説明

エレベータ制御装置のパワーオンリセット

エレベータ(9)は、通信機構(12)により中央エレベータ監視・制御ステーション(11)に接続された遠隔エレベータ監視装置(10)を含む。主、駆動、およびドア制御装置(16〜18)は、監視装置線と相互接続される(19〜21)。制御措置のパワーオンリセット(POR)は、内部的に、または制御装置への電力を遮断する遠隔に操作可能な電力継電器(23〜25)によって生じさせられうる。遠隔ステーション(11)において保守担当者は、通信機構を通じてPORを命令することができる。もう1つの実施形態において、遠隔エレベータ監視装置(10)は、PORが解決することのできる誤作動の存在を判別し、PROを内部的に、または電力継電器によって生じさせる。もう1つの実施形態において、制御装置(16a)は、そのプログラムルーチンにおいて、PORが解決できるエレベータ誤作動を認識して、継電器にある間隔電力を遮断させるか、または内部PORを生じさせることのできるエレベータ診断(50)を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信機構を介してPOR信号を提供する遠隔監視・制御センタと、POR信号を提供するローカルエレベータ監視装置と、POR信号を提供する制御装置内エレベータ診断プログラムルーチンと、を含み、保守担当者がエレベータの現地を訪れることなくエレベータの1つまたは複数の制御装置のパワーオンリセット(POR)を提供することに関する。PORは制御装置の内部的に実行されても、または電子スイッチを含みうる電力継電器により実行されてもよい、
【背景技術】
【0002】
エレベータ状態の遠隔監視は、一般に普及している。エレベータのさまざまな要素およびさまざまな稼働パラメータの状態は通常、電話またはその他の媒体の場合もある通信リンクによって中央監視・制御ステーションに送信される。この種の遠隔エレベータ監視は、米国特許第4,568,909号、第4,622,538号、第5,450,478号、およびそこから発展した最新のシステムにおいて開示されているとおりである。
【0003】
即座の注意を必要とするエレベータ誤作動に対する通常の対応は、サービスコールでサービス担当者をエレベータの現地に派遣することである。現地サービスコールを行うことは、誤作動の修正が行われる時期を遅らせる。サービスコールはまた、費用がかさむ。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、監視されているエレベータに必要とされるサービスコールの回数を減少させることと、誤作動が検出された後にエレベータを回復するコストを減少させることと、特定の事例においてエレベータ誤作動を修正するために必要な時間を減少させることと、エレベータ現地への不必要なサービスコールを回避することと、改善されたエレベータ監視およびサービス提供と、を含む。
【0005】
本発明は、かなり多くのエレベータサービスコールが、現地で保守担当者により1つまたは複数の制御装置(主制御装置、ドア制御装置、または駆動制御装置)のパワーオンリセットを生じさせることしか必要としないという認識を前提としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、制御装置のパワーオンリセット(POR)が誤作動の解決または解決法の判別に有用な追加情報を提供することのできる、関連のエレベータ制御装置または遠隔エレベータ監視装置のいずれかによって検出されたエレベータ誤作動は、制御装置に供給される電力を遮断すること、または制御装置に内部PORを実行させることによって、現地の保守担当者の支援なしで達成される。
【0007】
本発明の1つの形態によれば、エレベータ制御装置(主制御装置、ドア制御装置、駆動制御装置などを備えることができる)の電力継電器(可動接極子スイッチまたは電子スイッチから構成されてもよい)は、制御装置が電力を得る遠隔に操作可能な電力継電器を操作することによって、現地の保守担当者の支援なしで達成される。本発明によれば、制御装置の電力継電器は、(a)遠隔監視および制御の担当者の通信リンクを介した信号の送信によって、(b)現地エレベータ監視装置によって、または(c)制御装置自体の内部でエレベータ診断を実行するコンピュータプログラムによって、操作されてもよい。
【0008】
本発明のもう1つの形態によれば、制御されるエレベータは、現地保守担当者の支援なしで(パーソナルコンピュータにおけるcontrol/alt/deleteキーによる再起動と同様の方法で)再起動が行われる。再起動は、(a)遠隔監視および制御の担当者の通信リンクを介した信号の送信によって、(b)信号を制御装置に提供する現地エレベータ監視装置によって、(c)制御装置自体の内部でセルフテストを実行するコンピュータプログラムによって、行われ得る。
【0009】
本発明により、PORが解決するか、または追加の有用な情報を提供することのできるようなエレベータ誤作動を判別する監視装置または現場外の担当者に応答して、現地保守担当者が介入することなく、パワーオンリセットを提供することができる。
【0010】
本発明のその他の目的、特徴、および利点は、添付の図面に示されるその模範的な実施形態の以下の詳細な説明を考慮すればさらに明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1を参照すると、エレベータシステム9は、電話、RF、赤外線またはその他の望ましい媒体からなる通信機構12を介して中央エレベータ監視・制御ステーション11と通信する遠隔エレベータ監視装置10を含むことができる。
【0012】
エレベータ9は、主制御装置16を有することができ、さらに駆動制御装置17および/またはドア制御装置18を備えることができる。以下で図3〜5に関して説明されている場合を除き、制御装置16〜18は従来型である。一部の実施形態において、各制御装置は、信号線19〜21を介して遠隔エレベータ監視装置10に接続される。本発明の1つの形態によれば、各制御装置16〜18は、対応する遠隔操作可能な電力継電器23〜25を通じて電源21から電力を受け取る。本発明は、制御装置16〜18のいくつかだけが、遠隔操作可能な運電源継電器によって給電されていても実施されうる。あるいは、複数の制御装置が、単一の継電器を介して給電されうる。通常の場合、エレベータには1つしか制御装置はない。同様に、通常は、エレベータあたり1つしか電力継電器はない。
【0013】
本発明の1つの実施形態において、遠隔エレベータ監視装置10は、誤作動が発生したことを判別し、モデム等の適切な通信装置30により通信機構12を介してその誤作動のコードを中央エレベータ監視・制御ステーション11に送信する。遠隔監視・制御ステーション11は、モデムを備えることができる通信装置33を通じて誤作動コードを受け取り、通常は誤作動コードを出力して表示するためのステップ34を備える。これらは、従来技術にしたがって、サービスコールを即座または後に行うべきかどうかを判別する担当者によって見られ、おそらく、サービス担当者がエレベータ9の現地に到着したときにサービス担当者が誤作動を修正するのを補助するために、提案されるテストおよび問題の潜在的原因を提供する。
【0014】
本発明によれば、本発明の本実施形態のプロセスで次のステップ36において、専門家が、エレベータのその他の状態および稼働条件を示す表示された追加データを検討する。このデータから、専門家は、PORが誤作動を解決するかまたは有用な情報を提供するかどうか決定する。保守担当者がスイッチを押すか、あるいはPORが実施されるべきであることを指示する場合、テスト39は肯定となり、モデムであってもよい通信装置40を通じてPOR送信を生じさせる。PORが指示されない場合、テスト39の否定結果はステップ40を迂回する。POR信号が通信機構12を介して送信された場合、モデムであってもよい通信装置43によってPOR信号が受け取られ、電力継電器23〜25を通じて電力を遮断するステップ45を実行するために1つまたは複数の回線44を介して信号が送信される。
【0015】
通信装置30、43は通常、装置33、40のように、単一モデムの送信および受信モードから成る。
【0016】
本実施形態において、任意の制御装置の電力供給は、遠隔監視・制御ステーション11によって最初に確立され、エレベータ誤作動に応答して適宜遮断る。装置は通常、分単位以下の間隔、または他の適切な間隔でオフ状態を保つように設定され、その後継電器が制御装置への電力を回復するように動作し、これにより、コンピュータの従来のPORが達成される。
【0017】
図1の装置は、エレベータ9の現地において遠隔エレベータ監視装置10が、PORが解決できるかまたは有用な情報を提供できることを誤作動コードが示すと判別し、1つまたは複数の回線44でPOR信号が対応する1つまたは複数の電力継電器23〜25に送信されるようにする、異なる操作モードを有することができる。
【0018】
図3は、主制御装置16aが、それ自体のプログラミングルーチン内に、PROが適切であるエレベータ誤作動を識別するエレベータ診断50を有し、回線44aで電力継電器23に信号を送信して制御装置16aへの電力がある間隔の間除去されてから回復されるようにすることのできる、本発明の追加の実施形態を示す。
【0019】
図4を参照すると、本発明のもう1つの実施形態は、電力継電器経由ではなく、電源21から直接電力を受け取る制御装置16bを含む。本実施形態において、エレベータ診断プログラミングルーチン50は、制御装置が自ら再起動するよう命令する。
【0020】
図5において、通信装置43は、制御装置16cに、自ら再起動するよう命令するために回線44bで信号を供給する。図5の実施形態の変形形においては、遠隔エレベータ監視装置10は、再起動が、解決、またはエレベータの状態および条件に関連する追加の情報を解決策の判別に役立てるのに有用となりうるような誤作動を監視装置10が感知するたびに、自ら再起動を行うように制御装置16cに命令する。
【0021】
したがって、本発明は、制御装置への電力を遮断するか、または制御装置を自ら再起動させることができる。
【0022】
前述の特許は、本願に引用して援用する。
【0023】
したがって、本発明はその模範的な実施形態に関して示され、説明されたが、前述のさまざまな変更、省略、および追加が、本発明の精神および範囲を逸脱することなく、その中およびそれに加えて行われうることを当業者であれば理解するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】遠隔エレベータ監視装置を採用する本発明の実施形態を示す概略ブロック図である。
【図2】現場外の保守担当者によって制御される本発明の1つの実施形態の操作方法を実施する際に実行されうる機能を示す概略図である。
【図3】制御装置がそれ自体のパワーオンリセットを提供する本発明の実施形態を示す概略ブロック図である。
【図4】制御装置が自ら再起動する本発明の実施形態を示す概略ブロック図である。
【図5】制御装置が遠隔に再起動されるようにする本発明の実施形態を示す部分的な概略ブロック図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
誤作動を感知するエレベータ操作診断に応答して潜在的修正措置をエレベータシステムに提供する方法であって、前記エレベータシステムは少なくとも1つの制御装置を有し、
前記エレベータシステムの1つまたは複数の制御装置のパワーオンリセット(POR)を、エレベータシステムの現地における人間の介入から独立して、操作のプロセスによって生じさせるようにし、前記プロセスは、(a)通信機構を通じて前記誤作動を通知された保守担当者が通信機構によりエレベータから離れた場所から前記PORを生じさせること、(b)PORがエレベータ誤作動を解決できるか、または誤作動の原因の判別を補助できる情報を提供できるようなエレベータ誤作動を前記監視装置が感知した場合に、現地エレベータ監視装置に前記PORを生じさせること、あるいは(c)エレベータ誤作動を解決できるか、または誤作動の原因の判別を補助できる情報を提供できるようなエレベータ誤作動の認識に応答して前記PORを生じさせるエレベータ診断を、前記少なくとも1つの制御装置のプログラムルーチンで提供すること、のうちの1つまたは複数を備える方法。
【請求項2】
遠隔操作可能な電力継電器を通じて前記少なくとも1つの制御装置に電力を提供するステップと、
少なくとも1つの制御装置から電力をある間隔除去し、次いで前記少なくとも1つの制御装置に電力を回復するように、少なくとも1つの前記電力継電器を操作することにより、前記PORを生じさせるステップと、
をさらに備える請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記PORは前記制御装置の内部で実行されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
少なくとも1つの制御装置および昇降路内を移動する少なくとも1つのかごを有するエレベータと、
(i)前記制御装置および/または(ii)遠隔エレベータ監視装置の一方または両方に配置されたエレベータ診断機能と、
少なくとも1つの前記制御装置のパワーオンリセット(POR)がエレベータ誤作動を解決できるか、または誤作動の原因の判別を補助できる情報を提供できるようなエレベータ誤作動を感知する前記診断機能に応答して少なくとも1つの前記制御装置でPORを生じさせるための操作可能な手段であって、前記手段は、(a)通信機構を通じて前記誤作動を通知された保守担当者によって制御され、通信機構を介して操作可能な、前記エレベータから遠隔なツール、(b)現地エレベータ監視装置、または(c)前記少なくとも1つの制御装置のプログラムルーチンによって実行されるエレベータ診断、のうちの1つまたは複数を備える手段と、
を備えるエレベータシステム。
【請求項5】
1つまたは複数の前記制御装置に電力を提供する1つまたは複数の遠隔に操作可能な電力継電器をさらに備え、
前記手段は、前記少なくとも1つの制御装置から電力をある間隔除去し、次いで前記少なくとも1つの制御装置に電力を回復するように少なくとも1つの前記電力継電器を操作することにより、前記PORを生じさせることを特徴とする請求項4に記載のエレベータシステム。
【請求項6】
前記手段は少なくとも1つの前記制御装置に内部PORを実行させることを特徴とする請求項4に記載のシステム。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図1】
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【公表番号】特表2008−512331(P2008−512331A)
【公表日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−531493(P2007−531493)
【出願日】平成17年10月20日(2005.10.20)
【国際出願番号】PCT/US2005/037931
【国際公開番号】WO2006/045055
【国際公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【出願人】(591020353)オーチス エレベータ カンパニー (402)
【氏名又は名称原語表記】OTIS ELEVATOR COMPANY
【Fターム(参考)】