説明

エレベーター保全装置

【課題】
エレベーター走行中乗りかご上で、保全作業員に携帯保守端末を操作させないエレベーター保全環境を提供することにより、エレベーター走行中乗りかご上で携帯保守端末を捜査中の保全作業員の事故を低減することにある。
【課題手段】
エレベーターの乗りかごに設置された制御盤2と、前記制御盤2に接続しエレベーターの保全のための情報を前記制御盤2と通信し表示変更することのできる携帯保守端末3とで構成されたエレベーター保全装置において、前記携帯保守端末3との接続端子4を乗りかご上に備え、エレベーター走行時は前記接続端子に接続した前記携帯保守端末3を使用不能とする接点10を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベーター保全装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のエレベーターの携帯保守端末は、エレベーターが走行中でも乗りかご上で使用可能であり、その結果、周囲を確認せず作業員がエレベーター走行中に携帯保守端末を操作することにより、塔内機器接触などの事故発生の虞れがある。
【0003】
これを防止する手段として、例えば、乗りかご上の操作装置に振動体を設け、振動により注意喚起する技術が公開されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−335246号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した技術のうち、乗りかご上の保全作業員に走行中を振動による注意喚起する振動体を設けたとしても、保全作業員は、振動体の振動により注意喚起されても、気付くことなく作業を続けることが懸念され、また、振動体が発生する振動の他にエレベーターの走行による振動で気付かない場合があり、危険である。
【0006】
本発明の目的は、エレベーター走行中における乗りかご上の保全作業員の安全を確保できるエレベーター保全装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、エレベーターの乗りかごに設置された制御盤と、前記制御盤に接続し、エレベーター保全のための情報を前記制御盤と通信して表示変更することができる携帯保守端末とにより構成されたエレベーター保全装置において、前記携帯保守端末との接続端子をかご上に備え、エレベーター走行時に前記接続端子と前記携帯保守端末との接続を開放する接点を設けたものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、保全作業員は、エレベーター走行中、携帯保守端末による操作ができないので、エレベーター走行中に乗りかご上での保全作業員の事故を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態を示す全体構成図である。
【図2】図1を補完する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0011】
図1は本発明の一実施形態になるエレベーターの保全作業の全体構成図、図2は図1を補完する説明図である。
【0012】
図1において、エレベーター保全作業時、エレベーターの昇降路20内の乗かご1の上で、保全作業員がかご上の制御盤2と、この制御盤2に接続されている接続端子4に携帯保守端末3を接続し保全作業を実施しているところである。
【0013】
携帯保守端末3は、制御盤2内のエレベーター制御マイクロコンピューターの制御信号の読み出し・変更を行うことができる。例えば、エレベーターの走行時間、エレベーターを制御する走行信号の状態、走行速度を読み出したりすることが可能である。
【0014】
これらの信号を走行中に乗りかご上で読み出したりしていると、知らずのうちに乗りかご上から身を乗り出し、釣り合い重り30に衝突したりするなど大変危険である。
【0015】
本エレベーターには、携帯保守端末3の接続用として、乗りかご上の接続端子4、かご内の接続端子5、塔内底部の接続端子6、乗場の接続端子7,8が設置されている。これらの接続端子4〜8のうち乗りかご上の接続端子4に、走行中に携帯保守端末3を接続し使用する際、乗りかごと昇降路20の4方向の壁や釣り合い重り30との間隔が狭く大変危険である。
【0016】
本発明は、図2に示すように乗りかご上の接続端子4と制御盤との接続端子9の間にエレベーターが走行中に開路する接点10を設け、エレベーター走行中は接続端子4に接続した携帯保守端末3が制御盤2と制御信号の通信ができないようにした。その結果、乗りかご上の保全作業員はエレベーター走行中に携帯保守端末が操作不能となるので、エレベーター走行中に乗りかご上での保守作業員の事故を低減することができる。
【0017】
エレベーター停止時は、走行中ではないので接点10が閉路しており、乗りかご上の保全作業員は、携帯保守端末を操作することができる。また、乗りかご上の接続端子4以外の接続端子は制御盤2の接続端子9との間に接点10を介していないので、エレベーターが走行中でも停止時でも関わりなくなく、携帯保守端末を操作するてとができる。
【符号の説明】
【0018】
1 乗りかご
2 制御盤
3 携帯保守端末
4 接続端子
10 接点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベーターの乗りかごに設置された制御盤と、前記制御盤に接続しエレベーターの保全のための情報を前記制御盤と通信し表示変更することのできる携帯保守端末とで構成されたエレベーター保全装置において、前記携帯保守端末を接続するための接続端子を乗りかご上に備え、エレベーター走行時に前記接続端子と前記携帯保守端末との接続を開放する接点を設けたことを特徴とするエレベーター保全装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−95578(P2013−95578A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−242505(P2011−242505)
【出願日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【出願人】(000232955)株式会社日立ビルシステム (895)
【Fターム(参考)】