説明

エレベータの制御盤点検装置

【課題】作業床の高さ位置を変更可能であるとともに、昇降路を下降する乗かごとの干渉を生じることなく昇降路内に収納できるエレベータの制御盤点検装置の提供。
【解決手段】本発明は、昇降路壁に取り付けた制御盤1の下方に設けたベース部材3と、制御盤1の直下に配置され、ベース部材3に回動可能に連結した第1作業床2と、一端が第1作業床2に回動可能に連結され、他端がベース部材3の切り欠き部3aに係脱し、第1作業床2を水平状態に支持する第1支持部材4と、ベース部材3に回動可能に連結した長尺体22と、この長尺体22に回動可能に連結した第2作業床6と、一端が第2作業床6に回動可能に連結され、他端が長尺体22の切り欠き部22aに係脱し、第2作業床6を水平状態に支持する第2支持部材5と、上端が昇降路壁に固定され、下端が第2作業床6の側面に係脱可能な索状体7とを備えた構成にしてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータの昇降路壁に設置される制御盤の点検に際して活用されるエレベータの制御盤点検装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータの昇降路壁に配置され、ピット床から手の届かない位置に設けられる制御盤を点検する際には、点検作業者の足場確保のために活用される作業床が必要となる。昨今、エレベータの大容量化、高速化に伴い、巻上機等の昇降路内機器の形状が大きくなりがちであり、また、昇降路の省スペース化が要望されてきている。これに応じて、昇降路内に設置される制御盤は高さ寸法が高く設定される傾向にある。このようなことから、昇降路内に設置される作業床の高さ位置を変更して、制御盤の点検作業を行うことも必要になってきている。
【0003】
ところで、上述したような作業床の高さ位置を変更できる装置が、特許文献1に開示されている。この特許文献1に開示された従来技術は、ピット床上に延設される昇降はしご固定腕と、この昇降はしご固定腕の一端から立設され、昇降路の高さ方向に延設させた昇降はしご固定支柱と、下端が昇降はしご固定腕の他端に接続され、上端が昇降はしご固定支柱に接続される昇降はしごと、この昇降はしごに着脱可能に、しかも高さ位置を変えて取り付けることが可能な作業床を備えた構成になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−182351号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述した従来技術は、乗かごの下降時に乗かごと干渉する大きな形状となることから、昇降路壁に設置した制御盤の点検作業が終了した際などにあっては、解体し、昇降路内から撤去する煩雑な作業が必要になる。これに伴って、点検作業工数が増加し、点検作業に要する費用が高くなる問題がある。
【0006】
本発明は、前述した従来技術における実状からなされたもので、その目的は、作業床の高さ位置を変更可能であるとともに、昇降路を下降する乗かごとの干渉を生じることなく昇降路内に収納させることができるエレベータの制御盤点検装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明は、エレベータの昇降路壁に取り付けられる制御盤の点検に際して活用されるエレベータの制御盤点検装置において、前記昇降路壁に取り付けたベース部と、前記制御盤の直下に配置され、前記ベース部に回動可能に連結され、作業者が乗って前記制御盤の点検作業を行うことを可能にする第1作業床と、一端が前記第1作業床及び前記ベース部のうちの一方に回動可能に連結され、他端が前記第1作業床及び前記ベース部のうちの他方に係脱可能であって、前記他端を前記第1作業床及び前記ベース部のうちの該当するものに係着させたときに、前記第1作業床を水平状態に支持する第1支持部材と、前記ベース部に回動可能に連結した支柱と、前記支柱に回動可能に連結され、作業者が乗って前記制御盤の点検作業を行うことを可能にする第2作業床と、一端が前記第2作業床及び前記支柱のうちの一方に回動可能に連結され、他端が前記第2作業床及び前記支柱のうちの他方に係脱可能であって、前記支柱を鉛直方向に立設させるように回動させた状態で、前記他端を前記第2作業床及び前記支柱のうちの該当するものに係着させたときに、前記第2作業床を前記第1作業床よりも高い位置に支持し、かつ、水平状態に支持する第2支持部材と、上端が前記昇降路壁に固定され、下端が前記昇降路壁に係脱可能に保持され、前記昇降路壁から離脱させた前記下端を前記第2作業床に係着可能な作業床保持具を備えたことを特徴としている。
【0008】
このように構成した本発明は、エレベータの昇降路壁に設置される制御盤の点検作業時には、第1作業床を水平状態となるまで回動させ、この状態で第1支持部材の他端を第1作業床及びベース部のうちの該当するものに係着させる。これにより、第1作業床は点検作業者の乗り込みが可能な水平状態に保たれる。したがって、点検作業者が第1作業床に乗り込むことにより、制御盤の下部の手の届く範囲における点検作業を行うことができる。
【0009】
この状態からさらに、それまで手の届かなった制御盤の上部の点検作業を行う場合には、支柱を鉛直方向に立設させるように上方に回動させ、また第2作業床を水平状態となるまで回動させ、支柱が立設し、第2作業床が水平となった状態で、第2支持部材の他端を第2作業床及び支柱のうちの該当するものに係着させる。ここでまた、作業床保持具の下端を第2作業床に係着させる。これにより、第2作業床は点検作業者の乗り込みが可能な水平状態に保たれる。したがって、点検作業者が第2作業床に乗り込むことにより、制御盤の上部の手の届く範囲における点検作業を行うことができる。
【0010】
例えば、前述のように第2作業床を水平に保っている状態にあって、制御盤に係る点検作業が終了した際などには、作業床保持具の下端を第2作業床から取り外し、その下端を昇降路壁に係着する。これにより、作業床保持具は昇降路壁に上下方向に延設された状態で固定される。また、このような状態から第2支持部材の他端を第2作業床及び支柱のうちの該当するものから取り外し、第2作業床及び支柱を下方に回動させる。さらに、このような状態から、第1支持部材の他端を第1作業床及びベース部のうちの該当するものから取り外す。これにより、第1作業床がベース部から垂下し、第1支持部材がベース部または第1作業床から垂下し、支柱がベース部から垂下し、第2作業床が支柱から垂下し、第2支持部材が第2作業床または支柱から垂下する。したがって、第1作業床、第1支持部材、支柱、第2作業床、及び第2支持部材を、制御盤の直下に配置させることができる。
【0011】
すなわち本発明は、第1作業床及び第1支持部材の回動動作によって第1作業床を第1の高さ位置に水平保持でき、また、第2作業床、支柱、第2支持部材、及び作業床保持具によって、第2作業床を前述した第1の高さ位置よりも高い第2の高さ位置に水平保持できて、点検作業者が乗る作業床の高さ位置を変更することができる。また本発明は、収納時には、作業床保持具を昇降路壁面に上下方向に延設されるように固定でき、また、第1作業床、第1支持部材、支柱、第2作業床、及び第2支持部材を制御盤の直下に配置することができ、これらにより乗かごの下降時にこの乗かごとの干渉を生じることなく昇降路内に収納させることができる。したがって、昇降路内から本発明に係る制御盤点検装置を撤去する煩雑な作業が不要となる。
【0012】
また本発明は、前記発明において、前記ベース部は、前記制御盤の下方に配置され、前記昇降路壁の鉛直方向に延設されて、それぞれ横断面がL字状の一対のベース部材から成り、前記支柱は、前記ベース部材のそれぞれの上部に回動可能に連結される一対の長尺体から成り、前記第1作業床は、前記ベース部材のそれぞれの上部に回動可能に連結され、断面がコ字形状の部材から成り、前記第2作業床は、前記長尺体の前記ベース部材に連結される端部とは反対側に位置する端部に回動可能に連結され、断面がコ字形状の部材から成り、前記作業床保持具は、上端のそれぞれが制御盤の外側に位置する昇降路壁部分に固定される一対の索状体から成り、これらの索状体のそれぞれの下端を、前記第2作業床の側面のそれぞれに係着可能に形成し、前記第1作業床を、前記一対のベース部材間に収納可能な形状寸法に設定し、前記長尺体のそれぞれを、前記第1作業床内に配置可能であって、前記制御盤の側面の外側に配置可能な形状寸法に設定したことを特徴としている。
【0013】
また本発明は、前記発明において、前記昇降路壁に固定され、前記索状体のそれぞれの上端が取り付けられる取付金具と、前記昇降路壁に固定され、前記索状体のそれぞれの下端が係脱可能な取付金具と、前記第2作業床のそれぞれの側面に固定され、前記索状体の下端が係脱可能な取付金具とを備えたことを特徴としている。
【0014】
また本発明は、前記発明において、下端が昇降路のピット床に載置され、上端が水平状態に支持されている前記第1作業床に係脱可能な第1点検梯子と、下端が水平状態に支持されている前記第1作業床に載置され、上端が水平状態に支持されている前記第2作業床に係脱可能な第2点検梯子とを備え、前記第1点検梯子及び前記第2点検梯子のそれぞれを、前記ピット床の床面に沿って配置可能な形状寸法に設定したことを特徴としている。
【0015】
また本発明は、前記発明において、当該エレベータは、機械室レスエレベータから成ることを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、第1支持部材を介して第1作業床を水平状態となる第1の高さ位置に保ち、支柱、第2支持部材、及び作業床保持具を介して第2作業床を水平状態となる第2の高さ位置に保つことができる。また、収納時には、作業床保持具を昇降路壁の上下方向に延設させるように固定できるとともに、制御盤の直下に第1作業床、第1支持部材、支柱、第2作業床、及び第2支持部材を配置することができる。すなわち本発明は、作業床の高さ位置を変更可能であるとともに、昇降路を下降する乗かごとの干渉を生じることなく昇降路内に収納させることができる。これにより本発明は、従来技術におけるような昇降路内から撤去する煩雑な作業が不要となり、従来に比べて点検作業工数を少なくし、点検作業に要する費用を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る制御盤点検装置の一実施形態が活用されるエレベータの主要機器の配置形態の一例を示す平面図である。
【図2】制御盤の上部の点検作業を実施するときの本実施形態の配設状態を示す斜視図である。
【図3】制御盤の下部の点検作業を実施するときの本実施形態の配設状態を示す斜視図である。
【図4】本実施形態を昇降路内に収納したときの状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係るエレベータの制御盤点検装置の実施の形態を図に基づいて説明する。
【0019】
図1は本発明に係る制御盤点検装置の一実施形態が活用されるエレベータの主要機器の配置形態の一例を示す平面図である。
【0020】
本実施形態に係る制御盤点検装置が活用されるエレベータは、例えば機械室レスエレベータである。この機械室レスエレベータは、図1に示すように、昇降路内にかごドア21を有する乗かご15と、つり合いおもり16と、乗かご15を案内する一対のガイドレール18と、つり合いおもり16を案内する一対のガイドレール17が配置されている。また、昇降路内に、乗かご15、及びつり合いおもり16のそれぞれに対応させてピット床に配置した緩衝装置19と、巻上機14と、ガバナ装置20と、本実施形態の点検対象である制御盤1とが配置されている。すなわち、比較的狭いスペースの中に密集するように主要機器が配置されている。これに伴って、制御盤1は高さ寸法が高くなるように予め設定され、昇降路壁に取り付けられている。
【0021】
図2は制御盤の上部の点検作業を実施するときの本実施形態の配設状態を示す斜視図、図3は制御盤の下部の点検作業を実施するときの本実施形態の配設状態を示す斜視図、図4は本実施形態を昇降路内に収納したときの状態を示す斜視図である。
【0022】
本実施形態に係る制御盤点検装置は、昇降路壁に設けたベース部を備えている。このベース部は、図2に示すように、制御盤1の下方に配置され、昇降路壁の鉛直方向に延設されて、それぞれ横断面がL字状の一対のベース部材3から成っている。これらのベース部材3には、図3,4にも示すように、下方部分に切り欠き部3aをそれぞれ形成してある。
【0023】
また本実施形態は、制御盤1の直下に配置され、ベース部材3のそれぞれの上部に回動可能に連結され、点検作業者が乗って制御盤1の点検作業を行うことを可能にする第1作業床2を備えている。この第1作業床2は、例えば断面がコ字形状の部材から成り、一対のベース部材3間に収容可能な形状寸法に設定してある。
【0024】
また本実施形態は、一端が第1作業床2及びベース部材3のうちの一方に、例えば第1作業床2に回動可能に連結され、他端が第1作業床2及びベース部材3のうちの他方に、例えばベース部材3の切り欠き部3aに係脱可能であって、他端をベース部材3の切り欠き部3aに係着させたときに、図2に示すように、第1作業床2を水平状態に支持する第1支持部材4を備えている。
【0025】
また本実施形態は、ベース部材3に回動可能に連結した支柱、例えばベース部材3のそれぞれの上部に回動可能に連結される一対の長尺体22を備えている。これらの長尺体22は例えば、図3に示すように第1作業床2内に配置可能であって、図2に示すように制御盤1の側面の外側に配置可能な形状寸法に設定してある。これらの長尺体22には、図3等に示すように、ベース部材3との連結部の近傍位置に切り欠き部22aをそれぞれ形成してある。
【0026】
また本実施形態は、図2に示すように、長尺体22に回動可能に連結され、点検作業者が乗って制御盤1の点検作業を行うことを可能にする第2作業床6を備えている。この第2作業床6は、長尺体22のベース部材3に連結される端部とは反対側に位置する端部に回動可能に連結され、断面がコ字形状の部材から成っている。
【0027】
また本実施形態は、一端が第2作業床6及び長尺体22のうちの一方に、例えば第2作業床6に回動可能に連結され、他端が第2作業床6及び長尺体22のうちの他方に、例えば長尺体22の切り欠き部22aに係脱可能であって、図2に示すように、長尺体22を鉛直方向に立設させるように回動させた状態で、他端を長尺体22の切り欠き部22aに係着させたときに、第2作業床6を第1作業床2よりも高い位置に支持し、かつ、水平状態に支持する第2支持部材5を備えている。
【0028】
また本実施形態は、上端が昇降路壁に固定され、下端が昇降路壁に係脱可能に保持され、昇降路壁から離脱させた下端を第2作業床6に連結可能な作業床保持具を備えている。この作業床保持具は例えば、上端のそれぞれが制御盤1の側面の外側に位置する昇降路壁部分に固定される一対の索状体7から成っている。これらの索状体7のそれぞれの下端は、第2作業床6の側面のそれぞれに係着可能となっている。
【0029】
また本実施形態は、図2に示すように、昇降路壁に固定され、索状体7のそれぞれの上端が取り付けられる取付金具8と、昇降路壁に固定され、索状体7のそれぞれの下端が係脱可能な取付金具9と、第2作業床6のそれぞれの側面に固定され、索状体7の下端が係脱可能な取付金具10とを備えている。
【0030】
また本実施形態は、図2に示すように、下端が昇降路のピット床に載置され、上端が水平状態に支持されている第1作業床2の取付部12に係脱可能な第1点検梯子11と、下端が水平状態に支持されている第1作業床2に載置され、上端が水平状態に支持されている第2作業床6の取付部13に係脱可能な図示しない第2点検梯子とを備えている。これらの第1点検梯子11及び図示しない第2点検梯子のそれぞれは、昇降路のピット床の床面に沿って配置可能な形状寸法に設定してある。
【0031】
このような構成を備えた本実施形態に係る制御盤点検装置を用いて、昇降路壁に設置された制御盤1の点検作業を行うに際しては、図4に示す状態から第1作業床2を水平状態となるまで回動させ、この状態で第1支持部材4の他端をベース部材3の切り欠き部3aに係着させる。これにより、図3に示すように、第1作業床6は点検作業者の乗り込みが可能な水平状態に保たれる。ここで、第1点検梯子11の下端を昇降路のピット床に載置し、上端を第1作業床6の取付部12に係着させる。したがって、第1点検梯子11を介して点検作業者が図3に示すように支持されている第1作業床2に乗り込むことにより、制御盤1の下部の手の届く範囲における点検作業を行うことができる。
【0032】
この状態からさらに、それまで手の届かなかった制御盤1の上部の点検作業を行う場合には、長尺体22を鉛直方向に立設させるように上方に回動させ、また第2作業床6を水平状態となるまで回動させ、図2に示すように、長尺体22が立設し、第2作業床6が水平となった状態で、第2支持部材5の他端を長尺体22の切り欠き部22aに係着させる。また、索状体7の下端を昇降路壁に固定された取付金具9から取り外し、図2に示すように、第2作業床6の取付金具10に係着させる。これにより、第2作業床6は点検作業者の乗り込みが可能な水平状態に保たれる。ここで、図示しない第2点検梯子の下端を第1作業床2に載置し、上端を第2作業床6の取付部13に係着させる。したがって、第1点検梯子11及び図示しない第2点検梯子を介して点検作業者が図2に示すように支持されている第2作業床6に乗り込むことにより、制御盤1の上部の手の届く範囲における点検作業を行うことができる。
【0033】
例えば、図2に示すように第1作業床2及び第2作業床6を水平に保っている状態にあって、制御盤1に係る点検作業が終了した際などには、索状体7のそれぞれの下端を第2作業床6のそれぞれの側面に設けた取付金具10から取り外し、これらの下端を昇降路壁に設けた取付金具9のそれぞれに係着する。これにより、一対の索状体7のそれぞれは、昇降路壁に上下方向に延設された状態で固定される。また、このような状態から例えば図示しない第2点検梯子を取り外し、第2支持部材5の他端のそれぞれを長尺体22の切り欠き部22aから取り外し、第1点検梯子11を取り外して、第2作業床6及び長尺体22を下方に回動させる。図3は、このようにして第2作業床6及び長尺体22を下方に回動させ、長尺体22を第1作業床2内に位置させたときと同様の状態を示している。
【0034】
さらに、このような状態から、第1支持部材4の他端をベース部材3の切り欠き部3aから取り外し、第1作業床2を下方に回動させる。これにより図4に示すように、第1作業床2がベース部材3から垂下し、第1支持部材4が第1作業床2から垂下し、長尺体22がベース部材3から垂下し、第2支持部材5が第2作業床6から垂下する。したがって、第1作業床2、第1支持部材4、長尺体22、第2作業床6、及び第2支持部材5を、制御盤1の直下に配置させることができる。
【0035】
すなわち本実施形態は、第1作業床2及び第1支持部材4の回動動作によって第1作業床2を図3に示す第1の高さ位置に水平保持でき、また、第2作業床6、長尺体22、第2支持部材5、及び索状体7によって、第2作業床6を前述した第1の高さ位置よりも高い図2に示す第2の高さ位置に水平保持できて、点検作業者が乗る作業床の高さ位置を変更することができる。また本実施形態は、収納時には、索状体7を昇降路壁に上下方向に延設されるように固定でき、また、第1作業床2、第1支持部材4、長尺体22、第2作業床6、及び第2支持部材5を制御盤1の直下に配置することができ、さらに、第1点検梯子11及び図示しない第2点検梯子を、昇降路のピット床の床面に沿うように載置することができる。これらにより本実施形態は、乗かごの下降時にこの乗かごとの干渉を生じることなく昇降路内に収納させることができる。したがって本実施形態は、昇降路内から本実施形態に係る制御盤点検装置を撤去する煩雑な作業が不要となり、点検作業工数を少なくし、点検作業に要する費用を低減させることができる。
【0036】
なお、前記実施形態は、第1支持部材4の一端を第1作業床2に回動可能に連結し、第
支持部材4の他端をベース部材3の切り欠き部3aに係脱可能に構成してあるが、この構成とは逆に、第1作業床2に切り欠き部を形成して、第1支持部材4の一端をベース部材3に回動可能に連結し、第1支持部材4の他端を第1作業床2に形成した切り欠き部に係脱可能に構成してもよい。
【0037】
また、前記実施形態は、第2支持部材5の一端を第2作業床6に回動可能に連結し、第2支持部材5の他端を長尺体22の切り欠き部22aに係脱可能に構成してあるが、この構成とは逆に、第2作業床6に切り欠き部を形成して、第2支持部材5の一端を長尺体22に回動可能に連結し、第2支持部材5の他端を第2作業床6に形成した切り欠き部に係脱可能に構成してもよい。
【0038】
また、前記実施形態は、第2作業床6に回動可能な作業床保持具を索状体7によって構成してあるが、この索状体7に代えて所望の強度を有する棒状体を設け、この棒状体の上端を昇降路壁に対して回動可能に設け、下端を昇降路壁に係脱可能に、また第1作業床6の側面に係脱可能に設けた構成としてもよい。
【符号の説明】
【0039】
1 制御盤
2 第1作業床
3 ベース部材(ベース部)
3a 切り欠き部
4 第1支持部材
5 第2支持部材
6 第2作業床
7 索状体(作業床保持具)
8 取付金具
9 取付金具
10 取付金具
11 第1点検梯子
12 取付部
13 取付部
22 長尺体(支柱)
22a 切り欠き部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータの昇降路壁に取り付けられる制御盤の点検に際して活用されるエレベータの制御盤点検装置において、
前記昇降路壁に取り付けたベース部と、
前記制御盤の直下に配置され、前記ベース部に回動可能に連結され、作業者が乗って前記制御盤の点検作業を行うことを可能にする第1作業床と、
一端が前記第1作業床及び前記ベース部のうちの一方に回動可能に連結され、他端が前記第1作業床及び前記ベース部のうちの他方に係脱可能であって、前記他端を前記第1作業床及び前記ベース部のうちの該当するものに係着させたときに、前記第1作業床を水平状態に支持する第1支持部材と、
前記ベース部に回動可能に連結した支柱と、
前記支柱に回動可能に連結され、作業者が乗って前記制御盤の点検作業を行うことを可能にする第2作業床と、
一端が前記第2作業床及び前記支柱のうちの一方に回動可能に連結され、他端が前記第2作業床及び前記支柱のうちの他方に係脱可能であって、前記支柱を鉛直方向に立設させるように回動させた状態で、前記他端を前記第2作業床及び前記支柱のうちの該当するものに係着させたときに、前記第2作業床を前記第1作業床よりも高い位置に支持し、かつ、水平状態に支持する第2支持部材と、
上端が前記昇降路壁に固定され、下端が前記昇降路壁に係脱可能に保持され、前記昇降路壁から離脱させた前記下端を前記第2作業床に係着可能な作業床保持具を備えたことを特徴とするエレベータの制御盤点検装置。
【請求項2】
請求項1に記載のエレベータの制御盤点検装置において、
前記ベース部は、前記制御盤の下方に配置され、前記昇降路壁の鉛直方向に延設されて、それぞれ横断面がL字状の一対のベース部材から成り、
前記支柱は、前記ベース部材のそれぞれの上部に回動可能に連結される一対の長尺体から成り、
前記第1作業床は、前記ベース部材のそれぞれの上部に回動可能に連結され、断面がコ字形状の部材から成り、
前記第2作業床は、前記長尺体の前記ベース部材に連結される端部とは反対側に位置する端部に回動可能に連結され、断面がコ字形状の部材から成り、
前記作業床保持具は、上端のそれぞれが制御盤の外側に位置する昇降路壁部分に固定される一対の索状体から成り、これらの索状体のそれぞれの下端を、前記第2作業床の側面のそれぞれに係着可能に形成し、
前記第1作業床を、前記一対のベース部材間に収納可能な形状寸法に設定し、
前記長尺体のそれぞれを、前記第1作業床内に配置可能であって、前記制御盤の側面の外側に配置可能な形状寸法に設定したことを特徴とするエレベータの制御盤点検装置。
【請求項3】
請求項2に記載のエレベータの制御盤点検装置において、
前記昇降路壁に固定され、前記索状体のそれぞれの上端が取り付けられる取付金具と、
前記昇降路壁に固定され、前記索状体のそれぞれの下端が係脱可能な取付金具と、
前記第2作業床のそれぞれの側面に固定され、前記索状体の下端が係脱可能な取付金具とを備えたことを特徴とするエレベータの制御盤点検装置。
【請求項4】
請求項3に記載のエレベータの制御盤点検装置において、
下端が昇降路のピット床に載置され、上端が水平状態に支持されている前記第1作業床に係脱可能な第1点検梯子と、下端が水平状態に支持されている前記第1作業床に載置され、上端が水平状態に支持されている前記第2作業床に係脱可能な第2点検梯子とを備え、
前記第1点検梯子及び前記第2点検梯子のそれぞれを、前記ピット床の床面に沿って配置可能な形状寸法に設定したことを特徴とするエレベータの制御盤点検装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のエレベータの制御盤点検装置において、
当該エレベータは、機械室レスエレベータから成ることを特徴とするエレベータの制御盤点検装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−18621(P2013−18621A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−153953(P2011−153953)
【出願日】平成23年7月12日(2011.7.12)
【出願人】(000232955)株式会社日立ビルシステム (895)
【Fターム(参考)】