説明

エレクトロクロミック表示装置及び表示駆動装置

【課題】エレクトロクロミック表示装置において、過消色を防止することができるエレクトロクロミック表示装置及びそのような表示装置に用いられる表示駆動装置を提供すること。
【解決手段】表示セグメントに定電流を印加することにより、表示セグメントを消色駆動する際に、定電流を印加するための定電流ドライバ20−3の出力を電圧検出回路20−4によって検出し、電圧検出回路20−4の出力が基準値電圧Vbを越えた場合に、消色を完了させるための追加電流を印加した後で消色を終了させる。これにより、自然消色が生じていた後に消色駆動を行っても過消色となることがない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレクトロクロミック表示装置及び表示駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電解液に電荷を注入することで、酸化還元反応により電解液中の溶質が析出したり溶解したりする現象を利用した表示装置(以下、エレクトロクロミック表示装置と称する)が各種提案されている。例えば、ビスマス(Bi)を主原料として用いたエレクトロクロミック表示装置の場合は、酸化インジウム錫(ITO)等の透明電極から電解液に負の電荷を注入すると、電解液中のBiイオンが還元されて透明電極上に析出し、その部分が黒く発色する。逆に、透明電極から電解液に正の電荷を注入すると、透明電極上に析出していたBiが酸化されて電解液中に溶解し、その部分が消色する。
【0003】
この種のエレクトロクロミック表示装置においては、電解液に注入した電荷量によって析出する溶質の量が決まるので、表示部の面積が大きければ大きいほど多くの電荷を注入して析出させる溶質の量を多くしなければならない。
【0004】
このように表示部の面積に応じた電荷を注入するために、従来は、矩形波の電圧パルスを印加したり、三角波、のこぎり波の電圧パルスを印加したりして電荷を注入するようにしている。例えば、特許文献1においては、矩形波の電圧パルスを表示部に印加することにより、発色及び消色を行っている。ここで、表示部の表示駆動を行う表示駆動装置から一定時間の矩形波パルスを表示部に印加した場合、表示部までの配線抵抗を無視できれば、発色時の表示部における抵抗値が表示面積に反比例することが知られている。また、消色時においても消色が完了するまでの間は、発色時と同様に抵抗値が表示面積に反比例することも知られている。したがって、一定電圧を一定時間印加すれば、表示面積にほぼ比例した量の電荷を注入することが可能である。
【0005】
ところで、単純に一定量の電圧波形を印加する手法では、析出させる溶質の量と溶解させる溶質の量とのバランスを保ち続けることが困難であり、動作寿命が短いという問題がある。つまり、多数回の発色と消色を繰り返すと析出量と溶解量とのバランスが崩れ、析出が過多となって発色部分の一部が消えなくなったり、溶解が進みすぎて、電解液中の他の物質(例えばヨウ素等)が発生することによって電解液が変色したりするなどの不具合が発生しやすい。特に、発色工程から消色工程までの時間が長くなると、自然に消色が起こるために過消色が生じやくなる。
【0006】
このような過消色の問題を解決するために、特許文献2においては、一定の電圧を印加して表示部に消色電流を流しているときに、その電流変化を検出して、電流値が一定値以下になったとき、即ち表示部の見かけの抵抗値が一定値以上となったときに消色駆動を終了する手法が提案されている。
【特許文献1】特開2000−142223号公報
【特許文献2】特公平5−46953号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
消色の場合には、発色の場合と異なり、ある程度の消色が進むと、抵抗値が変化して電流が減少することが知られており、消色に必要な電荷量は発色のときと同程度の量であるので、電流の減少による電荷量の減少を補償するためには、消色の場合の電圧を発色の場合よりも高くするか、または電圧の印加時間を長くする必要がある。この際には、表示部と表示駆動装置との間の配線抵抗や回路間の接触抵抗等によって電圧降下が生じて流れる電流が大きく変化するので、印加電圧及び印加時間はこれらの影響を考慮して調整する必要がある。しかしながら、一般に配線抵抗や回路間における接触抵抗等の値はばらつきが大きく、これらの値を一定にするのは容易ではない。つまり、定電圧を印加する手法では、これら配線抵抗や接触抵抗等の影響を考慮して表示駆動を行うことが困難である。したがって、表示部に定電流を印加することで表示駆動を行う手法が考えられるが、上記特許文献2の手法は、電流値を検出し、その電流値が一定値以下となったときに定電圧を印加する手法であるので、定電流駆動方式に適用することが困難である。しかも、上記特許文献2の手法は電流値を検出する必要があるが、電流値の検出は電圧値の検出よりも精度が低く、回路上のコストも大きくなってしまう。
【0008】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、エレクトロクロミック表示装置において、過消色を防止することができるエレクトロクロミック表示装置及びそのような表示装置に用いられる表示駆動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明の第1の態様によるエレクトロクロミック表示装置は、電解液と、前記電解液に電荷を注入するための電極と、を有し、酸化還元反応により前記電極を介して前記電解液に電荷が注入されることにより発色し、前記電解液に前記電荷と逆極性の電荷が注入されることにより消色する少なくとも1つの表示部が配置された表示手段と、前記発色および消色の際、定電流を出力し、前記表示部の電極に該定電流を印加して前記電解液に電荷を注入する少なくとも1つの定電流印加手段と、前記定電流印加手段による前記定電流の印加によって前記表示部に発生する電圧値を検出する電圧検出手段と、前記消色の際、前記電圧検出手段により検出される前記電圧値が予め設定された基準値を越え、前記定電流印加手段より消色を完了させるための追加電流を印加した後、前記定電流印加手段による印加を終了させる制御手段とを具備することを特徴とする。
【0010】
また、上記の目的を達成するために、本発明の第2の態様による表示駆動装置は、電解液と、前記電解液に電荷を注入するための電極と、を有し、酸化還元反応により前記電極を介して前記電解液に電荷が注入されることにより発色し、前記電解液に前記電荷と逆極性の電荷が注入されることにより消色する少なくとも1つの表示部が配置された表示手段の表示駆動を行う表示駆動装置であって、前記発色および消色の際、定電流を出力し、前記表示部の電極に該定電流を印加して前記電解液に電荷を注入する少なくとも1つの定電流印加手段と、前記定電流印加手段による前記定電流の印加によって前記表示部に発生する電圧値を検出する電圧検出手段と、前記消色の際、前記電圧検出手段により検出される前記電圧値が予め設定された基準値を越え、前記定電流印加手段より消色を完了させるための追加電流を印加した後、前記定電流印加手段による印加を終了させる制御手段とを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、エレクトロクロミック表示装置及びそのような表示装置に用いられる表示駆動装置において、表示部の電極に定電流を印加して駆動し、消色の際、この印加した定電流によって表示部に発生する電圧が所定の基準値を越え、消色を完了させるための追加電流を印加した時点で消色動作を終了させることで過消色を防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る表示駆動装置が適用されたエレクトロクロミック表示装置の構成を示すブロック図である。また、図2は、表示パネルの表示セグメントの配置例を示す図である。図1に示すエレクトロクロミック表示装置1は、表示パネル10と、定電流印加回路20と、セグメントプロファイルメモリ30と、システムインターフェース40とから構成されている。そして、本実施形態に係わるエレクトロクロミック表示装置においては、図1に示すように、表示パネル10が複数の表示セグメントを有し、各表示セグメントに定電流印加回路20より定電流を印加して駆動するものであり、特に、各表示セグメントに印加する電流の電流値を、セグメントプロファイルメモリ30に記憶された値に基づいて、各表示セグメントの面積に比例した電流値に設定する構成を有している。
【0013】
表示手段としての表示パネル10はセグメント方式の表示パネルであり、表示部としての複数の表示セグメントが例えば図2に示すようにして配置されて構成されている。ここで、図2の例は、表示パネル10を、アルファベットや数字等の表示パターンを表示するための表示パネルとして利用する際の表示セグメントの配置例であり、7個の表示セグメント(表示セグメント10−1〜10−7)が8字状に配置されている。なお、表示セグメントの形状、数、及びその配置は図2で示したものに限るものではなく、表示パネルとして要求される仕様等に応じて適宜変更することが可能である。
【0014】
図3は、図2の表示セグメントの構成について説明するためのA−A線断面図である。ここで、図2の断面図は表示セグメント10−1の断面図であるが、他の表示セグメントの構成も図3で説明するものと基本的には同様である。
図3に示すように、表示セグメントは、2枚の電極10−11と電極10−12とが平行配置され、これら電極10−11と電極10−12との間に電解液10−13が満たされ、これらが封止材10−14で封止されて構成されている。更に電極10−11の裏面には、表示セグメントを保護するためのガラス基板10−15が貼り付けられている。ここで、電極10−11は透明性を有する透明電極であり、例えば酸化インジウム錫(ITO)電極が用いられる。また、電極10−12は、透明な電極でも不透明な電極でも良い。この電極10−12には、例えば銅(Cu)電極が用いられる。更に、電解液10−13は、例えばBi、Cuが溶解した電解液である。なお、ここで示した材料は一例であり適宜変更可能である。例えば、電解液に溶解させる溶質はBiに限らず銀(Ag)等でも良い。さらに、金属だけでなく、ビオロゲン化合物のような有機物を用いることも可能である。また、BiやCuを溶解させるための溶液も臭酸や塩酸、ヨウ素酸等、種々のものを用いることができる。更には、電極10−11と電極10−12との間の電解液10−13は、電解液を保持させたウエットケーキシートを用いるようにしても良い。
【0015】
図3のような構成の表示セグメントに負の電荷を注入すると、電解液中のBiイオンが還元されて電極10−11上に析出する。これにより表示セグメントが黒く発色する。逆に、表示セグメントに正の電荷を注入すると、電極10−11上に析出していたBiが酸化されて電解液中に溶解する。これにより黒く発色していた表示セグメントが消色する。
【0016】
定電流印加回路20は表示パネル10を構成する複数の表示セグメントの各々に対応して、表示セグメントの数だけ設けられ、各表示セグメントに定電流を印加することにより、表示セグメントを発色又は消色させるための電荷を注入する。ここで、図1に示すように定電流印加回路20は、発色パルス発生器20−1と、消色パルス発生器20−2と、定電流ドライバ20−3と、電圧検出回路20−4とから構成されている。これら定電流印加回路20の各回路及びその動作については後で詳しく説明する。
【0017】
セグメントプロファイルメモリ30は、各表示セグメントの面積の値、あるいは、各表示セグメントの面積に対応した適正な発色をさせるために必要な電流値指定データを、各表示セグメントに対応して記憶しておくためのメモリである。なお、以下においては、セグメントプロファイルメモリ30に各表示セグメントの面積に対応した電流値指定データが記憶されているものとするが、各表示セグメントの面積の値が記憶され、例えば発色パルス発生器20−1や消色パルス発生器20−2において、対応する電流値指定データに変換する機能を備えるものであってもよい。そして、セグメントプロファイルメモリ30は、システムインターフェース40からのアドレス信号を受けて、そのアドレスに記憶された電流値指定データを、対応する表示セグメントに接続された定電流印加回路20内の発色パルス発生器20−1及び消色パルス発生器20−2に出力する。なお、セグメントプロファイルメモリ30はEPROMやフラッシュROM等の不揮発性メモリであることが好ましい。セグメントプロファイルメモリ30を不揮発性メモリで構成することで、回路の電源がオフされた場合であっても記憶内容を保持しておくことが可能である。
【0018】
システムインターフェース40は、図示しないCPUからの表示パネル10の表示又は非表示の指示を受けて、その指示に該当する表示セグメントを発色又は消色させる。このためにシステムインターフェース40は、該当する定電流印加回路20内の発色パルス発生器20−1及び消色パルス発生器20−2にパルス幅指定データを出力すると共に、発色又は消色させる表示セグメントに対応した電流値指定データが格納されているアドレスに対応するアドレス信号をセグメントプロファイルメモリ30に出力する。
【0019】
次に、定電流印加回路20について更に詳しく説明する。
図4は、消色パルス発生器20−2を順序論理回路で構成した場合の回路ブロック図の一例である。図4に示すように、消色パルス発生器20−2は、パルス幅レジスタ20−21と、電流値レジスタ20−22と、DAコンバータ20−23と、ダウンカウンタ20−24と、アナログスイッチ20−25とから構成されている。
【0020】
パルス幅レジスタ20−21は、システムインターフェース40から消色パルスのパルス幅を指定するためのパルス幅指定データを受けて、そのデータを保持する。電流値レジスタ20−22は、セグメントプロファイルメモリ30から各表示セグメントに対応する電流値指定データを受けて、そのデータを保持する。DAコンバータ20−23は、電流値レジスタ20−22に保持された電流値指定データをアナログの電圧信号に変換する。
【0021】
ダウンカウンタ20−24は、消色時にシステムインターフェース40からSTARTパルスを受けてパルス幅レジスタに保持された値を読み出し、この値を一定時間毎にカウントダウンしながら、ON又はOFF信号をアナログスイッチ20−25に出力する。つまり、ダウンカウンタ20−24は、カウント値が0でないときにON信号を出力し、カウント値が0になったときにOFF信号を出力する。アナログスイッチ20−25はDAコンバータ20−23と正の電源+Vとに接続され、ダウンカウンタ20−24からON信号を受けたときにONしてDAコンバータ20−23の出力を定電流ドライバ20−3に入力し、OFF信号を受けたときに電圧値+Vを定電流ドライバ20−3に入力する。
【0022】
このような構成により、ダウンカウンタ20−24がカウントを行っている間のみアナログスイッチ20−25がONするので、結果としてDAコンバータ20−23で得られた電圧値及びパルス幅指定データで指定されたパルス幅を有する消色パルスが定電流ドライバ20−3に入力される。そして、ダウンカウンタ20−24がカウントを終了した時点でアナログスイッチ20−25がOFFして、電圧値+Vが定電流ドライバ20−3に入力される。
【0023】
なお、図4は、消色パルス発生器20−2の構成であるが、発色パルス発生器20−1も消色パルス発生器20−2とほぼ同様の回路構成で実現できる。ただし、発色パルス発生器20−1においては、アナログスイッチに接続される電源を正の電源ではなく、負の電源−Vとする。発色パルス発生器20−1においては、発色パルスのパルス幅を可変とすることで、表示セグメントを完全な発色状態と完全な消色状態のみでなく、その中間の状態で発色させることもできる。これにより、グレースケール表示が可能となる。
【0024】
なお、発色パルス発生器20−1及び消色パルス発生器20−2の機能は、マイクロコンピュータ等の演算処理によって実現するようにしても良い。
【0025】
図5は、定電流ドライバ20−3及び電圧検出回路20−4を構成する回路の一例を示す図である。また、図6は、定電流印加回路と表示セグメントとの間の配線抵抗について示す図である。定電流ドライバ20−3は、演算増幅器20−31と、MOSトランジスタ20−32と、抵抗20−33とからなる負方向定電流印加手段と、演算増幅器20−34と、MOSトランジスタ20−35と、抵抗20−36とからなる正方向定電流印加手段とを備える。また、電圧検出回路20−4は、例えばADコンバータから構成されている。
【0026】
図5において、演算増幅器20−31の非反転入力端子には発色パルス発生器20−1からの出力(発色パルス又は−V)が入力される。そして、演算増幅器20−31の出力端子はMOSトランジスタ20−32のゲートに接続され、MOSトランジスタ20−32のソースは演算増幅器20−31の反転入力端子と抵抗20−33の一端とに接続されている。更に、抵抗20−33の他端は負の電源−Vに接続されている。また、演算増幅器20−34の非反転入力端子には消色パルス発生器20−2からの出力(消色パルス又は+V)が入力される。また、演算増幅器20−34の出力端子はMOSトランジスタ20−35のゲートに接続され、MOSトランジスタ20−35のソースは演算増幅器20−34の反転入力端子と抵抗20−36の一端とに接続されている。更に、抵抗20−36の他端は正の電源+Vに接続されている。
【0027】
また、MOSトランジスタ20−32及び20−35のドレインは共通に定電流ドライバ20−3の出力端子に接続されている。そして、定電流ドライバ20−3の出力端子は、図6に示すようにして表示セグメント10−1に接続されると共に、電圧検出回路20−4にも接続されている。なお図6の参照符号10−16で示す抵抗は、定電流ドライバ20−3と表示セグメント10−1との間の配線抵抗や接触抵抗等による抵抗である。
【0028】
以下、定電流ドライバ20−3の動作について説明する。なお、負方向定電流印加手段と正方向定電流印加手段とは入力される電圧の極性や出力される電流の方向が逆なだけで、基本的な動作は同じであるので、ここでは正方向定電流印加手段の動作のみについて説明する。
【0029】
図5に示す構成において、表示セグメントの消色時には、演算増幅器20−31の非反転入力端子に消色パルス発生器20−2からの消色パルスが入力される。この消色パルスの入力により、演算増幅器20−34の出力がMOSトランジスタ20−35のゲートに印加され、MOSトランジスタ20−35がON状態となる。これにより、消色パルスの電圧値に応じた電流が、定電流ドライバ20−3の出力端子から正の電源+Vに向かって(即ち、表示セグメント10−1から定電流ドライバ20−3に向かって)流れる。またこの電流と定電流ドライバ20−3に接続される負荷(表示セグメントの抵抗や配線抵抗等)とに応じて発生する電圧が電圧検出回路20−4で検出される。電圧検出回路20−4では検出された電圧が所定の基準値(基準値電圧)Vbで2値化され、この2値化信号がシステムインターフェース40を介して図示しないCPUに入力される。ここで、基準値VbはCPUによって与えられる値である。
【0030】
ここで、図5に示すように、正方向定電流印加手段が定電流ドライバを構成しているので、表示セグメント10−1における電圧の変化等によらず、表示セグメント10−1に印加される電流の量は一定となる。このようにして、表示セグメント10−1に正の電荷が注入される。
【0031】
また、消色パルス発生器20−2から+Vが入力された場合には、演算増幅器20−31の出力が0となるので、これに伴ってMOSトランジスタ20−35がOFF状態となり、定電流ドライバ20−3からの電流出力が0となる。
【0032】
なお、負方向定電流印加手段に発色パルス発生器20−1から発色パルスが入力された場合には、定電流ドライバ20−3の出力端子から正の電源−Vに向かって(即ち、定電流ドライバ20−3から表示セグメント10−1に向かって)電流が流れることになる。
【0033】
図7は、発色時及び消色時に、定電流印加回路20から表示セグメントに印加される電流及びこの電流によって発生する電圧の変化を示すタイミングチャートである。また、図8は、後述する追加の消色の際に印加される定電流について示す図である。なお、図7及び図8においては図面上側を正方向、図面下側を負方向としている。
【0034】
図7に示すように、パルス幅指定データによって指定されたパルス幅及び電流値指定データによって指定された負の定電流(表示セグメント10−1から定電流ドライバ20−3の方向の電流)パルスが印加されたときに、その印加電流×印加時間に相当する負の電荷が表示セグメントに注入され、発色が起きる。ここで、表示セグメントを適正に発色させるのに必要な電荷量は、AgやBiを主原料とする電解液の場合は、約30mC/cmであるが、第1の実施形態では、表示セグメントに印加する電流の印加時間を可変とすることで表示セグメントに注入される電荷量を精確にコントロールすることが可能である。また、パルス幅指定データによって指定されたパルス幅及び電流値指定データによって指定された正の定電流(定電流ドライバ20−3から表示セグメント10−1の方向の電流)パルスが印加されたときに、その印加電流×印加時間に相当する正電荷が表示セグメントに注入され、消色が起きる。
【0035】
ここで、発色時又は消色時に流す電流の量は、この電流によって表示セグメント10−1に発生する電圧が、表示セグメントを発色又は消色させるために必要な電圧よりも高く、かつ表示セグメントが破壊しない限界の電圧である限界電圧よりも低くなるようにする。特に、消色時においては、消色がある程度進んだ時点で表示セグメントの抵抗値が増加して電圧が上昇してしまうので、限界電圧よりも低い基準値電圧Vbを設定しておき、電圧検出回路20−4は、表示セグメントの抵抗値が変化して電圧が基準値電圧Vbを越えた時点(図7のt1が経過した時点)を検出する。
【0036】
そして、このt1経過の時点では表示セグメントまだ完全な消色に到っていないので、t1の後、所定時間t2の間だけ追加の消色を行うようにする。ただし、t2における追加の消色の際にも表示セグメントの抵抗値変化による電圧上昇が起こるので、図8に示すように、t2の間の印加定電流値i2は、消色開始からt1までに印加した定電流の値i1よりも小さくすることがより好ましい。なお、これら電流値i1及びi2は、共にセグメントプロファイルメモリ30に記憶させておいても良い。この場合には、電圧検出回路20−4の検出結果に応じてこれら電流値を適切に切り替えることで、図8に示すような定電流駆動を行うことが可能である。勿論セグメントプロファイルメモリ30とは別の記憶装置に電流値i1及びi2を記憶させるようにしても良い。また、電流検出回路20−4の出力を消色パルス発生器20−2に入力するようにし、消色パルス発生器20−2のみでt2時間の追加の電流を流せるような消色パルスを発生させるようにしても良い。
【0037】
図9は、図7と同様にして発色を行った後、自然消色が顕著に見られる程度の時間(数時間程度)経過した後に、消色を行ったときの電流と電圧の変化を示したタイミングチャートであり、図10は、基準値電圧Vbの設定手法について説明するための図である。
【0038】
発色の実行から消色の実行までに長時間が経過しているときには、図7とは異なり、自然消色が起きている。この場合には、単に定電流を流してしまうと過消色となりやすい。過消色となると、電解液中の他の物質(例えばヨウ素等)が発生することによって電解液が変色したりするなどの不具合が発生しやすくなる。これに対し、抵抗値変化の起きる時点は発色度合いに応じて前になるので、第1の実施形態の手法を適用し、発色後、自然消色が顕著に見られる程度の時間(数時間程度)経過した後に消色を行った場合、消色を開始してから比較的短い時間t1bで検出電圧値が基準値電圧Vbを越える。結果、消色電流を流している時間が短くなり、過消色となる可能性を抑制することができる。
【0039】
次に、基準値電圧Vbの設定手法の例について図10を参照して説明する。基準値電圧Vbを設定する際には、まず任意の時間の発色を行って電解液中の溶質を析出させる。次に、表示セグメントに発生する電圧を電圧検出回路20−4によって検出しながら消色を行い、抵抗値変化が少ない部分の電圧値(例えば、図10の参照符号100で示す部分)を検出する。また、この電圧値と共に、表示セグメントが破壊しない限界電圧を検出しておき、これら電圧の比や検出電圧のノイズ成分等の条件を元に、抵抗値変化が少ない部分の所定数倍を基準値電圧Vbとする。なお、本出願人の実験においては、基準値電圧Vbを抵抗値変化が少ない部分の電圧の1.15倍程度に設定することが好ましいという結果となっている。
【0040】
このような手法により、基準値電圧Vbを表示セグメント毎に設定することができる。また、表示セグメントに発生する電圧は、表示セグメントまでの配線抵抗の影響が含まれた状態で検出される。したがって、上述のような手法で基準値Vbを設定することにより、表示セグメント毎に配線抵抗を計算して基準値電圧を設定する必要もない。
【0041】
なお、上記の例では、基準値Vbを抵抗値変化が少ない部分の電圧値を所定数倍して設定しているが、抵抗値変化が少ない部分の電圧値に所定電圧値を加算するという手法によって設定しても良い。
【0042】
上記の基準値電圧の設定は、例えば表示駆動装置に電源が投入された直後の初期設定の処理内で1回行うようにしても良い。しかしながら、表示セグメントの特性は、駆動履歴や温度等の周囲環境の変化等によって初期の状態から変化してしまう場合がある。その場合、基準値電圧もそれに合わせて変化させることが好ましい。したがって、基準値電圧は、消色を行う毎に設定することが好ましい。
【0043】
図11は、消色の度に基準値電圧を設定する場合の処理について示すフローチャートである。なお、このフローチャートの処理が開始される前に、発色が行われているものとする。また、限界電圧の値は、製造時等において検出されているものである。
【0044】
まず、発色の後、図示しないCPUは、消色開始の指示がなされたか否かを判定している(ステップS1)。この判定は、消色開始の指示がなされるまで行う。ステップS1の判定において、消色開始の指示がなされた場合には、消色を開始させる(ステップS2)。その後、電圧検出回路20−4によって検出される電圧値の変化量が所定の変化量よりも少ないか否か、即ち電圧検出回路20−4によって検出される電圧値が抵抗値変化の少ない部分に相当する部分の電圧値であるか否かを判定する(ステップS3)。ステップS3の判定において、電圧値が抵抗値変化の少ない部分に相当する部分の電圧値でない場合には消色を更に継続する。
【0045】
一方、ステップS3の判定において、電圧値が抵抗値変化の少ない部分に相当する部分の電圧値となった場合には、そのときの電圧値を所定数倍する、或いはそのときの電圧値に所定電圧値を加算するという手法によって基準値電圧Vbを設定する(ステップS4)。次に、電圧検出回路20−4によって検出される電圧値が基準値電圧Vbを越えたか否かを判定しながら(ステップS5)、更に消色を継続する。
【0046】
ステップS5の判定において、電圧値が基準値電圧Vbを越えた場合には、上述した追加の消色を行って(ステップS6)、消色を終了する。
【0047】
このように基準値電圧の設定を消色のたびに行うことによって、表示セグメントの特性が、駆動履歴や温度等の周囲環境の変化等によって変化した場合でも、基準値電圧をそのとき表示セグメントの特性に合わせて設定できるので、的確に抵抗値の上昇箇所を判定することが可能となる。
【0048】
なお、図11のフローチャートでは、消色する毎に毎回、基準値電圧の設定を行う態様としたが、これに限らず、所定回数の消色毎に基準値電圧の設定を行うようにしても良い。
【0049】
以上説明した第1の実施形態によれば、定電流駆動方式のエレクトロクロミック表示セグメントにおいて、自然消色後の消色駆動においても過消色となることを抑制することができる。また、表示セグメントの抵抗値が変化することによる電圧上昇によって表示セグメントが破壊することもなく、かつ消色後の追加の消色によって、消色の不足による色残り等も防ぐことができる。
【0050】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図12は、第2の実施形態に係る表示駆動装置の定電流印加回路の構成を示すブロック図である。また、図13は、第2の実施形態に係る表示駆動装置による発色時及び消色時の電流及び電圧の変化を示すタイミングチャートである。なお、第2の実施形態において第1の実施形態と同様の構成については第1の実施形態と同様の参照符号を付すことで説明を省略する。
【0051】
図12に示すように、第2の実施形態においては、定電流ドライバ20−3の出力に更に電流検出回路20−5が接続されている点が異なっている。この電流検出回路20−5は定電流ドライバ20−3の出力電流を検出し、検出した電流値を、システムインターフェース40を介して図示しないCPUに出力する。
【0052】
以下、図13を参照して第2の実施形態の表示駆動装置の動作について説明する。まず、発色に関しては図7と同様に行われる。その後に消色が行われるのであるが、第2の実施形態においては消色駆動を行う際には、電流検出回路20−5によって定電流ドライバ20−3の出力電流を検出し、その検出した値を逐次積算することで、消色の際に表示セグメントに注入される正電荷の量をリアルタイムで検出する。そして、電圧検出回路20−4において表示セグメントの抵抗値変化による電圧上昇が検出された後は、検出電圧値が基準値電圧Vbを越えないように印加定電流の値を漸次減少させながら追加の電流を流していく。これにより、表示セグメントにおいて発生する電圧が限界電圧を越えないように追加の消色を行うことができる。
【0053】
ここで、追加の消色を行う時間te2は、電圧上昇が検出された時点から、発色時の電荷量S_writeと消色時の電荷量S_eraseとが等しくなった時点までとする。つまり、発色時におけるtwの間の電荷量と、消色開始からte1までの電荷量とte1からte2までの電荷量(図13の台形部120の面積)との和とが等しくなった時点で定電流の印加を終了する。
【0054】
以上説明したような第2の実施形態によれば、第1の実施形態の効果に加え、消色時の注入電荷量を逐次検出するようにしているので、第1の実施形態よりも更に精確に発色時の電荷量と消色時の電荷量を制御することが可能である。
【0055】
なお、発色時の電荷量と消色時の電荷量は必ずしも同じくする必要がなく、例えば発色時の電荷量:消色時の電荷量=2:3のような一定に比率を保つように制御しても良い。
【0056】
次に、第2の実施形態の変形例について説明する。この変形例では、発色時の電荷量を元に消色時の電荷量を決定する手法とは異なる手法で発色時の電荷量と消色時の電荷量とのバランスを保つようにする。この変形例においては、まず、初期の調整時において消色が完了したときの起電力を観測する。この際の消色時においても表示セグメントに発生する電圧が基準値電圧を越えないように印加電流を減少させて消色を行う。
【0057】
このような消色を行うと、基準値電圧に達した後で追加の消色に必要な電荷量が観測できる。つまり、消色時には、定電流の印加時間を、基準値電圧に達した後に、表示セグメントに上記一定の起電力が発生するまでの時間に制御することにより、発色時の電荷量を検出しなくとも、発色と消色のバランスを保つことが可能である。つまり、この変形例は、電圧が基準値電圧に達した後の表示セグメントの状態が常に同じであると考えて、そこから追加で注入する電荷量を精確に制御することにより、発色時の電荷量と消色時の電荷量とのバランスを保つ手法である。
【0058】
なお、この変形例では、一定の起電力としているが、発色と消色とのバランスが保たれるような状態であれば、起電力が0Vでも良い。
【0059】
以上実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形や応用が可能なことは勿論である。例えば、上述した各実施形態はセグメント方式の表示パネルについて説明しているが、上述した各実施形態の手法はドットマトリクス方式の表示パネルに適用することもできる。ただし、ドットマトリクス方式の場合には個々の表示部の面積が等しいため、セグメントプロファイルメモリ30は必ずしも必要ではなく、基準値電圧Vbも表示セグメント毎に設定する必要がない。
【0060】
更に、上記した実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件の適当な組合せにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成も発明として抽出され得る。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る表示駆動装置が適用されたエレクトロクロミック表示装置の構成を示すブロック図である。
【図2】表示セグメントの配置例を示す図である。
【図3】表示セグメントの構成について説明するための断面図である。
【図4】消色パルス発生器を順序論理回路で構成した場合の回路ブロック図の一例である。
【図5】定電流ドライバ及び電圧検出回路を構成する回路の一例を示す図である。
【図6】定電流印加回路と表示セグメントとの間の配線抵抗について示す図である。
【図7】発色時及び消色時に、定電流印加回路から表示セグメントに印加される電流及びこの電流によって発生する電圧の変化を示すタイミングチャートである。
【図8】追加の消色の際に印加される定電流について示す図である。
【図9】図7と同様にして発色を行った後、自然消色が顕著に見られる程度の時間経過した後に、消色を行ったときの電流と電圧の変化を示したタイミングチャートである。
【図10】基準値電圧Vbの設定手法について説明するための図である。
【図11】消色の度に基準値電圧を設定する場合の処理について示すフローチャートである。
【図12】第2の実施形態に係る表示駆動装置が適用されたエレクトロクロミック表示装置の構成を示すブロック図である。
【図13】第2の実施形態に係る表示駆動装置による発色時及び消色時の電流及び電圧の変化を示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0062】
10…表示パネル
10−1〜10−7…表示セグメント
10−11,10−12…電極
10−13…電解液
10−14…封止材
10−15…ガラス基板
20…定電流印加回路
20−1…発色パルス発生器
20−2…消色パルス発生器
20−3…定電流ドライバ
20−4…電圧検出回路
20−5…電流検出回路
20−21…パルス幅レジスタ
20−22…電流値レジスタ
20−23…DAコンバータ
20−24…ダウンカウンタ
20−25…アナログスイッチ
20−31,20−34…演算増幅器
20−32,20−35…MOSトランジスタ
20−33,20−36…抵抗
30…セグメントプロファイルメモリ
40…システムインターフェース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解液と、前記電解液に電荷を注入するための電極と、を有し、酸化還元反応により前記電極を介して前記電解液に電荷が注入されることにより発色し、前記電解液に前記電荷と逆極性の電荷が注入されることにより消色する少なくとも1つの表示部が配置された表示手段と、
前記発色および消色の際、定電流を出力し、前記表示部の電極に該定電流を印加して前記電解液に電荷を注入する少なくとも1つの定電流印加手段と、
前記定電流印加手段による前記定電流の印加によって前記表示部に発生する電圧値を検出する電圧検出手段と、
前記消色の際、前記電圧検出手段により検出される前記電圧値が予め設定された基準値を越え、前記定電流印加手段より消色を完了させるための追加電流を印加した後、前記定電流印加手段による印加を終了させる制御手段と、
を具備することを特徴とするエレクトロクロミック表示装置。
【請求項2】
前記定電流印加手段より前記表示部に印加する前記定電流の電流値を、当該表示部の電極の面積に比例した値にする電流値設定手段を更に備えることを特徴とする請求項1に記載のエレクトロクロミック表示装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記定電流印加手段より前記追加電流を印加する際、前記定電流印加手段を所定の一定時間だけ動作させることを特徴とする請求項1に記載のエレクトロクロミック表示装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記定電流印加手段から印加する前記追加電流の電流値を、前記消色の際に前記表示部の電極に印加される前記定電流の電流値以下の値に設定する手段を備えることを特徴とする請求項1に記載のエレクトロクロミック表示装置。
【請求項5】
前記追加電流の電流値は、漸次減少するように設定されることを特徴とする請求項4に記載のエレクトロクロミック表示装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記定電流印加手段より前記追加電流を印加する際に前記定電流印加手段を所定時間だけ動作させ、
前記所定時間は、前記発色の際に前記定電流印加手段より前記表示部に注入される電荷量と前記消色の際に前記表示部に注入される電荷量とが等しくなる時間に設定されることを特徴とする請求項1に記載のエレクトロクロミック表示装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記定電流印加手段より前記追加電流を印加する際に前記定電流印加手段を所定時間だけ動作させ、
前記所定時間は、前記消色の終了時に前記電圧検出手段で検出される電圧値が所定の電圧値となる時間に設定されることを特徴とする請求項1に記載のエレクトロクロミック表示装置。
【請求項8】
前記表示部は所定の表示パターンを形成するための表示セグメントであって、前記表示手段に複数配置され、
前記基準値は前記表示セグメント毎に設定されていることを特徴とする請求項1に記載のエレクトロクロミック表示装置。
【請求項9】
前記基準値は、前記消色の際、前記定電流の印加期間中の前記表示部の抵抗値変化が少ない期間において該表示部に発生する電圧値に基づいて設定されることを特徴とする請求項1に記載のエレクトロクロミック表示装置。
【請求項10】
前記基準値は、前記表示部の抵抗値変化が少ない期間において該表示部に発生する前記電圧値を所定数倍した値に設定されることを特徴とする請求項9に記載のエレクトロクロミック表示装置。
【請求項11】
前記基準値は、前記表示部の抵抗値変化が少ない期間において該表示部に発生する前記電圧値に所定の値を加算することにより設定されることを特徴とする請求項9に記載のエレクトロクロミック表示装置。
【請求項12】
前記基準値は、前記消色がなされるたびに設定されることを特徴とする請求項8乃至11のいずれか1つに記載のエレクトロクロミック表示装置。
【請求項13】
前記基準値は、前記消色が所定回数なされるたびに設定されることを特徴とする請求項8乃至11のいずれか1つに記載のエレクトロクロミック表示装置。
【請求項14】
電解液と、前記電解液に電荷を注入するための電極と、を有し、酸化還元反応により前記電極を介して前記電解液に電荷が注入されることにより発色し、前記電解液に前記電荷と逆極性の電荷が注入されることにより消色する少なくとも1つの表示部が配置された表示手段の表示駆動を行う表示駆動装置であって、
前記発色及び消色の際、定電流を出力し、前記表示部の電極に該定電流を印加して前記電解液に電荷を注入する少なくとも1つの定電流印加手段と、
前記定電流印加手段による前記定電流の印加によって前記表示部に発生する電圧値を検出する電圧検出手段と、
前記消色の際、前記電圧検出手段により検出される前記電圧値が予め設定された基準値を越え、前記定電流印加手段より消色を完了させるための追加電流を印加した後、前記定電流印加手段による印加を終了させる制御手段と、
を具備することを特徴とする表示駆動装置。
【請求項15】
前記定電流印加手段より前記表示部に印加する前記定電流の電流値を、当該表示部の電極の面積に比例した値にする電流値設定手段を更に備えることを特徴とする請求項14に記載の表示駆動装置。
【請求項16】
前記制御手段は、前記定電流印加手段より前記追加電流を印加する際、前記定電流印加手段を所定の一定時間だけ動作させることを特徴とする請求項14に記載の表示駆動装置。
【請求項17】
前記制御手段は、前記定電流印加手段から印加する前記追加電流の電流値を、前記消色の際に前記表示部の電極に印加される前記定電流の電流値以下の値に設定する手段を備えることを特徴とする請求項14に記載の表示駆動装置。
【請求項18】
前記追加電流の電流値は、漸次減少するように設定されることを特徴とする請求項17に記載の表示駆動装置。
【請求項19】
前記制御手段は、前記定電流印加手段より前記追加電流を印加する際に前記定電流印加手段を所定時間だけ動作させ、
前記所定時間は、前記発色の際に前記定電流印加手段より前記表示部に注入される電荷量と前記消色の際に前記表示部に注入される電荷量とが等しくなる時間に設定されることを特徴とする請求項14に記載の表示駆動装置。
【請求項20】
前記制御手段は、前記定電流印加手段より前記追加電流を印加する際に前記定電流印加手段を所定時間だけ動作させ、
前記所定時間は、前記消色の終了時に前記電圧検出手段で検出される電圧値が所定の電圧値となる時間に設定されることを特徴とする請求項14に記載の表示駆動装置。
【請求項21】
前記基準値は、前記消色の際、前記定電流の印加期間中の前記表示部の抵抗値変化が少ない期間において該表示部に発生する電圧値に基づいて設定されることを特徴とする請求項14に記載の表示駆動装置。
【請求項22】
前記基準値は、前記消色がなされるたびに設定されることを特徴とする請求項21に記載のエレクトロクロミック表示装置。
【請求項23】
前記基準値は、前記消色が所定回数なされるたびに設定されることを特徴とする請求項21に記載のエレクトロクロミック表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−286570(P2007−286570A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−173947(P2006−173947)
【出願日】平成18年6月23日(2006.6.23)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【出願人】(000002886)大日本インキ化学工業株式会社 (2,597)
【Fターム(参考)】