説明

エレベータ群管理制御装置

【課題】輸送効率の向上と乗場の乗客の使いやすさとを両立することができるエレベータ群管理制御装置を提供する。
【解決手段】本発明に係るエレベータ群管理制御装置1において、抽出部13は、記憶部16に保持されている乗場呼びの中から、応答号機の見直しが生じた乗場呼びを選択する。仮決定部14は、乗場呼びに対する応答号機を仮決定する。最終決定部15は、乗場呼びに対する応答号機を最終決定する。ここで、抽出部13は、最終決定部15による最終応答号機の決定が未決定である乗場呼びの中から、応答号機の見直しが生じた乗場呼びを、選択する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のかごを効率的に運行管理するエレベータ群管理制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
エレベータ群が複数のかごから構成されており、ユーザが乗場で乗車の要望である乗場呼びの登録を行うと、当該かごから当該乗場呼びに応答する応答号機を決定するエレベータ群管理制御装置が、従来より存在している。
【0003】
エレベータ群管理制御装置に関する先行文献として、たとえば特許文献1乃至6が存在する。
【0004】
特許文献1,2に記載のエレベータ群管理制御装置では、最初に決めた割当号機を、一定時間後に変更することが記載されている。この場合、応答号機を見直す乗場呼びの選択が重要になる。しかしながら、新規に発生した乗場呼びの応答号機が、一定時間後に変更されること以外は、特許文献1,2には言及されていない。
【0005】
また、特許文献1,3,4,5,6に記載のエレベータ群管理制御装置では、長待ち状態になっている乗場呼びや、到着予報された応答号機とは別の号機が先に到着する予報外れの乗場呼びや、満員によって乗車できないと判断される乗場呼びの応答号機の変更/追加について記載されている。
【0006】
乗場呼びの応答号機の見直しは、当該乗場呼び以外の乗場呼びにも影響を与える。このため、長待ち・予報外れ・満員などの好ましくない状況に陥りそうな乗場呼び以外の乗場呼びの応答号機を見直すことによっても、当該状況を回避することが可能である。しかしながら、特許文献1,3〜6では、当該乗場呼びの応答号機が変更/追加されること以外は、言及されていない。
【0007】
さらに、特許文献7に記載のエレベータ群管理制御装置では、エレベータホールに位置表示器が設けられ、所定の要件を満たす場合に、当該位置表示器にかご位置の表示を行うことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平2−231377号公報
【特許文献2】特開平2−261786号公報
【特許文献3】特開昭58−188275号公報
【特許文献4】特開平6−255913号公報
【特許文献5】特開昭59−12053号公報
【特許文献6】特開昭60−191974号公報
【特許文献7】特開平2−158574号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
エレベータ群管理制御装置では、輸送効率の向上と乗場の乗客の使いやすさとを両立させることが重要である。
【0010】
そこで、本発明は、輸送効率の向上と乗場の乗客の使いやすさとを両立することができるエレベータ群管理制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、本発明に係るエレベータ群管理制御装置は、乗場における乗車の要望である乗場呼びに応じて、複数のかごから成るエレベータ群において、当該乗場呼びに応答する応答号機を決定する、エレベータ群管理制御装置であって、前記乗場呼びの保持を行う記憶部と、前記記憶部に保持されている前記乗場呼びの中から、前記応答号機の見直しを行う前記乗場呼びを、選択する抽出部と、前記抽出部によって選択された前記乗場呼びに応答するかごを、前記応答号機として仮決定する仮決定部と、前記仮決定部で仮決定された前記応答号機を、当該仮決定後、所定の期間経過後において、前記抽出部で抽出された前記乗場呼びに応答する、変更されない最終応答号機として決定する、最終決定部と、前記抽出部、前記仮決定部、前記最終決定部および前記記憶部を利用して乗場呼びの応答号機を見直す動作を、周期的に起動する起動部とを備え、前記抽出部は、前記最終決定部による前記最終応答号機の決定が未決定である前記乗場呼びの中から、前記応答号機の見直しを行う前記乗場呼びを、選択する。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るエレベータ群管理制御装置は、乗場呼びの保持を行う記憶部と、前記記憶部に保持されている前記乗場呼びの中から、前記応答号機の見直しを行う前記乗場呼びを、選択する抽出部と、前記抽出部によって選択された前記乗場呼びに応答するかごを、前記応答号機として仮決定する仮決定部と、前記仮決定部で仮決定された前記応答号機を、当該仮決定後、所定の期間経過後において、前記抽出部で抽出された前記乗場呼びに応答する、変更されない最終応答号機として決定する、最終決定部と、前記抽出部、前記仮決定部、前記最終決定部および前記記憶部を利用して乗場呼びの応答号機を見直す動作を、周期的に起動する起動部とを備え、前記抽出部は、前記最終決定部による前記最終応答号機の決定が未決定である前記乗場呼びの中から、前記応答号機の見直しを行う前記乗場呼びを、選択する。
【0013】
したがって、最終応答号機が決定していない乗場呼びに対して複数回に渡り、乗場呼びの応答号機を、運行状況の変化に応じて、見直すことができる。これにより、輸送効率が向上する。そして、最終決定された応答号機は、乗場の到着予報が変更されないため、乗場の乗客の利便性も向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施の形態1に係るエレベータ群管理制御装置1の構成を示すブロック図である。
【図2】呼び登録装置2の配設状況および予報装置3の配設状況を、例示する図である。
【図3】実施の形態1に係るエレベータ群管理制御装置1の動作を説明するフローチャートである。
【図4】乗場呼び抽出ST101の具体的な処理の流れを説明するフローチャートである。
【図5】かごに乗り込む乗客の乗車間隔と閾値との関係の、変動の様子を説明するための図である。
【図6】仮決定部14におけるステップST103の具体的な処理の流れを説明するフローチャートである。
【図7】予報装置3における表示の一例を示す図である。
【図8】予報装置3の表示動作を説明するための図である。
【図9】予報装置3における表示の一例を示す図である。
【図10】最終決定部15におけるステップST106の具体的な処理の流れを説明するフローチャートである。
【図11】実施の形態2に係るエレベータ群管理制御装置50の構成を示すブロック図である。
【図12】呼び登録装置2の配設状況、予報装置3の配設状況およびグループ報知装置4の配設状況を、例示する図である。
【図13】呼び登録装置2とグループ報知装置4とが同一筺体で構成される場合を示す図である。
【図14】実施の形態2に係るエレベータ群管理制御装置50の動作を説明するフローチャートである。
【図15】グループ化部17におけるステップST201の具体的な処理の流れを説明するフローチャートである。
【図16】予報装置3における表示の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
エレベータ群管理制御装置は、乗場における乗車の要望である乗場呼びに応じて、複数のかごから成るエレベータ群において、当該乗場呼びに応答する応答号機を決定する。
【0016】
当該エレベータ群管理制御装置の主たる役割は、各階・各方向で発生した乗場呼びと、当該乗場呼びに対する応答号機の組合せの内、最良の組合せを見つけ出し、その組合せに沿って、エレベータを運行管理することである。しかしながら、例えば、各階・各方向で合計10個の乗場呼びが発生しており、合計8台のかごが運行している場合、各乗場呼びに対する応答号機の組合せ数は、1073741824(=8の10乗)個にもなる。このような大量の組合せを、全て評価し、最良な組合せを決めるには、長時間の演算時間が必要となる。
【0017】
複数のかごを効率的に運行管理し、乗客の乗場待ち時間を短縮することなどが、エレベータ群管理制御装置の目的の1つである。しかしながら、応答号機の決定に時間がかかり、その間、当該乗場呼びにエレベータが応答できないのでは、目的を達成できない。
【0018】
また、全組合せを評価している間に、新たに乗場呼びが発生してしまう可能性もある。そのため、従来の多くのエレベータ群管理制御装置は、新規に乗場呼びが発生したら、すぐに当該乗場呼びの応答号機を決定し、当該乗場呼びの発生階に当該応答号機の到着予報を実施する方式を採用している。
【0019】
一度決定し、到着予報された応答号機を変更すると、乗場の乗客が混乱するため、応答号機を見直して、変更することは、通常行われない。この方式は、一般的に、即時予報方式と呼ばれる。即時予報方式は、応答号機がすぐに決定・報知されるため、乗場の乗客は、当該応答号機が当該階に到着するまでに、当該応答号機が到着することとなるドア前に移動して到着を待つことができ、利便性があるというメリットがある。
【0020】
一方、乗場呼びが発生してから、すぐに応答号機を決めるよりも、各階・各方向の乗場呼び、各号機の行先階(かご呼び)、各号機の現在位置・走行方向・走行速度・停止時間など、運行状況の変化に応じた運行管理を行う方が、より効率的な運行管理となる。したがって、運行状況の変化に応じて、全乗場呼びの各応答号機を見直し、適切なタイミングで到着予報することにより、輸送効率は向上する。ここで、当該方法は、一般的に非即時予報方式と呼ばれる。ただ、全ての乗場呼びの応答号機を1度の演算で見直す(すなわち、1度に全組合せを再評価する)ことは、演算時間の制約上、現時点であまり現実的な方法ではない。
【0021】
したがって、全乗場呼びの中の一部の乗場呼びの応答号機を見直すことが、現実的な方法になる。そして、1度の演算で全ての乗場呼びの応答号機を見直すことは難しいものの、一部の乗場呼びの応答号機の見直し動作を、複数回繰り返すことによって、全組合せを少しずつ改良していき、最終的には全体としてより良い運行管理の実現を図ることができる。
【0022】
一部の乗場呼びの応答号機が見直されることで、見直された乗場呼びの乗客の待ち時間などが影響を受けるだけでなく、見直し前/後の応答号機に割り当たっていた別の乗場呼びの乗客の待ち時間などにも影響を与える。また、応答号機の見直しによって、運行状況が変化する。このため、その変化に応じて、再度、別の乗場呼びの応答号機の見直すことによって、更に輸送効率を改善することが期待できる。
【0023】
特許文献1,2に記載のエレベータ群管理制御装置では、最初に決めた割当号機を、一定時間後に変更すること以外は、言及されていない。そのため、見直された乗場呼び以外の乗場呼びにとっては、必ずしも輸送効率が向上しているとは限らない。すなわち、全体の輸送効率が改善しているとは限らない。
【0024】
また、特許文献1,3,4,5,6に記載のエレベータ群管理制御装置では、長待ち状態になっている乗場呼びや、到着予報された応答号機とは別の号機が先に到着する予報外れの乗場呼びや、満員によって乗車できないと判断される乗場呼びの応答号機の変更/追加について記載されている。そのため、見直された特定の乗場呼び以外の乗場呼びにとっては、必ずしも輸送効率が向上しているとは限らない。すなわち、全体の輸送効率が改善しているとは限らない。
【0025】
一部の乗場呼びの応答号機の見直し動作を、複数回繰り返すことによって、全組合せを少しずつ改良していき、最終的には全体としてより良い運行管理の実現を図る場合、応答号機を見直す乗場呼びの選択や、見直す順番などにも工夫が求められるが、応答号機を見直す乗場呼びの選択方法について、いままで言及されていない。
【0026】
なお、一部、応答号機の到着予報を行わない、もしくは予報ではなく当該階に到着したことのみを報知する方式がある。当該方式の場合、そもそも到着予報がされないため、予報変更もされずに、応答号機を見直し変更することが可能となる。しかしながら、到着予報がされないため、乗場の乗客が事前に当該応答号機前に移動することができずに、使いづらいというデメリットが生じる。
【0027】
また、一部、特許文献7のように、応答号機の到着予報を行わない代わりに、各号機の現在位置階床などを乗場に表示するエレベータ管理システムがある。この場合、乗場の乗客は、各号機の現在位置階床や移動方向などから応答号機を推測し、当該号機前に移動する。当該エレベータ管理システムでは、各号機が当該階にて停止せずに通過したり、当該階の直前で方向反転したりしてしまうことを、防ぐ運行管理を行うことがある。また、前記通過や方向反転を防ぐために、応答号機が変更されたり、追加されたりすることもある。このような応答号機の変更/追加は、乗客の混乱を避けるための動作であり、輸送効率の改善が目的でないため、各号機が通過や方向反転できなく運行管理することによって、輸送効率が悪化する。
【0028】
以下、輸送効率の向上と乗場の乗客の使いやすさとの両方を可能とする、この発明をその実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。
【0029】
<実施の形態1>
図1は、本実施の形態に係るエレベータ群管理装置1の構成を示すブロック図である。図1に示すように、エレベータ群管理制御装置1は、運転制御部12、抽出部13、仮決定部14、最終決定部15、記憶部16および起動部18を備えている。当該エレベータ群管理制御装置1は、呼び登録装置2および予報装置3と電気的に接続されている。ここで、運転制御部12、抽出部13、仮決定部14および最終決定部15は、マイクロコンピュータ上のソフトウェアによって構成されている。
【0030】
呼び登録装置2は、図2に示すように、エレベータの乗場から離れた位置に設置されている。呼び登録装置2は、乗客がエレベータを呼び、希望進行方向や希望行先階、これらと関連付けることが可能なIDや、それらの組合せによって構成される乗場呼びを登録するための装置である。呼び登録装置2は、ボタンやタッチパネル、光電センサ、マイクロフォン、カメラ、パッシブ/アクティブタグとその受信器、セキュリティゲート、またはそれらの組合せなどで構成されている。
【0031】
予報装置3は、図2に示すように、エレベータの乗場または乗場の入口付近に設置されている。予報装置3は、乗客が前記呼び登録装置2によって登録した希望進行方向あるいは希望行先階に応答するエレベータを、当該乗客に報知するための装置である。予報装置3は、ランプやディスプレイ、またはそれらの組合せなどで構成される。
【0032】
次に、図1に示すエレベータ群管理装置1内の各構成について説明する。
【0033】
運転制御部12は、各かごが応答・停止する階に基づき、かごの進行方向や走行・停止およびドアの開閉などを、各かごの制御装置に指令する。
【0034】
抽出部13は、記憶部16に保持されている、応答号機が最終決定されていない、各階・各方向あるいは各行先階の乗場呼びの中から、応答号機の見直しを行う乗場呼びを、1つ以上選択する。
【0035】
仮決定部14は、呼び登録装置2で登録された各階・各方向あるいは各行先階の乗場呼び、または、抽出部13によって選択された乗場呼び、に応答するかごを、応答号機として仮決定する。
【0036】
最終決定部15は、仮決定部14によって仮決定された応答号機を、当該仮決定後、所定の期間経過後において、抽出部13で抽出された乗場呼びに応答する、変更されない最終応答号機として決定する。最終決定部15は、当該最終決定部15で決定され最終応答号機の到着予報を、予報装置3に指令する。
【0037】
記憶部16は、呼び登録装置2によって登録された乗場呼びと、各乗場呼びに応答する仮決定部14で仮決定された応答号機と、各乗場呼びに応答する最終決定部15で最終決定された最終応答号機とを保持する。
【0038】
起動部18は、抽出部13、仮決定部14、最終決定部15、記憶部16を利用して乗場呼びの応答号機を見直す動作を、周期的に起動する。
【0039】
ここで、抽出部13は、最終決定部15による最終応答号機の決定が未決定である乗場呼びの中から、応答号機の見直しを行う乗場呼びを選択する。つまり、抽出部13は、新規の乗場呼び(応答するかごが未決定の乗場呼び)および仮決定部14によってのみ仮決定された応答号機の割り当てが決まった乗場呼びの中から、応答号機の見直しを行う乗場呼びを選択する。
【0040】
次に、エレベータ群管理制御装置1の動作について記載する。
【0041】
図3は、本実施の形態に係るエレベータ群管理制御装置1の動作を示すフローチャートである。
【0042】
ステップST101において、抽出部13は、記憶部16にて保持されている乗場呼びの中から、応答号機を見直す乗場呼びを選択する。
【0043】
なお、エレベータが稼動を開始してから、乗客は、各階の乗場で呼び登録装置2を利用し、各乗場呼びを、任意のタイミングでエレベータ群管理制御装置1に登録する。当該乗場呼びは、希望進行方向や希望行先階や、これらと関連付けることが可能なIDや、それらの組合せによって構成される。当該登録された乗場呼びは、記憶部16に保持される。また、当該記憶部16に保持された各乗場呼びは、後述する仮決定部14や最終決定部15によって決定された応答号機が、当該乗場呼びに応答して、各階に停止したとき、当該記憶部16から削除される。
【0044】
ステップST101における、抽出部13が、応答号機を見直す乗場呼びを選択する方法の一例について、以下に記述する。図4は、抽出部13による、応答号機を見直す乗場呼びを選択する動作を示すフローチャートである。
【0045】
例えば、各階で乗客は全員、図2に示す呼び登録装置2を操作して、乗場呼びを登録するものとする。そして、エレベータ(かご)が当該階に到着してドアが開いており、先に乗場呼びを登録した乗客が乗車したときに、離れた位置にある呼び登録装置2で、別の乗客が乗場呼びを登録したとする。この結果、各乗場呼びの応答号機が同じになった場合、先に乗車した乗客は、後の乗客を、かご内で待つ必要が生じる。
【0046】
通常、かごの中から見える乗場は、ドア幅程度しかない。よって、かご内に乗車してから次の乗客が乗車してくるまでの間隔が長くなると、先に乗車した乗客にとっては、本当に次の乗客が乗車してくるのか、判断が難しい。したがって、先に乗車した乗客の焦燥感が増す、という問題がある。この問題を解決するためには、先に乗車する乗客と、後から乗車する乗客との乗車間隔が、乗車間隔閾値内に収まるように、各乗場呼びの応答号機を決定する必要がある。
【0047】
逆に、図5の乗客1,2,3のように、前後の乗客の乗車間隔が、所定の乗車間隔閾値内に収まるように応答号機を仮決定したにも係らず、後になって乗客2の応答号機を見直し、変更してしまうと、乗車間隔(乗客1と乗客3との乗車間隔)が乗車間隔閾値に収まらなくなる。
【0048】
そこで、図4のステップST1011において、抽出部13は、仮決定部14で仮決定された応答号機を別のかごに変更すると、前後の乗場呼びの乗車間隔が、予め設定されている乗車間隔閾値以内から外れてしまう乗場呼びを、応答号機の見直しが必要な乗場呼びから除外する(つまり、抽出部13における選択動作の対象から除外する)。
【0049】
乗車間隔は、各乗客の予定乗車時刻の差として演算可能である。各乗客の予定乗車時刻(RTime)は、応答号機の当該階への予測到着時間(CarYTJ)、各乗場呼びが発生してからの経過時間(HCTime)、各乗客の想定歩行速度(PSGspd)、呼び登録装置2から予報装置3までの距離(DispDist)、予報装置3から応答号機のドア前までの距離(CarDist)、応答号機のドアが乗降可能な程度まで開いてからの経過時間(OPTime)、現在時刻(NowTime)などから計算可能である。なお、予測到着時間(CarYTJ)は、同一階であっても、上・下方向で異なる。
【0050】
例えば、CarYTJ<(DispDist+CarDist)/PSGspd−HCTime、すなわち、応答号機の当該階への予測到着時間よりも、乗客の応答号機のドア前への予測到着時間のほうが長い場合を考える。当該場合には、当該乗客の予定乗車時刻は、応答号機のドア前への予測到着時間経過後ということになる。したがって、予定乗車時刻(RTime)は、次式で求めることが可能である。
【0051】
RTime=NowTime+(DispDist+CarDist)/PSGspd−HCTime
【0052】
また、例えば、CarYTJ≧(DispDist+CarDist)/PSGspd−HCTime、かつ、CarYTJ>0、すなわち、応答号機の当該階への予測到着時間よりも、乗客の応答号機のドア前への予測到着時間のほうが短く、かつ、応答号機がまだ当該階へ到着していない場合を考える。当該場合には、当該乗客の予定乗車時刻は、応答号機の予測到着時間経過後ということになる。したがって、予定乗車時刻(RTime)は、次式で求めることが可能である。
【0053】
Rtime=NowTime+CarYTJ
【0054】
また、例えば、CarYTJ≧(DispDist+CarDist)/PSGspd−HCTime、かつ、CarYTJ≦0、すなわち、応答号機はすでに当該階へ到着しており(CarYTJ≦0)、乗客も応答号機のドア前へすでに到着している場合を考える。当該場合には、当該乗客の予定乗車時刻は、現在時刻よりも過去であり、応答号機のドアが乗降可能な程度まで開いてからの経過時間と、乗客が応答号機のドア前へ到着してからの経過時間との内、より短い時間分だけ遡ることになる。したがって、予定乗車時刻(RTime)は、次式で求めることが可能である。
【0055】
RTime=NowTime−((OPTime)と、(HCTime−(DispDist+CarDist)/PSGspd)とのうち、小さい方)
【0056】
こうして求めた各乗客の予定乗車時刻の差を取ることで、各乗客の乗車間隔を求めることが可能である。また、求めた乗車間隔と乗車間隔閾値とを比較することで、応答号機の見直しが生じた乗場呼びとするか否かを、抽出部13は判断する。
【0057】
なお、乗車間隔閾値は、一意の値でなくとも良い。例えば、かごに当該階で最初に乗車して、かご内で他の乗客の乗車を待っている乗客からすると、かごに乗車して間もない時間は、乗車間隔が長くとも、我慢できる可能性がある。しかし、かごに乗車してから長時間経過すると、長い乗車間隔を我慢できなくなる。
【0058】
そこで、最初に乗車した乗客の乗車予定時刻と、当該乗場呼びの乗客の乗車予定時刻との時間差によって、乗車間隔閾値は変化するようにしても良い。あるいは、乗場呼びが、希望進行方向や希望行先階、これらと関連付けることが可能なIDである場合は、当該IDによって、乗車間隔閾値は変化するようにしても良い。すなわち、ある変数によって、乗車間隔閾値も変化するようにしても良い。
【0059】
さて、ステップST1011の後、ステップST1012において、抽出部13は、ステップST1011を経て、応答号機の見直しを行う乗場呼びとして残った各乗場呼びにおいて、見直し優先度を計算する。そして、抽出部13は、見直し優先度が最大となる乗場呼びを、応答号機の見直しを行う乗場呼びとして、選択する。
【0060】
見直し優先度(PRT)は、各乗場呼びが発生してからの経過時間(HCTime)、これまでに見直された回数(RNum)、応答号機の当該階への予測到着時間(CarYTJ)、応答号機の行先階への予測到着時間(CarYTJDest)、各乗客の想定歩行速度(PSGspd)、呼び登録装置2から予報装置3までの距離(DispDist)、予報装置3から応答号機のドア前までの距離(CarDist)などと、重み計数(Wprt)から計算可能である。
【0061】
すなわち、見直し優先度を計算する関数をfと定義すると、見直し優先度(PRT)は、次式で表現できる。
【0062】
PRT=Wprt×f(HCTime,RNum,CarYTJ,PSGspd,DispDist,CarDist)
【0063】
例えば、PRT=HCTime、とすれば、乗場呼びが発生してからの経過時間が長い乗場呼びほど、見直されることになる。また、PRT=CarYTJDest、とすれば、行先階に到着するまでに時間を要する乗場呼びほど、見直されることになる。また、PRT=CarYTJ+HCTime−(DispDist+CarDist)/PSGspdとすれば、乗場での応答号機の到着待ち時間が長い乗場呼びほど、見直されることになる。また、見直し優先度は、これらの組合せによって計算されても良い。
【0064】
どのような乗場呼びの応答号機を優先的に見直すかは、開発者・設計者・乗客・ビルオーナの狙いなどによって変わる。また、乗客やビルオーナが自由に選択できるようにしても良い。
【0065】
また、例えば、PRT=HCTime/RNum、などのように、RNumの値が大きくなるほど、PRTの値が小さくなるように、見直し優先度の関数fを設計しても良い。当該関数fの設計により、見直された回数の少ない乗場呼びほど、優先的に応答号機が見直されるようにすることができる。
【0066】
また、状況によって、優先的に応答号機を見直したい乗場呼びがある。例えば、(1)応答号機が仮決定/最終決定されていない乗場呼び、(2)仮決定されている応答号機以外に、当該階・当該方向に停止予定の別のかごがある乗場呼び、(3)乗場呼びの行先階に、当該方向で停止予定の別のかごがある乗場呼び、などである。
【0067】
上記(1)の乗場呼びは、呼び登録装置2によって登録されたばかりの乗場呼びなどが該当する。また、上記(2),(3)の乗場呼びを優先的に見直すのは、当該階・当該方向に停止予定のかごを1台にまとめることができれば、全エレベータの停止数を削減することができ、エレベータを効率的に運行管理することができるためである。
【0068】
こうした乗場呼び((1)〜(3))の見直し優先度の重み係数Wprtを、他の乗場呼びよりも大きな値とすることで、他の乗場呼びよりも、上記(1)〜(3)の乗場呼びの方を、優先的に応答号機を見直すようにすることができる。
【0069】
また、応答号機を見直す乗場呼びを、複数個選択するようにしてもよい。この場合、優先度の高い順に乗場呼びを並べ、予め決定された上位何番目までの乗場呼びを、抽出部13は、応答号機の見直しを行う乗場呼びとして選択する。
【0070】
例えば、応答号機を見直す乗場呼びを1つだけ選択した場合、当該乗場呼びを各号機に応答させたときの各指標を評価し、評価が最良となる号機を応答号機へとすることになる。そもそも当該乗場呼びには、現在、仮決定されている応答号機が応答することが、最良と以前に評価されている。このことから、当該乗場呼びの応答号機は、現在、仮決定されている応答号機になっているのであって、改めて、当該乗場呼びに関して、現在、仮決定されている応答号機に応答させたときの各指標を評価したとしても、以前の評価結果と大きな差がつく可能性は小さい。換言すると、改めて、当該乗場呼びに関して、現在、仮決定されている応答号機に応答させたときの各指標を評価したとしても、再評価する意義が小さい。
【0071】
しかし、応答号機を見直す乗場呼びを複数個選択する場合、同じ応答号機が応答することになっている乗場呼び複数個を、応答号機の見直しを行う乗場呼びとして選択できる。これにより、現在、仮決定されている応答号機に応答するとしたときの各指標の再評価結果は、以前の評価結果と大きな差がつくことが予想できる。これは、前述したように、乗場呼びの応答号機を見直して変更すると、見直された乗場呼びの乗客の待ち時間などが影響を受けるだけでなく、見直し前後の応答号機に割り当たっていた別の乗場呼びの乗客の待ち時間などにも影響を与えるためである。
【0072】
したがって、応答号機を見直す乗場呼びを複数個選択する場合には、同じ応答号機が応答することになっている乗場呼びの中から複数個選択する。これにより、再評価する意義が大きなものとなり、より効率的にエレベータの運行管理をすることが可能になる。
【0073】
そこで、2つ目以降の乗場呼びが、1つ目の乗場呼び(たとえば、優先度の最も高い乗場呼び)と同じ応答号機が応答することになっている乗場呼びの中から、選択されるようにすることが、望ましい。1つ目の乗場呼びと同じ応答号機が応答することになっている乗場呼びの見直し優先度の重み係数Wprtを、他の乗場呼びよりも大きな値とする。これにより、2つ目以降の乗場呼びが、1つ目の乗場呼びと同じ応答号機が応答することになっている乗場呼びの中から、優先的に選択されるようにすることができる。
【0074】
図4に示した動作により、図3に示したステップST101が終了すると、次に、ステップST102において、抽出部13は、ステップST101にて選択された乗場呼びに対して仮決定されている応答号機を、記憶部16から削除する。もし、ステップST101にて選択された乗場呼びに対して応答号機がまだ仮決定されていない場合には、エレベータ群管理制御装置1は、応答号機が仮決定されていない状態を継続して保持する。
【0075】
ステップST102が終了すると、ステップST103において、仮決定部14は、ステップT101にて選択された乗場呼びに対する、応答候補号機の絞り込みおよび仮決定を行う。
【0076】
ステップST103における仮決定部14の動作(応答号機の仮決定動作)を、図6に示すフローチャートを用いて説明する。
【0077】
ステップST103の動作は、すべてのかごに対して実施され、ステップST103により除外されたかご以外が、仮決定される応答号機の応答候補号機として残る。
【0078】
図6のステップST1031において、仮決定部14は、応答号機として決定したならば到着予報できないかごを、応答候補号機から除外する。
【0079】
第1の到着予報できないかご(つまり、仮決定の際に応答候補号機から除外する第1のケース)について説明する。
【0080】
例えば、乗場呼びが、希望行先階の指定によって登録された場合、当該希望行先階を持つ乗場呼びの応答号機を、最終的には乗場に到着予報して、当該乗場呼びを登録した乗客へ報知しなければならない。ディスプレイを使用して、乗場に到着予報する場合、例えば図7のように、予報装置3の表示部において、“各号機(各かご)の枠(図7のC1〜C7の枠参照)に行先階などを表示する形式”で、乗客へ応答号機を報知することが可能である。
【0081】
しかし、ディスプレイのサイズは有限であり、表示内容の視認性を保つためには、ディスプレイ中の数値などを含めた文字サイズも、一定値以上の大きな値にしなければならず、各号機の枠の中に表示可能な行先階の個数を制限しなければならない。そのため、仮決定部14は、各号機の枠の中に表示可能な行先階の個数より、表示する個数が少なくなるように、乗場呼びに対応する応答号機を仮決定しなければならない。
【0082】
したがって、仮に、当該乗場呼びに対応する応答号機として決定したときに、予報装置3において、号機の枠の中に表示可能な行先階の個数より、表示する個数が多くなってしまうかごについては、仮決定部14は応答候補号機から除外する。
【0083】
なお、予報装置3における号機の枠の中に表示する内容は、必ずしも行先階とは限らない。例えば、方向でも良いし、乗場呼びが希望方向や希望行先階と関連付け可能なIDによって構成されるならば、IDを表示しても良い。また、乗場呼びが希望方向や希望行先階と関連付け可能で、呼び登録装置2のカメラによって撮影された顔写真などの映像によって構成されるならば、当該映像を表示しても良い。すなわち、図7に示す予報装置3の各号機の枠の中に表示されるものは、乗場呼びを表す記号であればよい。
【0084】
仮決定部14は、所定の乗場呼びに対して、乗場呼びに対する決定結果を報知する記号の数が、号機の枠の中に表示可能な個数より多くなってしまうかごについては、仮決定処理の際に、当該所定の乗場呼びに対する応答号機の候補から除外する。換言すると、仮決定部14は、当該かごについては、所定の乗場呼びに対する応答号機として仮決定しない。
【0085】
第2の到着予報できないかご(つまり、仮決定の際に応答候補号機から除外する第2のケース)について説明する。
【0086】
仮に、同一階の上方向の乗場呼びと下方向の乗場呼びとの両方の応答号機として、仮決定している号機(かご)がある場合、通常、当該号機は、現在階床位置から当該階への進入方向と順方向の乗場呼びに先に応答する。そのため、進入方向と逆方向の乗場呼びの応答号機として既に最終決定/到着予報されている号機がある場合において、同一階にて、当該号機の進入方向と順方向の乗場呼びの応答号機を、後から当該号機に仮決定してしまうとする。すると、当該号機は、進入方向と順方向の乗場呼びに先に応答しなければならないので、当該号機を進入方向と順方向の乗場呼びの応答号機として、いずれ最終決定/到着予報しなければならない。
【0087】
例えば仮に、図8のように、5階の下方向(行先階=1F)の乗場呼びに応答するため、上方向に走行中のA号機を、後になって、5階の上方向(行先階=10F)の乗場呼びの応答号機に仮決定したとする。すると、当該A号機は、進入方向と順方向の乗場呼びに先に応答しようとする。最終的には、行先階10Fの乗場呼びの応答号機としてA号機は最終決定され、5階のユーザに到着予報される。つまり、予報装置3には、行先階1Fの乗場呼びと行先階10Fの乗場呼びとの両方の応答号機がA号機であるとして、到着予報されてしまう。
【0088】
このような到着予報がされると、行先階が10Fである乗客と同様に、既に行先階が1Fである乗客に対しても、A号機が行先階10Fの乗場呼びに対応する応答号機として、報知されていることになる。したがって、A号機が5階に到着したときには、行先階が1Fである乗客も、行先階が10Fである乗客も、A号機に乗車する可能性が高い。このようなことが発生すると、乗車後、当該A号機は上方向に出発するので、行先階1Fを希望していた乗客が混乱することになる。
【0089】
他方、かごの進入方向と順方向を優先して、予報装置3に行先階10Fの乗場呼びの応答号機としてA号機を表示するときに、行先階1Fの乗場呼びの応答号機の到着予報を取消/変更したとする。すると、行先階1Fを希望する乗客は、5階の乗場で混乱することになる。また、一度、予報装置3を見て、A号機と認識した乗客は、その後、予報装置3を確認しない可能性もある。このようなことが発生すると、行先階1Fの乗場呼びの応答号機の到着予報を取消/変更したなら、行先階1Fを希望する乗客は、誤って10階行きのA号機に乗車してしまい、乗車後に当該乗客は混乱する。
【0090】
したがって、所定の階におけるかごの進入方向と逆方向の乗場呼び(前者の乗場呼びと称する)の応答号機として既に最終決定/到着予報されているかごがある場合には、仮決定部14は、仮決定処理の際に、当該かごを、当該所定の階における、当該かごの進入方向と順方向の乗場呼び(後者の乗場呼び)の応答候補号機から除外する。換言すれば、前者の乗場呼びの応答号機として最終決定されているかごは、仮決定部14は、後者の乗場呼びに対応する応答号機として仮決定しない。
【0091】
予報装置3のディスプレイを使用して乗場に到着予報する場合、例えば、図9のように、“各行先階の枠(図9の枠D1〜D18参照)に応答号機などを表示する形式”で、乗客へ応答号機を報知することが可能である。行先階の枠の中に表示されるものは、号機を表す記号であればよい。この場合、各枠D1〜D18には1の号機しか到着予報できないので、仮決定部14は、仮決定処理の際に、進入方向と逆方向の乗場呼びの応答号機として既に最終決定/到着予報されている号機を、同一階にて、進入方向と順方向の乗場呼びの応答候補号機から除外する。
【0092】
なお、到着予報できない号機として、第1のケースおよび第2のケースとについて述べた。ここで、両ケースの条件を満たすときに、仮決定部14は、かごを仮決定処理の際に応答号機の候補から削除してもよい。または、いずれか一方のケースの条件を満たすときに、仮決定部14は、かごを仮決定処理の際に応答候補号機から削除してもよい。
【0093】
上記ステップST1031の処理後、ステップST1032において、仮決定部14は、応答号機として決定したならば、かご内待ち時間が、予め設定されたかご内待ち時間閾値を超えるかごを、応答候補号機から除外する。換言すれば、仮に応答号機として最終決定したならば、乗客のかご内待ち時間が、予め設定されたかご内待ち時間閾値を超えるかごを、仮決定部14は、応答号機として仮決定しない。
【0094】
例えば、各階で乗客は、全員、図2に示す呼び登録装置2を操作して、乗場呼びを登録するものとする。そして、かごが当該階に到着してドアが開いており、先に乗場呼びを登録した乗客が乗車したときに、当該階の離れた位置にある呼び登録装置2で、別の乗客が乗場呼びを登録した結果、各乗場呼びの応答号機が同じになったとする。当該場合、先に乗車した乗客は、後の乗客を、かご内で待つ必要が生じる。当該かご中における先の乗客が出発を待つ時間を、「かご内待ち時間」と呼ぶ。
【0095】
当該かご内待ち時間は、当該階にて当該応答号機に最後に乗車する予定の乗客の予定乗車時刻と、当該階においてより先に乗車する予定の乗客の予定乗車時間との差、として演算可能である。
【0096】
各乗客の予定乗車時刻(RTime)の求め方は、前述のとおりである。各乗客の予定乗車時刻が演算できるため、当該階にて当該応答号機に最初/最後に乗車する予定の乗客を求めることもできる。
【0097】
当該階で当該応答号機に乗車する乗客の中で、かご内待ち時間が最長となるのは、当該応答号機に最初に乗車する乗客である。したがって、最初に乗車する乗客を基準としてかご内待ち時間を計算し、当該計算されたかご内待ち時間が、予め設定されているかご内待ち時間閾値に収まれば、当該階で当該かご内待ち時間内に、当該応答号機に乗車する予定の全ての乗客について、かご内待ち時間がかご内待ち時間閾値に収まることになる。
【0098】
したがって、応答号機を見直している乗場呼びが、当該応答号機に応答することになっても、当該応答号機に最初に乗車予定の乗客のかご内待ち時間が、かご内待ち時間閾値以内に収まっていることを確認すればよい。すなわち、当該応答号機に最初に乗車予定の乗客の予定乗車時刻と、応答号機を見直している乗場呼びの乗客の予定乗車時刻の差の時間が、かご内待ち時間閾値に収まればよいことになる。
【0099】
なお、かご内待ち時間閾値は、一意の値でなくとも良い。例えば、乗場呼びが、希望進行方向や希望行先階、これらと関連付けることが可能なIDである場合は、IDによって、かご内待ち時間閾値は変化するようにしても良い。すなわち、ある変数によって、かご内待ち時間閾値も変化するようにしても良い。
【0100】
上記ステップST1032の処理後、ステップST1033において、仮決定部14は、応答号機として決定したならば、乗車間隔が、予め設定されている乗車間隔閾値を超えるかごを、応答候補号機から除外する。換言すれば、仮に応答号機として最終決定したならば、乗客の乗車間隔が、予め設定された乗車間隔閾値を超えるかごを、仮決定部14は、応答号機として仮決定しない。ここで、乗車間隔と乗車間隔閾値とについては、前述のとおりである。
【0101】
上記ステップST1033の処理後、ステップST1034において、仮決定部14は、その他の理由により、乗場呼びの応答号機としてふさわしくないかごを、応答候補号機から除外する。
【0102】
例えば、応答号機として最終決定したならば、予定停止数が、予め設定されている停止数閾値を超えるかごを、仮決定部14は応答候補号機として選択しない。また、応答号機として最終決定したならば、かご内人数が、予め設定されているかご内人数閾値を超えるかごを、仮決定部14は応答候補号機として選択しない。
【0103】
なお、かご内人数閾値は、エレベータの定員数であっても良いし、定員数よりも少ない値であっても良い。各乗場呼びあたりの人数を決めれば、かご内人数は、当該号機が応答予定の乗場呼び数から、予測計算することが可能である。乗客全員が、乗場呼びを登録するのであれば、乗場呼び1つにつき1人として、かご内人数を計算することが可能である。
【0104】
上記ステップST1031〜ST1034は、当該順に、シーケンス的に処理している。しかしながら、ステップST1031〜ST1034の処理の順番は変更可能であり、また、ステップST1031〜ST1034のうち、最低1以上のステップが実施される場合であっても良い。
【0105】
さて、図3のステップST103(図6の各ステップST1031〜ST1034)の処理の後、ステップST104に於いて、仮決定部14は、ステップST101にて抽出された乗場呼びと、ステップST103にて絞り込まれた各応答候補号機との、各組合せを評価する。そして、仮決定部14は、最良の組合せとなった当該乗場呼びと当該応答候補号機を、当該乗場呼びの応答号機として仮決定する。
【0106】
ステップST104に於ける、仮決定部14の動作の一例について、以下に記述する。例えば、仮決定部14は、次のような各応答候補号機の総合評価値(IVAL)を計算する。
【0107】
IVAL=(Wa×AVAL)+(Wsh×SHVAL)+(Wsp×SPVAL)
【0108】
そして、仮決定部14は、総合評価値(IVAL)が最良の応答号機を、当該乗場呼びの応答号機として仮決定する。
【0109】
ここで、「AVAL」とは、乗場の待ち時間から計算される乗場待ち時間評価値である。また、「SHVAL」とは、かご内待ち時間から計算されるかご内待ち時間評価値である。また、「SPVAL」とは、停止数から計算される停止数評価値である。乗場待ち時間評価値、かご内待ち時間評価値および停止数評価値は、ステップST103において絞りこまれた各かごに対して計算される。
【0110】
また、「Wa」は、乗場待ち時間評価値の重み係数であり、「Wsh」は、かご内待ち時間評価値の重み係数であり、「Wsp」は、停止数評価値の重み計数である。
【0111】
AVAL、SHVAL、SPVALの各評価値の計算方法の一例について説明する。
【0112】
例えば、ステップST101にて抽出された乗場呼びの応答号機を、ステップST103にて絞り込まれた各応答号機の候補とした場合の、全乗客の乗場待ち時間(Twt)を計算する。
【0113】
当該乗場待ち時間は、各乗場呼びが発生してからの経過時間(HCTime)、応答号機の当該階への予測到着時間(CarYTJ)、各乗客の想定歩行速度(PSGspd)、呼び登録装置2から予報装置3までの距離(DispDist)、予報装置3から応答号機のドア前までの距離(CarDist)、などから計算可能である。
【0114】
すなわち、関数をgと定義すると、乗場待ち時間(Twt)は、次式で表現できる。
【0115】
Twt=g(HCTime,CarYTJ,PSGspd,DispDist,CarDist)
【0116】
例えば、Twt=CarYTJ+HCTime−(DispDist+CarDist)/PSGspd、として、乗場待ち時間(Twt)を計算することが可能である。
【0117】
なお、乗場で上/下ボタンを押下する通常の呼び登録装置2の場合、当該階の乗場に到着した当該希望進行方向を持つ先頭の乗客によって、ボタンを押下されていると、同希望進行方向を持つ後続の乗客は、呼び登録装置2を押下しない。そのため、前記の式にて計算される乗場待ち時間(Twt)は、先頭の乗客の乗場待ち時間しか計算できない。
【0118】
しかし、希望行先階や、希望進行方向や希望行先階と関連付けることが可能なIDなどによって、乗場呼びが登録される呼び登録装置2の場合は、後続の乗客も呼び登録する必要がある。この場合、前記の式により、先頭の乗客だけでなく、後続の乗客の乗場待ち時間も計算することが可能である。したがって、先頭の乗客の乗場待ち時間だけでなく、後続の乗客の乗場待ち時間も含めて、各応答候補号機を評価することができる。
【0119】
そして、関数をhと定義すると、AVALは次式として表現できる。
【0120】
AVAL=h(Twt)
【0121】
例えば、AVALは、次式として計算することが可能である。
【0122】
AVAL=Σ(TTwt−(当該乗場呼びの応答号機を、当該応答号機とした場合の各階の各乗客のTwt))2−Σ(TTwt−(当該乗場呼びの応答号機を、当該応答号機とする前の各階の全乗客のTwt))2
【0123】
「TTwt」とは、目標乗場待ち時間である。目標乗場待ち時間からの差が小さいほど、AVALの値が小さな値となる。IVALの値が小さいほど、最良とするならば、AVALの値が小さいほど、良い評価ということになる。
【0124】
TTwtを0としたエレベータ群管理制御装置1は、乗場待ち時間が0になるように運行管理することになる。かごの台数は有限なので、目標乗場待ち時間を過度に小さい値にすると、乗場待ち時間が短い乗客がいる一方で、乗場待ち時間が非常に長くなる乗客の発生しやすくなる。一方、乗場待ち時間を適当な値にすると、乗場待ち時間が短い乗客が減るが、乗場待ち時間が非常に長くなる乗客も減る。つまり、乗場待ち時間を平滑化することができる。
【0125】
また、「TTwt」は、一意の値でなくとも良い。例えば、各階、各希望進行方向、各希望行先階、IDおよび時刻などによって、TTwtの値を変えても良い。すなわち、ある変数によって、かご内待ち時間閾値も変化するようにしても良い。
【0126】
例えば、IDによってTTwtを変える場合、つまり乗客によってTTwtを変えるということは、特定の乗客に対しては、乗場待ち時間が短くなるように運行管理することができるようになる。重要な顧客や、職位や立場に応じて運行管理することができるようになる。
【0127】
次に、SHVALの計算方法の一例について説明する。
【0128】
例えば、ステップST101にて抽出された乗場呼びの応答号機を、ステップST103にて絞り込まれた各応答候補号機とした場合の、全乗客のかご内待ち時間(Twi)を計算する。
【0129】
当該かご内待ち時間(Twi)は、各乗客の乗車予定時刻(RTime)から計算可能である。各乗客の予定乗車時刻(RTime)は、前述のとおり、応答号機の当該階への予測到着時間(CarYTJ)、各乗場呼びが発生してからの経過時間(HCTime)、各乗客の想定歩行速度(PSGspd)、呼び登録装置2から予報装置3までの距離(DispDist)、予報装置3から応答号機のドア前までの距離(CarDist)、応答号機のドアが乗降可能な程度まで開いてからの経過時間(OPTime)および現在時刻(NowTime)などから、計算可能である。
【0130】
そして、関数をiと定義すると、SHVALは次式で表現できる。
【0131】
SHVAL=i(Twi)
【0132】
例えば、次式として、SHVALは計算することが可能である。
【0133】
SHVAL=Σ(当該乗場呼びの応答号機を、当該応答号機とした場合の各階の各乗客のTwi)2−Σ(当該乗場呼びの応答号機を、当該応答号機とする前の各階の全乗客のTwi)2
【0134】
かご内待ち時間(Twi)が小さいほど、SHVALの値が小さな値となる。IVALの値が小さいほど、最良とするならば、SHVALの値が小さいほど、良い評価ということになる。
【0135】
次に、SPVALの計算方法の一例について説明する。
【0136】
例えば、SPVALは、ステップST101にて抽出された乗場呼びの応答号機を、ステップST103にて絞り込まれた各応答候補号機とした場合の、全号機の総停止予定数から計算可能である。
【0137】
そして、関数をjと定義すると、SPVALは次式として表現できる。
【0138】
SPVAL=j(総停止予定数)
【0139】
例えば、SPVALは次式として計算することが可能である。
【0140】
SPVAL=Σ(当該乗場呼びの応答号機を、当該応答号機とした場合の総停止予定数)2−Σ(当該乗場呼びの応答号機を、当該応答号機とする前の総停止予定数)2
【0141】
総停止予定数が小さいほど、SPVALの値が小さな値となる。IVALの値が小さいほど、最良とするならば、SPVALの値が小さいほど、良い評価ということになる。
【0142】
なお、各重み計数Wa,Wsh,Wspは、一意の値でなくとも良い。時刻や乗場呼びやかご呼びの数や乗場やかご内の乗客の数や、UPピークやDOWNピークといった交通パターンによって、変化するようにしても良い。すなわち、ある変数によって、各重み計数Wa,Wsh,Wspが変化するようにしても良い。
【0143】
また、本実施の形態では、IVALの構成要素として、AVAL、SHVALおよびSPVALの各評価値を含んでいるが、前記評価値を含むように構成してもよく、先行文献で示されている他の評価値の一部や全てで構成するようにしても良い。
【0144】
ステップST104により、仮決定部14が当該乗場呼びの応答号機を仮決定した後、ステップST105に於いて、当該仮決定部14は、ステップST101で選択された乗場呼びと、ステップST104にて仮決定された当該乗場呼びに対する応答号機とを、記憶部16に保持する。
【0145】
ステップST106に於いて、最終決定部15は、記憶部16に保持されている乗場呼びとその応答号機との組合せの中から、所定の条件を満たした組合せを、以後の応答号機見直し過程において、応答号機が変更されない組合せとして最終決定する。そして、最終決定部15は、予報装置3に対して、最終決定された当該乗場呼びに対する応答号機の到着予報を指令する。
【0146】
ステップST106に於ける、最終決定部15の動作の一例について、以下に記述する。図10は、最終決定部15が、応答号機が変更されない組合せとして最終決定し、予報装置3に当該応答号機の到着予報を指令する動作を示すフローチャートである。
【0147】
図10のステップST1061に於いて、最終決定部15は、最終決定してはいけない組合せを抽出する。
【0148】
仮に、同一階において、上方向の乗場呼びと下方向の乗場呼びとの両方の応答号機として、仮決定している応答号機があり、どちらか一方の方向の乗場呼びの応答号機としては既に最終決定/到着予報されているかごがあるとする。当該場合には、同一階にて、もう一方の方向の乗場呼びの応答号機を、後から当該かごに最終決定してしまうと、進入方向と逆方向の乗場呼びの乗客が混乱することになる。
【0149】
例えば、仮に、図8のように、5階の下方向(行先階=1F)の乗場呼びに応答するため、上方向に走行中のA号機を、後になって5階の上方向(行先階=10F)の乗場呼びの応答号機としても最終決定したとする。すると、号機Aは、進入方向と順方向の乗場呼びに先に応答し、5階停止後に上方向に出発することになる。
【0150】
予報装置3には、行先階1Fの乗場呼びと行先階10Fの乗場呼びとの応答号機が、A号機であるとして、到着予報されている。したがって、A号機が5階に到着したときには、行先階1Fの乗客も、行先階10Fの乗客もA号機に乗車する可能性が高い。そうすると、乗車後、当該号機Aが上方向に出発すると、行先階1Fの乗客が混乱することになる。
【0151】
かごの進入方向と順方向を優先して、予報装置3に行先階10Fの乗場呼びの応答号機としてA号機を表示するときに、行先階1Fの乗場呼びの応答号機の到着予報を取消/変更したとする。すると、行先階1Fの乗客は、乗場で混乱することになる。また、一度、予報装置3を見て、A号機と認識した乗客は、その後、予報装置3を確認しない可能性もある。したがって、行先階1Fの乗場呼びの応答号機の到着予報を取消/変更したとしても、乗車後において、行先階1Fの乗客は混乱する。
【0152】
よって、同一階において、上方向乗場呼びと下方向の乗場呼びとの両方の応答号機として、仮決定している応答号機があり、どちらか一方の方向の乗場呼びの応答号機としては既に最終決定/到着予報されている応答号機がある場合、同一階にて、もう一方の方向の乗場呼びと仮決定されている当該応答号機との組合せは、最終決定してはいけない組合せとする(ステップST1061)。
【0153】
つまり、所定の階において、上方向の乗場呼びおよび下方向の乗場呼びの何れか一方の最終応答号機として、最終決定部15により決定されているかごがあるとする。当該場合には、最終決定部15は、当該所定の階における上方向の乗場呼びおよび下方向の乗場呼びの何れか他方の最終応答号機として、決定しない(ステップST1061)。
【0154】
次に、ステップST1062に於いて、最終決定部15は、記憶部16に保持されている乗場呼びとその応答号機との組合せにおいて、ステップST1061で除外された組合せ以外の組合せの内、最終決定とする乗場呼びと応答号機の組合せを抽出する。以下、最終決定部15における、上記組合せの抽出方法について詳述する。
【0155】
まず、第1の抽出方法について説明する。
【0156】
前述のとおり、運行状況の変化に応じて、できるだけ長い期間、応答号機を見直すほうが、輸送効率は高い。しかし、乗場の乗客は、応答号機が当該階に到着するまでに、当該応答号機前に移動して到着を待つほうが使いやすい。
【0157】
そこで、応答号機の当該階への予測到着時間(CarYTJ)が、予報装置3から応答号機のドア前までの距離(CarDist)を乗客が移動に要する時間(CarDist/PSGspd)以下になった場合には、当該階での当該乗場呼びと当該応答号機の組合せを、最終決定する組合せとする。すなわち、CarYTJ≦CarDist/PSGspdとなった、当該階での当該乗場呼びと当該応答号機の組合せを、最終決定する組合せとする。
【0158】
つまり、上記乗場呼びと応答号機との組み合わせの全てにおいて、最終決定部15は、所定の階における所定の乗場呼びに対して仮決定された応答号機が当該所定の階に到着する予測到着時間(CarYTJ)が、前記時間(CarDist/PSGspd)以下になったか否かを各々判断する。そして、予測到着時間(CarYTJ)が前記時間(CarDist/PSGspd)以下になった組合せがあれば、最終決定部15は、その組合せを抽出する。そして、最終決定部15は、当該抽出した乗場呼びとその応答号機の組合せを最終決定する。
【0159】
なお、予測到着時間(CarYTJ)と比較する値が、時間CarDist/PSGspdよりも大きな値(α)であれば、乗場の乗客は、応答号機が当該階に到着するまでに、当該応答号機前に移動して到着を待つことができる。
【0160】
すなわち、CarYTJ<α、となった当該階での当該乗場呼びと当該応答号機の組合せを、最終決定する組合せとしても良い。
【0161】
なお、既に応答号機が当該階に到着している場合は、CarYTJは0である。よって、上記の条件により、当該階での当該乗場呼びと当該応答号機の組合せは、最終決定する組合せとなる。
【0162】
次に、第2の抽出方法について説明する。
【0163】
前述のとおり、運行状況の変化に応じて、できるだけ長い期間、応答号機を見直すほうが、輸送効率は高い。一方で、乗場の乗客は、応答号機が当該階に到着するまでに、当該応答号機前に移動して到着を待つほうが使いやすい。したがって、上記第1の抽出方法を利用して、最終決定部15は最終決定する組合せを抽出したほうが良い。
【0164】
ところで、乗場の乗客が、呼び登録装置2による乗場呼び登録後、当該呼び登録装置2から予報装置3へ、まだ移動し終わっていないケースを想定する。当該ケースでは、当該乗場呼びと当該応答号機の組合せを最終決定し、予報装置3で到着予報しても意味が無い。
【0165】
そうすると、当該乗客が予報装置3まで移動し終えるまでは、当該乗場呼びに対する応答号機を見直せるほうが、輸送効率は高い。
【0166】
そこで、乗場呼びが発生して(登録されて)からの経過時間(HCTime)が、呼び登録装置2から予報装置3までの距離(DispDist)を乗客が移動に要する時間(DispDist/PSGspd)以上である場合は、当該階での当該乗場呼びと当該応答号機の組合せを、最終決定する組合せとする。すなわち、HCTime≧DispDist/PSGspdとなった、当該階での当該乗場呼びと当該応答号機の組合せを、最終決定する組合せとする。
【0167】
つまり、上記乗場呼びと応答号機との組み合わせの全てにおいて、最終決定部15は、上記経過時間(HCTime)が上記時間(DispDist/PSGspd)以上になったか否かを各々判断する。そして、経過時間(HCTime)が前記時間(DispDist/PSGspd)以上になった組合せがあれば、最終決定部15は、その組合せを抽出する。そして、最終決定部15は、当該抽出した組合せを最終応答号機として、最終決定する。
【0168】
なお、経過時間(HCTime)と比較する値が、時間DispDist/PSGspdよりも小さな値(β)であれば、乗場の乗客が、予報装置3に到着するまでには応答号機が最終決定されていることになる。すなわち、HCTime>βとなった、当該階での当該乗場呼びと当該応答号機の組合せを、最終決定する組合せとしても良い。
【0169】
次に、第3の抽出方法について説明する。
【0170】
予報装置3が、乗場の入口付近に設置されている場合、応答号機が報知されるのを待つために、多量の乗客が予報装置3前で立ち止まってしまうこともある。そうすると、当該多量の乗客が邪魔で、応答号機の報知を認識したある乗客が、応答号機のドア前まで移動することができなくなってしまう。
【0171】
そこで、呼び登録装置2から予報装置3まで移動し終えている(HCTime≧DispDist/PSGspd)ものの、まだ応答号機が最終決定されておらず、報知されていない乗客数(PNum)が、予め設定された乗客数閾値以上になった場合には、最終決定部15は、次の処理を行う。
【0172】
つまり、最終決定部15は、前記乗客数(PNum)の各乗客に対する上記経過時間(HCTime)を検討する。そして、経過時間(HCTime)が長いものから順に、当該経過時間(HCTime)に関する乗場呼びと、当該乗場呼びに対する応答号機とを、最終決定する組合せとして抽出する。そして、最終決定部15は、当該抽出した組合せを最終応答号機として、最終決定する。
【0173】
これにより、予報装置3前で応答号機の報知を待つ乗客数(PNum)が、乗客数閾値以下となるようにする。乗客数閾値は、変更可能なパラメータとし、最終決定部15にて保持されているものとする。
【0174】
なお、上記では、経過時間(HCTime)が長いものから順に、乗場呼びとその応答号機との組み合わせを最終決定することとした。しかし、乗客数(PNum)が予め設定された乗客数閾値以上になった場合における、最終決定部15の最終決定動作は、当該経過時間を利用した方法に限る必要はない。
【0175】
たとえば、応答号機の予測到着時間(CarYTJ)が短いものから順に、乗場呼びとその応答号機との組み合わせを最終決定しても良い。また、乗場待ち時間(Twt)が短いものから順に、乗場呼びとその応答号機との組み合わせを最終決定しても良い。また、かご内待ち時間(Twi)が短いものから順に、乗場呼びとその応答号機との組み合わせを最終決定しても良い。または、経過時間(HCTime)、予測到着時間(CarYTJ)、乗場待ち時間(Twt)およびかご内待ち時間(Twi)の一部または全部を組み合わせた四則演算の結果の値が、最良のものから順に、乗場呼びとその応答号機との組み合わせを最終決定しても良い。
【0176】
つまり、上記乗客数(PNum)が予め設定された乗客数閾値以上になった場合には、最終決定部15は、エレベータ群管理制御装置1で計測可能な時間に関するパラメータを用いて、最終応答号機を決定する。
【0177】
なお、乗場呼びとその応答号機との組合せの最終決定の方法について、第1〜3の抽出方法を説明した。ここで、前記各抽出方法の「and」または「or」によって構成される抽出方法によって、乗場呼びとその応答号機との組合せの最終決定を行っても良い。また、必ずしも前記全ての抽出方法を適用しなくとも良い。つまり、第1〜3の抽出方法の一部や、全部でない組合せにより構成される抽出方法で、乗場呼びとその乗場呼びに対する応答号機との組合せを、最終決定するようにしても良い。
【0178】
ステップST1062で最終応答号機の決定を行った後、ステップST1063に於いて、最終決定部15は、ステップST1062にて決定された最終応答号機と当該最終応答号機に対応する乗場呼びとを、予報装置3に送信する。そして、予報装置3は、ステップST1062にて決定された応答号機を、対応する乗場呼びに対する応答号機として報知する。
【0179】
以上により、ステップST106の動作が終了し、図3に示す動作も終了する。
【0180】
起動部18は、図3に示すステップST101からステップST106までの一連の動作を、周期的に起動する。
【0181】
応答号機の見直しを行わない従来のエレベータ群管理制御装置では、呼び登録装置によって乗場呼びが登録されると、当該乗場呼びの応答号機を1度決定すればよい。このため、従来のエレベータ群管理制御装置では、応答号機を決定する動作を周期的に繰り返すことはしない。
【0182】
これに対して、本発明のエレベータ群管理制御装置1では、乗場呼びとその応答号機を決定する動作を、応答号機を見直すことができる時間が残っている限り、何度でも繰り返す(図3の繰り返し動作)。したがって、本発明のエレベータ群管理制御装置1では、運行状況の変化に応じて、乗場呼びに対応する応答号機を変更することができ、適切な運行管理が行われ、輸送効率が改善される。
【0183】
また、図2に示すように、呼び登録装置2が、各エレベータから遠方にある場合がある。当該場合には、呼び登録装置2によって乗場呼びを登録した乗客は、当該呼び登録装置2から予報装置3までの距離(DispDist)や、予報装置3から応答号機のドア前までの距離(CarDist)を移動しないと、当該乗客が登録した乗場呼びに対応する応答号機には乗車できない。そのため、乗客が応答号機のドア前までに移動するよりも早く、応答号機が当該階へ到着した場合、応答号機は、当該階にて当該乗客が乗車できるまでドアを開いておく必要がある。
【0184】
そこで、運転制御部12は、当該階にてドアを開いておく時間(FTime)を、応答号機の当該階への予測到着時間(CarYTJ)、各乗場呼びが発生してからの経過時間(HCTime)、各乗客の想定歩行速度(PSGspd)、呼び登録装置2から予報装置3までの距離(DispDist)、予報装置3から応答号機のドア前までの距離(CarDist)、などから計算する。
【0185】
関数をkと定義すると、時間(FTime)は次式で表現できる。
【0186】
FTime=k(CarYTJ,HCTime,PSGspd,DispDist,CarDist)
【0187】
例えば、FTime=(DispDist+CarDist)/PSGspd−(当該応答号機に最後に乗車予定の乗客のHCTime)−CarYTJとして、計算することが可能である。
【0188】
上記計算式で表される時間(FTime)の場合、乗客が乗車後、すぐにドアが閉まり始めることになる。したがって、時間(FTime)を、上記計算式よりも、ある程度、長めに設計しておかないと、乗客がドアに挟まれるなどの事態が生じる。
【0189】
そこで、FTime=(DispDist+CarDist)/PSGspd−(当該応答号機に最後に乗車予定の乗客のHCTime)−CarYTJ+γ、を用いて計算することが望ましい。γは、時間(FTime)を長めに設計するための加算値であり、予め運転制御部12に保持されている。
【0190】
また、従来のエレベータ群管理制御装置では、ビルの特定の混雑階に、乗場における乗客の有無にかかわらず、かごを予め配車しておくことがある。当該予め配車されたかごは、一定時間(ω)、ドアを開いて当該階で停止し、乗客が当該かごに乗車するのを待つことがある。
【0191】
しかし、図2に示すように、呼び登録装置2が遠方にある場合、「(DispDist+CarDist)/PSGspd」秒以内の乗車予定の乗客の有無がわかる。したがって、もし乗車予定の乗客がいないのであれば、「ω−(DispDist+CarDist)/PSGspd」秒以上、ドアを開いて、乗車を待つ必要がない。
【0192】
距離(DispDist+CarDist)が長い場合は、ドアを開いて、乗車を待つ時間が0秒以下になってしまう。この場合は、ドアを開いて、乗車を待つ必要がないことを意味する。
【0193】
もし、乗車予定の乗客がいるのであれば、本実施の形態のように上記時間FTimeだけ、ドアが開かれていることになるので、乗客は乗り遅れることにはならない。これにより、当該階にて、無駄にドアを開けてかごを停止させておく時間を短くできる。よって、かごは、早く出発することができるようになるので、輸送効率が改善する。
【0194】
なお、本実施の形態では、説明の便宜上、図2に示すように、呼び登録装置2が、予報装置3から遠方に設置されている構成を例示した。しかし、呼び登録装置2が、予報装置3から遠方に設置されていることを限定する必要はない。例えば、呼び登録装置2と予報装置3とが近くに設置されているのであれば(両装置2,3が、かご付近に設置されているのであれば)、「DispDist」と「CarDist」とを、0として上記動作を実施すればよい。
【0195】
以上のように、この本発明の実施の形態1によれば、最終応答号機が決定していない乗場呼びに対して複数回に渡り、乗場呼びの応答号機を、運行状況の変化に応じて、見直すことができる。これにより、輸送効率が向上する。
【0196】
また、この本発明の実施の形態1によれば、最終決定部15で乗場呼びに対する応答号機が最終決定され、当該応答号機が予報装置3で報知される。したがって、乗客は、応答号機が当該階に到着するまでに、当該応答号機前に移動して到着を待つことができる。そして、最終決定された応答号機は、乗場の到着予報が変更されないため、乗場の乗客の利便性も向上することができる。
【0197】
また、本実施の形態では、抽出部13は、応答号機が変更されると、前後の乗客の乗車間隔が、乗車間隔閾値以内から外れてしまう乗場呼びを、応答号機の見直しが生じた乗場呼びから除外する。
【0198】
したがって、乗客の乗車間隔が必要以上に長くなるなどの不具合を防止することができる。
【0199】
また、本実施の形態では、抽出部13は、複数のパラメータを用いて乗場呼びの見直し優先度(PRT)を計算し、当該優先度(PRT)に基づいて、応答号機の見直しが生じた乗場呼びを、決定する。
【0200】
したがって、応答号機を見直す乗場呼びを適切に選択することができ、結果として、効果的に輸送効率を向上させることができる。
【0201】
また、本実施の形態では、仮決定部14は、予報装置3に表示される記号の数に応じて、応答候補号機として選択するかしないかを判断している。
【0202】
したがって、予報装置3において到着予報できないかごを、応答号機から除外することができ、応答号機が予報装置3により到着予報できないという不具合を防止することができる。
【0203】
また、本実施の形態では、仮決定部14は、所定の条件下において、応答候補号機として選択しない処理を行っている。
【0204】
したがって、「到着予報できない」、「かご内待ち時間が長すぎる」、「乗車間隔が長すぎる」、「停止数が多すぎる」、および「かご内人数が多すぎる」などの不具合を、防止することができる。
【0205】
また、本実施の形態では、仮決定部14は、抽出部13で選択した乗場呼びと、当該仮決定部で選択された各応答候補号機との組み合わせの内、最良の組合せに属する応答候補号機を、当該乗場呼びの応答号機として仮決定する。
【0206】
したがって、適切な応答号機を仮決定することが可能となり、輸送効率の向上を図ることができる。
【0207】
また、本実施の形態では、最終決定部15は、所定の階において、たとえば上方向の乗場呼びの最終応答号機として決定されているかごを、当該所定の階における下方向の乗場呼びの最終応答号機として決定しない。
【0208】
したがって、上方向への移動を希望する乗客が誤って下方向に移動する、といった混乱を防止することができる。
【0209】
また、本実施の形態では、最終決定部15は、所定の条件(第1〜3の抽出方法)を利用して、最終応答号機の決定の判断を行っている。
【0210】
したがって、乗場呼びの応答号機を、運行状況の変化に応じて複数回見直して、輸送効率を向上しつつ、乗場の到着予報を適切に行い、乗場の乗客の使いやすさにも配慮することができる。
【0211】
また、本実施の形態では、運転制御部12は、所定の階におけるドアを開いておく時間を、かごの所定の階への予測到着時間、乗場呼びが発生してからの経過時間、乗客の想定歩行速度、および前記乗客の移動距離を用いて、計算する。
【0212】
したがって、ドアが開いている時間を適切に決めることができ、所定の階にて確実に乗客を乗車させつつ、無駄な停止時間を削減して、輸送効率を向上することができる。
【0213】
<実施の形態2>
次に、本発明の実施の形態2に係るエレベータ群管理制御装置について説明する。
【0214】
実施の形態1では、各階・各方向の各乗場呼びの応答号機を見直している。しかし、通常、同一階・同一方向であっても、行先階が異なる多量の乗場呼びがある。このような場合には、それらの乗場呼びを1つずつ見直していると、演算時間がかかる。このように、演算時間に長時間必要だと、全ての乗場呼びの応答号機を見直せない可能性が高くなる。また、乗場呼び毎に応答号機を予報装置3に表示していると、当該予報装置3に応答号機の表示ができなくなるという課題がある。
【0215】
そこで、本実施の形態では、複数の乗場呼びをグループ化し、グループ単位で、応答号機を見直す方法について説明する。図11は、本発明の実施の形態2に係るエレベータ群管理制御装置50の構成を示すブロック図である。
【0216】
当該エレベータ群管理制御装置50は、実施の形態1に係るエレベータ群管理制御装置1と構成が、ほぼ同じである。そこで、以下では、エレベータ群管理制御装置50とエレベータ群管理制御装置1とで、構成が異なる部分についてのみ説明する。なお、両装置1,50において、同一の機能ブロックに対しては、同じ参照符号を付している。当該同じ参照符号が付されている機能ブロックについて、実施の形態1で説明しているので、ここでの説明は省略する。
【0217】
エレベータ群管理制御装置50は、グループ報知装置4とも電気的に接続されている。また、エレベータ群管理制御装置50内には、グループ化部17が追加的に構成されている。当該グループ化部17は、マイクロコンピュータ上のソフトウェアによって構成されている。
【0218】
グループ報知装置4は、図12に示すように、呼び登録装置2の近くに、別部材として設置されていても良く、図13に示すように、呼び登録装置2と同じ筐体として設置されていても良い。乗客が呼び登録装置2にて乗場呼びを登録したとき、グループ報知装置4は、当該乗場呼びが属することとなったグループを示すグループ記号を、当該乗客に報知する。グループ報知装置4は、当該報知のために、ランプ、ディスプレイ、スピーカおよび、それらの組合せなどで構成される。
【0219】
また、グループ化部17は、複数の乗客が呼び登録装置2において登録した各乗場呼びを、グループ化する。
【0220】
次に、エレベータ群管理制御装置50の動作について説明する。図14は、エレベータ群管理制御装置50の動作の処理手順を示すフローチャートである。
【0221】
ステップST201に於いて、グループ化部17は、記憶部16に保持されている乗場呼びの中から、まだグループ化されていない乗場呼びを、グループ化する。
【0222】
なお、エレベータが稼動を開始してから、乗客は、各階の乗場で希望進行方向や希望行先階や、これらと関連付けることが可能なIDや、それらの組合せによって構成される乗場呼びを、呼び登録装置2を利用し、任意のタイミングでエレベータ群管理制御装置50に登録することが可能である。当該登録された乗場呼びは、記憶部16に随時保持される。
【0223】
また、記憶部16に保持された各乗場呼びは、後述する仮決定部14や最終決定部15によって決定された応答号機が、当該乗場呼びに応答して、各階に停止したとき、当該記憶部16から削除される。
【0224】
したがって、直近のタイミングでエレベータ群管理制御装置50に登録されたばかりの乗場呼びが、まだグループ化されていない乗場呼びとして、当該記憶部16に保持されていることがあり、グループ化する対象の乗場呼びとなる。
【0225】
なお、記憶部16においてグループ化されていない乗場呼びが保持されていない場合には、ステップST201および次工程のステップST202の動作は省略される。
【0226】
ステップST201におけるグループ化部17の動作(つまり、乗場呼びのグループ化処理)の一例について、以下に記述する。図15は、グループ化部17におけるステップST201の動作を詳細に説明したフローチャートである。
【0227】
図15のステップST2011に於いて、グループ化部17は、既に存在するグループの中から、当該未グループ化の乗場呼びを配属してはいけないグループを除外する。当該除外の方法について、次に詳述する。
【0228】
乗場呼びをグループ化する場合、グループ単位で応答号機を見直し、応答号機を仮決定(仮決定部14による決定)/最終決定(最終決定部15による決定)する。また、既に存在しているグループのどれかに、当該乗場呼びを配属させる場合、当該グループの応答号機は、既に仮決定/最終決定されていることがある。そのため、グループに配属することが、そのまま応答号機を仮決定/最終決定することになることがある。
【0229】
実施の形態1で説明したとおり、本来、応答号機を仮決定/最終決定する際には、かご内待ち時間や乗車間隔やかご内人数が、かご内待ち時間閾値や乗車間隔閾値やかご内人数閾値に収まっていなければならない。
【0230】
したがって、当該乗場呼びを当該グループに配属した結果、当該乗場呼びの応答号機が、当該グループの応答号機に仮決定/最終決定される場合、かご内待ち時間や乗車間隔やかご内人数が、かご内待ち時間閾値や乗車間隔閾値やかご内人数閾値に収まらなくなるグループには、当該乗場呼びを配属してはいけない。したがって、前記条件を満たすグループが、当該乗場呼びを配属してはいけないグループとなる。なお、かご内待ち時間や乗車間隔やかご内人数の計算方法は、実施の形態1で述べた方法と同様である。
【0231】
ステップST2011の後、ステップST2012に於いて、グループ化部17は、ステップST2011で除外したグループを除く既にあるグループの中から、条件に合致するグループを選択し、当該乗場呼びを当該グループに配属する。当該条件については、次に説明する。
【0232】
まず、第1の条件について説明する。
【0233】
例えば、乗場呼びが、希望行先階によって登録された場合、もしくは希望行先階と関連付けることが可能なIDによって登録された場合、グループ化部17は、当該乗場呼びを、同一階から登録された同一希望行先階を持つ乗場呼びによって構成されているグループに配属する。
【0234】
ここで、もし、該当するグループが複数個存在する場合には、応答号機の当該階への予測到着時間(CarYTJ)が最長となるグループが、選択される(つまり、該当するグループが複数個存在する場合には、前記条件(第1の条件)を満たすグループをグループ化部17は選択する)。
【0235】
なお、該当するグループが複数個ある場合は、応答号機の当該階への予測到着時間(CarYTJ)が最長となるグループを、グループ化部17が選択する場合に言及したが、次のような選択を行っても良い。
【0236】
たとえば、該当するグループが複数個ある場合は、応答号機の当該階への予測到着時間(CarYTJ)が最短となるグループを、グループ化部17が選択しても良いし、応答号機のかご内人数が最小/最大となるグループを、グループ化部17が選択しても良い。または、応答号機のかご内待ち時間が最小/最大となるグループを、グループ化部17が選択しても良いし、グループを構成する乗場呼びの中で最長の経過時間(HCTimeMax)が最長/最短となるグループを、グループ化部17が選択しても良い。あるいは、該当するグループが複数個ある場合は、グループ化部17は、当該複数のグループの中からランダムに1つのグループを選択しても良い。これらが、第1の条件と把握できる。
【0237】
次に、第2の条件について説明する。
【0238】
第1の条件に合致するグループによって配属するグループを選択すると、グループは、少なくとも希望行先階の個数だけグループが作成されることになる。実施の形態1にて説明したように、多量の乗場呼びの応答号機を1つずつ見直そうとすると、予報装置3に応答号機を表示できなくなる。このため、本実施の形態2では、複数の乗場呼びをグループ化している。そこで、第2の条件では、よりグループの数を少なくするための条件(方法)に関する。
【0239】
例えば、乗客へ応答号機を報知する場合、有限なディスプレイのサイズにて、表示内容の視認性を保つ必要がある。このため、図16のように、“各号機の枠(図16の符号Q1〜Q7にグループなどを表示する形式”で、乗客へ応答号機を報知する場合、予報装置3のディスプレイ中の数値などを含めた文字サイズを、一定値以上に大きな値にしなければならない。したがって、各号機の枠(Q1〜Q7)の中に表示可能なグループの個数も有限になる。
【0240】
各号機の枠(Q1〜Q7)の中に表示可能なグループ数を、仮に「GENum」とする。一方で、同一の希望行先階の乗場呼びは、同じグループに配属し、同じ応答号機に応答させたほうが、エレベータの停止数を削減することができる。したがって、輸送効率の面からみても、できるだけ同一の希望行先階の乗場呼びは、同じグループに配属させることが有効である。
【0241】
しかし、1つのグループに1つの希望行先階しか配属させないと、グループの総数が第1の条件と比較しても減少しない。そこで、1つのグループに配属する目標希望行先階個数を設定する。
【0242】
まず、「目標希望行先階個数×GENum×かご台数≧全階床数−1」でないと、当該階で各希望行先階を持つ全乗客を、どこかのグループに配属して、応答号機を決めることができない。
【0243】
そのため、目標希望行先階個数U1を、次式として計算することができる。
【0244】
目標希望行先階個数U1=(全階床数−1)/(GENum×かご台数)+1
【0245】
ただし、上式において、小数点以下は切捨てる。
【0246】
また、「GENum」が小さい場合、1グループあたりの目標希望行先階個数を、ある程度、大きな値としないと、運行効率が悪化する。例えば、GENum=1で、10階建てのビルで、8台のかごがある場合、目標希望行先階個数U1=2、となる。しかし、目標希望行先階個数を2にしてしまうと、当該階から3個以上の希望行先階の乗場呼びが発生した場合、必ず2台以上のかごが、当該階に応答することになる。1つの階に多数のかごを応答させると、当該階の乗客にとっては、待ち時間などが短くなるが、当該階以外の乗客にとっては、待ち時間が長くなる要因となり、結果的に、全体の輸送効率が悪化する。
【0247】
そこで、目標希望行先階個数には、最小値(Low)を設けたほうが良い。すなわち、目標希望行先階個数U2=Low、として計算する。「Low」は、予めグループ化部17で保持しても良いし、グループ化部17が、かご内の定員数、かご速度、サービス階床数、停止数閾値、およびGENumなどを用いて、計算するようにしても良い。
【0248】
最終的な目標希望行先階個数の値は、目標希望行先階個数U1と目標希望行先階個数U2との内、大きな方の値とすれば良い。
【0249】
そして、乗場呼びが、希望行先階によって登録された場合、もしくは希望行先階と関連付けることが可能なIDによって登録された場合、グループを構成する乗場呼びの希望行先階の個数が、目標希望行先階個数未満のグループを、第2の条件に合致するグループとする。したがって、当該第2の条件に合致するグループを、グループ化部17は選択する。
【0250】
もし、該当するグループが複数個ある場合は、応答号機の当該階への予測到着時間(CarYTJ)が最長となるグループを、第2の条件に合致するグループとして、グループ化部17は最終的に選択する。
【0251】
上記にて、該当するグループが複数個ある場合は、応答号機の当該階への予測到着時間(CarYTJ)が最長となるグループを、第2の条件に合致するグループとして最終的に選択する場合ついて言及した。しかしながら、該当するグループが複数個ある場合は、応答号機の当該階への予測到着時間(CarYTJ)が最短となるグループを、第2の条件に合致するグループとして、グループ化部17は最終的に選択しても良い。
【0252】
または、該当するグループが複数個ある場合は、応答号機のかご内人数が最小/最大となるグループを、第2の条件に合致するグループとして最終的にグループ化部17が選択しても良く、応答号機のかご内待ち時間が最小/最大となるグループを、第2の条件に合致するグループとして最終的にグループ化部17が選択しても良く、または、グループを構成する乗場呼びの中で最長の経過時間(HCTimeMax)が最長/最短となるグループを、第2の条件に合致するグループとして最終的にグループ化部17が選択しても良い。あるいは、該当するグループが複数個ある場合、グループ化部17は、ランダムに1個のグループを選択しても良い。
【0253】
次に、第3の条件について説明する。
【0254】
乗場呼びの希望進行方向が同方向のグループを、第3の条件に合致するグループとして、グループ化部17は選択する。つまり、グループ化部17は、グループ化処理の対象となっている所定の乗場呼びにおいて、当該所定の乗場呼びの希望進行方向と同一の希望進行方向の乗場呼びで構成される少なくとも1以上グループのいずれかのグループに、当該所定の乗場呼びを配属する。
【0255】
ここで、該当するグループが複数個ある場合は、応答号機の当該階への予測到着時間(CarYTJ)が最長となるグループを、第3の条件に合致するグループとして最終的にグループ化部17が選択することができる。
【0256】
または、該当するグループが複数個ある場合、予測到着時間(CarYTJ)が最短となるグループを、第3の条件に合致するグループとして最終的にグループ化部17が選択しても良い。または、該当するグループが複数個ある場合、応答号機のかご内人数が最小/最大となるグループを、第3の条件に合致するグループとして最終的にグループ化部17が選択しても良く、応答号機のかご内待ち時間が最小/最大となるグループを、第3の条件に合致するグループとして最終的にグループ化部17が選択しても良く、または、グループを構成する乗場呼びの中で最長の経過時間(HCTimeMax)が最長/最短となる乗場呼びが属するグループを、第3の条件に合致するグループとして最終的にグループ化部17が選択しても良い。あるいは、該当するグループが複数個ある場合、グループ化部17は、ランダムに1個のグループを選択しても良い。
【0257】
なお、グループ化部17は、上記第1〜3の条件の全てを組合せた条件で、当該乗場呼びが属するグループを選択しても良く、上記第1〜3の条件の何れか1以上を用いて、当該乗場呼びが属するグループを選択しても良い。例えば、第1の条件で当該乗場呼びをグループ化すれば、第2の条件も満たされる。そこで、第1の条件でグループ化できなかった乗場呼びを、第2の条件でグループ化する、などとしてもよい。
【0258】
ステップST2012の後、ステップST2013に於いて、グループ化部17は、ステップST2012にて配属するグループが決まらなかった乗場呼びに対し、新しいグループを作成する。そして、グループ化部17は、当該作成した新しいグループに、当該乗場呼びを配属する。
【0259】
図14のステップST201(図15に示す一連のフロー)が終了すると、次に、グループ化部17は、ステップST202の処理を実施する。具体的に、グループ化部17は、ステップST201の処理において当該乗場呼びが属すると決定されたグループを示すグループ記号を、グループ報知装置4に表示するよう指令する。
【0260】
当該指令を受けると、当該乗場呼びが属するグループを乗客に通知するために、グループ報知装置4はディスプレイに、当該乗場呼びが属するグループを表示する。例えば、グループをアルファベットで表すならば、「A」などのアルファベット記号が、当該ディスプレイに、当該乗場呼びが属するグループとして表示される。
【0261】
乗客は、呼び登録装置2にて乗場呼びを登録すると、グループ報知装置4に、当該乗場呼びが属するグループを示すグループ記号が表示されるので、当該乗客は、当該グループ記号を記憶することができる。そして、当該乗客が予報装置3まで移動するころには、当該グループ記号と応答号機との組合せが、予報装置3に表示される(図16参照)。これにより、当該乗客は、予報装置3により報知された応答号機に乗車することになる。グループ記号は、アルファベッドに限定しない。数字でも良いし、単語でも良いし、図でも良い。
【0262】
さて、ステップST202のグループ記号の表示が終了すると、ステップST203に於いて、抽出部13は、記憶部16にて保持されている乗場呼びのグループの中から、応答号機を見直す乗場呼びのグループを選択する。ここで、抽出部13による選択の方法は、実施の形態1に記載の方法と同様である。
【0263】
なお、実施の形態1では、抽出部13が、見直し優先度(PRT)を計算するにあたり、各乗場呼びが発生してからの経過時間(HCTime)を利用している。しかしながら、本実施の形態のように、グループ単位で見直す場合は、グループを構成する乗場呼びが複数個存在するため、グループが保持する経過時間(HCTime)も複数個存在することになる。
【0264】
そこで、本実施の形態では、優先度(PRT)を計算するにあたり、グループを構成する全乗場呼びの経過時間(HCTime)の中の最大値(HCTimeMax)を利用しても良い。または、グループを構成する全乗場呼びの経過時間(HCTime)の平均値(HCTimeMin)を利用しても良いし、グループを構成する全乗場呼びの経過時間(HCTime)の中の最小値(HCTimeMin)を利用しても良い。
【0265】
また、前回応答号機を見直したときよりも、グループを構成する乗場呼びの数が増えたグループは、優先的に応答号機を見直したい乗場呼びのグループとして、見直し優先度の重み計数Wprtを、他のグループよりも大きな値としても良い。
【0266】
図14に示すフローチャートのステップST204の処理は、図3に示すフローチャートのステップST102の処理と同様である。図14に示すフローチャートのステップST205の処理は、図3に示すフローチャートのステップST103の処理と同様である。図14に示すフローチャートのステップST206の処理は、図3に示すフローチャートのステップST104の処理と同様である。図14に示すフローチャートのステップST207の処理は、図3に示すフローチャートのステップST105の処理と同様である。さらに、図14に示すフローチャートのステップST208の処理は、図3に示すフローチャートのステップST106の処理と同様である。
【0267】
ここで、図3,14の各ステップにおける計算で利用するパラメータに、各乗場呼びが発生してからの経過時間(HCTime)がある。グループ単位で乗場呼びに対する応答号機を見直す場合は、グループを構成する乗場呼びが複数個存在するため、グループが保持する経過時間(HCTime)も複数個存在することになる。
【0268】
そこで、本実施の形態では、グループを構成する全乗場呼びの経過時間(HCTime)の中の最大値(HCTimeMax)を、実施の形態1で説明したパラメータ(HCTime)の代わりに利用しても良い。または、実施の形態1で説明したパラメータ(HCTime)の代わりに、本実施の形態では、グループを構成する全乗場呼びの経過時間(HCTime)の平均値(HCTimeMin)を利用しても良いし、グループを構成する全乗場呼びの経過時間(HCTime)の中の最小値(HCTimeMin)を利用しても良い。
【0269】
また、図3,14の各ステップにおける計算で利用するパラメータに、乗場待ち時間(Twt)がある。グループ単位で乗場呼びに対する応答号機を見直す場合は、グループを構成する乗場呼びが複数個存在し、各乗場呼びの乗客の乗場待ち時間(Twt)も複数個存在するため、グループが保持する乗場待ち時間(Twt)も複数個存在することになる。
【0270】
そこで、本実施の形態では、グループを構成する全乗場呼びの乗場待ち時間(Twt)の中の最大値(TwtMax)を、実施の形態1で説明したパラメータ(Twt)の代わりに利用しても良い。または、実施の形態1で説明したパラメータ(Twt)の代わりに、本実施の形態では、グループを構成する全乗場呼びの乗場待ち時間(Twt)の平均値(TwtMin)を利用しても良いし、グループを構成する全乗場呼びの乗場待ち時間(Twt)の中の最小値(TwtMin)を利用しても良い。
【0271】
また、図3,14の各ステップにおける計算で利用するパラメータに、かご内待ち時間(Twi)がある。グループ単位で乗場呼びに対する応答号機を見直す場合は、グループを構成する乗場呼びが複数個存在し、各乗場呼びの乗客のかご内待ち時間(Twi)も複数個存在するため、グループが保持するかご内待ち時間(Twi)も複数個存在することになる。
【0272】
そこで、本実施の形態では、グループを構成する全乗場呼びのかご内待ち時間(Twi)の中の最大値(TwiMax)を、実施の形態1で説明したパラメータ(Twi)の代わりに利用しても良い。または、実施の形態1で説明したパラメータ(Twi)の代わりに、本実施の形態では、グループを構成する全乗場呼びのかご内待ち時間(Twi)の平均値(TwiMin)を利用しても良いし、グループを構成する全乗場呼びのかご内待ち時間(Twi)の中の最小値(TwiMin)を利用しても良い。
【0273】
以上のように、本実施の形態によれば、乗場呼びをグループ化し、抽出部13は、グループ単位で、応答号機を見直す乗場呼びの選択を行う。したがって、グループ単位で、当該選択された乗場呼びに対する応答号機の見直し(仮決定部14による仮決定処理、最終決定部15による最終決定処理)を行うことができる。よって、本実施の形態に係る発明では、乗場呼びに対する応答号機の見直しがされる可能性が高くなる。
【0274】
また、本実施の形態では、予報装置3に表示する記号の数が、グループ化することで少なくなる。したがって、本実施の形態に係る発明では、予報装置3に表示させる文字・記号等の表示サイズを大きくすることができ、視認性を確保することができる。
【0275】
また、本実施の形態では、グループ化部17は、所定の条件を用いることにより、乗場呼びを配属させないグループの判別や、乗場呼びを配属するグループの選択等を行っている。
【0276】
したがって、適切なグループに乗場呼びを配属することが可能となり、応答号機が不適切なかごになることを防止し、輸送効率を向上させることができる。
【符号の説明】
【0277】
1,50 エレベータ群管理制御装置、2 呼び登録装置、3 予報装置、4 グループ報知装置、12 運転制御部、13 抽出部、14 仮決定部、15 最終決定部、16 記憶部、17 グループ化部、18 起動部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗場における乗車の要望である乗場呼びに応じて、複数のかごから成るエレベータ群において、当該乗場呼びに応答する応答号機を決定する、エレベータ群管理制御装置であって、
前記乗場呼びの保持を行う記憶部と、
前記記憶部に保持されている前記乗場呼びの中から、前記応答号機の見直しを行う前記乗場呼びを、選択する抽出部と、
前記抽出部によって選択された前記乗場呼びに応答するかごを、前記応答号機として仮決定する仮決定部と、
前記仮決定部で仮決定された前記応答号機を、当該仮決定後、所定の期間経過後において、前記抽出部で抽出された前記乗場呼びに応答する、変更されない最終応答号機として決定する、最終決定部と、
前記抽出部、前記仮決定部、前記最終決定部および前記記憶部を利用して乗場呼びの応答号機を見直す動作を、周期的に起動する起動部とを、備え、
前記抽出部は、
前記最終決定部による前記最終応答号機の決定が未決定である前記乗場呼びの中から、前記応答号機の見直しを行う前記乗場呼びを、選択する、
ことを特徴とするエレベータ群管理制御装置。
【請求項2】
前記抽出部は、
少なくとも1以上のパラメータを用いて乗場呼びの見直し優先度を計算し、当該優先度に基づいて、前記応答号機の見直しを行う乗場呼びを、決定する、
ことを特徴とする請求項1に記載のエレベータ群管理制御装置。
【請求項3】
前記仮決定部は、
前記乗場呼びに対応する決定結果を外部に視認可能に表示する予報装置において、仮に所定のかごを前記応答号機として最終決定したならば、当該乗場呼びに対応して表示される記号の数が、表示可能な個数より多くなってしまうときには、前記所定のかごを、前記応答候補号機として選択しない、
ことを特徴とする請求項1に記載のエレベータ群管理制御装置。
【請求項4】
前記仮決定部は、
所定の階における前記かごの進入方向と逆方向の乗場呼びの応答号機として既に予報されているかごがある場合には、当該かごを、当該所定の階における、当該かごの進入方向と順方向の乗場呼びの前記応答候補号機として選択しない、
ことを特徴とする請求項1に記載のエレベータ群管理制御装置。
【請求項5】
前記最終決定部は、
所定の階において、上方向の乗場呼びおよび下方向の乗場呼びの何れか一方の前記最終応答号機として決定されている前記かごを、当該所定の階における上方向の乗場呼びおよび下方向の乗場呼びの何れか他方の前記最終応答号機として、決定しない、
ことを特徴とする請求項1に記載のエレベータ群管理制御装置。
【請求項6】
前記最終決定部は、
所定の前記乗場呼びに対する前記仮決定された応答号機の予測到着時刻を利用して、当該応答号機を前記最終応答号機として決定するか否かを判断する、
ことを特徴とする請求項5に記載のエレベータ群管理制御装置。
【請求項7】
前記応答号機の最終決定を報知する予報装置前で当該報知を待つ乗客が、乗客数閾値以上となったとき、前記最終決定部は、
前記エレベータ群管理制御装置で計測可能な時間に関するパラメータを用いて、前記最終応答号機を決定する、
ことを特徴とする請求項5に記載のエレベータ群管理制御装置。
【請求項8】
前記かごの運転の制御を行う運転制御部を、さらに備えており、
前記運転制御部は、
所定の階におけるドアを開いておく時間を、前記かごの前記所定の階への予測到着時間、前記乗場呼びが発生してからの経過時間、乗客の想定歩行速度、および前記乗客の移動距離を用いて、計算する、
ことを特徴とする請求項1に記載のエレベータ群管理制御装置。
【請求項9】
各前記乗場呼びを、所定の規則に従って、複数のグループの内の何れかのグループに属させるグループ化処理を行う、グループ化部を、さらに備えており、
前記抽出部は、
前記グループの単位で、前記選択を行い、
前記グループ化部は、
所定の前記乗場呼びを所定のグループに配属させたなら、乗客のかご内待ち時間が、かご内待ち時間閾値を超える場合には、当該所定の乗場呼びを、当該所定のグループには配属しない、
あるいは、
所定の前記乗場呼びを所定のグループに配属させたなら、乗客の乗車間隔が、乗車間隔閾値を超える場合には、当該所定の乗場呼びを、当該所定のグループには配属しない、
あるいは、
所定の前記乗場呼びを所定のグループに配属させたなら、かご内人数が、かご内人数閾値を超える場合には、当該所定の乗場呼びを、当該所定のグループには配属しない、
ことを特徴とする請求項1に記載のエレベータ群管理制御装置。
【請求項10】
各前記乗場呼びを、所定の規則に従って、複数のグループの内の何れかのグループに属させるグループ化処理を行う、グループ化部を、さらに備えており、
前記抽出部は、
前記グループの単位で、前記選択を行い、
前記グループ化部は、
同一階から登録された同一希望行先階を持つ乗場呼びによって構成されているグループを、当該所定の乗場予備を配属させるグループとして選択する、
あるいは、
所定の前記乗場呼びの前記グループ化処理において、前記グループを構成する乗場呼びの希望行先階の個数が、目標希望行先階個数未満となるグループを、当該所定の乗場呼びを配属させるグループとして選択する、
あるいは、
前記グループ化処理の対象となっている所定の前記乗場呼びの希望進行方向と、同一の希望進行方向の前記乗場呼びで構成される少なくとも1以上グループのいずれかのグループに、当該所定の乗場呼びを配属する、
ことを特徴とする請求項1に記載のエレベータ群管理制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−121718(P2012−121718A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−275768(P2010−275768)
【出願日】平成22年12月10日(2010.12.10)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】