】
本開示は、未硬化のエポキシ組成物と、本発明で提供する未硬化のエポキシ組成物の硬化によって生じる硬化エポキシ組成物とを提供する。未硬化のエポキシ組成物は、エポキシドモノマー又はエポキシドプレポリマーを含むいずれかの好適なエポキシ樹脂と、いずれかの好適な硬化剤、典型的にはアミン硬化剤とを含んでよい。いくつかの実施形態では、未硬化のエポキシ組成物は、下記の物質に加えて、いずれかの好適な架橋剤を含んでよい。いくつかの実施形態では、未硬化のエポキシ組成物は、下記の物質以外の架橋剤を含まない。
【0008】
いくつかの実施形態では、未硬化のエポキシ組成物はカルボジイミド種を含み、このカルボジイミド種は、典型的にはポリカルボジイミド種である。典型的には、このポリカルボジイミド種は、末端がイソシアネートであり、より典型的には、その末端イソシアネートポリカルボジイミド種は式Iによるものである。
【0009】
R−{−N=C=N−R−}−N=C=N−R (I)
式中、nは、典型的には0〜100、より典型的には1〜20の整数であり、この整数は様々であっても単一の値であってもよく、各Rは独立して、所望により置換されていてもよいと共に、典型的には1〜24個の炭素、より典型的には3〜12個の炭素を含む芳香族基及び脂肪族基から選択される。いくつかの実施形態では、全てのR基は芳香族である。いくつかの実施形態では、全てのR基はフェニル又はフェニレンである。いくつかの実施形態では、末端イソシアネートポリカルボジイミド種は、末端フェニルイソシアネートトルエンジイソシアネートポリカルボジイミドである。
【0010】
いくつかの実施形態では、未硬化のエポキシ組成物は、オキサゾリドン環を含むエポキシ樹脂を含む。いくつかの実施形態では、未硬化のエポキシ組成物は、オキサゾリドン環を含むエポキシ樹脂と、上記のようなポリカルボジイミド種との両方を含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、本開示による未硬化又は硬化エポキシ組成物は、充填剤、顔料、炭素粒子、又はカーボンナノチューブ材を更に含んでもよい。
【0012】
いくつかの実施形態では、本発明による未硬化のエポキシ組成物は、いずれかの好適な方法によってフィルムに形成されてもよい。いくつかの実施形態では、このようなフィルムを表面フィルムとして用いてよい。いくつかの実施形態では、このようなフィルムを、繊維マトリクス複合パーツを製造する際の表面フィルムとして用いてよい。典型的には、このような表面フィルムは、複合材マトリクスの硬化中に硬化させて、複合パーツの外面を形成する、複合パーツの硬化構成要素にする。
【0013】
いくつかの実施形態では、このようなフィルムを用いて、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)フィルムを有する多層構成体を形成させてよく、この構成体は、いくつかの実施形態では表面フィルムとして用いてよい。いくつかの実施形態では、このようなフィルムは、米国特許出願第12/761162号、同第12/761212号、同第12/625002号、同第12/637879号、及び同第12/637915号に記載されているような用途、及びこれらを含む用途で用いてよい。
【0014】
いくつかの実施形態では、本発明によるエポキシ組成物は硬化性接着剤として用いてよい。
【0015】
いくつかの実施形態では、本発明によるエポキシ組成物は、プリプレグ中、又は繊維マトリックス複合パーツ中のマトリックス材として用いてよい。
【0016】
本開示の目的及び利点は以下の実施例によって更に例証されるが、これらの実施例に引用される具体的な物質及び量、並びにその他の条件及び詳細は、本開示を過度に制限すると解釈されるべきではない。
【実施例】
【0017】
特に断らないかぎり、全ての試薬は、Aldrich Chemical Co.(Milwaukee,WI)より入手したか、又は販売されるものであり、あるいは公知の方法で合成することができるものである。
【0018】
下記の略号を用いて実施例を説明する。
【0019】
【表1】

【0020】
試験方法:
鉛筆硬度。ASTM D3363−05に従って試験表面のグージ硬度を測定した。硬度は、California、Redwood CityのGeneral Pencil Companyから入手した鉛筆を用いて、少なくとも3mmのストローク長で試験表面を切断されないままにしておく最も硬い鉛筆として記録した。
【0021】
表面粗さ。表面粗さは、Rohode Island、ProvidenceのMahr Federal,Inc.から入手した「POCKETSURF」というモデルの携帯型表面プロファイルゲージを用いて測定した。記録した結果は、5つの測定値の平均であった。
【0022】
ペイントリムーバ取り込み量。試験パネルの重量を測定し、4cm×5cmの面積に印を付けた。Ohio、ClevelandのCee Bee Aviation Products,McGean−Rohco Inc.から入手した「CEE BEE E2012A」という型のベンジルアルコール系ペイントリムーバ4グラムを試験区域の上にブラシで塗布した。70°F(21.1℃)で24時間後、ペイントリムーバを試験区域から手でこすり取ってから、パネルをイソプロピルアルコールですすいだ。パネルを60分間、70°F(21.1℃)で乾燥後、再び重量を測定した。試験パネルの増量分をペイントリムーバ取り込み量として記録した。
【0023】
パネルの劣化。ペイントリムーバ取り込み量試験に続いて、試験パネルを目視検査した。それに従って、外観の劣化を記録した。
【0024】
マイクロクラック試験。下塗り及び塗布済みの試験パネルでマイクロクラック試験を行った。プライマーは、単一のライトコートとして塗布した二液型耐流体性グレープライマーCA 7501であった。塗料は8800という三液型ホワイトトップコートであり、下塗り済みパネルに2コートで塗布した。この塗料及びプライマーは、California、SylmarのPRC Desotoから入手可能である。混合と乾燥は、メーカーの説明書に従って行った。マイクロクラック試験は、熱衝撃チャンバ(2つのチャンバ間を移動できるシャトルを有する2チャンバ型オーブン)内で行った。一方のチャンバは−54℃(−65°F)に設定し、もう一方のチャンバは49℃(120°F)に設定した。シャトルは、各チャンバに10分間留まってからもう一方のチャンバに戻るようにプログラムされている。シャトル上に搭載されているラックの上にサンプルを置いた。2つのチャンバ間に3000〜4000サイクル、サンプルを循環させた。16倍で光学顕微鏡を用いて、パネルのマイクロクラックを検査した。既知の区域を検査し、直線1cm当たりのクラックを計算した。全サイクルの完了後にクラックが観察されなかった場合は「良」、直線1cm当たりのクラックが0.25以下の場合は「可」、直線1cm当たりのクラックが0.25超の場合は「不可」と格付けした。
【0025】
使用材料:
C−150 HP:「BAYTUBES C−150 HP」という商品名で、Germany、LeverkusenのBayer MaterialScience AGから入手可能な多層カーボンナノチューブ凝集体。
【0026】
CG−1400:「AMICURE CG−1400」という商品名で、Pennsylvania、AllentownのAir Products and Chemicals Incorporatedから入手可能な、おおよそのアミン当量が21グラム/当量である微紛化ジシアンジアミド。
【0027】
DER 6508:「D.E.R.6508」という商品名で、Michigan、MidlandのDow Chemical Companyから入手可能な、おおよそのエポキシ当量が400グラム/当量である高度に架橋された耐熱性の系を形成できるように化学的に変性させた二官能性エポキシ樹脂。
【0028】
DEH−85:「DEH−85」という商品名で、Michigan、MidlandのDow Chemical Companyから入手可能な、活性水素当量が約265グラム/当量である未変性フェノール硬化剤。
【0029】
EP 7200:「EPALOY 7200」という商品名で、New Jersey、MoorestownのCVC Specialty Chemicals Inc.から入手可能な、おおよその当量が約207.5グラム/当量である変性ビスフェノール−Aエポキシ樹脂。
【0030】
Epon 826:「EPON 826」という商品名で、Ohio、ColumbusのHexion Specialty Chemicalsから入手可能な、おおよその当量が182 650グラム/当量である低粘性液体ビスフェノールA系エポキシ樹脂。
【0031】
EPON 1002F:「EPON 1002F」という商品名で、Ohio、ColumbusのHexion Specialty Chemicalsから入手可能な、官能性が2であり、おおよそのエポキシ当量が650グラム/当量であるビスフェノール−Aポリエポキシド樹脂。
【0032】
EPON 1004F:「EPON 1004F」という商品名で、Hexion Specialty Chemicalsから入手可能な、官能性が2であり、おおよそのエポキシ当量が875グラム/当量であるビスフェノール−Aポリエポキシド樹脂。
【0033】
F−1。「Dynoadd F−1」という商品名で、Finland、HelsinkiのDyneaから入手可能なポリエステルクレーター防止剤及び流動剤。
【0034】
MEK:メチルエチルケトン。
【0035】
MX−120:「KANE ACE MX−120」という商品名で、Texas、PasadenaのKaneka Texas Corporationから入手可能な、おおよそのエポキシ当量が243グラム/当量であるビスフェノール−Aエポキシ樹脂ブタジエン−アクリル酸コポリマーコアシェルゴムのジグリシジルエーテル。
【0036】
MY−720:「ARALDITE MY−720」という商品名で、Texas、The WoodlandsのHuntsman Advanced Materials America Incorporatedから入手可能な、おおよそのエポキシ当量が125.5グラム/当量である4官能性液体エポキシ。
【0037】
PCDI 77.5%:トルエン中の重量比が約77.5%である場合の、トルエンジイソシアネートとフェニルイソシアネートとの重量比が2:1である末端フェニルイソシアネートトルエンジイソシアネートポリカルボジイミドであり、以下のように調製したもの。窒素雰囲気下の清潔な乾いた3リットルフラスコに、トルエンジイソシアネート600g、フェニルイソシアネート205g、及びトルエン184gを入れた。この溶液を混合してから、7.7グラムの3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシドが11.6グラムのトルエン中に含まれる触媒プレミックスを加えた。このバッチを約60分間、230°F(110℃)までゆっくり加熱してから、この温度で4時間保持した。赤外分光法を用いて、イソシアネートが消費されたことを確認してから、この混合物を75°F(24℃)に冷却した。
【0038】
【化1】

【0039】
PCDI 40%:トルエン中の重量比が約40%である場合の、トルエンジイソシアネートとフェニルイソシアネートとの重量比が2:1である末端フェニルイソシアネートトルエンジイソシアネートポリカルボジイミドであり、以下のように調製したもの。窒素雰囲気下の清潔な乾いた2リットルフラスコに、トルエンジイソシアネート320g、フェニルイソシアネート109.4g、及びトルエン480gを入れた。この溶液を混合してから、1.84グラムの3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシドが12.5グラムのトルエン中に含まれる触媒プレミックスを加えた。このバッチを約60分間、230°F(110℃)までゆっくり加熱してから、この温度で3時間保持した。赤外分光法を用いて、イソシアネートが消費されたことを確認してから、この混合物を75°F(24℃)に冷却した。
【0040】
PKHP:「PAPHEN PKHP−200」という商品名で、USA、SC、Rock HillのPhenoxy Associatesから入手可能な、数平均分子量(MN)が10,000〜16,000であり、ヒドロキシ当量が284グラム/当量である微紛化フェノキシ樹脂。
【0041】
R−960:「TI−PUR R−960」という商品名で、Delaware、WilmingtonのE.I.du Pont de Nemours & Companyから入手可能なルチル二酸化チタン顔料。
【0042】
RA95:「Hypox RA95」という商品名で、New Jersey、MoorestownのCVC Specialty Chemicals Inc.から入手可能な、おおよそのエポキシ当量が202.5グラム/当量である高粘度ビスフェノールAエポキシ樹脂変性ブタジエン−アクリロニトリルエラストマー。
【0043】
SU−2.5:「EPON SU−2.5」という商品名で、Hexion Specialty Chemicalsから入手可能な、官能性が2.5であり、おおよそのエポキシ当量が190グラム/当量であるビスフェノール−Aポリエポキシド樹脂。
【0044】
SU−8:「EPON SU−8」という商品名で、Hexion Specialty Chemicalsから入手可能な、官能性が8であり、おおよそのエポキシ当量が212.5グラム/当量であるビスフェノール−Aポリエポキシド樹脂。
【0045】
U−52:「OMICURE U−52」という商品名で、CVC Specialty Chemicals Incorporatedから入手可能な、おおよそのアミン当量が170グラム/当量である芳香族置換尿素(4,4’−メチレンビス(フェニルジメチル尿素)。
【0046】
VYG:「VYNAMON GREEN 600734」という商品名で、Pennsylvania、Fairless HillsのHeucotech Ltd.から入手可能な銅−フタロシアニン顔料。
【0047】
XAC−4151:「XAC−4151」という商品名で、Japan、KantoのAsahi Kaseiから入手可能な、おおよそのエポキシ当量が420グラム/当量であるオキサゾリドン環含有エポキシ。
【0048】
【化2】

【0049】
AF 191U:「SCOTCH−WELD STRUCTURAL ADHESIVE FILM,0.05」という商品名で、Minnesota、St.Paulの3M Companyから入手可能な、坪量(base weight)が約0.05ポンド/平方フィート(lbs/ft)(244.2グラム/平方センチメートル(g/cm))である熱硬化性変性エポキシ構造接着フィルム。
【0050】
SM 905M:「SURFACE MASTER 905M」という商品名で、Arizona、TempeのCytec Engineered Materials,Inc.から入手可能な、坪量が0.020lbs/ft(171g/cm)である複合表面フィルム。
【0051】
樹脂組成物の調製
表1及び2に列挙されている組成に従って、比較例及び実施例を下記のように調製した。
【0052】
【表2】

【0053】
【表3】

【0054】
比較例A
乳棒と乳鉢を使ってXAC−4151を手動ですりつぶし、United Kindgom、BuckinghamshireのSynergy Devices Limitedから入手可能な「SPEED MIXER Model DA 400 FV」というモデルの遊星ミルで用いるように設計された容量200グラムのプラスチックカップに入れた。このカップにMEK/トルエン(85:15)を加えてから上記のミルに固定し、混合物が溶解するまで約5分、2,200rpmで回転させた。カップをミルから外し、MX−120、SU−2.5、及びMY−720を加え、更に2分間、2,200rpmで混合を再び行った。再びカップをミルから外し、CG−1400及びU−52を加えた。この混合物を手動で攪拌して硬化剤を湿潤させ、全ての構成成分が均質に分散するまで、カップを更に2分間、2,200rpmでミルに戻した。
【0055】
(実施例1)
乳棒と乳鉢を使ってEpon 1002Fを手動ですりつぶし、容量200グラムのプラスチックカップに入れ、MEKを加えた。カップを遊星ミルに入れ、溶解するまで約5分、2,200rpmで混合した。カップをミルから外し、MX−120、SU−2.5、MY−720、及びPCDIを加え、更に2分間、2,200rpmで混合を再び行った。再びカップをミルから外し、CG−1400及びU−52を加えた。この混合物を手動で攪拌して硬化剤を湿潤させ、全ての構成成分が均質に分散するまで、カップを更に2分間、2,200rpmでミルに戻した。
【0056】
(実施例2)
表1に列挙されている組成に従って、実施例1に記載されているようなプロセスを繰り返した。この際、Epon 1002FをXAC−4151と置き換えた。
【0057】
(実施例3)
R−960、VYG、及びSU−2.5を、容量200グラムのプラスチックカップに入れた。カップを遊星ミルに入れ、2分間、2,200rpmで混合した。続いて、この混合物を3ロールペイントミルに3回かけて、脇に置いておいた。乳棒と乳鉢を使ってXAC−4151を手動ですりつぶし、遊星ミルのカップに加えてからMEKを加え、溶解するまで約5分、遊星ミルで2,200rpmにて混合した。カップをミルから外し、3ロールペイントミルからR−960、VYG、及びSU−2.5を加えてから、MX−120、MY−720、及びPCDIを加えた。この混合物を遊星ミルに戻し、更に2分間、2,200rpmで混合を再び行った。カップを遊星ミルから外し、CG−1400及びU−52を加えた。この混合物を手動で攪拌して硬化剤を湿潤させ、全ての構成成分が均質に分散するまで、カップを更に2分間、2,200rpmで遊星ミルに戻した。
【0058】
(実施例4)
実施例3を繰り返した。この際、VYGをCNTと置き換えた。
【0059】
(実施例5)
R−960、VYG、CG−1400、U−52、及びEpon 826を、容量200グラムのプラスチックカップに入れた。カップを遊星ミルに入れ、2分間、2,200rpmで混合した。続いて、この混合物を3ロールペイントミルに3回かけて、脇に置いておいた。乳棒と乳鉢を使ってXAC4151及びSU−8を手動ですりつぶし、遊星ミルのカップに加えてからMEKを加え、溶解するまで約10分、遊星ミルで2,200rpmにて混合した。カップをミルから外し、3ロールペイントミルからR−960、VYG、CG−1400、U−52、及びEpon 826を加えてから、MX−120、MY−720、F−1、RA−95、及びPCDI 77.5%を加えた。この混合物を遊星ミルに戻し、更に2分間、2,200rpmで混合を再び行った。この混合物を手動で攪拌してカップの側面をこすり、全ての構成成分が均質に分散するまで、更に2分間、2,200rpmで遊星ミルに戻した。
【0060】
(実施例6)
R−960、VYG、CG−1400、U−52、及びEpon 826を、容量200グラムのプラスチックカップに入れた。カップを遊星ミルに入れ、2分間、2,200rpmで混合した。続いて、この混合物を3ロールペイントミルに3回かけて、脇に置いておいた。乳棒と乳鉢を使ってDER 6508及びSU−8を手動ですりつぶし、遊星ミルカップに加えてからMEKを加え、溶解するまで約10分、遊星ミルで2,200rpmにて混合した。カップをミルから外し、3ロールペイントミルからR−960、VYG、CG−1400、U−52、及びEpon 826を加えてから、MX−120、MY−720、F−1、RA−95、残りのEpon 826、トルエン、及びPCDI 40%を加えた。この混合物を遊星ミルに戻し、更に2分間、2,200rpmで混合を再び行った。この混合物を手動で攪拌してカップの側面をこすり、全ての構成成分が均質に分散するまで、更に2分間、2,200rpmで遊星ミルに戻した。
【0061】
複合パネルの調製:
調製してから1時間以内に、漂白シリコーンでコーティングした剥離ライナー(Iowa、Iowa CityのLoparex,Inc.の製品#「23210 76# BL KFT H/HP 4D/6MH」)の上に樹脂組成物をバーギャップ152.4μm(6ミル)でノッチバーコーティングした。続いて、コーティングしたライナーを少なくとも1時間、約70°F(21.1℃)で乾燥させた。
【0062】
乾燥したポリマー複合材である比較例A、実施例1〜7のクーポンに加え、接着構造フィルム905M(比較例Bとする)、及び複合表面フィルムAF 191U(比較例Cとする)を以下のように調製した。各表面フィルムを12インチ×12インチ(30.4×30.4センチ)の切片に切り、レイアップツールに貼付した。事前に含浸させた1プライのグラファイトファブリックに続き、事前に含浸させた追加のプライの190グレードの一方向グラファイトテープを0度/+45度/+90度/−45度/0度/0度/−45度/90度/+45度/0度で配向させた。表面フィルムがツール表面と直接接した状態で、このレイアップを真空バッグに入れてから、オートクレーブ内に置いた。約28インチ水銀(94.8kPa)の完全真空を、約72°F(22℃)で10〜15分間適用した後、外圧を徐々に55psi(397kPa)まで上昇させた。真空バッグを完全真空下(28インチHg(94.8kPa))に硬化サイクル期間中保持して、温度を毎分5°F(2.8℃)の速度で350°F(177℃)まで上昇させ、この温度を2時間保持した。約72°F(22℃)の温度(この時点で圧力を抜いた)の表面を備える硬化高分子複合材料物品と、厚みが約0.045インチ(0.114mm)であるこの硬化物品とを、オートクレーブ及び真空バッグから取り出した。
【0063】
各クーポンの鉛筆硬度、光沢、表面粗さ、パネルの劣化、及びペイントリムーバ取り込み量を測定した。加えて、実施例5及び6に相当するクーポンのマイクロクラック耐性を試験した。結果を表3に示す。
【0064】
【表4】

【0065】
本開示による実施例は、ペイントリムーバを曝露した場合、様々な試験において劣化耐性の向上を示した。加えて、実施例6は良好なマイクロクラック耐性を示した。この追加的な特徴は、PCDIの量を0.5〜5%、より特定的には1%〜3%の範囲の量に制限した結果であると考えられる。
【0066】
本開示の様々な修正及び変更は、本開示の範囲及び原理から逸脱することなく当業者には明白であり、また、本発明は、上記で説明した例示的な実施形態に不当に限定して理解すべきではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)硬化性エポキシ樹脂と、
b)
R−{−N=C=N−R−}−N=C=N−R (I)
式中、nは0〜100の整数であり、
各Rは独立して、1〜24個の炭素を含むと共に、任意で置換されている芳香族基及び脂肪族基から選択される、式Iによるポリカルボジイミド0.01〜30重量%と、
を含む組成物。
【請求項2】
前記ポリカルボジイミドを0.1〜20重量%含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記ポリカルボジイミドを0.1〜10重量%含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記ポリカルボジイミドを0.5〜5重量%含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記ポリカルボジイミドを1〜3重量%含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
nが少なくとも1である、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
nが少なくとも2である、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
Rが3〜12個の炭素を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
全てのR基が芳香族である、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
全てのR基が、フェニル、トルイル、フェニレン、及びメチル−フェニレンからなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
部分的に硬化されている、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
請求項1に記載の組成物を硬化させることによって得られる硬化組成物。
【請求項13】
請求項12に記載の硬化組成物を含む複合パーツ。
【請求項14】
請求項12に記載の硬化組成物を含む最外表面を有する複合パーツ。
【請求項15】
厚みが0.5mm未満のシートである、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
厚みが0.5mm未満のシートである、請求項11に記載の組成物。
【請求項17】
溶媒中の溶液又は懸濁液である、請求項1に記載の組成物。

【公表番号】特表2013−515839(P2013−515839A)
【公表日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−547148(P2012−547148)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【国際出願番号】PCT/US2010/061693
【国際公開番号】WO2011/090668
【国際公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】