説明

エラストマー複合材ブレンド、それを生成するための方法及び装置

天然ゴム及びスチレン‐ブタジエンゴムのブレンドを含むエラストマー中に分散されたカーボンブラックを含む湿式混合エラストマー複合材。湿式混合エラストマー複合材がCTV法1で加工される際に、加硫された湿式混合エラストマー複合材は、A)式ln(比抵抗)≧−0.1(配合量)+x(式中、xは14である)を満たす自然対数を有する比抵抗、又はB)同じ組成を有し、比較CTV法1を使用して調製した加硫された乾燥混合エラストマー複合材の比抵抗よりも少なくとも2.9倍大きな比抵抗を示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エラストマーのブレンドを含むエラストマー複合材、及びそのような複合材を製作する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
商業的に重要な多数の製品は、微粒子フィラーが、種々の合成エラストマー、天然ゴム、又はエラストマーブレンドに分散されているエラストマー組成物で作られている。例えば、カーボンブラックは、天然ゴム及び他のエラストマーの補強剤として広く使用されている。マスターバッチ、すなわちフィラー、エラストマー、及びエキステンダー油等の種々の自由選択的な添加剤の予混合物を生成するのが一般的である。カーボンブラックマスターバッチは、一次カーボンブラック粒子を互いに融合させることにより形成されるカーボンブラック凝集体のサイズ及び複雑性を記述する1単位重量当たりの表面積及び構造が両方とも異なる、様々な等級の市販カーボンブラックを用いて調製される。商業的に重要な多数の製品は、天然ゴムに分散されたカーボンブラック微粒子フィラーのそのようなエラストマー組成物で作られている。そのような製品には、例えば、様々なエラストマー組成物を、トレッド部分、サイドウォール、ワイヤースキム(wire skim)、及びカーカスに使用することができる乗り物用タイヤが含まれる。他の製品には、例えば、エンジンマウントブッシング、コンベヤーベルト、及びフロントガラスワイパー等が含まれる。
【0003】
カーボンブラックマスターバッチを生成するには様々な方法がある。その内容が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,048,923号で開示されている1つの方法では、エラストマーラテックスを含む第1の流体の連続流動が、凝固反応器の混合領域に供給される。カーボンブラックスラリーを含む第2の流体の連続流動が、加圧下で混合領域に供給され、エラストマーラテックスとの混合物が形成される。2つの流体の混合は、エネルギー的に十分であり、凝固反応器の吐出端に至る前に、カーボンブラックを有するエラストマーラテックスは実質的に完全に凝固する。米国特許第6,929,783号で開示されているように、その後、凝固ゴムを脱水押出機に供給してもよい。
【0004】
幾つかの応用では、マスターバッチ及び/又はマスターバッチの加硫ゴム生成物の機械的特性を最適化するためにエラストマーのブレンドを使用することが望ましい。エラストマーのブレンドは、2つのポリマーを一緒に乾燥混合することにより生成することができる。或いは、ブレンドは、エラストマーラテックスの混合物を同時凝固させることにより(例えば、米国特許第4,271,213号を参照)、又はエラストマーラテックス及び第2のポリマーを含有する溶液の混合物からポリマーブレンドを回収することにより(例えば、米国特許第5,753,742号を参照)生成することができる。しかしながら、これらの文献のいずれにも、フィラーと2つ以上のエラストマーを混合する湿式マスターバッチ法は開示されていない。むしろ、これら方法により生成されるポリマーブレンドは、マスターバッチを形成するために、フィラーと乾燥混合される場合がある。しかしながら、乾燥混合は、ポリマー分子量を低減し、ポリマー特性を劣化させる場合がある。
【0005】
米国特許第6,521,691号では、2つのポリマーエマルジョン及フィラースラリーを混合し、その後凝固させてマスターバッチを形成することができる湿式マスターバッチ法が開示されている。同様に、米国特許第6,800,126号には、カーボンブラック凝集体を、油及び低分子量エラストマーラテックスとブレンドして、プレブレンドを形成することができることが開示されており、プレブレンドは、ジエンに基づくエラストマーのエマルジョンと混合されてもよい。その後、エラストマー及びカーボンブラックの複合材が、混合物から回収される。米国特許第4,578,411号には、エラストマーラテックス、エラストマー溶液、及びフィラーが混合され、その後フィラーを有する2つのエラストマーの複合材が回収される方法が開示されている。しかしながら、これら文献の全てでは、フィラーとエラストマーとの混合及びラテックスの凝固が、個別のプロセスステップとして開示されている。これら2つのプロセス段階の間に、フィラーが、エマルジョン中で塊となり、最終複合材中でのその均一な分布の妨げる場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
米国特許第6,048,923号には、フィラースラリーをエラストマーラテックスに導入する際に凝固が起こり、エラストマー複合材内でのフィラーの優れた分散をもたらす湿式マスターバッチ法が開示されている。この「湿式混合」エラストマー複合材を形成するために、凝固剤は必要ではない。この923号特許には、エラストマーラテックスのブレンドをフィラースラリーと混合して、凝固ゴムを形成することができることが開示されている。しかしながら、天然ゴムラテックスは、本質的に生物学的材料であるため、マグネシウム、カリウム、リン酸、及び硫酸イオン、脂肪酸、アミノ酸、炭水化物、ペプチド等の多くの溶解物質を含有している。水性キャリアのイオン強度が高いと、フィラースラリーがエラストマーラテックスブレンドに導入される前に、天然ゴムラテックスをそれと混合して凝固させる合成ラテックスの凝固が引き起こされる場合がある。そのような合成ラテックスは、天然ゴムラテックスと非相溶性であると言われている。合成ラテックス又は天然ラテックスのいずれかに界面活性剤を添加することにより、2つのラテックスに相溶性を付与することは可能であるが、追加的な界面活性剤は、ラテックスの凝固をより困難なものとし、最終ゴム製品中の界面活性剤の濃度を増加させる。従って、早期凝固の問題を起こし易くないが、エラストマー内でのフィラーの均質分散を依然としてもたらす材料のブレンドを組み込むエラストマー複合材マスターバッチを生成する方法を有することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
1つの実施形態では、湿式混合エラストマー複合材は、天然ゴム及びスチレン‐ブタジエンゴムのブレンドを含むエラストマー中に分散されたカーボンブラックを含む。湿式混合エラストマー複合材が、CTV法1で加工される際に、加硫された湿式混合エラストマー複合材は、A)式ln(比抵抗)≧−0.1(配合量)+x(式中、xは14である)を満たす自然対数を有するか、又はB)同じ組成を有し、比較CTV法1を使用して調製した加硫された乾燥混合エラストマー複合材の比抵抗よりも少なくとも2.9倍大きい比抵抗を示す。
【0008】
別の実施形態では、加硫された湿式混合エラストマー複合材は、エラストマー中に分散されたカーボンブラックを含む。エラストマーは、天然ゴム及びスチレン‐ブタジエンゴムのブレンドを含む。加硫された湿式混合エラストマー複合材は、加硫された湿式混合エラストマー複合材と同じ組成を有する加硫された乾燥混合エラストマー複合材の同比率よりも少なくとも18%大きなT300/T100の比率を示す。
【0009】
エラストマー複合材は、天然ゴム、及び総ゴム含有量に対して約1〜約36重量%のスチレン‐ブタジエンゴム、例えば、約20〜約36重量%のスチレン‐ブタジエンゴムを含んでいてもよい。エラストマー複合材は、0.1%未満の非分散面積の巨視的分散(macrodispersion)を示してもよい。
【0010】
別の実施形態では、エラストマー複合材を調製するための方法は、第1のエラストマーラテックスを含む第1の流体の連続流動を、凝固反応器の混合領域に供給すること、第2のエラストマーラテックスを含む第2の流体の連続流動を混合領域に供給すること、微粒子フィラースラリーを含む第3の流体の連続流動を混合領域に供給して、第1のエラストマーラテックス及び第2のエラストマーラテックスが微粒子フィラーと共に凝固することを可能にすること、及び凝固した湿式混合エラストマー複合材の流動を、凝固反応器の吐出端から吐出させることを含む。
【0011】
第1のエラストマーラテックスは、天然ゴムラテックスを含んでいてもよく、第2のエラストマーラテックスは、合成エラストマーラテックスを含んでいてもよい。微粒子フィラーは、カーボンブラックを含んでいてもよい。第1の流体及び第2の流体は、第3の流体と混合して混合物を形成してもよく、第1の流体及び第2の流体は、第3の流体と実質的に同時に混合してもよい。
【0012】
別の実施形態では、エラストマー複合材は、第1のエラストマーラテックスを含む第1の流体の連続流動を、凝固反応器の混合領域に供給し、第2のエラストマーラテックスを含む第2の流体の連続流動を混合領域に供給すること、微粒子フィラースラリーを含む第3の流体の連続流動を混合領域に供給して、第1のエラストマーラテックス及び第2のエラストマーラテックスが微粒子フィラーと共に凝固することを可能にすること、及び凝固した湿式混合エラストマー複合材の流動を、凝固反応器の吐出端から吐出させることを含む方法により調製される。
【0013】
第1のエラストマーラテックスは、天然ゴムラテックスを含んでいてもよく、第2のエラストマーラテックスは、合成エラストマーラテックスを含んでいてもよい。微粒子フィラーは、カーボンブラックを含んでいてもよい。第1の流体及び第2の流体は、第3の流体と混合して混合物を形成してもよく、第1の流体及び第2の流体は、第3の流体と実質的に同時に混合してもよい。或いは、第1の流体及び第3の流体は、混合して混合物を形成してもよく、第2の流体は、上記混合物と混合してもよい。第1のエラストマーラテックス及び第2のエラストマーラテックスは、非相溶性であってもよい。
【0014】
先述の一般的な記述及び以下の詳細な記述は両方とも、例示及び説明に過ぎず、クレームされている本発明の更なる説明を提供するためにものであることが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本発明は、以下の図面の幾つかの特徴を参照して説明される。
【図1】本発明の例示的な実施形態による、エラストマー複合材ブレンドを生成するための装置の概略図である。
【図2A】本発明の例示的な実施形態による、第2のエラストマーラテックスを凝固ゴムに注入するための装置の概略図である。
【図2B】本発明の例示的な実施形態による、第2のエラストマーラテックスを凝固ゴムに注入するための装置の概略図である。
【図3】図2A及び2Bで示されている装置の上面図の概略図である。
【図4】電気的比抵抗試験用の試料の構成を例示する概略図である。
【図5】本発明の例示的な実施形態により生成した加硫されたエラストマー複合材ブレンド(三角形、数値は、ゴム総量に対するスチレン‐ブタジエンゴムの重量割合を示す)を、湿式マスターバッチ法により天然ゴムラテックスから生成した加硫されたエラストマー複合材(菱形)、乾燥混合法により天然ゴム及びスチレン‐ブタジエンゴムから生成した加硫されたエラストマー複合材ブレンド(星形)、及び乾燥混合法により天然ゴムラテックスから生成した加硫されたエラストマー複合材(正方形)と比較した、N234カーボンブラックの配合量レベルに対する比抵抗の自然対数のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
1つの実施形態では、エラストマー複合材は、第1のエラストマーラテックスを含む第1の流体の連続流動を、凝固反応器の混合領域に供給し、第2のエラストマーラテックスを含む第2の流体の連続流動を混合領域に供給し、微粒子フィラースラリーを含む第3の流体の連続流動を混合領域に供給して、第1のエラストマーラテックス及び第2のエラストマーラテックスが微粒子フィラーと共に凝固することを可能にし、エラストマー複合材の流動を、凝固反応器の吐出端から吐出させることにより調製される。本発明者らは、この方法が、エラストマー複合材ブレンド、例えば天然ゴムラテックス及びスチレン−ブタジエン共重合体のブレンドを、非相溶性のポリマーエマルジョンから生成することを可能にすることを見出した。
【0017】
充填加硫ゴム中の粒子分布の特徴付け
ゴム補強性の向上は、様々な伸びにおける応力の比率に反映される。カーボンブラックを充填した加硫ゴムの場合、所与の伸びにおける応力は、中でも、フィラー形態(粒径及び構造)の効果、並びにフィラー−ポリマー相互作用及び凝集体間相互作用を決定する表面活性を反映する。様々な伸びにおける応力を左右する要因は異なるため、100%伸びにおける応力に対する300%伸びにおける応力の比率、T300/T100は、ポリマー−フィラー相互作用の度合いを定量化するための有用な手法を提供する。構造は、フィラー凝集体中でのゴムの吸蔵に影響を及ぼす。吸蔵の増加は、フィラーが実際にゴムマトリックスと相互作用し、ゴムマトリックス複合材の特性、及び従って充填加硫ゴムの所与の伸びにおける応力に影響を及ぼす度合いを記述する有効フィラー体積分率を増加させる。同じポリマーを用いて調製され、同じ配合量レベル又は体積分率の同じカーボンブラックを充填した2つの配合物の場合、応力に対する構造及び表面積の効果は同じであるはずである。その結果、異なるひずみにおける応力のいかなる差異も、ポリマーマトリクスの架橋密度、ポリマー−フィラー相互作用、及びフィラー凝塊形成に結び付く凝集体間相互作用に起因する場合がある。低ひずみでは、凝塊は破壊されず、凝塊物に閉じ込められたゴムは、フィラーとして扱うことができる。これは、フィラーの有効体積を増加させ、それにより所与の伸び(つまり、ひずみ)における応力を増加させる。フィラー凝塊は、ひずみの増加と共に徐々に破壊され、そのためフィラー凝塊形成が、所与の伸びにおける応力に対して及ぼす効果が減少し、最終的には約100%の伸びで消失することになる。その一方で、より高い伸び、例えば300%伸びでは、異なる機序が関与する。凝集体間結合の非存在下では、ポリマーとフィラーとの相互作用は、応力に対してより大きな効果を示す。ポリマーとフィラーとの相互作用が弱い場合、大きなひずみは、ブラック表面のゴム分子の滑り及び脱着(deattachment)(脱濡れ(dewetting))をもたらし、所与のひずみでの応力を低減する。応力に対する架橋密度の効果は、100%及び300%ひずみの両方でほぼ同じである。その結果、比率T300/T100は、ゴム内ポリマー−フィラー相互作用の尺度を提供する(S.Wolff及びM.−J.Wang、Rubber Chem.Technol.、65巻、329頁(1992年))。
【0018】
また、本発明者らは、充填ゴムに対する向上性は、複合材の微細構造に反映されることを見出した。米国特許第6,048,923号に記載のように、そこに開示されている方法により生成されたゴム複合材は、乾燥混合ゴムと比べてフィラーの巨視的分散の向上を示す。巨視的分散は、非分散面積パーセントD(%)により示され、10ミクロン以上の長さスケールでの複合材内のフィラーの分散を記述する。いかなる特定の理論によっても束縛されないが、良好な巨視的分散は、フィラーペレットの破壊、及びその結果生じた材料のエラストマーマトリックス内での均一な分布に起因すると考えられる。本発明者らは、より短い長さスケールと比べたフィラー分布の向上が、バルク生成物の機械的性質の向上と関連していることを見出した。複合材微細構造のこの特徴は、微粒分散と名付けられている。いかなる特定の理論によっても束縛されないが、微粒分散の向上は、複合材内の個々のフィラー凝集体及び/又は凝集体の小さなクラスター(つまり、凝塊)のより良好な分離に起因すると考えられる。
【0019】
本明細書で使用される場合、用語「凝集体」は、フィラーの最も小さな分散可能な単位を指す。例えば、カーボンブラック凝集体は、カーボンブラックの一次粒子で作られており、一般的に機械的な力によってより小さな小片へとバラバラにすることができない。本明細書で使用される場合、用語「凝塊」は、互いに物理的に接触しており、物理的な力により一緒に保持されている複数の凝集体を指す。これら凝塊は、機械的な力によってより小さな単位又は粒子へとバラバラにすることができ、より小さな単位は、凝集体、より小さな凝塊、又はその両方であってもよい。
【0020】
カーボンブラックとゴムとの間の導電率の差を利用して、カーボンブラック−ゴム複合材中の微粒分散を特徴付けることができる。そのような複合材の導電率は、主にカーボンブラックの濃度及び形態(例えば、表面積、粒径、及び構造)に依存する。加えて、これら複合材の導電率は、ゴムマトリックス中のカーボンブラックの分散状態により影響を受ける。カーボンブラック−ゴム複合材の導電率は、まず増加し、その後カーボンブラックがマトリックス中により分散するようになると共に減少する(A.I.Medalia、「Electrical Conduction in Carbon Black Composites」、Rubber Chemistry and Technology、1986年、59巻、432頁)。最初の増加は、より大きなカーボンブラック凝塊の分布及び分散が増加し、それにより複合材中の粒子間の平均距離が減少することに起因する。更なる分散の向上は、導電率の低下に結び付く。上述のように、これは、系内で個々のカーボンブラック凝集体の小さな集団が分離することに起因する(Medalia、1986年)。
【0021】
ある実施形態では、湿式混合エラストマー複合材は、天然ゴム及びカーボンブラックから調製される。エラストマー複合材が、標準的方法、CTV法1(下記に規定されている)を使用して加工される場合、その結果生じる加硫された湿式混合エラストマー複合材は、ln(比抵抗)≧−0.1(配合量)+x(式中、xは14である)を満たす比抵抗を示す。その代わりに又はそれに加えて、比抵抗はまた、ln(比抵抗)≧−0.1(配合量)+x(式中、xは14.5である)を満たしてもよい。加えて、比抵抗は、ln(比抵抗)≦−0.1(配合量)+y(式中、yは17である)を満たしてもよい。その代わりに又はそれに加えて、yは16であってもよい。その代わりに又はそれに加えて、加硫された湿式混合エラストマー複合材は、同じ組成を有し、比較法、CTV比較法1(下記で規定されている)を使用して調製した加硫された乾燥混合エラストマー複合材の比抵抗よりも少なくとも約2.9倍高い、例えば少なくとも約3.5倍高い、少なくとも約4倍高い、少なくとも約4.5倍高い、又は少なくとも約5倍高い比抵抗を示す。例えば、加硫された湿式混合複合材の比抵抗は、加硫された乾燥混合複合材の比抵抗よりも約3倍〜約6倍高いか、約4倍〜約5倍高いか、約2倍〜約5.5倍高いか、又は約2.5倍〜約4.5倍高くともよい。これら実施形態のいずれにおいても、湿式混合エラストマー複合材は、2phr未満の界面活性剤、例えば1.5phr未満の界面活性剤、1phr未満の界面活性剤、0.75phr未満の界面活性剤、0.5phr未満の界面活性剤、又は0.25〜2phrの界面活性剤を含んでいてもよい。
【0022】
本明細書で使用される場合、CTV法1は、表1の配合及び表2の手順を使用して1.6Lバンバリー混合機でマスターバッチを配合することを意味する。各バンバリー混合段階の後、配合物を、周囲温度及び約40rpmで、約2mmのニップギャップ(nip gap)を用いて、4つのクロスカット(cross−cut)及び2つのエンドロール(end−roll)を使用して操作された2本ロールミルでシート状にし、段階1及び段階2の混合間の静止時間は4〜6時間である。その後、配合物を、2mm厚のスペーサーを有する型を使用した150℃のプレスで、従来のゴムレオメーターで決定される時間(つまり、T90+T90の10%)硬化させる。
【0023】
【表1】

【0024】
【表2】

【0025】
本明細書で使用される場合、CTV比較法1は、表1の配合及び表3の手順を使用して1.6Lバンバリー混合機で加硫されたエラストマー複合材を調製することを意味する。各バンバリー混合段階の後、配合物を、周囲温度及び約40rpmで、約2mmのニップギャップを用いて、4つのクロスカット及び2つのエンドロールを使用して操作された2本ロールミルでシート状にし、段階1及び段階2の混合間の静止時間は4〜6時間である。その後、配合物を、2mm厚のスペーサーを有する型を使用した150℃のプレスで、従来のゴムレオメーターで決定される時間(つまり、T90+T90の10%)硬化させる。
【0026】
【表3】

【0027】
加硫された配合物の取り扱いは、比抵抗に影響を及ぼす場合がある。試験結果のゆがみを回避するために、配合物は、高湿又は高温(例えば、約30又は40℃を超える)条件下で長期間保管されるべきでなく、機械的に著しく変形されるべきでもない。
【0028】
本発明のある実施形態により調製された湿式混合エラストマー複合材ブレンドは、同じ組成を有する加硫された乾燥混合エラストマー複合材ブレンドの同比率よりも少なくとも約18%大きな、T100に対するT300の比率を示す。例えば、加硫された湿式混合エラストマーブレンドの比率T300/T100は、乾燥混合エラストマー複合材ブレンドよりも、少なくとも約20%大きいか、少なくとも約25%大きいか、少なくとも約30%大きいか、又は少なくとも約35%大きくてもよいその代わりに又はそれに加えて、湿式混合エラストマー複合材ブレンドの比率T300/T100は、乾燥混合エラストマー複合材ブレンドよりも、約20%〜約30%大きいか、約25%〜約35%大きいか、約30%〜約40%大きいか、又は約35%〜約45%大きくともよい。これら実施形態のいずれにおいても、湿式混合エラストマー複合材は、2phr未満の界面活性剤、例えば1.5phr未満の界面活性剤、1phr未満の界面活性剤、0.75phr未満の界面活性剤、0.5phr未満の界面活性剤、又は0.25〜2phrの界面活性剤を含んでいてもよい。
【0029】
本明細書で使用される場合、用語「湿式混合エラストマー複合材ブレンド」は、湿式マスターバッチプロセスにより調製されたエラストマー複合材ブレンドを指す。対照的に、用語「乾燥混合エラストマー複合材ブレンド」は、2つの乾燥エラストマー(例えば、1%未満の水分)を粉末形態の微粒子フィラーと混合することにより、又は乾燥エラストマーをエラストマーマスターバッチと混合することにより調製されたエラストマー複合材ブレンドを指す。
【0030】
エラストマー複合材ブレンドの調製
図1に示されているように、微粒子フィラースラリーは、フィラー供給ライン12により凝固反応器11の混合部分10に供給される。第1のエラストマーラテックスは、ラテックス供給ライン14により混合部分10に供給される。第2のエラストマーラテックスは、ラテックス供給ライン16により混合部分10に供給される。2つのラテックスは、混合部分10で凝固し、エラストマー及び微粒子フィラーを両方とも含む凝固ゴムは、凝固反応器11のディフューザー部分17を通って進行する。図1に示されているように、ディフューザー部分17は、各区間がその前の区間18よりも次第により大きな直径を有する一連の区間18a〜18dを有する。好ましくは、移行領域20a〜cは、1つの区間18から次の区間へと徐々に増加する直径を備える。当業者であれば、ディフューザー部分は、図に示されているよりも多数の又は少数の区間18を有していてもよいことを認識するだろう。エラストマー複合材凝固ゴムは、「マスターバッチクラム」としてディフューザー部分17から出てくる。
【0031】
1つの実施形態では、マスターバッチクラムは、凝固反応器11から、単純な重力落下により脱水押出機へと渡されるか、又は当業者に公知の他の好適な装置へと渡される。脱水押出機は、エラストマー複合材を、例えばおよそ70〜85%の含水量から、所望の含水量、例えばおよそ1%〜20%の含水量にすることができる。最適な含水量は、使用されるエラストマー、フィラーのタイプ、及び所望の下流処理手順に応じて様々であってもよい。好適な脱水押出機は、周知であり、例えばFrench Oil Mill Machinery Co.社(ピクア、オハイオ州、米国)から市販されている。
【0032】
脱水した後、その結果生じた脱水凝固ゴムを乾燥してもよい。ある実施形態では、脱水凝固ゴムは、単に熱乾燥される。好ましくは、脱水凝固ゴムは、乾燥中に機械的に素練り(masticate)される。例えば、脱水凝固ゴムは、連続混合機、密閉式混合機、2軸押出機、単軸押出機、又はローラーミルの1つ又は複数を用いて機械的に処理してもよい。好適な素練りデバイスは、周知であり、市販されており、それらには以下のものが含まれる:例えば、Farrel Corporation社製、アンソニア、コネティカット州のUnimix Continuous Mixer及びMVX(Mixing(混合)、Venting(通気)、eXtruding(押出))機、Pomini,Inc.社製の長連続混合機、Pomini Continuous Mixer、2ローター同方向回転噛合押出機、2ローター逆回転非噛合押出機、バンバリー混合機、ブラベンダー混合機、噛合型密閉式混合機、混練型密閉式混合機、連続配合押出機、神戸製鋼所社製の2軸ミリング押出機(biaxial milling extruder)、及びKobe Continuous Mixer。本発明の種々の実施形態での使用に好適な代替的な素練り装置は、当業者によく知られているだろう。脱水複合材を機械的に素練りするための例示的な方法は、米国特許第6,929,783号及び第6,841,606号、並びにPCT出願第US09/000732号に開示されており、これら文献の全ての内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0033】
ある実施形態では、添加剤は、機械式混合機中で脱水凝固ゴムと混合することができる。詳しくは、フィラー(凝固反応器で使用されるフィラーと同じであってもよく、又は異なっていてもよく、例示的なフィラーには、シリカ及び酸化亜鉛が含まれ、酸化亜鉛は硬化剤としても作用する)、他のエラストマー、他の又は追加的なマスターバッチ、酸化防止剤、オゾン劣化防止剤、可塑剤、加工助剤(例えば、硬化剤として使用することもできるステアリン酸、液状ポリマー、油類、及びワックス等)、カップリング剤、樹脂、難燃剤、エキステンダー油、潤滑剤、及びそれらのいずれかの混合物等の添加剤を、機械式混合機に添加することができる。ある他の実施形態では、追加的なエラストマーを脱水凝固ゴムと混合して、エラストマーブレンドを生成することができる。例示的なエラストマーには、これらに限定されないが、1,3−ブタジエン、スチレン、イソプレン、イソブチレン、2,3−ジアルキル−1,3−ブタジエンのゴム、ポリマー(例えば、ホモポリマー、コポリマー、及び/又はターポリマー)が含まれ、アルキルは、メチル、エチル、プロピル等、アクリロニトリル、エチレン、及びプロピレン等であってもよい。マスターバッチブレンドを生成する方法は、本発明者らが共同で所有する米国特許第7,105,595号、第6,365,663号、及び第6,075,084号に開示されている。その代わりに又はそれに加えて、従来の配合技術を使用して、加硫剤及び当技術分野で公知の他の添加剤を、脱水凝固ゴムと、又は素練り装置を使用して材料を乾燥させる場合は、その結果生じた素練りされたマスターバッチと、所望の使用に応じて混合してもよい。
【0034】
凝固反応器11の混合部分10は、幾つかの様式で構成されていてもよい。図2Aは、フィラー供給ライン212、第1のラテックス供給ライン214、及び第2のラテックス供給ライン216から出てくる材料が全て、実質的に同時に互いに混合される例示的な構成を示す。第1のラテックス供給ライン214及びフィラー供給ライン212との角度ベータ、及び第2のラテックス供給ライン216及びフィラー供給ライン212との角度ベータ’は、独立して変化させることができる。これら角度はいずれも、0°を超えて180°未満まで変化させることができる。好ましくは、ベータ及びベータ’は、30°から90°まで独立して変化する。最適な角度は、部分的には、3つの流体の相対的流速及びそれらの組成により決定することができる。
【0035】
2つのラテックス供給ライン間の角度アルファも、0°を超えて180°未満まで変化させることができる(図3)。その代わりに又はそれに加えて、複数のラテックス供給ラインを、第1及び第2のエラストマーラテックス流動のいずれか又は両方のために使用してもよい。
【0036】
その代わりに又はそれに加えて、2つのラテックスの注入地点は、フィラースラリーの注入に対して互い違いに配置されていてもよい(図2B)。例えば、第1のラテックス供給ライン214及び第2のラテックス供給ライン216の出口は、距離xにより離間されてもよい。
【0037】
好ましくは、第1のエラストマーラテックスは、天然ゴムラテックスから調製される。用語「ジエン」エラストマー又はゴムは、公知のように、少なくとも部分的には、ジエン単量体(共役であってもよく又は共役でなくともよい2つのカーボン間二重結合を保持する単量体)から生じる(つまり、ホモポリマー又はコポリマー)エラストマー(1つ又は複数と理解される)を意味すると理解されるべきである。
【0038】
これらジエンエラストマーは、2つの分類:「本質的に不飽和」又は「本質的に飽和」に分類することができる。用語「本質的に不飽和」は、一般的に、少なくとも部分的には、15%(mol%)を超えるジエン由来単位(共役ジエン)のレベルを有する共役ジエンモノマーから生じるジエンエラストマーを意味すると理解され、従って、ジエン及びEPDMタイプのα−オレフィンのブチルゴム又はコポリマー等のジエンエラストマーは、上記の定義内に入らず、特に「本質的に飽和」ジエンエラストマーと記述することができる(低いか又は非常に低いレベルのジエン由来単位、常に15%未満)。「本質的に不飽和」ジエンエラストマーの分類では、用語「高度不飽和」ジエンエラストマーは、特に、50%を超えるジエン由来単位(共役ジエン)のレベルを有するジエンエラストマーを意味すると理解される。
【0039】
従って、天然ゴムは、「高度不飽和」ジエンエラストマーの分類に属する。例示的な天然ゴムラテックスには、これらに限定されないが、農園ラテックス(field latex)、ラテックス濃縮物(例えば、蒸発、遠心分離、又はクリーミングにより生成される)、スキムラテックス(skim latex)(天然ゴムラテックスの遠心分離の副産物)、及びこれらの任意の2つ又は3つの任意の割合のブレンドが含まれる。ラテックスは、最終ゴム製品の使用目的及び応用に適切であるべきである。ラテックスは、典型的には水性キャリア流体で提供される。好適なラテックス又はラテックスのブレンドの選択は、本開示の利益及び当産業で一般的によく認識されている選択基準に関する知識を考慮すると、十分に当業者の能力内であろう。
【0040】
また、天然ゴムラテックスは、幾つかの様式で化学的に修飾されていてもよい。例えば、天然ゴムラテックスは、種々の非ゴム成分を化学的に修飾又は還元するように処理されてもよく、ゴム分子それ自体が、種々の単量体又は塩素等の他の化学基で修飾されていてもよい。天然ゴムラテックスを化学的に修飾する例示的な方法は、以下の文献に開示されている:欧州特許出願公開第1489102号、第1816144号、及び第1834980号、特開第2006152211号、第2006152212号、第2006169483号、第2006183036号、第2006213878号、第2006213879号、第2007154089号、及び第2007154095号、米国特許第6841606号及び第7312271号、並びに米国特許出願公開第2005−0148723号。当業者に公知である他の方法も同様に使用することができる。
【0041】
好ましくは、第2のエラストマーラテックスは、合成エラストマーラテックスを使用して調製される。エラストマーは、示差走査熱量測定法(DSC)により測定される、約−120℃〜20℃の範囲のガラス転移温度(Tg)を有していてもよい。本発明による複合材の合成ジエンエラストマーは、好ましくは、ポリブタジエン(「BR」と略する)、合成ポリイソプレン(IR)、ブタジエンコポリマー、イソプレンコポリマー、及びこれらエラストマーの混合物からなる高度不飽和ジエンエラストマーの群から選択される。そのようなコポリマーは、より好ましくは、ブタジエン/スチレンコポリマー(SBR)、イソプレン/ブタジエンコポリマー(BIR)、イソプレン/スチレンコポリマー(SIR)、及びイソプレン/ブタジエン/スチレンコポリマー(SBIR)からなる群から選択される。
【0042】
エラストマーは、例えば、ブロックエラストマー、ランダムエラストマー、シーケンシャル(sequential)エラストマー、又はマイクロシーケンシャル(microsequential)エラストマーであってもよく、分散系又は溶液で調製することができ、それらは、カップリング剤及び/又は星状分岐剤又は官能化剤を用いてカップリング及び/又は星状分岐化又は同様に官能化されていてもよい。カーボンブラックとのカップリングの場合、例えば、C−Sn結合を含む官能基又はベンゾフェノン等のアミノ化官能基に言及することができ、例えばシリカ等の補強用無機フィラーとのカップリングの場合、例えば、シラノール官能基又はシラノール端を有するポリシロキサン官能基(例えば、米国特許第6 013 718号に記載のもの等)、アルコキシシラン基(例えば、米国特許第5 977 238号に記載のもの等)、カルボキシル基(例えば、米国特許第6 815 473号又は米国特許出願公開第2006/0089445号に記載のもの等)、又はポリエーテル基(例えば、米国特許第6 503 973号に記載のもの等)に言及することができる。そのような官能化エラストマー他の例として、エポキシ化タイプのエラストマー(SBR、BR、NR、又はIR等)にも言及することができる。
【0043】
以下のものが、好ましく好適である:ポリブタジエン、特に4%〜80%の1,2単位の含有量を有するもの、又は80%を超えるcis−1,4単位の含有量を有するもの;ポリイソプレン、ブタジエン/スチレンコポリマー、特に5%〜70重量%、例えば10%〜50重量%、より詳しくは20%〜40重量%又は23%〜28重量%のスチレン含有量、4%〜65%のブタジエン部分の1,2−結合の含有量、及び20%〜80%のtrans−1,4−結合の含有量を有するもの;ブタジエン/イソプレンコポリマー、特に5%〜90重量%のイソプレン含有量、及び−40℃〜−80℃のガラス転移温度(「Tg」−ASTM D3418−82に従って測定される)を有するもの;又はイソプレン/スチレンコポリマー、特に5%〜50重量%のスチレン含有量、及び−25℃〜−50℃のTgを有するもの。
【0044】
ブタジエン/スチレン/イソプレンコポリマーの場合、5%〜50重量%の、及びより詳しくは10%〜40%のスチレン含有量、15%〜60重量%の、及びより詳しくは20%〜50%のイソプレン含有量、5%〜50重量%の及びより詳しくは20%〜40%のブタジエン含有量、4%〜85%のブタジエン部分の1,2−単位の含有量、6%〜80%のブタジエン部分のtrans−1,4−単位の含有量、5%〜70%のイソプレン部分の1,2−及び3,4−単位の含有量、及び10%〜50%のイソプレン部分のtrans−1,4−単位の含有量を有するもの、並びにより一般的には、−20℃〜−70℃のTgを有する任意のブタジエン/スチレン/イソプレンコポリマーが特に好適である。
【0045】
ランダムコポリマーがより一般的に利用されることになると予想されるが、ブロックコポリマーのエマルジョンも、本明細書の教示による使用に好適である。本明細書に記載の合成エラストマーのいずれの油展誘導体も好適である。幾つかの実施形態では、ラテックス流動と共に、凝固剤、例えば塩又は酸性溶液を注入して、エラストマーの凝固を促進することが望ましい場合がある。
【0046】
微粒子フィラー流体は、カーボンブラックスラリー又は好適なキャリア流体中の任意の他の好適なフィラーであってもよい。キャリア流体の選択は、微粒子フィラーの選択及びシステムパラメーターに大きく依存するだろう。水性及び非水性流体の両方を使用することができ、そのコスト、入手しやすさ、並びにカーボンブラック及びある他のフィラースラリーの生成に使用する適合性を考慮して、多くの実施形態では、水が好ましい。また、少量の水混和性有機溶媒が、水性キャリア流体に含まれていてもよい。
【0047】
微粒子フィラー又は微粒子フィラーの混合物の選択は、エラストマーマスターバッチ生成物の使用目的に大きく依存するだろう。本明細書で使用される場合、微粒子フィラーは、マスターバッチプロセスで使用するのに適切な任意の物質を含んでいてもよい。好適な微粒子フィラーには、例えば、伝導性フィラー、補強用フィラー、短繊維(典型的には、40未満のL/Dアスペクト比を有する)、フレーク等を含むフィラーが含まれる。下記でより詳細に考察されているカーボンブラック及びシリカタイプのフィラーに加えて、フィラーは、粘土、ガラス、アラミド繊維等のポリマーで形成されていてもよい。エラストマー組成物での使用に好適な任意のフィラーを、本発明の種々の実施形態によるエラストマー複合材に組み込むことができると予想される。無論、本明細書で考察された種々の微粒子フィラーのブレンドも使用することができる。
【0048】
カーボンブラックフィラーが使用される場合、カーボンブラックの選択は、エラストマーマスターバッチ生成物の使用目的に大きく依存するだろう。随意に、カーボンブラックフィラーは、スラリーにしてラテックスと混合することができるあらゆる物質を含むこともできる。例示的な微粒子フィラーには、これらに限定されないが、カーボンブラック、ヒュームドシリカ、沈殿シリカ、被膜カーボンブラック、有機基を結合させたもの等の化学的に官能化されたカーボンブラック、及びシリコン処理カーボンブラックが、単独又は互いの組合せのいずれかで含まれる。例示的なカーボンブラックには、ASTM N100シリーズ〜N900シリーズのカーボンブラック、例えばN100シリーズのカーボンブラック、N200シリーズのカーボンブラック、N300シリーズのカーボンブラック、N700シリーズのカーボンブラック、N800シリーズのカーボンブラック、又はN900シリーズのカーボンブラックが含まれる。以下の商標名で販売されているカーボンブラック及びゴム又はタイヤに応用するための使用に好適な他のフィラーも種々の実施形態での使用に利用することができる:Cabot Corporation社から入手可能なRegal(登録商標)、Black Pearls(登録商標)、Spheron(登録商標)、Sterling(登録商標)、及びVulcan(登録商標)の商標名、Columbian Chemicals社から入手可能なRaven(登録商標)、Statex(登録商標)、Furnex(登録商標)、及びNeotex(登録商標)の商標名、並びにCD及びHVライン、Evonik(Degussa)Industries社から入手可能なCorax(登録商標)、Durax(登録商標)、Ecorax(登録商標)、及びPurex(登録商標)の商標名、並びにCKライン。好適な化学的に官能化されたカーボンブラックには、国際出願PCT/US95/16194号(国際公開第96/18688号)に開示されているものが含まれ、その開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0049】
シリコン被膜及びシリコン処理カーボンブラックを、種々の実施形態で使用することができる。シリコン処理カーボンブラックでは、シリコンの酸化物又はカーバイド等のシリコン含有種が、カーボンブラックの固有な部分として、カーボンブラック凝集体の少なくとも一部にわたって分布している。従来のカーボンブラックは、炭素の単一相からなる各凝集体との凝集体の形態で存在する。この相は、黒鉛結晶子及び/又は無定形炭素の形態で存在していてもよく、通常はこの2つの形態の混合物である。カーボンブラック凝集体は、カーボンブラック凝集体の表面の少なくとも一部に、シリカ等のシリコン含有種を堆積させることにより修飾されていてもよい。結果は、シリコン被膜カーボンブラックと記述することができる。
【0050】
本明細書でシリコン処理カーボンブラックと記述されている材料は、被膜されているか又はそうでなければ修飾されているカーボンブラック凝集体ではないが、実際には2つの相を有する異なる種類の凝集体である。1つの相は、依然として黒鉛結晶子及び/又は無定形炭素として存在しているであろう炭素であり、第2の相は、シリカ(及び恐らくは他のシリコン含有種)である。従って、シリコン処理カーボンブラックのシリコン含有種相は、凝集体の固有の部分であり、それは、凝集体の少なくとも一部にわたって分布している。様々なシリコン処理ブラックが、Ecoblack(商標)の名でCabot Corporation社から入手可能である。多相凝集体は、それらの表面に堆積したシリコン含有種を有する、事前に形成された単相カーボンブラック凝集体からなる、上記で言及したシリカ被膜カーボンブラックとは全く異なることが認識されるだろう。そのようなカーボンブラックは、例えば、米国特許第6,929,783号に記載のように、カーボンブラック凝集体の表面にシリカ官能性を付加するために表面処理されてもよい。
【0051】
また、それが好適な場合は、1つ又は複数の添加剤を、微粒子スラリー又は第1若しくは第2のエラストマーラテックス流体のいずれかと予混合してもよく、又は凝固中にそれらの混合物と混合してもよい。添加剤は、凝固ゴムに混合することもできる。多数の添加剤が当業者に周知であり、それらには、例えば、酸化防止剤、オゾン劣化防止剤、可塑剤、加工助剤(例えば、液状ポリマー、及び油類等)、樹脂、難燃剤、エキステンダー油、潤滑剤、及びそれらのいずれかの混合物が含まれる。例示的な添加剤には、これらに限定されないが、酸化亜鉛及びステアリン酸が含まれる。そのような添加剤の一般的な使用及び選択は、当業者に周知である。
【0052】
第1及び第2のエラストマーの乾燥ゴム含有量の比率(つまり、第1及び第2のエラストマーラテックスが凝固ゴムに寄与するゴム量)は、2つのエラストマーの相対的流速を調整することにより、例えば、水及び/又はスキムラテックス又はその両方で2つのエラストマーラテックスのうちの1つを希釈することにより、調整することができる。フィラー配合量を最適化するために操作することができる他の変数には、エラストマーラテックス流動及びフィラースラリーの絶対的流速(例えば、生産速度)、並びにエラストマーラテックス流動及びフィラースラリーの相対的流速(例えば、フィラー配合量)が含まれる。
【0053】
エラストマー複合材中のフィラーの量は、エラストマー複合材を製作するために使用されるフィラーのいかなる量であってもよい。例えば、ゴムは、ゴム百重量部当たり(phr)少なくとも30重量部、少なくとも40phr、少なくとも50phr、少なくとも55phr、少なくとも60phr、少なくとも65phr、少なくとも70phr、少なくとも75phr、少なくとも80phr、少なくとも85phr、少なくとも90phr、少なくとも95phr、又は少なくとも100phrのフィラーを用いて生成することができる。
【0054】
その結果生じたエラストマー複合材ブレンドは、タイヤの種々の部分、例えばタイヤトレッド、タイヤサイドウォール、タイヤ用ワイヤースキム、及び再生タイヤ用のクッションゴムに使用されるか又は使用するために生成することができる。これらエラストマー複合材ブレンドの追加的な非タイヤ応用には、これらに限定されないが、以下のものが含まれる:エンジンマウントのゴム部品、タンクトラック(tank track)、採掘ベルト(mining belt)、ハイドロマウント(hydro−mount)のゴム部品、橋梁支承、免震装置、ブルドーザー等の無限軌道推進装備用の無限軌道(track)又は無限軌道パッド(track pad)、ふるい等の採掘装備、採掘装備ライニング、コンベヤーベルト、シュートライナー、スラリーポンプライナー、インペラー、弁座、弁本体、ピストンハブ、ピストンロッド、及びプランジャー等の泥水ポンプ部品、スラリー混合及びスラリーポンプインペラー等の種々の応用用のインペラー、細砕ミルライナー、サイクロン及び液体サイクロン、並びに伸縮継ぎ手、ポンプのライニング(例えば、船外機ポンプ、しゅんせつポンプ)、ホース(例えば、しゅんせつホース及び船外機ホース)、及び他の船舶用装備等の船舶用装備、船舶用、油用、航空宇宙用、及び他の応用用のシャフトシール、プロペラシャフト、例えばオイルサンド及び/又はタールサンドを運搬するためのパイプ用ライナー、並びに耐摩耗性が望まれる他のエラストマー応用。ローラー、カム、シャフト、及びパイプ等の種々のタイプの部品も、乗り物用のトレッドブッシング等の金属部品に、ゴムが接着されている応用が利益を得ることができるように、本発明のある実施形態の使用から利益を得ることができる。
【0055】
また、本発明の種々の実施形態により生成されるエラストマー複合材ブレンドは、タイヤの製造を目的としたエラストマー組成物での使用に、及び上述の非タイヤ応用での使用に一般的に使用される通常の添加剤の全て又は部分を含んでいてもよく、それらは、例えば、抗オゾンワックス、化学的オゾン劣化防止剤、酸化防止剤、補強用樹脂、メチレン受容体(例えば、フェノールノボラック樹脂)、又はメチレン供与体(例えば、HMT又はH3M)等の保護剤、硫黄又は硫黄の供与体、及び/又は過酸化物、及び/又はビスマレイミド、加硫促進剤、又は加硫活性化剤のいずれかに基づく架橋系等である。
【0056】
また、エラストマー複合材ブレンドは、カップリング剤が使用される場合、カップリング活性化剤を含んてもよく、無機フィラーを被膜する作用剤又はより一般的には加工助剤は、既知の様式で、ゴムマトリックス中のフィラーの分散を向上させることにより、組成物の粘性を低下させることが可能か、又はそれらの生状態での加工特性を向上させることが可能であり、これら作用剤は、例えば、アルキルアルコキシシラン、ポリオール、ポリエーテル、アミン、又はヒドロキシル化若しくは加水分解性(hydrolysable)ポリオルガノシロキサン等の加水分解性シランである。
【0057】
本発明は、本来例示に過ぎないことが意図されている以下の例により更に明らかにされるだろう。
【0058】
実施例
カーボンブラックスラリーの調製
乾燥N234カーボンブラック(Cabot Corporation社、ボストン、マサチューセッツ州)を水と混合し、粉砕して約10〜15%の濃度を有するスラリーを形成した。スラリーが噴流として混合領域に導入されるように、スラリーを約3000psigの操作圧力でホモジナイザーに供給して、微細に粉砕されたカーボンブラックスラリーを生成した。カーボンブラック流速を、約690〜1160kg/時に調整して、最終カーボンブラック配合量レベルを変更した。実際のカーボンブラック配合量レベルを、窒素熱分解又は熱重量分析(TGA)により決定した。
【0059】
天然ゴムラテックスの送出
約27〜31%の乾燥ゴム含有量を有する農園ラテックスを、凝固反応器の混合領域にポンピングした。最終カーボンブラック配合量レベル並びに天然ゴム及び合成ラテックスの相対的割合を変更するために、ラテックス流速を、約650〜720kg/時の間で調整した。
【0060】
合成ラテックスの送出
スチレン‐ブタジエンラテックス(Nipol LX112、日本ゼオン株式会社、東京、日本)を、天然ゴムラテックスと同時に注入するために凝固反応器の混合領域にポンピングした。最終カーボンブラック配合量レベル並びに天然ゴム及び合成ラテックスの相対的割合を変更するために、ラテックス流速を、約130〜310kg/時の間で調整した。
【0061】
カーボンブラック及びラテックスの混合
カーボンブラックスラリー、天然ゴムラテックス、及び合成ラテックスは、2つのラテックス流動を、図1に示されているものに類似した凝固反応器の混合部分で、カーボンブラックスラリーに混入させることにより混合した。混入プロセス中に、カーボンブラックはラテックスによく混合し、混合物は凝固した。
【0062】
脱水
凝固反応器から吐出されたマスターバッチクラムを、脱水押出機(The French Oil Machinery Company社、ピクア、オハイオ州)を用いて、10〜20%の水分量に脱水した。押出機では、マスターバッチクラムが圧縮され、クラムから絞り出された水は、押出機の溝付きバレルを通して放出された。
【0063】
乾燥及び冷却
脱水凝固ゴムを、連続配合機(Farrel Continuous Mixer(FCM)、Farrel Corporation社製)に落下させ、そこで凝固ゴムを素練りし、酸化防止剤と混合した。FCMを出てくる素練りされたマスターバッチの水分含有量は、約1〜2%だった。生成物を、開口ミルで更に素練り及び冷却した。
【0064】
硬化
冷却したエラストマー複合材を、表4の配合及び表5に概説された手順に従って配合した。
【0065】
【表4】

【0066】
【表5】

【0067】
加硫は、従来のゴムレオメーターにより決定される時間(つまり、T90+T90の10%、式中T90は、90%の加硫を達成する時間である)、150℃に設定された加熱プレスで実施した。
【0068】
比較例−乾燥混合
乾燥混合エラストマーブレンドを、凝固天然ゴム、及びSBR1500、Polimeri Europa社(ミラノ、イタリア)から入手可能な凝固ゴム又は凝固したNipol LX112(日本ゼオン株式会社)のいすれかから調整した。Nipol LX112は、10%H2SO4でpHを3に調整した後、ラテックス1キログラム当たり0.15kgの10%Ca(N032水溶液を用いて凝固させた。これら材料は、上記の表4の配合及び表6の手順を使用して配合した。
【0069】
【表6】

【0070】
材料の特徴付け
加硫した試料の引張応力(T300及びT100)を、ASTM規格D−412に従って測定した。Tanδ(Tan delta)60°を、10Hz及び60℃で0.01%〜60%の動的ひずみ掃引(dynamic strain sweep)を使用して決定した。Tanδmaxを、このひずみ範囲内のtanδの最大値として得た。反発弾性を、ASTM規格D7121に従って測定した。
【0071】
Tanδ30°を、下記の方法に従って測定し、試験片は、Chemlok(商標)結合剤で被膜された平行板間の直径16mm及び長さ10mmの硬化シリンダーにより調製した。試験片は全て、試験前の少なくとも24時間の間、試験実験室で平衡化させ、全てレオメーター中で試験温度(30℃)にて15〜20分間暖めた。試料に、まず1Hzにて25%までのひずみを与え、20%の定常ひずみで30秒間保持し、その後0.1%から30%までひずみ掃引した。
【0072】
巨視的分散は、Alpha Technologies社(アクロン、オハイオ州)から入手可能なdisperGraderを用いて、製造業者の説明書に従って測定した。加硫したゴムを、Alpha Technologies社から入手可能なカッターを使用して切断した。その後、新しい切断表面を、あらかじめプログラムされたEXP−HISTOGRAM/30試験を使用して、非分散面積について分析する。平均非分散面積は、各試料について、試料の3つの異なる区域にわたる3回の走査を使用して報告されている。
【0073】
電気比抵抗測定は、CTV方法1に従って加硫した湿式マスターバッチ材料、及びCTV比較法1に従って加硫した乾燥混合材料に対して実施した。硬化させた後、湿気マスターバッチ材料及び乾燥混合材料の両方から生成されたシートを、少なくとも24時間静置した。図4は、電気的試験用の試料の構成を示す。寸法が150mm×70mmのシート300を、電気接点用の地点305付近の4地点で測定した。試料の両表面をイソプロピルアルコールで拭くことにより洗浄し、その後は必ず手袋をして試料を取り扱った。試料の両端310aに、及び試料の中心付近に2つのストリップ310bとして、銀塗装を施した。型板を使用して、中央ストリップ310bに導電性塗料を塗布した。塗装が乾燥した後、型板を取り外した。調製した試料を、平坦な非伝導性の基板に設置し、電流供給電極を、金属棒によりシートの各端に取り付けた。金電極を、定荷重を負荷するバネ荷重デバイスを使用して中央塗装ストリップに降下させ、それらの最も接近している端部を正確に10mm離して離間させた。これらを電圧測定に使用した。信号発生器を使用して、50ミリ秒の継続期間のパルスを印加し、パルス間で50ミリ秒の間隔をおいた。電流の方向を、各パルス毎に逆転させた。電流を、各連続パルス毎に増加させ、電圧を毎回測定した。初期電流及び電流増加分の大きさは、少なくとも50データ点が0〜10Vの出力範囲にわたって取得されるように選択した。結果をまず点検して、電圧が電流に比例していたことを保証した。その後、電流に対する電圧のプロットを線形回帰することから抵抗を得た。測定した抵抗は、それに平均試料厚を掛け、その結果を中央電極間の距離(10mm)で割ることにより比抵抗に変換した。配合物は全て三重反復で試験し、平均結果を使用した。
【0074】
結果
表7は、上述のように調製した湿式マスターバッチ試料及び乾燥混合試料の加硫ゴムのT300/T100、Tanδ、及び巨視的分散の値を示す。
【0075】
【表7】

【0076】
湿式マスターバッチ材料は、乾燥混合試料と比べて優れた微粒分散を示す。これは、湿式マスターバッチ及び乾燥混合試料のT300/T100の値に反映されている。湿式マスターバッチ試料の優れた性能は、エラストマーと比べて優れたカーボンブラックフィラーの相互作用及び分散を反映する。
【0077】
図5には、天然ゴムラテックスのみを用いて生成された乾燥混合及び湿式マスターバッチ材料、天然ゴムラテックスを用いて生成された湿式マスターバッチ材料をSBRと乾燥混合することにより調製されたブレンド、及び実施例に記載の湿式マスターバッチ法により調製されたブレンドを含む、多数の試料の比抵抗が比較されている。天然ゴムラテックスのみを含むマスターバッチは、促進剤としてTBBSではなくシクロヘキシルベンゾチアゾールスルフェンアミド(CBS)を使用して混練した。これら加硫ゴムと促進剤としてTBBSを使用して調製された加硫ゴムとの間の比抵抗の差は、小さいと予想される。結果は、湿式混合エラストマー複合材ブレンドの比抵抗が、乾燥混合エラストマー複合材ブレンドよりも高いことを示す。加えて、湿式及び乾燥混合エラストマー複合材ブレンドの両方の比抵抗は、天然ゴムラテックスのみを用いて生成された対応する複合材の比抵抗よりも大きい。
【0078】
本発明の好ましい実施形態の先述の記述は、例示及び説明のために示されている。網羅的であることも、開示された厳密な形態に本発明を制限することも意図されていない。改変及び変異は、上記の教示に照らして可能であるか、又は本発明の実施から獲得することができる。実施形態は、本発明の原理、並びに当業者が、種々の実施形態で、企図される特定の使用に適するように種々の改変を施して、本発明を使用することを可能にするその実用的応用を説明するために選択及び記述されている。本発明の範囲は、本明細書に添付の特許請求の範囲及びそれらの等価物により規定されることが意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エラストマー中に分散されたカーボンブラックを含む湿式混合エラストマー複合材であって、前記エラストマーが、天然ゴム及びスチレン‐ブタジエンゴムのブレンドを含み、
前記湿式混合エラストマー複合材がCTV法1で加工される際に、前記加硫された湿式混合エラストマー複合材が、A)式ln(比抵抗)≧−0.1(配合量)+x(式中、xは14である)を満たす自然対数を有する比抵抗、又はB)同じ組成を有し、比較CTV法1を使用して調製された加硫された乾燥混合エラストマー複合材の比抵抗よりも少なくとも2.9倍大きな比抵抗を示す、湿式混合エラストマー複合材。
【請求項2】
エラストマー中に分散されたカーボンブラックを含む加硫された湿式混合エラストマー複合材であって、前記エラストマーが、天然ゴム及びスチレン−ブタジエンゴムのブレンドを含み、前記加硫された湿式混合エラストマー複合材が、前記加硫された湿式混合エラストマー複合材と同じ組成を有する加硫された乾燥混合エラストマー複合材のT300/T100の比率よりも少なくとも18%大きな同比率を示す、加硫された湿式混合エラストマー複合材。
【請求項3】
前記エラストマー複合材が、天然ゴム、及び総ゴム含有量に対して約1〜約36重量%のスチレン‐ブタジエンゴムを含む、請求項1又は2に記載のエラストマー複合材。
【請求項4】
前記エラストマー複合材が、天然ゴム、及び総ゴム含有量に対して約20〜約36重量%のスチレン‐ブタジエンゴムを含む、請求項1又は2に記載のエラストマー複合材。
【請求項5】
前記エラストマー複合材が、0.1%未満の非分散面積の巨視的分散を示す、請求項1〜4のいずれか一項に記載のエラストマー複合材。
【請求項6】
エラストマー複合材を調製するための方法であって、
第1のエラストマーラテックスを含む第1の流体の連続流動を、凝固反応器の混合領域に供給すること、
第2のエラストマーラテックスを含む第2の流体の連続流動を、前記混合領域に供給すること、
微粒子フィラースラリーを含む第3の流体の連続流動を、前記混合領域に供給すること、
前記第1のエラストマーラテックス及び前記第2のエラストマーラテックスを、前記微粒子フィラーと共に凝固させること、並びに
前記凝固ゴム反応器の吐出端からエラストマー複合材の流動を吐出させること、
を含む方法。
【請求項7】
前記第1のエラストマーラテックスが、天然ゴムラテックスを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第2のエラストマーラテックスが、合成エラストマーラテックスを含む、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
前記微粒子フィラーが、カーボンブラックを含む、請求項6〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の流体及び前記第2の流体が、前記第3の流体と混合して混合物を形成し、前記第1の流体及び前記第2の流体が、前記第3の流体と実質的に同時に混合する、請求項6〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
第1のエラストマーラテックスを含む第1の流体の連続流動を、凝固反応器の混合領域に供給すること、
第2のエラストマーラテックスを含む第2の流体の連続流動を、前記混合領域に供給すること、
微粒子フィラースラリーを含む第3の流体の連続流動を、前記混合領域に供給すること、
前記第1のエラストマーラテックス及び前記第2のエラストマーラテックスを、前記微粒子フィラーと共に凝固させること、及び
前記凝固ゴム反応器の吐出端からエラストマー複合材の流動を吐出させること、
を含む方法により調製されるエラストマー複合材。
【請求項12】
前記第1のエラストマーラテックスが、天然ゴムラテックスを含む、請求項11に記載のエラストマー複合材。
【請求項13】
前記第2のエラストマーラテックスが、合成エラストマーラテックスを含む、請求項11又は12に記載のエラストマー複合材。
【請求項14】
前記微粒子フィラーが、カーボンブラックを含む、請求項11〜13のいずれか一項に記載のエラストマー複合材。
【請求項15】
前記第1の流体及び前記第2の流体が、前記第3の流体と混合して混合物を形成し、前記第1の流体及び前記第2の流体が、前記第3の流体と実質的に同時に混合する、請求項11〜14のいずれか一項に記載のエラストマー複合材。
【請求項16】
前記第1の流体及び前記第3の流体が混合して混合物を形成し、前記第2の流体が、前記混合物と混合する、請求項11〜15のいずれか一項に記載のエラストマー複合材。
【請求項17】
前記第1のエラストマーラテックス及び前記第2のエラストマーラテックスが非相溶性である、請求項11〜16のいずれか一項に記載のエラストマー複合材。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2013−505325(P2013−505325A)
【公表日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−529745(P2012−529745)
【出願日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際出願番号】PCT/US2010/002520
【国際公開番号】WO2011/034587
【国際公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(391010758)キャボット コーポレイション (164)
【氏名又は名称原語表記】CABOT CORPORATION
【Fターム(参考)】