エレベータ用照明装置
【課題】設置および交換作業が容易なエレベータ用照明装置を提供する。
【解決手段】エレベータ用照明装置20は、エレベータの乗籠1の天井15に設置されている。エレベータ用照明装置20は、発光素子231を有する複数の照明ユニット23と、天井15に固定される保持部材22と、発光素子231の照射側に配置された透光板212とを具備している。保持部材22は、少なくとも一列に並べられた照明ユニット23に対して平行に配置されて照明ユニット23を列の幅方向に挟んで両側を支持する一対の支持部223と、この対向する支持部223の間に発光素子231を乗籠1の内部に向かって露出させる照射口226と、照明ユニット23が乗籠1の内部側から通過しうるように形成される装入口227とを有している。
【解決手段】エレベータ用照明装置20は、エレベータの乗籠1の天井15に設置されている。エレベータ用照明装置20は、発光素子231を有する複数の照明ユニット23と、天井15に固定される保持部材22と、発光素子231の照射側に配置された透光板212とを具備している。保持部材22は、少なくとも一列に並べられた照明ユニット23に対して平行に配置されて照明ユニット23を列の幅方向に挟んで両側を支持する一対の支持部223と、この対向する支持部223の間に発光素子231を乗籠1の内部に向かって露出させる照射口226と、照明ユニット23が乗籠1の内部側から通過しうるように形成される装入口227とを有している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光素子を有する照明ユニットを乗籠の天井に取り付けたエレベータ用照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータの乗籠内の照明には、天井から吊り下げられた照明ケース内に設けられた蛍光灯や、LEDのような発光素子が用いられている。例えば、発光素子を用いたエレベータ用照明装置は特許文献1に開示されているものがあった。
【0003】
特許文献1のエレベータ照明装置は、複数の面発光体が配列されたシート基板を引き出し可能に巻装している。面発光体の照度が低下した場合に、シート基板を引き出して新たな面発光体を照明板の上に配置することで、光ムラの少ない照明を得ることができる。
【0004】
さらに、LEDを用いた照明装置の設置を容易にするため、複数のLEDがあらかじめ実装された照明ユニットを用いる照明装置が特許文献2に開示されている。特許文献2のLED照明装置は、複数のLEDが列設されたベースの両端にコネクタがそれぞれ設けられている。このコネクタによって複数のLED照明装置を連結して用いていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−197210号公報
【特許文献2】特開2009−99363号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のエレベータ照明装置は、大量の面発光体を配置したシート基板を用いるため、設置時に破損しないよう注意する必要があった。さらに、全てのシート基板を使い切った場合、作業員が乗籠の上に乗って交換作業をすることになった。
【0007】
また、特許文献2のLED照明装置は、天井に両面テープや接着剤、もしくはねじによって固定する必要があるため、設置時の位置合せや交換時の撤去に手間がかかっていた。 上記のように、従来のエレベータ照明装置は設置および交換作業に手間がかかっていた。そこで、本発明は設置および交換作業が容易なエレベータ用照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るエレベータ用照明装置は、エレベータの乗籠の天井に設置されており、発光素子を有する複数の照明ユニットと、前記天井に固定される保持部材と、前記発光素子の照射側に配置された透光板とを具備している。前記保持部材は、少なくとも一列に並べられた前記照明ユニットに対して平行に配置されて前記照明ユニットを列の幅方向に挟んで両側を支持する一対の支持部と、この対向する前記支持部の間に前記発光素子を前記乗籠の内部に向かって露出させる照射口と、前記照明ユニットが前記乗籠の内部側から通過しうるように形成される装入口とを有している。
前記照射口は前記照明ユニットの前記列に沿って一続きに形成され、前記装入口は前記照射口の一部を拡開させて形成されている。前記保持部材は、一対の前記支持部を連結し前記乗籠の天井に固定される底部を有する。前記発光素子は、前記照射口から突出する前記照明ユニットの一部に設けられている。
本発明の他の形態にかかる前記保持部材は、前記乗籠の外周壁に面して開放された端部を有し、前記保持部材の端部と前記外周壁との間の距離が、前記照明ユニットの前記列方向の長さよりも短い。
本発明のさらに他の形態にかかる前記照明ユニットは、隣り合う前記照明ユニットと互いに電気的に接続されるコネクタを有する。
本発明のさらに他の形態にかかる前記照明ユニットは、隣り合う前記照明ユニットに向かって突出するスペーサを有している。
本発明のさらに他の形態にかかる前記照明ユニットは、隣り合う前記照明ユニットに面して設けられた磁性体を有している。
本発明のさらに他の形態にかかるエレベータ用照明装置は、前記支持部の間に挟まれて平行に配置される一対の電源端子をさらに具備している。前記照明ユニットは、前記電源端子に対応する位置に設けられ前記電源端子との間で電力の送受を行なう受電端子を有している。
【0009】
本発明のさらに他の形態にかかる前記照明ユニットは、前記発光素子が実装された回路基板と、前記回路基板が取り付けられ前記一対の支持部に支持される基体とを有している。前記基体は、ダイカストによって成形されたアルミニウムによって形成されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明のエレベータ用照明装置は、乗籠の天井に固定された保持部材が発光素子を有する複数の照明ユニットを保持している。照明ユニットは、乗籠の内部側に開口する装入口から保持部材に装入することができるため、設置および交換作業を容易に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る第1の実施形態の乗籠の中から籠ドアを正面に見る投影図。
【図2】図1の乗籠の一部を示す斜視図。
【図3】図2の照明装置を保持部材の一部を切り欠いて示す縦断面図。
【図4】図2の照明ユニットを示す斜視図。
【図5】図3のF5−F5線に沿って示す断面図。
【図6】図4の照明ユニットを保持部材に装入する方法を示す説明図。
【図7】本発明に係る第2の実施形態の照明ユニットを示す斜視図。
【図8】本発明に係る第3の実施形態の照明装置を一部切り欠いて示す側面図。
【図9】本発明に係る第4の実施形態の照明装置を一部切り欠いて示す斜視図。
【図10】図9の照明装置の縦断面図。
【図11】図9の照明装置の形成方法を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の第1実施形態について、図1ないし図6を参照して説明する。なお、本明細書においては、便宜上エレベータの乗籠の昇降方向を上下方向として説明する。すなわち、重力が作用する方向が本明細書で言う下方向であり、重力に反する方向が本明細書で言う上方向である。
【0013】
図1は、エレベータの乗籠1の中から籠ドア10を正面に見た状態を示している。乗籠1は、籠ドア10と、籠ドア10に隣接するリターンパネル11と、床板12と、一対の側板13,14と、図2に示す天井15とを有している。側板13,14は、外周壁の一例である。
【0014】
図2および図3に示すように、天井15に、照明装置20が取り付けられている。照明装置20は、天井15から吊り下げられる照明ボックス21と、天井15に固定された保持部材22と、複数の照明ユニット23とを有している。照明ユニット23は、一列に並べられて保持部材22に装入されている。
【0015】
照明ボックス21は、箱枠211と、透光板212とを有している。箱枠211は、4つの側壁213からなる矩形の筒状に形成されており、例えば図示しないボルトで天井15に固定されている。
【0016】
対向する2つの側壁213には、照明ボックス21内に風を通すための通風孔215が設けられている。通風孔215は、側壁213の上端から中程までに設けられている。4つの側壁213の下端によって、矩形の開口部216が形成されている。
【0017】
図3に示すように、透光板212は、開口部216に取り外し可能に取り付けられ、天井15に対向している。透光板212は、アクリルなどの透光性材料で形成されており、透過する光を拡散する。
【0018】
図4は、照明ユニット23を示している。照明ユニット23は、図5に示すように縦断面がC形状の鋼板からなる保持部材22に装入される。照明ユニット23は、発光素子としての複数のLED231と、矩形の回路基板232と、縦断面が凸形状の基体233とを有している。
【0019】
複数のLED231は、回路基板232の頂部に長手方向に所定間隔を持って一列に複数個並んで実装されている。なお、本発明の発光素子はLED231に限らず、エレクトロルミネセンス素子のような他の発光素子を用いても良い。
【0020】
基体233は、矩形状のベース部235と、ベース部235から突出する突出部236とを有している。突出部236は、照明ユニット23の列方向におけるベース部235の一方の端部235aから、他方の端部235bに亘って設けられている。突出部236には、回路基板232が取り付けられている。
【0021】
基体233は、ダイカストによって成形されたアルミニウムによって形成されている。なお、基体233は、図5に示すような中実構造に限らず、中空の箱型であっても良い。
【0022】
さらに、照明ユニット23は、第1のコネクタ238と、第2のコネクタ239とを有している。第1のコネクタ238は、回路基板232の長手方向の一方の端部232aに設けられている。第2のコネクタ239は、回路基板232の長手方向の他方の端部232bに設けられ、第1のコネクタ238を接続することができる。照明ユニット23は、第1のコネクタ238を隣り合う照明ユニット23の第2のコネクタ239に接続することにより、互いに電気的に接続される。
【0023】
図2に示すように、第1のコネクタ238は、天井15に設けられた電源コネクタ151にも接続可能である。電源コネクタ151は、図示しないエレベータの電源に電気的に接続されている。
【0024】
第1のコネクタ238を電源コネクタ151に接続すると、照明ユニット23に電力が供給される。電源コネクタ151から供給される電力は、第1および第2のコネクタ238,239によって互いに電気的に接続された複数の照明ユニット23に行き渡る。
【0025】
図5に示すように、保持部材22は、天井15に固定された板状の底部221と、側部222を含む一対の支持部223とを有している。一対の側部222は、底部221の両端から下方向に向かってそれぞれ延びている。すなわち、一対の支持部223は、底部221によって連結されている。
【0026】
一対の支持部223は、一列に並べられた照明ユニット23に対して平行に配置され、照明ユニット23を列の幅方向に挟んでいる。保持部材22に照明ユニット23が装入されると、照明ユニット23のベース部235の両側が支持部223に支持される。
【0027】
底部221および一対の支持部223に囲まれる保持部材22の内部224は、照明ユニット23のベース部235を装入可能な大きさを有している。保持部材22は、例えばリップ溝型鋼(JIS G 3350−1987)や、一部を切削した角型鋼管を適用可能である。
【0028】
図2および図3に示すように、保持部材22は、複数の照明ユニット23を装入可能な長さを有している。乗籠1の側板13,14と保持部材22の端部225との間の距離は、図4に示す照明ユニット23の列方向長さY1よりも短い。
【0029】
保持部材22の端部225は、側板13,14および通風孔215に面して開放されている。なお、端部225は、例えば図示しない取り外し可能な蓋を取り付けられて塞がれても良い。
【0030】
一対の支持部223の間に、照明ユニット23の列に沿って一続きに形成された照射口226が設けられている。照射口226は、図4に示す突出部236の幅方向長さX1よりも広く、ベース部235の幅方向長さX2よりも狭い。このため、保持部材22に照明ユニット23が装入されると、照明ユニット23の突出部236が照射口226から突出し、LED231および回路基板232が照射口226から乗籠1の内部に向かって露出する。
【0031】
図2および図3に示すように、保持部材22には、照射口226の一部を側部222と支持部223にわたるように拡開させて形成された装入口227が設けられている。装入口227は、保持部材22の中程に設けられ、乗籠1の内部に向いている。装入口227は、照明ユニット23が通過しうる大きさを有している。
【0032】
照明装置20は、次のように形成される。図6に示すように、透光板212を取り外した状態で、所望の明るさを得るために必要な個数の照明ユニット23が保持部材22に装入される。照明ユニット23は、図6の矢印Aまたは矢印B方向に装入口227から保持部材22に装入される。
【0033】
照明ユニット23は、保持部材22に装入されると支持部223に支持される。支持部223に支持された照明ユニット23は、例えば指で押されて保持部材22の内部224をスライドして所望の位置へ移動させられる。
【0034】
必要に応じて、保持部材22に装入した照明ユニット23の一部を、一時的に保持部材22の端部225から飛び出させても良い。図6に示すように、開放されている保持部材22の端部225と照明ボックス21の通風孔215とが面しているため、一時的に照明ユニット23の一部を通風孔215から飛び出させても良い。
【0035】
必要な個数の照明ユニット23を保持部材22に装入した後、それぞれの照明ユニット23は所望の位置に配置される。例えば図2および図3に示すように、複数の照明ユニット23は、点灯時の光ムラを防止するために等間隔に配置される。
【0036】
複数の照明ユニット23は、それぞれ自重によって配置された位置に留まる。なお、照明ユニット23は、例えばねじのような固定手段によって配置された位置で保持部材22に固定されても良い。
【0037】
図2および図3に示すように、複数の照明ユニット23を所望の位置に配置した際に、一部が装入口227にかかる照明ユニット23は、保持部材22の支持部223に支持されて落下しないように配置される。すなわち、照明ユニット23は、図4の列方向長さY1の半分以上に亘って保持部材22の支持部223に支持される。
【0038】
複数の照明ユニット23を所望の位置に配置した後、照明ユニット23の第1のコネクタ238と、隣り合う照明ユニット23の第2のコネクタ239とを接続する。さらに、最も端に配置された照明ユニット23の第1のコネクタ238を、電源コネクタ151に接続する。
【0039】
複数の照明ユニット23を所望の位置に配置し、第1および第2のコネクタ238,239をそれぞれ接続した後、透光板212を照明ボックス21の開口部216に取り付ける。透光板212は、LED231の照射側に配置される。これにより、照明装置20が形成される。
【0040】
前記構成の照明装置20によれば、複数のLED231と、LED231が実装される回路基板232と、電力供給に用いる第1および第2のコネクタ238,239とが1つの照明ユニット23に含まれている。この照明ユニット23を保持部材22に装入し、第1のコネクタ238と電源コネクタ151とを接続し、透光板212を開口部216に取り付けることで照明装置20を形成することができる。
【0041】
保持部材22に装入口227が設けられることで、乗籠1の側板13,14と保持部材22の端部225との間の距離が照明ユニット23の列方向長さY1よりも短い場合であっても、装入口227から照明ユニット23を保持部材22に装入することができる。さらに、装入口227が乗籠1の内部に向いているため、乗籠1の中から照明ユニット23を保持部材22に装入することができる。このように、乗籠1の内部から簡単な作業で照明装置20を形成することができる。
【0042】
照度が低下した照明ユニット23を交換する際も、照明ユニット23が装入口227を通過可能であるため容易に行なうことができる。すなわち、装入口227から照度が低下した照明ユニット23を取り出し、装入口227から新しい照明ユニット23を装入すればよい。
以上のように、照明装置20は設置および交換作業を容易に行なうことができる。
【0043】
さらに、保持部材22に複数の照明ユニット23を装入し、それぞれ隣り合う照明ユニット23の第1のコネクタ238と第2のコネクタ239とを接続することで、隣り合う照明ユニット23が互いに電気的に接続される。
【0044】
互いに電気的に接続された複数の照明ユニット23は、第1のコネクタ238を電源コネクタ151に接続した照明ユニット23から電力の供給を受ける。このように、保持部材22に装入される照明ユニット23を追加して所望の照度を得ることができる。
【0045】
加えて、照明ユニット23は、例えば指で押されることで、保持部材22の内部224をスライドして移動することができる。これにより、照明ユニット23を容易に保持部材22の所望の位置へ配置することができる。
【0046】
さらに、一時的に照明ユニット23の一部を通風孔215から飛び出させることができる。これにより、保持部材22に装入される照明ユニット23が多くなっても、既に装入されている照明ユニット23に邪魔されずに装入口227から照明ユニット23を装入することができる。最大で、保持部材22の一方の端部225から他方の端部225まで、隙間無く照明ユニット23を装入することができる。
【0047】
さらに、照明ユニット23の基体233は、ダイカストによって成形されたアルミニウムによって形成されているため、放熱性に優れている。これにより、LED231が発する熱が、基体233から保持部材22に伝わって効率よく放熱される。
【0048】
なお、装入口227は、保持部材22に照明ユニット23を装入した後に、例えば蓋やワイヤーで塞がれても良い。この場合、装入口227の上に照明ユニット23を配置することができ、装入口227から照明ユニット23が落下することを防止できる。
【0049】
さらに、保持部材22は、図2および図3に示すような直線状に限らず、例えば曲線状や円環状であっても良い。この場合、照明ユニット23は保持部材22に装入可能な形状に形成される。
【0050】
次に、本発明の他の実施の形態について、図7ないし図10を参照して説明する。このとき、第1の実施形態の照明装置20と同一の機能を有する構成部分には同一の参照符号を付してその説明を省略する。
【0051】
図7は、第2の実施形態の照明ユニット23を示している。第2の実施形態の照明ユニット23は、スペーサ241を有している。スペーサ241は、基体233と一体に形成されており、ベース部235の一方の端部235aから隣り合う照明ユニット23に向かって突出している。保持部材22に装入された照明ユニット23のスペーサ241は、他の照明ユニット23のベース部235の他方の端部235bに当接する。
【0052】
前記構成の照明装置20によれば、保持部材22に装入された複数の照明ユニット23は、互いにスペーサ241によって一定の間隔を保たれる。これにより、複数の照明ユニット23を容易に等間隔に配置し、点灯時の光ムラを防止することができる。
【0053】
図8は、第3の実施形態の照明装置20を示している。第3の実施形態の照明ユニット23は、磁性体243を有している。磁性体243は、基体233のベース部235の一方の端部235aおよび他方の端部235bに設けられ、隣り合う照明ユニット23に面している。
【0054】
保持部材22に装入された複数の照明ユニット23は、それぞれ磁性体243を介して接触している。隣り合う照明ユニット23は、磁性体243によって引き付け合い、相対的に移動し難くなる。
【0055】
前記構成の照明装置20によれば、保持部材22に装入された複数の照明ユニット23は、それぞれ磁性体243によって互いに引き付け合い離れにくい。これにより、例えば乗籠1が横方向に揺れた場合であっても、複数の照明ユニット23がばらばらに移動することを防止できる。
【0056】
さらに、保持部材22から照明ユニット23を取り出す場合、例えば金属製の棒を保持部材22に装入し、照明ユニット23の磁性体243にくっつければ、容易に照明ユニット23を保持部材22から取り出すことができる。
【0057】
次に、図9ないし図11を参照して、第4の実施形態について説明する。支持部223の間に挟まれる底部221に、一対の電源端子245が設けられている。電源端子245は、図示しないエレベータの電源と電気的に接続されており、保持部材22が延びる方向に沿って平行に配置されている。なお、保持部材22は、絶縁材料で形成されるか、表面を絶縁体でコーティングされている。
【0058】
図10に示すように、照明ユニット23は、受電端子246を有している。受電端子246は、ベース部235の電源端子245に対応する位置に設けられている。受電端子246は板ばねであり、回路基板232と電気的に接続されている。なお、照明ユニット23の基体233は、絶縁材料で形成されるか、表面を絶縁体でコーティングされている。
【0059】
照明ユニット23の列方向長さY1は、照射口226の幅よりも短い。このため図9に示すように、照明ユニット23は、矢印C1方向に照射口226から保持部材22に装入可能である。このように、照射口226は本発明の装入口としても機能する。
【0060】
図11に示すように、照明ユニット23を回転させたときの突出部236の最大幅L1は、照射口226の幅L2よりも狭い。さらに、照明ユニット23を回転させたときのベース部235の最大幅L3は、保持部材22の内部224の幅L4よりも狭い。
【0061】
このため、照明ユニット23は、保持部材22の内部224で図9の矢印C2方向へ90度回転することができる。矢印C2方向は、ベース部235の一方の端部235aが保持部材22の側部222に向く方向から、ベース部235の一方の端部235aが保持部材22の端部225に向く方向へ回転する方向である。
【0062】
照射口226から保持部材22に装入された照明ユニット23が90度回転させられると、図10に示すように電源端子245と受電端子246とが接触して電気的に接続する。受電端子246は、板ばねであるため電源端子245を押圧する。
【0063】
電源端子245と受電端子246とが電気的に接続すると、照明ユニット23に電力が供給される。すなわち、電源端子245と受電端子246との間で電力の送受が行なわれる。
【0064】
前記構成の照明装置20によれば、照明ユニット23を照射口226から保持部材22に装入し、90度回転させることで照明ユニット23に電力供給を行なうことができる。これにより、さらに容易に照明装置20の設置および交換作業を行なうことができる。
【符号の説明】
【0065】
1…乗籠,15…天井,20…照明装置,212…透光板,22…保持部材,223…支持部,226…照射口,227…装入口,23…照明ユニット,231…LED,232…回路基板,233…基体,238…第1のコネクタ,239…第2のコネクタ,241…スペーサ,243…磁性体,245…電源端子,246…受電端子。
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光素子を有する照明ユニットを乗籠の天井に取り付けたエレベータ用照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータの乗籠内の照明には、天井から吊り下げられた照明ケース内に設けられた蛍光灯や、LEDのような発光素子が用いられている。例えば、発光素子を用いたエレベータ用照明装置は特許文献1に開示されているものがあった。
【0003】
特許文献1のエレベータ照明装置は、複数の面発光体が配列されたシート基板を引き出し可能に巻装している。面発光体の照度が低下した場合に、シート基板を引き出して新たな面発光体を照明板の上に配置することで、光ムラの少ない照明を得ることができる。
【0004】
さらに、LEDを用いた照明装置の設置を容易にするため、複数のLEDがあらかじめ実装された照明ユニットを用いる照明装置が特許文献2に開示されている。特許文献2のLED照明装置は、複数のLEDが列設されたベースの両端にコネクタがそれぞれ設けられている。このコネクタによって複数のLED照明装置を連結して用いていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−197210号公報
【特許文献2】特開2009−99363号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のエレベータ照明装置は、大量の面発光体を配置したシート基板を用いるため、設置時に破損しないよう注意する必要があった。さらに、全てのシート基板を使い切った場合、作業員が乗籠の上に乗って交換作業をすることになった。
【0007】
また、特許文献2のLED照明装置は、天井に両面テープや接着剤、もしくはねじによって固定する必要があるため、設置時の位置合せや交換時の撤去に手間がかかっていた。 上記のように、従来のエレベータ照明装置は設置および交換作業に手間がかかっていた。そこで、本発明は設置および交換作業が容易なエレベータ用照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るエレベータ用照明装置は、エレベータの乗籠の天井に設置されており、発光素子を有する複数の照明ユニットと、前記天井に固定される保持部材と、前記発光素子の照射側に配置された透光板とを具備している。前記保持部材は、少なくとも一列に並べられた前記照明ユニットに対して平行に配置されて前記照明ユニットを列の幅方向に挟んで両側を支持する一対の支持部と、この対向する前記支持部の間に前記発光素子を前記乗籠の内部に向かって露出させる照射口と、前記照明ユニットが前記乗籠の内部側から通過しうるように形成される装入口とを有している。
前記照射口は前記照明ユニットの前記列に沿って一続きに形成され、前記装入口は前記照射口の一部を拡開させて形成されている。前記保持部材は、一対の前記支持部を連結し前記乗籠の天井に固定される底部を有する。前記発光素子は、前記照射口から突出する前記照明ユニットの一部に設けられている。
本発明の他の形態にかかる前記保持部材は、前記乗籠の外周壁に面して開放された端部を有し、前記保持部材の端部と前記外周壁との間の距離が、前記照明ユニットの前記列方向の長さよりも短い。
本発明のさらに他の形態にかかる前記照明ユニットは、隣り合う前記照明ユニットと互いに電気的に接続されるコネクタを有する。
本発明のさらに他の形態にかかる前記照明ユニットは、隣り合う前記照明ユニットに向かって突出するスペーサを有している。
本発明のさらに他の形態にかかる前記照明ユニットは、隣り合う前記照明ユニットに面して設けられた磁性体を有している。
本発明のさらに他の形態にかかるエレベータ用照明装置は、前記支持部の間に挟まれて平行に配置される一対の電源端子をさらに具備している。前記照明ユニットは、前記電源端子に対応する位置に設けられ前記電源端子との間で電力の送受を行なう受電端子を有している。
【0009】
本発明のさらに他の形態にかかる前記照明ユニットは、前記発光素子が実装された回路基板と、前記回路基板が取り付けられ前記一対の支持部に支持される基体とを有している。前記基体は、ダイカストによって成形されたアルミニウムによって形成されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明のエレベータ用照明装置は、乗籠の天井に固定された保持部材が発光素子を有する複数の照明ユニットを保持している。照明ユニットは、乗籠の内部側に開口する装入口から保持部材に装入することができるため、設置および交換作業を容易に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る第1の実施形態の乗籠の中から籠ドアを正面に見る投影図。
【図2】図1の乗籠の一部を示す斜視図。
【図3】図2の照明装置を保持部材の一部を切り欠いて示す縦断面図。
【図4】図2の照明ユニットを示す斜視図。
【図5】図3のF5−F5線に沿って示す断面図。
【図6】図4の照明ユニットを保持部材に装入する方法を示す説明図。
【図7】本発明に係る第2の実施形態の照明ユニットを示す斜視図。
【図8】本発明に係る第3の実施形態の照明装置を一部切り欠いて示す側面図。
【図9】本発明に係る第4の実施形態の照明装置を一部切り欠いて示す斜視図。
【図10】図9の照明装置の縦断面図。
【図11】図9の照明装置の形成方法を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の第1実施形態について、図1ないし図6を参照して説明する。なお、本明細書においては、便宜上エレベータの乗籠の昇降方向を上下方向として説明する。すなわち、重力が作用する方向が本明細書で言う下方向であり、重力に反する方向が本明細書で言う上方向である。
【0013】
図1は、エレベータの乗籠1の中から籠ドア10を正面に見た状態を示している。乗籠1は、籠ドア10と、籠ドア10に隣接するリターンパネル11と、床板12と、一対の側板13,14と、図2に示す天井15とを有している。側板13,14は、外周壁の一例である。
【0014】
図2および図3に示すように、天井15に、照明装置20が取り付けられている。照明装置20は、天井15から吊り下げられる照明ボックス21と、天井15に固定された保持部材22と、複数の照明ユニット23とを有している。照明ユニット23は、一列に並べられて保持部材22に装入されている。
【0015】
照明ボックス21は、箱枠211と、透光板212とを有している。箱枠211は、4つの側壁213からなる矩形の筒状に形成されており、例えば図示しないボルトで天井15に固定されている。
【0016】
対向する2つの側壁213には、照明ボックス21内に風を通すための通風孔215が設けられている。通風孔215は、側壁213の上端から中程までに設けられている。4つの側壁213の下端によって、矩形の開口部216が形成されている。
【0017】
図3に示すように、透光板212は、開口部216に取り外し可能に取り付けられ、天井15に対向している。透光板212は、アクリルなどの透光性材料で形成されており、透過する光を拡散する。
【0018】
図4は、照明ユニット23を示している。照明ユニット23は、図5に示すように縦断面がC形状の鋼板からなる保持部材22に装入される。照明ユニット23は、発光素子としての複数のLED231と、矩形の回路基板232と、縦断面が凸形状の基体233とを有している。
【0019】
複数のLED231は、回路基板232の頂部に長手方向に所定間隔を持って一列に複数個並んで実装されている。なお、本発明の発光素子はLED231に限らず、エレクトロルミネセンス素子のような他の発光素子を用いても良い。
【0020】
基体233は、矩形状のベース部235と、ベース部235から突出する突出部236とを有している。突出部236は、照明ユニット23の列方向におけるベース部235の一方の端部235aから、他方の端部235bに亘って設けられている。突出部236には、回路基板232が取り付けられている。
【0021】
基体233は、ダイカストによって成形されたアルミニウムによって形成されている。なお、基体233は、図5に示すような中実構造に限らず、中空の箱型であっても良い。
【0022】
さらに、照明ユニット23は、第1のコネクタ238と、第2のコネクタ239とを有している。第1のコネクタ238は、回路基板232の長手方向の一方の端部232aに設けられている。第2のコネクタ239は、回路基板232の長手方向の他方の端部232bに設けられ、第1のコネクタ238を接続することができる。照明ユニット23は、第1のコネクタ238を隣り合う照明ユニット23の第2のコネクタ239に接続することにより、互いに電気的に接続される。
【0023】
図2に示すように、第1のコネクタ238は、天井15に設けられた電源コネクタ151にも接続可能である。電源コネクタ151は、図示しないエレベータの電源に電気的に接続されている。
【0024】
第1のコネクタ238を電源コネクタ151に接続すると、照明ユニット23に電力が供給される。電源コネクタ151から供給される電力は、第1および第2のコネクタ238,239によって互いに電気的に接続された複数の照明ユニット23に行き渡る。
【0025】
図5に示すように、保持部材22は、天井15に固定された板状の底部221と、側部222を含む一対の支持部223とを有している。一対の側部222は、底部221の両端から下方向に向かってそれぞれ延びている。すなわち、一対の支持部223は、底部221によって連結されている。
【0026】
一対の支持部223は、一列に並べられた照明ユニット23に対して平行に配置され、照明ユニット23を列の幅方向に挟んでいる。保持部材22に照明ユニット23が装入されると、照明ユニット23のベース部235の両側が支持部223に支持される。
【0027】
底部221および一対の支持部223に囲まれる保持部材22の内部224は、照明ユニット23のベース部235を装入可能な大きさを有している。保持部材22は、例えばリップ溝型鋼(JIS G 3350−1987)や、一部を切削した角型鋼管を適用可能である。
【0028】
図2および図3に示すように、保持部材22は、複数の照明ユニット23を装入可能な長さを有している。乗籠1の側板13,14と保持部材22の端部225との間の距離は、図4に示す照明ユニット23の列方向長さY1よりも短い。
【0029】
保持部材22の端部225は、側板13,14および通風孔215に面して開放されている。なお、端部225は、例えば図示しない取り外し可能な蓋を取り付けられて塞がれても良い。
【0030】
一対の支持部223の間に、照明ユニット23の列に沿って一続きに形成された照射口226が設けられている。照射口226は、図4に示す突出部236の幅方向長さX1よりも広く、ベース部235の幅方向長さX2よりも狭い。このため、保持部材22に照明ユニット23が装入されると、照明ユニット23の突出部236が照射口226から突出し、LED231および回路基板232が照射口226から乗籠1の内部に向かって露出する。
【0031】
図2および図3に示すように、保持部材22には、照射口226の一部を側部222と支持部223にわたるように拡開させて形成された装入口227が設けられている。装入口227は、保持部材22の中程に設けられ、乗籠1の内部に向いている。装入口227は、照明ユニット23が通過しうる大きさを有している。
【0032】
照明装置20は、次のように形成される。図6に示すように、透光板212を取り外した状態で、所望の明るさを得るために必要な個数の照明ユニット23が保持部材22に装入される。照明ユニット23は、図6の矢印Aまたは矢印B方向に装入口227から保持部材22に装入される。
【0033】
照明ユニット23は、保持部材22に装入されると支持部223に支持される。支持部223に支持された照明ユニット23は、例えば指で押されて保持部材22の内部224をスライドして所望の位置へ移動させられる。
【0034】
必要に応じて、保持部材22に装入した照明ユニット23の一部を、一時的に保持部材22の端部225から飛び出させても良い。図6に示すように、開放されている保持部材22の端部225と照明ボックス21の通風孔215とが面しているため、一時的に照明ユニット23の一部を通風孔215から飛び出させても良い。
【0035】
必要な個数の照明ユニット23を保持部材22に装入した後、それぞれの照明ユニット23は所望の位置に配置される。例えば図2および図3に示すように、複数の照明ユニット23は、点灯時の光ムラを防止するために等間隔に配置される。
【0036】
複数の照明ユニット23は、それぞれ自重によって配置された位置に留まる。なお、照明ユニット23は、例えばねじのような固定手段によって配置された位置で保持部材22に固定されても良い。
【0037】
図2および図3に示すように、複数の照明ユニット23を所望の位置に配置した際に、一部が装入口227にかかる照明ユニット23は、保持部材22の支持部223に支持されて落下しないように配置される。すなわち、照明ユニット23は、図4の列方向長さY1の半分以上に亘って保持部材22の支持部223に支持される。
【0038】
複数の照明ユニット23を所望の位置に配置した後、照明ユニット23の第1のコネクタ238と、隣り合う照明ユニット23の第2のコネクタ239とを接続する。さらに、最も端に配置された照明ユニット23の第1のコネクタ238を、電源コネクタ151に接続する。
【0039】
複数の照明ユニット23を所望の位置に配置し、第1および第2のコネクタ238,239をそれぞれ接続した後、透光板212を照明ボックス21の開口部216に取り付ける。透光板212は、LED231の照射側に配置される。これにより、照明装置20が形成される。
【0040】
前記構成の照明装置20によれば、複数のLED231と、LED231が実装される回路基板232と、電力供給に用いる第1および第2のコネクタ238,239とが1つの照明ユニット23に含まれている。この照明ユニット23を保持部材22に装入し、第1のコネクタ238と電源コネクタ151とを接続し、透光板212を開口部216に取り付けることで照明装置20を形成することができる。
【0041】
保持部材22に装入口227が設けられることで、乗籠1の側板13,14と保持部材22の端部225との間の距離が照明ユニット23の列方向長さY1よりも短い場合であっても、装入口227から照明ユニット23を保持部材22に装入することができる。さらに、装入口227が乗籠1の内部に向いているため、乗籠1の中から照明ユニット23を保持部材22に装入することができる。このように、乗籠1の内部から簡単な作業で照明装置20を形成することができる。
【0042】
照度が低下した照明ユニット23を交換する際も、照明ユニット23が装入口227を通過可能であるため容易に行なうことができる。すなわち、装入口227から照度が低下した照明ユニット23を取り出し、装入口227から新しい照明ユニット23を装入すればよい。
以上のように、照明装置20は設置および交換作業を容易に行なうことができる。
【0043】
さらに、保持部材22に複数の照明ユニット23を装入し、それぞれ隣り合う照明ユニット23の第1のコネクタ238と第2のコネクタ239とを接続することで、隣り合う照明ユニット23が互いに電気的に接続される。
【0044】
互いに電気的に接続された複数の照明ユニット23は、第1のコネクタ238を電源コネクタ151に接続した照明ユニット23から電力の供給を受ける。このように、保持部材22に装入される照明ユニット23を追加して所望の照度を得ることができる。
【0045】
加えて、照明ユニット23は、例えば指で押されることで、保持部材22の内部224をスライドして移動することができる。これにより、照明ユニット23を容易に保持部材22の所望の位置へ配置することができる。
【0046】
さらに、一時的に照明ユニット23の一部を通風孔215から飛び出させることができる。これにより、保持部材22に装入される照明ユニット23が多くなっても、既に装入されている照明ユニット23に邪魔されずに装入口227から照明ユニット23を装入することができる。最大で、保持部材22の一方の端部225から他方の端部225まで、隙間無く照明ユニット23を装入することができる。
【0047】
さらに、照明ユニット23の基体233は、ダイカストによって成形されたアルミニウムによって形成されているため、放熱性に優れている。これにより、LED231が発する熱が、基体233から保持部材22に伝わって効率よく放熱される。
【0048】
なお、装入口227は、保持部材22に照明ユニット23を装入した後に、例えば蓋やワイヤーで塞がれても良い。この場合、装入口227の上に照明ユニット23を配置することができ、装入口227から照明ユニット23が落下することを防止できる。
【0049】
さらに、保持部材22は、図2および図3に示すような直線状に限らず、例えば曲線状や円環状であっても良い。この場合、照明ユニット23は保持部材22に装入可能な形状に形成される。
【0050】
次に、本発明の他の実施の形態について、図7ないし図10を参照して説明する。このとき、第1の実施形態の照明装置20と同一の機能を有する構成部分には同一の参照符号を付してその説明を省略する。
【0051】
図7は、第2の実施形態の照明ユニット23を示している。第2の実施形態の照明ユニット23は、スペーサ241を有している。スペーサ241は、基体233と一体に形成されており、ベース部235の一方の端部235aから隣り合う照明ユニット23に向かって突出している。保持部材22に装入された照明ユニット23のスペーサ241は、他の照明ユニット23のベース部235の他方の端部235bに当接する。
【0052】
前記構成の照明装置20によれば、保持部材22に装入された複数の照明ユニット23は、互いにスペーサ241によって一定の間隔を保たれる。これにより、複数の照明ユニット23を容易に等間隔に配置し、点灯時の光ムラを防止することができる。
【0053】
図8は、第3の実施形態の照明装置20を示している。第3の実施形態の照明ユニット23は、磁性体243を有している。磁性体243は、基体233のベース部235の一方の端部235aおよび他方の端部235bに設けられ、隣り合う照明ユニット23に面している。
【0054】
保持部材22に装入された複数の照明ユニット23は、それぞれ磁性体243を介して接触している。隣り合う照明ユニット23は、磁性体243によって引き付け合い、相対的に移動し難くなる。
【0055】
前記構成の照明装置20によれば、保持部材22に装入された複数の照明ユニット23は、それぞれ磁性体243によって互いに引き付け合い離れにくい。これにより、例えば乗籠1が横方向に揺れた場合であっても、複数の照明ユニット23がばらばらに移動することを防止できる。
【0056】
さらに、保持部材22から照明ユニット23を取り出す場合、例えば金属製の棒を保持部材22に装入し、照明ユニット23の磁性体243にくっつければ、容易に照明ユニット23を保持部材22から取り出すことができる。
【0057】
次に、図9ないし図11を参照して、第4の実施形態について説明する。支持部223の間に挟まれる底部221に、一対の電源端子245が設けられている。電源端子245は、図示しないエレベータの電源と電気的に接続されており、保持部材22が延びる方向に沿って平行に配置されている。なお、保持部材22は、絶縁材料で形成されるか、表面を絶縁体でコーティングされている。
【0058】
図10に示すように、照明ユニット23は、受電端子246を有している。受電端子246は、ベース部235の電源端子245に対応する位置に設けられている。受電端子246は板ばねであり、回路基板232と電気的に接続されている。なお、照明ユニット23の基体233は、絶縁材料で形成されるか、表面を絶縁体でコーティングされている。
【0059】
照明ユニット23の列方向長さY1は、照射口226の幅よりも短い。このため図9に示すように、照明ユニット23は、矢印C1方向に照射口226から保持部材22に装入可能である。このように、照射口226は本発明の装入口としても機能する。
【0060】
図11に示すように、照明ユニット23を回転させたときの突出部236の最大幅L1は、照射口226の幅L2よりも狭い。さらに、照明ユニット23を回転させたときのベース部235の最大幅L3は、保持部材22の内部224の幅L4よりも狭い。
【0061】
このため、照明ユニット23は、保持部材22の内部224で図9の矢印C2方向へ90度回転することができる。矢印C2方向は、ベース部235の一方の端部235aが保持部材22の側部222に向く方向から、ベース部235の一方の端部235aが保持部材22の端部225に向く方向へ回転する方向である。
【0062】
照射口226から保持部材22に装入された照明ユニット23が90度回転させられると、図10に示すように電源端子245と受電端子246とが接触して電気的に接続する。受電端子246は、板ばねであるため電源端子245を押圧する。
【0063】
電源端子245と受電端子246とが電気的に接続すると、照明ユニット23に電力が供給される。すなわち、電源端子245と受電端子246との間で電力の送受が行なわれる。
【0064】
前記構成の照明装置20によれば、照明ユニット23を照射口226から保持部材22に装入し、90度回転させることで照明ユニット23に電力供給を行なうことができる。これにより、さらに容易に照明装置20の設置および交換作業を行なうことができる。
【符号の説明】
【0065】
1…乗籠,15…天井,20…照明装置,212…透光板,22…保持部材,223…支持部,226…照射口,227…装入口,23…照明ユニット,231…LED,232…回路基板,233…基体,238…第1のコネクタ,239…第2のコネクタ,241…スペーサ,243…磁性体,245…電源端子,246…受電端子。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータの乗籠の天井に設置されたエレベータ用照明装置であって、
発光素子を有する複数の照明ユニットと、
少なくとも一列に並べられた前記照明ユニットに対して平行に配置されて前記照明ユニットを前記列の幅方向に挟んで両側を支持する一対の支持部と、この対向する支持部間に前記発光素子を前記乗籠の内部に向かって露出させる照射口と、前記照明ユニットが前記乗籠の内部側から通過しうるように形成される装入口とを有し、前記天井に固定される保持部材と、
前記発光素子の照射側に配置された透光板と、
を具備したことを特徴とするエレベータ用照明装置。
【請求項2】
前記照射口は前記照明ユニットの前記列に沿って一続きに形成され、前記装入口は前記照射口の一部を拡開させて形成されていることを特徴とする請求項1に記載のエレベータ用照明装置。
【請求項3】
前記保持部材は、一対の前記支持部を連結し前記乗籠の天井に固定される底部を有することを特徴とする請求項2に記載のエレベータ用照明装置。
【請求項4】
前記発光素子は、前記照射口から突出する前記照明ユニットの一部に設けられていることを特徴とする請求項3に記載のエレベータ用照明装置。
【請求項5】
前記保持部材は、前記乗籠の外周壁に面して開放された端部を有し、
前記保持部材の端部と前記外周壁との間の距離が、前記照明ユニットの前記列方向の長さよりも短いことを特徴とする請求項2に記載のエレベータ用照明装置。
【請求項6】
前記照明ユニットは、隣り合う前記照明ユニットと互いに電気的に接続されるコネクタを有することを特徴とする請求項1に記載のエレベータ用照明装置。
【請求項7】
前記照明ユニットは、隣り合う前記照明ユニットに向かって突出するスペーサを有していることを特徴とする請求項1に記載のエレベータ用照明装置。
【請求項8】
前記照明ユニットは、隣り合う前記照明ユニットに面して設けられた磁性体を有していることを特徴とする請求項1に記載のエレベータ用照明装置。
【請求項9】
前記支持部の間に挟まれて平行に配置される一対の電源端子をさらに具備し、
前記照明ユニットは、前記電源端子に対応する位置に設けられ前記電源端子との間で電力の送受を行なう受電端子を有することを特徴とする請求項1に記載のエレベータ用照明装置。
【請求項10】
前記照明ユニットは、前記発光素子が実装された回路基板と、前記回路基板が取り付けられ前記一対の支持部に支持される基体と、を有しており、
前記基体は、ダイカストによって成形されたアルミニウムによって形成されていることを特徴とする請求項1に記載のエレベータ用照明装置。
【請求項1】
エレベータの乗籠の天井に設置されたエレベータ用照明装置であって、
発光素子を有する複数の照明ユニットと、
少なくとも一列に並べられた前記照明ユニットに対して平行に配置されて前記照明ユニットを前記列の幅方向に挟んで両側を支持する一対の支持部と、この対向する支持部間に前記発光素子を前記乗籠の内部に向かって露出させる照射口と、前記照明ユニットが前記乗籠の内部側から通過しうるように形成される装入口とを有し、前記天井に固定される保持部材と、
前記発光素子の照射側に配置された透光板と、
を具備したことを特徴とするエレベータ用照明装置。
【請求項2】
前記照射口は前記照明ユニットの前記列に沿って一続きに形成され、前記装入口は前記照射口の一部を拡開させて形成されていることを特徴とする請求項1に記載のエレベータ用照明装置。
【請求項3】
前記保持部材は、一対の前記支持部を連結し前記乗籠の天井に固定される底部を有することを特徴とする請求項2に記載のエレベータ用照明装置。
【請求項4】
前記発光素子は、前記照射口から突出する前記照明ユニットの一部に設けられていることを特徴とする請求項3に記載のエレベータ用照明装置。
【請求項5】
前記保持部材は、前記乗籠の外周壁に面して開放された端部を有し、
前記保持部材の端部と前記外周壁との間の距離が、前記照明ユニットの前記列方向の長さよりも短いことを特徴とする請求項2に記載のエレベータ用照明装置。
【請求項6】
前記照明ユニットは、隣り合う前記照明ユニットと互いに電気的に接続されるコネクタを有することを特徴とする請求項1に記載のエレベータ用照明装置。
【請求項7】
前記照明ユニットは、隣り合う前記照明ユニットに向かって突出するスペーサを有していることを特徴とする請求項1に記載のエレベータ用照明装置。
【請求項8】
前記照明ユニットは、隣り合う前記照明ユニットに面して設けられた磁性体を有していることを特徴とする請求項1に記載のエレベータ用照明装置。
【請求項9】
前記支持部の間に挟まれて平行に配置される一対の電源端子をさらに具備し、
前記照明ユニットは、前記電源端子に対応する位置に設けられ前記電源端子との間で電力の送受を行なう受電端子を有することを特徴とする請求項1に記載のエレベータ用照明装置。
【請求項10】
前記照明ユニットは、前記発光素子が実装された回路基板と、前記回路基板が取り付けられ前記一対の支持部に支持される基体と、を有しており、
前記基体は、ダイカストによって成形されたアルミニウムによって形成されていることを特徴とする請求項1に記載のエレベータ用照明装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−105433(P2011−105433A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−261271(P2009−261271)
【出願日】平成21年11月16日(2009.11.16)
【出願人】(390025265)東芝エレベータ株式会社 (2,543)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月16日(2009.11.16)
【出願人】(390025265)東芝エレベータ株式会社 (2,543)
【Fターム(参考)】
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