エレベータおよびその製造方法
【課題】乗場の敷居を効率よく設置する。
【解決手段】エレベータ製造方法は、実施形態によれば、敷居固定部材30が第1の貫通長穴23の長手方向に沿って移動可能に取り付ける工程と、各第1の基準溝の底部に、ピアノ線61、62を鉛直な状態で接触させる工程と、敷居固定部材30の端部を、平面部41に接触させる工程と、第2調整部材50の第1平板部51を第3の貫通長穴に貫通させて、第3の基準部の上方に押え板があるように第2平板部の上端が敷居部材10の下方に接するように第2調整部材50を設置する工程と、上方押え板および第1平板部51との間隔を増減させることで、敷居部材10の鉛直方向位置を調整する工程と、を有する。
【解決手段】エレベータ製造方法は、実施形態によれば、敷居固定部材30が第1の貫通長穴23の長手方向に沿って移動可能に取り付ける工程と、各第1の基準溝の底部に、ピアノ線61、62を鉛直な状態で接触させる工程と、敷居固定部材30の端部を、平面部41に接触させる工程と、第2調整部材50の第1平板部51を第3の貫通長穴に貫通させて、第3の基準部の上方に押え板があるように第2平板部の上端が敷居部材10の下方に接するように第2調整部材50を設置する工程と、上方押え板および第1平板部51との間隔を増減させることで、敷居部材10の鉛直方向位置を調整する工程と、を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、敷居部材を有するエレベータおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータは、建屋の各階層それぞれの乗場に取り付けられた敷居部材を有する。この敷居部材は、昇降路の壁面に複数の取付け部材を介して固定される。これらの取付け部材は、昇降路の壁面に取り付けられる2個の壁面取付け部材と、この壁面取付け部材に固定され且つ敷居部材を搭載するように構成された敷居固定部材と、を有する。
【0003】
敷居部材は、敷居固定部材および壁面取付け部材等によって仮固定された後に、エレベータ乗りかごに出入する方向(第1水平方向)に対する傾きと、乗場入口の幅方向(第1水平方向に垂直な第2水平方向)に対する傾きと、をそれぞれ調整する必要がある。この場合、敷居部材の傾きを調整するためには、敷居固定部材および各壁面取付け部材の固定の状態を調整する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−70345号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、敷居固定部材および各壁面取付け部材を互いに固定するときは、それぞれの部材に形成された長穴に貫通させたボルト等で固定する。このとき、長穴にボルトが貫通した状態で敷居部材の傾き等を調整した後に、ボルトおよびナットを締め付けて互いに固定する。
【0006】
この作業は、上述の第1水平方向に対する傾きと、乗場入口の第2水平方向に対する傾きと、をほぼ同時に調整しなければならないため、作業性が悪いことが多い。
【0007】
本発明の実施形態は上記課題を解決するためのものであり、その目的は、エレベータを製造するときに、敷居部材を昇降路の壁面に取り付ける作業を効率よくできるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための実施形態に係るエレベータ製造方法は、鉛直に延びる昇降路の壁面に開口する出入口の下側に配置され、水平に延びる敷居部材と、それぞれが、一枚の長板が所定の折曲げ部で折り曲げられて壁面取付け面部および張出面部が形成されて、それぞれの前記張出面部の面内に前記折曲げ部から離れる方向に延びる第1の貫通長穴が形成されて且つこの第1の貫通長穴を挟むように一対のねじ穴が形成されて、それぞれの前記壁面取付け面部が前記壁面に固定可能で、それぞれの前記張出面部が前記敷居部材の水平方向両側それぞれを支持可能な一対の壁面取付け部材と、前記敷居部材を搭載可能な架台面部と、この架台面部の長手方向両側それぞれから同じ向きに前記架台面部に垂直に延びる平板状で前記各張出面部に接触可能で前記張出面部に接しているときに前記第1の貫通長穴に連通し前記第1の貫通長穴の長手方向に垂直に延びるように第2の貫通長穴が形成され且つこの第2の貫通長穴の架台面部側に前記第2の貫通長穴の長手方向に垂直に延びる第3の貫通長穴が形成された接触面部と、を備える敷居固定部材と、を有するエレベータを製造する方法において、当該方法は、略長方形状の基準平面が形成された平面部と、前記平面部の短辺側それぞれに形成された平板状でそれぞれに第1の基準溝が形成されてこれらの各第1の基準溝の底部同士が前記基準平面に平行な直線状にあるように形成された一対の第1の基準部と、それぞれが前記平面部の一方の長辺に前記基準平面に垂直に形成された平板状でそれぞれに前記平面部から離れる方向に延びる第4の貫通長穴が形成された一対の第2の基準部と、少なくとも一方の前記第2の基準部に形成されて前記基準平面および前記第2の基準部それぞれに互いに垂直な板状で前記第2の基準部から遠い方の端部から前記第2の基準部に近づく方向に延びるように第2の基準溝が形成された第3の基準部と、を有する一対の第1調整部材と、第1平板部と、この第1平板部に垂直な第2平板部と、この第1平板部を貫通して外周に形成されたねじ溝が前記第1平板部と反対側にあるように固定された円筒状のねじ部材と、面内を前記ねじ部材が貫通するように配置された押え板と、この押え板の前記第2平板側に配置されたナットと、を有する少なくとも一つの第2調整部材と、を用い、前記昇降路内の所定の位置に鉛直に延びる線部材を配置する線部材配置工程と、前記壁面取付け部材それぞれの前記壁面取付け面部を、前記出入口の下方の前記昇降路壁面に、鉛直方向位置が互いに近接するように固定する壁面取付け部材設置工程と、前記架台面部に前記敷居部材を搭載した状態で、前記第1の貫通長穴および前記第2の貫通長穴が互いに連通するように前記接触面部および前記張出面部を互いに接触させて、前記敷居固定部材が前記第1の貫通長穴の長手方向に沿って移動可能に取り付ける敷居固定部材仮設置工程と、前記各第1の基準溝の底部に、前記線部材が鉛直方向を保ちながら接するようにボルトを、前記第4の貫通長穴に貫通させた状態で前記ねじ穴に固定する第1調整部材固定工程と、前記線部材設置工程、壁面取付け部材設置工程、敷居固定部材仮設置工程および第1調整部材固定工程の後に、前記敷居固定部材の前記線部材側の端部を、前記第1調整部材の前記平面部に接触させる第1の敷居姿勢調整工程と、前記第1平板部を、前記第3の貫通長穴に貫通させて、前記第3の基準部の上方に前記押え板があるように、且つ前記第2平板部の上端が前記敷居部材の下方に接するように、前記第2調整部材を設置する第2調整部材仮設置工程と、前記ナットを所定の方向に回転させて前記押え板および第1平板部との間隔を増減させることで、前記敷居部材の鉛直方向位置を調整する第2の敷居姿勢調整工程と、を有することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の実施形態に係るエレベータは、鉛直に延びる昇降路の壁面に開口する出入口の下側に配置され、水平に延びる敷居部材と、それぞれが、一枚の長板が所定の折曲げ部で折り曲げられて壁面取付け面部および張出面部が形成されて、それぞれの前記張出面部の面内に前記折曲げ部から離れる方向に延びる第1の貫通長穴が形成されて且つこの第1の貫通長穴を挟むように一対のねじ穴が形成されて、それぞれの前記壁面取付け面部が前記壁面に固定可能で、それぞれの前記張出面部が前記敷居部材の水平方向両側それぞれを支持可能な一対の壁面取付け部材と、前記敷居部材を搭載可能な架台面部と、この架台面部の長手方向両側それぞれから同じ向きに前記架台面部に垂直に延びる平板状で前記各張出面部に接触可能で前記張出面部に接しているときに前記第1の貫通長穴に連通し前記第1の貫通長穴の長手方向に垂直に延びるように第2の貫通長穴が形成され且つこの第2の貫通長穴の架台面部側に前記第2の貫通長穴の長手方向に垂直に延びる第3の貫通長穴が形成された接触面部と、を備える敷居固定部材と、前記敷居固定部材の前記線部材側の端部が接触可能な略長方形状の基準平面が形成された平面部と、前記平面部の短辺側それぞれに形成された平板状でそれぞれに第1の基準溝が形成されてこれらの各第1の基準溝の底部同士が前記基準平面に平行な直線状にあるように形成された一対の第1の基準部と、それぞれが前記平面部の一方の長辺に前記基準平面に垂直に形成された平板状でそれぞれに前記平面部から離れる方向に延びる第4の貫通長穴が形成された一対の第2の基準部と、少なくとも一方の前記第2の基準部に形成されて前記基準平面および前記第2の基準部それぞれに互いに垂直な板状で前記第2の基準部から遠い方の端部から前記第2の基準部に近づく方向に延びるように第2の基準溝が形成された第3の基準部と、を有する一対の第1調整部材と、第1平板部と、この第1平板部に垂直で前記敷居部材の下方に接触可能な第2平板部と、この第1平板部を貫通して外周に形成されたねじ溝が前記第1平板部と反対側にあるように固定された円筒状のねじ部材と、面内を前記ねじ部材が貫通するように配置されて前記ねじ部材の長手方向に沿って平行移動可能で前記第3の基準部に接触可能な押え板と、この押え板の前記第2平板側に配置されたナットと、を有する少なくとも一つの第2調整部材と、を有することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る一実施形態のエレベータの敷居部材等が昇降路の壁面に取り付けられた状態を示す概略斜視図である。
【図2】図1の実施形態のエレベータ製造方法で、第1および第2壁面取付け部材を昇降路の壁面に取り付けた状態を示す概略斜視図である。
【図3】図2の第1および第2壁面取付け部材に、敷居固定部材を取り付ける状態を示す概略斜視図である。
【図4】図3の敷居固定部部材に敷居部材を取り付ける状態を示す概略斜視図である。
【図5】図4の第1および第2壁面取付け部材それぞれに第1調整部材を取り付ける状態を示す概略斜視図である。
【図6】図5の第1調整部材の拡大斜視図である。
【図7】図5の各第1調整部材を第1ピアノ線および第2ピアノ線に接触させた状態を示す概略斜視図である。
【図8】図7の第1調整部材を第1ピアノ線に接触させる前の状態を示す拡大正面図である。
【図9】図8の第1調整部材が第1ピアノ線に接触した状態を示す拡大正面図である。
【図10】図8の第1調整部材の平面部に敷居固定部材の端部を接触させた状態を示す拡大正面図である。
【図11】図10の各第1調整部材それぞれに第2調整部材を取り付ける状態を示す概略斜視図である。
【図12】図11の第2調整部材の拡大正面図である。
【図13】図11の第2調整部材が取り付けられた状態を示す拡大正面図である。
【図14】図13の敷居固定部材の鉛直方向位置を所定の位置になるように調整した状態を示す拡大正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る一実施形態について、図面を参照して説明する。ここで、互いに同一または類似の部分には共通の符号を付して、重複説明は省略する。
【0012】
図1は、本実施形態のエレベータの敷居部材10等が昇降路70の壁面71に取り付けられた状態を示す概略斜視図である。図2は、図1の実施形態のエレベータ製造方法で、第1および第2壁面取付け部材20、26を昇降路70の壁面71に取り付けた状態を示す概略斜視図である。
【0013】
図3は、図2の第1および第2壁面取付け部材20、26に、敷居固定部材30を取り付ける状態を示す概略斜視図である。図4は、図3の敷居固定部材30に敷居部材10を取り付ける状態を示す概略斜視図である。
【0014】
図5は、図4の第1および第2壁面取付け部材20、26それぞれに第1調整部材40を取り付ける状態を示す概略斜視図である。図6は、図5の第1調整部材40の拡大斜視図である。図7は、図5の各第1調整部材40を第1および第2ピアノ線61、62に接触させた状態を示す概略斜視図である。
【0015】
図8は、図7の第1調整部材40を第1ピアノ線61に接触させる前の状態を示す拡大正面図である。図9は、図8の第1調整部材40が第1ピアノ線61に接触した状態を示す拡大正面図である。図10は、図8の第1調整部材40の平面部41に敷居固定部材30の端部を接触させた状態を示す拡大正面図である。
【0016】
図11は、図10の各第1調整部材40それぞれに第2調整部材50を取り付ける状態を示す概略斜視図である。図12は、図11の第2調整部材50の拡大正面図である。図13は、図11の第2調整部材50が取り付けられた状態を示す拡大正面図である。図14は、図13の敷居固定部材30の鉛直方向位置を所定の位置になるように調整した状態を示す拡大正面図である。
【0017】
先ず、本実施形態のエレベータの敷居部材10等の構成について説明する。
【0018】
エレベータを構成する設備の一部(大部分)は、複数の階層を有する建屋内を上下(鉛直)に延びる昇降路70に設置される。このエレベータは、乗客を輸送可能な乗りかご(図示せず)を有し、この乗りかごは、昇降路70内を上下に移動可能である。昇降路70の壁面71には、各階層に対応する位置に開口して乗りかご内に乗客等が出入可能な出入口80が形成される。
【0019】
このエレベータは、敷居部材10と、この敷居部材10を昇降路70の壁面71に固定するための3個の部材、すなわち、第1壁面取付け部材20、第2壁面取付け部材26、および敷居固定部材30を有する。
【0020】
敷居部材10は、出入口80の下方の壁面71に、上述の取付け部材を介して固定される。この敷居部材10は、出入口80の幅方向に水平に延びて、乗場側の扉(図示せず)が水平に平行移動可能な敷居溝10aが形成されている(図1)。
【0021】
第1壁面取付け部材20は、一枚の長板が所定の折曲げ部20aでほぼ垂直に折り曲げられて壁面取付け面部21および張出面部22が形成される。壁面取付け面部21は、昇降路70の壁面71にボルト等により固定される。このとき、壁面取付け面部21は、出入口80の下方で、昇降路70内から見たときに右側(図1、図2の右側)の壁面71に固定される。
【0022】
張出面部22は、敷居部材10の図1における右側を、敷居固定部材30等を介して支持する部材である。この張出面部22の面内には、第1の貫通長穴23と、2個のねじ穴24が形成される。この第1の貫通長穴23は、折曲げ部20aから離れる方向に水平に延びる。各ねじ穴24は、第1の貫通長穴23の上下に1個ずつ、第1の貫通長穴23を挟むように形成されている(図2)。
【0023】
第2壁面取付け部材26は、第1壁面取付け部材20と同様に構成されて、昇降路70の壁面71にボルト等により固定される。このとき、壁面取付け面部21は、出入口80の下方で、昇降路70内から見たときに左側(図2の左側)の壁面71に固定される。
【0024】
また、第2壁面取付け部材26の張出面部22は、敷居部材10の図1の右側の水平方向端部を間接的に支持する部材である。
【0025】
敷居固定部材30は、一枚の長方形の平板の長手方向両側が同じ向きに垂直に折り曲げられた部材である(図3)。同じ向きに折り曲げられた両側の部位それぞれは、第1および第2壁面取付け部材20、26それぞれの張出面部22に接触可能な接触面部31を形成する。また、接触面部31の間は、敷居部材10が搭載可能な架台面部32が形成される。また、この敷居固定部材30は、壁面71に対向するように板状の補強部30aが取り付けられている。
【0026】
各接触面部31は、第2の貫通長穴33および第3の貫通長穴34が形成されている。
【0027】
第2の貫通長穴33は、接触面部31が張出面部22に接しているときに、鉛直に延びるように形成されて、第1の貫通長穴23に水平に連通する。第3の貫通長穴34は、第2の貫通長穴33の架台面部32側(図3、図4の上側)に水平に延びるように形成される。
【0028】
続いて、本実施形態の敷居部材10を昇降路70の壁面71に取り付ける作業手順について説明する。
【0029】
ここで、当該作業を行うときに用いる調整部材、すなわち、第1調整部材40および第2調整部材50の構成について説明する。
【0030】
第1調整部材40は、平面部41と、第1の基準部対と、第2の基準部対と、第3の基準部対と、を有する(図5、図6)。
【0031】
平面部41は、略長方形状の基準平面41aが形成された長方形の板状である。
【0032】
第1の基準部対は、2個のすなわち一対の第1の基準部42からなる。各第1の基準部42は、平面部41の短辺それぞれに形成された平板状で、各第1の基準部42には、第1の基準溝43が形成されている。それぞれの第1の基準溝43の底部同士は、基準平面41aに平行で鉛直方向に延びる直線上にあるように形成される。
【0033】
各第2の基準部44それぞれは、平面部41の一方の長辺(図6の右側)に基準平面41aに垂直に形成された平板状である。第2の基準部44それぞれには、平面部41から離れる方向に延びる第4の貫通長穴45が形成される。
【0034】
各第3の基準部46それぞれは、基準平面41aおよび第2の基準部44それぞれに互いに垂直な板状で、各第2の基準部44それぞれに取り付けられている。また各第3の基準部46には、第2の基準溝47が形成されている。この第2の基準溝47は、第2の基準部44から遠い方の端部から第2の基準部44に近づく方向に延びるように形成されている。
【0035】
第2調整部材50は、第1平板部51と、第2平板部52と、位置調整用ボルト53と、上方押え板54と、下方押え板55と、複数のナット56と、を有する(図11、図12)。
【0036】
第1平板部51は長方形の板状である。第2平板部52は長方形の板状で、且つ第1平板部51の短辺に一体に形成され、第1平板部51に垂直である。すなわち、第1および第2平板部51、52を合わせると、側面がL字型である。
【0037】
位置調整用ボルト53は、第1平板部51を貫通した状態で第1平板部51に固定される。位置調整用ボルト53のボルト頭部は、第2平板部52側にあって、第1平板部51をナット56と共に挟み込んだ状態で固定されている。すなわち、位置調整用ボルト53のねじ部は、第1平板部51の図12における下方にあり、且つ第1平板部51に垂直な状態で固定される。
【0038】
上方押え板54および下方押え板55は、位置調整用ボルト53のねじ部を貫通して、互いにボルト軸方向間隙59をあけて配置される。上方押え板54の図12における上方と、下方押え板55の図12における下方と、にはそれぞれナット56が取り付けられている。
【0039】
続いて、敷居部材10を昇降路70の壁面71に取り付ける作業手順について説明する。
【0040】
先ず、昇降路70の天井に線部材、この例では2本のピアノ線、すなわち、第1ピアノ線61および第2ピアノ線62を取り付ける。これらの第1および第2ピアノ線61、62は、鉛直に延びるように取り付けられる。
【0041】
次に、所定の階層の出入口80の下方に第1および第2壁面取付け部材20、26を取り付ける。このとき、第1および第2壁面取付け部材20、26は、出入口80の幅方向に所定の間隔をあけた状態で、昇降路70の壁面71に固定される。また、互いの鉛直方向位置が近接するように、すなわち、ほぼ同じ鉛直方向位置になるように取り付ける(図2)。
【0042】
次に、第1壁面取付け部材20の張出面部22と敷居固定部材30の一方の接触面部31とを互いに接触させて、第2壁面取付け部材26の張出面部22と敷居固定部材30の他方の接触面部31とを互いに接触させる。このとき、各張出面部22および各接触面部31は、それぞれの第1の貫通長穴23および第2の貫通長穴33が互いに連通するように接触させる(図3)。
【0043】
この状態で、互いに連通する第1および第2の貫通長穴23、33にそれぞれボルトを貫通させて、接触面部31および張出面部22を暫定的に固定する。このとき、敷居固定部材30は、第1の貫通長穴23の長手方向、すなわち、ほぼ水平な方向に沿って、平行移動可能に固定されている。また、敷居固定部材30は、各張出面部22それぞれに形成された第2の貫通長穴33に沿って、上下移動可能に固定されている。
【0044】
この後に、敷居固定部材30の架台面部32に敷居部材10を取り付ける(図4)。
【0045】
次に、第1壁面取付け部材20に、第1調整部材40を取り付ける(図5)。このとき、第1調整部材40の第4の貫通長穴45にボルトを貫通させて、張出面部22のねじ穴24に固定する。このとき、第1調整部材40の各第1の基準溝43の底部それぞれに第1ピアノ線61が接する状態で固定する。すなわち、図8の状態から図9の状態にする。これらの底部に接している第1ピアノ線61は、鉛直に配置された状態が保たれる。
【0046】
また、第2壁面取付け部材26に、ボルトにより第1調整部材40を固定する。このとき、第1調整部材40の各第1の基準溝43の底部それぞれに第2ピアノ線62が接する状態で固定する。これらの底部に接している第2ピアノ線62は、鉛直に配置された状態が保たれる。
【0047】
次に、敷居固定部材30の第1および第2ピアノ線61、62がある側の端部を、2個の第1調整部材40の平面部41それぞれに接触させる。2個の第1調整部材40それぞれの平面部41は、少なくとも鉛直に延びる直線を含んでいる。このため、敷居固定部材30の端部を当該平面部41に接触させることで、敷居部材10の出入口80に出入する方向(第1の水平方向)の傾きを、水平に保つように調整することができる(図9)。
【0048】
この後に、平面部41の基準平面41aと敷居固定部材30の図10における左側端部とが接触するまで、敷居固定部材30を、第1の貫通長穴23の長手方向に沿って平行移動させる(図10)。基準平面41aおよび当該端部が互いに接した状態で、第1の貫通長穴23を貫通するボルトと、ナット等を締め付けて、敷居固定部材30と、第1および第2壁面取付け部材20、26とを互いに固定する。
【0049】
次に、第2調整部材50を、第1壁面取付け部材20に固定された第1調整部材40に取り付ける。このとき、上方押え板54および下方押え板55で上側の第3の基準部46を挟みこむように、且つ、位置調整用ボルト53のねじ部が、第2の基準溝47内にあるように配置する。また、第1平板部51が、第3の貫通長穴34を貫通する状態で、第2平板部52の図11および図13における上端が、敷居部材10の下面に対向する状態で配置する。同様に、第2調整部材50を、第2壁面取付け部材26に固定された第1調整部材40にも取り付ける。
【0050】
この状態で、各第2調整部材50の上方押え板54の上部に接しているナット56それぞれを、所定の方向に回転させる。これらのナット56の回転により、各第2調整部材50は、上方押え板54と第1平板部51との鉛直方向の距離が増減(この場合は増加)する。
【0051】
当該距離が増加することで、それぞれの第2平板部52の上端が、敷居部材10を押上げることができる。敷居固定部材30は、敷居部材10と共に上方に移動する。このとき、敷居固定部材30は、第2の貫通長穴33に沿って移動可能であるため、すなわち、ボルトで移動できないように締め付けられていないため、鉛直方向に上下移動することができる(図14)。
【0052】
これより、敷居部材10の鉛直方向位置を調整し、且つ、出入口80の幅方向の傾きを水平に調整することができる。
【0053】
以上の説明からわかるように本実施形態によれば、第1および第2調整部材40、50によって、エレベータ乗りかごに出入する方向(第1水平方向)に対する傾きと、乗場部の幅方向(第1水平方向に垂直な第2水平方向)に対する傾きと、を調整するための基準が形成される。
【0054】
このため、当該第1水平方向および第2水平方向それぞれを容易に調整することが可能になる。従って、エレベータを製造するときに、敷居部材10を昇降路70の壁面71に取り付ける作業を効率よく行うことが可能になる。
【0055】
上記実施形態の説明は、本発明を説明するための例示であって、特許請求の範囲に記載の発明を限定するものではない。また、本発明の各部構成は上記実施形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。
【0056】
例えば、本実施形態では、敷居固定部材30に敷居部材10を取り付ける前に、敷居固定部材30を第1および第2壁面取付け部材20、26に取り付けているが、これに限らない。敷居固定部材30の第1の水平方向の傾きを調整する前に、敷居固定部材30に敷居部材10を取り付けてもよい。
【0057】
また、敷居固定部材30は、補強部30a、2個の接触面部31および架台面部32を別々の部材として組み立てたものでもよい。
【符号の説明】
【0058】
10…敷居部材、10a…敷居溝、20…第1壁面取付け部材、20a…折曲げ部、21…壁面取付け面部、22…張出面部、23…第1の貫通長穴、24…ねじ穴、26…第2壁面取付け部材、30…敷居固定部材、30a…補強部、31…接触面部、32…架台面部、33…第2の貫通長穴、34…第3の貫通長穴、40…第1調整部材、41…平面部、42…第1の基準部、43…第1の基準溝、44…第2の基準部、45…第4の貫通長穴、46…第3の基準部、47…第2の基準溝、50…第2調整部材、51…第1平板部、52…第2平板部、53…位置調整用ボルト、54…上方押え板、55…下方押え板、56…ナット、59…ボルト軸方向間隙、61…第1ピアノ線、62…第2ピアノ線、70…昇降路、71…壁面、80…出入口
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、敷居部材を有するエレベータおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータは、建屋の各階層それぞれの乗場に取り付けられた敷居部材を有する。この敷居部材は、昇降路の壁面に複数の取付け部材を介して固定される。これらの取付け部材は、昇降路の壁面に取り付けられる2個の壁面取付け部材と、この壁面取付け部材に固定され且つ敷居部材を搭載するように構成された敷居固定部材と、を有する。
【0003】
敷居部材は、敷居固定部材および壁面取付け部材等によって仮固定された後に、エレベータ乗りかごに出入する方向(第1水平方向)に対する傾きと、乗場入口の幅方向(第1水平方向に垂直な第2水平方向)に対する傾きと、をそれぞれ調整する必要がある。この場合、敷居部材の傾きを調整するためには、敷居固定部材および各壁面取付け部材の固定の状態を調整する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−70345号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、敷居固定部材および各壁面取付け部材を互いに固定するときは、それぞれの部材に形成された長穴に貫通させたボルト等で固定する。このとき、長穴にボルトが貫通した状態で敷居部材の傾き等を調整した後に、ボルトおよびナットを締め付けて互いに固定する。
【0006】
この作業は、上述の第1水平方向に対する傾きと、乗場入口の第2水平方向に対する傾きと、をほぼ同時に調整しなければならないため、作業性が悪いことが多い。
【0007】
本発明の実施形態は上記課題を解決するためのものであり、その目的は、エレベータを製造するときに、敷居部材を昇降路の壁面に取り付ける作業を効率よくできるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための実施形態に係るエレベータ製造方法は、鉛直に延びる昇降路の壁面に開口する出入口の下側に配置され、水平に延びる敷居部材と、それぞれが、一枚の長板が所定の折曲げ部で折り曲げられて壁面取付け面部および張出面部が形成されて、それぞれの前記張出面部の面内に前記折曲げ部から離れる方向に延びる第1の貫通長穴が形成されて且つこの第1の貫通長穴を挟むように一対のねじ穴が形成されて、それぞれの前記壁面取付け面部が前記壁面に固定可能で、それぞれの前記張出面部が前記敷居部材の水平方向両側それぞれを支持可能な一対の壁面取付け部材と、前記敷居部材を搭載可能な架台面部と、この架台面部の長手方向両側それぞれから同じ向きに前記架台面部に垂直に延びる平板状で前記各張出面部に接触可能で前記張出面部に接しているときに前記第1の貫通長穴に連通し前記第1の貫通長穴の長手方向に垂直に延びるように第2の貫通長穴が形成され且つこの第2の貫通長穴の架台面部側に前記第2の貫通長穴の長手方向に垂直に延びる第3の貫通長穴が形成された接触面部と、を備える敷居固定部材と、を有するエレベータを製造する方法において、当該方法は、略長方形状の基準平面が形成された平面部と、前記平面部の短辺側それぞれに形成された平板状でそれぞれに第1の基準溝が形成されてこれらの各第1の基準溝の底部同士が前記基準平面に平行な直線状にあるように形成された一対の第1の基準部と、それぞれが前記平面部の一方の長辺に前記基準平面に垂直に形成された平板状でそれぞれに前記平面部から離れる方向に延びる第4の貫通長穴が形成された一対の第2の基準部と、少なくとも一方の前記第2の基準部に形成されて前記基準平面および前記第2の基準部それぞれに互いに垂直な板状で前記第2の基準部から遠い方の端部から前記第2の基準部に近づく方向に延びるように第2の基準溝が形成された第3の基準部と、を有する一対の第1調整部材と、第1平板部と、この第1平板部に垂直な第2平板部と、この第1平板部を貫通して外周に形成されたねじ溝が前記第1平板部と反対側にあるように固定された円筒状のねじ部材と、面内を前記ねじ部材が貫通するように配置された押え板と、この押え板の前記第2平板側に配置されたナットと、を有する少なくとも一つの第2調整部材と、を用い、前記昇降路内の所定の位置に鉛直に延びる線部材を配置する線部材配置工程と、前記壁面取付け部材それぞれの前記壁面取付け面部を、前記出入口の下方の前記昇降路壁面に、鉛直方向位置が互いに近接するように固定する壁面取付け部材設置工程と、前記架台面部に前記敷居部材を搭載した状態で、前記第1の貫通長穴および前記第2の貫通長穴が互いに連通するように前記接触面部および前記張出面部を互いに接触させて、前記敷居固定部材が前記第1の貫通長穴の長手方向に沿って移動可能に取り付ける敷居固定部材仮設置工程と、前記各第1の基準溝の底部に、前記線部材が鉛直方向を保ちながら接するようにボルトを、前記第4の貫通長穴に貫通させた状態で前記ねじ穴に固定する第1調整部材固定工程と、前記線部材設置工程、壁面取付け部材設置工程、敷居固定部材仮設置工程および第1調整部材固定工程の後に、前記敷居固定部材の前記線部材側の端部を、前記第1調整部材の前記平面部に接触させる第1の敷居姿勢調整工程と、前記第1平板部を、前記第3の貫通長穴に貫通させて、前記第3の基準部の上方に前記押え板があるように、且つ前記第2平板部の上端が前記敷居部材の下方に接するように、前記第2調整部材を設置する第2調整部材仮設置工程と、前記ナットを所定の方向に回転させて前記押え板および第1平板部との間隔を増減させることで、前記敷居部材の鉛直方向位置を調整する第2の敷居姿勢調整工程と、を有することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の実施形態に係るエレベータは、鉛直に延びる昇降路の壁面に開口する出入口の下側に配置され、水平に延びる敷居部材と、それぞれが、一枚の長板が所定の折曲げ部で折り曲げられて壁面取付け面部および張出面部が形成されて、それぞれの前記張出面部の面内に前記折曲げ部から離れる方向に延びる第1の貫通長穴が形成されて且つこの第1の貫通長穴を挟むように一対のねじ穴が形成されて、それぞれの前記壁面取付け面部が前記壁面に固定可能で、それぞれの前記張出面部が前記敷居部材の水平方向両側それぞれを支持可能な一対の壁面取付け部材と、前記敷居部材を搭載可能な架台面部と、この架台面部の長手方向両側それぞれから同じ向きに前記架台面部に垂直に延びる平板状で前記各張出面部に接触可能で前記張出面部に接しているときに前記第1の貫通長穴に連通し前記第1の貫通長穴の長手方向に垂直に延びるように第2の貫通長穴が形成され且つこの第2の貫通長穴の架台面部側に前記第2の貫通長穴の長手方向に垂直に延びる第3の貫通長穴が形成された接触面部と、を備える敷居固定部材と、前記敷居固定部材の前記線部材側の端部が接触可能な略長方形状の基準平面が形成された平面部と、前記平面部の短辺側それぞれに形成された平板状でそれぞれに第1の基準溝が形成されてこれらの各第1の基準溝の底部同士が前記基準平面に平行な直線状にあるように形成された一対の第1の基準部と、それぞれが前記平面部の一方の長辺に前記基準平面に垂直に形成された平板状でそれぞれに前記平面部から離れる方向に延びる第4の貫通長穴が形成された一対の第2の基準部と、少なくとも一方の前記第2の基準部に形成されて前記基準平面および前記第2の基準部それぞれに互いに垂直な板状で前記第2の基準部から遠い方の端部から前記第2の基準部に近づく方向に延びるように第2の基準溝が形成された第3の基準部と、を有する一対の第1調整部材と、第1平板部と、この第1平板部に垂直で前記敷居部材の下方に接触可能な第2平板部と、この第1平板部を貫通して外周に形成されたねじ溝が前記第1平板部と反対側にあるように固定された円筒状のねじ部材と、面内を前記ねじ部材が貫通するように配置されて前記ねじ部材の長手方向に沿って平行移動可能で前記第3の基準部に接触可能な押え板と、この押え板の前記第2平板側に配置されたナットと、を有する少なくとも一つの第2調整部材と、を有することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る一実施形態のエレベータの敷居部材等が昇降路の壁面に取り付けられた状態を示す概略斜視図である。
【図2】図1の実施形態のエレベータ製造方法で、第1および第2壁面取付け部材を昇降路の壁面に取り付けた状態を示す概略斜視図である。
【図3】図2の第1および第2壁面取付け部材に、敷居固定部材を取り付ける状態を示す概略斜視図である。
【図4】図3の敷居固定部部材に敷居部材を取り付ける状態を示す概略斜視図である。
【図5】図4の第1および第2壁面取付け部材それぞれに第1調整部材を取り付ける状態を示す概略斜視図である。
【図6】図5の第1調整部材の拡大斜視図である。
【図7】図5の各第1調整部材を第1ピアノ線および第2ピアノ線に接触させた状態を示す概略斜視図である。
【図8】図7の第1調整部材を第1ピアノ線に接触させる前の状態を示す拡大正面図である。
【図9】図8の第1調整部材が第1ピアノ線に接触した状態を示す拡大正面図である。
【図10】図8の第1調整部材の平面部に敷居固定部材の端部を接触させた状態を示す拡大正面図である。
【図11】図10の各第1調整部材それぞれに第2調整部材を取り付ける状態を示す概略斜視図である。
【図12】図11の第2調整部材の拡大正面図である。
【図13】図11の第2調整部材が取り付けられた状態を示す拡大正面図である。
【図14】図13の敷居固定部材の鉛直方向位置を所定の位置になるように調整した状態を示す拡大正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る一実施形態について、図面を参照して説明する。ここで、互いに同一または類似の部分には共通の符号を付して、重複説明は省略する。
【0012】
図1は、本実施形態のエレベータの敷居部材10等が昇降路70の壁面71に取り付けられた状態を示す概略斜視図である。図2は、図1の実施形態のエレベータ製造方法で、第1および第2壁面取付け部材20、26を昇降路70の壁面71に取り付けた状態を示す概略斜視図である。
【0013】
図3は、図2の第1および第2壁面取付け部材20、26に、敷居固定部材30を取り付ける状態を示す概略斜視図である。図4は、図3の敷居固定部材30に敷居部材10を取り付ける状態を示す概略斜視図である。
【0014】
図5は、図4の第1および第2壁面取付け部材20、26それぞれに第1調整部材40を取り付ける状態を示す概略斜視図である。図6は、図5の第1調整部材40の拡大斜視図である。図7は、図5の各第1調整部材40を第1および第2ピアノ線61、62に接触させた状態を示す概略斜視図である。
【0015】
図8は、図7の第1調整部材40を第1ピアノ線61に接触させる前の状態を示す拡大正面図である。図9は、図8の第1調整部材40が第1ピアノ線61に接触した状態を示す拡大正面図である。図10は、図8の第1調整部材40の平面部41に敷居固定部材30の端部を接触させた状態を示す拡大正面図である。
【0016】
図11は、図10の各第1調整部材40それぞれに第2調整部材50を取り付ける状態を示す概略斜視図である。図12は、図11の第2調整部材50の拡大正面図である。図13は、図11の第2調整部材50が取り付けられた状態を示す拡大正面図である。図14は、図13の敷居固定部材30の鉛直方向位置を所定の位置になるように調整した状態を示す拡大正面図である。
【0017】
先ず、本実施形態のエレベータの敷居部材10等の構成について説明する。
【0018】
エレベータを構成する設備の一部(大部分)は、複数の階層を有する建屋内を上下(鉛直)に延びる昇降路70に設置される。このエレベータは、乗客を輸送可能な乗りかご(図示せず)を有し、この乗りかごは、昇降路70内を上下に移動可能である。昇降路70の壁面71には、各階層に対応する位置に開口して乗りかご内に乗客等が出入可能な出入口80が形成される。
【0019】
このエレベータは、敷居部材10と、この敷居部材10を昇降路70の壁面71に固定するための3個の部材、すなわち、第1壁面取付け部材20、第2壁面取付け部材26、および敷居固定部材30を有する。
【0020】
敷居部材10は、出入口80の下方の壁面71に、上述の取付け部材を介して固定される。この敷居部材10は、出入口80の幅方向に水平に延びて、乗場側の扉(図示せず)が水平に平行移動可能な敷居溝10aが形成されている(図1)。
【0021】
第1壁面取付け部材20は、一枚の長板が所定の折曲げ部20aでほぼ垂直に折り曲げられて壁面取付け面部21および張出面部22が形成される。壁面取付け面部21は、昇降路70の壁面71にボルト等により固定される。このとき、壁面取付け面部21は、出入口80の下方で、昇降路70内から見たときに右側(図1、図2の右側)の壁面71に固定される。
【0022】
張出面部22は、敷居部材10の図1における右側を、敷居固定部材30等を介して支持する部材である。この張出面部22の面内には、第1の貫通長穴23と、2個のねじ穴24が形成される。この第1の貫通長穴23は、折曲げ部20aから離れる方向に水平に延びる。各ねじ穴24は、第1の貫通長穴23の上下に1個ずつ、第1の貫通長穴23を挟むように形成されている(図2)。
【0023】
第2壁面取付け部材26は、第1壁面取付け部材20と同様に構成されて、昇降路70の壁面71にボルト等により固定される。このとき、壁面取付け面部21は、出入口80の下方で、昇降路70内から見たときに左側(図2の左側)の壁面71に固定される。
【0024】
また、第2壁面取付け部材26の張出面部22は、敷居部材10の図1の右側の水平方向端部を間接的に支持する部材である。
【0025】
敷居固定部材30は、一枚の長方形の平板の長手方向両側が同じ向きに垂直に折り曲げられた部材である(図3)。同じ向きに折り曲げられた両側の部位それぞれは、第1および第2壁面取付け部材20、26それぞれの張出面部22に接触可能な接触面部31を形成する。また、接触面部31の間は、敷居部材10が搭載可能な架台面部32が形成される。また、この敷居固定部材30は、壁面71に対向するように板状の補強部30aが取り付けられている。
【0026】
各接触面部31は、第2の貫通長穴33および第3の貫通長穴34が形成されている。
【0027】
第2の貫通長穴33は、接触面部31が張出面部22に接しているときに、鉛直に延びるように形成されて、第1の貫通長穴23に水平に連通する。第3の貫通長穴34は、第2の貫通長穴33の架台面部32側(図3、図4の上側)に水平に延びるように形成される。
【0028】
続いて、本実施形態の敷居部材10を昇降路70の壁面71に取り付ける作業手順について説明する。
【0029】
ここで、当該作業を行うときに用いる調整部材、すなわち、第1調整部材40および第2調整部材50の構成について説明する。
【0030】
第1調整部材40は、平面部41と、第1の基準部対と、第2の基準部対と、第3の基準部対と、を有する(図5、図6)。
【0031】
平面部41は、略長方形状の基準平面41aが形成された長方形の板状である。
【0032】
第1の基準部対は、2個のすなわち一対の第1の基準部42からなる。各第1の基準部42は、平面部41の短辺それぞれに形成された平板状で、各第1の基準部42には、第1の基準溝43が形成されている。それぞれの第1の基準溝43の底部同士は、基準平面41aに平行で鉛直方向に延びる直線上にあるように形成される。
【0033】
各第2の基準部44それぞれは、平面部41の一方の長辺(図6の右側)に基準平面41aに垂直に形成された平板状である。第2の基準部44それぞれには、平面部41から離れる方向に延びる第4の貫通長穴45が形成される。
【0034】
各第3の基準部46それぞれは、基準平面41aおよび第2の基準部44それぞれに互いに垂直な板状で、各第2の基準部44それぞれに取り付けられている。また各第3の基準部46には、第2の基準溝47が形成されている。この第2の基準溝47は、第2の基準部44から遠い方の端部から第2の基準部44に近づく方向に延びるように形成されている。
【0035】
第2調整部材50は、第1平板部51と、第2平板部52と、位置調整用ボルト53と、上方押え板54と、下方押え板55と、複数のナット56と、を有する(図11、図12)。
【0036】
第1平板部51は長方形の板状である。第2平板部52は長方形の板状で、且つ第1平板部51の短辺に一体に形成され、第1平板部51に垂直である。すなわち、第1および第2平板部51、52を合わせると、側面がL字型である。
【0037】
位置調整用ボルト53は、第1平板部51を貫通した状態で第1平板部51に固定される。位置調整用ボルト53のボルト頭部は、第2平板部52側にあって、第1平板部51をナット56と共に挟み込んだ状態で固定されている。すなわち、位置調整用ボルト53のねじ部は、第1平板部51の図12における下方にあり、且つ第1平板部51に垂直な状態で固定される。
【0038】
上方押え板54および下方押え板55は、位置調整用ボルト53のねじ部を貫通して、互いにボルト軸方向間隙59をあけて配置される。上方押え板54の図12における上方と、下方押え板55の図12における下方と、にはそれぞれナット56が取り付けられている。
【0039】
続いて、敷居部材10を昇降路70の壁面71に取り付ける作業手順について説明する。
【0040】
先ず、昇降路70の天井に線部材、この例では2本のピアノ線、すなわち、第1ピアノ線61および第2ピアノ線62を取り付ける。これらの第1および第2ピアノ線61、62は、鉛直に延びるように取り付けられる。
【0041】
次に、所定の階層の出入口80の下方に第1および第2壁面取付け部材20、26を取り付ける。このとき、第1および第2壁面取付け部材20、26は、出入口80の幅方向に所定の間隔をあけた状態で、昇降路70の壁面71に固定される。また、互いの鉛直方向位置が近接するように、すなわち、ほぼ同じ鉛直方向位置になるように取り付ける(図2)。
【0042】
次に、第1壁面取付け部材20の張出面部22と敷居固定部材30の一方の接触面部31とを互いに接触させて、第2壁面取付け部材26の張出面部22と敷居固定部材30の他方の接触面部31とを互いに接触させる。このとき、各張出面部22および各接触面部31は、それぞれの第1の貫通長穴23および第2の貫通長穴33が互いに連通するように接触させる(図3)。
【0043】
この状態で、互いに連通する第1および第2の貫通長穴23、33にそれぞれボルトを貫通させて、接触面部31および張出面部22を暫定的に固定する。このとき、敷居固定部材30は、第1の貫通長穴23の長手方向、すなわち、ほぼ水平な方向に沿って、平行移動可能に固定されている。また、敷居固定部材30は、各張出面部22それぞれに形成された第2の貫通長穴33に沿って、上下移動可能に固定されている。
【0044】
この後に、敷居固定部材30の架台面部32に敷居部材10を取り付ける(図4)。
【0045】
次に、第1壁面取付け部材20に、第1調整部材40を取り付ける(図5)。このとき、第1調整部材40の第4の貫通長穴45にボルトを貫通させて、張出面部22のねじ穴24に固定する。このとき、第1調整部材40の各第1の基準溝43の底部それぞれに第1ピアノ線61が接する状態で固定する。すなわち、図8の状態から図9の状態にする。これらの底部に接している第1ピアノ線61は、鉛直に配置された状態が保たれる。
【0046】
また、第2壁面取付け部材26に、ボルトにより第1調整部材40を固定する。このとき、第1調整部材40の各第1の基準溝43の底部それぞれに第2ピアノ線62が接する状態で固定する。これらの底部に接している第2ピアノ線62は、鉛直に配置された状態が保たれる。
【0047】
次に、敷居固定部材30の第1および第2ピアノ線61、62がある側の端部を、2個の第1調整部材40の平面部41それぞれに接触させる。2個の第1調整部材40それぞれの平面部41は、少なくとも鉛直に延びる直線を含んでいる。このため、敷居固定部材30の端部を当該平面部41に接触させることで、敷居部材10の出入口80に出入する方向(第1の水平方向)の傾きを、水平に保つように調整することができる(図9)。
【0048】
この後に、平面部41の基準平面41aと敷居固定部材30の図10における左側端部とが接触するまで、敷居固定部材30を、第1の貫通長穴23の長手方向に沿って平行移動させる(図10)。基準平面41aおよび当該端部が互いに接した状態で、第1の貫通長穴23を貫通するボルトと、ナット等を締め付けて、敷居固定部材30と、第1および第2壁面取付け部材20、26とを互いに固定する。
【0049】
次に、第2調整部材50を、第1壁面取付け部材20に固定された第1調整部材40に取り付ける。このとき、上方押え板54および下方押え板55で上側の第3の基準部46を挟みこむように、且つ、位置調整用ボルト53のねじ部が、第2の基準溝47内にあるように配置する。また、第1平板部51が、第3の貫通長穴34を貫通する状態で、第2平板部52の図11および図13における上端が、敷居部材10の下面に対向する状態で配置する。同様に、第2調整部材50を、第2壁面取付け部材26に固定された第1調整部材40にも取り付ける。
【0050】
この状態で、各第2調整部材50の上方押え板54の上部に接しているナット56それぞれを、所定の方向に回転させる。これらのナット56の回転により、各第2調整部材50は、上方押え板54と第1平板部51との鉛直方向の距離が増減(この場合は増加)する。
【0051】
当該距離が増加することで、それぞれの第2平板部52の上端が、敷居部材10を押上げることができる。敷居固定部材30は、敷居部材10と共に上方に移動する。このとき、敷居固定部材30は、第2の貫通長穴33に沿って移動可能であるため、すなわち、ボルトで移動できないように締め付けられていないため、鉛直方向に上下移動することができる(図14)。
【0052】
これより、敷居部材10の鉛直方向位置を調整し、且つ、出入口80の幅方向の傾きを水平に調整することができる。
【0053】
以上の説明からわかるように本実施形態によれば、第1および第2調整部材40、50によって、エレベータ乗りかごに出入する方向(第1水平方向)に対する傾きと、乗場部の幅方向(第1水平方向に垂直な第2水平方向)に対する傾きと、を調整するための基準が形成される。
【0054】
このため、当該第1水平方向および第2水平方向それぞれを容易に調整することが可能になる。従って、エレベータを製造するときに、敷居部材10を昇降路70の壁面71に取り付ける作業を効率よく行うことが可能になる。
【0055】
上記実施形態の説明は、本発明を説明するための例示であって、特許請求の範囲に記載の発明を限定するものではない。また、本発明の各部構成は上記実施形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。
【0056】
例えば、本実施形態では、敷居固定部材30に敷居部材10を取り付ける前に、敷居固定部材30を第1および第2壁面取付け部材20、26に取り付けているが、これに限らない。敷居固定部材30の第1の水平方向の傾きを調整する前に、敷居固定部材30に敷居部材10を取り付けてもよい。
【0057】
また、敷居固定部材30は、補強部30a、2個の接触面部31および架台面部32を別々の部材として組み立てたものでもよい。
【符号の説明】
【0058】
10…敷居部材、10a…敷居溝、20…第1壁面取付け部材、20a…折曲げ部、21…壁面取付け面部、22…張出面部、23…第1の貫通長穴、24…ねじ穴、26…第2壁面取付け部材、30…敷居固定部材、30a…補強部、31…接触面部、32…架台面部、33…第2の貫通長穴、34…第3の貫通長穴、40…第1調整部材、41…平面部、42…第1の基準部、43…第1の基準溝、44…第2の基準部、45…第4の貫通長穴、46…第3の基準部、47…第2の基準溝、50…第2調整部材、51…第1平板部、52…第2平板部、53…位置調整用ボルト、54…上方押え板、55…下方押え板、56…ナット、59…ボルト軸方向間隙、61…第1ピアノ線、62…第2ピアノ線、70…昇降路、71…壁面、80…出入口
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉛直に延びる昇降路の壁面に開口する出入口の下側に配置され、水平に延びる敷居部材と、
それぞれが、一枚の長板が所定の折曲げ部で折り曲げられて壁面取付け面部および張出面部が形成されて、それぞれの前記張出面部の面内に前記折曲げ部から離れる方向に延びる第1の貫通長穴が形成されて且つこの第1の貫通長穴を挟むように一対のねじ穴が形成されて、それぞれの前記壁面取付け面部が前記壁面に固定可能で、それぞれの前記張出面部が前記敷居部材の水平方向両側それぞれを支持可能な一対の壁面取付け部材と、
前記敷居部材を搭載可能な架台面部と、この架台面部の長手方向両側それぞれから同じ向きに前記架台面部に垂直に延びる平板状で前記各張出面部に接触可能で前記張出面部に接しているときに前記第1の貫通長穴に連通し前記第1の貫通長穴の長手方向に垂直に延びるように第2の貫通長穴が形成され且つこの第2の貫通長穴の架台面部側に前記第2の貫通長穴の長手方向に垂直に延びる第3の貫通長穴が形成された接触面部と、を備える敷居固定部材と、
を有するエレベータを製造する方法において、
当該方法は、
略長方形状の基準平面が形成された平面部と、前記平面部の短辺側それぞれに形成された平板状でそれぞれに第1の基準溝が形成されてこれらの各第1の基準溝の底部同士が前記基準平面に平行な直線状にあるように形成された一対の第1の基準部と、それぞれが前記平面部の一方の長辺に前記基準平面に垂直に形成された平板状でそれぞれに前記平面部から離れる方向に延びる第4の貫通長穴が形成された一対の第2の基準部と、少なくとも一方の前記第2の基準部に形成されて前記基準平面および前記第2の基準部それぞれに互いに垂直な板状で前記第2の基準部から遠い方の端部から前記第2の基準部に近づく方向に延びるように第2の基準溝が形成された第3の基準部と、を有する一対の第1調整部材と、
第1平板部と、この第1平板部に垂直な第2平板部と、この第1平板部を貫通して外周に形成されたねじ溝が前記第1平板部と反対側にあるように固定された円筒状のねじ部材と、面内を前記ねじ部材が貫通するように配置された押え板と、この押え板の前記第2平板側に配置されたナットと、を有する少なくとも一つの第2調整部材と、
を用い、
前記昇降路内の所定の位置に鉛直に延びる線部材を配置する線部材配置工程と、
前記壁面取付け部材それぞれの前記壁面取付け面部を、前記出入口の下方の前記昇降路壁面に、鉛直方向位置が互いに近接するように固定する壁面取付け部材設置工程と、
前記架台面部に前記敷居部材を搭載した状態で、前記第1の貫通長穴および前記第2の貫通長穴が互いに連通するように前記接触面部および前記張出面部を互いに接触させて、前記敷居固定部材が前記第1の貫通長穴の長手方向に沿って移動可能に取り付ける敷居固定部材仮設置工程と、
前記各第1の基準溝の底部に、前記線部材が鉛直方向を保ちながら接するようにボルトを、前記第4の貫通長穴に貫通させた状態で前記ねじ穴に固定する第1調整部材固定工程と、
前記線部材設置工程、壁面取付け部材設置工程、敷居固定部材仮設置工程および第1調整部材固定工程の後に、
前記敷居固定部材の前記線部材側の端部を、前記第1調整部材の前記平面部に接触させる第1の敷居姿勢調整工程と、
前記第1平板部を、前記第3の貫通長穴に貫通させて、前記第3の基準部の上方に前記押え板があるように、且つ前記第2平板部の上端が前記敷居部材の下方に接するように、前記第2調整部材を設置する第2調整部材仮設置工程と、
前記ナットを所定の方向に回転させて前記押え板および第1平板部との間隔を増減させることで、前記敷居部材の鉛直方向位置を調整する第2の敷居姿勢調整工程と、
を有することを特徴とするエレベータ製造方法。
【請求項2】
前記第1調整部材固定工程は、前記第4の貫通長穴にボルトを貫通させた後に、第1調整部材を前記第3の貫通長穴の長手方向に沿って平行移動させて、前記各底部が前記線部材に接する状態にする工程を含むこと、を特徴とする請求項1に記載のエレベータ製造方法。
【請求項3】
前記第1の敷居姿勢調整工程は、前記敷居固定部材が、前記第1の貫通長穴に沿って平行移動した後に、前記敷居固定部材の前記線部材側の端部が、前記平面部に接触する工程を含むこと、を特徴とする請求項1または請求項2に記載のエレベータ製造方法。
【請求項4】
前記第2調整部材は、前記押え板の下方に配置されて、前記ねじ部材の長手方向を上下移動可能な下方押え板を有し、
前記第2の敷居姿勢調整工程は、前記押え板および前記下方押え板で前記第3の基準部を挟み込んで固定する工程を含むこと、
を特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載のエレベータ製造方法。
【請求項5】
前記第2の敷居姿勢調整工程は、前記第2調整部材を前記各第1調整部材それぞれに固定して、それぞれの前記第2調整部材の前記ナットを所定の方向に回転させて、前記敷居部材の鉛直方向位置を調整して、水平な状態で固定する工程を含むこと、
を特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載のエレベータ製造方法。
【請求項6】
前記第2の敷居姿勢調整工程後に、前記第1調整部材および第2調整部材を取り外す工程を有すること、を特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載のエレベータ製造方法。
【請求項7】
鉛直に延びる昇降路の壁面に開口する出入口の下側に配置され、水平に延びる敷居部材と、
それぞれが、一枚の長板が所定の折曲げ部で折り曲げられて壁面取付け面部および張出面部が形成されて、それぞれの前記張出面部の面内に前記折曲げ部から離れる方向に延びる第1の貫通長穴が形成されて且つこの第1の貫通長穴を挟むように一対のねじ穴が形成されて、それぞれの前記壁面取付け面部が前記壁面に固定可能で、それぞれの前記張出面部が前記敷居部材の水平方向両側それぞれを支持可能な一対の壁面取付け部材と、
前記敷居部材を搭載可能な架台面部と、この架台面部の長手方向両側それぞれから同じ向きに前記架台面部に垂直に延びる平板状で前記各張出面部に接触可能で前記張出面部に接しているときに前記第1の貫通長穴に連通し前記第1の貫通長穴の長手方向に垂直に延びるように第2の貫通長穴が形成され且つこの第2の貫通長穴の架台面部側に前記第2の貫通長穴の長手方向に垂直に延びる第3の貫通長穴が形成された接触面部と、を備える敷居固定部材と、
前記敷居固定部材の前記線部材側の端部が接触可能な略長方形状の基準平面が形成された平面部と、前記平面部の短辺側それぞれに形成された平板状でそれぞれに第1の基準溝が形成されてこれらの各第1の基準溝の底部同士が前記基準平面に平行な直線状にあるように形成された一対の第1の基準部と、それぞれが前記平面部の一方の長辺に前記基準平面に垂直に形成された平板状でそれぞれに前記平面部から離れる方向に延びる第4の貫通長穴が形成された一対の第2の基準部と、少なくとも一方の前記第2の基準部に形成されて前記基準平面および前記第2の基準部それぞれに互いに垂直な板状で前記第2の基準部から遠い方の端部から前記第2の基準部に近づく方向に延びるように第2の基準溝が形成された第3の基準部と、を有する一対の第1調整部材と、
第1平板部と、この第1平板部に垂直で前記敷居部材の下方に接触可能な第2平板部と、この第1平板部を貫通して外周に形成されたねじ溝が前記第1平板部と反対側にあるように固定された円筒状のねじ部材と、面内を前記ねじ部材が貫通するように配置されて前記ねじ部材の長手方向に沿って平行移動可能で前記第3の基準部に接触可能な押え板と、この押え板の前記第2平板側に配置されたナットと、を有する少なくとも一つの第2調整部材と、
を有することを特徴とするエレベータ。
【請求項8】
前記昇降路内の所定の位置に鉛直に延びる線部材を配置する線部材配置工程と、
前記壁面取付け部材それぞれの前記壁面取付け面部を、前記出入口の下方の前記昇降路壁面に、鉛直方向位置が互いに近接するように固定する壁面取付け部材設置工程と、
前記架台面部に前記敷居部材を搭載した状態で、前記第1の貫通長穴および前記第2の貫通長穴が互いに連通するように前記接触面部および前記張出面部を互いに接触させて、前記敷居固定部材が前記第1の貫通長穴の長手方向に沿って移動可能に取り付ける敷居固定部材仮設置工程と、
前記各第1の基準溝の底部に、前記線部材が鉛直方向を保ちながら接するようにボルトを、前記第4の貫通長穴に貫通させた状態で前記ねじ穴に固定する第1調整部材固定工程と、
前記線部材設置工程、壁面取付け部材設置工程、敷居固定部材仮設置工程および第1調整部材固定工程の後に、
前記敷居固定部材の前記線部材側の端部を、前記第1調整部材の前記平面部に接触させる第1の敷居姿勢調整工程と、
前記第2平板部を、前記第3の貫通長穴に貫通させて、前記第3の基準部の上方に前記押え板があるように、且つ前記第1平板部の上端が前記敷居部材の下方に接するように、前記第2調整部材を設置する第2調整部材仮設置工程と、
前記ナットを所定の方向に回転させて前記押え板および第1平板部との間隔を増減させることで、前記敷居部材の鉛直方向位置を調整する第2の敷居姿勢調整工程と、
を有する製造方法で製造されることを特徴とする請求項7に記載のエレベータ。
【請求項1】
鉛直に延びる昇降路の壁面に開口する出入口の下側に配置され、水平に延びる敷居部材と、
それぞれが、一枚の長板が所定の折曲げ部で折り曲げられて壁面取付け面部および張出面部が形成されて、それぞれの前記張出面部の面内に前記折曲げ部から離れる方向に延びる第1の貫通長穴が形成されて且つこの第1の貫通長穴を挟むように一対のねじ穴が形成されて、それぞれの前記壁面取付け面部が前記壁面に固定可能で、それぞれの前記張出面部が前記敷居部材の水平方向両側それぞれを支持可能な一対の壁面取付け部材と、
前記敷居部材を搭載可能な架台面部と、この架台面部の長手方向両側それぞれから同じ向きに前記架台面部に垂直に延びる平板状で前記各張出面部に接触可能で前記張出面部に接しているときに前記第1の貫通長穴に連通し前記第1の貫通長穴の長手方向に垂直に延びるように第2の貫通長穴が形成され且つこの第2の貫通長穴の架台面部側に前記第2の貫通長穴の長手方向に垂直に延びる第3の貫通長穴が形成された接触面部と、を備える敷居固定部材と、
を有するエレベータを製造する方法において、
当該方法は、
略長方形状の基準平面が形成された平面部と、前記平面部の短辺側それぞれに形成された平板状でそれぞれに第1の基準溝が形成されてこれらの各第1の基準溝の底部同士が前記基準平面に平行な直線状にあるように形成された一対の第1の基準部と、それぞれが前記平面部の一方の長辺に前記基準平面に垂直に形成された平板状でそれぞれに前記平面部から離れる方向に延びる第4の貫通長穴が形成された一対の第2の基準部と、少なくとも一方の前記第2の基準部に形成されて前記基準平面および前記第2の基準部それぞれに互いに垂直な板状で前記第2の基準部から遠い方の端部から前記第2の基準部に近づく方向に延びるように第2の基準溝が形成された第3の基準部と、を有する一対の第1調整部材と、
第1平板部と、この第1平板部に垂直な第2平板部と、この第1平板部を貫通して外周に形成されたねじ溝が前記第1平板部と反対側にあるように固定された円筒状のねじ部材と、面内を前記ねじ部材が貫通するように配置された押え板と、この押え板の前記第2平板側に配置されたナットと、を有する少なくとも一つの第2調整部材と、
を用い、
前記昇降路内の所定の位置に鉛直に延びる線部材を配置する線部材配置工程と、
前記壁面取付け部材それぞれの前記壁面取付け面部を、前記出入口の下方の前記昇降路壁面に、鉛直方向位置が互いに近接するように固定する壁面取付け部材設置工程と、
前記架台面部に前記敷居部材を搭載した状態で、前記第1の貫通長穴および前記第2の貫通長穴が互いに連通するように前記接触面部および前記張出面部を互いに接触させて、前記敷居固定部材が前記第1の貫通長穴の長手方向に沿って移動可能に取り付ける敷居固定部材仮設置工程と、
前記各第1の基準溝の底部に、前記線部材が鉛直方向を保ちながら接するようにボルトを、前記第4の貫通長穴に貫通させた状態で前記ねじ穴に固定する第1調整部材固定工程と、
前記線部材設置工程、壁面取付け部材設置工程、敷居固定部材仮設置工程および第1調整部材固定工程の後に、
前記敷居固定部材の前記線部材側の端部を、前記第1調整部材の前記平面部に接触させる第1の敷居姿勢調整工程と、
前記第1平板部を、前記第3の貫通長穴に貫通させて、前記第3の基準部の上方に前記押え板があるように、且つ前記第2平板部の上端が前記敷居部材の下方に接するように、前記第2調整部材を設置する第2調整部材仮設置工程と、
前記ナットを所定の方向に回転させて前記押え板および第1平板部との間隔を増減させることで、前記敷居部材の鉛直方向位置を調整する第2の敷居姿勢調整工程と、
を有することを特徴とするエレベータ製造方法。
【請求項2】
前記第1調整部材固定工程は、前記第4の貫通長穴にボルトを貫通させた後に、第1調整部材を前記第3の貫通長穴の長手方向に沿って平行移動させて、前記各底部が前記線部材に接する状態にする工程を含むこと、を特徴とする請求項1に記載のエレベータ製造方法。
【請求項3】
前記第1の敷居姿勢調整工程は、前記敷居固定部材が、前記第1の貫通長穴に沿って平行移動した後に、前記敷居固定部材の前記線部材側の端部が、前記平面部に接触する工程を含むこと、を特徴とする請求項1または請求項2に記載のエレベータ製造方法。
【請求項4】
前記第2調整部材は、前記押え板の下方に配置されて、前記ねじ部材の長手方向を上下移動可能な下方押え板を有し、
前記第2の敷居姿勢調整工程は、前記押え板および前記下方押え板で前記第3の基準部を挟み込んで固定する工程を含むこと、
を特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載のエレベータ製造方法。
【請求項5】
前記第2の敷居姿勢調整工程は、前記第2調整部材を前記各第1調整部材それぞれに固定して、それぞれの前記第2調整部材の前記ナットを所定の方向に回転させて、前記敷居部材の鉛直方向位置を調整して、水平な状態で固定する工程を含むこと、
を特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載のエレベータ製造方法。
【請求項6】
前記第2の敷居姿勢調整工程後に、前記第1調整部材および第2調整部材を取り外す工程を有すること、を特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載のエレベータ製造方法。
【請求項7】
鉛直に延びる昇降路の壁面に開口する出入口の下側に配置され、水平に延びる敷居部材と、
それぞれが、一枚の長板が所定の折曲げ部で折り曲げられて壁面取付け面部および張出面部が形成されて、それぞれの前記張出面部の面内に前記折曲げ部から離れる方向に延びる第1の貫通長穴が形成されて且つこの第1の貫通長穴を挟むように一対のねじ穴が形成されて、それぞれの前記壁面取付け面部が前記壁面に固定可能で、それぞれの前記張出面部が前記敷居部材の水平方向両側それぞれを支持可能な一対の壁面取付け部材と、
前記敷居部材を搭載可能な架台面部と、この架台面部の長手方向両側それぞれから同じ向きに前記架台面部に垂直に延びる平板状で前記各張出面部に接触可能で前記張出面部に接しているときに前記第1の貫通長穴に連通し前記第1の貫通長穴の長手方向に垂直に延びるように第2の貫通長穴が形成され且つこの第2の貫通長穴の架台面部側に前記第2の貫通長穴の長手方向に垂直に延びる第3の貫通長穴が形成された接触面部と、を備える敷居固定部材と、
前記敷居固定部材の前記線部材側の端部が接触可能な略長方形状の基準平面が形成された平面部と、前記平面部の短辺側それぞれに形成された平板状でそれぞれに第1の基準溝が形成されてこれらの各第1の基準溝の底部同士が前記基準平面に平行な直線状にあるように形成された一対の第1の基準部と、それぞれが前記平面部の一方の長辺に前記基準平面に垂直に形成された平板状でそれぞれに前記平面部から離れる方向に延びる第4の貫通長穴が形成された一対の第2の基準部と、少なくとも一方の前記第2の基準部に形成されて前記基準平面および前記第2の基準部それぞれに互いに垂直な板状で前記第2の基準部から遠い方の端部から前記第2の基準部に近づく方向に延びるように第2の基準溝が形成された第3の基準部と、を有する一対の第1調整部材と、
第1平板部と、この第1平板部に垂直で前記敷居部材の下方に接触可能な第2平板部と、この第1平板部を貫通して外周に形成されたねじ溝が前記第1平板部と反対側にあるように固定された円筒状のねじ部材と、面内を前記ねじ部材が貫通するように配置されて前記ねじ部材の長手方向に沿って平行移動可能で前記第3の基準部に接触可能な押え板と、この押え板の前記第2平板側に配置されたナットと、を有する少なくとも一つの第2調整部材と、
を有することを特徴とするエレベータ。
【請求項8】
前記昇降路内の所定の位置に鉛直に延びる線部材を配置する線部材配置工程と、
前記壁面取付け部材それぞれの前記壁面取付け面部を、前記出入口の下方の前記昇降路壁面に、鉛直方向位置が互いに近接するように固定する壁面取付け部材設置工程と、
前記架台面部に前記敷居部材を搭載した状態で、前記第1の貫通長穴および前記第2の貫通長穴が互いに連通するように前記接触面部および前記張出面部を互いに接触させて、前記敷居固定部材が前記第1の貫通長穴の長手方向に沿って移動可能に取り付ける敷居固定部材仮設置工程と、
前記各第1の基準溝の底部に、前記線部材が鉛直方向を保ちながら接するようにボルトを、前記第4の貫通長穴に貫通させた状態で前記ねじ穴に固定する第1調整部材固定工程と、
前記線部材設置工程、壁面取付け部材設置工程、敷居固定部材仮設置工程および第1調整部材固定工程の後に、
前記敷居固定部材の前記線部材側の端部を、前記第1調整部材の前記平面部に接触させる第1の敷居姿勢調整工程と、
前記第2平板部を、前記第3の貫通長穴に貫通させて、前記第3の基準部の上方に前記押え板があるように、且つ前記第1平板部の上端が前記敷居部材の下方に接するように、前記第2調整部材を設置する第2調整部材仮設置工程と、
前記ナットを所定の方向に回転させて前記押え板および第1平板部との間隔を増減させることで、前記敷居部材の鉛直方向位置を調整する第2の敷居姿勢調整工程と、
を有する製造方法で製造されることを特徴とする請求項7に記載のエレベータ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−144332(P2012−144332A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−4058(P2011−4058)
【出願日】平成23年1月12日(2011.1.12)
【出願人】(390025265)東芝エレベータ株式会社 (2,543)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月12日(2011.1.12)
【出願人】(390025265)東芝エレベータ株式会社 (2,543)
【Fターム(参考)】
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