説明

エレクトロクロミック表示装置の駆動方法およびエレクトロクロミック表示装置

【課題】簡易な構成により、以前に表示したパターンの影響を受けずに所望のパターン表示を行う。
【解決手段】表示基板11と、表示電極13と、対向基板12と、対向電極15と、表示電極13と対向電極15とに挟まれるように設けられた電解質層16と、表示基板11と対向電極15との間に表示電極13に接して設けられたエレクトロクロミック層14を有し、各表示電極13と対向電極15間に印加する電荷量を制御することによりエレクトロクロミック層14を酸化還元反応させて発消色するエレクトロクロミック表示装置10の駆動方法において、消色駆動時に、発色しているパターンと反転したパターンの発色を行い、全面発色の状態にしてから消色駆動を行う(S404〜S407)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレクトロクロミック表示装置の駆動方法およびエレクトロクロミック表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、紙に替わる電子媒体として、電子ペーパーの開発が盛んに行われている。電子ペーパーは、表示装置が紙のように用いられるところに特徴があるため、CRTや液晶ディスプレイといった従来の表示装置とは異なった特性が要求される。
【0003】
例えば、反射型表示装置であり、かつ、高い白反射率・高いコントラスト比を有すること、高精細な表示ができること、表示にメモリ効果があること、低電圧でも駆動できること、薄くて軽いこと、安価であること、などの特性が要求される。このうち特に、表示の品質に関わる特性として、紙と同等な白反射率・コントラスト比についての要求度が高い。
【0004】
これまで、電子ペーパー用途の表示装置として、例えば反射型液晶を用いる方式、電気泳動を用いる方式、トナー泳動を用いる方式、などが提案されている。しかしながら、上記のいずれの方式も白反射率・コントラスト比を確保しながら多色表示を行うことは大変困難である。
【0005】
一般に多色表示を行うためには、カラーフィルタを設けるが、カラーフィルタを設けると、カラーフィルタ自身が光を吸収し、反射率が低下する。さらに、カラーフィルタは、一画素をレッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)に3分割するため、表示装置の反射率が低下し、それに伴ってコントラスト比が低下する。白反射率・コントラスト比が大幅に低下した場合は、視認性が非常に悪くなり、電子ペーパーとして用いることが困難である。
【0006】
一方、上記のようなカラーフィルタを設けず、反射型の表示装置を実現するための有望な技術として、エレクトロクロミック現象を用いる方式がある。
【0007】
電圧を印加することで、可逆的に酸化還元反応が起こり、可逆的に色が変化する現象をエレクトロクロミズムという。このエレクトロクロミズム現象を引き起こすエレクトロクロミック化合物の発色/消色(以下、発消色という)を利用した表示装置が、エレクトロクロミック表示装置である。このエレクトロクロミック表示装置については、反射型の表示装置であること、メモリ効果があること、低電圧で駆動できることから、電子ペーパー用途の表示装置技術の有力な候補として、材料開発からデバイス設計に至るまで、幅広く研究開発が行われている。
【0008】
ただし、エレクトロクロミック表示装置には、酸化還元反応を利用して発消色を行う原理ゆえに、発消色の応答速度が遅いという欠点がある。特許文献1には、エレクトロクロミック化合物を電極近傍に固定させることによって発消色の応答速度の改善を図った例が開示されている。特許文献1の記載によれば、従来数10秒程度だった発消色に要する時間は、無色から青色への発色時間、青色から無色への消色時間は、ともに1秒程度まで向上している。ただし、これで十分というわけではなく、エレクトロクロミック表示装置の研究開発に際しては、さらなる発消色の応答速度の向上が必要である。
【0009】
一方、エレクトロクロミック表示装置は、エレクトロクロミック化合物の構造によって様々な色を発色できるため、多色表示装置として期待されている。
【0010】
このようなエレクトロクロミック表示装置を利用した多色表示装置には、いくつか公知になっている例がある。例えば、特許文献2には、複数種のエレクトロクロミック化合物の微粒子を積層したエレクトロクロミック化合物を用いた多色表示装置が開示されている。該文献では、発色を示す電圧の異なる複数の機能性官能基を有する高分子化合物であるエレクトロクロミック化合物を複数積層し、多色表示エレクトロクロミック化合物とした多色表示装置の例が開示されている。
【0011】
また、特許文献3には、電極上に多層にエレクトロクロミック層を形成し、その発色に必要な電圧値や電流値の差を利用して多色を発色させる表示装置が開示されている。該文献では、異なる色を発色し、かつ、発色する閾値電圧及び発色に必要な必要電荷量が異なる複数のエレクトロクロミック化合物を、積層又は混合して形成した表示層を有する多色表示装置の例が開示されている。
【0012】
また、特許文献4には、一対の透明電極の間にエレクトロクロミック層及び電解質を挟持した構造単位を複数積層してなる多色表示装置の例が開示されている。また、特許文献5には、特許文献4に記載された構造単位を用いてパッシブマトリクスパネル及びアクティブマトリクスパネルを構成し、RGB3色に対応する多色表示装置の例が開示されている。
【0013】
さらに、特許文献6には、表示基板と対向電極との間に複数の表示電極が互いに隔離して設けられ、複数の表示電極の各々に対応して複数のエレクトロクロミック層が設けられ、一の表示電極と他の表示電極との間の電気抵抗は、一の表示電極の電気抵抗より大きくすることで、任意の色を発色させるエレクトロクロミック表示装置の例が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、上記のエレクトロクロミック表示装置においては、以下のような問題があった。
【0015】
例えば、特許文献2に記載の技術では、積層されたエレクトロクロミック化合物の各々が、異なる電圧で異なる色を発色する化合物であるため、電圧を制御することによっていずれかの色に発色させることは可能であるものの、複数の色を同時に発色させることができない、という問題があった。
【0016】
また、特許文献3に記載の技術では、異なる色を発色する複数種のエレクトロクロミック化合物を有するため、複数の色を同時に発色させることは可能であるものの、任意の色を選択的に発色させるために複雑な電圧・電流の制御が必要となるという問題があった。
【0017】
また、特許文献4、5に記載の技術では、1層のエレクトロクロミック層を発色させるために1対即ち2層の透明電極が必要になるため、複数積層した場合に電極層の層数が多くなり、反射率・コントラストが低下するという問題があった。
【0018】
ところで、エレクトロクロミック表示装置は、その特性により、外部から供給される電荷により酸化又は還元反応を起こして発消色を行うものであるため、仮に、あるパターンを還元発色させた場合、エレクトロクロミズム材料はパターンに応じた還元状態となっている。当該パターンを消す場合、発色のパターンと同じパターンで酸化消色を起こすように駆動させることにより、表示されていたパターンを消すことが可能となる。これは、酸化発色、還元消色の場合も同様である。また、安定状態で発色し、外部からの電荷供給により、消色又は別の色に発色するものもある。
【0019】
この点に関し、特許文献6に記載の技術は、発色前に各表示電極に消色電圧を印加することにより、エレクトロクロミック化合物の電荷状態を初期化することが可能であるが、特許文献6に記載の技術では、逆方向の反応を起こすために、双方向に制御可能な駆動方式(後述する図7参照)を用いる必要があるため、装置構成が複雑となり、コスト増に繋がるという問題が残されていた。
【0020】
そこで本発明は、エレクトロクロミック表示装置におけるパターン表示や切り替えにおいて、簡易な構成により、以前に表示したパターンの影響を受けずに所望のパターン表示を行うことができるエレクトロクロミック表示装置の駆動方法およびエレクトロクロミック表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
かかる目的を達成するため、本発明に係るエレクトロクロミック表示装置の駆動方法は、表示基板と、表示電極と、対向基板と、対向電極と、表示電極と対向電極とに挟まれるように設けられた電解質層と、表示基板と対向電極との間に表示電極に接して設けられたエレクトロクロミック層を有し、各表示電極と対向電極間に印加する電荷量を制御することによりエレクトロクロミック層を酸化還元反応させて発消色するエレクトロクロミック表示装置の駆動方法において、消色駆動時に、発色しているパターンと反転したパターンの発色を行い、全面発色の状態にしてから消色駆動を行うようにしている。
【0022】
また、本発明に係るエレクトロクロミック表示装置は、表示基板と、表示電極と、対向基板と、対向電極と、表示電極と対向電極とに挟まれるように設けられた電解質層と、表示基板と対向電極との間に表示電極に接して設けられたエレクトロクロミック層を有し、各表示電極と対向電極間に印加する電荷量を制御することによりエレクトロクロミック層を酸化還元反応させて発消色するエレクトロクロミック表示装置であって、電界効果トランジスターからなるアクティブマトリックスアレイを発色用のみに有し、消色を、表示電極または対向電極に対して一様に印加する駆動手段を備え、該駆動手段は、消色駆動時に、発色しているパターンと反転したパターンの発色を行い、全面発色の状態にしてから消色駆動を行うものである。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、簡易な構成により、以前に表示したパターンの影響を受けずに所望のパターン表示を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】エレクトロクロミック表示装置のセル部分を示す構成図(1)である。
【図2】エレクトロクロミック表示装置のセル部分を示す構成図(2)である。
【図3】エレクトロクロミック表示装置の全体構成を示す概略構成図である。
【図4】発色用アクティブマトリクスを有する駆動装置を備えたエレクトロクロミック表示装置(発色時接続)の概略構成図である。
【図5】消色用アクティブマトリクスを有する駆動装置を備えたエレクトロクロミック表示装置(消色時接続)の概略構成図である。
【図6】消色用アクティブマトリクスを有しない駆動装置を備えたエレクトロクロミック表示装置(消色時接続)の概略構成図である。
【図7】発色用および消色用アクティブマトリクスを有し、双方向パターンの制御可能な駆動装置を備えたエレクトロクロミック表示装置の概略構成図である。
【図8】消色用アクティブマトリクスを有さず、発色用アクティブマトリクス34を有し、双方向パターンの制御不可である駆動装置を備えた本実施形態に係るエレクトロクロミック表示装置の概略構成図である。
【図9】図7に示す双方向にパターン制御可能な構成の駆動装置によるパターンの発消色処理の一例を示すフローチャートである。
【図10】図8に示す双方向のパターン制御が不可能な構成の駆動装置によるパターンの発消色処理の一例を示すフローチャートである。
【図11】図8に示す双方向のパターン制御が不可能な構成の駆動装置によるパターンの発消色処理の他の例を示すフローチャートである。
【図12】図8に示す双方向のパターン制御が不可能な構成の駆動装置によるパターンの発消色処理であって、本実施形態に係るエレクトロクロミック表示装置の駆動方法の一例を示すフローチャートである。
【図13】全面消色状態時の表示状態を示す模式図である。
【図14】パターンA発色状態時の表示状態を示す模式図である。
【図15】全面発色状態時の表示状態を示す模式図である。
【図16】パターンB発色状態時の表示状態を示す模式図である。
【図17】図8に示す双方向のパターン制御が不可能な構成の駆動装置によるパターンの発消色処理であって、本実施形態に係るエレクトロクロミック表示装置の駆動方法の他の例を示すフローチャートである。
【図18】パターンD+E発色状態時の表示状態を示す模式図である。
【図19】パターンF発色状態時の表示状態を示す模式図である。
【図20】図8に示す双方向のパターン制御が不可能な構成の駆動装置によるパターンの発消色処理の他の例を示すフローチャートである(比較例1)。
【図21】パターンC発色状態時の表示状態を示す模式図である。
【図22】表示基板、第1の表示電極、第2の表示電極の配置関係を示した模式図である。
【図23】図8に示す双方向のパターン制御が不可能な構成の駆動装置によるパターンの発消色処理の他の例を示すフローチャートである(比較例2)。
【図24】パターンG発色状態時の表示状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に係る構成を図面に示す実施の形態に基づいて詳細に説明する。
【0026】
(エレクトロクロミック表示装置のセル部構成[1])
先ず、エレクトロクロミック表示装置のセル部の構成例について説明する。図1は、エレクトロクロミック表示装置のセル部分を示す概略構成図である。
【0027】
図1に示すエレクトロクロミック表示装置10は、表示基板11と、表示基板11に対向されて設けられた対向基板12と、表示基板11と対向基板12とがスペーサ19を介して貼りあわされたセル20を有する。
【0028】
表示基板11には、表示電極13およびエレクトロクロミック層14が設けられ、表示電極13およびエレクトロクロミック層14を支持している。表示電極13は、対向電極15に対する電位を制御し、エレクトロクロミック層14を発色させるための電極である。
【0029】
エレクトロクロミック層14は、エレクトロクロミック化合物と、該エレクトロクロミック化合物を担持する金属酸化物と、を有しいる。なお、エレクトロクロミック化合物は、酸化還元反応によって発色する部分であり、金属酸化物は、エレクトロクロミック化合物を担持するとともに、発消色を高速で行うためのものである。
【0030】
対向基板12には、対向電極15が設けられ、対向電極15を支持している。対向電極15は、対向電極15に対する表示電極13の電位を制御し、エレクトロクロミック層14を発色させるための電極である。
【0031】
セル20は、表示基板11と、対向基板12とが、スペーサ19を介して貼り合わされ
た構造を有しており、セル20の内部には、電解質(電解質溶液)16が充填される。電解質16は、表示電極13と、対向電極15との間でイオンとして電荷を移動させ、エレクトロクロミック層14の発色を起こすためのものである。この電解質16はポリマーに担持することも可能であり、ポリマーをパターニングすることで、容易に発消色領域(すなわち画素)を形成することが可能である。
【0032】
(エレクトロクロミック表示装置のセル部構成[2])
次に、エレクトロクロミック表示装置のセル部の他の構成例について説明する。図2は、エレクトロクロミック表示装置のセル部分を示す概略構成図である。なお、図1と重複する部分の説明は必要に応じて省略する。
【0033】
図2に示すエレクトロクロミック表示装置10は、表示基板11と、表示基板11に対向されて設けられた対向基板12と、表示基板11と対向基板12とがスペーサ19を介して貼りあわされたセル20を有する。
【0034】
表示基板11には、第1の表示電極13aと、第1の表示電極13aに接して設けられた第1のエレクトロクロミック層14aと、第1のエレクトロクロミック層14aに接して設けられた保護層17と、保護層17に接して設けられた絶縁層18と、絶縁層18に接して設けられた第2の表示電極13bと、第2の表示電極13bに接して設けられた第2のエレクトロクロミック層14bと、が設けられており、上記の積層構造を支持している。
【0035】
第1、第2の表示電極13a,13bは、それぞれ対向電極15に対する電位を制御し、第1、第2のエレクトロクロミック層14a,14bを発色させるための電極である。
【0036】
また、第1、第2のエレクトロクロミック層14a,14bは、それぞれエレクトロクロミック化合物と、該エレクトロクロミック化合物を担持する金属酸化物と、を有し、互いに異なる色の発色が可能である。
【0037】
対向基板12には、対向電極15が設けられ、対向電極15を支持している。また、対向電極15は、対向電極15に対する第1の表示電極13a又は第2の表示電極13bの電位を制御し、第1のエレクトロクロミック層14a又は第2のエレクトロクロミック層14bを発色させるための電極である。
【0038】
保護層17は、例えば、有機高分子材料からなる第1のエレクトロクロミック層14a及び第2のエレクトロクロミック層14bの各々の隣接層との密着性、溶剤に対する耐溶解性を向上させ、エレクトロクロミック表示装置10の耐久性を向上させるものである。
【0039】
また、絶縁層18は、第1のエレクトロクロミック層14aの設けられた第1の表示電極13aと、第2のエレクトロクロミック層14bの設けられた第2の表示電極13bとが、絶縁されるように隔離するためのものである。
【0040】
セル20は、表示基板11と、対向基板12とが、スペーサ19を介して貼り合わされ
た構造を有しており、セル20の内部には、電解質(電解質溶液)16が充填される。電解質16は、第1の表示電極13a又は第2の表示電極13bと、対向電極15との間でイオンとして電荷を移動させ、第1のエレクトロクロミック層14a又は第2のエレクトロクロミック層14bの発色を起こすためのものである。
【0041】
このように複数のエレクトロクロミック層14を有するエレクトロクロミック表示装置10によれば、多色表示が可能となる。
【0042】
(駆動装置の構成)
次に、図3に、図1に示したエレクトロクロミック表示装置10のセル20と、該セル20を発消色するための電源33(図3では図示せず)と配線(導線31,32)からなる駆動装置30を加えたエレクトロクロミック表示装置10の全体構成を示す概念図を示す。駆動装置30は、導線31により表示電極13に、導線32により各対向電極15にそれぞれ接続されている。
【0043】
また、図4に発色用アクティブマトリクス34を有する駆動装置30を備えたエレクトロクロミック表示装置10(発色時接続)の概略構成図、図5に消色用アクティブマトリクス35を有する駆動装置30を備えたエレクトロクロミック表示装置10(消色時接続)の概略構成図、図6に消色用アクティブマトリクス35を有しない駆動装置30を備えた備えないエレクトロクロミック表示装置10(消色時接続)の概略構成図を示す。
【0044】
また、図7に発色用アクティブマトリクス34および消色用アクティブマトリクス35の双方を有し、発消色双方で任意電荷を画素毎に印加可能な構成、すなわち、双方向パターンの制御を可能とする駆動装置30を備えたエレクトロクロミック表示装置10を示す。即ち、図7に示すエレクトロクロミック表示装置10は、切り替えスイッチ36により、発消色毎に駆動装置30内部の回路を図4(発色時接続)に示すものと図5(消色時接続)に示すものを切り替え可能としたものである。
【0045】
さらに、図8に、消色用アクティブマトリクス35を有さず、発色用アクティブマトリクス34を有し、発色の場合のみ任意電荷を画素毎に印加可能な構成、すなわち、双方向パターンの制御が不可(一方向のみパターン制御可能)である駆動装置を備えたエレクトロクロミック表示装置10を示す(本実施形態に係るエレクトロクロミック表示装置である)。即ち、図8に示すエレクトロクロミック表示装置10は、切り替えスイッチ37により、発消色毎に駆動装置30内部の回路を図4(発色時接続)に示すものと図6(消色時接続)に示すものを切り替え可能としたものである。
【0046】
なお、図3〜図8に示した駆動装置30は、図示した電源33、アクティブマトリクス34,35、切り替えスイッチ36,37等に加えて、エレクトロクロミック表示装置10のパターン表示(後述する)に必要な電圧印加手段(図示せず)等を備えるものである。電圧印加手段は、公知または新規の構成によれば良く、特に限られるものではないため説明は省略する。
【0047】
また、電圧印加手段、電源33、アクティブマトリックス34,35、切り替えスイッチ36〜38等の駆動手段30の各構成、および駆動手段30自体は、駆動手段30に接続される制御装置(制御手段)40(図3〜図7では図示省略)により制御される。なお、駆動手段30が制御手段40を備える構成であっても良い。
【0048】
また、図3〜図8に示すエレクトロクロミック表示装置10は、セル部分として図1に示したセル20を備える例を示しているが、図2に示した多色表示が可能なセル20を備えるものであって、多色表示に必要な電圧印加手段、制御手段40を備えるものであっても良いのは勿論である。
【0049】
(エレクトロクロミック表示装置の駆動制御)
ここで、液晶や有機LEDなどの駆動用アレイとしてよく用いられているアクティブマトリックスは、MOSなどを用いた電界効果トランジスターを用いたものが一般的であるが、電解効果トランジスターはバイポーラトランジスタと異なり、キャリアは電子または正孔の片方のみである。
【0050】
そのため、エレクトロクロミック表示装置において、双方向のパターン制御を行い発消色などで酸化還元を行おうとする場合、電子をキャリアとするアクティブマトリクスと正孔をキャリアとするアクティブマトリクスを用いて切り替えを行うなどの駆動装置や方法が必要となる(図7)。また、エレクトロクロミックにはメモリ効果があることは電子ペーパーとして利点だが、駆動をやめれば即座に消色しないため、表示の切り替えを行うためには消色のための印加を行う必要があることとなる。
【0051】
以下、エレクトロクロミック表示装置の駆動制御について説明する。先ず、図9に示すフローチャートにより、図7に示した双方向にパターン制御可能な電源を用いた構成の駆動装置30によるパターンの発消色処理の一例について説明する。
【0052】
図9に示すように、初期状態・全色消色状態(S101)からパターン1の発色に必要な電荷が各対向電極15から印加されることにより(S102)、パターン1の発色状態を示す(S103)。
【0053】
次に、パターン1の消色に必要な発色とは逆の電荷が各対向電極15から印加されることにより(S104)、全面消色状態となる(S105)。
【0054】
さらに、異なるパターン2の発色に必要な電荷が各対向電極15から印加されることにより(S106)、パターン2の発色状態を示すことが可能となる(S107)。
【0055】
このように図7に示すような双方向にパターン制御可能な電源を用いた構成の駆動装置30を用いることにより、以前に表示したパターンの影響を受けることなく、次のパターンを表示させることができる。しかしながら、双方向に制御可能な駆動方式を用いる必要があるため、装置構成が複雑となり、コスト増に繋がることとなる。
【0056】
これに対し、一方向のパターン制御だけなら、一方向にのみパターン印加可能な電源を用い、逆方向印加の際には表示電極13または対向電極15に対して一様の任意印加が可能な電源を用いることができる。すなわち、表示などでよく用いられている汎用的な1Trのアクティブマトリクスアレイや2Tr1Cのメモリ型のアクティブマトリクスアレイを用いることが可能となるため、装置構成を簡易、かつ安価な電源、駆動装置を用いることができ、低コスト化を図ることができる(図8)。
【0057】
しかしながら、図10および図11に示すように、図8に示した双方向のパターン制御が不可能な電源を用いた構成の駆動装置30によるパターンの発消色処理では、以下のような問題が生じることとなる。
【0058】
例えば、図10に示すように、初期状態・全色消色状態(S201)からパターン1の発色に必要な電荷が各対向電極15から印加されることにより(S202)、パターン1の発色状態を示す(S203)。
【0059】
次に、消色では、パターン1の消色に必要な発色とは逆の電荷を対向電極15から印加することができないため、発色時に入れた電荷と同じ種類の電荷を表示電極13から入れること、つまり、全面消色印加を行うことにより(S204)、全面消色状態となる(S205)。
【0060】
その後、異なるパターン2の発色に必要な電荷が各対向電極15から印加されると、(S206)、パターン2の発色状態とはならず、パターン3の発色状態を示してしまう(S207)。
【0061】
同様に、例えば、図11に示すように、初期状態・全色消色状態(S301)からパターン4の発色に必要な電荷が各対向電極15から印加されることにより(S302)、パターン1の発色状態を示す(S303)。
【0062】
次に、消色では、パターン4の消色に必要な発色とは逆の電荷を対向電極15から印加することができないため、発色時に入れた電荷と同じ種類の電荷を表示電極13から入れること、つまり、全面消色印加を行うことにより(S304)、全面消色状態となる(S305)。
【0063】
その後、異なるパターン2の発色に必要な電荷が各対向電極15から印加されると、(S306)、パターン2の発色状態とはならず、パターン5の発色状態を示してしまう(S307)。
【0064】
以上説明したように、双方向制御が不可能な電源を用いた場合、双方向に比べ簡便で安価な電源で駆動し、全面を消色状態にすることは可能であるが、一方で、次のパターンで発色を行う際に以前の発消色パターンに由来する影響が出るといった問題があった。
【0065】
そこで本実施形態に係るエレクトロクロミック表示装置の駆動方法は、表示基板11と、表示電極13(13a,13b)と、対向基板12と、対向電極15と、表示電極13と対向電極15とに挟まれるように設けられた電解質層16と、表示基板11と対向電極15との間に表示電極13に接して設けられたエレクトロクロミック層14(14a,14b)を有し、各表示電極13と対向電極15間に印加する電荷量を制御することによりエレクトロクロミック層14を酸化還元反応させて発消色するエレクトロクロミック表示装置10の駆動方法において、消色駆動時に、発色しているパターンと反転したパターンの発色を行い、全面発色の状態にしてから消色駆動を行うようにするものである(図12のS404〜S407、図17のS505〜S509)。以下に詳細に説明する。
【0066】
(エレクトロクロミック表示装置の駆動方法[1])
エレクトロクロミック表示装置10(図1,図8に示す構成)を用いた発消色処理のフローチャート(本実施形態に係るエレクトロクロミック表示装置の駆動方法である)を図12に示す。
【0067】
先ず、エレクトロクロミック表示装置10に各対向電極15から所定の電荷を投入することにより(S402)、初期状態・全面消色状態(S401)からパターンAを発色表示させる(S403)。なお、各パターンにおける発消色パターンの詳細については、実施例の末尾に記載した。
【0068】
上記、全面消色状態、パターンA発色状態の各状態でエレクトロクロミック表示装置10を表示基板11側から見た発消色の状態を示す模式図を図13、図14にそれぞれ示す。なお、これらの図では表示基板11と対向基板12と発消色部位21のみを記載し、それ他の部位の図示は省略している。また、発消色部位21とは表示電極13と対向電極15とに挟まれた部位をいうものとする。
【0069】
次に、パターンAの反転パターン(パターンA’)で発色を行い、全面が発色している状態とする(S404〜S405)。さらに、消色のため表示電極13全面に電荷を投入し全面を消色させる(S406〜S407)。このようにした上で、パターンBの発色表示を行うと(S408)、所望するパターンBを表示させることができる(S409)。
【0070】
上記、全面発色状態、パターンB発色状態の各状態でエレクトロクロミック表示装置10を表示基板11側から見た発消色の状態を示す模式図を図15、図16にそれぞれ示す。
【0071】
このように本実施形態に係るエレクトロクロミック表示装置の駆動方法によれば、双方向制御が不可能な電源を用いた場合であっても、消色状態における電位が各画素で等しくなり、次にパターン発色をする場合に所望のパターンとは異なるパターンが出てしまうことがなく、所望のパターンの表示をすることができる。
【0072】
(エレクトロクロミック表示装置の駆動方法[2])
また、多色表示を可能とするエレクトロクロミック表示装置10(図2のセルを図8の構成に適用したもの)を用いた発消色処理のフローチャート(本実施形態に係るエレクトロクロミック表示装置の駆動方法である)を図17に示す。
【0073】
先ず、エレクトロクロミック表示装置10に各対向電極15から所定の電荷を投入することにより(S502、S503)、初期状態・全面消色状態(S501)から第1のエレクトロクロミック層14aをパターンD、第2のエレクトロクロミック層14bをパターンEで発色表示させる(S504)。なお、第1のエレクトロクロミック層14aを発色させる時は第1の表示電極13aと対向電極15を選択、第2のエレクトロクロミック層14bを発色させると時は第2の表示電極13bと対向電極15を選択している。
【0074】
上記、全面消色状態、パターンD+E発色状態の各状態でエレクトロクロミック表示装置10を表示基板11側から見た発消色の状態を示す模式図を図13、図18にそれぞれ示す。
【0075】
次に、消色を行うため、第2のエレクトロクロミック層14bをパターンEの反転パターン(パターンE’)で発色させた後(S505)、第2の表示電極13b全面に電荷を投入して第2層を消色させる(S506)。
【0076】
また、第1のエレクトロクロミック層14aをパターンDの反転パターン(パターンD’)で発色させた後(S507)、第1の表示電極13a全面に電荷を投入し全面に電荷を投入して第1層を消色させ(S508)、全面消色状態とする(S509)。
【0077】
このようにした上で、パターンFの発色表示を行うと(S510)、所望するパターンFを表示させることができる(S511)。
【0078】
上記、全面発色状態、パターンF発色状態の各状態でエレクトロクロミック表示装置10を表示基板11側から見た発消色の状態を示す模式図を図15、図19にそれぞれ示す。
【0079】
このように本実施形態に係るエレクトロクロミック表示装置の駆動方法によれば、複数のエレクトロクロミック層により、多色表示が可能であり、双方向制御が不可能な電源を用いた場合であっても、消色状態における電位が各画素で等しくなり、次にパターン発色をする場合に所望のパターンとは異なるパターンが出てしまうことがなく、所望のパターンの表示をすることができる。
【0080】
尚、上述の実施形態は本発明の好適な実施の例ではあるがこれに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。
【実施例】
【0081】
以下、実施例に基づいて本発明に係るエレクトロクロミック表示装置の駆動方法およびエレクトロクロミック表示装置について具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により、何等限定されるものではない。
【0082】
<実施例1>
40mm×40mmのガラス基板を準備し、その上面の39mm×36mmの領域に、ITO膜をスパッタ法により約100nmの厚さになるように成膜することによって表示電極13を形成した。
【0083】
表示電極13が形成されたガラス基板上に、酸化チタンナノ粒子分散液としてSP210(商品名:昭和タイタニウム社製)をスピンコート法により塗布し、120℃で15分間アニール処理を行うことによって、酸化チタン粒子膜を形成し、引続いてビオロゲン化合物の5wt%2,2,3,3−テトラフロロプロパノール溶液と前述したSP210とを2.4/4の比率で混合した塗布液をスピンコート法により塗布し、120℃で10分間アニール処理を行うことによって、酸化チタン粒子とエレクトロクロミック化合物
[4,4'-(1-phenyl-1H-pyrrole-2,5-diyl)bis(1-(4-(phosphonomethyl)benzyl)pyridinium)bromide]よりなるエレクトロクロミック層14を形成することで、表示基板11を得た。
【0084】
一方、先ほどのガラス基板とは別に40mm×40mmのガラス基板を準備し、その上
面の全面に、酸化スズよりなる透明導電性薄膜を4mmライン/1mmスペース(6ライン)×35mm幅の矩形パターンで成膜することによって、対向電極15を形成した。
【0085】
表示基板11と対向基板12を75μmのスペーサ19を介して5mmほどずらして貼り合わせ、セル20を作製した。
【0086】
次に、過塩素酸テトラブチルアンモニウムを炭酸プロピレンに0.1M溶解させた溶液に、一次粒径300nmの酸化チタン粒子(石原産業株式会社製)を35wt%分散させ、電解質溶液16を調製し、セル20内に封入することでエレクトロクロミック表示装置10(図1)を作製した。
【0087】
この作製したエレクトロクロミック表示装置10を用いて、上述の発消色処理(図12)を実行することにより、所望のパターンBの表示を確認することができた。
【0088】
<比較例1>
実施例1と同様の作製方法によりエレクトロクロミック表示装置10を用いて、従来の発消色処理を実施した。この発消色処理のフローチャートを図20に示す。なお、図10および図11において説明したものと同様の処理内容である。
【0089】
図20に示すように、先ず、エレクトロクロミック表示装置10に所定の電荷を投入することにより(S602)、初期状態・全面消色状態(S601)から、パターンAを発色表示させた(S603)。次に、消色のため表示電極13全面に電荷を投入し全面を消色させた(S604〜S605)。さらに、先ほどとは異なるパターンBを発色表示させた(S606)。
【0090】
このエレクトロクロミック表示装置の駆動方法によったところ、所望するパターンBの表示ができずパターンCの発色となった(S607)。このパターンCの発消色の状態を示す模式図を図21に示す。
【0091】
以上説明した実施例1および比較例1により本発明の有効性を確認することができた。
【0092】
<実施例2>
40mm×40mmのガラス基板を準備し、その上面の(32mm×36mm)+(6mm×10mm)の領域に、ITO膜をスパッタ法により約100nmの厚さになるように成膜することによって第1の表示電極13aを形成した。
【0093】
第1の表示電極13aが形成されたガラス基板上に、酸化チタンナノ粒子分散液としてSP210(商品名:昭和タイタニウム社製)をスピンコート法により塗布し、120℃で15分間アニール処理を行うことによって、酸化チタン粒子膜を形成し、引続いてビオロゲン化合物の5wt%2,2,3,3−テトラフロロプロパノール溶液と前述したSP210とを2.4/4の比率で混合した塗布液をスピンコート法により塗布し、120℃で10分間アニール処理を行うことによって、酸化チタン粒子とエレクトロクロミック化合物
[4,4'-(1-phenyl-1H-pyrrole-2,5-diyl)bis(1-(4-(phosphonomethyl)benzyl)pyridinium)bromide]よりなる第1のエレクトロクロミック層14aを形成することで、表示基板11を得た。
【0094】
次に、このように第1のエレクトロクロミック層14aが形成されたガラス基板上に、ポリビニルアミドの0.1wt%エタノール溶液、ポリビニルアルコールの0.5wt%水溶液をスピンコート法により塗布することによって保護層17を形成した。引続いて、8/2の組成比を有するZnS−SiO2を、スパッタ法により25〜150nmの膜厚になるように成膜することによって、無機絶縁層18を形成した。更に、ZnS−SiO2よりなる無機絶縁層18が形成されたガラス基板の表面の(32mm×34mm)+(6mm×10mm)の領域に、ITO膜をスパッタ法により約100nmの厚さになるように成膜することによって、第2の表示電極13bを形成した。
【0095】
そして、このように第2の表示電極13bまでが形成されたガラス基板上に、酸化チタンナノ粒子分散液としてSP210(商品名:昭和タイタニウム社製)をスピンコート法により塗布し、120℃で15分間アニール処理を行うことによって、酸化チタン粒子膜を形成した。引続いて、エレクトロクロミック化合物
[4,4'-(4,4'-(1,3,4-oxadiazole-2,5-diyl)bis(4,1-phenylene))bis(1-(8-phosphonooctyl)pyridinium)bromide]よりなる1wt%2,2,3,3−テトラフロロプロパノール溶液と前述したSP210とを2.4/4の比率で混合した塗布液をスピンコート法により塗布し、120℃で10分間アニール処理を行った。これによって、酸化チタン粒子とエレクトロクロミック化合物からなる第2のエレクトロクロミック層14bを形成することで、表示基板11を得た。
【0096】
図22に、第1の表示電極13a、第2の表示電極13bの関係を示した模式図を示す。尚、エレクトロクロミック層14、保護層17、絶縁層18等の図示は省略している。
【0097】
一方、先ほどのガラス基板とは別に40mm×40mmのガラス基板を準備し、その上面の全面に、酸化スズよりなる透明導電性薄膜を4mmライン/1mmスペース(6ライン)×35mm幅の矩形パターンで成膜することによって、対向電極15を形成した。
【0098】
表示基板11と対向基板12を75μmのスペーサ19を介して5mmほどずらして貼り合わせ、セル20を作製した。次に過塩素酸テトラブチルアンモニウムを炭酸プロピレンに0.1M溶解させた溶液に、一次粒径300nmの酸化チタン粒子(石原産業株式会社製)を35wt%分散させ、電解質溶液16を調製し、セル20内に封入することでエレクトロクロミック表示装置10を作製した(図2)。
【0099】
この作製したエレクトロクロミック表示装置10を用いて、上述の発消色処理(図17)を実行することにより、所望のパターンFの表示を確認することができた。
【0100】
<比較例2>
実施例2と同様の作製方法によりエレクトロクロミック表示装置10を用いて、従来の発消色処理を実施した。この発消色処理のフローチャートを図23に示す。
【0101】
図23に示すように、先ず、エレクトロクロミック表示装置10に各対向電極15から所定の電荷を投入することにより(S702,S703)、初期状態・全面消色状態(S701)からから第1のエレクトロクロミック層14aをパターンD、第2のエレクトロクロミック層14bをパターンEで発色表示させた(S704)。
【0102】
次に、消色のため第2層、第1層の順に表示電極13全面に電荷を投入して消色させた(S705〜S707)。さらに、第1層目と第2層目を別のパターンFで発色表示させた(S708)。
【0103】
以上説明したエレクトロクロミック表示装置の駆動方法によったところ、所望するパターンFの表示ができずパターンGの発色となった(S709)。このパターンGの発消色の状態を示す模式図を図24に示す。
【0104】
以上説明した実施例2および比較例2により本発明の有効性を確認することができた。
【0105】
<各発色パターンについての詳細説明>
パターンAとは、6本並んだ発消色部位のラインの内、左から数えて1,3,5番目を発色させるパターンであり、5番目に投入する電荷量を1.0mC/CM、1,3番目に投入する電荷量を5番目の半分の0.5mC/CMとしたものである。
【0106】
また、パターンA’とは、6本並んだラインの内、左から数えて2,4,6番目にパターンAの5番目と同量の電荷量の1.0mC/CMを投入、かつ1,3番目にパターンAの5番目の半分の電荷量で0.5mC/CMを投入して発色させるパターンである。
【0107】
パターンBとは、6本並んだラインの内、左から数えて左から数えて2,3,6番目を発色させるパターンであり、6番目に投入する電荷量を1.0mC/CM、2,3番目に投入する電荷量を6番目の半分で0.5mC/CMとしたものである。
【0108】
パターンCとは、6本並んだラインの内、左から数えて左から数えて2,3,6番目が発色しているものの、何れも発色が薄く、2番目と3番目で比較すると2番目の発色が弱い状態である。
【0109】
パターンDとは、6本並んだ発消色部位のラインの内、左から数えて1,3,5番目を発色させるパターンであり、5番目に投入する電荷量を1.0mC/CM、1,3番目に投入する電荷量を5番目の半分、0.5mC/CMとしたものである。
【0110】
また、パターンD’とは、6本並んだラインの内、左から数えて2,4,6番目にパターンDの5番目と同量の電荷量1.0mC/CMを投入、かつ1,3番目にパターンDの5番目の半分の電荷量0.5mC/CMを投入して発色させるパターンである。
【0111】
パターンEとは、6本並んだラインの内、左から数えて左から数えて2,3,6番目を発色させるパターンであり、6番目に投入する電荷量を1.0mC/CM、2,3番目に投入する電荷量を6番目の半分で0.5mC/CMとしたものである。
【0112】
また、パターンE’とは、6本並んだラインの内、左から数えて1,4,5番目にパターンEの6番目と同量の電荷量で1.0mC/CMを投入、かつ2,3番目にパターンEの6番目の半分の電荷量の0.5mC/CMを投入して発色させるパターンである。
【0113】
パターンFとは、6本並んだラインの内、左から数えて左から数えて1,3,4番目を発色させるパターンであり、このときに投入される電荷量を、このパターンで第1層目を発色させる場合は、パターンDの5番目の半分と同量の0.5mC/CM、第2層目を発色させる場合はパターンEの6番目の半分と同量の0.5mC/CMとしたものである。
【0114】
パターンGとは、6本並んだラインの内、左から数えて左から数えて1,3,4番目が発色しているものの、何れも発色が薄く、薄い順に4番目、1番目、3番目となっている状態である。
【符号の説明】
【0115】
10 エレクトロクロミック表示装置
11 表示基板
12 対向基板
13 表示電極
13a 第1の表示電極
13b 第2の表示電極
14 エレクトロクロミック層
14a 第1のエレクトロクロミック層
14b 第2のエレクトロクロミック層
15 対向電極
16 電解質層
17 保護層
18 絶縁層
19 スペーサ
20 セル
21 発消色部位
30 駆動装置
31,32 導線
33 電源
34 発色用アクティブマトリクス
35 消色用アクティブマトリクス
36,37 切り替えスイッチ
40 制御装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0116】
【特許文献1】特表2001−510590号公報
【特許文献2】特開2003−121883号公報
【特許文献3】特開2006−106669号公報
【特許文献4】特開2003−270671号公報
【特許文献5】特開2004−151265号公報
【特許文献6】特開2010−33016号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示基板と、表示電極と、対向基板と、対向電極と、
前記表示電極と前記対向電極とに挟まれるように設けられた電解質層と、
前記表示基板と前記対向電極との間に前記表示電極に接して設けられたエレクトロクロミック層を有し、
各前記表示電極と前記対向電極間に印加する電荷量を制御することにより前記エレクトロクロミック層を酸化還元反応させて発消色するエレクトロクロミック表示装置の駆動方法において、
消色駆動時に、発色しているパターンと反転したパターンの発色を行い、全面発色の状態にしてから消色駆動を行うことを特徴とするエレクトロクロミック表示装置の駆動方法。
【請求項2】
前記エレクトロクロミック表示装置は、前記エレクトロクロミック層を互いに隔離して複数有し、
消色駆動時に、発色している各パターンに対してそれぞれ反転したパターンの発色を行い、全面発色の状態にしてから消色駆動を行うことを特徴とする請求項1に記載のエレクトロクロミック表示装置の駆動方法。
【請求項3】
表示基板と、表示電極と、対向基板と、対向電極と、
前記表示電極と前記対向電極とに挟まれるように設けられた電解質層と、
前記表示基板と前記対向電極との間に前記表示電極に接して設けられたエレクトロクロミック層を有し、
前記各表示電極と前記対向電極間に印加する電荷量を制御することにより前記エレクトロクロミック層を酸化還元反応させて発消色するエレクトロクロミック表示装置であって、
電界効果トランジスターからなるアクティブマトリックスアレイを発色用のみに有し、消色を、前記表示電極または前記対向電極に対して一様に印加する駆動手段を備え、
該駆動手段は、消色駆動時に、発色しているパターンと反転したパターンの発色を行い、全面発色の状態にしてから消色駆動を行うことを特徴とするエレクトロクロミック表示装置。
【請求項4】
前記エレクトロクロミック層を互いに隔離して複数有し、
前記駆動手段は、消色駆動時に、発色している各パターンに対してそれぞれ反転したパターンの発色を行い、全面発色の状態にしてから消色駆動を行うことを特徴とする請求項3に記載のエレクトロクロミック表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図17】
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【図20】
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【図22】
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【図23】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図18】
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【図19】
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【図21】
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【図24】
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【公開番号】特開2012−242776(P2012−242776A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−115675(P2011−115675)
【出願日】平成23年5月24日(2011.5.24)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】