説明

エラストマー部材、エラストマー部材の製造方法、および緩衝材

【課題】公知の手法とは異なる手法にて、表面の粘着性を消失ないし抑制したエラストマー部材と、そのようなエラストマー部材の製造方法、および緩衝材の提供。
【解決手段】本発明のエラストマー部材は、100重量部のスチレンブロック共重合体と、50〜2000重量部の炭化水素系プロセスオイルを主成分として含むエラストマー材料で形成された本体11と、フッ素変性アクリル樹脂を主成分として含む樹脂成分をフッ素系揮発性溶剤中に溶解させてなる液状組成物で前記本体11の表面を被覆し、前記液状組成物中に含まれる揮発性成分を揮発させることによって形成された被膜13とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エラストマー部材、エラストマー部材の製造方法、および緩衝材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、粘着性のあるエラストマー材料によって形成された製品は、そのままでは取り扱いにくいため、各種粉体(例えば、タルクなど)を表面に打粉することにより、表面の粘着性を消失ないし弱めて取り扱いやすくしていた。
【0003】
また、下記特許文献1には、膠状体からのブリード(液状成分の漏出)を抑制する技術が記載されている。当該技術において、膠状体の表面には、膠状体に含有される液状成分に対して付着性または吸着性を示す微小体が散布されるが、ここで用いられている微小体も、粉状、繊維状、またはフレーク状のものであった。
【0004】
さらに、本願出願人は、下記特許文献2に記載の技術を提案している。この技術は、粘着性のあるエラストマー材料からなる本体の表面に、フッ素系オイルとフッ素系揮発性溶剤との混合物からなる液状の表面処理剤を付着させる処理を施した後、フッ素系揮発性溶剤を揮発させて、本体の表面にフッ素系オイルの薄層を残すことにより、本体表面の粘着性を消失ないし弱めようとするものである。
【特許文献1】特許第3107542号公報
【特許文献2】特許第3721169号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1,2に記載の技術は、いずれもエラストマー部材表面の粘着性を消失ないし抑制できるという点において有益な技術である。
ただし、エラストマー部材の用途や取り扱い方法は様々であるため、例えば、特定の用途でエラストマー部材を利用する場合には、上記特許文献1,2に記載の技術で対応できないケースもあり、エラストマー部材表面の粘着性を消失ないし抑制できるような新たな技術の開発がさらに要望されていた。
【0006】
本発明は、上記要望に応えるべく開発されたものであり、その目的は、公知の手法とは異なる手法にて、表面の粘着性を消失ないし抑制したエラストマー部材と、そのようなエラストマー部材の製造方法、および緩衝材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、本発明において採用した構成について説明する。
本発明のエラストマー部材は、100重量部のスチレンブロック共重合体と、50〜2000重量部の炭化水素系プロセスオイルを主成分として含むエラストマー材料で形成された本体と、フッ素変性アクリル樹脂を主成分として含む樹脂成分をフッ素系揮発性溶剤中に溶解させてなる液状組成物で前記本体の表面を被覆し、前記液状組成物中に含まれる揮発性成分を揮発させることによって形成された被膜とを備えたことを特徴とする。
【0008】
このエラストマー部材において、本体は、スチレンブロック共重合体と炭化水素系プロセスオイルを主成分として含むエラストマー材料で形成される。このエラストマー材料は、きわめて低硬度な材料で、緩衝材、制振・防振材、パッキンなどの用途に適したエラストマー部材を形成することができる。
【0009】
このエラストマー材料を構成する成分の内、スチレンブロック共重合体の具体例としては、スチレンイソプレンスチレンブロック共重合体(SIS)、スチレンブタジエンスチレンブロック共重合体(SBS)、スチレンエチレンプロピレンブロック共重合体(SEP)、スチレンエチレンブチレンスチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレンエチレンプロピレンスチレンブロック共重合体(SEPS)、スチレンエチレンエチレンプロピレンスチレンブロック共重合体(SEEPS)などを挙げることができ、これらの中から選ばれるいずれか一種を単独で用いるか、二種以上をブレンドして用いることができる。
【0010】
また、炭化水素系プロセスオイルとしては、パラフィン系、ナフテン系、芳香族系のいずれをも用いることができ、これらの中から選ばれるいずれか一種を単独で用いるか、二種以上をブレンドして用いることができる。このような炭化水素系プロセスオイルは、100重量部のスチレンブロック共重合体に対して、50〜2000重量部の割合で配合することが重要であり、これにより、極めて低硬度なエラストマー材料が形成されることになる。
【0011】
なお、本体を形成するエラストマー材料は、スチレンブロック共重合体と炭化水素系プロセスオイルを主成分として含むことが必須であるが、目的に応じた物性(例えば、硬度、圧縮特性、緩衝性、制振性等)が損なわれない範囲であれば、上記主成分以外の成分がいくらか含まれていても構わない。主成分以外の成分としては、例えば、カーボンあるいは金属粉等の導電性フィラー、熱伝導性フィラー、磁性フィラー、炭素繊維、ガラス繊維、可塑剤、滑剤、難燃剤、粘着付与剤、加硫剤、加硫助剤、安定剤、亀裂防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、老化防止剤、オゾン劣化防止剤、防カビ剤、防鼠剤、分散剤、着色剤、耐電防止剤、充填剤、流動改質剤等を挙げることができる。
【0012】
一方、本発明のエラストマー部材において、被膜は、フッ素変性アクリル樹脂を主成分として含む樹脂成分をフッ素系揮発性溶剤中に溶解させてなる液状組成物で本体の表面を被覆し、液状組成物中に含まれる揮発性成分を揮発させることによって形成されたものである。
【0013】
このように形成された被膜は、上述のエラストマー材料で形成された本体の表面に現れる粘着性を抑制し、エラストマー部材の表面を摺動性の高い表面とする。しかも、フッ素変性アクリル樹脂を主成分として含む樹脂成分は、フッ素系揮発性溶剤との相溶性がきわめて高いので、十分な量のフッ素系揮発性溶剤中に溶解させることにより、きわめて薄く塗工することができ、これにより、エラストマー材料の特性を損なわない被膜を本体の表面に形成することができる。すなわち、本発明において使用しているフッ素変性アクリル樹脂を主成分として含む樹脂成分そのものは、単独では本体表面にごく薄く均一に塗工することが困難な成分であるものの、フッ素系揮発性溶剤に溶解させることでごく薄く均一に塗工することができるようになるので、本体の表面をきわめて薄く均一に被覆する被膜を得ることができる。
【0014】
また、フッ素変性アクリル樹脂を主成分として含む樹脂成分を溶解するだけであれば、フッ素系揮発性溶剤以外の各種溶剤を使用することもできるが、本発明の場合、本体がスチレンブロック共重合体と炭化水素系プロセスオイルを主成分として含むエラストマー材料で形成されているため、フッ素系揮発性溶剤以外の溶剤を使用した場合は、溶剤が本体をも溶解してしまう、という問題を招くおそれがある。この点、フッ素系揮発性溶剤であれば、スチレンブロック共重合体と炭化水素系プロセスオイルを主成分として含むエラストマー材料を溶解しないので、本体の形状や特性を維持することができ、その表面に所期の被膜を形成することができる。
【0015】
このような被膜中に含まれる成分の内、フッ素変性アクリル樹脂としては、アクリル酸またはメタクリル酸のアルキルエステルおよびその誘導体の中から選ばれる一種または二種以上と、アクリル酸またはメタクリル酸の部分フッ素化アルキルエステルおよびその誘導体の中から選ばれる一種または二種以上とを重合させてなる共重合体を使用すると好ましい。
【0016】
アクリル酸またはメタクリル酸のアルキルエステルおよびその誘導体の具体例としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ドデシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ドデシル、ヒドロキシブチルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、グリシジルメタアクリレート、ジブチルフマル酸エステル、ジメチルフマル酸エステル等を挙げることができる。
【0017】
また、アクリル酸またはメタクリル酸の部分フッ素化アルキルエステルおよびその誘導体の具体例としては、CH2=CHCOOCH2CH2817、CH2=C(CH3)COOCH2CH2817、CH2=CHCOOCH2CH21225、CH2=C(CH3)COOCH2CH21225、CH2=CHCOOCH2CH21021、CH2=C(CH3)COOCH2CH21021、CH2=CHCOOCH2CH2613、CH2=C(CH3)COOCH2CH2613、CH2=CHCOOCH2CH249、CH2=CFCOOCH2CH2613、CH2=C(CH3)COOCH2CH22041、CH2=C(CH3)COOCH2CH249、CH2=C(CH3)COO(CH261021、CH2=C(CH3)COOCH2CF3、CH2=CHCOOCH2CF3、CH2=CHCOOCH2817、CH2=C(CH3)COOCH2817、CH2=C(CH3)COOCH22041、CH2=CHCOOCH22041、CH2=C(CH3)COOCH2CF(CF32、CH2=C(CH3)COOCH2CFHCF3、CH2=CFCOOCH225、CH2=CHCOOCH2(CH26CF(CF32、CH2=C(CH3)COOCHCF2CFHCF3、CH2=C(CH3)COOCH(C25)C1021、CH2=CHCOOCH2(CF2)2H、CH2=C(CH3)COOCH2(CF22H、CH2=CHCOOCH2(CF24H、CH2=CHCOOCH2CF3、CH2=C(CH3)COO(CF24H、CH2=CHCOOCH2(CF26H、CH2=C(CH3)COOCH2(CF26H、CH2=CHCOOCH2(CF28H、CH2=C(CH3)COOCH2(CF28H、CH2=CHCOOCH2(CF210H、CH2=CHCOOCH2(CF212H、CH2=CHCOOCH2(CF214H、CH2=CHCOOCH2(CF218H、CH2=CHCOOC(CH32(CF24H、CH2=CHCOOCH2CH2(CF27H、CH2=C(CH3)COOCH2CH2(CF27H、CH2=C(CH3)COOC(CH32(CF26H、CH2=CHCOOCH(CF3)C817、CH2=CHCOOCH225、CH2=CHCOOCH2CH(OH)CH2817、CH2=C(CH3)COOCH2CH(OH)(CH2418、CH2=CHCOOCH2CH2N(C37)SO2817、CH2=C(CH3)COOCH2CH2N(CH3)SO2613、CH2=C(Cl)COO(CH26NHSO21225、CH2=CHCOOCH2CH2N(C25)COC715、CH2=CHCOO(CH28N(CH3)COC1225、CH2=CHCOO(CH22(CF28CF(CF32等を挙げることができる。
【0018】
なお、このようなフッ素変性アクリル樹脂を主成分として含む樹脂成分であれば、被膜に求められる機能が損なわれない範囲内で、被膜の物性や塗工性を改善するために、フッ素系揮発性溶剤中に溶解する他の樹脂成分が含まれていてもよい。他の樹脂成分としては、ポリエステル系、ウレタン系、エポキシ系等の樹脂成分を挙げることができ、それらの樹脂の中でもフッ素変性樹脂が用いられると好ましい。
【0019】
さらに、以上のような樹脂成分を溶解して液状組成物とするために用いられるフッ素系揮発性溶剤としては、パーフルオロアルカン、パーフルオロシクロアルカン、パーフルオロエーテル、およびパーフルオロ環状エーテルの中から選ばれる一種または二種以上の混合物を用いると好ましい。
【0020】
より具体的には、例えば、パーフルオロペンタン、パーフルオロヘキサン、パーフルオロヘプタン、パーフルオロオクタン、パーフルオロシクロヘキサン、パーフルオロシクロヘプタン、パーフルオロ(アルキルシクロヘキサン)、パーフルオロ(2−ブチルテトラヒドロフラン)などを挙げることができ、これらの中から選ばれるいずれか一種を単独で用いるか、二種以上をブレンドして用いればよい。
【0021】
なお、最終的に得られる被膜の物性を損なわない範囲内であれば、液状組成物には、フッ素変性アクリル樹脂を主成分として含む樹脂成分およびフッ素系揮発性溶剤以外の成分がいくらか含まれていてもよい。
【0022】
例えば、被膜の摩擦係数をさらに低下させる目的で潤滑剤を添加することもできる。このような潤滑剤としては、例えば、ラウリルアルコール、ドデシルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、エイコシルアルコール、セリルアルコール等の高級アルコールを加えてもよいし、トリデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸等の高級脂肪酸、及びこれら高級脂肪酸のLi、Na、K、Mg、Ca、Ba等の塩を加えてもよいし、ミリスチン酸メチル、ミリスチン酸エチル、ペンタデカン酸イソプロピル、パルミチン酸メチル、パルミチン酸ヘキシル、マルガリン酸ブチル、ステアリン酸メチル、ステアリン酸エチル、ステアリン酸プロピル、ステアリン酸イソプロピル、ステアリン酸アミル、ステアリン酸イソアミル、ステアリン酸ヘキシル等の高級脂肪酸エステルを加えてもよいし、含フッ素シラン化合物を加えてもよいし、ホスファゼン化合物を加えてもよい。潤滑剤の使用量は、溶剤100重量部に対して、通常0.001〜50重量部、好ましくは0.01〜30重量部の範囲で調節するとよい。この他、被膜を任意の色とするための顔料や、抗菌剤、防腐剤、安定化剤などが含まれていてもよい。
【0023】
以上説明したような液状組成物は、本体の形態に応じた任意の塗工法(例えば、ディッピング、スプレー、コーター等)にて本体表面に対して塗工され、本体の表面を被覆した液状組成物から揮発性成分を揮発させることにより、所期の被膜が形成される。
【0024】
液状組成物中に含まれるフッ素系揮発性溶剤は、最終的にはエラストマー材料の表面から揮発し、エラストマー材料の表面には、フッ素変性アクリル樹脂を主成分として含む樹脂成分が不揮発性成分として残されることになるので、液状組成物中に占めるフッ素系揮発性溶剤の割合は任意である。
【0025】
ただし、フッ素系揮発性溶剤の量が少なすぎると粘度が高くなり、本体細部における濡れ性が悪くなる傾向があり、かといって、フッ素系揮発性溶剤の量が多すぎると本体表面に残る樹脂成分の量が相対的に少なくなって被膜による効果が弱くなるので、これらの事情を勘案してフッ素系揮発性溶剤の配合比を調節することが望ましい。
【0026】
この点を考慮すると、本発明のエラストマー部材において、前記被膜は、前記樹脂成分と前記フッ素系揮発性溶剤との配合比を調節することによって粘度が0.5〜10000mPa・sとされた前記液状組成物で前記本体の表面を被覆し、前記液状組成物中に含まれる揮発性成分を揮発させることによって形成されていると好ましい。
【0027】
このようなエラストマー部材であれば、粘度が10000mPa・s以下となるように樹脂成分とフッ素系揮発性溶剤との配合比を調節した液状組成物で本体の表面を被覆してあるので、被膜が本体細部においても均一に形成されたものとなる。しかも、粘度が0.5mPa・s以上となるように樹脂成分とフッ素系揮発性溶剤との配合比を調節した液状組成物で本体の表面を被覆してあるので、フッ素系揮発性溶剤の揮発後に残る樹脂分が過剰に少なくなることもなく、被膜による効果を十分に発揮させることができる。
【0028】
また、上述した液状組成物の粘度は、0.5〜10000mPa・sの範囲内で調製すれば所期の被膜を形成することができるが、液状組成物の塗工法の違いによっても最適な粘度範囲は異なり、また、最終的に得られる被膜の厚さにも差異が生じる傾向がある。したがって、採用したい塗工法や形成したい被膜の厚さに応じて、液状組成物の粘度をさらに最適化することがより一層望ましい。
【0029】
具体例を挙げると、例えば、ディッピング法を用いる場合であれば、20℃における粘度を1〜100mPa・sに調製すると好適である。このような塗工法であれば、比較的単純な形状とされた本体はもちろんのこと、比較的複雑な形状を持つ本体であっても、そのような本体の表面に所期の性能を備えた均一な被膜を形成することができ、例えば、HDDなどの電子デバイスに使用される緩衝材表面の粘着性を抑制し、かつ、その表面に必要な摺動性を与えることができる。したがって、緩衝材を取り付けた電子デバイスの組み付け作業をよりスムーズに実施できるようになる。
【0030】
あるいは、例えば、コーターを利用して塗工する場合であれば、20℃における粘度を100〜5000mPa・sに調製すると好適である。このような塗工法であれば、エラストマー部材表面により厚い被膜を形成することが可能となるので、例えば、シート状のエラストマー部材表面に比較的厚い被膜を形成したいような場合には、効率的に塗工することができる。このような塗工法によってエラストマー部材表面に形成された比較的厚い被膜は、繰り返し摺動をする用途に適したものとなる。
【0031】
以上説明したようなエラストマー部材によれば、本体が、100重量部のスチレンブロック共重合体と、50〜2000重量部の炭化水素系プロセスオイルを主成分として含むエラストマー材料で形成されているので、極めて硬度が低くて、緩衝性、制振・防振性に優れたエラストマー部材となる。
【0032】
また、このようなエラストマー材料自体は、表面に粘着性が現れる材料であるが、本発明のエラストマー部材においては、フッ素変性アクリル樹脂を主成分として含む樹脂成分をフッ素系揮発性溶剤中に溶解させてなる液状組成物で本体の表面を被覆し、液状組成物中に含まれる揮発性成分を揮発させることによって形成された被膜が、本体表面に設けられているので、本体表面の粘着性が消失ないし弱くなり、きわめて取り扱いやすいエラストマー部材となる。
【0033】
さらに、過剰に強度の高い被膜や過剰に厚い被膜を形成すると、上記のようなエラストマー材料が持つ特性を損なわれるおそれがあるが、本発明のエラストマー部材において採用した被膜は、きわめて薄くて均一に形成可能なものであり、本体が変形した際には簡単にひび割れを生じ、本体の変形を妨げないので、本体が持つ緩衝性、制振・防振性などの優れた特性を阻害しない。
【0034】
加えて、この被膜は、タルクのような粉体をまぶしたものではないので、粉体の脱落といった問題もなく、液状成分をまぶしたものでもないので、作業者がエラストマー部材を各種製品に組み込む作業を行う際には、作業者の手に液状成分が付着する、といった問題もない。
【0035】
つまり、本発明によれば、エラストマー材料によって形成された本体表面の粘着性を消失ないし弱めることができ、しかも、粉体の脱落を招かず、さらに、作業者の手を液状成分で汚損するようなこともないエラストマー部材を提供することができる。
【0036】
なお、以上の説明から明らかなように、本発明のエラストマー部材は、100重量部のスチレンブロック共重合体と、50〜2000重量部の炭化水素系プロセスオイルを主成分として含むエラストマー材料で本体を形成する第1の工程と、前記第1の工程で形成された前記本体の表面を、フッ素変性アクリル樹脂を主成分として含む樹脂成分をフッ素系揮発性溶剤中に溶解させてなる液状組成物で被覆する第2の工程と、前記第2の工程で前記本体の表面を被覆した前記液状組成物から、前記液状組成物中に含まれる揮発性成分を揮発させることによって、前記本体の表面に被膜を形成する第3の工程とを備えた製造方法によって製造することができる。
【0037】
また、本発明のエラストマー部材は、次のような緩衝材として構成することができる。すなわち、本発明の緩衝材は、内部空間を有する収容部に物品を収容する際に、前記物品と前記収容部内面との間に介装されて、前記物品を前記収容部内面に接触させないように支持するとともに、前記収容部に衝撃が作用した際には、弾性変形を伴って前記収容部から前記物品へと伝わる衝撃を緩和する緩衝材であって、100重量部のスチレンブロック共重合体と、50〜2000重量部の炭化水素系プロセスオイルを主成分として含むエラストマー材料で形成された緩衝材本体と、フッ素変性アクリル樹脂を主成分として含む樹脂成分をフッ素系揮発性溶剤中に溶解させてなる液状組成物で前記緩衝材本体の表面を被覆し、前記液状組成物中に含まれる揮発性成分を揮発させることによって形成された被膜とを備えたことを特徴とする。
【0038】
このような緩衝材であれば、きわめて優れた緩衝性能を発揮するものとなり、この緩衝性能を被膜が阻害するようなこともない。また、エラストマー材料によって形成された本体表面の粘着性を消失ないし弱めることができるので、各種への組み付け作業が容易となる。さらに、本体の表面に形成された被膜は、粉体のように脱落しないので、組み付け作業時に機器内を汚損することがなく、また、液状成分のように作業者の手を汚すこともないので、作業性が低下することもない。
【0039】
なお、本発明のエラストマー部材は、上記のような緩衝材の他、制振材ないし防振材、あるいはパッキンなどとして構成されていてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
次に、本発明の実施形態について、具体的な例を挙げて説明する。
[エラストマー部材の具体的形態の一例]
図1(a)は、本発明の一実施形態として例示するエラストマー部材1の斜視図、同図(b)は、エラストマー部材1の表面付近の内部構造を拡大して示す部分断面図である。
【0041】
このエラストマー部材1は、緩衝材として用いられるもので、外観上は、図1(a)に示すように、四角い板状に形成された底部3の周縁から、底部3に対して垂直に側壁5を立設してなる形状に成形されている。
【0042】
また、このエラストマー部材1の内部構造は、図1(b)に示すように、エラストマー材料の成形品である本体11の表面に、厚さ数μm〜数十μmの被膜13を形成した構造になっている。すなわち、上述の底部3および側壁5は、いずれも内部がエラストマー材料の成形品である本体11の一部となっており、それらの表面全体が被膜13によって覆われている。
【0043】
本体11を形成するエラストマー材料は、100重量部のスチレンブロック共重合体と、50〜2000重量部の炭化水素系プロセスオイルを主成分として含むエラストマー材料によって形成されている。炭化水素系プロセスオイルの配合量は、多いほど低硬度のエラストマー材料となるので、目的に応じて必要とする硬度となるように適宜調整すればよい。なお、本実施形態では、主成分以外の成分として、耐熱性を向上させるために高融点ポリマーを配合したもの、難燃性を付与するために難燃剤を添加したもの、制振性を向上させるために石油樹脂を配合したものなどを製造したが、これらの具体的配合比の例については後述する。
【0044】
また、被膜13は、フッ素変性アクリル樹脂を主成分として含む樹脂成分をフッ素系揮発性溶剤中に溶解させてなる液状組成物で本体11の表面を被覆し、液状組成物中に含まれる揮発性成分を揮発させることによって形成されたものである。
【0045】
以上のように構成されたエラストマー部材1において、被膜13は、本体11の表面に現れる粘着性を抑制し、エラストマー部材1表面の摺動性を高める役割を果たしている。すなわち、上記本体11を形成するエラストマー材料は、単独で成形品を製作した場合に、その表面に粘着性が現れる材料となっているが、上記エラストマー部材1においては、上記のような被膜13が本体11の表面に形成されているため、エラストマー部材1の表面は、この種のエラストマーとしてはきわめて摺動性の高い表面となっている。
【0046】
また、被膜13は、機械的強度が高いものではなく、本体11を変形させるような外力が加わった場合には、簡単にひび割れて本体11の変形を許容するので、本体11の変形を阻害するようなことはない。
【0047】
以上のように構成されたエラストマー部材1は、図2に示すように、超小型ハードディスク装置21(以下、HDD21と称する。)を、PDA、ポータブルオーディオ機器、携帯電話機などに代表されるモバイル機器内の収容部23に収容する際に、緩衝材としてHDD21と収容部23の内面との間に介装される。
【0048】
エラストマー部材1を組み付ける際には、まず、HDD21がエラストマー部材1の内側に押し込まれ、その後、HDD21およびエラストマー部材1が、モバイル機器内の収容部23に押し込まれる。
【0049】
ここで、この種のモバイル機器においては、小型化・薄型化を図ることがきわめて重要であるため、HDD21と収容部23との間に確保できる空間は極限まで小さく設計されている。それ故、HDD21とエラストマー部材1の間、およびエラストマー部材1と収容部23との間は、クリアランス・ゼロの状態で設計されている。このような設計をした場合、表面に粘着性があるエラストマー材料によって形成された緩衝材では、モバイル機器内の収容部23に押し込む作業がきわめて難しくなる。
【0050】
この点、上記エラストマー部材1は、上述の通り、被膜13によって表面の粘着性が抑制され、きわめて摺動性の高い表面となっているので、HDD21およびエラストマー部材1を容易にモバイル機器内の収容部23に押し込むことができる。
【0051】
[エラストマー部材の製造例]
次に、このエラストマー部材1の製造方法について説明する。
まず、原料組成物として、以下に説明する配合比で各物質が配合された3種の組成物を用意した。
【0052】
配合1:100重量部のスチレンブロック共重合体(本実施形態では、スチレンエチレンエチレンプロピレンスチレンブロック共重合体(SEEPS);分子量25万で、スチレン含有量が30重量%のもの)と、400重量部の炭化水素系プロセスオイル(本実施形態では、パラフィン系プロセスオイル;40℃における動粘度が90mm2/sのもの)を主成分として含み、主成分以外の成分として、60重量部の高融点ポリマー(本実施形態では、成形温度240℃の変性ポリフェニレンエーテル)を添加したもの。
【0053】
配合2:100重量部のスチレンブロック共重合体(本実施形態では、スチレンエチレンエチレンプロピレンスチレンブロック共重合体(SEEPS);分子量25万で、スチレン含有量が30重量%のもの)と、400重量部の炭化水素系プロセスオイル(本実施形態では、パラフィン系プロセスオイル;40℃における動粘度が90mm2/sのもの)を主成分として含み、主成分以外の成分として、250重量部の難燃剤(本実施形態では、臭素系難燃剤;臭素含有率80%以上で分解点280℃のもの)を添加したもの。
【0054】
配合3:100重量部のスチレンブロック共重合体(本実施形態では、スチレンエチレンエチレンプロピレンスチレンブロック共重合体(SEEPS);分子量25万で、スチレン含有量が30重量%のもの)と、65重量部の炭化水素系プロセスオイル(本実施形態では、パラフィン系プロセスオイル;40℃における動粘度が90mm2/sのもの)を主成分として含み、主成分以外の成分として、170重量部の石油樹脂(本実施形態では、脂環族水添石油樹脂;軟化点100℃のもの)を添加したもの。
【0055】
これらの原料組成物は、それぞれヘンシェルミキサーにてプリブレンドし、その後、二軸押出機にて最大220℃で混練・押出してペレット化し、そのペレットを射出成形機に投入して、供給側からノズル側へ140℃→160℃→180℃→210℃→190℃の温度条件で射出成形を行った。その後、40〜60℃程度まで冷却した後、本体11に相当する成形品を型から取り出した。ここで取り出される成形品の表面は比較的高い粘着性を備えている。
【0056】
次に、この成形品をフッ素変性アクリル樹脂を主成分として含む樹脂成分をフッ素系揮発性溶剤中に溶解させてなる液状組成物中に浸漬した。本実施形態において、フッ素変性アクリル樹脂としては、メタクリル酸メチルとアクリル酸の部分フッ素化アルキルエステルとの共重合体を使用した。また、フッ素系揮発性溶剤としては、パーフルオロヘキサン(溶剤1)、パーフルオロシクロヘキサン(溶剤2)を使用した。なお、比較のため、フッ素系揮発性溶剤に代えて、アセトン(溶剤3)を配合した液状組成物も使用した。また、フッ素変性アクリル樹脂と各溶剤の配合比については、後述する通り、数通りを試した。
【0057】
成形品の表面は粘着性が高く、成形品同士が相互に粘着するため、成形品を液状組成物中に投入する際には、塊になった複数の成形品がまとめて投入されることがないように、成形品をばらばらにほぐして一つずつ投入した。そして、成形品の表面、特に底部3および側壁5によって囲まれる凹部の内側にも液状組成物が充分に浸るように、軽く攪拌して成形品を液状組成物中に沈め、十分に浸漬した状態で10秒間攪拌した。
【0058】
その後は、液状組成物が通過可能で成形品は通過不能なサイズの網目を持ったザルを振りながら、そのザルに成形品を入れて、余計な液状組成物を成形品表面から振り落とした。なお、製品形状によっては、このような浸漬法に代えて、コーターやスプレーを用いるようにしてもよい。
【0059】
そして、最後に、より大きなザルに成形品を移して、そのザルの上で成形品を広げて、そのまま10分間乾燥させることにより、所期の被膜13で覆われたエラストマー部材1を得た。なお、この乾燥も、成形品をきれいに並べて乾燥しなくても、例えば、ザルに閉じ込めて振り動かした状態で50℃程度の温風乾燥機に入れることにより、より短時間で乾燥処理を施すことができる。
【0060】
[性能評価]
上述の液状組成物として、フッ素変性アクリル樹脂と上記溶剤1〜3とを組み合わせるとともに、その配合比を代えて数種類の液状組成物を調製した。また、エラストマー材料として、上記配合1〜3の原料組成物からなるものを用意した。そして、これらを組み合わせることにより、9種類の試料について評価を行った(実施例1〜6、比較例1〜3)。
【0061】
評価方法は、次のような方法とした。
摺動性評価:ステンレス製、アルミニウム製、およびABS樹脂製、以上3種の板を用意し、各板を水平に設置して、その上に試料を載せ、各板を水平(0度)から60度まで傾けたときに、3種すべての板について試料が自重(約2g)で滑り出せば摺動性は「○」、1種の板で試料が滑り出さなければ「△」、2種以上の板で試料が滑り出さなければ「×」と評価した。
【0062】
密着性評価:成形品の肉厚が1mm厚となっている部分を180度に手で折り曲げ、折り曲げ部分においてひび割れた被膜が成形品から脱落しなければ「○」、ひび割れた被膜が成形品から脱落すれば「×」と評価した。
【0063】
評価対象となった9種類の試料の詳細と、その評価結果を、表1にまとめて示す。
【0064】
【表1】

以上の評価結果から、液状組成物に配合する溶剤として、フッ素系揮発性溶剤であるパーフルオロヘキサン(溶剤1)、パーフルオロシクロヘキサン(溶剤2)を用いると、摺動性・密着性ともに良好な結果が得られることがわかる。一方、液状組成物に配合する溶剤として、アセトン(溶剤3)を用いると、本体11を形成するエラストマー材料まで溶解してしまうため、液状組成物に配合する溶剤としては不適であることがわかる。
【0065】
また、フッ素変性アクリル樹脂の配合比は、1重量%程度まで低下すると摺動性が低くなる傾向が見られ(実施例4)、0.5重量%まで低下したものは組み付け性が悪くなるという問題が生じた(比較例3)。一方、フッ素変性アクリル樹脂の配合比が80重量%まで高くなると、液状組成物の粘度が高くなりすぎて、本体11に対して一様に塗工することが困難となった。
【0066】
液状組成物の粘度は、樹脂成分と溶剤の配合比の他、温度条件によっても変わり得るので、樹脂成分と溶剤の配合比のみで塗工性の良し悪しを正確に規定することは難しいが、塗工性と粘度との関係について実験的に確認したところ、粘度が0.5mPa・sを下回る液状組成物では、比較例3のように摺動性が不足する傾向があった。このような傾向が現れる原因は、揮発性成分の配合比が大きくなりすぎるため、被膜13として本体11の表面に残る固形分の絶対量が不足するためではないかと推察される。逆に、粘度が10000mPa・sを上回る液状組成物では、比較例2のように本体11に対して一様に塗工することが困難となる傾向があった。したがって、以上のような傾向を考慮すれば、被膜13を形成するに当たっては、樹脂成分とフッ素系揮発性溶剤との配合比を調節することによって粘度が0.5〜10000mPa・sとされた液状組成物を用いて本体11の表面を被覆し、その液状組成物中に含まれる揮発性成分を揮発させることによって被膜13を形成するとよい。
【0067】
また、この液状組成物の粘度は、液状組成物の塗工法の違いによっても最適な粘度範囲は異なり、また、最終的に得られる被膜の厚さにも差異が生じる傾向がある。したがって、特定の塗工法を採用したい場合や、被膜の厚さを比較的厚くしたい場合には、液状組成物の粘度をさらに最適化することが望ましい。
【0068】
例えば、塗工法としてディッピング法を採用したい場合には、20℃における粘度を1〜100mPa・sに調製するとよい。ディッピング法を採用したい場合は、本体11の形状が比較的単純な場合はもちろんのこと、本体11の形状が比較的複雑な場合(例えば、細かな凹凸や深い穴が形成された形状となっている場合)であっても、本体11の表面に所期の性能を備えた均一な被膜を形成することができる。したがって、例えば、HDDなどの電子デバイスに使用される緩衝材を製造した際に、その緩衝材表面の粘着性を抑制し、かつ、その表面に必要な摺動性を与えることができ、これにより、緩衝材を取り付けた電子デバイスの組み付け作業をよりスムーズに実施できるようになる。
【0069】
また、例えば、コーターを利用して塗工する場合には、20℃における粘度を100〜5000mPa・sに調製するとよい。コーターを利用すれば、エラストマー部材表面により厚い被膜を形成できるので、例えば、シート状のエラストマー部材表面に比較的厚い被膜を形成したいような場合には、効率的に塗工することができる。このような厚膜は、繰り返し摺動をする用途に適したものとなる。
【0070】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の具体的な一実施形態に限定されず、この他にも種々の形態で実施することができる。
例えば、上記実施形態では、フッ素変性アクリル樹脂の具体的な例として、メタクリル酸メチルとアクリル酸の部分フッ素化アルキルエステルとの共重合体を例示したが、同種の物性を持つ単量体からなる重合体であれば、ほぼ同等な物性を持つ被膜を形成することができるので、他の単量体からなるフッ素変性アクリル樹脂を用いてもよい。より具体的には、アクリル酸またはメタクリル酸のアルキルエステルおよびその誘導体の中から選ばれる一種または二種以上と、アクリル酸またはメタクリル酸の部分フッ素化アルキルエステルおよびその誘導体の中から選ばれる一種または二種以上とを重合させてなる共重合体であれば、上記実施形態で例示したフッ素変性アクリル樹脂を用いた場合と、同等な物性を持つ被膜を形成することができる。
【0071】
また、上記実施形態では、フッ素系揮発性溶剤の具体的な例として、パーフルオロヘキサン、およびパーフルオロシクロヘキサンを例示したが、これも他のフッ素系揮発性溶剤を用いてもよい。
【0072】
また、上記実施形態では、緩衝材として利用されるエラストマー部材を例示したが、本発明のエラストマー部材は、制振材、防振材、パッキンなどとして利用されるものであってもよく、これらの場合でも、上述の被膜により表面の粘着性を抑制し、エラストマー部材の組み付け性を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】(a)は、本発明の一実施形態として例示するエラストマー部材の斜視図、(b)は、エラストマー部材の表面付近の内部構造を拡大して示す部分断面図。
【図2】エラストマー部材の組み付け方法を示す説明図。
【符号の説明】
【0074】
1・・・エラストマー部材(緩衝材)、3・・・底部、5・・・側壁、11・・・本体、13・・・被膜、21・・・超小型ハードディスク装置、23・・・収容部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
100重量部のスチレンブロック共重合体と、50〜2000重量部の炭化水素系プロセスオイルを主成分として含むエラストマー材料で形成された本体と、
フッ素変性アクリル樹脂を主成分として含む樹脂成分をフッ素系揮発性溶剤中に溶解させてなる液状組成物で前記本体の表面を被覆し、前記液状組成物中に含まれる揮発性成分を揮発させることによって形成された被膜と
を備えたことを特徴とするエラストマー部材。
【請求項2】
前記フッ素変性アクリル樹脂は、アクリル酸またはメタクリル酸のアルキルエステルおよびその誘導体の中から選ばれる一種または二種以上と、アクリル酸またはメタクリル酸の部分フッ素化アルキルエステルおよびその誘導体の中から選ばれる一種または二種以上とを重合させてなる共重合体である
ことを特徴とする請求項1に記載のエラストマー部材。
【請求項3】
前記フッ素系揮発性溶剤は、パーフルオロアルカン、パーフルオロシクロアルカン、パーフルオロエーテル、およびパーフルオロ環状エーテルの中から選ばれる一種または二種以上の混合物である
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のエラストマー部材。
【請求項4】
前記被膜は、前記樹脂成分と前記フッ素系揮発性溶剤との配合比を調節することによって粘度が0.5〜10000mPa・sとされた前記液状組成物で前記本体の表面を被覆し、前記液状組成物中に含まれる揮発性成分を揮発させることによって形成されている
ことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載のエラストマー部材。
【請求項5】
100重量部のスチレンブロック共重合体と、50〜2000重量部の炭化水素系プロセスオイルを主成分として含むエラストマー材料で本体を形成する第1の工程と、
前記第1の工程で形成された前記本体の表面を、フッ素変性アクリル樹脂を主成分として含む樹脂成分をフッ素系揮発性溶剤中に溶解させてなる液状組成物で被覆する第2の工程と、
前記第2の工程で前記本体の表面を被覆した前記液状組成物から、前記液状組成物中に含まれる揮発性成分を揮発させることによって、前記本体の表面に被膜を形成する第3の工程と
を備えたことを特徴とするエラストマー部材の製造方法。
【請求項6】
内部空間を有する収容部に物品を収容する際に、前記物品と前記収容部内面との間に介装されて、前記物品を前記収容部内面に接触させないように支持するとともに、前記収容部に衝撃が作用した際には、弾性変形を伴って前記収容部から前記物品へと伝わる衝撃を緩和する緩衝材であって、
100重量部のスチレンブロック共重合体と、50〜2000重量部の炭化水素系プロセスオイルを主成分として含むエラストマー材料で形成された緩衝材本体と、
フッ素変性アクリル樹脂を主成分として含む樹脂成分をフッ素系揮発性溶剤中に溶解させてなる液状組成物で前記緩衝材本体の表面を被覆し、前記液状組成物中に含まれる揮発性成分を揮発させることによって形成された被膜と
を備えたことを特徴とする緩衝材。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−314731(P2007−314731A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−148780(P2006−148780)
【出願日】平成18年5月29日(2006.5.29)
【出願人】(000242231)北川工業株式会社 (268)
【Fターム(参考)】