説明

エレベータの制御方法、エレベータ制御装置及びそれを利用したエレベータ装置

【課題】本発明は、制御効率を向上し得るエレベータの制御方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明のエレベータ装置は、エレベータを駆動するためのモータと、モータの位置の値を計算してエレベータ制御装置に伝送するモータ位置測定部と、モータの位置の値を貯蔵する位置貯蔵部と、第1周期ごとに位置貯蔵部から前記モータの位置の値を受信し、モータの速度を受信してモータを制御するためのトルク制御値を出力する状態帰還位置制御部と、第2周期ごとにトルク制御値と位置の値に基づいてモータの速度を推定し、状態帰還位置制御部に伝送する状態推定部と、トルク制御値に基づいて電流制御値を生成し、電流制御値と前記モータの駆動電流に応じて電圧制御値を出力するベクタ制御部と、電圧制御値に応じてモータの駆動電源を制御するモータ駆動部と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は、エレベータの制御方法、制御装置及びそれを利用したエレベータに関するものである。更に詳しくは、制御性能を向上し得るエレベータの制御方法、制御装置及びそれを利用したエレベータに関するものである。
【0002】
一般にエレベータは、高層ビルで人を乗せて上下に移動させるか、貨物を積載して運送する役割をする。エレベータは、高層ビルに形成された昇降路内で駆動装置である巻き上げ機の駆動によって上下に移動すると共に、人が乗車するか貨物が積載され得る所定の空間を有するエレベータカーが巻き上げ機に連結されて設置される。
【0003】
また、一般に直流電送機を代替してエレベータを駆動するためのモータに使用される三相産業用インバータは、ベクタ制御を介して交流モータをトルク制御し得る。
【0004】
インバータの制御によってエレベータのブレーキが制御され得る。このようなエレベータのブレーキの開放時にはエレベータカーが揺れるようになるが、これをロールバックという。一般に、ロールバックを減らすために重量を測定するセンサ装置であるロードセルを使用しており、そのようなロードセルの重量センシングを利用してエレベータカーのロールバックを減らすことができる。
【0005】
しかし、最近ロードセルセンサの信頼性問題と速度制御の効率のためにエレベータの速度制御に使用される装置であるインバータ自体に制御アルゴリズムを搭載し、ロードセルがなくてもロールバックを低減し得る方法が開発されている。
【0006】
ロールバックを低減するためには負荷の大きさに当たるトルクを早いうちに追従するようにすることが重要であるが、それを負荷補償という。
【0007】
図1は、そのような負荷補償を減らすための従来の速度制御装置の一例を説明するための図である。
図1を参照すると、従来のP−PI方式のようなエレベータの制御装置は、位置制御部10と速度制御機11、モータ速度測定部12及びインバータ14で構成される。
位置制御部10は位置を制御しようとする位置制御値(θ)と実際の位置の値(θ*)を獲得し、その差を求め、その差の値に比例利得値(KPP)をかけて速度制御値を出力する。
【0008】
そして、速度制御機11は速度制御値とモータ速度測定部12から受信した速度値の差に比例利得(KP)と積分利得(KI)を適用してその値を足し、それをトルク制御値(T*)として出力する。
【0009】
インバータ14は、トルク制御値(T*)及びエレベータにおけるカー、ロープ、乗客などによる重量によってモータに印加される負荷値T1を受信してエレベータの速度を制御する。そして、インバータ14によって制御されたモータから実際の速度(ω)と実際の位置(θ)が測定されると、それを位置制御部10と速度制御機11の入力に帰還し得る。
【0010】
インバータ14は、トルク制御値に応じてベクタ制御を介して実際のトルクを作り、速度を制御する。ベクタ制御は電流を磁束制御成分とトルク制御成分に分けて制御し得る。Jは慣性値で、Sはラプラス演算子であり、l/Sは積分を意味する。
【0011】
このような従来のエレベータ制御装置は、伝達関数を〔数1〕のように表すことができる。
【数1】

【0012】
このような従来のエレベータ制御装置の場合、極点を設計するとき極点を自由に配置することができない問題点がある。伝達関数の係数がそれぞれ独立でなくゲインの積と和で形成されており、一つのゲインを変更すると2つ以上の係数が変化する。従って、極点を自由に設計することができない。
【0013】
また、三重根である場合、極点の配置自体が不可能な問題点がある。三重根である場合を仮定して判別式を適用する場合、〔数1〕の右辺の3次方程式の判別式とそれを微分した2次方程式の判別式が全て0になるための根の値は存在しないためである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、制御効率を向上し得るエレベータの制御方法を提供することを目的とする。
【0015】
また、本発明は、ロードセルがないエレベータにおけるロールバック現象を低減し得る制御装置及びその方法を提供することを目的とする。
【0016】
また、状態推定部を介してロールバック現象を効果的に低減し得るエレベータの制御装置、その方法及びそれを含むエレベータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の実施例によるエレベータの制御方法は、第1周期ごとにエレベータを駆動するモータの位置の値を演算するステップと、演算された位置の値と第2周期ごとに演算されたモータの回転速度に基づいて第3周期ごとにモータを制御するための制御信号を生成するステップと、生成された制御信号に基づいてモータの駆動電源を制御するステップと、を含む。
【0018】
また、制御信号を生成するステップは、第2周期ごとに制御信号が演算された位置の値に応じてモータの回転速度を推定するステップを更に含んでもよい。
【0019】
また、制御信号を生成するステップは、モータの位置制御値と演算された位置の値の差を比例積分するステップと、比例積分が行われた値から回転速度に第1定数を掛けた値と位置の値に第2定数を掛けた値の差に基づいてトルク制御値を演算するステップと、演算されたトルク制御値に応じてトルク制御信号を生成するステップと、を含んでもよい。
【0020】
また、トルク制御信号を生成するステップは、第2周期ごとにモータ速度測定装置から測定されたモータの速度を受信して演算し得る。
【0021】
また、トルク制御信号を生成するステップは、トルク制御値に応じて電流制御値を生成し、生成された電流制御値とモータの電流センシング値に基づいてベクタ制御を行って電圧制御値を生成し、生成された電圧制御値に基づいてトルク制御信号を生成し得る。
【0022】
本発明の実施例による制御装置において、エレベータを駆動するモータの位置の値を貯蔵する位置貯蔵部と、第1周期ごとに位置貯蔵部からモータの位置の値を受信し、第2周期ごとにモータの速度を演算して第3周期ごとにモータを制御するための制御信号を生成する制御信号処理部と、制御信号に基づいてモータの駆動電源を制御するモータ駆動部と、を含む。
【0023】
また、エレベータは、モータと、モータの位置の値を演算してエレベータ制御装置に伝送するモータ位置測定部と、モータの位置の値を貯蔵する位置貯蔵部と、第1周期ごとに位置貯蔵部からモータの位置の値を受信し、モータの速度を受信してモータを制御するためのトルク制御値を出力する状態帰還位置制御部と、第2周期ごとにトルク制御値と位置の値に基づいてモータの速度を推定し、状態帰還位置制御部に伝送する状態推定部と、トルク制御値に基づいて電流制御値を生成し、電流制御値とモータの駆動電流に応じて電圧制御値を出力するベクタ制御部と、電圧制御値に応じてモータの駆動電源を制御するモータ駆動部と、を含んでもよい。
【0024】
また、状態帰還位置制御部は、モータの位置制御値と演算された位置の値の差を比例積分し、比例積分が行われた値から回転速度に第1定数を掛けた値と位置の値に第2定数を掛けた値に対する差をトルク制御値として出力し得る。
【0025】
また、信号処理部は、計算された位置の値とモータの回転速度に応じてモータのトルク制御値を出力する状態帰還位置制御部を含み、制御信号処理部はトルク制御値に基づいてモータのトルクを制御するための制御信号を出力し得る。
【0026】
また、状態帰還位置制御部は、モータの位置制御値と演算された位置の値の差を比例積分し、比例積分が行われた値から回転速度に第1定数を掛けた値と位置の値に第2定数を掛けた値に対する差をトルク制御値として出力し得る。
【0027】
また、モータの駆動電流をセンシングする電流センサと、電流センサから受信したモータの駆動電流と電流制御値に基づいて電圧制御信号を出力するベクタ制御部と、を更に含み、状態帰還位置制御部は、トルク制御値に応じて電流制御値を生成してベクタ制御部に伝送し得る。
【0028】
また、制御信号処理部は、第2周期ごとに制御信号が計算された位置の値に応じてモータの回転速度を推定する速度推定部を含んでもよい。
また、制御信号処理部は、モータ速度測定装置で測定されたモータの速度を獲得し得る。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、エレベータの制御において、例えば、速度を実測して計算する過程より速く処理し得るようにすることで、効果的なエレベータの制御を可能にできる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】負荷補償を減らすための従来の速度制御装置の一例を説明するための図である。
【図2】本発明の実施例によるエレベータの速度制御装置を含んだ全体のエレベータシステムを概略的に示す図である。
【図3】本発明の実施例によるエレベータ制御装置100の制御信号処理部110の構成を示す図である。
【図4】本発明の実施例による状態帰還位置制御部111の構成を概念的に示す制御図である。
【図5】本発明の実施例によるエレベータ制御装置100の状態推定部113の動作を示すための制御図である。
【図6】本発明の実施例によるエレベータ制御装置100のを含む試料モータを使用した実験を説明するための図である。
【図7】本発明の実施例によるエレベータ制御装置100はロールバックの量を0.5度(deg)以内に制御し得るということを確認し得る。
【図8】本発明の実施例によるエレベータの速度制御方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本明細書及び特許請求の範囲で使用された用語や単語は、通常的であるか又は辞書的な意味に限って解析されてはならず、発明者は自らの発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義し得るという原則に立脚して本発明の技術的思想に符合する意味と概念で解析されるべきである。
【0032】
よって、本明細書に記載された実施例と図面に図示された構成は本発明の最も好ましい一実施例に過ぎず、本実施例の技術的思想を全て代弁するものではないため、本出願時点でこれらを代替し得る多様な均等物と変更例が存在し得るということを理解するべきである。
【0033】
図2は、実施例による電力変換装置を概略的に示す図である。
図2を参照すると、本発明の実施例による速度制御装置を含むエレベータシステムは、エレベータを駆動するためのモータ200、モータ200を制御するための制御装置100、モータの回転状態を測定するエンコーダ210及びエンコーダ210のパルス出力からモータ位置(回転角)を測定するモータ位置測定装置220を含む。
【0034】
制御装置100は、制御信号処理部110、PWMゲーティング信号発生部120及びPWMインバータ部130を含む。
【0035】
制御信号処理部110は、ロードセルがないエレベータのロールバック現象を低減するための制御信号を発生し得る。制御信号処理部110は、後述する状態帰還位置制御と状態推定を利用してエレベータのモータを制御するための信号処理を行う。
【0036】
PWMゲーティング信号発生部120は、制御信号処理部110で処理された信号に応じてモータに駆動信号を入力し得る。
【0037】
PWMインバータ部130は、PWMゲーティング信号発生部120で発生される駆動信号に応じてスイッチングされ得る。
【0038】
このようなPWMゲーティング信号発生部120とPWMインバータ部130は、電圧制御信号に応じてモータの駆動を制御するモータ駆動部の役割をすることができる。
【0039】
一方、エンコーダ210はモータ220に連滅されてモータ200の回転によるパルスを出力し、モータ位置測定装置220に伝送し得る。
【0040】
モータ位置測定装置220は、モータの位置の値、即ち、回転角θ値を測定して制御信号処理部110に伝送する。ここで、モータ位置測定装置220は、エンコーダ210から受信したパルス信号に基づいてモータの位置の値である回転角を計算する。モータ位置測定装置220は、例えば、M/T方式を利用してもよい。M/T方式とはモータ200の駆動に応じたエンコーダ210で測定されたパルス信号と一定時間を利用する方式であり、モータ200の回転速度と回転角をデジタル値で測定し得るようにする。従って、モータ位置測定装置220は、一定時間の間パルスを計数することでモータの現時位置(回転角)を測定し得る。また、このようなモータ位置測定方式ではパルス数を測定するかパルス間隔を測定する方法も可能である。但し、本発明で使用し得るM/T方式はパルス数とパルス間隔の測定方式を組み合わせて互いの短所を補完した方式である。
【0041】
一方、電流センサ230は後述する制御信号処理部110の電流ベクタ制御のための現在のモータ200に流れる電流値をセンシングし、制御信号処理部110に伝送する。
【0042】
図3は、本発明の実施例によるエレベータ制御装置100の制御信号処理部110の構成を更に詳しく示す例示図である。
【0043】
図3を参照すると、エレベータ制御装置100の制御信号処理部110は、現在のモータの位置と推定されたモータの速度に応じてモータのトルクを制御するための制御信号を生成する状態帰還位置制御部111、現在のモータの位置を貯蔵し、一定周期に応じてアップデートするための位置貯蔵部112、貯蔵されたモータの位置と状態帰還位置制御部111から受信したトルク制御値に応じてモータの速度を推定する状態推定部113及びセンシングされた電流と制御電流値を受信して電圧制御信号を出力するベクタ制御部114を含んで構成され得る。
【0044】
状態帰還位置制御部111はモータ位置測定装置220からモータ位置の値を受信し、状態推定部113からモータの推定速度を受信してエレベータのロールバック現象を低減するためのモータの制御電流値を出力する。
【0045】
状態推定部113は、位置貯蔵部112に貯蔵されているモータ位置の値と状態帰還位置制御部111から受信したトルク制御値に基づいてモータの速度を推定する演算を行う。
【0046】
ベクタ制御部114は、電流センサ230から現在のモータの駆動電流測定値を受信し、駆動電流測定値と状態帰還位置制御部111から受信した制御電流値に基づいて結果的にエレベータモータ電圧を制御し、ロールバック現象を低減するための信号として電圧制御信号を出力する。
【0047】
ベクタ制御部114は、第1周期のインタラプタに応じて動作し得る。また、状態推定部113は、第2周期のインタラプタに応じて周期的に動作し得る。状態帰還位置制御部111は、第3周期のインタラプタに応じて動作し得る。ここで、状態推定部113は位置の変化について速く計算を行わなければならない。従って、状態推定部113のインタラプタ周期は他のインタラプタの周期より短く設定されてもよい。状態帰還位置制御部111は、実施頻度が低くなるように1msインタラプタで行われるように設計してもよい。しかし、各周期を設計する場合の相対的な効果が異なり得るため、本発明はエレベータのインバータ設計方法によってインタラプタ周期を多様に設定してもよい。
【0048】
また、第2周期は第2周期と同じく設定してもよく、互いに周期を含むように設計してもよい。
【0049】
図4は、本発明の実施例による状態帰還位置制御部111の構成を概念的に示す制御図である。
【0050】
図4を参照すると、本発明の実施例による状態帰還位置制御部111を説明する。
状態帰還位置制御部111は図4に示したように構成され得る。入力θ*は制御しようとする位置を示す。例えば、一般的なエレベータでは制御しようとする位置の値が0になるようにすることでロールバック現象を低減する。即ち、本発明の実施例によってユーザは制御しようとするモータの最終位置を設定し得る。
【0051】
そして、状態帰還位置制御部111はこのように入力された位置制御値θ*と現在のモータの位置の値θの差を計算し、比例定数K1に応じて比例積分を行い得る。K1に応じて比例積分が行われた値に、モータの速度(ω)にK2を掛けた値とモータの現在位置θにK3を掛けた値を引くと、制御のためのトルク制御値T*が生成される。ここで、状態帰還位置制御部111は生成されたT*に基づいて電流制御値を生成し、ベクタ制御部114に伝送し得る。
【0052】
ここで、モータの速度(ω)は図4の図面符号400のように現在負荷TLとトルク制御値T*に基づいて積分することで計算し得る。又は、他の装置で観測された速度値が入力されてもよい。従って、ωは外部から入力される値であってもよい。また、本発明では状態推定部113から出力された速度推定値であってもよい。
【0053】
また、モータの現在位置の値θは速度値を積分して計算し得るが、上述したようなエンコーダ210とモータ位置測定装置220から測定された位置の値でも計算し得る。
【0054】
一方、このような状態帰還位置制御部111が構成された場合、モータ位置(回転角)に対する伝達関数は下記〔数2〕のように獲得される。
【数2】

ここで、状態帰還位置制御部111のゲインがαである場合、三重根によるゲイン式は、K1=J*α^3、K2=−3*J*α、K3=3*J*α^2になり得る。Jは慣性値であり、Sはラプラス演算子を意味する。慣性値はエレベータカー、乗客、ロープなどの要因によって決定される値であり、ゲインαは極点値であって負の値を有することが好ましい。また、システムの構成によって各係数に対する設定可能な範囲は異なり得る。
【0055】
〔数2〕のように、図4のような構成で負荷トルクに対する伝達関数を設計する際にはK1,K2,K3を自由に設計することができる。従って、三重根を有するように設計しても問題が発生しなくなる。
【0056】
図5は、本発明の実施例によるエレベータ制御装置100の状態推定部113の動作を示すための制御図である。
【0057】
図5を参照すると、状態推定部113は入力でトルク制御値T*と、モータ位置の値θを受信し、それに基づいて速度推定値ωを出力する。
【0058】
このように、状態推定部113は、トルク制御値とモータの位置の値に応じてモータの速度を推定し得る。これは速度を実測して計算する過程より速く処理し得るようにすることで、効果的なエレベータの制御を可能にする。
【0059】
一方、図5の制御部において、11=−3*β、12=3*β^2、13=β^3*Jであってもよい。β値は状態推定部113のゲインであり、Jはエレベータカー、乗客、ロープなどの要因によって決定される慣性値を意味する。より効率的な結果を得るためには、状態推定部113のゲインβは状態帰還位置制御部のゲインαより大きい値を使用することが好ましい。
【0060】
図6は、本発明の実施例によるエレベータ制御装置100を含む試料モータを使用した実験を説明するための図である。
【0061】
図6の構成図を説明すると、試料モータのエンコーダは2000パルスsin/cosエンコーダであってもよい。試料モータのエンコーダは、1回転当たり2000個のsin/cos信号を出力し得る。
【0062】
インバータ1はsin/cos信号を入力される。レゾルバで使用するRDコンバータを利用して32768個のA/Bパルスに変換し得る。変換されたパルスは、位置制御に適用され得る。システムの全体慣性は0.084kgmsである。また、試料モータにはブレーキが具備され、エレベータのブレーキを模写するのに使用され得る。
【0063】
一方、試料モータのパラメータは下記〔表1〕のようである。
【表1】

【0064】
図7は、このような試料モータを利用してエレベータを模写制御した結果を示すグラフである。
【0065】
図7を参照すると、本発明の実施例による状態帰還位置制御部111を使用したエレベータ制御装置100の位置制御の偏差が分かる。
【0066】
図7のように、本発明の実施例によるエレベータ制御装置100はロールバックの量を0.5度(deg)以内に制御し得るということを確認し得る。
【0067】
また、実験では状態帰還位置制御部111の速度フィードバック値として状態推定部113を使用した。結果的に、状態推定部113を使用することで制御帯域幅を更に増加することができる。一方、状態帰還位置制御部111は1msのインタラプト周期で動作しており、状態推定部113は125usの短いPWMインタラプト周期で行われた。
【0068】
図8は、本発明の実施例によるエレベータの速度制御方法を示すフローチャートである。
【0069】
図8を参照すると、モータ200と連結されたエンコーダ210でモータの位置の値を計算する(ステップ100)。
【0070】
状態推定部113は、上述したような過程を介してモータの速度を推定する(ステップ110)。
【0071】
状態帰還位置制御部111は、推定されたモータの速度とモータの位置の値に基づいてトルク制御値を生成する(ステップ120)。
【0072】
状態帰還位置制御部111は、トルク制御値に応じて電流制御信号を生成する(ステップ130)。ベクタ制御部114はモータ電流のセンシング値を受信し、電流制御信号に応じて電圧制御信号を生成する(ステップ140)。
【0073】
例えば、PWM信号発生器などを含むモータ駆動部120,130は、電圧制御信号に応じてモータ200にPWM信号を入力して駆動電源を入力する(ステップ150)。
モータ200は、駆動電源に応じてトルク制御を行い得る(ステップ160)。
【0074】
これまで本発明についてその好ましい実施例を中心に説明したが、これは単なる例示に過ぎないものであって本発明を限定するものでなく、本発明の属する分野の通常の知識を有する者であれば本発明の本質的な特性を逸脱しない範囲内で上記に例示されていない多様な変形と応用が可能であるということが分かるはずである。例えば、本発明の実施例に具体的に示した各の構成要素は変形して実施し得るものである。そして、このような変形と応用に関する差は、添付した特許請求の範囲で規定する本発明の範囲に含まれるものとして解釈されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータの制御方法であって、
第1周期ごとに前記エレベータを駆動するモータの位置の値を演算するステップと、
前記演算された位置の値と第2周期ごとに演算された前記モータの回転速度に基づいて第3周期ごとに前記モータを制御するための制御信号を生成するステップと、
前記生成された制御信号に基づいて前記モータの駆動電源を制御するステップと、を含むエレベータの制御方法。
【請求項2】
前記制御信号を生成するステップは、
前記第2周期ごとに前記制御信号が前記演算された位置の値に応じて前記モータの回転速度を推定するステップを更に含む、請求項1に記載のエレベータの制御方法。
【請求項3】
前記制御信号を生成するステップは、
前記モータの位置制御値と前記演算された位置の値の差を比例積分するステップと、
前記比例積分が行われた値から前記回転速度に第1定数を掛けた値と前記位置の値に第2定数を掛けた値の差に基づいてトルク制御値を演算するステップと、
前記演算されたトルク制御値に応じて制御信号を生成するステップと、を含む、請求項1に記載のエレベータの制御方法。
【請求項4】
前記トルク制御信号を生成するステップは、
前記第2周期ごとにモータ速度測定装置で測定されたモータの速度を受信して演算する、請求項3に記載のエレベータの制御方法。
【請求項5】
前記トルク制御信号を生成するステップは、
前記トルク制御値に応じて電流制御値を生成し、前記生成された電流制御値と前記モータの電流センシング値に基づいてベクタ制御を行って電圧制御値を生成し、前記生成された電圧制御値に基づいて前記トルク制御信号を生成する、請求項3に記載のエレベータの制御方法。
【請求項6】
エレベータの制御装置であって、
エレベータを駆動するモータの位置の値を貯蔵する位置貯蔵部と、
第1周期ごとに前記位置貯蔵部から前記モータの位置の値を受信し、第2周期ごとに前記モータの速度を演算して第2周期ごとに前記モータを制御するための制御信号を生成する信号処理部と、
前記制御信号に基づいて前記モータの駆動を制御するモータ駆動部と、を含むエレベータの制御装置。
【請求項7】
前記エレベータは、
モータと、
前記モータの位置の値を演算してエレベータ制御装置に伝送するモータ位置測定部と、
前記モータの位置の値を貯蔵する位置貯蔵部と、
第1周期ごとに前記位置貯蔵部から前記モータの位置の値を受信し、前記モータの速度を受信して前記モータを制御するためのトルク制御値を出力する状態帰還位置制御部と、
第2周期ごとに前記トルク制御値と前記位置の値に基づいて前記モータの速度を測定し、前記状態帰還位置制御部に伝送する状態推定部と、
前記トルク制御値に基づいて電流制御値を生成し、前記電流制御値と前記モータの駆動電流に応じて電圧制御値を出力するベクタ制御部と、
前記電圧制御値に応じて前記モータの駆動電源を制御するモータ駆動部と、を含む、
請求項6に記載のエレベータの制御装置。
【請求項8】
前記状態帰還位置制御部は、
前記モータの位置制御値と前記演算された位置の値の差を比例積分し、前記比例積分が行われた値から前記回転速度に第1定数を掛けた値と前記位置の値に第2定数を掛けた値に対する差をトルク制御値として出力する、請求項7に記載のエレベータの制御装置。
【請求項9】
前記信号処理部は、
前記計算された位置の値と前記モータの回転速度に応じて前記モータのトルク制御値を出力する状態帰還位置制御部を含み、
前記制御信号処理部は、前記トルク制御値に基づいて前記モータのトルクを制御するための制御信号を出力する、請求項6に記載のエレベータの制御装置。
【請求項10】
前記状態帰還位置制御部は、
前記モータの位置制御値と前記演算された位置の値の差を比例積分し、前記比例積分が行われた値から前記回転速度に第1定数を掛けた値と前記位置の値に第2定数を掛けた値の差をトルク制御値として出力する、請求項9に記載のエレベータの制御装置。
【請求項11】
前記モータの駆動電流をセンシングする電流センサと、
前記電流センサから受信した前記モータの駆動電流と電流制御値に基づいて電圧制御信号を出力するベクタ制御部と、を更に含み、
前記状態帰還位置制御部は、前記トルク制御値に応じて電流制御値を生成して前記ベクタ制御部に伝送する、請求項10に記載のエレベータの制御装置。
【請求項12】
前記信号処理部は、
前記第2周期ごとに前記制御信号と前記計算された位置の値に応じて前記モータの回転速度を推定する速度推定部を含む、請求項6に記載のエレベータの制御装置。
【請求項13】
前記信号処理部は、
モータ速度測定装置で測定されたモータの速度を獲得する、請求項6に記載のエレベータの制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−112529(P2013−112529A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−256415(P2012−256415)
【出願日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【出願人】(593121379)エルエス産電株式会社 (221)
【氏名又は名称原語表記】LSIS CO., LTD
【Fターム(参考)】