説明

エレベーターの照明装置

【課題】光源としてLEDを用いたものにあって、目地により生じる影を低減することのできるエレベーターの照明装置の提供。
【解決手段】複数のLED3が配設されるLED基板4と、乗りかごの天井に設置され、LED基板4が配置される箱枠5と、複数に分割されて箱枠5の開口部に取り付けられる透光透過性の遮蔽板6と、これらの遮蔽板6の分割部分に挿嵌される目地枠7とを備えたエレベーターの照明装置において、目地枠7の上方に当該目地枠7に沿ってLED3の一部を配置したものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LEDを光源とした照明ユニットを乗りかごの天井に取り付けたエレベーターの照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベーターの乗りかご内の照明装置として、天井に設置される照明ユニットに蛍光灯を配したものが一般的であったが、近年、省エネ化を図るため、光源としてLEDのような発光素子を用いたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−105433(段落番号0014〜0024、図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来、乗りかごの天井に設けられる照明装置は、光源である複数のLEDが配設される照明ユニットと、この照明ユニットが設置される箱枠と、アクリルなどの光透過性の材料で形成され、箱枠の開口部に取り外し可能に取り付けられる遮蔽板とを有して成っている。遮蔽板は乗りかごの容積にもよるが、容積が大きなものにあっては、強度を保持する観点から一般に複数に分割され、分割部分には目地枠が挿嵌される。
【0005】
このような従来構成のものにLEDのような発光素子を用いた場合、目地枠近傍に影が発生し、意匠性が低下するという問題が生じる。即ち、図4及び図5に示すように、目地枠7を考慮に入れず発光素子であるLED3aを配置すると、一般にLEDは蛍光灯に比べて1つ当たりの光量が少ないことから、目地枠7に隣接するLED3aから照射された光が目地枠7に当たって遮蔽板6の拡散面に影Sが発生する。前述した背景技術のものは、LEDの取り付け方法を工夫し、設置および交換作業を容易に行なうようにしたものであり、目地枠により生じる影について考慮されたものではなかった。
【0006】
本発明は、前述した従来技術における実状からなされたもので、その目的は、光源としてLEDを用いたものにあって、目地枠により生じる影を低減することのできるエレベーターの照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明は、複数のLEDが配設されるLED基板と、乗りかごの天井に設置され、前記LED基板が配置される箱枠と、複数に分割されて前記箱枠の開口部に取り付けられる透光透過性の遮蔽板と、これらの遮蔽板の分割部分に挿嵌される目地枠とを備えたエレベーターの照明装置において、前記LED基板のLEDの一部を、前記目地枠の真上に当該目地枠に沿って配置することを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、かご照明装置の光源としてLEDを用いたものにあって、遮蔽板の分割部分に挿嵌される目地枠により生じる影を低減し、これによって、LEDを用いて省エネ化を図りつつ、乗りかご内意匠性の低下を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】エレベーターの乗りかごの概略構成図である。
【図2】本発明に係るエレベーターの照明装置の一実施例を示す縦断面図である。
【図3】図2における照明装置の見上げ図である。
【図4】従来の照明装置を示す図2相当図である。
【図5】図4における照明装置の見上げ図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係るエレベーターの照明装置の実施例を図に基づき説明する。
【0011】
エレベーターの乗りかご1には、図1に示すように、その天井に照明装置2が設置される。
【0012】
照明装置2は、図2及び図3に示すように、複数のLED3が配設されるLED基板4と、乗りかご1の天井に設置され、LED基板4が配置される箱枠5と、複数、例えば4つに分割されて箱枠5の開口部に取り付けられる透光透過性の遮蔽板6と、これらの遮蔽板6の分割部分に挿嵌され、略H状の断面を有する非透光透過性の目地枠7と、箱枠5の縁部に装着され、略コの字状の断面を有するブラケット材8と、LED基板4を箱枠5に固定するボルト9と、LED基板4に連結されるケーブル10と、ケーブル10の端部に設けられ、エレベーターの電源11と接続可能なコネクタ12とを備えている。なお、LED3及びLED基板4で前述したいわゆる照明ユニットを構成するものとする。
【0013】
LED3の一部3Aは、目地枠7の真上に当該目地枠7に沿って配置されている。
【0014】
遮蔽板6は、目地枠7とブラケット材8とで形成される矩形の開口寸法より若干大きな寸法を有しており、2辺が目地枠7、他の2辺がブラケット材8に掛かるようにして支持される。
【0015】
目地枠7は、本実施例にあっては遮蔽板6が4分割であることから、図3に示すように、十字状の形状となり、略H状の上面部と下面部からなる目地枠7の端部はブラケット材8に支持される。
【0016】
本実施例にあっては、コネクタ12を電源11に接続すると、LED基板4に電力が供給され、この電力は各LED3に行き渡って発光する。そして、LED3の一部3Aを目地枠7の真上に、当該目地枠7に沿って配置することで、目地枠7に隣接するLED3から照射された光が目地枠7に当たって遮蔽板6の拡散面に生じる影を、目地枠7の真上に設けられたLED3Aから照射された光により打ち消す。
【0017】
本実施例によれば、乗りかご1内に設置される照明装置2の光源としてLEDを用いたものにあって、遮蔽板6の分割部分に挿嵌される目地枠7により生じる影を低減し、これによって、LED3を用いて省エネ化を図りつつ、乗りかご1内の意匠性の低下を防ぐことができる。特に、LED3の配置を工夫するという簡易な方法で、即ち、目地枠をなくすために大きな遮蔽板を用いた特別な構造としたりすることなく、輝度むらを低減することができるという効果がある。
【符号の説明】
【0018】
1 乗りかご
2 照明装置
3 LED(発光素子)
4 LED基板
5 箱枠
6 遮蔽板
7 目地枠
8 ブラケット材
9 ボルト
10 ケーブル
11 電源
12 コネクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のLEDが配設されるLED基板と、乗りかごの天井に設置され、前記LED基板が配置される箱枠と、複数に分割されて前記箱枠の開口部に取り付けられる透光透過性の遮蔽板と、これらの遮蔽板の分割部分に挿嵌される目地枠とを備えたエレベーターの照明装置において、
前記LED基板のLEDの一部を、前記目地枠の真上に当該目地枠に沿って配置することを特徴としたエレベーターの照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−67449(P2013−67449A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−205608(P2011−205608)
【出願日】平成23年9月21日(2011.9.21)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】