エレベータの釣り合いおもり
【課題】おもり総重量の低下をきたさずに、安全性や取り扱い易さを考慮した形状のおもりを積載できるようにする。
【解決手段】ガイドレールに案内される枠に、乗りかごの重量にバランスする重量のおもり20を複数個積載してなるエレベータの釣り合いおもりにおいて、前記おもり20は、鉄枠21にコンクリート22を充填して固めたおもり20からなり、前記鉄枠21に、取手となりうる凹部24を形成した。さらに、前記おもりは、1個の横長のおもりを3個以上に分割したブロックからなり、各ブロックが凹凸で嵌合し合って1個のおもりをなすようにした。さらに、前記枠を構成する左右の縦枠の中間に中間縦枠を設け、横長のおもりを半分にしたおもりを2列並列に積み上げ可能にした。さらに、前記おもりに人力では取り扱えない重量を有するおもりを用い、数個の該おもりを横方向または上下方向に配列して前記枠に積載した。
【解決手段】ガイドレールに案内される枠に、乗りかごの重量にバランスする重量のおもり20を複数個積載してなるエレベータの釣り合いおもりにおいて、前記おもり20は、鉄枠21にコンクリート22を充填して固めたおもり20からなり、前記鉄枠21に、取手となりうる凹部24を形成した。さらに、前記おもりは、1個の横長のおもりを3個以上に分割したブロックからなり、各ブロックが凹凸で嵌合し合って1個のおもりをなすようにした。さらに、前記枠を構成する左右の縦枠の中間に中間縦枠を設け、横長のおもりを半分にしたおもりを2列並列に積み上げ可能にした。さらに、前記おもりに人力では取り扱えない重量を有するおもりを用い、数個の該おもりを横方向または上下方向に配列して前記枠に積載した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータの釣り合いおもりに係り、特に、おもりを安全に積載できるようにしたエレベータの釣り合いおもりに関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータでは、乗りかごの重量に釣り合いおもりをバランスさせることにより、巻上機の負荷を軽減させている。従来の釣り合いおもりは、必要な数のおもりを釣り合いおもり枠に搭載することで、乗りかごの重量とバランスさせている。
【0003】
そこで、図11に、従来の釣り合いおもりの例として、特許文献1に記載されているものを示す。
【0004】
この釣り合いおもりは、ガイドレールに沿うように設けられる一対の枠体1と、枠体1に両端が保持される複数のウェイト2と、これらのウェイト2を貫通するように設けられる通しボルト3と、これらの通しボルト3と主ウェイト2とを一体に固定するナット4とを備えている。なお、5は吊りロープを示し、6は、ガイドレールを摺動するガイドシューを示している。
このような釣り合い重りで用いられるウェイト2は、必要な数だけ枠体1に積み上げるようにして積載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−313579号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般に、釣り合いおもりに用いられるウェイトとしては、1個の重量が10〜40kgの鋳物または鉄板が用いられている。乗りかごの重量にバランスさせるためには、一台あたり数十個が必要となる。
【0007】
このようなウェイトの積載は、作業員が手で持ち上げて積載しているため、ウェイトの角部で指を挟むおそれがある。このため、安全性の面から、ウェイトの形状を変更することが考えられる。
【0008】
しかし、ウェイトの形状を変更すると、釣り合い重りの枠に積み込めるスペースが限られているため、必要な重量を確保できないという問題が生じる。
【0009】
そこで、本発明の目的は、前記従来技術の有する問題点を解消し、おもり総重量の低下をきたさずに、安全性や取り扱い易さを考慮した形状のおもりを積載できるようにしたエレベータの釣り合いおもりを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記の目的を達成するために、第1の発明は、ガイドレールに案内される枠に、乗りかごの重量にバランスする重量のおもりを複数個積載してなるエレベータの釣り合いおもりにおいて、前記おもりは、鉄枠にコンクリートを充填して固めたおもりからなり、前記鉄枠に、取手となりうる凹部を形成したことを特徴とするものである。
【0011】
また、第2の発明は、ガイドレールに案内される枠に、乗りかごの重量にバランスする重量のおもりを複数個積載してなるエレベータの釣り合いおもりにおいて、前記おもりは、1個の横長のおもりを3個以上に分割したブロックからなり、各ブロックが凹凸で嵌合し合って1個のおもりをなすことを特徴とするものである。
【0012】
さらに、第3の発明は、ガイドレールに案内される枠に、乗りかごの重量にバランスする重量のおもりを複数個積載してなるエレベータの釣り合いおもりにおいて、前記枠を構成する左右の縦枠の中間に中間縦枠を設け、横長のおもりを半分にしたおもりを2列並列に積み上げ可能にしたことを特徴とするものである。
【0013】
さらに、第4の発明は、ガイドレールに案内される枠に、乗りかごの重量にバランスする重量のおもりを複数個積載してなるエレベータの釣り合いおもりにおいて、前記おもりに人力では取り扱えない重量を有するおもりを用い、数個の該おもりを横方向または上下方向に配列して前記枠に積載したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、おもり総重量の低下をきたさずに、積み込み作業の安全性や取り扱い性を考慮した形状に変更し、安全におもりを積載することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1実施形態によるエレベータの釣り合いおもりの正面図である。
【図2】図1の釣り合いおもりに用いるおもりを示す斜視図である。
【図3】おもりの他の実施例を示す斜視図である。
【図4】おもりの他の実施例を示す平面図である。
【図5】本発明の第2実施形態によるエレベータの釣り合いおもりの正面図である。
【図6】図5の同釣り合いおもりに用いるおもりを示す側面図である。
【図7】おもりの一つのブロックに取り付ける取手を示す断面図である。
【図8】本発明の第3実施形態によるエレベータの釣り合いおもりの正面図である。
【図9】本発明の第4実施形態によるエレベータの釣り合いおもりの正面図である。
【図10】本発明の第4実施形態によるエレベータの釣り合いおもりの他の例を示す正面図である。
【図11】従来の釣り合いおもりを示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明によるエレベータの釣り合いおもりの一実施形態について、添付の図面を参照しながら説明する。
第1実施形態
図1は、本発明の第1実施形態によるエレベータの釣り合いおもりを示す。
この図1において、参照番号10は、釣り合いおもりの全体を示している。図1において、参照番号11a、11bは、釣り合いおもり10の昇降を案内するガイドレールを示している。参照番号12は、吊りロープを示している。釣り合いおもり10は、おもりを積むための枠として、上枠14、下枠15、縦枠16、17を四方組みしてなる枠から構成されている。
【0017】
上枠14には、吊りロープ12の端末が固定金具13を介して止着されている。この上枠14の両端には、ガイドレール11a、11bに摺動自在に嵌合するガイドシュー18a、18bが取り付けられている。
【0018】
下枠15は、積み重ねるようにして積載されるおもり20を支持するとともに、下枠15の両端には、ガイドレール11a、11bに摺動自在に嵌合するガイドシュー19a、19bが取り付けられている。
【0019】
ここで、図2は、本実施形態の釣り合いおもりで用いられるおもり20を示す。このおもり20は、有底の細長い箱状の鉄枠21にコンクリート22を充填して固めた横長のおもりである。おもり20の両端部には、断面コ字形の縦枠16、17にそれぞれ嵌合する凸部23a、23bが形成されている。
【0020】
このおもり20では、好適には、鉄枠21の長手方向の両側面において、下側の角部に段をつけるために長手方向に凹部24が形成されている。この実施形態では、この凹部24は指を入れておもり20を把持し易くするだけの幅と深さを有している。
【0021】
以上のように構成される釣り合いおもり10によれば、釣り合いおもり10におもり20を積み込むにあたって、作業員は鉄枠21の角部を持つときに、凹部24に指を入れておもり20を把持できるため、持ちやすいだけでなく、おもり20を降ろして重ねるときに、鉄枠21の角で指を挟むのを回避することができる。
【0022】
このように安全を考慮した形状にしても、鉄枠21とコンクリート22が一体であるため、おもり総重量を低減させずに形状変更を行うことができる。
【0023】
次に、図3は、おもりの他の実施例を示す。
この図3に示すおもり30では、凹部31は鉄枠21の底面に幅方向に横切るように形成されている。
【0024】
図4は、さらにおもりの他の実施例を示す。
この図4に示すおもり40は、図2に示したおもり20において、両端の凸部23a、23bを形成する替わりに、両端を長くするとともに切欠部42を形成した例である。この切欠部42には、積み込んだときに縦枠16、17がそれぞれ嵌合するようになっている。
【0025】
このおもり40では、全体としておもりの長さを長くして積みやすくすることができ、より安全になるとともに、おもりの重量も稼ぐことができる。
【0026】
第2実施形態
次に、本発明の第2実施形態による釣り合いおもりについて、図5を参照して説明する。なお、第1実施形態の図1と同一の構成要素には同一の参照番号を付してその詳細な説明は省略する。
この第2実施形態は、1個の横長のおもり50を、例えば、図6に示すように3個のブロック50a、50b、50cに分割して構成した実施形態である。
【0027】
それぞれのブロック50a、50b、50cでは、例えば、真ん中のブロック50bの左右側面には、溝51、52を形成し、端のブロック50aの側面に溝51に嵌合する凸部53を形成し、同じく端のブロック50cの側面52に嵌合する凸部54を形成するというように、凹凸同士を嵌め合わせることで、全体として一つの横長のおもり50に組み合わせることができる。
【0028】
なお、各ブロック50a、50b、50cでは、図7(a)に示すように、ねじ穴56に取手55をねじ込むことで、取手55を着脱可能に取り付けることができるようになっている。
【0029】
釣り合いおもり10の枠におもり50を積み込むときには、各ブロック50a、50b、50cに取手55を付けておき、取手55を把持してブロックごとに積み込み、図6に示すように、一つのおもりに組み合わせればよい。おもり50を積み上げるときに取手55は邪魔になるので、積み込んだ後は取手55を取り外すことになる。
【0030】
このように、ひとつの横長のおもり50をブロック50a、50b、50cに分割することで、ブロック単位で取り扱えることになり、安全に積み込み作業を行うことで可能になり、総重量も低下することはない。
【0031】
次に、図7(b)は、おもりの他の実施例を示す。この図7(b)に示すおもり50では、各ブロック50a、50b、50cに取手としてのハンドル57が一体に設けられている。この場合、各ブロック50a、50b、50cでは、上面にくぼみ58を形成しておき、このくぼみ58を横断するようにハンドル57が固定されている。このようにハンドル57を取り付けておけば、積み上げる際にハンドルが邪魔になることがなくなる。
【0032】
なお、以上の例は、一つのおもりを3分割のブロックから構成した例であるが、これに限定されるものではなく、4分割、5分割であってもよい。
また、各ブロックは、鋳物で構成してもよいし、また、第1実施形態のように鉄枠にコンクリートを充填して成形してもよい。
【0033】
第3実施形態
図8は、本発明の第3実施形態による釣り合いおもりを示す。
【0034】
この第3実施形態では、釣り合いおもり10の枠構造に、中間縦枠59が付加されている。この中間縦枠59は、縦枠16、17の中間に平行に配置されている。縦枠16、17がコ字形の断面を有しているのに対して、中間縦枠59には、断面H形の形材が用いられている。
【0035】
このように中間縦枠59を設けたことによって、小型のおもり60を2列並列に積み上げることができるようになっている。この場合、おもり60は、通常の横長のおもりを長さ半分にしたものである。
【0036】
以上のように構成される釣り合いおもり10によれば、通常の横長のおもりに較べてひとつあたりのおもり60の重量は半分になるため、取り扱いが楽になり、また指を挟んでけがをすることもなくなり、安全に積み込み作業を行うことが可能になる。しかも、全体としてのおもり総重量は変わらないため、総重量の維持と安全性の両立を実現することができる。
【0037】
なお、おもり60については、一つ一つの厚さをより薄くするようにしてもよい。そうすれば、おもり60のひとつあたりの重量はより軽くなるので、積む枚数は増えるが、積み込み作業はおもり60の軽量化によりさらに安全になる。
【0038】
第4実施形態
次に、本発明の第4実施形態による釣り合いおもりについて、図9、図10を参照して説明する。
【0039】
この第4実施形態は、積載するおもりの数を増やした第3実施形態とは反対に、おもりを大型化して、数個、3〜5、6個のおもりで総重量を担うようにした実施形態である。
【0040】
図9に示すように、3個の縦長のおもり62が横方向に並べて釣り合いおもり10に搭載されている。3個のおもり62は、連結部材63によって縦枠16、17に固定されている。この例では、おもり総重量が、例えば、300kgであれば、一個のおもり62は100kgになる。なお、図10は、おもり62を上下に3個並べた実施形態である。
【0041】
以上のように構成される釣り合いおもりによれば、1個のおもり62の重量は人が手作業で積むには重すぎるため、クレーンを使って積み込むことになる。これにより、手作業に伴う危険性、例えば、おもりを積み上げるときに指を挟むなどの危険性を間接的ながら回避することができる。
【0042】
本実施形態では、おもり62の1個あたりの重量は、人手で運べない程度の重量で、かつ、数個で総重量をまかなえられるだけの重量、具体的には、50〜200kgである。
【符号の説明】
【0043】
10…釣り合いおもり、11a、11b…ガイドレール、12…吊りロープ、14…上枠、15…下枠、16…縦枠、17…縦枠、20…おもり、21…鉄枠、22…コンクリート、24…凹部、30…おもり、40…おもり、50…おもり、59…中間縦枠
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータの釣り合いおもりに係り、特に、おもりを安全に積載できるようにしたエレベータの釣り合いおもりに関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータでは、乗りかごの重量に釣り合いおもりをバランスさせることにより、巻上機の負荷を軽減させている。従来の釣り合いおもりは、必要な数のおもりを釣り合いおもり枠に搭載することで、乗りかごの重量とバランスさせている。
【0003】
そこで、図11に、従来の釣り合いおもりの例として、特許文献1に記載されているものを示す。
【0004】
この釣り合いおもりは、ガイドレールに沿うように設けられる一対の枠体1と、枠体1に両端が保持される複数のウェイト2と、これらのウェイト2を貫通するように設けられる通しボルト3と、これらの通しボルト3と主ウェイト2とを一体に固定するナット4とを備えている。なお、5は吊りロープを示し、6は、ガイドレールを摺動するガイドシューを示している。
このような釣り合い重りで用いられるウェイト2は、必要な数だけ枠体1に積み上げるようにして積載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−313579号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般に、釣り合いおもりに用いられるウェイトとしては、1個の重量が10〜40kgの鋳物または鉄板が用いられている。乗りかごの重量にバランスさせるためには、一台あたり数十個が必要となる。
【0007】
このようなウェイトの積載は、作業員が手で持ち上げて積載しているため、ウェイトの角部で指を挟むおそれがある。このため、安全性の面から、ウェイトの形状を変更することが考えられる。
【0008】
しかし、ウェイトの形状を変更すると、釣り合い重りの枠に積み込めるスペースが限られているため、必要な重量を確保できないという問題が生じる。
【0009】
そこで、本発明の目的は、前記従来技術の有する問題点を解消し、おもり総重量の低下をきたさずに、安全性や取り扱い易さを考慮した形状のおもりを積載できるようにしたエレベータの釣り合いおもりを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記の目的を達成するために、第1の発明は、ガイドレールに案内される枠に、乗りかごの重量にバランスする重量のおもりを複数個積載してなるエレベータの釣り合いおもりにおいて、前記おもりは、鉄枠にコンクリートを充填して固めたおもりからなり、前記鉄枠に、取手となりうる凹部を形成したことを特徴とするものである。
【0011】
また、第2の発明は、ガイドレールに案内される枠に、乗りかごの重量にバランスする重量のおもりを複数個積載してなるエレベータの釣り合いおもりにおいて、前記おもりは、1個の横長のおもりを3個以上に分割したブロックからなり、各ブロックが凹凸で嵌合し合って1個のおもりをなすことを特徴とするものである。
【0012】
さらに、第3の発明は、ガイドレールに案内される枠に、乗りかごの重量にバランスする重量のおもりを複数個積載してなるエレベータの釣り合いおもりにおいて、前記枠を構成する左右の縦枠の中間に中間縦枠を設け、横長のおもりを半分にしたおもりを2列並列に積み上げ可能にしたことを特徴とするものである。
【0013】
さらに、第4の発明は、ガイドレールに案内される枠に、乗りかごの重量にバランスする重量のおもりを複数個積載してなるエレベータの釣り合いおもりにおいて、前記おもりに人力では取り扱えない重量を有するおもりを用い、数個の該おもりを横方向または上下方向に配列して前記枠に積載したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、おもり総重量の低下をきたさずに、積み込み作業の安全性や取り扱い性を考慮した形状に変更し、安全におもりを積載することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1実施形態によるエレベータの釣り合いおもりの正面図である。
【図2】図1の釣り合いおもりに用いるおもりを示す斜視図である。
【図3】おもりの他の実施例を示す斜視図である。
【図4】おもりの他の実施例を示す平面図である。
【図5】本発明の第2実施形態によるエレベータの釣り合いおもりの正面図である。
【図6】図5の同釣り合いおもりに用いるおもりを示す側面図である。
【図7】おもりの一つのブロックに取り付ける取手を示す断面図である。
【図8】本発明の第3実施形態によるエレベータの釣り合いおもりの正面図である。
【図9】本発明の第4実施形態によるエレベータの釣り合いおもりの正面図である。
【図10】本発明の第4実施形態によるエレベータの釣り合いおもりの他の例を示す正面図である。
【図11】従来の釣り合いおもりを示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明によるエレベータの釣り合いおもりの一実施形態について、添付の図面を参照しながら説明する。
第1実施形態
図1は、本発明の第1実施形態によるエレベータの釣り合いおもりを示す。
この図1において、参照番号10は、釣り合いおもりの全体を示している。図1において、参照番号11a、11bは、釣り合いおもり10の昇降を案内するガイドレールを示している。参照番号12は、吊りロープを示している。釣り合いおもり10は、おもりを積むための枠として、上枠14、下枠15、縦枠16、17を四方組みしてなる枠から構成されている。
【0017】
上枠14には、吊りロープ12の端末が固定金具13を介して止着されている。この上枠14の両端には、ガイドレール11a、11bに摺動自在に嵌合するガイドシュー18a、18bが取り付けられている。
【0018】
下枠15は、積み重ねるようにして積載されるおもり20を支持するとともに、下枠15の両端には、ガイドレール11a、11bに摺動自在に嵌合するガイドシュー19a、19bが取り付けられている。
【0019】
ここで、図2は、本実施形態の釣り合いおもりで用いられるおもり20を示す。このおもり20は、有底の細長い箱状の鉄枠21にコンクリート22を充填して固めた横長のおもりである。おもり20の両端部には、断面コ字形の縦枠16、17にそれぞれ嵌合する凸部23a、23bが形成されている。
【0020】
このおもり20では、好適には、鉄枠21の長手方向の両側面において、下側の角部に段をつけるために長手方向に凹部24が形成されている。この実施形態では、この凹部24は指を入れておもり20を把持し易くするだけの幅と深さを有している。
【0021】
以上のように構成される釣り合いおもり10によれば、釣り合いおもり10におもり20を積み込むにあたって、作業員は鉄枠21の角部を持つときに、凹部24に指を入れておもり20を把持できるため、持ちやすいだけでなく、おもり20を降ろして重ねるときに、鉄枠21の角で指を挟むのを回避することができる。
【0022】
このように安全を考慮した形状にしても、鉄枠21とコンクリート22が一体であるため、おもり総重量を低減させずに形状変更を行うことができる。
【0023】
次に、図3は、おもりの他の実施例を示す。
この図3に示すおもり30では、凹部31は鉄枠21の底面に幅方向に横切るように形成されている。
【0024】
図4は、さらにおもりの他の実施例を示す。
この図4に示すおもり40は、図2に示したおもり20において、両端の凸部23a、23bを形成する替わりに、両端を長くするとともに切欠部42を形成した例である。この切欠部42には、積み込んだときに縦枠16、17がそれぞれ嵌合するようになっている。
【0025】
このおもり40では、全体としておもりの長さを長くして積みやすくすることができ、より安全になるとともに、おもりの重量も稼ぐことができる。
【0026】
第2実施形態
次に、本発明の第2実施形態による釣り合いおもりについて、図5を参照して説明する。なお、第1実施形態の図1と同一の構成要素には同一の参照番号を付してその詳細な説明は省略する。
この第2実施形態は、1個の横長のおもり50を、例えば、図6に示すように3個のブロック50a、50b、50cに分割して構成した実施形態である。
【0027】
それぞれのブロック50a、50b、50cでは、例えば、真ん中のブロック50bの左右側面には、溝51、52を形成し、端のブロック50aの側面に溝51に嵌合する凸部53を形成し、同じく端のブロック50cの側面52に嵌合する凸部54を形成するというように、凹凸同士を嵌め合わせることで、全体として一つの横長のおもり50に組み合わせることができる。
【0028】
なお、各ブロック50a、50b、50cでは、図7(a)に示すように、ねじ穴56に取手55をねじ込むことで、取手55を着脱可能に取り付けることができるようになっている。
【0029】
釣り合いおもり10の枠におもり50を積み込むときには、各ブロック50a、50b、50cに取手55を付けておき、取手55を把持してブロックごとに積み込み、図6に示すように、一つのおもりに組み合わせればよい。おもり50を積み上げるときに取手55は邪魔になるので、積み込んだ後は取手55を取り外すことになる。
【0030】
このように、ひとつの横長のおもり50をブロック50a、50b、50cに分割することで、ブロック単位で取り扱えることになり、安全に積み込み作業を行うことで可能になり、総重量も低下することはない。
【0031】
次に、図7(b)は、おもりの他の実施例を示す。この図7(b)に示すおもり50では、各ブロック50a、50b、50cに取手としてのハンドル57が一体に設けられている。この場合、各ブロック50a、50b、50cでは、上面にくぼみ58を形成しておき、このくぼみ58を横断するようにハンドル57が固定されている。このようにハンドル57を取り付けておけば、積み上げる際にハンドルが邪魔になることがなくなる。
【0032】
なお、以上の例は、一つのおもりを3分割のブロックから構成した例であるが、これに限定されるものではなく、4分割、5分割であってもよい。
また、各ブロックは、鋳物で構成してもよいし、また、第1実施形態のように鉄枠にコンクリートを充填して成形してもよい。
【0033】
第3実施形態
図8は、本発明の第3実施形態による釣り合いおもりを示す。
【0034】
この第3実施形態では、釣り合いおもり10の枠構造に、中間縦枠59が付加されている。この中間縦枠59は、縦枠16、17の中間に平行に配置されている。縦枠16、17がコ字形の断面を有しているのに対して、中間縦枠59には、断面H形の形材が用いられている。
【0035】
このように中間縦枠59を設けたことによって、小型のおもり60を2列並列に積み上げることができるようになっている。この場合、おもり60は、通常の横長のおもりを長さ半分にしたものである。
【0036】
以上のように構成される釣り合いおもり10によれば、通常の横長のおもりに較べてひとつあたりのおもり60の重量は半分になるため、取り扱いが楽になり、また指を挟んでけがをすることもなくなり、安全に積み込み作業を行うことが可能になる。しかも、全体としてのおもり総重量は変わらないため、総重量の維持と安全性の両立を実現することができる。
【0037】
なお、おもり60については、一つ一つの厚さをより薄くするようにしてもよい。そうすれば、おもり60のひとつあたりの重量はより軽くなるので、積む枚数は増えるが、積み込み作業はおもり60の軽量化によりさらに安全になる。
【0038】
第4実施形態
次に、本発明の第4実施形態による釣り合いおもりについて、図9、図10を参照して説明する。
【0039】
この第4実施形態は、積載するおもりの数を増やした第3実施形態とは反対に、おもりを大型化して、数個、3〜5、6個のおもりで総重量を担うようにした実施形態である。
【0040】
図9に示すように、3個の縦長のおもり62が横方向に並べて釣り合いおもり10に搭載されている。3個のおもり62は、連結部材63によって縦枠16、17に固定されている。この例では、おもり総重量が、例えば、300kgであれば、一個のおもり62は100kgになる。なお、図10は、おもり62を上下に3個並べた実施形態である。
【0041】
以上のように構成される釣り合いおもりによれば、1個のおもり62の重量は人が手作業で積むには重すぎるため、クレーンを使って積み込むことになる。これにより、手作業に伴う危険性、例えば、おもりを積み上げるときに指を挟むなどの危険性を間接的ながら回避することができる。
【0042】
本実施形態では、おもり62の1個あたりの重量は、人手で運べない程度の重量で、かつ、数個で総重量をまかなえられるだけの重量、具体的には、50〜200kgである。
【符号の説明】
【0043】
10…釣り合いおもり、11a、11b…ガイドレール、12…吊りロープ、14…上枠、15…下枠、16…縦枠、17…縦枠、20…おもり、21…鉄枠、22…コンクリート、24…凹部、30…おもり、40…おもり、50…おもり、59…中間縦枠
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガイドレールに案内される枠に、乗りかごの重量にバランスする重量のおもりを複数個積載してなるエレベータの釣り合いおもりにおいて、
前記おもりは、鉄枠にコンクリートを充填して固めたおもりからなり、前記鉄枠に、取手となりうる凹部を形成したことを特徴とするエレベータの釣り合いおもり。
【請求項2】
ガイドレールに案内される枠に、乗りかごの重量にバランスする重量のおもりを複数個積載してなるエレベータの釣り合いおもりにおいて、
前記おもりは、1個の横長のおもりを3個以上に分割したブロックからなり、各ブロックが凹凸で嵌合し合って1個のおもりをなすことを特徴とするエレベータの釣り合いおもり。
【請求項3】
前記各ブロックには、取手が着脱可能または一体的に設けられたことを特徴とする請求項2に記載のエレベータの釣り合いおもり。
【請求項4】
ガイドレールに案内される枠に、乗りかごの重量にバランスする重量のおもりを複数個積載してなるエレベータの釣り合いおもりにおいて、
前記枠を構成する左右の縦枠の中間に中間縦枠を設け、横長のおもりを半分にしたおもりを2列並列に積み上げ可能にしたことを特徴とするエレベータの釣り合いおもり。
【請求項5】
ガイドレールに案内される枠に、乗りかごの重量にバランスする重量のおもりを複数個積載してなるエレベータの釣り合いおもりにおいて、
前記おもりに人力では取り扱えない重量を有するおもりを用い、数個の該おもりを横方向または上下方向に配列して前記枠に積載したことを特徴とするエレベータの釣り合いおもり。
【請求項1】
ガイドレールに案内される枠に、乗りかごの重量にバランスする重量のおもりを複数個積載してなるエレベータの釣り合いおもりにおいて、
前記おもりは、鉄枠にコンクリートを充填して固めたおもりからなり、前記鉄枠に、取手となりうる凹部を形成したことを特徴とするエレベータの釣り合いおもり。
【請求項2】
ガイドレールに案内される枠に、乗りかごの重量にバランスする重量のおもりを複数個積載してなるエレベータの釣り合いおもりにおいて、
前記おもりは、1個の横長のおもりを3個以上に分割したブロックからなり、各ブロックが凹凸で嵌合し合って1個のおもりをなすことを特徴とするエレベータの釣り合いおもり。
【請求項3】
前記各ブロックには、取手が着脱可能または一体的に設けられたことを特徴とする請求項2に記載のエレベータの釣り合いおもり。
【請求項4】
ガイドレールに案内される枠に、乗りかごの重量にバランスする重量のおもりを複数個積載してなるエレベータの釣り合いおもりにおいて、
前記枠を構成する左右の縦枠の中間に中間縦枠を設け、横長のおもりを半分にしたおもりを2列並列に積み上げ可能にしたことを特徴とするエレベータの釣り合いおもり。
【請求項5】
ガイドレールに案内される枠に、乗りかごの重量にバランスする重量のおもりを複数個積載してなるエレベータの釣り合いおもりにおいて、
前記おもりに人力では取り扱えない重量を有するおもりを用い、数個の該おもりを横方向または上下方向に配列して前記枠に積載したことを特徴とするエレベータの釣り合いおもり。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−37582(P2011−37582A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−186447(P2009−186447)
【出願日】平成21年8月11日(2009.8.11)
【出願人】(390025265)東芝エレベータ株式会社 (2,543)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月11日(2009.8.11)
【出願人】(390025265)東芝エレベータ株式会社 (2,543)
【Fターム(参考)】
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