エレクトロクロミック表示装置及び表示駆動装置
【課題】過消色を防止することができるエレクトロクロミック表示装置及びそのような表示装置に用いられる表示駆動装置を提供すること。
【解決手段】表示セグメントに定電流を印加することにより、表示セグメントを消色駆動する際に、定電流を間欠的に出力する消色パルスを繰り返し出力して定電流印加回路20から表示セグメントの電極に印加し、電圧検出回路20−4によって、前記表示セグメントに発生する起電力に対応する電圧値を、前記消色パルスにおける前記定電流の非印加時に検出し、該電圧検出回路20−4の出力が予め設定された基準値を超えたとき、前記定電流印加回路20による前記消色パルスの印加を終了させる。
【解決手段】表示セグメントに定電流を印加することにより、表示セグメントを消色駆動する際に、定電流を間欠的に出力する消色パルスを繰り返し出力して定電流印加回路20から表示セグメントの電極に印加し、電圧検出回路20−4によって、前記表示セグメントに発生する起電力に対応する電圧値を、前記消色パルスにおける前記定電流の非印加時に検出し、該電圧検出回路20−4の出力が予め設定された基準値を超えたとき、前記定電流印加回路20による前記消色パルスの印加を終了させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレクトロクロミック表示装置及び表示駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電解液に電荷を注入することで、酸化還元反応により電解液中の溶質が析出したり溶解したりする現象を利用した表示装置(以下、エレクトロクロミック表示装置と称する)が各種提案されている。例えば、ビスマス(Bi)を主原料として用いたエレクトロクロミック表示装置の場合は、酸化インジウム錫(ITO)等の透明電極から電解液に負の電荷を注入すると、電解液中のBiイオンが還元されて透明電極上に析出し、その部分が黒く発色する。逆に、透明電極から電解液に正の電荷を注入すると、透明電極上に析出していたBiが酸化されて電解液中に溶解し、その部分が消色する。
【0003】
この種のエレクトロクロミック表示装置においては、電解液に注入した電荷量によって析出する溶質の量が決まるので、表示部の面積が大きければ大きいほど多くの電荷を注入して析出させる溶質の量を多くしなければならない。
【0004】
このように表示部の面積に応じた電荷を注入するために、従来は、矩形波の電圧パルスを印加したり、三角波、のこぎり波の電圧パルスを印加したりして電荷を注入するようにしている。例えば、特許文献1においては、矩形波の電圧パルスを表示部に印加することにより、発色及び消色を行っている。ここで、表示部の表示駆動を行う表示駆動装置から一定時間の矩形波パルスを表示部に印加した場合、表示部までの配線抵抗を無視できれば、発色時の表示部における抵抗値が表示面積に反比例することが知られている。また、消色時においても消色が完了するまでの間は、発色時と同様に抵抗値が表示面積に反比例することも知られている。したがって、一定電圧を一定時間印加すれば、表示面積にほぼ比例した量の電荷を注入することが可能である。
【0005】
ところで、単純に一定量の電圧波形を印加する手法では、析出させる溶質の量と溶解させる溶質の量とのバランスを保ち続けることが困難であり、動作寿命が短いという問題がある。つまり、多数回の発色と消色を繰り返すと析出量と溶解量とのバランスが崩れ、析出が過多となって発色部分の一部が消えなくなったり、溶質の溶解が進みすぎて、電解液中の他の物質(例えばヨウ素等)が発生することによって電解液が変色したりするなどの不具合が発生しやすい。特に、発色工程から消色工程までの時間が長くなると、自然に消色が起こるために過消色が生じやくなる。
【0006】
このような過消色の問題を解決するために、特許文献2においては、一定の電圧を印加して表示部に消色電流を流しているときに、その電流変化を検出して、電流値が一定値以下になったとき、即ち表示部の見かけの抵抗値が一定値以上となったときに消色駆動を終了する手法が提案されている。
【特許文献1】特開2000−142223号公報
【特許文献2】特公平5−46953号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
消色の場合には、発色の場合と異なり、ある程度の消色が進むと、抵抗値が変化して電流が減少することが知られており、消色に必要な電荷量は発色のときと同程度の量であるので、電流の減少による電荷量の減少を補償するためには、消色の場合の電圧を発色の場合よりも高くするか、または電圧の印加時間を長くする必要がある。この際には、表示部と表示駆動装置との間の配線抵抗や回路間の接触抵抗等によって電圧降下が生じて流れる電流が大きく変化するので、印加電圧及び印加時間はこれらの影響を考慮して調整する必要がある。しかしながら、一般に配線抵抗や回路間における接触抵抗等の値はばらつきが大きく、これらの値を一定にするのは容易ではない。つまり、定電圧を印加する手法では、これら配線抵抗や接触抵抗等の影響を考慮して表示駆動を行うことが困難である。したがって、表示部に定電流を印加することで表示駆動を行う手法が考えられるが、前記特許文献2の手法は、電流値を検出し、その電流値が一定値以下となったときに定電圧を印加する手法であるので、定電流駆動方式に適用することが困難である。しかも、前記特許文献2の手法は電流値を検出する必要があるが、電流値の検出は電圧値の検出よりも精度が低く、回路上のコストも大きくなってしまう。
【0008】
本発明は、前記の事情に鑑みてなされたもので、エレクトロクロミック表示装置において、過消色を防止することができるエレクトロクロミック表示装置及びそのような表示装置に用いられる表示駆動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の目的を達成するために、本発明のエレクトロクロミック表示装置の一態様は、電解液と、前記電解液に電荷を注入するための電極と、を有し、酸化還元反応により前記電極を介して前記電解液に電荷が注入されることにより発色し、前記電解液に前記電荷と逆極性の電荷が注入されることにより消色する少なくとも1つの表示部が配置された表示手段と、前記消色の際に、少なくとも、定電流を間欠的に出力する消色パルスを所定印加間隔で繰り返し出力し、該消色パルスを前記表示部の電極に印加して前記電解液に前記逆極性の電荷を注入する手段を有する、少なくとも1つの定電流印加手段と、前記消色の際に、前記消色パルスの非印加時に、前記表示部の電極に発生する起電力に対応する電圧値を検出する手段を有する電圧検出手段と、前記消色の際に、前記電圧検出手段により検出される前記電圧値が予め設定された基準値を超えたとき、前記定電流印加手段による前記消色パルスの前記表示部の電極への印加を終了させる制御手段と、を具備することを特徴とする。
【0010】
また、前記の目的を達成するために、本発明の表示駆動装置の一態様は、電解液と、前記電解液に電荷を注入するための電極と、を有し、酸化還元反応により前記電極を介して前記電解液に電荷が注入されることにより発色し、前記電解液に前記電荷と逆極性の電荷が注入されることにより消色する少なくとも1つの表示部が配置された表示手段の表示駆動を行う表示駆動装置であって、前記消色の際に、少なくとも、定電流を間欠的に出力する消色パルスを所定印加間隔で繰り返し出力し、該消色パルスを前記表示部の電極に印加して前記電解液に前記逆極性の電荷を注入する手段を有する、少なくとも1つの定電流印加手段と、前記消色の際に、前記消色パルスの非印加時に、前記表示部の電極に発生する起電力に対応する電圧値を検出する手段を有する電圧検出手段と、前記消色の際に、前記電圧検出手段により検出される前記電圧値が予め設定された基準値を超えたとき、前記定電流印加手段による前記消色パルスの前記表示部の電極への印加を終了させる制御手段と、を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、エレクトロクロミック表示装置及びそのような表示装置に用いられる表示駆動装置において、消色の際、定電流を間欠的に出力する消色パルスを繰り返し出力し、表示部の電極に印加して駆動し、該消色パルスの非印加時に表示部に発生する起電力に対応する電圧値を検出して、その電圧値が所定の基準値を超えた時点で消色動作を終了させることで、過消色が生じることを防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面を参照して説明する。
【0013】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係る表示駆動装置が適用されたエレクトロクロミック表示装置の構成を示すブロック図である。また、図2は、表示パネルの表示セグメントの配置例を示す図である。図1に示すエレクトロクロミック表示装置は、表示パネル10と、定電流印加回路20と、セグメントプロファイルメモリ30と、システムインターフェース40とから構成されている。そして、本実施形態に係わるエレクトロクロミック表示装置においては、図1に示すように、表示パネル10が複数の表示セグメントを有し、各表示セグメントに定電流印加回路20より定電流を印加して駆動するものであり、特に、各表示セグメントに印加する電流の電流値を、セグメントプロファイルメモリ30に記憶された値に基づいて、各表示セグメントの面積に比例した電流値に設定する構成を有している。
【0014】
表示手段としての表示パネル10はセグメント方式の表示パネルであり、表示部としての複数の表示セグメントが例えば図2に示すようにして配置されて構成されている。ここで、図2の例は、表示パネル10を、アルファベットや数字等の表示パターンを表示するための表示パネルとして利用する際の表示セグメントの配置例であり、7個の表示セグメント(表示セグメント10−1〜10−7)が8字状に配置されている。なお、表示セグメントの形状、数、及びその配置は図2で示したものに限るものではなく、表示パネルとして要求される仕様等に応じて適宜変更することが可能である。
【0015】
図3は、図2の表示セグメントの構成について説明するためのA−A線断面図である。ここで、図3の断面図は表示セグメント10−1の断面図であるが、他の表示セグメントの構成も図3で説明するものと基本的には同様である。
【0016】
図3に示すように、表示セグメントは、2枚の電極(電極10−11及び10−12)が平行配置され、これら電極10−11と電極10−12との間に電解液10−13が満たされ、これらが封止材10−14で封止されて構成されている。更に電極10−11の裏面には、表示セグメントを保護するためのガラス基板10−15が貼り付けられている。ここで、電極10−11は透明性を有する透明電極であり、例えば酸化インジウム錫(ITO)電極が用いられる。また、電極10−12は、透明な電極でも不透明な電極でも良い。この電極10−12には、例えば銅(Cu)電極が用いられる。更に、電解液10−13は、例えばBi、Cuが溶解した電解液である。なお、ここで示した材料は一例であり適宜変更可能である。例えば、電解液の溶解させる溶質はBiに限らず銀(Ag)等でも良い。さらに、金属だけでなく、ビオロゲン化合物のような有機物を用いることも可能である。また、BiやCuを溶解させるための溶液も臭酸や塩酸、ヨウ素酸等、種々のものを用いることができる。更には、電極10−11と電極10−12との間の電解液10−13は、電解液を保持させたウエットケーキシートを用いるようにしても良い。
【0017】
図3のような構成の表示セグメントに負の電荷を注入すると、電解液中のBiイオンが還元されて電極10−11上に析出する。これにより表示セグメントが黒く発色する。逆に、表示セグメントに正の電荷を注入すると、電極10−11上に析出していたBiが酸化されて電解液中に溶解する。これにより黒く発色していた表示セグメントが消色する。
【0018】
定電流印加回路20は表示パネル10を構成する複数の表示セグメントの各々に対応して、表示セグメントの数だけ設けられ、各表示セグメントに定電流を印加することにより、表示セグメントを発色又は消色させるための電荷を注入する。ここで、図1に示すように、定電流印加回路20は、発色パルス発生器20−1と、消色パルス発生器20−2と、定電流ドライバ20−3と、電圧検出回路20−4とから構成されている。これら定電流印加回路20の各回路及びその動作については後で詳しく説明する。
【0019】
セグメントプロファイルメモリ30は、各表示セグメントの面積の値、あるいは、各表示セグメントの面積に対応した適正な発色をさせるために必要な電流値指定データを、各表示セグメントに対応して記憶しておくためのメモリである。なお、以下においては、セグメントプロファイルメモリ30に各表示セグメントの面積に対応した電流値指定データが記憶されているものとするが、各表示セグメントの面積の値が記憶され、例えば発色パルス発生器20−1や消色パルス発生器20−2において、対応する電流値指定データに変換する機能を備えるものであっても良い。そして、セグメントプロファイルメモリ30は、システムインターフェース40からのアドレス信号を受けて、そのアドレスに記憶された電流値指定データを、対応する表示セグメントに接続された定電流印加回路20内の発色パルス発生器20−1及び消色パルス発生器20−2に出力する。なお、セグメントプロファイルメモリ30はEPROMやフラッシュROM等の不揮発性メモリであることが好ましい。セグメントプロファイルメモリ30を不揮発性メモリで構成することで、回路の電源がオフされた場合であっても記憶内容を保持しておくことが可能である。
【0020】
システムインターフェース40は、図示しない制御手段としてのCPUからの表示パネル10の表示又は非表示の指示を受けて、その指示に該当する表示セグメントを発色又は消色させる。このためにシステムインターフェース40は、該当する定電流印加回路20内の発色パルス発生器20−1及び消色パルス発生器20−2にパルス幅指定データを出力すると共に、発色又は消色させる表示セグメントに対応した電流値指定データが格納されているアドレスに対応するアドレス信号をセグメントプロファイルメモリ30に出力する。
【0021】
次に、定電流印加回路20について更に詳しく説明する。
図4は、消色パルス発生器20−2を順序論理回路で構成した場合の回路ブロック図の一例である。図4に示すように、消色パルス発生器20−2は、パルス幅レジスタ20−21と、電流値レジスタ20−22と、DAコンバータ20−23と、ダウンカウンタ20−24と、アナログスイッチ20−25とから構成されている。
【0022】
パルス幅レジスタ20−21は、システムインターフェース40から消色パルスのパルス幅を指定するためのパルス幅指定データを受けて、そのデータを保持する。
【0023】
電流値レジスタ20−22は、セグメントプロファイルメモリ30から各表示セグメントに対応する電流値指定データを受けて、そのデータを保持する。DAコンバータ20−23は、電流値レジスタ20−22に保持された電流値指定データをアナログの電圧信号に変換する。
【0024】
ダウンカウンタ20−24は、消色時にシステムインターフェース40からSTARTパルスを受けてパルス幅レジスタに保持された値を読み出し、この値を一定時間毎にカウントダウンしながら、ON又はOFF信号をアナログスイッチ20−25に出力する。つまり、ダウンカウンタ20−24は、カウント値が0でないときにON信号を出力し、カウント値が0になったときにOFF信号を出力する。アナログスイッチ20−25はDAコンバータ20−23と正の電源+Vとに接続され、ダウンカウンタ20−24からON信号を受けたときにONしてDAコンバータ20−23の出力を定電流ドライバ20−3に入力し、OFF信号を受けたときに電圧値+Vを定電流ドライバ20−3に入力する。
【0025】
このような構成により、ダウンカウンタ20−24がカウントを行っている間のみアナログスイッチ20−25がONするので、結果としてDAコンバータ20−23で得られた電圧値及びパルス幅指定データで指定されたパルス幅を有する消色パルスが定電流ドライバ20−3に入力される。そして、ダウンカウンタ20−24がカウントを終了した時点でアナログスイッチ20−25がOFFして、電圧値+Vが定電流ドライバ20−3に入力される。
【0026】
なお、図4は、消色パルス発生器20−2の構成であるが、発色パルス発生器20−1も消色パルス発生器20−2とほぼ同様の回路構成で実現できる。ただし、発色パルス発生器20−1においては、アナログスイッチに接続される電源を正の電源ではなく、負の電源−Vとする。発色パルス発生器20−1は、そのパルス幅を可変とすることで、表示セグメントを完全な発色状態と完全な消色状態のみでなく、その中間の状態で発色させることもできる。これにより、グレースケール表示が可能となる。
【0027】
なお、発色パルス発生器20−1及び消色パルス発生器20−2の機能は、マイクロコンピュータ等の演算処理によって実現するようにしても良い。
【0028】
図5は、定電流ドライバ20−3及び電圧検出回路20−4を構成する回路の一例を示す図である。また、図6は、定電流印加回路と表示セグメントとの間の配線抵抗について示す図である。定電流ドライバ20−3は、演算増幅器20−31と、MOSトランジスタ20−32と、抵抗20−33とからなる負方向定電流印加手段と、演算増幅器20−34と、MOSトランジスタ20−35と、抵抗20−36とからなる正方向定電流印加手段とを備える。また、電圧検出回路20−4は、例えばADコンバータから構成されている。
【0029】
図5において、演算増幅器20−31の非反転入力端子には発色パルス発生器20−1からの出力(発色パルス又は−V)が入力される。そして、演算増幅器20−31の出力端子はMOSトランジスタ20−32のゲートに接続され、MOSトランジスタ20−32のソースは演算増幅器20−31の反転入力端子と抵抗20−33の一端とに接続されている。更に、抵抗20−33の他端は負の電源−Vに接続されている。また、演算増幅器20−34の非反転入力端子には消色パルス発生器20−2からの出力(消色パルス又は+V)が入力される。また、演算増幅器20−34の出力端子はMOSトランジスタ20−35のゲートに接続され、MOSトランジスタ20−35のソースは演算増幅器20−34の反転入力端子と抵抗20−36の一端とに接続されている。更に、抵抗20−36の他端は正の電源+Vに接続されている。
【0030】
また、MOSトランジスタ20−32及び20−35のドレインは共通に定電流ドライバ20−3の出力端子に接続されている。そして、定電流ドライバ20−3の出力端子は、図6に示すようにして表示セグメント、例えば表示セグメント10−1に接続されると共に、電圧検出回路20−4にも接続されている。なお図6の参照符号10−16で示す抵抗は、定電流ドライバ20−3と表示セグメント10−1との間の配線抵抗や接触抵抗等による抵抗である。
【0031】
以下、定電流ドライバ20−3の動作について説明する。なお、負方向定電流印加手段と正方向定電流印加手段とは入力される電圧の極性や出力される電流の方向が逆なだけで、基本的な動作は同じであるので、ここでは正方向定電流印加手段の動作のみについて説明する。
【0032】
図5に示す構成において、表示セグメントの消色時には、演算増幅器20−31の非反転入力端子に消色パルス発生器20−2からの消色パルスが入力される。この消色パルスの入力により、演算増幅器20−34の出力がMOSトランジスタ20−35のゲートに印加され、MOSトランジスタ20−35がON状態となる。これにより、消色パルスの電圧値に応じた電流が、定電流ドライバ20−3の出力端子から正の電源+Vに向かって(即ち、表示セグメント10−1から定電流ドライバ20−3に向かって)流れる。
【0033】
ここで、図5に示すように、正方向定電流印加手段が定電流ドライバを構成しているので、表示セグメント10−1における電圧の変化等によらず、表示セグメント10−1に印加される電流の量は一定となる。このようにして、表示セグメント10−1に正の電荷が注入される。
【0034】
また、消色パルス発生器20−2から+Vが入力された場合には、演算増幅器20−31の出力が0となるので、これに伴ってMOSトランジスタ20−35がOFF状態となり、定電流ドライバ20−3からの電流出力が0となる。
【0035】
なお、負方向定電流印加手段に発色パルス発生器20−1から発色パルスが入力された場合には、定電流ドライバ20−3の出力端子から負の電源−Vに向かって(即ち、定電流ドライバ20−3から表示セグメント10−1に向かって)電流が流れることになる。
【0036】
また、例えばADコンバータから構成される電圧検出回路20−4は、消色の際に、消色パルスの非印加時、つまり定電流ドライバ20−3から電流が出力されていないときの、表示セグメントに発生している起電力に対応する電圧を検出して、その電圧値をシステムインターフェース40を介して図示しないCPUに入力する。即ち、エレクトロクロミック表示装置は、消色が進むにしたがって、表示セグメントの電気抵抗が増加するという特性と、表示セグメントに起電力が発生するという特性とを有することが知られている。電圧検出回路20−4により、このうちの起電力を電圧値として検出する。
【0037】
図7は、発色時及び消色時に、定電流印加回路20から表示セグメントに印加される電流及びこの電流によって発生する電圧の変化を示すタイミングチャートである。なお、同図においては図面上側を正方向、図面下側を負方向としている。
【0038】
本実施形態においては、発色パルスは、例えば連続的な定電流でなる一つの発色パルスとして表示セグメントに印加される。この発色パルスは、パルス幅指定データによって指定されたパルス幅及び電流値指定データによって指定された負の定電流(表示セグメント10−1から定電流ドライバ20−3の方向の電流)パルスである。このような発色パルスが表示セグメントに印加されたときに、その印加電流×印加時間に相当する負の電荷が当該表示セグメントに注入され、発色が起きる。ここで、表示セグメントを適正に発色させるのに必要な電荷量は、AgやBiを主原料とする電解液の場合は、約30mC/cm2であるが、本第1実施形態では、表示セグメントに印加する定電流の印加時間を可変とすることで表示セグメントに注入される電荷量を精確にコントロールすることが可能である。
【0039】
消色パルスは、定電流の印加が間欠的に繰り返される複数の電流パルスとしている。この場合、各電流パルスは、パルス幅指定データによって指定された一定のパルス幅及び電流値指定データによって指定された一定の正の定電流(定電流ドライバ20−3から表示セグメント10−1の方向の電流)を有するパルスである。この消色パルスは例えば一定間隔で繰り返し印加されるが、一定間隔に限らず、消色パルスの間隔を適宜変えるようにしてもよい。このような消色パルスが表示セグメントに印加されたときに、その印加電流×印加時間×印加回数に相当する正電荷が表示セグメントに注入され、消色が起きる。なお、本実施形態では、一例として、各電流パルスの印加時間を10msとしている。また、20msの非印加状態を挟んで次のパルスが印加されるものとし、そのタイミングに合わせて、図示しないCPUからシステムインターフェース40を介して定電流印加回路20の消色パルス発生器20−2にSTARTパルスが与えられるようになっている。
【0040】
即ち、図示しないCPUから、前記10msに相当するパルス幅指定データをシステムインターフェース40を介して消色パルス発生器20−2のパルス幅レジスタ20−21に書き込み、STARTパルスを消色パルス発生器20−2のダウンカウンタ20−24に供給する。これにより、前述したようにダウンカウンタ20−24が前記10msに相当するパルス幅指定データをカウントしている間のみアナログスイッチ20−25がONするので、結果としてDAコンバータ20−23で得られた電圧値を有する消色パルスが定電流ドライバ20−3に入力される。そして、ダウンカウンタ20−24がカウントを終了した時点でアナログスイッチ20−25がOFFして、電圧値+Vが定電流ドライバ20−3に入力される。したがって、10msの間、定電流が表示セグメントに印加される。このようなパルス幅指定データとSTARTパルスを前記CPUから前記20msの非印加間隔を開けて出力する、即ち、30ms毎にそれらパルス幅指定データ及びSTARTパルスを供給することで、図7に示すような消色パルスが表示セグメントに印加される。
【0041】
なお、発色時又は消色時に流す電流の量は、この電流によって表示セグメントに発生する電圧が、表示セグメントを発色又は消色させるために必要な電圧よりも高く、かつ表示セグメントが破壊しない限界の電圧である限界電圧よりも低くなるようにする。
【0042】
そして、本実施形態では、以下のようにして消色工程の終了を判断する。
表示セグメントは、消色が進むにしたがって、該表示セグメントの電気抵抗値が増加していくという特性と、起電力が発生するという特性とを有している。本実施形態では、このうち、起電力が発生するという特性を利用し、この起電力の値に基づいて消色工程の完了を検出する。
【0043】
即ち、消色時においては、電流パルスを前記の間隔で繰り返し印加すると、図7に示すように、その印加状態に応じて、表示セグメントに発生する電圧も上下動する。消色が進まない時点では、電流パルス非印加時に表示セグメントに発生する電圧はほぼ0ボルトまで戻る。そして、更に電流パルスを前記の間隔で繰り返し印加していくと、消色がある程度進んだ時点で表示セグメントの抵抗値が増加して図7に示すように電圧が上昇していき、また、電流パルス非印加時の電圧としては表示セグメントに発生した起電力が現れる。そこで、電流パルスを印加しない非印加時、例えば次の電流パルス印加直前に、表示セグメントに発生したこの起電力の電圧値を電圧検出回路20−4で検出する。そして、図示しないCPUは、この検出した電圧値が、予め設定された基準値である消色工程終了電圧Vr以上になったならば、消色終了と判断して、消色パルスの印加を終了させる。
【0044】
次に、前記基準値である前記消色工程終了電圧Vrの設定手法の例について、図8を参照して説明する。
【0045】
前記消色工程終了電圧Vrを設定する際には、初期特性が維持された状態の表示セグメントに対し、前記消色パルスと同様の電流値及び印加時間を有する電流パルスを1回、印加する。ここで、初期特性が維持された状態とは、製造後に一度も電流を印加していない初期状態を理想的に含むものではあるが、例えば表示セグメントの電極を所定時間以上接地することで蓄積された電荷を十分放電させる等して、ほぼ初期状態の特性に回復された状態の表示セグメントも含む。このような初期特性が維持された状態では、発色工程を経ていないので、前記1回の電流パルスの印加でも過消色状態となり、表示セグメントに起電力が発生する。そして、所定時間(=前述の図7に示したような、消色工程における2つの消色パルス間の印加間隔:本実施形態においては20ms)後に電圧検出回路20−4で検出される電圧値を、前記消色工程終了電圧Vrとして採用する。これを各表示セグメントについて行い、表示セグメント毎に消色工程終了電圧Vrを設定する。すなわち、各表示セグメントの消色工程において、電圧検出回路20−4により検出される電圧値がこの消色工程終了電圧Vrとなったとき、当該表示セグメントは消色が完了した状態になっていることになるため、このときを消色終了とするものである。
【0046】
この消色工程終了電圧Vrは、図示しないCPUの内部メモリや、該CPUがアクセス可能なメモリに保存する。或いは、前記セグメントプロファイルメモリ30に保存しておき、消色工程の開始時にCPUが該セグメントプロファイルメモリ30から読み出して利用するようにしても構わない。
【0047】
このような手法により、消色工程終了電圧Vrを表示セグメント毎に設定することができる。
【0048】
以上のように、本第1実施形態によれば、消色工程時に流す消色電流を連続的な定電流の印加ではなくて、間欠的に繰り返し定電流が出力される複数回の電流パルスとしたことにより、定電流を印加していない時の表示セグメントで発生する起電力の状態を観測することができ、この起電力に応じて消色工程の終了の判断を行うので、例えば発色工程から消色工程までの時間が長くなって自然消色が有る程度起こった場合であっても、消色工程の終了を適切に判断することができる。
【0049】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
【0050】
本第2実施形態に係る表示駆動装置の構成は、前記第1実施形態のそれと同様であるので、図示及び説明は省略する。但し、本実施形態においては、電圧検出回路20−4は、消色パルスにおける定電流の印加時に、定電流ドライバ20−3の出力端子から正の電源+Vに向かって流れる電流と定電流ドライバ20−3に接続される負荷(表示セグメントの抵抗や配線抵抗等)とに応じて発生する電圧も検出し、その電圧値をシステムインターフェース40を介して図示しないCPUに入力する。勿論、前記第1実施形態と同様に、消色パルスにおける定電流の非印加時、つまり定電流ドライバ20−3から電流が出力されていないときには、表示セグメントに発生している起電力に対応する電圧を検出して、その電圧値をシステムインターフェース40を介して図示しないCPUに入力する。即ち、本第2実施形態においては、消色が進むにしたがって増加する表示セグメントの電気抵抗と、同じく消色が進むにしたがって表示セグメントに発生する起電力とを、電圧検出回路20−4によりそれぞれ電圧値として検出する。
【0051】
図9は、本第2実施形態に係る表示駆動装置による消色工程での電流及び電圧の変化を示すタイミングチャートである。なお、発色工程については前記第1実施形態と同様である。
【0052】
本第2実施形態においては、消色パルスとして、消色工程の最初の段階つまり表示セグメントの抵抗値変化が少ない部分では、定電流を連続的に印加し、抵抗値変化が多い部分では、前記第1実施形態のような定電流を出力する電流パルスを間欠的に繰り返し印加するものである。これにより、消色工程時に表示セグメント注入する電荷量を同じとした場合、消色工程に要する時間を、前記第1実施形態よりも短くできる。
【0053】
ここで、連続的な定電流の印加から電流パルスの間欠的な印加への切り替えは、電圧検出回路20−4により検出している定電流の印加時の電圧値が、表示セグメントの抵抗値の変化にしたがって予め設定された閾値Vbを超えた時点に行う。
【0054】
この閾値Vbの設定手法の例について図10を参照して説明する。閾値Vbを設定する際には、まず任意の時間の発色を行って電解液中の溶質を析出させる。次に、表示セグメントに発生する電圧を電圧検出回路20−4によって検出しながら消色を行い、抵抗値変化が少ない部分の電圧値(例えば、図10の参照符号100で示す部分)を検出する。また、この電圧値と共に、表示セグメントが破壊しない限界電圧を検出しておき、これら電圧の比や検出電圧のノイズ成分等の条件を元に、抵抗値変化が少ない部分の所定数倍を閾値Vbとする。なお、本出願人の実験においては、閾値Vbを抵抗値変化が少ない部分の電圧の1.15倍程度に設定することが好ましいという結果となっている。
【0055】
このような手法により、閾値Vbを表示セグメント毎に設定することができる。また、表示セグメントに発生する電圧は、表示セグメントまでの配線抵抗の影響が含まれた状態で検出される。したがって、上述のような手法で閾値Vbを設定することにより、表示セグメント毎に配線抵抗を計算して閾値Vbを設定する必要もない。
【0056】
なお、前記の例では、閾値Vbを抵抗値変化が少ない部分の電圧値を所定数倍して設定しているが、抵抗値変化が少ない部分の電圧値に所定電圧値を加算するという手法によって設定しても良い。
【0057】
また、閾値Vbの設定は、表示駆動装置に電源が投入されたときの初期設定の処理内に行うようにしても良いが、温度等の周囲環境の変化によって表示駆動装置の状態が変化してしまうと、閾値Vbも変化させる必要が生じてしまう。したがって、閾値Vbは、消色を行う毎に設定することが好ましい。
【0058】
また、所定回数の消色毎に1回、閾値Vbの設定を行うようにしても良い。
【0059】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
【0060】
本第3実施形態に係る表示駆動装置の構成は、前記第2実施形態のそれと同様であるので、図示及び説明は省略する。但し、本実施形態においては、セグメントプロファイルメモリ30に2種類の電流値i1,i2を記憶しておく。
【0061】
図11は、本第3実施形態に係る表示駆動装置による消色工程での電流及び電圧の変化を示すタイミングチャートである。なお、発色工程については前記第1実施形態と同様である。
【0062】
前記第2実施形態では、消色パルスとして、表示セグメントの抵抗値変化が少ない部分では定電流を連続的に印加し、抵抗値変化が多い部分では定電流を繰り返し出力する電流パルスを間欠的に印加するものとした。これに対して、本第3実施形態は、図11に示すように、電流パルスを間欠的に繰り返し出力する際には、その電流値i2を、定電流を連続的に印加するときの電流値i1よりも小さくする。
【0063】
このような本第3実施形態によれば、表示セグメントの抵抗値の増加と共に電圧が上昇していくが、そのような抵抗値変化が多い部分では定電流値を下げるので、抵抗値増加に伴う電圧上昇によって表示セグメントが破壊することを確実に防止することができる。
【0064】
なお、これら電流値i1及びi2は共にセグメントプロファイルメモリ30に記憶させておくものとしたが、勿論セグメントプロファイルメモリ30とは別の記憶装置に記憶させるようにしても良い。
【0065】
以上実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は前記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形や応用が可能なことは勿論である。
【0066】
例えば、上述した各実施形態はセグメント方式の表示パネルについて説明しているが、上述した各実施形態の手法はドットマトリクス方式の表示パネルに適用することもできる。ただし、ドットマトリクス方式の場合には個々の表示部の面積が等しいため、セグメントプロファイルメモリ30は必ずしも必要ではない。また、この場合、消色工程終了電圧Vrを各表示セグメントに対して共通の値としてもよい。
【0067】
また、前記消色パルスにおける電流パルスの印加時間10ms、消色パルスにおける2つの電流パルス間の印加間隔(非印加時間)20msは、一例であり、本発明はそれに限定されない。
【0068】
更に、前記した実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件の適当な組合せにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成も発明として抽出され得る。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の第1実施形態に係る表示駆動装置が適用されたエレクトロクロミック表示装置の構成を示すブロック図である。
【図2】表示セグメントの配置例を示す図である。
【図3】表示セグメントの構成について説明するための断面図である。
【図4】消色パルス発生器を順序論理回路で構成した場合の回路ブロック図の一例である。
【図5】定電流ドライバ及び電圧検出回路を構成する回路の一例を示す図である。
【図6】定電流印加回路と表示セグメントとの間の配線抵抗について示す図である。
【図7】発色時及び消色時に、定電流印加回路から表示セグメントに印加される電流及びこの電流によって発生する電圧の変化を示すタイミングチャートである。
【図8】消色工程終了電圧Vrの設定手法について説明するための図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係る表示駆動装置による消色時の電流及び電圧の変化を示すタイミングチャートである。
【図10】閾値Vbの設定手法について説明するための図である。
【図11】本発明の第3実施形態に係る表示駆動装置による消色時の電流及び電圧の変化を示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0070】
10…表示パネル
10−1〜10−7…表示セグメント
10−11,10−12…電極
10−13…電解液
10−14…封止材
10−15…ガラス基板
20…定電流印加回路
20−1…発色パルス発生器
20−2…消色パルス発生器
20−3…定電流ドライバ
20−4…電圧検出回路
20−21…パルス幅レジスタ
20−22…電流値レジスタ
20−23…DAコンバータ
20−24…ダウンカウンタ
20−25…アナログスイッチ
20−31,20−34…演算増幅器
20−32,20−35…MOSトランジスタ
20−33,20−36…抵抗
30…セグメントプロファイルメモリ
40…システムインターフェース。
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレクトロクロミック表示装置及び表示駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電解液に電荷を注入することで、酸化還元反応により電解液中の溶質が析出したり溶解したりする現象を利用した表示装置(以下、エレクトロクロミック表示装置と称する)が各種提案されている。例えば、ビスマス(Bi)を主原料として用いたエレクトロクロミック表示装置の場合は、酸化インジウム錫(ITO)等の透明電極から電解液に負の電荷を注入すると、電解液中のBiイオンが還元されて透明電極上に析出し、その部分が黒く発色する。逆に、透明電極から電解液に正の電荷を注入すると、透明電極上に析出していたBiが酸化されて電解液中に溶解し、その部分が消色する。
【0003】
この種のエレクトロクロミック表示装置においては、電解液に注入した電荷量によって析出する溶質の量が決まるので、表示部の面積が大きければ大きいほど多くの電荷を注入して析出させる溶質の量を多くしなければならない。
【0004】
このように表示部の面積に応じた電荷を注入するために、従来は、矩形波の電圧パルスを印加したり、三角波、のこぎり波の電圧パルスを印加したりして電荷を注入するようにしている。例えば、特許文献1においては、矩形波の電圧パルスを表示部に印加することにより、発色及び消色を行っている。ここで、表示部の表示駆動を行う表示駆動装置から一定時間の矩形波パルスを表示部に印加した場合、表示部までの配線抵抗を無視できれば、発色時の表示部における抵抗値が表示面積に反比例することが知られている。また、消色時においても消色が完了するまでの間は、発色時と同様に抵抗値が表示面積に反比例することも知られている。したがって、一定電圧を一定時間印加すれば、表示面積にほぼ比例した量の電荷を注入することが可能である。
【0005】
ところで、単純に一定量の電圧波形を印加する手法では、析出させる溶質の量と溶解させる溶質の量とのバランスを保ち続けることが困難であり、動作寿命が短いという問題がある。つまり、多数回の発色と消色を繰り返すと析出量と溶解量とのバランスが崩れ、析出が過多となって発色部分の一部が消えなくなったり、溶質の溶解が進みすぎて、電解液中の他の物質(例えばヨウ素等)が発生することによって電解液が変色したりするなどの不具合が発生しやすい。特に、発色工程から消色工程までの時間が長くなると、自然に消色が起こるために過消色が生じやくなる。
【0006】
このような過消色の問題を解決するために、特許文献2においては、一定の電圧を印加して表示部に消色電流を流しているときに、その電流変化を検出して、電流値が一定値以下になったとき、即ち表示部の見かけの抵抗値が一定値以上となったときに消色駆動を終了する手法が提案されている。
【特許文献1】特開2000−142223号公報
【特許文献2】特公平5−46953号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
消色の場合には、発色の場合と異なり、ある程度の消色が進むと、抵抗値が変化して電流が減少することが知られており、消色に必要な電荷量は発色のときと同程度の量であるので、電流の減少による電荷量の減少を補償するためには、消色の場合の電圧を発色の場合よりも高くするか、または電圧の印加時間を長くする必要がある。この際には、表示部と表示駆動装置との間の配線抵抗や回路間の接触抵抗等によって電圧降下が生じて流れる電流が大きく変化するので、印加電圧及び印加時間はこれらの影響を考慮して調整する必要がある。しかしながら、一般に配線抵抗や回路間における接触抵抗等の値はばらつきが大きく、これらの値を一定にするのは容易ではない。つまり、定電圧を印加する手法では、これら配線抵抗や接触抵抗等の影響を考慮して表示駆動を行うことが困難である。したがって、表示部に定電流を印加することで表示駆動を行う手法が考えられるが、前記特許文献2の手法は、電流値を検出し、その電流値が一定値以下となったときに定電圧を印加する手法であるので、定電流駆動方式に適用することが困難である。しかも、前記特許文献2の手法は電流値を検出する必要があるが、電流値の検出は電圧値の検出よりも精度が低く、回路上のコストも大きくなってしまう。
【0008】
本発明は、前記の事情に鑑みてなされたもので、エレクトロクロミック表示装置において、過消色を防止することができるエレクトロクロミック表示装置及びそのような表示装置に用いられる表示駆動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の目的を達成するために、本発明のエレクトロクロミック表示装置の一態様は、電解液と、前記電解液に電荷を注入するための電極と、を有し、酸化還元反応により前記電極を介して前記電解液に電荷が注入されることにより発色し、前記電解液に前記電荷と逆極性の電荷が注入されることにより消色する少なくとも1つの表示部が配置された表示手段と、前記消色の際に、少なくとも、定電流を間欠的に出力する消色パルスを所定印加間隔で繰り返し出力し、該消色パルスを前記表示部の電極に印加して前記電解液に前記逆極性の電荷を注入する手段を有する、少なくとも1つの定電流印加手段と、前記消色の際に、前記消色パルスの非印加時に、前記表示部の電極に発生する起電力に対応する電圧値を検出する手段を有する電圧検出手段と、前記消色の際に、前記電圧検出手段により検出される前記電圧値が予め設定された基準値を超えたとき、前記定電流印加手段による前記消色パルスの前記表示部の電極への印加を終了させる制御手段と、を具備することを特徴とする。
【0010】
また、前記の目的を達成するために、本発明の表示駆動装置の一態様は、電解液と、前記電解液に電荷を注入するための電極と、を有し、酸化還元反応により前記電極を介して前記電解液に電荷が注入されることにより発色し、前記電解液に前記電荷と逆極性の電荷が注入されることにより消色する少なくとも1つの表示部が配置された表示手段の表示駆動を行う表示駆動装置であって、前記消色の際に、少なくとも、定電流を間欠的に出力する消色パルスを所定印加間隔で繰り返し出力し、該消色パルスを前記表示部の電極に印加して前記電解液に前記逆極性の電荷を注入する手段を有する、少なくとも1つの定電流印加手段と、前記消色の際に、前記消色パルスの非印加時に、前記表示部の電極に発生する起電力に対応する電圧値を検出する手段を有する電圧検出手段と、前記消色の際に、前記電圧検出手段により検出される前記電圧値が予め設定された基準値を超えたとき、前記定電流印加手段による前記消色パルスの前記表示部の電極への印加を終了させる制御手段と、を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、エレクトロクロミック表示装置及びそのような表示装置に用いられる表示駆動装置において、消色の際、定電流を間欠的に出力する消色パルスを繰り返し出力し、表示部の電極に印加して駆動し、該消色パルスの非印加時に表示部に発生する起電力に対応する電圧値を検出して、その電圧値が所定の基準値を超えた時点で消色動作を終了させることで、過消色が生じることを防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面を参照して説明する。
【0013】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係る表示駆動装置が適用されたエレクトロクロミック表示装置の構成を示すブロック図である。また、図2は、表示パネルの表示セグメントの配置例を示す図である。図1に示すエレクトロクロミック表示装置は、表示パネル10と、定電流印加回路20と、セグメントプロファイルメモリ30と、システムインターフェース40とから構成されている。そして、本実施形態に係わるエレクトロクロミック表示装置においては、図1に示すように、表示パネル10が複数の表示セグメントを有し、各表示セグメントに定電流印加回路20より定電流を印加して駆動するものであり、特に、各表示セグメントに印加する電流の電流値を、セグメントプロファイルメモリ30に記憶された値に基づいて、各表示セグメントの面積に比例した電流値に設定する構成を有している。
【0014】
表示手段としての表示パネル10はセグメント方式の表示パネルであり、表示部としての複数の表示セグメントが例えば図2に示すようにして配置されて構成されている。ここで、図2の例は、表示パネル10を、アルファベットや数字等の表示パターンを表示するための表示パネルとして利用する際の表示セグメントの配置例であり、7個の表示セグメント(表示セグメント10−1〜10−7)が8字状に配置されている。なお、表示セグメントの形状、数、及びその配置は図2で示したものに限るものではなく、表示パネルとして要求される仕様等に応じて適宜変更することが可能である。
【0015】
図3は、図2の表示セグメントの構成について説明するためのA−A線断面図である。ここで、図3の断面図は表示セグメント10−1の断面図であるが、他の表示セグメントの構成も図3で説明するものと基本的には同様である。
【0016】
図3に示すように、表示セグメントは、2枚の電極(電極10−11及び10−12)が平行配置され、これら電極10−11と電極10−12との間に電解液10−13が満たされ、これらが封止材10−14で封止されて構成されている。更に電極10−11の裏面には、表示セグメントを保護するためのガラス基板10−15が貼り付けられている。ここで、電極10−11は透明性を有する透明電極であり、例えば酸化インジウム錫(ITO)電極が用いられる。また、電極10−12は、透明な電極でも不透明な電極でも良い。この電極10−12には、例えば銅(Cu)電極が用いられる。更に、電解液10−13は、例えばBi、Cuが溶解した電解液である。なお、ここで示した材料は一例であり適宜変更可能である。例えば、電解液の溶解させる溶質はBiに限らず銀(Ag)等でも良い。さらに、金属だけでなく、ビオロゲン化合物のような有機物を用いることも可能である。また、BiやCuを溶解させるための溶液も臭酸や塩酸、ヨウ素酸等、種々のものを用いることができる。更には、電極10−11と電極10−12との間の電解液10−13は、電解液を保持させたウエットケーキシートを用いるようにしても良い。
【0017】
図3のような構成の表示セグメントに負の電荷を注入すると、電解液中のBiイオンが還元されて電極10−11上に析出する。これにより表示セグメントが黒く発色する。逆に、表示セグメントに正の電荷を注入すると、電極10−11上に析出していたBiが酸化されて電解液中に溶解する。これにより黒く発色していた表示セグメントが消色する。
【0018】
定電流印加回路20は表示パネル10を構成する複数の表示セグメントの各々に対応して、表示セグメントの数だけ設けられ、各表示セグメントに定電流を印加することにより、表示セグメントを発色又は消色させるための電荷を注入する。ここで、図1に示すように、定電流印加回路20は、発色パルス発生器20−1と、消色パルス発生器20−2と、定電流ドライバ20−3と、電圧検出回路20−4とから構成されている。これら定電流印加回路20の各回路及びその動作については後で詳しく説明する。
【0019】
セグメントプロファイルメモリ30は、各表示セグメントの面積の値、あるいは、各表示セグメントの面積に対応した適正な発色をさせるために必要な電流値指定データを、各表示セグメントに対応して記憶しておくためのメモリである。なお、以下においては、セグメントプロファイルメモリ30に各表示セグメントの面積に対応した電流値指定データが記憶されているものとするが、各表示セグメントの面積の値が記憶され、例えば発色パルス発生器20−1や消色パルス発生器20−2において、対応する電流値指定データに変換する機能を備えるものであっても良い。そして、セグメントプロファイルメモリ30は、システムインターフェース40からのアドレス信号を受けて、そのアドレスに記憶された電流値指定データを、対応する表示セグメントに接続された定電流印加回路20内の発色パルス発生器20−1及び消色パルス発生器20−2に出力する。なお、セグメントプロファイルメモリ30はEPROMやフラッシュROM等の不揮発性メモリであることが好ましい。セグメントプロファイルメモリ30を不揮発性メモリで構成することで、回路の電源がオフされた場合であっても記憶内容を保持しておくことが可能である。
【0020】
システムインターフェース40は、図示しない制御手段としてのCPUからの表示パネル10の表示又は非表示の指示を受けて、その指示に該当する表示セグメントを発色又は消色させる。このためにシステムインターフェース40は、該当する定電流印加回路20内の発色パルス発生器20−1及び消色パルス発生器20−2にパルス幅指定データを出力すると共に、発色又は消色させる表示セグメントに対応した電流値指定データが格納されているアドレスに対応するアドレス信号をセグメントプロファイルメモリ30に出力する。
【0021】
次に、定電流印加回路20について更に詳しく説明する。
図4は、消色パルス発生器20−2を順序論理回路で構成した場合の回路ブロック図の一例である。図4に示すように、消色パルス発生器20−2は、パルス幅レジスタ20−21と、電流値レジスタ20−22と、DAコンバータ20−23と、ダウンカウンタ20−24と、アナログスイッチ20−25とから構成されている。
【0022】
パルス幅レジスタ20−21は、システムインターフェース40から消色パルスのパルス幅を指定するためのパルス幅指定データを受けて、そのデータを保持する。
【0023】
電流値レジスタ20−22は、セグメントプロファイルメモリ30から各表示セグメントに対応する電流値指定データを受けて、そのデータを保持する。DAコンバータ20−23は、電流値レジスタ20−22に保持された電流値指定データをアナログの電圧信号に変換する。
【0024】
ダウンカウンタ20−24は、消色時にシステムインターフェース40からSTARTパルスを受けてパルス幅レジスタに保持された値を読み出し、この値を一定時間毎にカウントダウンしながら、ON又はOFF信号をアナログスイッチ20−25に出力する。つまり、ダウンカウンタ20−24は、カウント値が0でないときにON信号を出力し、カウント値が0になったときにOFF信号を出力する。アナログスイッチ20−25はDAコンバータ20−23と正の電源+Vとに接続され、ダウンカウンタ20−24からON信号を受けたときにONしてDAコンバータ20−23の出力を定電流ドライバ20−3に入力し、OFF信号を受けたときに電圧値+Vを定電流ドライバ20−3に入力する。
【0025】
このような構成により、ダウンカウンタ20−24がカウントを行っている間のみアナログスイッチ20−25がONするので、結果としてDAコンバータ20−23で得られた電圧値及びパルス幅指定データで指定されたパルス幅を有する消色パルスが定電流ドライバ20−3に入力される。そして、ダウンカウンタ20−24がカウントを終了した時点でアナログスイッチ20−25がOFFして、電圧値+Vが定電流ドライバ20−3に入力される。
【0026】
なお、図4は、消色パルス発生器20−2の構成であるが、発色パルス発生器20−1も消色パルス発生器20−2とほぼ同様の回路構成で実現できる。ただし、発色パルス発生器20−1においては、アナログスイッチに接続される電源を正の電源ではなく、負の電源−Vとする。発色パルス発生器20−1は、そのパルス幅を可変とすることで、表示セグメントを完全な発色状態と完全な消色状態のみでなく、その中間の状態で発色させることもできる。これにより、グレースケール表示が可能となる。
【0027】
なお、発色パルス発生器20−1及び消色パルス発生器20−2の機能は、マイクロコンピュータ等の演算処理によって実現するようにしても良い。
【0028】
図5は、定電流ドライバ20−3及び電圧検出回路20−4を構成する回路の一例を示す図である。また、図6は、定電流印加回路と表示セグメントとの間の配線抵抗について示す図である。定電流ドライバ20−3は、演算増幅器20−31と、MOSトランジスタ20−32と、抵抗20−33とからなる負方向定電流印加手段と、演算増幅器20−34と、MOSトランジスタ20−35と、抵抗20−36とからなる正方向定電流印加手段とを備える。また、電圧検出回路20−4は、例えばADコンバータから構成されている。
【0029】
図5において、演算増幅器20−31の非反転入力端子には発色パルス発生器20−1からの出力(発色パルス又は−V)が入力される。そして、演算増幅器20−31の出力端子はMOSトランジスタ20−32のゲートに接続され、MOSトランジスタ20−32のソースは演算増幅器20−31の反転入力端子と抵抗20−33の一端とに接続されている。更に、抵抗20−33の他端は負の電源−Vに接続されている。また、演算増幅器20−34の非反転入力端子には消色パルス発生器20−2からの出力(消色パルス又は+V)が入力される。また、演算増幅器20−34の出力端子はMOSトランジスタ20−35のゲートに接続され、MOSトランジスタ20−35のソースは演算増幅器20−34の反転入力端子と抵抗20−36の一端とに接続されている。更に、抵抗20−36の他端は正の電源+Vに接続されている。
【0030】
また、MOSトランジスタ20−32及び20−35のドレインは共通に定電流ドライバ20−3の出力端子に接続されている。そして、定電流ドライバ20−3の出力端子は、図6に示すようにして表示セグメント、例えば表示セグメント10−1に接続されると共に、電圧検出回路20−4にも接続されている。なお図6の参照符号10−16で示す抵抗は、定電流ドライバ20−3と表示セグメント10−1との間の配線抵抗や接触抵抗等による抵抗である。
【0031】
以下、定電流ドライバ20−3の動作について説明する。なお、負方向定電流印加手段と正方向定電流印加手段とは入力される電圧の極性や出力される電流の方向が逆なだけで、基本的な動作は同じであるので、ここでは正方向定電流印加手段の動作のみについて説明する。
【0032】
図5に示す構成において、表示セグメントの消色時には、演算増幅器20−31の非反転入力端子に消色パルス発生器20−2からの消色パルスが入力される。この消色パルスの入力により、演算増幅器20−34の出力がMOSトランジスタ20−35のゲートに印加され、MOSトランジスタ20−35がON状態となる。これにより、消色パルスの電圧値に応じた電流が、定電流ドライバ20−3の出力端子から正の電源+Vに向かって(即ち、表示セグメント10−1から定電流ドライバ20−3に向かって)流れる。
【0033】
ここで、図5に示すように、正方向定電流印加手段が定電流ドライバを構成しているので、表示セグメント10−1における電圧の変化等によらず、表示セグメント10−1に印加される電流の量は一定となる。このようにして、表示セグメント10−1に正の電荷が注入される。
【0034】
また、消色パルス発生器20−2から+Vが入力された場合には、演算増幅器20−31の出力が0となるので、これに伴ってMOSトランジスタ20−35がOFF状態となり、定電流ドライバ20−3からの電流出力が0となる。
【0035】
なお、負方向定電流印加手段に発色パルス発生器20−1から発色パルスが入力された場合には、定電流ドライバ20−3の出力端子から負の電源−Vに向かって(即ち、定電流ドライバ20−3から表示セグメント10−1に向かって)電流が流れることになる。
【0036】
また、例えばADコンバータから構成される電圧検出回路20−4は、消色の際に、消色パルスの非印加時、つまり定電流ドライバ20−3から電流が出力されていないときの、表示セグメントに発生している起電力に対応する電圧を検出して、その電圧値をシステムインターフェース40を介して図示しないCPUに入力する。即ち、エレクトロクロミック表示装置は、消色が進むにしたがって、表示セグメントの電気抵抗が増加するという特性と、表示セグメントに起電力が発生するという特性とを有することが知られている。電圧検出回路20−4により、このうちの起電力を電圧値として検出する。
【0037】
図7は、発色時及び消色時に、定電流印加回路20から表示セグメントに印加される電流及びこの電流によって発生する電圧の変化を示すタイミングチャートである。なお、同図においては図面上側を正方向、図面下側を負方向としている。
【0038】
本実施形態においては、発色パルスは、例えば連続的な定電流でなる一つの発色パルスとして表示セグメントに印加される。この発色パルスは、パルス幅指定データによって指定されたパルス幅及び電流値指定データによって指定された負の定電流(表示セグメント10−1から定電流ドライバ20−3の方向の電流)パルスである。このような発色パルスが表示セグメントに印加されたときに、その印加電流×印加時間に相当する負の電荷が当該表示セグメントに注入され、発色が起きる。ここで、表示セグメントを適正に発色させるのに必要な電荷量は、AgやBiを主原料とする電解液の場合は、約30mC/cm2であるが、本第1実施形態では、表示セグメントに印加する定電流の印加時間を可変とすることで表示セグメントに注入される電荷量を精確にコントロールすることが可能である。
【0039】
消色パルスは、定電流の印加が間欠的に繰り返される複数の電流パルスとしている。この場合、各電流パルスは、パルス幅指定データによって指定された一定のパルス幅及び電流値指定データによって指定された一定の正の定電流(定電流ドライバ20−3から表示セグメント10−1の方向の電流)を有するパルスである。この消色パルスは例えば一定間隔で繰り返し印加されるが、一定間隔に限らず、消色パルスの間隔を適宜変えるようにしてもよい。このような消色パルスが表示セグメントに印加されたときに、その印加電流×印加時間×印加回数に相当する正電荷が表示セグメントに注入され、消色が起きる。なお、本実施形態では、一例として、各電流パルスの印加時間を10msとしている。また、20msの非印加状態を挟んで次のパルスが印加されるものとし、そのタイミングに合わせて、図示しないCPUからシステムインターフェース40を介して定電流印加回路20の消色パルス発生器20−2にSTARTパルスが与えられるようになっている。
【0040】
即ち、図示しないCPUから、前記10msに相当するパルス幅指定データをシステムインターフェース40を介して消色パルス発生器20−2のパルス幅レジスタ20−21に書き込み、STARTパルスを消色パルス発生器20−2のダウンカウンタ20−24に供給する。これにより、前述したようにダウンカウンタ20−24が前記10msに相当するパルス幅指定データをカウントしている間のみアナログスイッチ20−25がONするので、結果としてDAコンバータ20−23で得られた電圧値を有する消色パルスが定電流ドライバ20−3に入力される。そして、ダウンカウンタ20−24がカウントを終了した時点でアナログスイッチ20−25がOFFして、電圧値+Vが定電流ドライバ20−3に入力される。したがって、10msの間、定電流が表示セグメントに印加される。このようなパルス幅指定データとSTARTパルスを前記CPUから前記20msの非印加間隔を開けて出力する、即ち、30ms毎にそれらパルス幅指定データ及びSTARTパルスを供給することで、図7に示すような消色パルスが表示セグメントに印加される。
【0041】
なお、発色時又は消色時に流す電流の量は、この電流によって表示セグメントに発生する電圧が、表示セグメントを発色又は消色させるために必要な電圧よりも高く、かつ表示セグメントが破壊しない限界の電圧である限界電圧よりも低くなるようにする。
【0042】
そして、本実施形態では、以下のようにして消色工程の終了を判断する。
表示セグメントは、消色が進むにしたがって、該表示セグメントの電気抵抗値が増加していくという特性と、起電力が発生するという特性とを有している。本実施形態では、このうち、起電力が発生するという特性を利用し、この起電力の値に基づいて消色工程の完了を検出する。
【0043】
即ち、消色時においては、電流パルスを前記の間隔で繰り返し印加すると、図7に示すように、その印加状態に応じて、表示セグメントに発生する電圧も上下動する。消色が進まない時点では、電流パルス非印加時に表示セグメントに発生する電圧はほぼ0ボルトまで戻る。そして、更に電流パルスを前記の間隔で繰り返し印加していくと、消色がある程度進んだ時点で表示セグメントの抵抗値が増加して図7に示すように電圧が上昇していき、また、電流パルス非印加時の電圧としては表示セグメントに発生した起電力が現れる。そこで、電流パルスを印加しない非印加時、例えば次の電流パルス印加直前に、表示セグメントに発生したこの起電力の電圧値を電圧検出回路20−4で検出する。そして、図示しないCPUは、この検出した電圧値が、予め設定された基準値である消色工程終了電圧Vr以上になったならば、消色終了と判断して、消色パルスの印加を終了させる。
【0044】
次に、前記基準値である前記消色工程終了電圧Vrの設定手法の例について、図8を参照して説明する。
【0045】
前記消色工程終了電圧Vrを設定する際には、初期特性が維持された状態の表示セグメントに対し、前記消色パルスと同様の電流値及び印加時間を有する電流パルスを1回、印加する。ここで、初期特性が維持された状態とは、製造後に一度も電流を印加していない初期状態を理想的に含むものではあるが、例えば表示セグメントの電極を所定時間以上接地することで蓄積された電荷を十分放電させる等して、ほぼ初期状態の特性に回復された状態の表示セグメントも含む。このような初期特性が維持された状態では、発色工程を経ていないので、前記1回の電流パルスの印加でも過消色状態となり、表示セグメントに起電力が発生する。そして、所定時間(=前述の図7に示したような、消色工程における2つの消色パルス間の印加間隔:本実施形態においては20ms)後に電圧検出回路20−4で検出される電圧値を、前記消色工程終了電圧Vrとして採用する。これを各表示セグメントについて行い、表示セグメント毎に消色工程終了電圧Vrを設定する。すなわち、各表示セグメントの消色工程において、電圧検出回路20−4により検出される電圧値がこの消色工程終了電圧Vrとなったとき、当該表示セグメントは消色が完了した状態になっていることになるため、このときを消色終了とするものである。
【0046】
この消色工程終了電圧Vrは、図示しないCPUの内部メモリや、該CPUがアクセス可能なメモリに保存する。或いは、前記セグメントプロファイルメモリ30に保存しておき、消色工程の開始時にCPUが該セグメントプロファイルメモリ30から読み出して利用するようにしても構わない。
【0047】
このような手法により、消色工程終了電圧Vrを表示セグメント毎に設定することができる。
【0048】
以上のように、本第1実施形態によれば、消色工程時に流す消色電流を連続的な定電流の印加ではなくて、間欠的に繰り返し定電流が出力される複数回の電流パルスとしたことにより、定電流を印加していない時の表示セグメントで発生する起電力の状態を観測することができ、この起電力に応じて消色工程の終了の判断を行うので、例えば発色工程から消色工程までの時間が長くなって自然消色が有る程度起こった場合であっても、消色工程の終了を適切に判断することができる。
【0049】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
【0050】
本第2実施形態に係る表示駆動装置の構成は、前記第1実施形態のそれと同様であるので、図示及び説明は省略する。但し、本実施形態においては、電圧検出回路20−4は、消色パルスにおける定電流の印加時に、定電流ドライバ20−3の出力端子から正の電源+Vに向かって流れる電流と定電流ドライバ20−3に接続される負荷(表示セグメントの抵抗や配線抵抗等)とに応じて発生する電圧も検出し、その電圧値をシステムインターフェース40を介して図示しないCPUに入力する。勿論、前記第1実施形態と同様に、消色パルスにおける定電流の非印加時、つまり定電流ドライバ20−3から電流が出力されていないときには、表示セグメントに発生している起電力に対応する電圧を検出して、その電圧値をシステムインターフェース40を介して図示しないCPUに入力する。即ち、本第2実施形態においては、消色が進むにしたがって増加する表示セグメントの電気抵抗と、同じく消色が進むにしたがって表示セグメントに発生する起電力とを、電圧検出回路20−4によりそれぞれ電圧値として検出する。
【0051】
図9は、本第2実施形態に係る表示駆動装置による消色工程での電流及び電圧の変化を示すタイミングチャートである。なお、発色工程については前記第1実施形態と同様である。
【0052】
本第2実施形態においては、消色パルスとして、消色工程の最初の段階つまり表示セグメントの抵抗値変化が少ない部分では、定電流を連続的に印加し、抵抗値変化が多い部分では、前記第1実施形態のような定電流を出力する電流パルスを間欠的に繰り返し印加するものである。これにより、消色工程時に表示セグメント注入する電荷量を同じとした場合、消色工程に要する時間を、前記第1実施形態よりも短くできる。
【0053】
ここで、連続的な定電流の印加から電流パルスの間欠的な印加への切り替えは、電圧検出回路20−4により検出している定電流の印加時の電圧値が、表示セグメントの抵抗値の変化にしたがって予め設定された閾値Vbを超えた時点に行う。
【0054】
この閾値Vbの設定手法の例について図10を参照して説明する。閾値Vbを設定する際には、まず任意の時間の発色を行って電解液中の溶質を析出させる。次に、表示セグメントに発生する電圧を電圧検出回路20−4によって検出しながら消色を行い、抵抗値変化が少ない部分の電圧値(例えば、図10の参照符号100で示す部分)を検出する。また、この電圧値と共に、表示セグメントが破壊しない限界電圧を検出しておき、これら電圧の比や検出電圧のノイズ成分等の条件を元に、抵抗値変化が少ない部分の所定数倍を閾値Vbとする。なお、本出願人の実験においては、閾値Vbを抵抗値変化が少ない部分の電圧の1.15倍程度に設定することが好ましいという結果となっている。
【0055】
このような手法により、閾値Vbを表示セグメント毎に設定することができる。また、表示セグメントに発生する電圧は、表示セグメントまでの配線抵抗の影響が含まれた状態で検出される。したがって、上述のような手法で閾値Vbを設定することにより、表示セグメント毎に配線抵抗を計算して閾値Vbを設定する必要もない。
【0056】
なお、前記の例では、閾値Vbを抵抗値変化が少ない部分の電圧値を所定数倍して設定しているが、抵抗値変化が少ない部分の電圧値に所定電圧値を加算するという手法によって設定しても良い。
【0057】
また、閾値Vbの設定は、表示駆動装置に電源が投入されたときの初期設定の処理内に行うようにしても良いが、温度等の周囲環境の変化によって表示駆動装置の状態が変化してしまうと、閾値Vbも変化させる必要が生じてしまう。したがって、閾値Vbは、消色を行う毎に設定することが好ましい。
【0058】
また、所定回数の消色毎に1回、閾値Vbの設定を行うようにしても良い。
【0059】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
【0060】
本第3実施形態に係る表示駆動装置の構成は、前記第2実施形態のそれと同様であるので、図示及び説明は省略する。但し、本実施形態においては、セグメントプロファイルメモリ30に2種類の電流値i1,i2を記憶しておく。
【0061】
図11は、本第3実施形態に係る表示駆動装置による消色工程での電流及び電圧の変化を示すタイミングチャートである。なお、発色工程については前記第1実施形態と同様である。
【0062】
前記第2実施形態では、消色パルスとして、表示セグメントの抵抗値変化が少ない部分では定電流を連続的に印加し、抵抗値変化が多い部分では定電流を繰り返し出力する電流パルスを間欠的に印加するものとした。これに対して、本第3実施形態は、図11に示すように、電流パルスを間欠的に繰り返し出力する際には、その電流値i2を、定電流を連続的に印加するときの電流値i1よりも小さくする。
【0063】
このような本第3実施形態によれば、表示セグメントの抵抗値の増加と共に電圧が上昇していくが、そのような抵抗値変化が多い部分では定電流値を下げるので、抵抗値増加に伴う電圧上昇によって表示セグメントが破壊することを確実に防止することができる。
【0064】
なお、これら電流値i1及びi2は共にセグメントプロファイルメモリ30に記憶させておくものとしたが、勿論セグメントプロファイルメモリ30とは別の記憶装置に記憶させるようにしても良い。
【0065】
以上実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は前記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形や応用が可能なことは勿論である。
【0066】
例えば、上述した各実施形態はセグメント方式の表示パネルについて説明しているが、上述した各実施形態の手法はドットマトリクス方式の表示パネルに適用することもできる。ただし、ドットマトリクス方式の場合には個々の表示部の面積が等しいため、セグメントプロファイルメモリ30は必ずしも必要ではない。また、この場合、消色工程終了電圧Vrを各表示セグメントに対して共通の値としてもよい。
【0067】
また、前記消色パルスにおける電流パルスの印加時間10ms、消色パルスにおける2つの電流パルス間の印加間隔(非印加時間)20msは、一例であり、本発明はそれに限定されない。
【0068】
更に、前記した実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件の適当な組合せにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成も発明として抽出され得る。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の第1実施形態に係る表示駆動装置が適用されたエレクトロクロミック表示装置の構成を示すブロック図である。
【図2】表示セグメントの配置例を示す図である。
【図3】表示セグメントの構成について説明するための断面図である。
【図4】消色パルス発生器を順序論理回路で構成した場合の回路ブロック図の一例である。
【図5】定電流ドライバ及び電圧検出回路を構成する回路の一例を示す図である。
【図6】定電流印加回路と表示セグメントとの間の配線抵抗について示す図である。
【図7】発色時及び消色時に、定電流印加回路から表示セグメントに印加される電流及びこの電流によって発生する電圧の変化を示すタイミングチャートである。
【図8】消色工程終了電圧Vrの設定手法について説明するための図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係る表示駆動装置による消色時の電流及び電圧の変化を示すタイミングチャートである。
【図10】閾値Vbの設定手法について説明するための図である。
【図11】本発明の第3実施形態に係る表示駆動装置による消色時の電流及び電圧の変化を示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0070】
10…表示パネル
10−1〜10−7…表示セグメント
10−11,10−12…電極
10−13…電解液
10−14…封止材
10−15…ガラス基板
20…定電流印加回路
20−1…発色パルス発生器
20−2…消色パルス発生器
20−3…定電流ドライバ
20−4…電圧検出回路
20−21…パルス幅レジスタ
20−22…電流値レジスタ
20−23…DAコンバータ
20−24…ダウンカウンタ
20−25…アナログスイッチ
20−31,20−34…演算増幅器
20−32,20−35…MOSトランジスタ
20−33,20−36…抵抗
30…セグメントプロファイルメモリ
40…システムインターフェース。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解液と、前記電解液に電荷を注入するための電極と、を有し、酸化還元反応により前記電極を介して前記電解液に電荷が注入されることにより発色し、前記電解液に前記電荷と逆極性の電荷が注入されることにより消色する少なくとも1つの表示部が配置された表示手段と、
前記消色の際に、少なくとも、定電流を間欠的に出力する消色パルスを所定印加間隔で繰り返し出力し、該消色パルスを前記表示部の電極に印加して前記電解液に前記逆極性の電荷を注入する手段を有する、少なくとも1つの定電流印加手段と、
前記消色の際に、前記消色パルスの非印加時に、前記表示部の電極に発生する起電力に対応する電圧値を検出する手段を有する電圧検出手段と、
前記消色の際に、前記電圧検出手段により検出される前記電圧値が予め設定された基準値を超えたとき、前記定電流印加手段による前記消色パルスの前記表示部の電極への印加を終了させる制御手段と、
を具備することを特徴とするエレクトロクロミック表示装置。
【請求項2】
前記定電流印加手段は、前記消色の際、前記定電流を前記表示部の電極に連続的に印加する手段を更に有し、
前記電圧検出手段は、前記定電流印加手段による前記定電流の印加によって前記表示部の電極に発生する電圧値を検出する手段を更に有し、
前記制御手段は、前記消色の際に、まず前記定電流を前記表示部の電極に連続的に印加し、該定電流の連続的印加に応じて前記電圧検出手段により検出される前記電圧値が予め設定された閾値を超えたとき、前記定電流を前記消色パルスにより間欠的に印加するように前記定電流印加手段を切り替え制御する
ことを特徴とする請求項1に記載のエレクトロクロミック表示装置。
【請求項3】
前記定電流印加手段より前記表示部に印加する前記定電流の電流値を、当該表示部の電極の面積に比例した値にする電流値設定手段を更に備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のエレクトロクロミック表示装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記定電流印加手段から前記消色パルスにより間欠的に出力する際の前記定電流の電流値を、前記連続的に出力する際の前記定電流の電流値より小さい値に設定する手段を備えることを特徴とする請求項2に記載のエレクトロクロミック表示装置。
【請求項5】
前記基準値は、前記表示部が初期特性を維持している状態で、前記表示部の電極に前記消色パルスを1回印加し、該消色パルスの印加が終了し、前記消色パルスの印加間隔に対応する時間が経過した後の、当該表示部に発生する起電力に対応する電圧の値に設定されることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載のエレクトロクロミック表示装置。
【請求項6】
前記表示部は所定の表示パターンを形成するための表示セグメントであって、前記表示手段に複数配置され、
前記基準値は前記表示セグメント毎に設定されていることを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載のエレクトロクロミック表示装置。
【請求項7】
前記閾値は、前記消色の際、前記定電流が前記表示部の電極に連続的に印加される期間中の前記表示部の抵抗値変化が少ない期間において該表示部に発生する電圧値に基づいて設定されることを特徴とする請求項2乃至4の何れかに記載のエレクトロクロミック表示装置。
【請求項8】
前記閾値は、前記表示部の抵抗値変化が少ない期間において該表示部に発生する前記電圧値を所定数倍した値に設定されることを特徴とする請求項7に記載のエレクトロクロミック表示装置。
【請求項9】
前記閾値は、前記表示部の抵抗値変化が少ない期間において該表示部に発生する前記電圧値に所定の値を加算することにより設定されることを特徴とする請求項7に記載のエレクトロクロミック表示装置。
【請求項10】
前記閾値は、前記消色がなされるたびに設定されることを特徴とする請求項7乃至9の何れかに記載のエレクトロクロミック表示装置。
【請求項11】
前記閾値は、前記消色が所定回数なされるたびに設定されることを特徴とする請求項7乃至9の何れかに記載のエレクトロクロミック表示装置。
【請求項12】
前記表示部は所定の表示パターンを形成するための表示セグメントであって、前記表示手段に複数配置され、
前記閾値は前記表示セグメント毎に設定されていることを特徴とする請求項7乃至11の何れかに記載のエレクトロクロミック表示装置。
【請求項13】
電解液と、前記電解液に電荷を注入するための電極と、を有し、酸化還元反応により前記電極を介して前記電解液に電荷が注入されることにより発色し、前記電解液に前記電荷と逆極性の電荷が注入されることにより消色する少なくとも1つの表示部が配置された表示手段の表示駆動を行う表示駆動装置であって、
前記消色の際に、少なくとも、定電流を間欠的に出力する消色パルスを所定印加間隔で繰り返し出力し、該消色パルスを前記表示部の電極に印加して前記電解液に前記逆極性の電荷を注入する手段を有する、少なくとも1つの定電流印加手段と、
前記消色の際に、前記消色パルスの非印加時に、前記表示部の電極に発生する起電力に対応する電圧値を検出する手段を有する電圧検出手段と、
前記消色の際に、前記電圧検出手段により検出される前記電圧値が予め設定された基準値を超えたとき、前記定電流印加手段による前記消色パルスの前記表示部の電極への印加を終了させる制御手段と、
を具備することを特徴とする表示駆動装置。
【請求項14】
前記定電流印加手段は、前記消色の際、前記定電流を前記表示部の電極に連続的に印加する手段を更に有し、
前記電圧検出手段は、前記定電流印加手段による前記定電流の印加によって前記表示部の電極に発生する電圧値を検出する手段を更に有し、
前記制御手段は、前記消色の際に、まず前記定電流を前記表示部の電極に連続的に印加し、該定電流の連続的印加に応じて前記電圧検出手段により検出される前記電圧値が予め設定された閾値を超えたとき、前記定電流を前記消色パルスにより間欠的に印加するように切り替えるように制御する
ことを特徴とする請求項14に記載の表示駆動装置。
【請求項15】
前記定電流印加手段より前記表示部に印加する前記定電流の電流値を、当該表示部の電極の面積に比例した値にする電流値設定手段を更に備えることを特徴とする請求項13又は14に記載の表示駆動装置。
【請求項16】
前記制御手段は、前記定電流印加手段から前記消色パルスにより間欠的に出力する際の定電流の電流値を、前記連続的に出力する際の前記定電流の電流値より小さい値に設定する手段を備えることを特徴とする請求項14に記載の表示駆動装置。
【請求項17】
前記基準値は、前記表示部が初期特性を維持している状態で、前記表示部の電極に前記消色パルスを1回印加し、該消色パルスの印加が終了し、前記消色パルスの印加間隔に対応する時間が経過した後の、当該表示部に発生する起電力に対応する電圧の値に設定されることを特徴とする請求項13乃至16の何れかに記載の表示駆動装置。
【請求項18】
前記閾値は、前記消色の際、前記定電流が連続的に印加される期間中の前記表示部の抵抗値変化が少ない期間において該表示部に発生する電圧値に基づいて設定されることを特徴とする請求項14乃至16の何れかに記載の表示駆動装置。
【請求項19】
前記閾値は、前記消色がなされるたびに設定されることを特徴とする請求項18に記載の表示駆動装置。
【請求項20】
前記閾値は、前記消色が所定回数なされるたびに設定されることを特徴とする請求項18に記載の表示駆動装置。
【請求項1】
電解液と、前記電解液に電荷を注入するための電極と、を有し、酸化還元反応により前記電極を介して前記電解液に電荷が注入されることにより発色し、前記電解液に前記電荷と逆極性の電荷が注入されることにより消色する少なくとも1つの表示部が配置された表示手段と、
前記消色の際に、少なくとも、定電流を間欠的に出力する消色パルスを所定印加間隔で繰り返し出力し、該消色パルスを前記表示部の電極に印加して前記電解液に前記逆極性の電荷を注入する手段を有する、少なくとも1つの定電流印加手段と、
前記消色の際に、前記消色パルスの非印加時に、前記表示部の電極に発生する起電力に対応する電圧値を検出する手段を有する電圧検出手段と、
前記消色の際に、前記電圧検出手段により検出される前記電圧値が予め設定された基準値を超えたとき、前記定電流印加手段による前記消色パルスの前記表示部の電極への印加を終了させる制御手段と、
を具備することを特徴とするエレクトロクロミック表示装置。
【請求項2】
前記定電流印加手段は、前記消色の際、前記定電流を前記表示部の電極に連続的に印加する手段を更に有し、
前記電圧検出手段は、前記定電流印加手段による前記定電流の印加によって前記表示部の電極に発生する電圧値を検出する手段を更に有し、
前記制御手段は、前記消色の際に、まず前記定電流を前記表示部の電極に連続的に印加し、該定電流の連続的印加に応じて前記電圧検出手段により検出される前記電圧値が予め設定された閾値を超えたとき、前記定電流を前記消色パルスにより間欠的に印加するように前記定電流印加手段を切り替え制御する
ことを特徴とする請求項1に記載のエレクトロクロミック表示装置。
【請求項3】
前記定電流印加手段より前記表示部に印加する前記定電流の電流値を、当該表示部の電極の面積に比例した値にする電流値設定手段を更に備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のエレクトロクロミック表示装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記定電流印加手段から前記消色パルスにより間欠的に出力する際の前記定電流の電流値を、前記連続的に出力する際の前記定電流の電流値より小さい値に設定する手段を備えることを特徴とする請求項2に記載のエレクトロクロミック表示装置。
【請求項5】
前記基準値は、前記表示部が初期特性を維持している状態で、前記表示部の電極に前記消色パルスを1回印加し、該消色パルスの印加が終了し、前記消色パルスの印加間隔に対応する時間が経過した後の、当該表示部に発生する起電力に対応する電圧の値に設定されることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載のエレクトロクロミック表示装置。
【請求項6】
前記表示部は所定の表示パターンを形成するための表示セグメントであって、前記表示手段に複数配置され、
前記基準値は前記表示セグメント毎に設定されていることを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載のエレクトロクロミック表示装置。
【請求項7】
前記閾値は、前記消色の際、前記定電流が前記表示部の電極に連続的に印加される期間中の前記表示部の抵抗値変化が少ない期間において該表示部に発生する電圧値に基づいて設定されることを特徴とする請求項2乃至4の何れかに記載のエレクトロクロミック表示装置。
【請求項8】
前記閾値は、前記表示部の抵抗値変化が少ない期間において該表示部に発生する前記電圧値を所定数倍した値に設定されることを特徴とする請求項7に記載のエレクトロクロミック表示装置。
【請求項9】
前記閾値は、前記表示部の抵抗値変化が少ない期間において該表示部に発生する前記電圧値に所定の値を加算することにより設定されることを特徴とする請求項7に記載のエレクトロクロミック表示装置。
【請求項10】
前記閾値は、前記消色がなされるたびに設定されることを特徴とする請求項7乃至9の何れかに記載のエレクトロクロミック表示装置。
【請求項11】
前記閾値は、前記消色が所定回数なされるたびに設定されることを特徴とする請求項7乃至9の何れかに記載のエレクトロクロミック表示装置。
【請求項12】
前記表示部は所定の表示パターンを形成するための表示セグメントであって、前記表示手段に複数配置され、
前記閾値は前記表示セグメント毎に設定されていることを特徴とする請求項7乃至11の何れかに記載のエレクトロクロミック表示装置。
【請求項13】
電解液と、前記電解液に電荷を注入するための電極と、を有し、酸化還元反応により前記電極を介して前記電解液に電荷が注入されることにより発色し、前記電解液に前記電荷と逆極性の電荷が注入されることにより消色する少なくとも1つの表示部が配置された表示手段の表示駆動を行う表示駆動装置であって、
前記消色の際に、少なくとも、定電流を間欠的に出力する消色パルスを所定印加間隔で繰り返し出力し、該消色パルスを前記表示部の電極に印加して前記電解液に前記逆極性の電荷を注入する手段を有する、少なくとも1つの定電流印加手段と、
前記消色の際に、前記消色パルスの非印加時に、前記表示部の電極に発生する起電力に対応する電圧値を検出する手段を有する電圧検出手段と、
前記消色の際に、前記電圧検出手段により検出される前記電圧値が予め設定された基準値を超えたとき、前記定電流印加手段による前記消色パルスの前記表示部の電極への印加を終了させる制御手段と、
を具備することを特徴とする表示駆動装置。
【請求項14】
前記定電流印加手段は、前記消色の際、前記定電流を前記表示部の電極に連続的に印加する手段を更に有し、
前記電圧検出手段は、前記定電流印加手段による前記定電流の印加によって前記表示部の電極に発生する電圧値を検出する手段を更に有し、
前記制御手段は、前記消色の際に、まず前記定電流を前記表示部の電極に連続的に印加し、該定電流の連続的印加に応じて前記電圧検出手段により検出される前記電圧値が予め設定された閾値を超えたとき、前記定電流を前記消色パルスにより間欠的に印加するように切り替えるように制御する
ことを特徴とする請求項14に記載の表示駆動装置。
【請求項15】
前記定電流印加手段より前記表示部に印加する前記定電流の電流値を、当該表示部の電極の面積に比例した値にする電流値設定手段を更に備えることを特徴とする請求項13又は14に記載の表示駆動装置。
【請求項16】
前記制御手段は、前記定電流印加手段から前記消色パルスにより間欠的に出力する際の定電流の電流値を、前記連続的に出力する際の前記定電流の電流値より小さい値に設定する手段を備えることを特徴とする請求項14に記載の表示駆動装置。
【請求項17】
前記基準値は、前記表示部が初期特性を維持している状態で、前記表示部の電極に前記消色パルスを1回印加し、該消色パルスの印加が終了し、前記消色パルスの印加間隔に対応する時間が経過した後の、当該表示部に発生する起電力に対応する電圧の値に設定されることを特徴とする請求項13乃至16の何れかに記載の表示駆動装置。
【請求項18】
前記閾値は、前記消色の際、前記定電流が連続的に印加される期間中の前記表示部の抵抗値変化が少ない期間において該表示部に発生する電圧値に基づいて設定されることを特徴とする請求項14乃至16の何れかに記載の表示駆動装置。
【請求項19】
前記閾値は、前記消色がなされるたびに設定されることを特徴とする請求項18に記載の表示駆動装置。
【請求項20】
前記閾値は、前記消色が所定回数なされるたびに設定されることを特徴とする請求項18に記載の表示駆動装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−293233(P2007−293233A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−173948(P2006−173948)
【出願日】平成18年6月23日(2006.6.23)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年6月23日(2006.6.23)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]