説明

エレベータの乗りかご用かご室およびエレベータの乗りかご

【課題】エレベータの乗りかごに設置された照明装置の保守点検作業を容易に行なうことができるエレベータの乗りかご用かご室および乗りかごを提供する。
【解決手段】エレベータの乗りかごは底面と、側面13と、側面13に連結手段30を介して連結された天井14とを備えている。連結手段30は側面13と天井14との間の距離を調整できる。この連結手段30によって天井14は側面に対して乗りかごが運転される第1位置と、第1位置より下方であって乗りかごの保守作業が行なわれる第2位置とをとることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータの乗りかご用かご室およびエレベータの乗りかごに係り、とりわけエレベータの乗りかごに設置された照明装置の保守点検作業を容易に行なうことができるエレベータの乗りかご用かご室およびエレベータの乗りかごに関する。
【背景技術】
【0002】
図9に示すように、従来より、ロープ20により支持されるエレベータの乗りかご10が知られている。このような乗りかご10はかご室11と、鉛直方向に延びてかご室11を支持する一対の立枠16,16と、水平方向に延びるとともに、一対の立枠16,16に連結された上梁17と、水平方向に延びるとともに一対の立枠16,16に連結された下梁15とを備えている。
【0003】
このうち、かご室11は、底面12と、4つの側面13,13,13,13と、各側面に連結された天井14とを有し、4つの側面13,13,13,13と天井14とはボルト24と、ナット25とにより連結されている。
【0004】
このようなエレベータの乗りかごの構造を示すものとして、従来より例えば特許文献1および特許文献2に示すものが知られている。
【0005】
ところで、かご室11の天井14には照明装置21が設置され、この照明装置21には蛍光灯22が内蔵されている(図10(a)(b)参照)。
【0006】
エレベータの乗りかご10の保守点検時には、照明装置21の蛍光灯22を交換したり清掃したりしている。
【0007】
しかしながら照明装置21の蛍光灯22を交換したり清掃する際、天井14と上梁17との距離が短く、作業性が良くない、という問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平8−104482号公報
【特許文献2】特開2007−230693号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明はこのような点を考慮してなされたものであり、エレベータの乗りかごの保守点検時に照明装置の蛍光灯を交換したり清掃したりする際、天井と上梁との距離を容易に大きくすることができるエレベータの乗りかご用かご室およびエレベータの乗りかごを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、エレベータの乗りかご用かご室において、底面と、底面に固定された複数の側面と、各側面に連結手段を介して連結された天井とを備え、各連結手段は、対応する側面と天井との間の距離を調整でき、これによって、天井は各側面に対して乗りかごが運転されている場合に設定される第1位置、および乗りかごの保守作業が行われている場合に設定される第1位置より下方の第2位置をとることができることを特徴とするエレベータの乗りかご用かご室である。
【0011】
本発明は、各々の側面と天井との間であって対応する連結手段よりも内側に配置されたスペーサーを更に備え、各スペーサーは、天井が第1位置にあるとき、対応する側面と天井との間の距離に一致する高さを有するとともに、対応する側面の幅に一致する幅を有することを特徴とするエレベータの乗りかご用かご室である。
【0012】
本発明は、前記天井は、水平板と、水平板の周縁から上方へ立ち上がる立上板と、立上板の上端から水平方向外方に延び連結手段に係合する耳部とを有し、天井が第1位置をとるとき、各側面の上方部分は側方からみたとき立上板と互いに重なることを特徴とするエレベータの乗りかご用かご室である。
【0013】
本発明は、各連結手段は、各側面と天井との間に介挿されたジョッキアップボルトを有することを特徴とするエレベータの乗りかご用かご室である。
【0014】
本発明は、各連結手段のジャッキアップボルトに、モーターからなる調整機構が連結されていることを特徴とするエレベータの乗りかご用かご室である。
【0015】
本発明は、前記調整機構のモーターは、遠隔制御により制御されることを特徴とするエレベータの乗りかご用かご室である。
【0016】
本発明は、エレベータの乗りかご用かご室と、鉛直方向に延び、前記乗りかご用かご室を支持する一対の立枠と、水平方向に延び、前記一対の立枠に連結されるとともに、前記乗りかご用かご室の上方に前記乗りかご用かご室と所定間隔をおいて配置された上梁と、水平方向に延び、前記一対の立枠に連結されるとともに、前記乗りかご用かご室の下方に位置する下梁と、を備え、前記乗りかご用かご室は、底面と、底面に固定された複数の側面と、各側面に連結された天井とを有し、前記上梁は、前記一対の立枠にそれぞれ連結された一対の端部と、一対の端部の間に位置する中央部とからなり、この中央部は、各端部に対して取り外し可能となっていることを特徴とするエレベータの乗りかごである。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように、本発明によれば、連結手段の鉛直方向の高さを調整することにより、天井を各側面に対して第1位置までもってくる。そしてこの状態で乗りかごを運転することができる。次に連結手段の鉛直方向の高さを調整することにより天井を引き下げて、天井を各側面に対して第2位置までもってくる。このことにより、天井と上梁との間の距離を大きくとることができ、天井に設置された照明装置の蛍光灯を交換したりする保守作業を容易かつ簡単に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1(a)(b)は本発明の第1の実施例の形態における側面と天井の連結構造を示す図。
【図2】図2(a)はエレベータの乗りかごを示す側面図、図2(b)はエレベータの乗りかごを示す平面図。
【図3】エレベータの乗りかご用かご室を示す側面図。
【図4】図4(a)(b)は、本発明の第2の実施の形態における側面と天井の連結構造を示す図。
【図5】図5(a)(b)は、本発明の第3の実施の形態における側面と天井の連結構造を示す図。
【図6】図6(a)は、本発明の第4の実施の形態におけるエレベータの乗りかごを示す側断面図、図6(b)はその側面と天井の連結構造を示す図。
【図7】図7(a)は、本発明の第5の実施の形態におけるエレベータの乗りかごを示す斜視図。
【図8】図8(a)は、一対の端部に中央部が連結された状態を示す側面図であって、図8(b)はそのB−B線断面図、図8(c)は一対の端部間に連結材45が設けられた状態を示す側面図であって、図8(d)はそのD−D線断面、図8(e)は一対の端部間から中央部を取外した状態を示す図であって、図8(f)はそのF−F線断面図。
【図9】図9は従来のエレベータの乗りかごを示す斜視図。
【図10】図10(a)はエレベータの乗りかごを示す概略側面図、図10(b)はエレベータの乗りかごを示す拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
第一の実施の形態
以下、図面を参照して本発明の第1の実施の形態について説明する。
【0020】
図1(a)(b)乃至図3は、本発明の第1の実施の形態を示す図である。まず図2および図3により発明によるエレベータの乗りかご10について説明する。エレベータの乗りかご10はエレベータの乗りかご用かご室11と、鉛直方向に延び乗りかご用かご室11を支持する一対の立枠16と、水平方向に延び一対の立枠16に連結されるとともに乗りかご用かご室11の上方にかご室11と所定間隔をおいて配置された上梁17と、水平方向に延び一対の立枠16に連結されるとともに乗りかご用かご室11の下方に位置する下梁15とを備えている。
【0021】
また乗りかご用かご室11は図3に示すように、底面12と、底面12に固定された4つの側面13,13,13,13と、各側面13,13,13,13に連結された天井14とを有している。4つの側面13,13,13,13のうち、一つの側面13は開閉用側面となっている。
【0022】
さらにかご室11の天井14には照明装置21が設置され、この照明装置21には複数の蛍光灯22が内蔵されている。またかご室11の天井14と上梁17との間には上述のように所定の間隔が形成されている。
【0023】
このような構成からなるエレベータの乗りかご10は図2(a)(b)に示すように、昇降路1内をガイドレール2に沿って上下方向に昇降できる。すなわちエレベータの乗りかご10はロープ20により吊り下げられて支持されており、乗りかご10を吊り下げて支持するロープ20は巻上機5およびシーブ6に巻け渡されて、吊り合いおもり7に連結されている。そして巻上機5によりロープ20を駆動することにより、乗りかご10はガイドレール2に沿って昇降路1内を上下方向に昇降することができる。
【0024】
ところで図1(a)(b)に示すように、乗りかご用かご室11の天井14は各側面13,13,13,13に、頭部30aを有するジャッキアップボルト(連結手段)30を介して連結されている。このジャッキアップボルト30は対応する側面13と、天井14との間の距離を調整可能に側面13と天井14とを連結する。
【0025】
具体的にはジャッキアップボルト30は側面13の上端から水平方向外方に延びる耳部13aと、天井14とを貫通し、このジャッキアップボルト30に、上部ナット31と下部ナット32とが係合している。そして上部ナット31と下部ナット32とを緩め、ジャッキアップボルト30の頭部3aを回動させ、側面13に対して天井14を昇降させた後、上部ナット31を天井14に対して締め付け、下部ナット32を側面13の耳部13aに対して締め付け、このようにして側面13と天井14との間の距離を調整することができる。なお、各側面13の上端と天井14との間に、側面13と天井14との間の隙間を埋めるスペーサー33が配置され、このスペーサー33により各側面13と天井14との間を密閉することができる。
【0026】
この場合、スペーサー33は天井14が第1位置にあるとき、対応する側面13と天井14との間の距離に一致する高さと、側面13の幅に一致する幅を有している。
【0027】
次にこのような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。
【0028】
まず図1(a)(b)に示すように、エレベータの乗りかご用かご室11において、各側面13の上端と天井14との間の隙間にスペーサー33を介在させ、ジャッキアップボルト30に取付けられた上部ナット31を天井14に対して締め付けるとともに、下部ナット32を側面13の耳部13aに対して締め付ける。このようにして天井14は各側面13に対して第1位置をとることができる(図1(a)に示す位置)。
【0029】
天井14を各側面13に対して第1位置に固定した後、エレベータの乗りかご10を運転することができる。
【0030】
次にエレベータの乗りかご10の保守点検時に、ジャッキアップボルト30に取付けられた上部ナット31を天井14から緩めるとともに、下部ナット32を側面13の耳部13aから緩める。次に各側面13の上端と天井14との間からスペーサー33を取外し、次にジャッキアップボルト30の頭部30aを回動させて、各側面13に対して天井14を降下させる。
【0031】
次に上部ナット31を天井14に対して締め付け、下部ナット32を側面13の耳部13aに対して締め付ける。このようにして各側面13に対して天井14を第2位置までもってきて固定することができる(図1(b)に示す位置)。
【0032】
このように各側面13に対して天井14を降下させて第2位置までもってくることによって、天井14と上梁17との間の距離を大きくとることができ、作業者は照明装置21の蛍光灯22の交換、清掃等の保守作業を天井14と上梁17との間の空間を利用して容易かつ簡単に行なうことができる。
【0033】
第2の実施の形態
次に本発明の第2の実施の形態について、図4(a)(b)により説明する。図4(a)(b)に示す第2の実施の形態はジャッキアップボルト30の構造が異なるのみであり、他の構成は図1(a)(b)乃至図3に示す第1の実施の形態と同一である。
【0034】
図4(a)(b)に示す第2の実施の形態において、図1(a)(b)乃至図3に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0035】
図4(a)(b)に示すように、各側面13の耳部13aと天井14とを貫通してジャッキアップボルト30が設けられている。そしてこのジャッキアップボルト30の頭部30aにモーター軸35bを介してモーター(調整機構)35aが連結され、このモーター35aによってジャッキアップボルト30を回動させることができる。
【0036】
次にこのような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。
【0037】
まず図4(a)(b)に示すように、エレベータの乗りかご用かご室11において、各側面13の上端と天井14との間の隙間にスペーサー33を介在させ、ジャッキアップボルト30に取付けられた上部ナット31を天井14に対して締め付けるとともに、下部ナット32を側面13の耳部13aに対して締め付ける。このようにして天井14は各側面13に対して第1位置をとることができる(図4(a)に示す位置)。
【0038】
天井14を各側面13に対して第1位置に固定した後、エレベータの乗りかご10を運転することができる。
【0039】
次にエレベータの乗りかご10の保守点検時に、ジャッキアップボルト30に取付けられた上部ナット31を天井14から緩めるとともに、下部ナット32を側面13の耳部13aから緩める。次に各側面13の上端と天井14との間からスペーサー33を取外し、次にモーター35aによってジャッキアップボルト30の頭部3aを回動させ、各側面13に対して天井14を降下させる。
【0040】
次に上部ナット31を天井14に対して締め付け、下部ナット32を側面13の耳部13aに対して締め付ける。このようにして各側面13に対して天井14を第2位置までもってきて固定することができる(図4(b)に示す位置)。
【0041】
このように各側面13に対して天井14を降下させて第2位置までもってくることによって、天井14と上梁17との間の距離を大きくとることができ、作業者は照明装置21の蛍光灯22の交換、清掃等の保守作業を天井14と上梁17との間の空間を利用して容易かつ簡単に行なうことができる。
【0042】
また天井14をモーター35aにより上昇または降下させることができ、このため天井14の昇降作業を容易に行なうことができる。
【0043】
第3の実施の形態
次に本発明の第3の実施の形態について、図5(a)(b)により説明する。図5(a)(b)に示す第3の実施の形態はジャッキアップボルト30の構造が異なるのみであり、他の構成は図1(a)(b)乃至図3に示す第1の実施の形態および図4(a)(b)に示す第2の実施の形態と同一である。
【0044】
図5(a)(b)に示す第2の実施の形態において、図1(a)(b)乃至図3に示す第1の実施の形態および図4(a)(b)に示す第2の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0045】
図5(a)(b)に示すように、各側面13の耳部13aと天井14とを貫通してジャッキアップボルト30が設けられている。そしてこのジャッキアップボルト30の頭部30aにモーター軸35bを介してモーター(調整機構)35aが連結され、このモーター35aによってジャッキアップボルト30を回動させることができる。ところで、ジャッキアップボルト30に連結されたモーター35aは、遠隔操作スイッチ36により遠隔操作される。
【0046】
次にこのような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。
【0047】
まず図5(a)(b)に示すように、エレベータの乗りかご用かご室11において、各側面13の上端と天井14との間の隙間にスペーサー33を介在させ、ジャッキアップボルト30に取付けられた上部ナット31を天井14に対して締め付けるとともに、下部ナット32を側面13の耳部13aに対して締め付ける。このようにして天井14は各側面13に対して第1位置をとることができる(図5(a)に示す位置)。
【0048】
天井14を各側面13に対して第1位置に固定した後、エレベータの乗りかご10を運転することができる。
【0049】
次にエレベータの乗りかご10の保守点検時に、ジャッキアップボルト30に取付けられた上部ナット31を天井14から緩めるとともに、下部ナット32を側面13の耳部13aから緩める。次に各側面13の上端と天井14との間からスペーサー33を取外し、次に遠隔操作スイッチ36によりモーター35aを駆動してジャッキアップボルト30の頭部30aを回動させて、各側面13に対して天井14を降下させる。
【0050】
次に上部ナット31を天井14に対して締め付け、下部ナット32を側面13の耳部13aに対して締め付ける。このようにして各側面13に対して天井14を第2位置までもってきて固定することができる(図5(b)に示す位置)。
【0051】
このように各側面13に対して天井14を降下させて第2位置までもってくることによって、天井14と上梁17との間の距離を大きくとることができ、作業者は照明装置21の蛍光灯22の交換、清掃等の保守作業を天井14と上梁17との間の空間を利用して容易かつ簡単に行なうことができる。
【0052】
また遠隔操作スイッチ36によりモーター35aを駆動してジャッキアップボルト30の頭部30aを回動させ、このことにより天井14を上昇または降下させることができる。このため、天井14の昇降作業を容易に行なうことができる。
【0053】
第4の実施の形態
次に本発明の第4の実施の形態について、図6(a)(b)により説明する。図6(a)(b)に示す第4の実施の形態は各側板13と天井14との連結構造が異なるのみであり、他の構成は図1(a)(b)乃至図3に示す第1の実施の形態と同一である。
【0054】
図6(a)(b)に示す第4の実施の形態において、図1(a)(b)乃至図3に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0055】
図4(a)(b)に示すように、天井14は側板13間に延びる水平板14と、水平面14の周縁から上方へ立ち上がる立上板14bと、立上板14bの上端から水平方向外方に延びる耳部14cと、耳部14cから垂直方向上方に延びる垂直板14dとを有している。そして各側面13の耳部13aと天井14の耳部14bとを貫通してジャッキアップボルト30が設けられている。そして天井14が第1位置にあるとき、各側面13の上方部分13bは側方からみたとき、立上板14bと互いに重なり合う。このため天井14の耳部14cと、側面13の耳部13aとの間の間隙は、立上板14bにより覆われる。
【0056】
次にこのような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。
【0057】
まず図6(a)(b)に示すように、エレベータの乗りかご用かご室11において、天井14を第1位置にもってきて、各側面13の耳部13aと天井14の耳部14aとの間の隙間を天井14の立上板14bにより覆う。次にジャッキアップボルト30に取付けられた上部ナット31を天井14に対して締め付けるとともに、下部ナット32を側面13の耳部13aに対して締め付ける。このようにして天井14は各側面13に対して第1位置をとることができる(図6(a)に示す位置)。
【0058】
天井14を各側面13に対して第1位置に固定した後、エレベータの乗りかご10を運転することができる。
【0059】
次にエレベータの乗りかご10の保守点検時に、ジャッキアップボルト30に取付けられた上部ナット31を天井14から緩めるとともに、下部ナット32を側面13の耳部13aから緩める。次にジャッキアップボルト30の頭部30aを回動させて、各側面13に対して天井14を降下させる。
【0060】
次に上部ナット31を天井14に対して締め付け、下部ナット32を側面13の耳部13aに対して締め付ける。このようにして各側面13に対して天井14を第2位置までもってきて固定することができる。
【0061】
このように各側面13に対して天井14を降下させて第2位置までもってくることによって、天井14と上梁17との間の距離を大きくとることができ、作業者は照明装置21の蛍光灯22の交換、清掃等の保守作業を天井14と上梁17との間の空間を利用して容易かつ簡単に行なうことができる。
【0062】
また各側面13に対して天井14を上昇させた第1位置にもってきた場合であっても(図6(b)の位置)、側面13の耳部13aと天井14の耳部14cとの間の間隙を天井14の立上板14bにより覆うことができる。このため側面13の耳部13aと天井14の耳部14cとの間の間隙を覆うため、別個独立したスペーサーを準備する必要はない。
【0063】
第5の実施の形態
次に本発明の第5の実施の形態について、図7および図8(a)−(f)により説明する。図7および図8(a)−(f)に示す第5の実施の形態において、上梁17は一対の立枠16,16にそれぞれ連結された一対の端部17a,17aと、一対の端部17a,17a間に位置し、この端部17a,17aに連結された中央部17bとを有している。
【0064】
図7および図8(a)−(f)に示す第5の実施の形態において、図1(a)(b)乃至図3に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0065】
エレベータの乗りかご10はエレベータの乗りかご用かご室11と、鉛直方向に延び乗りかご用かご室11を支持する一対の立枠16と、水平方向に延び一対の立枠16に連結されるとともに乗りかご用かご室11の上方に位置する上梁17と、水平方向に延び一対の立枠16に連結されるとともに乗りかご用かご室11の下方に位置する下梁15とを備えている。
【0066】
また乗りかご用かご室11は図7に示すように、底面12と、底面12に固定された4つの側面13,13,13,13と、各側面13,13,13,13に連結された天井14とを有している。4つの側面13,13,13,13のうち、一つの側面13は開閉用側面となっている。
【0067】
さらにかご室11の天井14には照明装置21が設置され、この照明装置21には複数の蛍光灯22が内蔵されている。またかご室11の天井14と上梁17との間には所定の間隔が形成されている。
【0068】
このような構成からなるエレベータの乗りかご10において、上梁17に連結棒40を介して連結された支持板41にロープ20が取り付けられ、この乗りかご10はロープ20により吊り下げられて支持されている。
【0069】
また上梁17は一対の立枠16,16に各々連結された一対の端部17a,17aと、一対の端部17a,17a間に位置する中央部17bとを有し、中央部17bは各端部17aに締結具42により連結されている。
【0070】
ところで、エレベータの乗りかご用かご室11において、各側面13は耳部13aを有している。各側面13と天井14は、側面の耳部13aと天井14にボルト24を挿通させ、このボルト24にナット25を係合させることにより互いに固定される。
【0071】
次にこのような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。
【0072】
まず図8(a)(b)に示すように、エレベータの乗りかご10において、上梁17の一対の端部17a,17aに中央部17bが締結具42により連結され、このようにして一対の端部17a,17aと中央部17bとが堅固に固定される。この状態でエレベータの乗りかご10を運転することができる。
【0073】
次にエレベータの乗りかごの保守点検時に、まず一対の端部17a,17aと中央部17bとを連結する締結具42が取外され、締結具42の代わりに、一対の端部17a,17a間に延びる連結材45が一対の端部17a,17aに各々固定される(図8(c)(d))。その後、一対の端部17a,17aの間から中央部17bが取外される(図8(e)(f))。
【0074】
なお、一対の端部17a,17aと中央部17bとを連結する締結具42を取外した後、一対の端部17a,17a間から中央部17bを取外し、その後に一対の端部17a,17a間に連結材45を設け、連結材45を一対の端部17a,17aに固定してもよい。
【0075】
このように一対の端部17a,17a間から中央部17bを取外すことによって、照明装置21の上方に中央部17bの配置領域に相当する空間を形成することができる。作業者は中央部17bの配置領域に相当する空間から、照明装置21の蛍光灯22の交換、清掃等の保守作業を容易かつ簡単に行なうことができる。
【符号の説明】
【0076】
10 エレベータの乗りかご
11 乗りかご用かご室
12 底面
13 側面
13a 耳部
14 天井
14a 水平板
14b 立上板
14c 耳部
15 下梁
16 立枠
17 上梁
17a 端部
17b 中央部
21 照明装置
22 蛍光灯
30 ジャッキアップボルト
30a 頭部
31 上部ナット
32 下部ナット
33 スペーサー
35a モーター
35b モーター軸
36 遠隔操作スイッチ
42 締結具
45 連結材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータの乗りかご用かご室において、
底面と、
底面に固定された複数の側面と、
各側面に連結手段を介して連結された天井とを備え、
各連結手段は、対応する側面と天井との間の距離を調整でき、これによって、天井は各側面に対して乗りかごが運転されている場合に設定される第1位置、および乗りかごの保守作業が行われている場合に設定される第1位置より下方の第2位置をとることができることを特徴とするエレベータの乗りかご用かご室。
【請求項2】
各々の側面と天井との間であって対応する連結手段よりも内側に配置されたスペーサーを更に備え、
各スペーサーは、天井が第1位置にあるとき、対応する側面と天井との間の距離に一致する高さを有するとともに、対応する側面の幅に一致する幅を有することを特徴とする請求項1に記載のエレベータの乗りかご用かご室。
【請求項3】
前記天井は、水平板と、水平板の周縁から上方へ立ち上がる立上板と、立上板の上端から水平方向外方に延び連結手段に係合する耳部とを有し、天井が第1位置をとるとき、各側面の上方部分は側方からみたとき立上板と互いに重なることを特徴とする請求項1に記載のエレベータの乗りかご用かご室。
【請求項4】
各連結手段は、各側面と天井との間に介挿されたジャッキアップボルトを有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のエレベータの乗りかご用かご室。
【請求項5】
各連結手段のジョッキアップボルトに、モーターからなる調整機構が連結されていることを特徴とする請求項4に記載のエレベータの乗りかご用かご室。
【請求項6】
前記調整機構のモーターは、遠隔制御により制御されることを特徴とする請求項5に記載のエレベータの乗りかご用かご室。
【請求項7】
エレベータの乗りかご用かご室と、
鉛直方向に延び、前記乗りかご用かご室を支持する一対の立枠と、
水平方向に延び、前記一対の立枠に連結されるとともに、前記乗りかご用かご室の上方に前記乗りかご用かご室と所定間隔をおいて配置された上梁と、
水平方向に延び、前記一対の立枠に連結されるとともに、前記乗りかご用かご室の下方に位置する下梁と、を備え、
前記乗りかご用かご室は、底面と、底面に固定された複数の側面と、各側面に連結された天井とを有し、
前記上梁は、前記一対の立枠にそれぞれ連結された一対の端部と、一対の端部の間に位置する中央部とからなり、この中央部は、各端部に対して取り外し可能となっていることを特徴とするエレベータの乗りかご。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−173788(P2010−173788A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−18032(P2009−18032)
【出願日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【出願人】(390025265)東芝エレベータ株式会社 (2,543)
【Fターム(参考)】