エレクトレットの製造方法
【課題】本発明は、PTFEフィルム層が薄く、帯電保持率の高いエレクトレットの製造方法を提供することを課題とする。
【解決手段】金属板11にPTFEフィルム12を接着させる接着工程と、この接着工程で作成されたフィルム接着体18を所定の温度に加熱しながら、PTFEフィルム12に所定時間放電を行う加熱放電工程とからなることを特徴とする。
【効果】加熱されたPTFEフィルム12に放電を行う。このような状態で放電することにより、電荷37が結晶35と非晶36の間の界面に入り込むものと考えられる。結晶35と非晶36の間の界面に入り込んだ電荷37は消失されにくいものと考えられ、これにより、薄いPTFEフィルム12を用いた場合であっても、高い帯電保持率を得ることができる。
【解決手段】金属板11にPTFEフィルム12を接着させる接着工程と、この接着工程で作成されたフィルム接着体18を所定の温度に加熱しながら、PTFEフィルム12に所定時間放電を行う加熱放電工程とからなることを特徴とする。
【効果】加熱されたPTFEフィルム12に放電を行う。このような状態で放電することにより、電荷37が結晶35と非晶36の間の界面に入り込むものと考えられる。結晶35と非晶36の間の界面に入り込んだ電荷37は消失されにくいものと考えられ、これにより、薄いPTFEフィルム12を用いた場合であっても、高い帯電保持率を得ることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレクトレットの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ICレコーダのマイクにエレクトレットが用いられる。このようなエレクトレットを製造するための製造方法が種々提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
特許文献1を次図に基づいて説明する。
図14に示すように、エレクトレット固定電極用積層板100は、金属板101と、この金属板101上に接着された第1エレクトレット材料層102と、この第1エレクトレット材料層102上に接着された第2エレクトレット材料層103とからなる。
このようなエレクトレット固定電極用積層板100に対して、第2エレクトレット材料層103の上面に向かって放電を行い荷電する。これによりエレクトレットが完成する。
【0004】
このように、エレクトレットは、帯電体であるので保持する帯電の量、即ち、帯電保持率が高いことが求められる。この帯電保持率は、エレクトレット材料層102、103、即ち、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)フィルム層の厚さを厚くすることにより高くできることが知られている。
【0005】
一方、エレクトレットをマイクに用いる場合、PTFEフィルム層が薄いほどマイクの感度がよくなることが知られている。
従って、薄いPTFEフィルムを用いても高い帯電保持率が得られる技術の提供が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−191467公報(図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、薄いPTFEフィルムを用いても高い帯電保持率が得られる技術の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、金属板にPTFEフィルムを接着し、この接着されたPTFEフィルムを帯電させてなるエレクトレットの製造方法であって、
前記金属板に前記PTFEフィルムを接着させフィルム接着体を得る接着工程と、
得られたフィルム接着体を所定の温度で加熱しながら、前記PTFEフィルムに所定時間放電を行う加熱放電工程とからなることを特徴とする。
【0009】
請求項2に係る発明は、金属板にPTFEフィルムを接着し、この接着されたPTFEフィルムを帯電させてなるエレクトレットの製造方法であって、
前記金属板に前記PTFEフィルムを接着させフィルム接着体を得る接着工程と、
得られたフィルム接着体の前記PTFEフィルムに、室温で放電を行う放電工程と、
この放電工程で電荷が保持されたフィルム接着体を所定の温度で加熱する加熱工程とからなり、前記放電工程と前記加熱工程とが反復して行われることを特徴とする。
【0010】
請求項3に係る発明は、接着工程では、接着剤を用いず、PTFEフィルムを融点以上に加熱して金属板に融着させることを特徴とする。
【0011】
請求項4に係る発明は、接着工程では、接着面が化成処理されたPTFEフィルムを、接着剤を用いて金属板に接着させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明では、フィルム接着体を所定の温度で加熱しながら、PTFEフィルムに所定時間放電を行う。即ち、加熱されたPTFEフィルムに放電を行う。このような状態で放電することにより、電荷が結晶と非晶の間の界面に入り込むものと考えられる。結晶と非晶の間の界面に入り込んだ電荷は消失されにくいものと考えられ、これにより、薄いPTFEフィルムを用いた場合であっても、高い帯電保持率を得ることができる。
【0013】
請求項2に係る発明では、放電工程と加熱工程とが反復して行われる。放電工程によりエレクトレットの表面に付着した電荷の一部が、加熱工程で結晶と非晶の間の界面に入り込むものと考えられる。結晶と非晶の間の界面に入り込んだ電荷は、加熱されても消失しにくいものと考えられる。このため、放電工程と加熱工程を反復することにより、徐々に結晶と非晶の間の界面に電荷が蓄積される。これにより、薄いPTFEフィルムを用いた場合であっても、高い帯電保持率を得ることができる。
【0014】
請求項3に係る発明では、接着工程は、PTFEフィルムを融着させることにより行われる。即ち、PTFEフィルムは金属板の上面に直接接着される。金属板とPTFEフィルムの間に何も介在させないことにより、エレクトレット全体を薄くすることができ、エレクトレットの小型化を図ることができる。
【0015】
請求項4に係る発明では、接着面が化成処理されたPTFEフィルムを接着剤を用いて金属板に接着させる。接着剤を用いた場合には、早急にPTFEフィルムを金属板に接着させることができる。これにより、エレクトレットの製造時間を短縮することができ、生産効率が高まる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施例1にかかる製造方法を説明する図である。
【図2】実施例1について行った実験を説明する図である。
【図3】実験1〜実験13での帯電保持率−加熱温度線図である。
【図4】実施例1における帯電保持率向上の理由を説明する図である。
【図5】実施例1における帯電保持率−放電時間線図である。
【図6】実験1〜実験19での帯電保持率−加熱温度線図である。
【図7】実施例2にかかる製造方法を説明する図である。
【図8】実施例2における帯電保持率−反復回数線図である。
【図9】実施例2における帯電保持率向上の理由を説明する図である。
【図10】実施例2における加熱温度と帯電保持率の関係を説明するグラフである。
【図11】実施例3にかかる製造方法を説明する図である。
【図12】実施例3における帯電保持率−加熱温度線図である。
【図13】実施例3における帯電保持率−反復回数線図である。
【図14】従来の技術の基本構成を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
【実施例1】
【0018】
先ず、本発明の実施例1を図面に基づいて説明する。
図1(a)に示されるように、金属板11とPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)フィルム12とを準備し、矢印で示すようにPTFEフィルム12を金属板11の上面に載置する。ここで用いられるPTFEフィルム12は、25μm以下の薄いPTFEフィルムであることが望ましい。
【0019】
金属板11にPTFEフィルム12を載せたものを、(b)に示すように加熱炉13内の脚部14、14上面に移動させ、押圧アーム15で押圧する。このとき、加熱炉13の内部は、ヒータ16によりPTFEフィルム12の融点より高い温度に温められている。これによりPTFEフィルム12は、金属板11に融着されフィルム接着体18が形成される。
なお、接着工程でPTFEフィルム12が押圧アーム15に融着するのを防ぐために、押圧アーム15の素材によっては、予め離型剤を塗布もしくは押圧アーム15とPTFEフィルム12間に離型フィルムを挿入しておくことが望ましい。
【0020】
PTFEフィルム12は金属板11の上面に直接接着される。金属板11とPTFEフィルム12の間に何も介在させないことにより、エレクトレット((d)符号22)全体を薄くすることができ、エレクトレットの小型化を図ることができる。
【0021】
次に(c)に示すように、フィルム接着体18をホットプレート19の上面に移動させ、ホットプレート19で加熱しながら、放電装置21を用いてコロナ放電を行う。
このとき、放電はコロナ放電の他パルス放電、グロー放電を用いることができ、コロナ放電に限られない。
加熱しながら放電を行うことにより、フィルム接着体18のPTFEフィルム12に電荷が保持される。このようにして(d)に示されるエレクトレット22は完成する。
【0022】
なお、帯電保持率が十分に得られない場合は、加熱放電工程を繰り返し複数回行うことにより、帯電保持率を向上させることもできる。
このようにして作成したエレクトレットについて実験を行った。詳細は以下に説明する。
【0023】
(実験例)
本発明に係る実験例を以下に述べる。なお、本発明は実験例に限定されるものではない。
エレクトレットを図1に係る方法で製造した。このようなエレクトレットについて、図2で説明するように実験を行った。
【0024】
図2(a)に示すように、厚さW1(W1=200μm)の金属板25、厚さW2(W2=12.5μm)のPTFEフィルム26からなるエレクトレットを、縦L1(L1=10mm)、横L2(L2=10mm)に切出し、テストピース27を作成した。
【0025】
○材料:
金属板:SUS304
PTFEフィルム:日本バルカー工業株式会社製 バルフロン切削テープ
○接着工程:
炉:北川精機株式会社製 3段真空プレス
接着温度:390℃
押圧力:4MPa
【0026】
○加熱放電工程:
ホットプレート:AS ONE製DIGITAL HOT PLATE HP−1L
放電装置:コロナ放電装置
電源:松定プレシジョン株式会社製高圧電源 HAR−10R3
荷電圧:3.5kV
【0027】
次に、(b)に示すようにこのテストピース27が保持している電位を、表面電位計28を用いて計測する。仮に、このとき計測された電位の値をV1(−V)とする。
【0028】
○電位計測:
表面電位計:トレック・ジャパン株式会社製 表面電位計MODEL347
【0029】
電位を計測したテストピース27を、(c)に示すようにホットプレート29の上に移動させ、加熱し電荷を消失させる。以下これを加熱負荷工程という。
なお、本実験では、リフロー炉におけるリフローの代わりに加熱負荷工程を行った。
【0030】
○加熱負荷工程:
ホットプレート:AS ONE製DIGITAL HOT PLATE HP−1L
加熱温度:260℃
加熱時間:90秒
【0031】
加熱負荷工程の後に、(d)に示すように再度表面電位計28を用いて、テストピース27が保持している電位を計測する。仮に、このとき計測された電位の値をV2(−V)とする。
【0032】
(b)で得たV1と(d)で得たV2とから帯電保持率は計算される。帯電保持率は、加熱負荷工程前の電位に対して加熱負荷工程後にどれ位の電位が残存しているかを示す数値であるから、V2/V1×100(%)で示される。
【0033】
(c)における加熱負荷工程後のエレクトレット(テストピース27)の電位の値が、(a)におけるエレクトレット(テストピース27)の電位の値に近似していれば加熱負荷工程において失われた電位の量が少なかったといえ望ましい。即ち、加熱負荷工程において失われた電位の量が少ない場合は、エレクトレットを用いた製品を製造する際に行われるリフローで、加熱により消失する電位の量が少ないということができ望ましい。
【0034】
このようにして求めた帯電保持率の数値により、A〜Eの5段階で評価を行った。即ち、帯電保持率が90%以上でA、70%以上でB、60%以上でC、50%以上でD、50%未満でEとした。
このようにして行った実験の結果を表1に示す。
【0035】
【表1】
【0036】
実験1では、加熱温度が25℃であり、帯電保持率は24.8%であった。評価はEである。
実験2では、加熱温度が50℃であり、帯電保持率は30.1%であった。評価はEである。
実験3では、加熱温度が25℃であり、帯電保持率は34.7%であった。評価はEである。
【0037】
実験4では、加熱温度が150℃であり、帯電保持率は41.2%であった。評価はEである。
実験5では、加熱温度が180℃であり、帯電保持率は52.5%であった。評価はDである。
実験6では、加熱温度が200℃であり、帯電保持率は61.8%であった。評価はCである。
【0038】
実験7では、加熱温度が220℃であり、帯電保持率は70.3%であった。評価はBである。
実験8では、加熱温度が240℃であり、帯電保持率は79.4%であった。評価はBである。
実験9では、加熱温度が260℃であり、帯電保持率は89.9%であった。評価はBである。
【0039】
実験10では、加熱温度が280℃であり、帯電保持率は92.6%であった。評価はAである。
実験11では、加熱温度が300℃であり、帯電保持率は88.2%であった。評価はBである。
【0040】
実験12では、加熱温度が320℃であり、帯電保持率は85.2%であった。評価はBである。
実験13では、加熱温度が340℃であり、帯電保持率は80.5%であった。評価はBである。
以上の結果を図3にまとめた。
【0041】
図3に示されるように、縦軸が帯電保持率(%)であり、横軸が加熱温度(℃)である。実験10、即ち加熱温度が280℃のときに帯電保持率が最もよく92.6%であった。
【0042】
線32は、縦軸の帯電保持率80%の位置から水平に線を引き、線図と接触した位置から横軸まで垂直に線を下ろしたものである。この線32によれば、加熱温度が241℃〜341℃の間のときに、帯電保持率を80%以上に保つことができるものと推測される。誤差を考慮すれば、加熱温度は、245℃〜340℃であることが望ましい。この温度範囲で加熱することにより、高い帯電保持率を得ることができる。
【0043】
線33は、縦軸の帯電保持率90%の位置から水平に線を引き、線図と接触した位置から横軸まで垂直に線を下ろしたものである。この線33によれば、加熱温度が261℃〜286℃の間のときに、帯電保持率を90%以上に保つことができるものと推測される。誤差を考慮すれば、加熱温度は、265℃〜285℃であることが更に望ましい。この温度範囲で加熱することにより、非常に高い帯電保持率を得ることができる。
このように高い帯電保持率を得ることができた理由について、次図で説明する。
【0044】
図4に示すように、PTFEフィルムは結晶部35と非晶部36とから構成されている。PTFEフィルムを加熱し放電を行うと、電荷37が結晶部35と非晶部36の界面に入込むものと考えられる。電荷37が界面にまで入り込んでいるため、リフローにより加熱を行った場合であっても、電荷37がPTFEフィルムの外部へ放出されにくくなるものと考えられる。即ち、リフロー時に電荷37が消失しづらくなり、薄いPTFEフィルムを用いても、帯電保持率が高くなったものと考えられる。
次に、放電を行う時間と帯電保持率との関係を調べるために実験を行った。結果は表2のとおり。
【0045】
【表2】
【0046】
実験14では、加熱温度180℃で30秒の放電を行った。帯電保持率が43.2%であり評価はEであった。
実験15では、加熱温度180℃で180秒の放電を行った。帯電保持率が64.1%であり評価はCであった。
【0047】
実験16では、加熱温度280℃で30秒の放電を行った。帯電保持率が87.9%であり評価はBであった。
実験17では、加熱温度280℃で180秒の放電を行った。帯電保持率が94.0%であり評価はAであった。
【0048】
実験18では、加熱温度340℃で30秒の放電を行った。帯電保持率が53.0%であり評価はDであった。
実験19では、加熱温度340℃で180秒の放電を行った。帯電保持率が82.7%であり評価はBであった。
以上の結果に加熱温度が180℃で加熱時間が60秒であった実験5、280℃60秒であった実験10、340℃60秒であった実験13のデータを加え次図で説明する。
【0049】
図5に示されるように、縦軸が帯電保持率(%)であり、横軸が放電時間(秒)である。線38は、加熱温度180℃での放電時間と帯電保持率の関係を示す。線39は、加熱温度340℃での放電時間と帯電保持率の関係を示す。線40は、加熱温度280℃での放電時間と帯電保持率の関係を示す。
【0050】
線38〜線40において、いずれも放電時間が30秒から60秒の間で帯電保持率が大きく伸びている。60秒から180秒では、いずれも30秒から60秒の間の伸びに比べ、緩やかである。特に、線39及び線40では、60秒を超えてからほとんど帯電保持率に変化がない。
【0051】
即ち、放電時間は60秒以上180秒以下であることが望ましい。放電時間が60秒未満では、十分な帯電保持率を得ることができない。放電時間が180秒を超えると、帯電保持率の向上があまり望めず、180秒を超えて放電を行うと、却って作業効率が悪くなる。
このことは、次図からもいえる。
【0052】
図6に示されるように、縦軸が帯電保持率(%)であり、横軸が加熱温度(℃)である。線41は、放電時間が30秒であるときの加熱温度と帯電保持率の関係を示し、線42は、放電時間が180秒であるときの加熱温度と帯電保持率の関係を示す。線43は、放電時間が60秒であるとき、即ち、図3と同じ線である。
【0053】
加熱温度が280℃になるまでは、線41〜線43のいずれも、同じように帯電保持率が上昇する。
しかし、280℃を超えたときに、線41は線42、線43に比べ急激に帯電保持率が減少する。加熱温度が280℃を超える場合には、放電時間が60秒未満では十分な帯電保持率を得ることができない。このため、放電時間が60秒〜180秒であることが望ましいということができる。
【実施例2】
【0054】
次に、本発明の実施例2を図面に基づいて説明する。
図7(a)に示されるように、金属板11とPTFEフィルム12とを準備し、矢印で示すようにPTFEフィルム12を金属板11の上面に載置する。
【0055】
金属板11にPTFEフィルム12を載せたものを、(b)に示すように加熱炉13内の脚部14、14上面に移動させ、押圧アーム15で押圧する。加熱炉13の内部はヒータ16によりPTFEフィルム12の融点より高い温度に温められている。これによりPTFEフィルム12は、金属板11に融着されフィルム接着体18が形成される。
【0056】
次に(c)に示すように、フィルム接着体18を作業台45の上面に移動させ、放電装置21を用いてコロナ放電を行う。このとき、放電は室温で行われる。この放電が終わったら、電荷が保持されたフィルム接着体18を、(d)に示すようにホットプレート19の上面に移動させ、ホットプレート19で加熱する。
【0057】
ホットプレート19での加熱が終了したら、(c)に戻り、再び放電工程を行い、(d)で加熱工程を行う。このような工程の反復を所定の回数(例えば10回)行い、(e)に示すようにエレクトレット46が完成する。
このようにして作成したエレクトレットについて実験を行った。詳細は以下に説明する。
【0058】
(実験例)
本発明に係る実験例を以下に述べる。なお、本発明は実験例に限定されるものではない。
エレクトレットを図7に係る方法で製造した。このようなエレクトレットについて、実験を行った。なお、使用器具やテストピースの大きさについては、実験1〜実験19と同様である。
【0059】
放電工程と、加熱工程の反復回数を変えて行った実験20〜実験25の結果を表3に示す。
【0060】
【表3】
【0061】
実験20では、反復回数が0回であり、帯電保持率は17.3%であり、評価はEであった。
なお、反復回数が0回とは、最初の加熱工程の後、放電工程に戻らなかったことをいう。即ち、反復回数が1回であれば放電工程及び加熱工程をそれぞれ2回行っていることを示す。
【0062】
実験21では、反復回数が1回であり、帯電保持率は37.1%であり、評価はEであった。
実験22では、反復回数が5回であり、帯電保持率は57.3%であり、評価はDであった。
実験23では、反復回数が10回であり、帯電保持率は72.3%であり、評価はBであった。
【0063】
実験24では、反復回数が25回であり、帯電保持率は79.7%であり、評価はBであった。
実験25では、反復回数が50回であり、帯電保持率は83.3%であり、評価はBであった。
この結果を次図で説明する。
【0064】
図8に示されるように、縦軸が帯電保持率(%)であり、横軸が反復回数(回)である。反復回数10回までは、帯電保持率の伸びが大きく、反復回数10回〜25回で帯電保持率の伸びが緩やかになり、反復回数25回を超えると、放電工程と加熱工程を反復しても、あまり帯電保持率が上がらなくなる。
【0065】
このグラフから、反復回数は5回〜25回であることが望ましいということができる。5回未満であると十分な帯電保持率を得ることができない。一方25回を超えると、帯電保持率の上昇があまり望めないため、25回を超えて反復を行うと却ってエレクトレットの生産効率が低下する。
次に、放電工程と加熱工程を繰り返すことにより、帯電保持率が上昇する理由について説明する。
【0066】
図9(a)に示すように、放電を行った直後はPTFEフィルムの非晶に多くの電荷37が存在しているものと考えられる。
このようなPTFEフィルムに対して加熱を行うと、非晶部36の分子鎖の運動性が向上し(b)に示すように、ほとんどの電荷37が消失する。しかし、PTFEフィルムの結晶部35と非晶部36の間の界面に、一部の電荷37が入り込むものと考えられる。このような界面に入込んだ電荷37は、リフロー時に消失しづらいものと考えられる。
【0067】
そして、(c)に示すように、さらに放電を行い、(d)に示すように、さらに加熱を行う。これにより、徐々に界面に電荷37が蓄積されるため、薄いPTFEフィルムを用いても、帯電保持率が上がるものと考えられる。
次に、加熱工程での加熱温度と帯電保持率の関係を調べるために、実験を行った。この実験の結果を表4に示す。
【0068】
【表4】
【0069】
実験26では、加熱温度260℃で反復回数が10回であった。帯電保持率が57.9%で評価はDであった。
実験27では、加熱温度290℃で反復回数が10回であった。帯電保持率が65.2%で評価はCであった。
【0070】
これらの結果と、加熱温度280℃で反復回数が10回の実験23とを次図で比較する。
図10に示すように、縦軸が帯電保持率(%)であり、横軸は実験番号である。それぞれ加熱温度を変え、反復を10回行ったところ実験23の帯電保持率が最もよかった。即ち、加熱温度は280℃であることが望ましい。
【実施例3】
【0071】
次に、本発明の実施例3を図面に基づいて説明する。
図11に示されるように、金属板11にPTFEフィルム12を接着させる接着工程は、接着剤を用いても行うことができる。
即ち、(a)に示すように金属板11の上面に熱硬化性の接着剤51を塗布する。また、PTFEフィルム12の上面には、化成処理剤53を塗布し、塗布後に化成処理剤53を洗浄することにより化成処理を行う。
【0072】
化成処理を行うことでPTFEの分子鎖からふっ素原子が引抜かれ、電子不足の状態となる。この状態で他の分子と接触すると前述のの分子がふっ素樹脂炭素鎖上の不足した電子を補う。これにより、ふっ素樹脂に活性反応基が形成され、この活性反応基が接着に寄与する。
特に、テトラエッチ処理では空気中の酸素、水素、水蒸気などで炭素鎖上に水酸基(−OH)、カルボビニル基(−C=O)、カルボキシル基(−COOH)が生成される。
【0073】
このとき接着剤は、耐熱温度ができるだけ高いものを用いることが望ましい。耐熱温度が高いものであれば、エレクトレットのリフロー時の耐性を高めることができるからである。
【0074】
次に、(b)に示すように、接着剤51の上面に化成処理を行った処理面が接触するよう、PTFEフィルム12を金属板11の上面に載せる。PTFEフィルム12を載せたら、(c)に示すように、加熱炉54内にPTFEフィルム12が載置された金属板11を移動させ、加熱する。加熱することにより、接着剤51が硬化し、金属板11にPTFEフィルム12が接着される。(d)に示すようにフィルム接着体55が形成される。
【0075】
このようなフィルム接着体55を用いることによっても、本発明に係るエレクトレット(図1、図7)を製造することができる。
なお、接着剤51には、熱硬化性の接着剤の他、常温で硬化する接着剤であっても用いることができ、熱硬化性の接着剤に限られない。
【0076】
接着剤を用いた場合には、早急にPTFEフィルムを金属板に接着させることができる。これにより、エレクトレットの製造時間を短縮することができ望ましい。
【0077】
(実験例)
本発明に係る実験例を以下に述べる。なお、本発明は実験例に限定されるものではない。
図11に示される方法で作成されたフィルム接着体を用いてエレクトレットを製造し、実験を行った。接着工程以外の工程は実験1〜実験19と同様の条件で行った。
【0078】
○接着工程
接着剤:アレコムプロダクツ社製アレコムボンド570
加熱炉:AS ONE製DO−300FPA
接着温度:150℃
塗布量:PTFEフィルムの上面に8μmの接着剤層を形成
○化成処理
化成処理剤:潤工社製テトラエッチA
【0079】
実験28〜実験34では、図1に示されるような加熱と放電を同時に行う加熱放電工程を経て製造されたエレクトレットを用いた。結果は表5のとおり。
【0080】
【表5】
【0081】
実験28では、加熱温度が150℃であり帯電保持率は46.7%であった。評価はEである。
実験29では、加熱温度が180℃であり帯電保持率は52.7%であった。評価はDである。
実験30では、加熱温度が220℃であり帯電保持率は60.5%であった。評価はCである。
【0082】
実験31では、加熱温度が260℃であり帯電保持率は73.0%であった。評価はBである。
実験32では、加熱温度が280℃であり帯電保持率は74.3%であった。評価はBである。
【0083】
実験33では、加熱温度が300℃であり帯電保持率は77.9%であった。評価はBである。
実験34では、加熱温度が340℃であり帯電保持率は76.9%であった。評価はBである。
このような実験結果を次図で検討する。
【0084】
図12に示されるように、縦軸が帯電保持率(%)であり、横軸は加熱温度(℃)である。想像線で示されるのは、実験1〜実験13の結果であり、PTFEフィルムを融着した場合の結果である。
【0085】
PTFEフィルムを接着剤で接着した場合は、加熱温度が300℃のときに最も帯電保持率が高く、加熱温度が300度を超えた場合であっても、帯電保持率の減少幅が小さい。
PTFEフィルムを接着剤で接着した場合であっても、帯電保持率が70%を超え、この場合であっても十分な帯電保持率を得ることができたといえる。
次に、PTFEフィルムを接着剤で接着したフィルム接着体に、放電工程と加熱工程を反復して行うことにより製造したエレクトレットについて実験を行った。接着工程以外の工程は実験20〜実験27と同様の条件で行った。実験の結果は表6のとおり。
【0086】
【表6】
【0087】
実験35では反復回数が0回であり、帯電保持率が37.1%であった。評価はEである。
実験36では反復回数が10回であり、帯電保持率が63.1%であった。評価はCである。
実験37では反復回数が50回であり、帯電保持率が77.4%であった。評価はBである。
この実験の結果を次図で説明する。
【0088】
図13に示すように、縦軸が帯電保持率(%)であり、横軸が反復回数(回)である。接着剤で接着したフィルム接着体を用いた場合であっても、放電工程と加熱工程を反復して行うことにより帯電保持率が十分に上昇する。
【0089】
また、反復回数0回〜10回の場合の帯電保持率の伸びに比べて、反復回数10回〜50回のときの帯電保持率の伸びの方が緩やかであった。
【0090】
尚、本発明にかかるエレクトレットは、ICレコーダのマイクを例に説明したが、その他の音響機器に使用することや、エレクトレットフィルム、エレクトレット不織布、エレクトレット濾材としても使用することができ、用途はこれらのものに限られない。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明のエレクトレットは、エレクトレットコンデンサーマイクロホンに好適である。
【符号の説明】
【0092】
11…金属板、12…PTFEフィルム、18、55…フィルム接着体、22、46…エレクトレット。
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレクトレットの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ICレコーダのマイクにエレクトレットが用いられる。このようなエレクトレットを製造するための製造方法が種々提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
特許文献1を次図に基づいて説明する。
図14に示すように、エレクトレット固定電極用積層板100は、金属板101と、この金属板101上に接着された第1エレクトレット材料層102と、この第1エレクトレット材料層102上に接着された第2エレクトレット材料層103とからなる。
このようなエレクトレット固定電極用積層板100に対して、第2エレクトレット材料層103の上面に向かって放電を行い荷電する。これによりエレクトレットが完成する。
【0004】
このように、エレクトレットは、帯電体であるので保持する帯電の量、即ち、帯電保持率が高いことが求められる。この帯電保持率は、エレクトレット材料層102、103、即ち、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)フィルム層の厚さを厚くすることにより高くできることが知られている。
【0005】
一方、エレクトレットをマイクに用いる場合、PTFEフィルム層が薄いほどマイクの感度がよくなることが知られている。
従って、薄いPTFEフィルムを用いても高い帯電保持率が得られる技術の提供が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−191467公報(図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、薄いPTFEフィルムを用いても高い帯電保持率が得られる技術の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、金属板にPTFEフィルムを接着し、この接着されたPTFEフィルムを帯電させてなるエレクトレットの製造方法であって、
前記金属板に前記PTFEフィルムを接着させフィルム接着体を得る接着工程と、
得られたフィルム接着体を所定の温度で加熱しながら、前記PTFEフィルムに所定時間放電を行う加熱放電工程とからなることを特徴とする。
【0009】
請求項2に係る発明は、金属板にPTFEフィルムを接着し、この接着されたPTFEフィルムを帯電させてなるエレクトレットの製造方法であって、
前記金属板に前記PTFEフィルムを接着させフィルム接着体を得る接着工程と、
得られたフィルム接着体の前記PTFEフィルムに、室温で放電を行う放電工程と、
この放電工程で電荷が保持されたフィルム接着体を所定の温度で加熱する加熱工程とからなり、前記放電工程と前記加熱工程とが反復して行われることを特徴とする。
【0010】
請求項3に係る発明は、接着工程では、接着剤を用いず、PTFEフィルムを融点以上に加熱して金属板に融着させることを特徴とする。
【0011】
請求項4に係る発明は、接着工程では、接着面が化成処理されたPTFEフィルムを、接着剤を用いて金属板に接着させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明では、フィルム接着体を所定の温度で加熱しながら、PTFEフィルムに所定時間放電を行う。即ち、加熱されたPTFEフィルムに放電を行う。このような状態で放電することにより、電荷が結晶と非晶の間の界面に入り込むものと考えられる。結晶と非晶の間の界面に入り込んだ電荷は消失されにくいものと考えられ、これにより、薄いPTFEフィルムを用いた場合であっても、高い帯電保持率を得ることができる。
【0013】
請求項2に係る発明では、放電工程と加熱工程とが反復して行われる。放電工程によりエレクトレットの表面に付着した電荷の一部が、加熱工程で結晶と非晶の間の界面に入り込むものと考えられる。結晶と非晶の間の界面に入り込んだ電荷は、加熱されても消失しにくいものと考えられる。このため、放電工程と加熱工程を反復することにより、徐々に結晶と非晶の間の界面に電荷が蓄積される。これにより、薄いPTFEフィルムを用いた場合であっても、高い帯電保持率を得ることができる。
【0014】
請求項3に係る発明では、接着工程は、PTFEフィルムを融着させることにより行われる。即ち、PTFEフィルムは金属板の上面に直接接着される。金属板とPTFEフィルムの間に何も介在させないことにより、エレクトレット全体を薄くすることができ、エレクトレットの小型化を図ることができる。
【0015】
請求項4に係る発明では、接着面が化成処理されたPTFEフィルムを接着剤を用いて金属板に接着させる。接着剤を用いた場合には、早急にPTFEフィルムを金属板に接着させることができる。これにより、エレクトレットの製造時間を短縮することができ、生産効率が高まる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施例1にかかる製造方法を説明する図である。
【図2】実施例1について行った実験を説明する図である。
【図3】実験1〜実験13での帯電保持率−加熱温度線図である。
【図4】実施例1における帯電保持率向上の理由を説明する図である。
【図5】実施例1における帯電保持率−放電時間線図である。
【図6】実験1〜実験19での帯電保持率−加熱温度線図である。
【図7】実施例2にかかる製造方法を説明する図である。
【図8】実施例2における帯電保持率−反復回数線図である。
【図9】実施例2における帯電保持率向上の理由を説明する図である。
【図10】実施例2における加熱温度と帯電保持率の関係を説明するグラフである。
【図11】実施例3にかかる製造方法を説明する図である。
【図12】実施例3における帯電保持率−加熱温度線図である。
【図13】実施例3における帯電保持率−反復回数線図である。
【図14】従来の技術の基本構成を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
【実施例1】
【0018】
先ず、本発明の実施例1を図面に基づいて説明する。
図1(a)に示されるように、金属板11とPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)フィルム12とを準備し、矢印で示すようにPTFEフィルム12を金属板11の上面に載置する。ここで用いられるPTFEフィルム12は、25μm以下の薄いPTFEフィルムであることが望ましい。
【0019】
金属板11にPTFEフィルム12を載せたものを、(b)に示すように加熱炉13内の脚部14、14上面に移動させ、押圧アーム15で押圧する。このとき、加熱炉13の内部は、ヒータ16によりPTFEフィルム12の融点より高い温度に温められている。これによりPTFEフィルム12は、金属板11に融着されフィルム接着体18が形成される。
なお、接着工程でPTFEフィルム12が押圧アーム15に融着するのを防ぐために、押圧アーム15の素材によっては、予め離型剤を塗布もしくは押圧アーム15とPTFEフィルム12間に離型フィルムを挿入しておくことが望ましい。
【0020】
PTFEフィルム12は金属板11の上面に直接接着される。金属板11とPTFEフィルム12の間に何も介在させないことにより、エレクトレット((d)符号22)全体を薄くすることができ、エレクトレットの小型化を図ることができる。
【0021】
次に(c)に示すように、フィルム接着体18をホットプレート19の上面に移動させ、ホットプレート19で加熱しながら、放電装置21を用いてコロナ放電を行う。
このとき、放電はコロナ放電の他パルス放電、グロー放電を用いることができ、コロナ放電に限られない。
加熱しながら放電を行うことにより、フィルム接着体18のPTFEフィルム12に電荷が保持される。このようにして(d)に示されるエレクトレット22は完成する。
【0022】
なお、帯電保持率が十分に得られない場合は、加熱放電工程を繰り返し複数回行うことにより、帯電保持率を向上させることもできる。
このようにして作成したエレクトレットについて実験を行った。詳細は以下に説明する。
【0023】
(実験例)
本発明に係る実験例を以下に述べる。なお、本発明は実験例に限定されるものではない。
エレクトレットを図1に係る方法で製造した。このようなエレクトレットについて、図2で説明するように実験を行った。
【0024】
図2(a)に示すように、厚さW1(W1=200μm)の金属板25、厚さW2(W2=12.5μm)のPTFEフィルム26からなるエレクトレットを、縦L1(L1=10mm)、横L2(L2=10mm)に切出し、テストピース27を作成した。
【0025】
○材料:
金属板:SUS304
PTFEフィルム:日本バルカー工業株式会社製 バルフロン切削テープ
○接着工程:
炉:北川精機株式会社製 3段真空プレス
接着温度:390℃
押圧力:4MPa
【0026】
○加熱放電工程:
ホットプレート:AS ONE製DIGITAL HOT PLATE HP−1L
放電装置:コロナ放電装置
電源:松定プレシジョン株式会社製高圧電源 HAR−10R3
荷電圧:3.5kV
【0027】
次に、(b)に示すようにこのテストピース27が保持している電位を、表面電位計28を用いて計測する。仮に、このとき計測された電位の値をV1(−V)とする。
【0028】
○電位計測:
表面電位計:トレック・ジャパン株式会社製 表面電位計MODEL347
【0029】
電位を計測したテストピース27を、(c)に示すようにホットプレート29の上に移動させ、加熱し電荷を消失させる。以下これを加熱負荷工程という。
なお、本実験では、リフロー炉におけるリフローの代わりに加熱負荷工程を行った。
【0030】
○加熱負荷工程:
ホットプレート:AS ONE製DIGITAL HOT PLATE HP−1L
加熱温度:260℃
加熱時間:90秒
【0031】
加熱負荷工程の後に、(d)に示すように再度表面電位計28を用いて、テストピース27が保持している電位を計測する。仮に、このとき計測された電位の値をV2(−V)とする。
【0032】
(b)で得たV1と(d)で得たV2とから帯電保持率は計算される。帯電保持率は、加熱負荷工程前の電位に対して加熱負荷工程後にどれ位の電位が残存しているかを示す数値であるから、V2/V1×100(%)で示される。
【0033】
(c)における加熱負荷工程後のエレクトレット(テストピース27)の電位の値が、(a)におけるエレクトレット(テストピース27)の電位の値に近似していれば加熱負荷工程において失われた電位の量が少なかったといえ望ましい。即ち、加熱負荷工程において失われた電位の量が少ない場合は、エレクトレットを用いた製品を製造する際に行われるリフローで、加熱により消失する電位の量が少ないということができ望ましい。
【0034】
このようにして求めた帯電保持率の数値により、A〜Eの5段階で評価を行った。即ち、帯電保持率が90%以上でA、70%以上でB、60%以上でC、50%以上でD、50%未満でEとした。
このようにして行った実験の結果を表1に示す。
【0035】
【表1】
【0036】
実験1では、加熱温度が25℃であり、帯電保持率は24.8%であった。評価はEである。
実験2では、加熱温度が50℃であり、帯電保持率は30.1%であった。評価はEである。
実験3では、加熱温度が25℃であり、帯電保持率は34.7%であった。評価はEである。
【0037】
実験4では、加熱温度が150℃であり、帯電保持率は41.2%であった。評価はEである。
実験5では、加熱温度が180℃であり、帯電保持率は52.5%であった。評価はDである。
実験6では、加熱温度が200℃であり、帯電保持率は61.8%であった。評価はCである。
【0038】
実験7では、加熱温度が220℃であり、帯電保持率は70.3%であった。評価はBである。
実験8では、加熱温度が240℃であり、帯電保持率は79.4%であった。評価はBである。
実験9では、加熱温度が260℃であり、帯電保持率は89.9%であった。評価はBである。
【0039】
実験10では、加熱温度が280℃であり、帯電保持率は92.6%であった。評価はAである。
実験11では、加熱温度が300℃であり、帯電保持率は88.2%であった。評価はBである。
【0040】
実験12では、加熱温度が320℃であり、帯電保持率は85.2%であった。評価はBである。
実験13では、加熱温度が340℃であり、帯電保持率は80.5%であった。評価はBである。
以上の結果を図3にまとめた。
【0041】
図3に示されるように、縦軸が帯電保持率(%)であり、横軸が加熱温度(℃)である。実験10、即ち加熱温度が280℃のときに帯電保持率が最もよく92.6%であった。
【0042】
線32は、縦軸の帯電保持率80%の位置から水平に線を引き、線図と接触した位置から横軸まで垂直に線を下ろしたものである。この線32によれば、加熱温度が241℃〜341℃の間のときに、帯電保持率を80%以上に保つことができるものと推測される。誤差を考慮すれば、加熱温度は、245℃〜340℃であることが望ましい。この温度範囲で加熱することにより、高い帯電保持率を得ることができる。
【0043】
線33は、縦軸の帯電保持率90%の位置から水平に線を引き、線図と接触した位置から横軸まで垂直に線を下ろしたものである。この線33によれば、加熱温度が261℃〜286℃の間のときに、帯電保持率を90%以上に保つことができるものと推測される。誤差を考慮すれば、加熱温度は、265℃〜285℃であることが更に望ましい。この温度範囲で加熱することにより、非常に高い帯電保持率を得ることができる。
このように高い帯電保持率を得ることができた理由について、次図で説明する。
【0044】
図4に示すように、PTFEフィルムは結晶部35と非晶部36とから構成されている。PTFEフィルムを加熱し放電を行うと、電荷37が結晶部35と非晶部36の界面に入込むものと考えられる。電荷37が界面にまで入り込んでいるため、リフローにより加熱を行った場合であっても、電荷37がPTFEフィルムの外部へ放出されにくくなるものと考えられる。即ち、リフロー時に電荷37が消失しづらくなり、薄いPTFEフィルムを用いても、帯電保持率が高くなったものと考えられる。
次に、放電を行う時間と帯電保持率との関係を調べるために実験を行った。結果は表2のとおり。
【0045】
【表2】
【0046】
実験14では、加熱温度180℃で30秒の放電を行った。帯電保持率が43.2%であり評価はEであった。
実験15では、加熱温度180℃で180秒の放電を行った。帯電保持率が64.1%であり評価はCであった。
【0047】
実験16では、加熱温度280℃で30秒の放電を行った。帯電保持率が87.9%であり評価はBであった。
実験17では、加熱温度280℃で180秒の放電を行った。帯電保持率が94.0%であり評価はAであった。
【0048】
実験18では、加熱温度340℃で30秒の放電を行った。帯電保持率が53.0%であり評価はDであった。
実験19では、加熱温度340℃で180秒の放電を行った。帯電保持率が82.7%であり評価はBであった。
以上の結果に加熱温度が180℃で加熱時間が60秒であった実験5、280℃60秒であった実験10、340℃60秒であった実験13のデータを加え次図で説明する。
【0049】
図5に示されるように、縦軸が帯電保持率(%)であり、横軸が放電時間(秒)である。線38は、加熱温度180℃での放電時間と帯電保持率の関係を示す。線39は、加熱温度340℃での放電時間と帯電保持率の関係を示す。線40は、加熱温度280℃での放電時間と帯電保持率の関係を示す。
【0050】
線38〜線40において、いずれも放電時間が30秒から60秒の間で帯電保持率が大きく伸びている。60秒から180秒では、いずれも30秒から60秒の間の伸びに比べ、緩やかである。特に、線39及び線40では、60秒を超えてからほとんど帯電保持率に変化がない。
【0051】
即ち、放電時間は60秒以上180秒以下であることが望ましい。放電時間が60秒未満では、十分な帯電保持率を得ることができない。放電時間が180秒を超えると、帯電保持率の向上があまり望めず、180秒を超えて放電を行うと、却って作業効率が悪くなる。
このことは、次図からもいえる。
【0052】
図6に示されるように、縦軸が帯電保持率(%)であり、横軸が加熱温度(℃)である。線41は、放電時間が30秒であるときの加熱温度と帯電保持率の関係を示し、線42は、放電時間が180秒であるときの加熱温度と帯電保持率の関係を示す。線43は、放電時間が60秒であるとき、即ち、図3と同じ線である。
【0053】
加熱温度が280℃になるまでは、線41〜線43のいずれも、同じように帯電保持率が上昇する。
しかし、280℃を超えたときに、線41は線42、線43に比べ急激に帯電保持率が減少する。加熱温度が280℃を超える場合には、放電時間が60秒未満では十分な帯電保持率を得ることができない。このため、放電時間が60秒〜180秒であることが望ましいということができる。
【実施例2】
【0054】
次に、本発明の実施例2を図面に基づいて説明する。
図7(a)に示されるように、金属板11とPTFEフィルム12とを準備し、矢印で示すようにPTFEフィルム12を金属板11の上面に載置する。
【0055】
金属板11にPTFEフィルム12を載せたものを、(b)に示すように加熱炉13内の脚部14、14上面に移動させ、押圧アーム15で押圧する。加熱炉13の内部はヒータ16によりPTFEフィルム12の融点より高い温度に温められている。これによりPTFEフィルム12は、金属板11に融着されフィルム接着体18が形成される。
【0056】
次に(c)に示すように、フィルム接着体18を作業台45の上面に移動させ、放電装置21を用いてコロナ放電を行う。このとき、放電は室温で行われる。この放電が終わったら、電荷が保持されたフィルム接着体18を、(d)に示すようにホットプレート19の上面に移動させ、ホットプレート19で加熱する。
【0057】
ホットプレート19での加熱が終了したら、(c)に戻り、再び放電工程を行い、(d)で加熱工程を行う。このような工程の反復を所定の回数(例えば10回)行い、(e)に示すようにエレクトレット46が完成する。
このようにして作成したエレクトレットについて実験を行った。詳細は以下に説明する。
【0058】
(実験例)
本発明に係る実験例を以下に述べる。なお、本発明は実験例に限定されるものではない。
エレクトレットを図7に係る方法で製造した。このようなエレクトレットについて、実験を行った。なお、使用器具やテストピースの大きさについては、実験1〜実験19と同様である。
【0059】
放電工程と、加熱工程の反復回数を変えて行った実験20〜実験25の結果を表3に示す。
【0060】
【表3】
【0061】
実験20では、反復回数が0回であり、帯電保持率は17.3%であり、評価はEであった。
なお、反復回数が0回とは、最初の加熱工程の後、放電工程に戻らなかったことをいう。即ち、反復回数が1回であれば放電工程及び加熱工程をそれぞれ2回行っていることを示す。
【0062】
実験21では、反復回数が1回であり、帯電保持率は37.1%であり、評価はEであった。
実験22では、反復回数が5回であり、帯電保持率は57.3%であり、評価はDであった。
実験23では、反復回数が10回であり、帯電保持率は72.3%であり、評価はBであった。
【0063】
実験24では、反復回数が25回であり、帯電保持率は79.7%であり、評価はBであった。
実験25では、反復回数が50回であり、帯電保持率は83.3%であり、評価はBであった。
この結果を次図で説明する。
【0064】
図8に示されるように、縦軸が帯電保持率(%)であり、横軸が反復回数(回)である。反復回数10回までは、帯電保持率の伸びが大きく、反復回数10回〜25回で帯電保持率の伸びが緩やかになり、反復回数25回を超えると、放電工程と加熱工程を反復しても、あまり帯電保持率が上がらなくなる。
【0065】
このグラフから、反復回数は5回〜25回であることが望ましいということができる。5回未満であると十分な帯電保持率を得ることができない。一方25回を超えると、帯電保持率の上昇があまり望めないため、25回を超えて反復を行うと却ってエレクトレットの生産効率が低下する。
次に、放電工程と加熱工程を繰り返すことにより、帯電保持率が上昇する理由について説明する。
【0066】
図9(a)に示すように、放電を行った直後はPTFEフィルムの非晶に多くの電荷37が存在しているものと考えられる。
このようなPTFEフィルムに対して加熱を行うと、非晶部36の分子鎖の運動性が向上し(b)に示すように、ほとんどの電荷37が消失する。しかし、PTFEフィルムの結晶部35と非晶部36の間の界面に、一部の電荷37が入り込むものと考えられる。このような界面に入込んだ電荷37は、リフロー時に消失しづらいものと考えられる。
【0067】
そして、(c)に示すように、さらに放電を行い、(d)に示すように、さらに加熱を行う。これにより、徐々に界面に電荷37が蓄積されるため、薄いPTFEフィルムを用いても、帯電保持率が上がるものと考えられる。
次に、加熱工程での加熱温度と帯電保持率の関係を調べるために、実験を行った。この実験の結果を表4に示す。
【0068】
【表4】
【0069】
実験26では、加熱温度260℃で反復回数が10回であった。帯電保持率が57.9%で評価はDであった。
実験27では、加熱温度290℃で反復回数が10回であった。帯電保持率が65.2%で評価はCであった。
【0070】
これらの結果と、加熱温度280℃で反復回数が10回の実験23とを次図で比較する。
図10に示すように、縦軸が帯電保持率(%)であり、横軸は実験番号である。それぞれ加熱温度を変え、反復を10回行ったところ実験23の帯電保持率が最もよかった。即ち、加熱温度は280℃であることが望ましい。
【実施例3】
【0071】
次に、本発明の実施例3を図面に基づいて説明する。
図11に示されるように、金属板11にPTFEフィルム12を接着させる接着工程は、接着剤を用いても行うことができる。
即ち、(a)に示すように金属板11の上面に熱硬化性の接着剤51を塗布する。また、PTFEフィルム12の上面には、化成処理剤53を塗布し、塗布後に化成処理剤53を洗浄することにより化成処理を行う。
【0072】
化成処理を行うことでPTFEの分子鎖からふっ素原子が引抜かれ、電子不足の状態となる。この状態で他の分子と接触すると前述のの分子がふっ素樹脂炭素鎖上の不足した電子を補う。これにより、ふっ素樹脂に活性反応基が形成され、この活性反応基が接着に寄与する。
特に、テトラエッチ処理では空気中の酸素、水素、水蒸気などで炭素鎖上に水酸基(−OH)、カルボビニル基(−C=O)、カルボキシル基(−COOH)が生成される。
【0073】
このとき接着剤は、耐熱温度ができるだけ高いものを用いることが望ましい。耐熱温度が高いものであれば、エレクトレットのリフロー時の耐性を高めることができるからである。
【0074】
次に、(b)に示すように、接着剤51の上面に化成処理を行った処理面が接触するよう、PTFEフィルム12を金属板11の上面に載せる。PTFEフィルム12を載せたら、(c)に示すように、加熱炉54内にPTFEフィルム12が載置された金属板11を移動させ、加熱する。加熱することにより、接着剤51が硬化し、金属板11にPTFEフィルム12が接着される。(d)に示すようにフィルム接着体55が形成される。
【0075】
このようなフィルム接着体55を用いることによっても、本発明に係るエレクトレット(図1、図7)を製造することができる。
なお、接着剤51には、熱硬化性の接着剤の他、常温で硬化する接着剤であっても用いることができ、熱硬化性の接着剤に限られない。
【0076】
接着剤を用いた場合には、早急にPTFEフィルムを金属板に接着させることができる。これにより、エレクトレットの製造時間を短縮することができ望ましい。
【0077】
(実験例)
本発明に係る実験例を以下に述べる。なお、本発明は実験例に限定されるものではない。
図11に示される方法で作成されたフィルム接着体を用いてエレクトレットを製造し、実験を行った。接着工程以外の工程は実験1〜実験19と同様の条件で行った。
【0078】
○接着工程
接着剤:アレコムプロダクツ社製アレコムボンド570
加熱炉:AS ONE製DO−300FPA
接着温度:150℃
塗布量:PTFEフィルムの上面に8μmの接着剤層を形成
○化成処理
化成処理剤:潤工社製テトラエッチA
【0079】
実験28〜実験34では、図1に示されるような加熱と放電を同時に行う加熱放電工程を経て製造されたエレクトレットを用いた。結果は表5のとおり。
【0080】
【表5】
【0081】
実験28では、加熱温度が150℃であり帯電保持率は46.7%であった。評価はEである。
実験29では、加熱温度が180℃であり帯電保持率は52.7%であった。評価はDである。
実験30では、加熱温度が220℃であり帯電保持率は60.5%であった。評価はCである。
【0082】
実験31では、加熱温度が260℃であり帯電保持率は73.0%であった。評価はBである。
実験32では、加熱温度が280℃であり帯電保持率は74.3%であった。評価はBである。
【0083】
実験33では、加熱温度が300℃であり帯電保持率は77.9%であった。評価はBである。
実験34では、加熱温度が340℃であり帯電保持率は76.9%であった。評価はBである。
このような実験結果を次図で検討する。
【0084】
図12に示されるように、縦軸が帯電保持率(%)であり、横軸は加熱温度(℃)である。想像線で示されるのは、実験1〜実験13の結果であり、PTFEフィルムを融着した場合の結果である。
【0085】
PTFEフィルムを接着剤で接着した場合は、加熱温度が300℃のときに最も帯電保持率が高く、加熱温度が300度を超えた場合であっても、帯電保持率の減少幅が小さい。
PTFEフィルムを接着剤で接着した場合であっても、帯電保持率が70%を超え、この場合であっても十分な帯電保持率を得ることができたといえる。
次に、PTFEフィルムを接着剤で接着したフィルム接着体に、放電工程と加熱工程を反復して行うことにより製造したエレクトレットについて実験を行った。接着工程以外の工程は実験20〜実験27と同様の条件で行った。実験の結果は表6のとおり。
【0086】
【表6】
【0087】
実験35では反復回数が0回であり、帯電保持率が37.1%であった。評価はEである。
実験36では反復回数が10回であり、帯電保持率が63.1%であった。評価はCである。
実験37では反復回数が50回であり、帯電保持率が77.4%であった。評価はBである。
この実験の結果を次図で説明する。
【0088】
図13に示すように、縦軸が帯電保持率(%)であり、横軸が反復回数(回)である。接着剤で接着したフィルム接着体を用いた場合であっても、放電工程と加熱工程を反復して行うことにより帯電保持率が十分に上昇する。
【0089】
また、反復回数0回〜10回の場合の帯電保持率の伸びに比べて、反復回数10回〜50回のときの帯電保持率の伸びの方が緩やかであった。
【0090】
尚、本発明にかかるエレクトレットは、ICレコーダのマイクを例に説明したが、その他の音響機器に使用することや、エレクトレットフィルム、エレクトレット不織布、エレクトレット濾材としても使用することができ、用途はこれらのものに限られない。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明のエレクトレットは、エレクトレットコンデンサーマイクロホンに好適である。
【符号の説明】
【0092】
11…金属板、12…PTFEフィルム、18、55…フィルム接着体、22、46…エレクトレット。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属板にPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)フィルムを接着し、この接着されたPTFEフィルムを帯電させてなるエレクトレットの製造方法であって、
前記金属板に前記PTFEフィルムを接着させフィルム接着体を得る接着工程と、
得られたフィルム接着体を所定の温度で加熱しながら、前記PTFEフィルムに所定時間放電を行う加熱放電工程とからなることを特徴とするエレクトレットの製造方法。
【請求項2】
金属板にPTFEフィルムを接着し、この接着されたPTFEフィルムを帯電させてなるエレクトレットの製造方法であって、
前記金属板に前記PTFEフィルムを接着させフィルム接着体を得る接着工程と、
得られたフィルム接着体の前記PTFEフィルムに、室温で放電を行う放電工程と、
この放電工程で電荷が保持されたフィルム接着体を所定の温度で加熱する加熱工程とからなり、前記放電工程と前記加熱工程とが反復して行われることを特徴とするエレクトレットの製造方法。
【請求項3】
前記接着工程では、接着剤を用いず、前記PTFEフィルムを融点以上に加熱して前記金属板に融着させることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のエレクトレットの製造方法。
【請求項4】
前記接着工程では、接着面が化成処理されたPTFEフィルムを、接着剤を用いて金属板に接着させることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のエレクトレットの製造方法。
【請求項1】
金属板にPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)フィルムを接着し、この接着されたPTFEフィルムを帯電させてなるエレクトレットの製造方法であって、
前記金属板に前記PTFEフィルムを接着させフィルム接着体を得る接着工程と、
得られたフィルム接着体を所定の温度で加熱しながら、前記PTFEフィルムに所定時間放電を行う加熱放電工程とからなることを特徴とするエレクトレットの製造方法。
【請求項2】
金属板にPTFEフィルムを接着し、この接着されたPTFEフィルムを帯電させてなるエレクトレットの製造方法であって、
前記金属板に前記PTFEフィルムを接着させフィルム接着体を得る接着工程と、
得られたフィルム接着体の前記PTFEフィルムに、室温で放電を行う放電工程と、
この放電工程で電荷が保持されたフィルム接着体を所定の温度で加熱する加熱工程とからなり、前記放電工程と前記加熱工程とが反復して行われることを特徴とするエレクトレットの製造方法。
【請求項3】
前記接着工程では、接着剤を用いず、前記PTFEフィルムを融点以上に加熱して前記金属板に融着させることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のエレクトレットの製造方法。
【請求項4】
前記接着工程では、接着面が化成処理されたPTFEフィルムを、接着剤を用いて金属板に接着させることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のエレクトレットの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−165926(P2010−165926A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−7852(P2009−7852)
【出願日】平成21年1月16日(2009.1.16)
【出願人】(000229564)日本バルカー工業株式会社 (145)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年1月16日(2009.1.16)
【出願人】(000229564)日本バルカー工業株式会社 (145)
【Fターム(参考)】
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