エレベータの乗場扉引き込まれ防止装置
【課題】かごが停止階に接近し、かごが停止する速度まで減速していることを検出したら、乗場扉の開動作への注意を喚起するためのメッセージを早目にアナウンスするエレベータの乗場扉引き込まれ防止装置を得る。
【解決手段】かごが停止階に接近し、かごが停止する速度まで減速していることを検出するかご減速検出装置と、乗場に所定のメッセージをアナウンスするアナウンス手段と、アナウンス制御手段とを備え、呼びが発生したことを検出した場合、利用者に乗場扉が開動作することを事前に予告するメッセージをアナウンスし、次いでかご減速検出装置により、かごが停止階に接近し、かごが停止する速度まで減速していることを検出した場合には、乗場の利用者に乗場扉の開動作への注意を喚起するためのメッセージをアナウンスする。
【解決手段】かごが停止階に接近し、かごが停止する速度まで減速していることを検出するかご減速検出装置と、乗場に所定のメッセージをアナウンスするアナウンス手段と、アナウンス制御手段とを備え、呼びが発生したことを検出した場合、利用者に乗場扉が開動作することを事前に予告するメッセージをアナウンスし、次いでかご減速検出装置により、かごが停止階に接近し、かごが停止する速度まで減速していることを検出した場合には、乗場の利用者に乗場扉の開動作への注意を喚起するためのメッセージをアナウンスする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
この発明は、乗客の手や指が乗場扉と出入口柱との隙間に引き込まれるのを防止するエレベータの乗場扉引き込まれ防止装置に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
従来、エレベータの乗場扉安全装置として、乗場昇呼び釦の点灯・消灯を検出する昇呼びセンサと、乗場降呼び釦の点灯・消灯を検出する降呼びセンサと、乗場の利用者に所望のメッセージをアナウンスするアナウンス手段と、上記昇呼びセンサおよび上記降呼びセンサの検出信号に基づいて上記アナウンス手段を作動させる制御手段とを備え、上記制御手段は、上記昇呼びセンサおよび上記降呼びセンサの検出信号から上記乗場昇呼び釦および上記乗場降呼び釦の少なくとも一方が点灯したと判定した場合に、上記アナウンス手段を作動させて上記利用者に乗場扉が開動作することを意識付ける第１メッセージをアナウンスさせ、ついで上記昇呼びセンサおよび上記降呼びセンサの検出信号から点灯していた上記乗場昇呼び釦および上記乗場降呼び釦が消灯したと判定した場合に、上記アナウンス手段を作動させて上記利用者に上記乗場扉の開動作への注意を喚起させる第２メッセージをアナウンスさせるように構成されたものが提案されている（例えば、特許文献１参照）。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００３】
【特許文献１】特開２００８−１５０１５５号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
従来のエレベータの乗場扉安全装置は、乗場呼び釦が押され応答ランプが点灯した時、「ドアから離れてお待ち下さい」等の予告の第１メッセージをアナウンスし、次いで、かごが到着し応答ランプが消灯した時、「まもなくドアが開きます。ご注意下さい」の注意喚起の第２メッセージをアナウンスしている。すなわち、この装置では、乗場呼び釦の応答ランプの消灯時に、「まもなくドアが開きます。ご注意下さい」の注意喚起の第２メッセージをアナウンスするようにしている。しかし、エレベータの機種によっては乗場扉が開き始める直前まで応答ランプが消灯しない機種や、かご位置表示が該当階に移ると消灯する機種などがある。したがって、乗場扉が開き始める直前まで応答ランプが消灯しない機種では、利用者である乗客に対して注意喚起のメッセージ効果が十分に発揮されない恐れがある。例えば、応答ランプの消灯から乗場扉が開き始めるまでの時間は３秒程度の機種から１秒に満たない機種まであり、１秒に満たない機種では注意喚起のメッセージの途中で戸開動作を行うという不都合がある。
【０００５】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、かごが停止階に接近し、かごが停止する速度まで減速していることを検出したら、乗場扉の開動作への注意を喚起するためのメッセージを早目にアナウンスするようにしたエレベータの乗場扉引き込まれ防止装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
この発明に係るエレベータの乗場扉引き込まれ防止装置においては、乗場昇り呼び登録釦の点灯、消灯を検出する昇り呼びセンサと、乗場降り呼び登録釦の点灯、消灯を検出する降り呼びセンサと、かごが停止階に接近し、かごが停止する速度まで減速していることを検出するかご減速検出装置と、乗場の利用者に所定のメッセージをアナウンスするアナウンス手段と、昇り呼びセンサ及び降り呼びセンサからの出力信号と、かご減速検出装置からの減速信号とに基づいて、アナウンス手段から所定のメッセージをアナウンスさせるアナウンス制御手段とを備え、アナウンス制御手段は、昇り呼びセンサ又は降り呼びセンサにより、呼びが発生したことを検出した場合、アナウンス手段を作動させて乗場の利用者に乗場扉が開動作することを事前に予告するメッセージをアナウンスし、次いでかご減速検出装置により、かごが停止階に接近し、かごが停止する速度まで減速していることを検出した場合には、アナウンス手段を作動させて乗場の利用者に乗場扉の開動作への注意を喚起するためのメッセージをアナウンスするものである。
【０００７】
また、かごが停止階に接近し、かごが停止する速度まで減速していることを検出するかご減速検出装置は、かごに設けられたかご検出プレートと、乗場階床の上方又は下方のかごが減速を開始してから間もなくの位置であり、かつ乗場階床から離れた位置に設けられた減速検出センサとから構成したものである。
【０００８】
また、かごが停止階に接近し、かごが停止する速度まで減速していることを検出するかご減速検出装置は、かごの乗場側下部に設けられたかご検出プレートと、乗場階床の上方及び下方のかごが減速を開始してから間もなくの位置であり、かつ乗場階床から上方及び下方に離れた位置に設けられたＤＯＷＮ減速検出センサ及びＵＰ減速検出センサとから構成したものである。
【０００９】
また、かごが停止階に接近し、かごが停止する速度まで減速していることを検出するかご減速検出装置は、かごの乗場側の全長に亘って設けられたかご検出プレートと、乗場階床の上方のかごが減速を開始してから間もなくの位置であり、かつ乗場階床から上方に離れた位置に設けられたＵＰ／ＤＯＷＮ共用減速検出センサとから構成したものである。
【００１０】
また、かご検出プレートは永久磁石からなり、減速検出センサは、上下方向に間隔を置いて配置された２個の磁気センサにより構成したものである。
【発明の効果】
【００１１】
この発明によれば、かごが停止階に接近し、かごが停止する速度まで減速していることを検出するかご減速検出装置と、乗場の利用者に所定のメッセージをアナウンスするアナウンス手段と、昇り呼びセンサ及び降り呼びセンサからの出力信号と、かご減速検出装置からの減速信号とに基づいて、アナウンス手段から所定のメッセージをアナウンスさせるアナウンス制御手段とを備え、アナウンス制御手段は、昇り呼びセンサ又は降り呼びセンサにより、呼びが発生したことを検出した場合、アナウンス手段を作動させて乗場の利用者に乗場扉が開動作することを事前に予告するメッセージをアナウンスし、次いでかご減速検出装置により、かごが停止階に接近し、かごが停止する速度まで減速していることを検出した場合には、アナウンス手段を作動させて乗場の利用者に乗場扉の開動作への注意を喚起するためのメッセージをアナウンスするようにしたので、乗客の手や指が乗場扉と出入口柱との隙間に引き込まれるのを確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【００１２】
【図１】この発明の実施例１におけるエレベータの乗場扉引き込まれ防止装置を備えたエレベータ乗場の正面図である。
【図２】この発明の実施例１におけるエレベータの乗場扉引き込まれ防止装置の構成を示すシステム構成図である。
【図３】この発明の実施例１におけるエレベータの乗場扉引き込まれ防止装置の要部構成を示すシステム構成図である。
【図４】この発明の実施例１におけるエレベータの乗場扉引き込まれ防止装置の減速検出センサの取付位置を示す概念図である。
【図５】この発明の実施例１におけるエレベータの乗場扉引き込まれ防止装置のＵＰ／ＤＯＷＮ減速検出センサの取付位置とかご検出プレートの取付位置を示す構成図である。
【図６】この発明の実施例１におけるエレベータの乗場扉引き込まれ防止装置の減速検出センサの取付例を示す構成図である。
【図７】この発明の実施例１におけるエレベータの乗場扉引き込まれ防止装置の減速検出センサの磁気センサの動作例を説明するための説明図である。
【図８】この発明の実施例１におけるエレベータの乗場扉引き込まれ防止装置の全体動作を説明するためのフローチャートである。
【図９】この発明の実施例２におけるエレベータの乗場扉引き込まれ防止装置のＵＰ／ＤＯＷＮ共用減速検出センサの取付位置とかご検出プレートの取付位置を示す構成図である。
【図１０】この発明の実施例２におけるエレベータの乗場扉引き込まれ防止装置のＵＰ／ＤＯＷＮ共用減速検出センサの磁気センサの動作例を説明するための説明図である。
【図１１】この発明の実施例２におけるエレベータの乗場扉引き込まれ防止装置のＵＰ／ＤＯＷＮ共用減速検出センサによる減速チェック動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【００１３】
実施例１．
図１はこの発明の実施例１におけるエレベータの乗場扉引き込まれ防止装置を備えたエレベータ乗場の正面図、図２はエレベータの乗場扉引き込まれ防止装置の構成を示すシステム構成図、図３はエレベータの乗場扉引き込まれ防止装置の要部構成を示すシステム構成図、図４は減速検出センサの取付位置を示す概念図、図５はＵＰ／ＤＯＷＮ減速検出センサの取付位置とかご検出プレートの取付位置を示す構成図、図６は減速検出センサの取付例を示す構成図、図７は減速検出センサの磁気センサの動作例を説明するための説明図、図８はエレベータの乗場扉引き込まれ防止装置の全体動作を説明するためのフローチャートである。
【００１４】
図１及び図２において、１はエレベータ乗場、２は乗場扉で、かごが到着すると左右に開かれる。３はエレベータ乗場１の壁に設けられた乗場操作盤、４、５は乗場操作盤３に設けられた乗場昇り呼び登録釦及び乗場降り呼び登録釦で、利用者が押すと呼び信号を出力すると共に応答ランプが点灯するように構成されている。６は乗場操作盤３に設けられたかご位置表示器である。そして、エレベータ制御装置（図示せず）は、乗場昇り呼び登録釦４及び乗場降り呼び登録釦５の呼び信号を入力し、当該階の呼びを登録し、かごが当該階に着床するようにようにかごの運行を制御する。また、エレベータ制御装置は、かごが当該階に着床する際に、点灯している乗場昇り呼び登録釦４及び乗場降り呼び登録釦５の応答ランプを消灯する。更に、エレベータ制御装置は、かごの現在階位置を位置表示器６に表示させる。そこで、利用者は、乗場昇り呼び登録釦４及び乗場降り呼び登録釦５の応答ランプが点灯することで、当該階の呼びが登録されたことを認識することができ、また乗場昇り呼び登録釦４及び乗場降り呼び登録釦５の応答ランプが消灯することで、かごが当該階に着床することを認識することができる。また、利用者は、位置表示器６の表示からかごの現在位置を認識できる。７は乗場昇り呼び登録釦４の応答ランプの点灯、消灯を検出する昇り呼びセンサであり、この昇り呼びセンサ７は、フォトダイオード等からなる受光素子で構成され、乗場昇り呼び登録釦４に接近して乗場操作盤３内に設けられ、乗場昇り呼び登録釦４の応答ランプの点灯を受光してＯＮ信号を出力する。８は乗場降り呼び登録釦５の応答ランプの点灯、消灯を検出する降り呼びセンサであり、この降り呼びセンサ８は、フォトダイオード等からなる受光素子で構成され、乗場降り呼び登録釦５に接近して乗場操作盤３内に設けられ、乗場降り呼び登録釦５の応答ランプの点灯を受光してＯＮ信号を出力する。９はエレベータ乗場１に設けられたアナウンス手段としてのスピーカ、１０は後述するＵＰ減速検出センサから送られてくるＵＰ減速信号、１１は後述するＤＯＷＮ減速検出センサから送られてくるＤＯＷＮ減速信号である。１２は昇り呼びセンサ７及び降り呼びセンサ８からの出力信号と、ＵＰ減速信号１０及びＤＯＷＮ減速信号１１とに基づいてスピーカ９を作動し、所定の乗場扉引き込まれ防止のためのメッセージＡ、Ｂをエレベータ乗場１にアナウンスさせる制御手段としてのアナウンス制御装置である。このアナウンス制御装置１２は、乗場呼び登録釦４、５が押されて応答ランプが点灯した時、「ドアから離れてお待ち下さい」等の乗場扉２を開動作することを事前に予告するメッセージＡをエレベータ乗場１にアナウンスし、次いで、かごが停止階に接近し、停止する速度まで減速していることを検出した時、「まもなくドアが開きます。ご注意下さい」等の乗場扉２の開動作への注意を喚起するためのメッセージＢを早目にエレベータ乗場１にアナウンスする。
【００１５】
図３〜図７において、１３はエレベータのかご、１４はかご１３の乗場側下端部に設けられた永久磁石からなるかご検出プレート、１５は各乗場階床の約１０００ｍｍ程上方のかごが減速を開始してから間もなく（直ぐ）の位置であり、かつ乗場階床から離れた位置に設けられたＤＯＷＮ減速検出センサで、図６に示すように、上下方向に約５０ｍｍの間隔を置いて２個の磁気センサＡ、Ｂが配置された構成である。１６は各乗場階床の約１０００ｍｍ程下方のかごが減速を開始してから間もなく（直ぐ）の位置であり、かつ乗場階床から離れた位置に設けられたＵＰ減速検出センサで、図６に示すように、上下方向に約５０ｍｍの間隔を置いて２個の磁気センサＡ、Ｂが配置された構成である。上記かご検出プレート１４、ＤＯＷＮ減速検出センサ１５及びＵＰ減速検出センサ１６によりかご減速検出装置が構成されている。また、減速検出センサ１５、１６の設置位置については、図４に示すように、例えばエレベータの定格速度が６０ｍ／ｍｉｎの場合又は４５ｍ／ｍｉｎの場合を考えると、かごが停止階に接近し、停止する速度まで減速していることを検出するには、停止階の階床から約１０００ｍｍの位置に、４０〜３５ｍ／ｍｉｎ（平均で３７．２５ｍ／ｍｉｎ）の速度に減速していることを検出するＤＯＷＮ減速検出センサ１５及びＵＰ減速検出センサ１６を設置することにより実現可能なことが判る。
上記のように、かご検出プレート１４に永久磁石を使用し、ＤＯＷＮ／ＵＰ減速検出センサ１５、１６に２個の磁気センサＡ、Ｂを５０ｍｍ間隔で取り付けた場合を例にして説明すると、図７に示すように、ＤＯＷＮ減速検出センサ１５の場合、磁気センサＡが動作後、磁気センサＢが動作するまでの時間ＴＸは、３７．５ｍ／ｍｉｎ＝３１．２５ｍＳｅｃを判定基準として、ＴＸ≧３１．２５ｍＳｅｃの時、エレベータは到着せずに通過すると判定し、メッセージＢはアナウンスしない。一方、ＴＸ＜３１．２５ｍＳｅｃの時、エレベータは到着して乗場扉が開くと判定し、メッセージＢをエレベータ乗場１にアナウンスする。また、ＵＰ減速検出センサ１６の場合、磁気センサＢが動作後、磁気センサＡが動作するまでの時間ＴＸは、３７．５ｍ／ｍｉｎ＝３１．２５ｍＳｅｃを判定基準として、ＴＸ≧３１．２５ｍＳｅｃの時、エレベータは到着せずに通過すると判定し、メッセージＢはアナウンスしない。一方、ＴＸ＜３１．２５ｍＳｅｃの時、エレベータは到着して乗場扉が開くと判定し、メッセージＢをエレベータ乗場１にアナウンスする。これにより、かごが停止階に接近し、停止する速度まで減速していることを検出した時、「まもなくドアが開きます。ご注意下さい」等の乗場扉２の開動作への注意を喚起するためのメッセージＢを従来の装置よりも早目にエレベータ乗場１にアナウンスすることができるので、乗客の手や指が乗場扉と出入口柱との隙間に引き込まれるのを確実に防止することができる。
【００１６】
次に、エレベータの乗場扉引き込まれ防止装置の全体動作を図８により説明する。
先ず、ステップＳ１で乗場昇り呼び登録釦４又は乗場降り呼び登録釦５が押されたりして、呼びが発生したか否かを判定する。ステップＳ１で呼びが発生した場合、アナウンス制御装置１２は、スピーカ９から「ドアから離れてお待ち下さい」等の乗場扉２を開動作することを事前に予告するメッセージＡをエレベータ乗場１にアナウンスする（ステップＳ２）。次に、ステップＳ３に進み、かごが停止階に接近し、停止する速度まで減速していることを検出したか否かを判定する。この減速検出は、かご検出プレート１４と、ＤＯＷＮ／ＵＰ減速検出センサ１５、１６とによって行われる。ステップＳ３でかごが停止階に接近し、停止する速度まで減速していることを検出した時は、「まもなくドアが開きます。ご注意下さい」等の乗場扉２の開動作への注意を喚起するためのメッセージＢを早目にエレベータ乗場１にアナウンスする（ステップＳ４）。なお、ステップＳ３でかごが停止階に接近し、停止する速度まで減速していることを検出しない場合は、新たな呼びの発生を待つことになる（ステップＳ５）。また、ステップＳ４の後は、呼びが無くなるまで（ステップＳ６）、ステップＳ３〜Ｓ６を繰り返す。
【００１７】
実施例２．
図９はこの発明の実施例２におけるエレベータの乗場扉引き込まれ防止装置のＵＰ／ＤＯＷＮ共用減速検出センサの取付位置とかご検出プレートの取付位置を示す構成図、図１０はＵＰ／ＤＯＷＮ共用減速検出センサの磁気センサの動作例を説明するための説明図、図１１はエレベータの乗場扉引き込まれ防止装置のＵＰ／ＤＯＷＮ共用減速検出センサによる減速チェック動作を説明するためのフローチャートである。
【００１８】
図９及び図１０において、１７はかご１３の乗場側の全長に亘って設けられた永久磁石からなるかご検出プレート、１８は各乗場階床の約１０００ｍｍ程上方のかごが減速を開始してから間もなく（直ぐ）の位置であり、かつ乗場階床から離れた位置に設けられたＵＰ／ＤＯＷＮ共用減速検出センサで、図６に示すように、上下方向に約５０ｍｍの間隔を置いて２個の磁気センサＡ、Ｂが配置された構成である。上記かご検出プレート１７及びＵＰ／ＤＯＷＮ共用減速検出センサ１８によりかご減速検出装置が構成されている。
上記のように、かご検出プレート１７に永久磁石を使用し、ＤＯＷＮ／ＵＰ共用減速検出センサ１８に２個の磁気センサＡ、Ｂを５０ｍｍ間隔で取り付けた場合を例にして説明すると、図１０に示すように、ＵＰ動作の場合、磁気センサＢがＯＮ動作後、磁気センサＡがＯＮ動作するまでの時間ＵＴＸは、３７．５ｍ／ｍｉｎ＝３１．２５ｍＳｅｃを判定基準として、ＵＴＸ≧３１．２５ｍＳｅｃの時、エレベータは到着せずに通過すると判定し、メッセージＢはアナウンスしない。一方、ＵＴＸ＜３１．２５ｍＳｅｃの時、エレベータは到着して乗場扉が開くと判定し、メッセージＢをエレベータ乗場１にアナウンスする。また、ＤＯＷＮ動作の場合、磁気センサＡがＯＮ動作後、磁気センサＢがＯＮ動作するまでの時間ＤＴＸは、３７．５ｍ／ｍｉｎ＝３１．２５ｍＳｅｃを判定基準として、ＤＴＸ≧３１．２５ｍＳｅｃの時、エレベータは到着せずに通過すると判定し、メッセージＢはアナウンスしない。一方、ＤＴＸ＜３１．２５ｍＳｅｃの時、エレベータは到着して乗場扉が開くと判定し、メッセージＢをエレベータ乗場１にアナウンスする。なお、磁気センサＡ、Ｂが共にＯＮした後、磁気センサＡ又はＢがＯＦＦしその後磁気センサＢ又はＡがＯＦＦの動作はその階からの出発又は通過と見なす。
【００１９】
次に、エレベータの乗場扉引き込まれ防止装置のＵＰ／ＤＯＷＮ共用減速検出センサによる減速チェック動作を図１１により説明する。
ＵＰ／ＤＯＷＮ共用減速検出センサ１８による減速チェック動作では、先ず、ステップＳ１１ではＵＰ呼びがあるか否かを判定する。ステップＳ１１でＵＰ呼びがあれば、磁気センサＢがＯＮ動作後、磁気センサＡがＯＮ動作するまでの時間ＵＴＸが、ＵＴＸ＜３１．２５ｍＳｅｃの条件を満足するか否かを判定する（ステップＳ１２）。ステップＳ１２でＵＴＸ＜３１．２５ｍＳｅｃの条件を満足していれば、「まもなくドアが開きます。ご注意下さい」等の乗場扉２の開動作への注意を喚起するためのメッセージＢを早目にエレベータ乗場１にアナウンスする（ステップＳ１３）。次に、ステップＳ１４ではＤＯＷＮ呼びがあるか否かを判定する。ステップＳ１４でＤＯＷＮ呼びがあれば、磁気センサＡがＯＮ動作後、磁気センサＢがＯＮ動作するまでの時間ＤＴＸが、ＤＴＸ＜３１．２５ｍＳｅｃの条件を満足するか否かを判定する（ステップＳ１５）。ステップＳ１５でＤＴＸ＜３１．２５ｍＳｅｃの条件を満足していれば、「まもなくドアが開きます。ご注意下さい」等の乗場扉２の開動作への注意を喚起するためのメッセージＢを早目にエレベータ乗場１にアナウンスする（ステップＳ１６）。
【符号の説明】
【００２０】
１ エレベータ乗場
２ 乗場扉
３ 乗場操作盤
４ 乗場昇り呼び登録釦
５ 乗場降り呼び登録釦
６ かご位置表示器
７ 昇り呼びセンサ
８ 降り呼びセンサ
９ スピーカ
１０ ＵＰ減速信号
１１ ＤＯＷＮ減速信号
１２ アナウンス制御装置
１３ エレベータのかご
１４ かご検出プレート
１５ ＤＯＷＮ減速検出センサ
１６ ＵＰ減速検出センサ
１７ かご検出プレート
１８ ＵＰ／ＤＯＷＮ共用減速検出センサ
【技術分野】
【０００１】
この発明は、乗客の手や指が乗場扉と出入口柱との隙間に引き込まれるのを防止するエレベータの乗場扉引き込まれ防止装置に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
従来、エレベータの乗場扉安全装置として、乗場昇呼び釦の点灯・消灯を検出する昇呼びセンサと、乗場降呼び釦の点灯・消灯を検出する降呼びセンサと、乗場の利用者に所望のメッセージをアナウンスするアナウンス手段と、上記昇呼びセンサおよび上記降呼びセンサの検出信号に基づいて上記アナウンス手段を作動させる制御手段とを備え、上記制御手段は、上記昇呼びセンサおよび上記降呼びセンサの検出信号から上記乗場昇呼び釦および上記乗場降呼び釦の少なくとも一方が点灯したと判定した場合に、上記アナウンス手段を作動させて上記利用者に乗場扉が開動作することを意識付ける第１メッセージをアナウンスさせ、ついで上記昇呼びセンサおよび上記降呼びセンサの検出信号から点灯していた上記乗場昇呼び釦および上記乗場降呼び釦が消灯したと判定した場合に、上記アナウンス手段を作動させて上記利用者に上記乗場扉の開動作への注意を喚起させる第２メッセージをアナウンスさせるように構成されたものが提案されている（例えば、特許文献１参照）。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００３】
【特許文献１】特開２００８−１５０１５５号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
従来のエレベータの乗場扉安全装置は、乗場呼び釦が押され応答ランプが点灯した時、「ドアから離れてお待ち下さい」等の予告の第１メッセージをアナウンスし、次いで、かごが到着し応答ランプが消灯した時、「まもなくドアが開きます。ご注意下さい」の注意喚起の第２メッセージをアナウンスしている。すなわち、この装置では、乗場呼び釦の応答ランプの消灯時に、「まもなくドアが開きます。ご注意下さい」の注意喚起の第２メッセージをアナウンスするようにしている。しかし、エレベータの機種によっては乗場扉が開き始める直前まで応答ランプが消灯しない機種や、かご位置表示が該当階に移ると消灯する機種などがある。したがって、乗場扉が開き始める直前まで応答ランプが消灯しない機種では、利用者である乗客に対して注意喚起のメッセージ効果が十分に発揮されない恐れがある。例えば、応答ランプの消灯から乗場扉が開き始めるまでの時間は３秒程度の機種から１秒に満たない機種まであり、１秒に満たない機種では注意喚起のメッセージの途中で戸開動作を行うという不都合がある。
【０００５】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、かごが停止階に接近し、かごが停止する速度まで減速していることを検出したら、乗場扉の開動作への注意を喚起するためのメッセージを早目にアナウンスするようにしたエレベータの乗場扉引き込まれ防止装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
この発明に係るエレベータの乗場扉引き込まれ防止装置においては、乗場昇り呼び登録釦の点灯、消灯を検出する昇り呼びセンサと、乗場降り呼び登録釦の点灯、消灯を検出する降り呼びセンサと、かごが停止階に接近し、かごが停止する速度まで減速していることを検出するかご減速検出装置と、乗場の利用者に所定のメッセージをアナウンスするアナウンス手段と、昇り呼びセンサ及び降り呼びセンサからの出力信号と、かご減速検出装置からの減速信号とに基づいて、アナウンス手段から所定のメッセージをアナウンスさせるアナウンス制御手段とを備え、アナウンス制御手段は、昇り呼びセンサ又は降り呼びセンサにより、呼びが発生したことを検出した場合、アナウンス手段を作動させて乗場の利用者に乗場扉が開動作することを事前に予告するメッセージをアナウンスし、次いでかご減速検出装置により、かごが停止階に接近し、かごが停止する速度まで減速していることを検出した場合には、アナウンス手段を作動させて乗場の利用者に乗場扉の開動作への注意を喚起するためのメッセージをアナウンスするものである。
【０００７】
また、かごが停止階に接近し、かごが停止する速度まで減速していることを検出するかご減速検出装置は、かごに設けられたかご検出プレートと、乗場階床の上方又は下方のかごが減速を開始してから間もなくの位置であり、かつ乗場階床から離れた位置に設けられた減速検出センサとから構成したものである。
【０００８】
また、かごが停止階に接近し、かごが停止する速度まで減速していることを検出するかご減速検出装置は、かごの乗場側下部に設けられたかご検出プレートと、乗場階床の上方及び下方のかごが減速を開始してから間もなくの位置であり、かつ乗場階床から上方及び下方に離れた位置に設けられたＤＯＷＮ減速検出センサ及びＵＰ減速検出センサとから構成したものである。
【０００９】
また、かごが停止階に接近し、かごが停止する速度まで減速していることを検出するかご減速検出装置は、かごの乗場側の全長に亘って設けられたかご検出プレートと、乗場階床の上方のかごが減速を開始してから間もなくの位置であり、かつ乗場階床から上方に離れた位置に設けられたＵＰ／ＤＯＷＮ共用減速検出センサとから構成したものである。
【００１０】
また、かご検出プレートは永久磁石からなり、減速検出センサは、上下方向に間隔を置いて配置された２個の磁気センサにより構成したものである。
【発明の効果】
【００１１】
この発明によれば、かごが停止階に接近し、かごが停止する速度まで減速していることを検出するかご減速検出装置と、乗場の利用者に所定のメッセージをアナウンスするアナウンス手段と、昇り呼びセンサ及び降り呼びセンサからの出力信号と、かご減速検出装置からの減速信号とに基づいて、アナウンス手段から所定のメッセージをアナウンスさせるアナウンス制御手段とを備え、アナウンス制御手段は、昇り呼びセンサ又は降り呼びセンサにより、呼びが発生したことを検出した場合、アナウンス手段を作動させて乗場の利用者に乗場扉が開動作することを事前に予告するメッセージをアナウンスし、次いでかご減速検出装置により、かごが停止階に接近し、かごが停止する速度まで減速していることを検出した場合には、アナウンス手段を作動させて乗場の利用者に乗場扉の開動作への注意を喚起するためのメッセージをアナウンスするようにしたので、乗客の手や指が乗場扉と出入口柱との隙間に引き込まれるのを確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【００１２】
【図１】この発明の実施例１におけるエレベータの乗場扉引き込まれ防止装置を備えたエレベータ乗場の正面図である。
【図２】この発明の実施例１におけるエレベータの乗場扉引き込まれ防止装置の構成を示すシステム構成図である。
【図３】この発明の実施例１におけるエレベータの乗場扉引き込まれ防止装置の要部構成を示すシステム構成図である。
【図４】この発明の実施例１におけるエレベータの乗場扉引き込まれ防止装置の減速検出センサの取付位置を示す概念図である。
【図５】この発明の実施例１におけるエレベータの乗場扉引き込まれ防止装置のＵＰ／ＤＯＷＮ減速検出センサの取付位置とかご検出プレートの取付位置を示す構成図である。
【図６】この発明の実施例１におけるエレベータの乗場扉引き込まれ防止装置の減速検出センサの取付例を示す構成図である。
【図７】この発明の実施例１におけるエレベータの乗場扉引き込まれ防止装置の減速検出センサの磁気センサの動作例を説明するための説明図である。
【図８】この発明の実施例１におけるエレベータの乗場扉引き込まれ防止装置の全体動作を説明するためのフローチャートである。
【図９】この発明の実施例２におけるエレベータの乗場扉引き込まれ防止装置のＵＰ／ＤＯＷＮ共用減速検出センサの取付位置とかご検出プレートの取付位置を示す構成図である。
【図１０】この発明の実施例２におけるエレベータの乗場扉引き込まれ防止装置のＵＰ／ＤＯＷＮ共用減速検出センサの磁気センサの動作例を説明するための説明図である。
【図１１】この発明の実施例２におけるエレベータの乗場扉引き込まれ防止装置のＵＰ／ＤＯＷＮ共用減速検出センサによる減速チェック動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【００１３】
実施例１．
図１はこの発明の実施例１におけるエレベータの乗場扉引き込まれ防止装置を備えたエレベータ乗場の正面図、図２はエレベータの乗場扉引き込まれ防止装置の構成を示すシステム構成図、図３はエレベータの乗場扉引き込まれ防止装置の要部構成を示すシステム構成図、図４は減速検出センサの取付位置を示す概念図、図５はＵＰ／ＤＯＷＮ減速検出センサの取付位置とかご検出プレートの取付位置を示す構成図、図６は減速検出センサの取付例を示す構成図、図７は減速検出センサの磁気センサの動作例を説明するための説明図、図８はエレベータの乗場扉引き込まれ防止装置の全体動作を説明するためのフローチャートである。
【００１４】
図１及び図２において、１はエレベータ乗場、２は乗場扉で、かごが到着すると左右に開かれる。３はエレベータ乗場１の壁に設けられた乗場操作盤、４、５は乗場操作盤３に設けられた乗場昇り呼び登録釦及び乗場降り呼び登録釦で、利用者が押すと呼び信号を出力すると共に応答ランプが点灯するように構成されている。６は乗場操作盤３に設けられたかご位置表示器である。そして、エレベータ制御装置（図示せず）は、乗場昇り呼び登録釦４及び乗場降り呼び登録釦５の呼び信号を入力し、当該階の呼びを登録し、かごが当該階に着床するようにようにかごの運行を制御する。また、エレベータ制御装置は、かごが当該階に着床する際に、点灯している乗場昇り呼び登録釦４及び乗場降り呼び登録釦５の応答ランプを消灯する。更に、エレベータ制御装置は、かごの現在階位置を位置表示器６に表示させる。そこで、利用者は、乗場昇り呼び登録釦４及び乗場降り呼び登録釦５の応答ランプが点灯することで、当該階の呼びが登録されたことを認識することができ、また乗場昇り呼び登録釦４及び乗場降り呼び登録釦５の応答ランプが消灯することで、かごが当該階に着床することを認識することができる。また、利用者は、位置表示器６の表示からかごの現在位置を認識できる。７は乗場昇り呼び登録釦４の応答ランプの点灯、消灯を検出する昇り呼びセンサであり、この昇り呼びセンサ７は、フォトダイオード等からなる受光素子で構成され、乗場昇り呼び登録釦４に接近して乗場操作盤３内に設けられ、乗場昇り呼び登録釦４の応答ランプの点灯を受光してＯＮ信号を出力する。８は乗場降り呼び登録釦５の応答ランプの点灯、消灯を検出する降り呼びセンサであり、この降り呼びセンサ８は、フォトダイオード等からなる受光素子で構成され、乗場降り呼び登録釦５に接近して乗場操作盤３内に設けられ、乗場降り呼び登録釦５の応答ランプの点灯を受光してＯＮ信号を出力する。９はエレベータ乗場１に設けられたアナウンス手段としてのスピーカ、１０は後述するＵＰ減速検出センサから送られてくるＵＰ減速信号、１１は後述するＤＯＷＮ減速検出センサから送られてくるＤＯＷＮ減速信号である。１２は昇り呼びセンサ７及び降り呼びセンサ８からの出力信号と、ＵＰ減速信号１０及びＤＯＷＮ減速信号１１とに基づいてスピーカ９を作動し、所定の乗場扉引き込まれ防止のためのメッセージＡ、Ｂをエレベータ乗場１にアナウンスさせる制御手段としてのアナウンス制御装置である。このアナウンス制御装置１２は、乗場呼び登録釦４、５が押されて応答ランプが点灯した時、「ドアから離れてお待ち下さい」等の乗場扉２を開動作することを事前に予告するメッセージＡをエレベータ乗場１にアナウンスし、次いで、かごが停止階に接近し、停止する速度まで減速していることを検出した時、「まもなくドアが開きます。ご注意下さい」等の乗場扉２の開動作への注意を喚起するためのメッセージＢを早目にエレベータ乗場１にアナウンスする。
【００１５】
図３〜図７において、１３はエレベータのかご、１４はかご１３の乗場側下端部に設けられた永久磁石からなるかご検出プレート、１５は各乗場階床の約１０００ｍｍ程上方のかごが減速を開始してから間もなく（直ぐ）の位置であり、かつ乗場階床から離れた位置に設けられたＤＯＷＮ減速検出センサで、図６に示すように、上下方向に約５０ｍｍの間隔を置いて２個の磁気センサＡ、Ｂが配置された構成である。１６は各乗場階床の約１０００ｍｍ程下方のかごが減速を開始してから間もなく（直ぐ）の位置であり、かつ乗場階床から離れた位置に設けられたＵＰ減速検出センサで、図６に示すように、上下方向に約５０ｍｍの間隔を置いて２個の磁気センサＡ、Ｂが配置された構成である。上記かご検出プレート１４、ＤＯＷＮ減速検出センサ１５及びＵＰ減速検出センサ１６によりかご減速検出装置が構成されている。また、減速検出センサ１５、１６の設置位置については、図４に示すように、例えばエレベータの定格速度が６０ｍ／ｍｉｎの場合又は４５ｍ／ｍｉｎの場合を考えると、かごが停止階に接近し、停止する速度まで減速していることを検出するには、停止階の階床から約１０００ｍｍの位置に、４０〜３５ｍ／ｍｉｎ（平均で３７．２５ｍ／ｍｉｎ）の速度に減速していることを検出するＤＯＷＮ減速検出センサ１５及びＵＰ減速検出センサ１６を設置することにより実現可能なことが判る。
上記のように、かご検出プレート１４に永久磁石を使用し、ＤＯＷＮ／ＵＰ減速検出センサ１５、１６に２個の磁気センサＡ、Ｂを５０ｍｍ間隔で取り付けた場合を例にして説明すると、図７に示すように、ＤＯＷＮ減速検出センサ１５の場合、磁気センサＡが動作後、磁気センサＢが動作するまでの時間ＴＸは、３７．５ｍ／ｍｉｎ＝３１．２５ｍＳｅｃを判定基準として、ＴＸ≧３１．２５ｍＳｅｃの時、エレベータは到着せずに通過すると判定し、メッセージＢはアナウンスしない。一方、ＴＸ＜３１．２５ｍＳｅｃの時、エレベータは到着して乗場扉が開くと判定し、メッセージＢをエレベータ乗場１にアナウンスする。また、ＵＰ減速検出センサ１６の場合、磁気センサＢが動作後、磁気センサＡが動作するまでの時間ＴＸは、３７．５ｍ／ｍｉｎ＝３１．２５ｍＳｅｃを判定基準として、ＴＸ≧３１．２５ｍＳｅｃの時、エレベータは到着せずに通過すると判定し、メッセージＢはアナウンスしない。一方、ＴＸ＜３１．２５ｍＳｅｃの時、エレベータは到着して乗場扉が開くと判定し、メッセージＢをエレベータ乗場１にアナウンスする。これにより、かごが停止階に接近し、停止する速度まで減速していることを検出した時、「まもなくドアが開きます。ご注意下さい」等の乗場扉２の開動作への注意を喚起するためのメッセージＢを従来の装置よりも早目にエレベータ乗場１にアナウンスすることができるので、乗客の手や指が乗場扉と出入口柱との隙間に引き込まれるのを確実に防止することができる。
【００１６】
次に、エレベータの乗場扉引き込まれ防止装置の全体動作を図８により説明する。
先ず、ステップＳ１で乗場昇り呼び登録釦４又は乗場降り呼び登録釦５が押されたりして、呼びが発生したか否かを判定する。ステップＳ１で呼びが発生した場合、アナウンス制御装置１２は、スピーカ９から「ドアから離れてお待ち下さい」等の乗場扉２を開動作することを事前に予告するメッセージＡをエレベータ乗場１にアナウンスする（ステップＳ２）。次に、ステップＳ３に進み、かごが停止階に接近し、停止する速度まで減速していることを検出したか否かを判定する。この減速検出は、かご検出プレート１４と、ＤＯＷＮ／ＵＰ減速検出センサ１５、１６とによって行われる。ステップＳ３でかごが停止階に接近し、停止する速度まで減速していることを検出した時は、「まもなくドアが開きます。ご注意下さい」等の乗場扉２の開動作への注意を喚起するためのメッセージＢを早目にエレベータ乗場１にアナウンスする（ステップＳ４）。なお、ステップＳ３でかごが停止階に接近し、停止する速度まで減速していることを検出しない場合は、新たな呼びの発生を待つことになる（ステップＳ５）。また、ステップＳ４の後は、呼びが無くなるまで（ステップＳ６）、ステップＳ３〜Ｓ６を繰り返す。
【００１７】
実施例２．
図９はこの発明の実施例２におけるエレベータの乗場扉引き込まれ防止装置のＵＰ／ＤＯＷＮ共用減速検出センサの取付位置とかご検出プレートの取付位置を示す構成図、図１０はＵＰ／ＤＯＷＮ共用減速検出センサの磁気センサの動作例を説明するための説明図、図１１はエレベータの乗場扉引き込まれ防止装置のＵＰ／ＤＯＷＮ共用減速検出センサによる減速チェック動作を説明するためのフローチャートである。
【００１８】
図９及び図１０において、１７はかご１３の乗場側の全長に亘って設けられた永久磁石からなるかご検出プレート、１８は各乗場階床の約１０００ｍｍ程上方のかごが減速を開始してから間もなく（直ぐ）の位置であり、かつ乗場階床から離れた位置に設けられたＵＰ／ＤＯＷＮ共用減速検出センサで、図６に示すように、上下方向に約５０ｍｍの間隔を置いて２個の磁気センサＡ、Ｂが配置された構成である。上記かご検出プレート１７及びＵＰ／ＤＯＷＮ共用減速検出センサ１８によりかご減速検出装置が構成されている。
上記のように、かご検出プレート１７に永久磁石を使用し、ＤＯＷＮ／ＵＰ共用減速検出センサ１８に２個の磁気センサＡ、Ｂを５０ｍｍ間隔で取り付けた場合を例にして説明すると、図１０に示すように、ＵＰ動作の場合、磁気センサＢがＯＮ動作後、磁気センサＡがＯＮ動作するまでの時間ＵＴＸは、３７．５ｍ／ｍｉｎ＝３１．２５ｍＳｅｃを判定基準として、ＵＴＸ≧３１．２５ｍＳｅｃの時、エレベータは到着せずに通過すると判定し、メッセージＢはアナウンスしない。一方、ＵＴＸ＜３１．２５ｍＳｅｃの時、エレベータは到着して乗場扉が開くと判定し、メッセージＢをエレベータ乗場１にアナウンスする。また、ＤＯＷＮ動作の場合、磁気センサＡがＯＮ動作後、磁気センサＢがＯＮ動作するまでの時間ＤＴＸは、３７．５ｍ／ｍｉｎ＝３１．２５ｍＳｅｃを判定基準として、ＤＴＸ≧３１．２５ｍＳｅｃの時、エレベータは到着せずに通過すると判定し、メッセージＢはアナウンスしない。一方、ＤＴＸ＜３１．２５ｍＳｅｃの時、エレベータは到着して乗場扉が開くと判定し、メッセージＢをエレベータ乗場１にアナウンスする。なお、磁気センサＡ、Ｂが共にＯＮした後、磁気センサＡ又はＢがＯＦＦしその後磁気センサＢ又はＡがＯＦＦの動作はその階からの出発又は通過と見なす。
【００１９】
次に、エレベータの乗場扉引き込まれ防止装置のＵＰ／ＤＯＷＮ共用減速検出センサによる減速チェック動作を図１１により説明する。
ＵＰ／ＤＯＷＮ共用減速検出センサ１８による減速チェック動作では、先ず、ステップＳ１１ではＵＰ呼びがあるか否かを判定する。ステップＳ１１でＵＰ呼びがあれば、磁気センサＢがＯＮ動作後、磁気センサＡがＯＮ動作するまでの時間ＵＴＸが、ＵＴＸ＜３１．２５ｍＳｅｃの条件を満足するか否かを判定する（ステップＳ１２）。ステップＳ１２でＵＴＸ＜３１．２５ｍＳｅｃの条件を満足していれば、「まもなくドアが開きます。ご注意下さい」等の乗場扉２の開動作への注意を喚起するためのメッセージＢを早目にエレベータ乗場１にアナウンスする（ステップＳ１３）。次に、ステップＳ１４ではＤＯＷＮ呼びがあるか否かを判定する。ステップＳ１４でＤＯＷＮ呼びがあれば、磁気センサＡがＯＮ動作後、磁気センサＢがＯＮ動作するまでの時間ＤＴＸが、ＤＴＸ＜３１．２５ｍＳｅｃの条件を満足するか否かを判定する（ステップＳ１５）。ステップＳ１５でＤＴＸ＜３１．２５ｍＳｅｃの条件を満足していれば、「まもなくドアが開きます。ご注意下さい」等の乗場扉２の開動作への注意を喚起するためのメッセージＢを早目にエレベータ乗場１にアナウンスする（ステップＳ１６）。
【符号の説明】
【００２０】
１ エレベータ乗場
２ 乗場扉
３ 乗場操作盤
４ 乗場昇り呼び登録釦
５ 乗場降り呼び登録釦
６ かご位置表示器
７ 昇り呼びセンサ
８ 降り呼びセンサ
９ スピーカ
１０ ＵＰ減速信号
１１ ＤＯＷＮ減速信号
１２ アナウンス制御装置
１３ エレベータのかご
１４ かご検出プレート
１５ ＤＯＷＮ減速検出センサ
１６ ＵＰ減速検出センサ
１７ かご検出プレート
１８ ＵＰ／ＤＯＷＮ共用減速検出センサ
【特許請求の範囲】
【請求項１】
乗場昇り呼び登録釦の点灯、消灯を検出する昇り呼びセンサと、
乗場降り呼び登録釦の点灯、消灯を検出する降り呼びセンサと、
かごが停止階に接近し、かごが停止する速度まで減速していることを検出するかご減速検出装置と、
乗場の利用者に所定のメッセージをアナウンスするアナウンス手段と、
前記昇り呼びセンサ及び前記降り呼びセンサからの出力信号と、前記かご減速検出装置からの減速信号とに基づいて、前記アナウンス手段から所定のメッセージをアナウンスさせるアナウンス制御手段とを備え、
前記アナウンス制御手段は、前記昇り呼びセンサ又は前記降り呼びセンサにより、呼びが発生したことを検出した場合、前記アナウンス手段を作動させて乗場の利用者に乗場扉が開動作することを事前に予告するメッセージをアナウンスし、次いで前記かご減速検出装置により、かごが停止階に接近し、かごが停止する速度まで減速していることを検出した場合には、前記アナウンス手段を作動させて乗場の利用者に乗場扉の開動作への注意を喚起するためのメッセージをアナウンスすることを特徴とするエレベータの乗場扉引き込まれ防止装置。
【請求項２】
かごが停止階に接近し、かごが停止する速度まで減速していることを検出するかご減速検出装置は、かごに設けられたかご検出プレートと、乗場階床の上方又は下方のかごが減速を開始してから間もなくの位置であり、かつ乗場階床から離れた位置に設けられた減速検出センサと、から構成したことを特徴とする請求項１記載のエレベータの乗場扉引き込まれ防止装置。
【請求項３】
かごが停止階に接近し、かごが停止する速度まで減速していることを検出するかご減速検出装置は、かごの乗場側下部に設けられたかご検出プレートと、乗場階床の上方及び下方のかごが減速を開始してから間もなくの位置であり、かつ乗場階床から上方及び下方に離れた位置に設けられたＤＯＷＮ減速検出センサ及びＵＰ減速検出センサと、から構成したことを特徴とする請求項１記載のエレベータの乗場扉引き込まれ防止装置。
【請求項４】
かごが停止階に接近し、かごが停止する速度まで減速していることを検出するかご減速検出装置は、かごの乗場側の全長に亘って設けられたかご検出プレートと、乗場階床の上方のかごが減速を開始してから間もなくの位置であり、かつ乗場階床から上方に離れた位置に設けられたＵＰ／ＤＯＷＮ共用減速検出センサと、から構成したことを特徴とする請求項１記載のエレベータの乗場扉引き込まれ防止装置。
【請求項５】
かご検出プレートは永久磁石からなり、減速検出センサは、上下方向に間隔を置いて配置された２個の磁気センサにより構成したことを特徴とする請求項２〜請求項４のいずれかに記載のエレベータの乗場扉引き込まれ防止装置。
【請求項１】
乗場昇り呼び登録釦の点灯、消灯を検出する昇り呼びセンサと、
乗場降り呼び登録釦の点灯、消灯を検出する降り呼びセンサと、
かごが停止階に接近し、かごが停止する速度まで減速していることを検出するかご減速検出装置と、
乗場の利用者に所定のメッセージをアナウンスするアナウンス手段と、
前記昇り呼びセンサ及び前記降り呼びセンサからの出力信号と、前記かご減速検出装置からの減速信号とに基づいて、前記アナウンス手段から所定のメッセージをアナウンスさせるアナウンス制御手段とを備え、
前記アナウンス制御手段は、前記昇り呼びセンサ又は前記降り呼びセンサにより、呼びが発生したことを検出した場合、前記アナウンス手段を作動させて乗場の利用者に乗場扉が開動作することを事前に予告するメッセージをアナウンスし、次いで前記かご減速検出装置により、かごが停止階に接近し、かごが停止する速度まで減速していることを検出した場合には、前記アナウンス手段を作動させて乗場の利用者に乗場扉の開動作への注意を喚起するためのメッセージをアナウンスすることを特徴とするエレベータの乗場扉引き込まれ防止装置。
【請求項２】
かごが停止階に接近し、かごが停止する速度まで減速していることを検出するかご減速検出装置は、かごに設けられたかご検出プレートと、乗場階床の上方又は下方のかごが減速を開始してから間もなくの位置であり、かつ乗場階床から離れた位置に設けられた減速検出センサと、から構成したことを特徴とする請求項１記載のエレベータの乗場扉引き込まれ防止装置。
【請求項３】
かごが停止階に接近し、かごが停止する速度まで減速していることを検出するかご減速検出装置は、かごの乗場側下部に設けられたかご検出プレートと、乗場階床の上方及び下方のかごが減速を開始してから間もなくの位置であり、かつ乗場階床から上方及び下方に離れた位置に設けられたＤＯＷＮ減速検出センサ及びＵＰ減速検出センサと、から構成したことを特徴とする請求項１記載のエレベータの乗場扉引き込まれ防止装置。
【請求項４】
かごが停止階に接近し、かごが停止する速度まで減速していることを検出するかご減速検出装置は、かごの乗場側の全長に亘って設けられたかご検出プレートと、乗場階床の上方のかごが減速を開始してから間もなくの位置であり、かつ乗場階床から上方に離れた位置に設けられたＵＰ／ＤＯＷＮ共用減速検出センサと、から構成したことを特徴とする請求項１記載のエレベータの乗場扉引き込まれ防止装置。
【請求項５】
かご検出プレートは永久磁石からなり、減速検出センサは、上下方向に間隔を置いて配置された２個の磁気センサにより構成したことを特徴とする請求項２〜請求項４のいずれかに記載のエレベータの乗場扉引き込まれ防止装置。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【公開番号】特開２０１２−７１９８２（Ｐ２０１２−７１９８２Ａ）
【公開日】平成２４年４月１２日（２０１２．４．１２）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２０１０−２２０２８８（Ｐ２０１０−２２０２８８）
【出願日】平成２２年９月３０日（２０１０．９．３０）
【出願人】（０００２３６０５６）三菱電機ビルテクノサービス株式会社 (1,792)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２４年４月１２日（２０１２．４．１２）
【国際特許分類】
【出願日】平成２２年９月３０日（２０１０．９．３０）
【出願人】（０００２３６０５６）三菱電機ビルテクノサービス株式会社 (1,792)
【Ｆターム（参考）】
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