説明

エレベータ

【課題】乗りかごの非接触案内装置における案内を行なう際に、乗りかごと他の移動体とのすれ違いによる乗りかごの振動を防止する。
【解決手段】乗りかご2のテスト走行を行なって、この乗りかご2と当該乗りかご2の隣接移動体である吊り合い重り4とのすれ違いによる両者の間の気流変動の影響で振動が開始した時点での、当該振動を打ち消すための非接触案内装置11からの起磁力、およびかご位置情報を対応付けて振動開始時情報として記録しておき、この記録後の通常走行において、かご位置が前述したように記録したかご位置と等しくなった場合に、当該記録したかご位置と対応付けられる起磁力を非接触案内装置11から出力することで、移動体のすれ違いによる実際の振動を検出することなしに、当該振動を打ち消す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗りかごをガイドレールに対して非接触状態で案内するエレベータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のエレベータは、ロープに吊り下げられた乗りかごが昇降路内に垂直に設置された一対のガイドレールに沿って昇降するように構成されている。乗りかごには乗りかご内の荷重のアンバランス等により回転モーメントが働くが、ガイドレールによって乗りかごに取り付けられた案内装置を介して乗りかごを支持する。
【0003】
乗りかごの案内装置としては、従来は回転支持型のローラガイドや、ガイドレールに対して摺動するスライディングガイドシュー等が用いられていた。このような接触方式の案内装置では、ガイドレールの継ぎ目やたわみに起因する振動や騒音が案内装置の車輪や摺動部を介して乗りかごに伝達するため、エレベータの乗り心地を損なう要因の一つとなっていた。
【0004】
近年、このような問題を回避するために、例えば特許文献1に開示されるように、電磁石により構成された案内装置を乗りかごに搭載し、鉄製のガイドレールに対して磁気力を作用させて、乗りかごを非接触で案内する方法がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−63065号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述した特許文献1に開示されたような手法では、通常、非接触状態への浮上開始から乗りかごの走行・停止、そして浮上停止までの間において、所定の制御則に従って磁気力を制御して乗りかごを走行案内するように構成されている。これによりにガイドレールの状態に影響されずにエレベータの乗り心地を快適に保つことができるが、乗りかごの走行時に当該乗りかごと吊り合い重りとがすれ違う場合、気流変動の影響で乗りかごに力が作用して振動してしまう。
【0007】
非接触式案内装置には、乗りかごの振動を検出して、この振動を低減する制御を実施するものもあるが、実際に発生した振動を検出することを要するので、すれ違い開始時に乗りかごが振動すること自体を防止することは出来ない。
【0008】
そこで、本発明の目的は、乗りかごの非接触案内装置における案内を行なう際に、乗りかごと他の移動体とのすれ違いによる乗りかごの振動を防止することが可能になるエレベータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、本発明に係わるエレベータは、昇降路内に上下方向に敷設されたガイドレールと、前記ガイドレールに沿って昇降する乗りかごと、前記乗りかごに搭載され、前記ガイドレールと空隙を介して対向する電磁石と、前記空隙において前記電磁石と磁路を共有するように配置されるとともに前記乗りかごを案内するのに必要な起磁力を供給する永久磁石を備えた磁石ユニットと、前記電磁石が前記空隙および前記ガイドレールと形成する磁気回路の前記空隙における状態を検出するセンサ部と、前記センサ部の出力に基づいて前記電磁石の励磁電流を制御して前記磁気回路を安定化させる第1の案内制御手段と、前記乗りかごの走行距離に比例した数のパルス信号を発生するパルス発生手段と、前記パルス発生手段により発生したパルス信号を積算カウントすることでかご位置を演算するかご位置演算手段と、前記乗りかごと他の移動体とのすれ違いにより当該乗りかごに外力が加えられた場合における、前記第1の案内制御手段により前記磁気回路を安定化させるための制御量、前記乗りかごの走行方向、および前記外力が加えられた時点で前記かご位置演算手段により演算したかご位置情報を検出する検出手段と、前記検出手段による検出結果を記憶する記憶装置と、前記乗りかごの走行時に前記かご位置演算手段により演算したかご位置が前記記憶装置に記憶したかご位置のうち前記乗りかごの現在の走行方向に対応付けられるかご位置と等しくなった場合に、前記記憶装置に記憶された制御量のうち、前記等しくなったかご位置および現在の走行方向に対応付けられる制御量により前記電磁石の励磁電流を制御して前記磁気回路を安定化させる第2の案内制御手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、乗りかごの非接触案内装置における案内を行なう際に、乗りかごと他の移動体とのすれ違いによる乗りかごの振動を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施形態におけるエレベータの構成例を示す図。
【図2】本発明の本発明の第1の実施形態における非接触案内装置の構成を示す斜視図。
【図3】本発明の第1の実施形態におけるエレベータの非接触案内装置およびガイドレールの位置関係を示す図。
【図4】本発明の第1の実施形態におけるエレベータの非接触案内装置用制御装置の構成例を示すブロック図。
【図5】本発明の第1の実施形態におけるエレベータのエレベータ制御盤の構成例を示すブロック図。
【図6】本発明の第1の実施形態におけるエレベータの振動開始時情報の取得のための上昇テスト走行手順の一例を示すフローチャート。
【図7】本発明の第1の実施形態におけるエレベータの振動開始時情報の取得のための下降テスト走行手順の一例を示すフローチャート。
【図8】本発明の第1の実施形態におけるエレベータのエレベータ制御盤が記憶する振動開始時情報テーブルの構成例を表形式で示す図。
【図9】本発明の第1の実施形態におけるエレベータの通常走行手順の一例を示すフローチャート。
【図10】本発明の第1の実施形態におけるエレベータの振動開始時情報の取得のための通常走行手順の一例を示すフローチャート。
【図11】本発明の第2の実施形態におけるエレベータの群管理制御装置の構成例を示すブロック図。
【図12】本発明の第2の実施形態におけるエレベータの振動開始時情報の取得のための上昇テスト走行手順の一例を示すフローチャート。
【図13】本発明の第2の実施形態におけるエレベータの振動開始時情報の取得のための下降テスト走行手順の一例を示すフローチャート。
【図14】本発明の第2の実施形態におけるエレベータの群管理制御装置が記憶する振動開始時情報テーブルの構成例を表形式で示す図。
【図15】本発明の第2の実施形態におけるエレベータの通常走行手順の一例を示すフローチャート。
【図16】本発明の第2の実施形態におけるエレベータの振動開始時情報の取得のための通常走行手順の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下図面により本発明の実施形態について説明する。
(第1の実施形態)
まず、本発明の第1の実施形態について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態におけるエレベータの構成例を示す図である。
このエレベータは巻上機1、乗りかご2、メインロープ3、吊り合い重り(C/W)4、パルスジェネレータ5、そらせシーブ6、エレベータ制御盤7、ガイドレール8、テールコード9、昇降路10、非接触案内装置11、非接触案内装置用制御装置12、荷重センサ13を備える。
【0013】
このエレベータの機械室には、巻上機1が設けられる。乗りかご2は、巻上機1の回転軸に設けられたシーブおよびそらせシーブ6に巻き掛けられたメインロープ3を介して吊り合い重り4と連結される。乗りかご2は、巻上機1の駆動によるシーブの回転に伴い、シーブとメインロープ3の間の摩擦力により吊り合い重り4とともに昇降路10内を互いに上下反対方向に昇降する。
【0014】
また、機械室には、乗りかご2の運転を制御するためのエレベータ制御盤7が設けられる。乗りかご2の下部には荷重センサ13が設置され、テールコード9を介してエレベータ制御盤7と接続される。荷重センサ13は、差動トランスやギャップセンサ等で構成され、荷重信号算出用の電圧信号をテールコード9を介してエレベータ制御盤7に出力する。
【0015】
パルスジェネレータ5は巻上機1の回転軸に設置され、巻上機1の軸回転を検出してその回転角度に比例した数のパルス信号を発生する。
エレベータ制御盤7は、パルス信号の積算カウント数と目的階に対応する所定のパルス数とが一致した際に、乗りかご2が目的階の着床位置に到着したとみなし、巻上機1の駆動を制御して乗りかご2を停止させる。
【0016】
ガイドレール8は鉄製で強磁性体からなり、昇降路10内に上下方向に敷設される一対の断面T字形のガイドレールである。また、乗りかご2の上下左右四箇所には、非接触案内装置11が取り付けられる。乗りかご2は、メインロープ3にて吊り下げられ、昇降路10内のガイドレール8に非接触案内装置11を介して案内されており、当該昇降路10内を昇降する。
図1に示すように、乗りかご2のかごドアを正面として見た場合に、そのかごドアの左右方向をx方向、前後方向をy方向、上下方向をz方向とする。
【0017】
図2は、本発明の本発明の第1の実施形態における非接触案内装置の構成を示す斜視図である。
図2に示すように、非接触案内装置11は、磁石ユニット11aと、磁石ユニット11aとガイドレール8との間の距離を検出するギャップセンサ14と、それらを支持している台座11bとで構成されている。
【0018】
非接触案内装置11は、永久磁石15、電磁石16を有し、非接触案内装置用制御装置12からの制御により、ガイドレール8に対して永久磁石15や電磁石16の吸引力を作用させ、非接触で乗りかご2の案内を行なうものである。
永久磁石15は、ガイドレール8と電磁石16の間の空隙において当該電磁石16と磁路を共有するように配置され、乗りかご2を案内するのに必要な起磁力を供給する。
【0019】
ギャップセンサ14は、渦電流式等の変位センサで検出原理は特に限定しないが、非接触案内装置11のギャップセンサ14とガイドレール8との間の距離を検出する。
【0020】
非接触案内装置11は、ギャップセンサ14での検出結果をもとに、乗りかご2の安定した案内に必要とされる電圧を非接触案内装置用制御装置12で算出し、この算出した電圧を電磁石16に印加して当該電磁石16の励磁電流を制御して、乗りかご2の安定した案内を得る。
【0021】
図3は、本発明の第1の実施形態におけるエレベータの非接触案内装置およびガイドレールの位置関係を示す図である。
磁石ユニット11aは、図3に示した永久磁石15a,15b、電磁石16a,16b,16cを有する。図3に示すように、非接触案内装置11は、ギャップセンサ14a,14bを有し、永久磁石15a,15b、電磁石16a,16b,16cがE字形状に組み立てられてなる。
また、ガイドレール8は、昇降路10の壁面の長手方向と平行な平行部分と当該平行部分の中央から昇降路10の内側に向かって垂直に延びる突起部とを有する。
【0022】
電磁石16aは、長手方向が昇降路10の壁面の長手方向と平行であって中央部分に昇降路10の壁面を向く突起部を有する。
永久磁石15aは、その一端が電磁石16aの一端に取り付けられ、他端が昇降路10の壁面を向き、かつ、長手方向が電磁石16aの長手方向と垂直になるように取り付けられる、
永久磁石15bは、その一端が電磁石16aの他端に取り付けられ、他端が昇降路10の壁面を向き、かつ、長手方向が永久磁石の15aの長手方向と平行になるように取り付けられる。
【0023】
電磁石16bは、その一端が永久磁石15aの他端に取り付けられ、長手方向が当該永久磁石15aの長手方向と垂直になり、電磁石の16aの長手方向と平行になり、その他端がガイドレール8の突起部を向くように取り付けられる。
【0024】
電磁石16cは、その一端が永久磁石15bの他端に取り付けられ、長手方向が当該永久磁石15bの長手方向と垂直になり、電磁石の16aの長手方向と平行になり、その他端がガイドレール8の突起部を向くように取り付けられる。
【0025】
これらの電磁石16a,16b,16cは鉄心にコイルが巻きつけられたものである。電磁石16aの突起部の先端には、電磁石16aとガイドレール8の突起部との間のX方向、つまり昇降路10の壁面の方向と垂直の方向のギャップを検出するためのギャップセンサ14aが取り付けられる。このギャップセンサ14aはガイドレール8の突起部の先端部分に近接する。
【0026】
また、電磁石16bの他端には、電磁石16bとガイドレール8の突起部との間のZ方向、つまり昇降路10の壁面の方向と平行の方向のギャップを検出するためのギャップセンサ14bが取り付けられる。このギャップセンサ14bはガイドレール8の突起部に近接する。
【0027】
図4は、本発明の第1の実施形態におけるエレベータの非接触案内装置用制御装置の構成例を示すブロック図である。
図4に示すように、非接触案内装置用制御装置12は、電流検出器21、演算器22、電力供給部23および起磁力演算部24を有する。
【0028】
電流検出器21は、電磁石16のコイルに流れる電流値を検出する。演算器22は、電流検出器21やギャップセンサ14からの信号に基づいて乗りかご2を非接触案内させるべく電磁石16のコイルに印加する電圧を演算する。電力供給部23は、演算器22の出力に基づいて電磁石16のコイルに電力を供給する。非接触案内装置用制御装置12は、これらで乗りかご2の四隅に設置された磁石ユニット11aの吸引力を制御している。
【0029】
また、起磁力演算部24は、乗りかご2が吊り合い重り4とすれ違うことで乗りかご2の振動した際に、この振動を打ち消すために非接触案内装置11から発せられた起磁力である電圧指令値および電流出力値を演算する。
【0030】
ここで、非接触案内装置用制御装置12は、電磁石16a,16b,16cのコイルの電流をゼロに収束させることで、乗りかご2の重量及び不平衡力の大きさの如何に関わらず、永久磁石15の吸引力だけで乗りかご2を安定に支持する、いわゆるゼロパワー制御を行なっている。
【0031】
ゼロパワー制御による磁気案内系が構成されることにより、乗りかご2がガイドレール8に対して非接触で安定に支持され、定常状態にあるときには、電磁石16のコイルに流れる電流は零に収束し、安定支持に必要となる力は全て永久磁石15による磁気力でまかなわれることになる。
【0032】
これは、乗りかご2の荷重やバランスが変化した場合でも同様である。すなわち、乗りかご2に、当該乗りかご2と吊り合い重り4とのすれ違いによる気流変動及びその他の何らかの外力が加えられた場合、非接触案内装置11とガイドレール8との間の空隙の大きさを所定の大きさにするために過渡的に電磁石16のコイルに電流が流れることになる。そして、再度安定状態になった際には、前述したゼロパワー制御を用いることにより、電磁石16のコイルに流れる電流は零に収束し、この場合に乗りかご2に加わる荷重と、永久磁石15の磁気力によって発生する吸引力とが釣り合う大きさの空隙が形成される。
【0033】
図5は、本発明の第1の実施形態におけるエレベータのエレベータ制御盤の構成例を示すブロック図である。
図5に示すように、エレベータ制御盤7は、荷重検出部31、パルス値検出部32、ギャップセンサ出力変位量検出部33、振動開始判別部34、走行速度検出部35および記憶装置36を有する。
荷重検出部31は、荷重センサ13からの信号をもとに乗りかご2の荷重値を検出する。
パルス値検出部32は、パルスジェネレータ5からのパルス信号を積算カウントすることで乗りかご2のかご位置を検出する。
【0034】
ギャップセンサ出力変位量検出部33は、ギャップセンサ14からの信号をもとにギャップセンサ出力量の所定時間内の変位量を検出する。
振動開始判別部34は、乗りかご2と吊り合い重り4とのすれ違いによる気流変動の影響での振動開始を判別する。
記憶装置36は、不揮発性メモリなどの記憶媒体であり、振動開始判別部34による振動開始の判別のための振動開始時情報を記憶する。
【0035】
次に、ここまで説明した構成のエレベータの移動体のすれ違いによる振動を防止するための動作について説明する。本実施形態では、乗りかご2のテスト走行を行なって、この乗りかご2と当該乗りかご2の隣接移動体である吊り合い重り4とのすれ違いによる両者の間の気流変動の影響で振動が開始した時点での、当該振動を打ち消すための非接触案内装置11からの起磁力、およびかご位置情報を対応付けて振動開始時情報として記録しておき、この記録後の通常走行において、かご位置が前述したように記録したかご位置と等しくなった場合に、当該記録したかご位置と対応付けられる起磁力を非接触案内装置11から出力することで、移動体のすれ違いによる実際の振動を検出することなしに、当該振動を打ち消すこと特徴としている。
【0036】
ところで、エレベータの乗りかご2と他の移動体とのすれ違いによる乗りかご2の振動を打ち消すために必要な起磁力は、乗りかご2の走行方向によって異なり、乗りかご2の荷重値によっても異なり、乗りかご2の走行速度によっても異なる。
【0037】
よって、前述したテスト走行は、上昇テスト走行および下降テスト走行をそれぞれ行う必要がある。よって、必要十分な振動開始時情報を得るためには、それぞれのテスト走行を、荷重値および速度を変化させながら繰り返し行なう必要がある。
【0038】
図6は、本発明の第1の実施形態におけるエレベータの振動開始時情報の取得のための上昇テスト走行手順の一例を示すフローチャートである。
上昇テスト走行では、まず、最下階に位置する乗りかご2内にテストウェイトを積載した状態で(ステップS1)、エレベータ制御盤7が、乗りかご2の上昇テスト走行を開始させる(ステップS2)。本実施形態では、テストウェイトは乗りかご2の積載量を定格積載量の10〜110%に何れかに設定できるものが複数種類用意されているものとする。
【0039】
ここで、エレベータ制御盤7の荷重検出部31は、荷重センサ13からの信号をもとに乗りかご2の荷重値を検出する(ステップS3)。
エレベータ制御盤7のパルス値検出部32は、パルスジェネレータ5からのパルス信号をもとに、乗りかご2のかご位置を検出する(ステップS4)。エレベータ制御盤7は、このかご位置が、上昇する乗りかご2と吊り合い重り4との距離が一定以内となる位置である、昇降路中間位置の上下一定範囲内の位置に達した場合には(ステップS5のYES)、ギャップセンサ出力変位量検出部33は、非接触案内装置11からのギャップセンサ出力値の信号を入力し、この信号を元にギャップセンサ出力値の所定時間内の変位量を検出する(ステップS6)。ギャップセンサ出力値は非接触案内装置用制御装置12の演算器22により演算されてエレベータ制御盤7に出力されるものである。
【0040】
そして、ギャップセンサ出力変位量検出部33により検出した変位量が乗りかご2が振動したとみなせる所定値以上となった場合には(ステップS7のYES)、振動開始判別部34は、乗りかご2と吊り合い重り4とのすれ違いによる振動が開始したと判別する(ステップS8)。
【0041】
振動が開始すると非接触案内装置11は、前述したゼロパワー制御により、振動を打ち消すための起磁力を発する。この起磁力である電圧指令値および電流出力値の情報は非接触案内装置用制御装置12の起磁力演算部24により演算されてエレベータ制御盤7に出力される。
【0042】
また、エレベータ制御盤7のパルス値検出部32は、ステップS8の処理による判別時点でのパルス値を基準パルス値として検出し、走行速度検出部35は、ステップS8の処理による判別時点での、乗りかご2の走行速度を検出する(ステップS9)。
【0043】
そして、エレベータ制御盤7は、非接触案内装置用制御装置12からの起磁力の情報を入力すると、この起磁力の情報をステップS9の処理で検出した基準パルス値、走行速度、ステップS3の処理で検出した荷重値および現在の走行方向である上昇(UP)方向を示す情報と対応付けて記憶装置36の振動開始時情報テーブルに記憶する(ステップS10)。
【0044】
この記憶後、エレベータ制御盤7は、異なる速度パターンを設定する場合には(ステップS11のYES)、ステップS2の処理に戻る。エレベータ制御盤7が異なる速度パターンを設定しない場合で(ステップS11のNO)、異なるテストウェイトを積載する場合には(ステップS12のYES)、ステップS1の処理に戻る。
また、異なるテストウェイトを積載しない場合には(ステップS12のNO)、上昇テスト走行が終了する(ステップS13)。
【0045】
図7は、本発明の第1の実施形態におけるエレベータの振動開始時情報の取得のための下降テスト走行手順の一例を示すフローチャートである。
下降テスト走行では、まず、最上階に位置する乗りかご2内にテストウェイトを積載した状態で(ステップS21)、エレベータ制御盤7が、乗りかご2の上昇テスト走行を開始させる(ステップS12)。
【0046】
ここで、エレベータ制御盤7の荷重検出部31は、荷重センサ13からの信号をもとに乗りかご2の荷重値を検出する(ステップS23)。
エレベータ制御盤7のパルス値検出部32は、パルスジェネレータ5からのパルス信号をもとに、乗りかご2のかご位置を検出する(ステップS24)。エレベータ制御盤7は、このかご位置が、下降する乗りかご2と吊り合い重り4との距離が一定以内となる位置である、昇降路中間位置の上下一定範囲内の位置に達した場合には(ステップS25のYES)、ギャップセンサ出力変位量検出部33は、非接触案内装置11からのギャップセンサ出力値の信号を元にギャップセンサ出力値の所定時間内の変位量を検出する(ステップS26)。
【0047】
そして、ギャップセンサ出力変位量検出部33により検出した変位量が乗りかご2が振動したとみなせる所定値以上となった場合には(ステップS27のYES)、振動開始判別部34は、乗りかご2と吊り合い重り4とのすれ違いによる振動が開始したと判別する(ステップS28)。
【0048】
また、エレベータ制御盤7のパルス値検出部32は、ステップS28の処理による判別時点でのパルス値を基準パルス値として検出し、走行速度検出部35は、ステップS28の処理による判別時点での、乗りかご2の走行速度を検出する(ステップS29)。
【0049】
そして、エレベータ制御盤7は、非接触案内装置用制御装置12からの起磁力の情報を入力すると、この起磁力の情報をステップS29の処理で検出した基準パルス値、走行速度、ステップS23の処理で検出した荷重値および現在の走行方向である下降(DOWN)方向を示す情報と対応付けて記憶装置36の振動開始時情報テーブルに記憶する(ステップS30)。
【0050】
この記憶後、エレベータ制御盤7は、異なる速度パターンを設定する場合には(ステップS31のYES)、ステップS22の処理に戻る。エレベータ制御盤7が異なる速度パターンを設定しない場合で(ステップS31のNO)、異なるテストウェイトを積載する場合には(ステップS32のYES)、ステップS21の処理に戻る。
また、異なるテストウェイトを積載しない場合には(ステップS32のNO)、下降おテスト走行が終了する(ステップS33)。
【0051】
図8は、本発明の第1の実施形態におけるエレベータのエレベータ制御盤が記憶する振動開始時情報テーブルの構成例を表形式で示す図である。
図8に示すように、振動開始時情報テーブルには、上昇テスト走行および下降テスト走行により、各走行方向、各走行速度および各荷重値のそれぞれの組み合わせについて、乗りかご2と吊り合い重り4とのすれ違いによる振動開始時点での基準パルス値が、当該開始した振動により発生した起磁力である電圧指令値および電流出力値と対応付けて記憶される。また、同一の走行方向における基準パルス値は、乗りかご2の荷重値や走行速度には依存しないので、図8に示した振動開始時情報テーブルでは、各走行方向についての基準パルス値は1つの値のみ記憶している。
【0052】
次に、上昇テスト走行および下降テスト走行により振動開始時情報テーブルに必要十分な情報が記録された場合における、乗客を乗せた通常走行について説明する。図9は、本発明の第1の実施形態におけるエレベータの通常走行手順の一例を示すフローチャートである。
まず、エレベータ制御盤7は、乗りかご2の通常走行を開始すると(ステップS41)、乗りかご2の現在の走行方向に対応する基準パルス値を記憶装置36に記憶される振動開始時情報テーブルから読み出す(ステップS42)。
【0053】
そして、エレベータ制御盤7のパルス値検出部32は、パルスジェネレータ5からのパルス信号で示されるパルス値を検出する(ステップS43)。エレベータ制御盤7は、このパルス値が、ステップS42の処理で読み出した基準パルス値と等しくなった場合には(ステップS44のYES)、振動開始判別部34は、乗りかご2のかご位置が、当該乗りかご2と吊り合い重り4とのすれ違いによる振動開始に相当するかご位置となったと判別する(ステップS45)。
【0054】
すると、エレベータ制御盤7は、乗りかごの2の現在の走行方向、荷重値および走行速度に対応付けられる、前述したように読み出した基準パルス値に対応付けられる起磁力の情報を記憶装置36に記憶される振動開始時情報テーブルから読み出し、この情報を非接触案内装置用制御装置12に出力する(ステップS46)。
【0055】
非接触案内装置用制御装置12が、エレベータ制御盤7からの起磁力の情報を入力すると、電力供給部23は、この入力した起磁力が非接触案内装置11から出力されるように電磁石16のコイルへの電圧指令および電流出力を行なう。これにより、乗りかご2が吊り合い重り4とすれ違うことによる乗りかご2の振動を打ち消すための起磁力が非接触案内装置11から出力されることになる(ステップS47)。この走行においては、乗りかご2が吊り合い重り4とすれ違うことによる振動を未然に防止することができ、乗り心地に影響を及ぼすことがなくなる。
【0056】
図10は、本発明の第1の実施形態におけるエレベータの振動開始時情報の取得のための通常走行手順の一例を示すフローチャートである。
本実施形態では、前述した上昇テスト走行や下降テスト走行に限らず、通常走行時でも振動開始時情報を取得することができる。
【0057】
エレベータ制御盤7が、呼び登録により、振動開始時情報取得のための乗りかご2の走行を開始させると(ステップS51)、エレベータ制御盤7のパルス値検出部32は、パルスジェネレータ5からのパルス信号をもとに、乗りかご2のかご位置を検出する(ステップS52)。
【0058】
エレベータ制御盤7は、このかご位置が、上昇する乗りかご2と吊り合い重り4との距離が一定以内となる位置である、昇降路中間位置の上下一定範囲内の位置に達した場合には(ステップS53のYES)、ギャップセンサ出力変位量検出部33は、非接触案内装置11からのギャップセンサ出力値の信号を入力し、この信号を元にギャップセンサ出力値の所定時間内の変位量を検出する(ステップS54)。
【0059】
そして、ギャップセンサ出力変位量検出部33により検出した変位量が乗りかご2が振動したとみなせる所定値以上となった場合には(ステップS55のYES)、振動開始判別部34は、乗りかご2と吊り合い重り4とのすれ違いによる振動が開始したと判別する(ステップS56)。
【0060】
振動が開始すると非接触案内装置11は、前述したゼロパワー制御により、振動を打ち消すための起磁力を発する。この起磁力である電圧指令値および電流出力値の情報は非接触案内装置用制御装置12の起磁力演算部24により演算されてエレベータ制御盤7に出力される。
【0061】
この場合、エレベータ制御盤7の荷重検出部31は、ステップS56の処理による判別時点での乗りかご2の荷重値を検出し、パルス値検出部32は、ステップS56の処理による判別時点でのパルス値を基準パルス値として検出し、走行速度検出部35は、ステップS56の処理による判別時点での、乗りかご2の走行速度を検出する(ステップS57)。
【0062】
そして、エレベータ制御盤7は、非接触案内装置用制御装置12からの起磁力の情報を入力すると、この起磁力の情報をステップS57の処理で検出した基準パルス値、走行速度、荷重値および現在の走行方向を示す情報と対応付けて記憶装置36の振動開始時情報テーブルに記憶し(ステップS58)、呼び登録がなくなった時点で走行を終了する(ステップS59)。
【0063】
以上のように、本発明の第1の実施形態におけるエレベータでは、乗りかご2と当該乗りかご2の隣接移動体である吊り合い重り4とのすれ違いによる両者の間の気流変動の影響で振動が開始した時点での、当該振動を打ち消すための非接触案内装置11からの起磁力、かご位置情報、走行速度、荷重値、走行方向を対応付けて振動開始時情報として記録しておき、この記録後の通常走行において、かご位置が前述したように記録したかご位置と等しくなった場合に、当該記録したかご位置、走行速度、荷重値、走行方向と対応付けられる起磁力を非接触案内装置11から出力する。つまり、移動体のすれ違いによる実際の振動を検出することなしに振動を打ち消すための起磁力を出力出来るので、当該振動の発生を未然に防止することができる。
【0064】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。なお、本実施形態におけるエレベータの構成のうち、図1に示したものと同一部分の説明は省略する。
図11は、本発明の第2の実施形態におけるエレベータの群管理制御装置の構成例を示すブロック図である。
本実施形態では、非接触案内装置11により案内される号機が複数存在し、これらの号機の走行を群管理制御装置40が統括的に制御する。本実施形態では、同一昇降路内に複数の号機の乗りかご2が昇降しており、一方の号機と当該一方の号機の隣接号機との間では、一方の号機の乗りかご2と隣接号機の乗りかご2が隣接して昇降しているものとする。
【0065】
本実施形態では、各階の乗り場に呼び釦がそれぞれ設けられ、これらの呼び釦の操作によって入力される乗り場呼び信号を群管理制御装置40が受ける。
群管理制御装置40は、割り当て制御部41、荷重値取得部42、パルス値取得部43、ギャップセンサ出力変位量取得部44、振動開始判別部45、起磁力取得部46、記憶装置47を備え、各号機のエレベータ制御盤7に制御信号を出力して、同一昇降路内に設置された号機の乗りかご2を運行制御する。また、第1の実施形態と異なり、各号機のエレベータ制御盤7は、振動開始判別部は有しない。
【0066】
このような構成において、各階の乗り場にて乗客が呼び釦を押下すると、その乗り場での呼び信号が群管理制御装置40の割り当て制御部41に与えられる。割り当て制御部41は、この呼び信号を受けると、各号機のエレベータ制御盤7から該当号機の乗りかご2の走行状態及びかご呼び情報を取得して、乗りかご2に対する割当評価を行い、最も評価値の高いかご、つまり、該当する乗り場へ接近中等効率よくかつ早く乗り場に向かわせることのできるかごを乗り場呼びに応答させるべく、該当するエレベータ制御盤7に対して乗り場呼び割当信号を出力する。エレベータ制御盤7は、乗り場呼び割当信号を受けることにより、自号機が管理している乗りかご2を乗り場呼びがなされた乗り場に移動させる。
【0067】
荷重値取得部42は、各号機のエレベータ制御盤7の荷重検出部31が検出した荷重値を取得する。
パルス値取得部43は、各号機のエレベータ制御盤7のパルス値検出部32が検出したパルス値を取得する。
【0068】
ギャップセンサ出力変位量取得部44は、各号機のエレベータ制御盤7のギャップセンサ出力変位量検出部33が検出したギャップセンサ出力変位量を取得する。
振動開始判別部45は、第1実施形態では、エレベータ制御盤7が行なっていた、乗りかご2と隣接移動体とのすれ違いによる振動開始を判別するものであり、ある対象号機の乗りかご2と隣接号機の乗りかご2とのすれ違いによる振動開始を判別する。
【0069】
起磁力取得部46は、各号機の非接触案内装置用制御装置12の起磁力演算部24が演算した起磁力の情報を同じ号機のエレベータ制御盤7を介して取得する。
記憶装置47は、不揮発性メモリなどの記憶媒体であり、振動開始判別部45による振動開始の判別のための振動開始時情報を記憶する。
【0070】
次に、ここまで説明した構成のエレベータの移動体のすれ違いによる振動を防止するための動作について説明する。ところで、エレベータの振動開始時情報の取得対象号機の乗りかご2と隣接号機の乗りかご2とのすれ違いによる対象号機の乗りかご2の振動を打ち消すために必要な起磁力は、対象号機の乗りかご2や隣接号機の乗りかご2の走行方向によって異なり、対象号機の乗りかご2や隣接号機の乗りかご2の荷重値によっても異なり、対象号機の乗りかご2や隣接号機の乗りかご2の走行速度によっても異なる。以下、振動開始時情報の取得対象号機を単に対象号機と称する。
【0071】
よって、テスト走行は、上昇テスト走行および下降テスト走行をそれぞれ行う必要がある。よって、必要十分な振動開始時情報を得るためには、それぞれのテスト走行を、対象号機および隣接号機の荷重値および速度を変化させながら繰り返し行なう必要がある。
本実施形態では、対象号機の乗りかご2と隣接号機2とがすれ違う時点での、対象号機の乗りかご2と吊り合い重り4とのすれ違いは生じないものとする。
【0072】
図12は、本発明の第2の実施形態におけるエレベータの振動開始時情報の取得のための上昇テスト走行手順の一例を示すフローチャートである。
上昇テスト走行では、まず、最下階に位置する対象号機や隣接号機の乗りかご2内にテストウェイトを積載した状態で(ステップS61)、群管理制御装置40からの指示を受けた対象号機のエレベータ制御盤7が、乗りかご2の上昇テスト走行を開始させる(ステップS62)。この上昇テスト走行開始により、群管理制御装置40は、隣接号機のエレベータ制御盤7に対し、所定の走行方向および速度パターンで走行する指示を出力するものとする。
【0073】
ここで、対象号機のエレベータ制御盤7の荷重検出部31は、自号機の荷重センサ13からの信号をもとに乗りかご2の荷重値を検出して群管理制御装置40に出力する。群管理制御装置40の荷重値取得部42は、エレベータ制御盤7からの荷重値を取得する(ステップS63)。
【0074】
また、隣接号機のエレベータ制御盤7の荷重検出部31は、自号機の荷重センサ13からの信号をもとに乗りかご2の荷重値を検出して群管理制御装置40に出力する。群管理制御装置40の荷重値取得部42は、隣接号機のエレベータ制御盤7からの荷重値を取得する(ステップS64)。
【0075】
そして、対象号機のエレベータ制御盤7のパルス値検出部32は、自号機のパルスジェネレータ5からのパルス信号をもとに、乗りかご2のかご位置を検出して群管理制御装置40に出力する。群管理制御装置40のパルス値取得部43は、エレベータ制御盤7からのパルス値を取得する(ステップS65)。
【0076】
また、隣接号機のエレベータ制御盤7のパルス値検出部32は、自号機のパルスジェネレータ5からのパルス信号をもとに、乗りかご2のかご位置を検出して群管理制御装置40に出力する。群管理制御装置40のパルス値取得部43は、隣接号機のエレベータ制御盤7からのパルス値を取得する(ステップS66)。
【0077】
群管理制御装置40は、これらのパルス値で示されるかご位置の対応関係が、上昇する乗りかご2と隣接号機の乗りかご2との距離が一定以内となる位置となった場合には(ステップS67のYES)、この旨を対象号機のエレベータ制御盤7に通知する。
【0078】
通知を受けたエレベータ制御盤7のギャップセンサ出力変位量検出部33は、自号機の非接触案内装置11からのギャップセンサ出力値の信号を入力し、この信号を元にギャップセンサ出力値の所定時間内の変位量を検出し、群管理制御装置40に出力する(ステップS68)。
【0079】
そして、群管理制御装置40のギャップセンサ出力変位量取得部44によりにエレベータ制御盤7からの変位量を取得すると、この変位量が対象号機の乗りかご2が振動したとみなせる所定値以上となった場合には(ステップS69のYES)、振動開始判別部45は、対象号機の乗りかご2と隣接号機の乗りかご2とのすれ違いによる振動が開始したと判別し、この旨を対象号機および隣接号機のエレベータ制御盤7に通知する(ステップS70)。
【0080】
振動が開始すると、対象号機の非接触案内装置11は、前述したゼロパワー制御により、振動を打ち消すための起磁力を発する。この起磁力である電圧指令値および電流出力値の情報は非接触案内装置用制御装置12の起磁力演算部24により演算されて対象号機のエレベータ制御盤7に出力される。
【0081】
そして、対象号機のエレベータ制御盤7のパルス値検出部32は、ステップS70の処理による判別時点でのパルス値を基準パルス値として検出し、走行速度検出部35は、ステップS70の処理による判別時点での、乗りかご2の走行速度を検出する(ステップS71)。
【0082】
また、隣接号機のエレベータ制御盤7が群管理制御装置40からの通知を受けると、パルス値検出部32は、ステップS70の処理による判別時点でのパルス値を基準パルス値として検出し、走行速度検出部35は、ステップS70の処理による判別時点での、乗りかご2の走行速度を検出する(ステップS72)。
【0083】
そして、対象号機のエレベータ制御盤7は、自号機の非接触案内装置用制御装置12からの起磁力の情報を入力すると、この起磁力の情報をステップS71の処理で検出した基準パルス値、走行速度、ステップS63の処理で検出した荷重値および現在の走行方向である上昇(UP)方向を示す情報と対応付けて群管理制御装置40に出力して起磁力取得部46により取得させる。
【0084】
また、隣接号機のエレベータ制御盤7は、ステップS72の処理で検出した基準パルス値、走行速度、ステップS64の処理で検出した荷重値および現在の走行方向を示す情報と対応付けて群管理制御装置40に出力して起磁力取得部46により取得させる。
【0085】
群管理制御装置40は、これら出力された情報を入力して、起磁力取得部46により取得した起磁力の情報、固有の識別番号および各号機の号機名と共に記憶装置47の振動開始時情報テーブルに記憶する(ステップS73)。
【0086】
この記憶後、群管理制御装置40は、対象号機や隣接号機の異なる速度パターンを設定する場合には(ステップS74のYES)、ステップS62の処理に戻る。群管理制御装置40が異なる速度パターンを設定しない場合で(ステップS74のNO)、対象号機や隣接号機の乗りかご2に異なるテストウェイトを積載する場合には(ステップS75のYES)、ステップS61の処理に戻る。
また、異なるテストウェイトを積載しない場合には(ステップS75のNO)、上昇テスト走行が終了する(ステップS76)。
【0087】
図13は、本発明の第2の実施形態におけるエレベータの振動開始時情報の取得のための下降テスト走行手順の一例を示すフローチャートである。
下降テスト走行では、まず、最下階に位置する対象号機や隣接号機の乗りかご2内にテストウェイトを積載した状態で(ステップS71)、群管理制御装置40からの指示を受けた対象号機のエレベータ制御盤7が、乗りかご2の下降テスト走行を開始させる(ステップS72)。この下降テスト走行開始により、群管理制御装置40は、隣接号機のエレベータ制御盤7に対し、所定の走行方向および速度パターンで走行する指示を出力するものとする。
【0088】
ここで、対象号機のエレベータ制御盤7の荷重検出部31は、自号機の荷重センサ13からの信号をもとに乗りかご2の荷重値を検出して群管理制御装置40に出力する。群管理制御装置40の荷重値取得部42は、エレベータ制御盤7からの荷重値を取得する(ステップS83)。
【0089】
また、隣接号機のエレベータ制御盤7の荷重検出部31は、自号機の荷重センサ13からの信号をもとに乗りかご2の荷重値を検出して群管理制御装置40に出力する。群管理制御装置40の荷重値取得部42は、隣接号機のエレベータ制御盤7からの荷重値を取得する(ステップS84)。
【0090】
そして、対象号機のエレベータ制御盤7のパルス値検出部32は、自号機のパルスジェネレータ5からのパルス信号をもとに、乗りかご2のかご位置を検出して群管理制御装置40に出力する。群管理制御装置40のパルス値取得部43は、エレベータ制御盤7からのパルス値を取得する(ステップS85)。
【0091】
また、隣接号機のエレベータ制御盤7のパルス値検出部32は、自号機のパルスジェネレータ5からのパルス信号をもとに、乗りかご2のかご位置を検出して群管理制御装置40に出力する。群管理制御装置40のパルス値取得部43は、隣接号機のエレベータ制御盤7からのパルス値を取得する(ステップS86)。
【0092】
群管理制御装置40は、これらのパルス値で示されるかご位置の対応関係が、下降する乗りかご2と隣接号機の乗りかご2との距離が一定以内となる位置となった場合には(ステップS87のYES)、この旨を対象号機のエレベータ制御盤7に通知する。
【0093】
通知を受けたエレベータ制御盤7のギャップセンサ出力変位量検出部33は、自号機の非接触案内装置11からのギャップセンサ出力値の信号を入力し、この信号を元にギャップセンサ出力値の所定時間内の変位量を検出し、群管理制御装置40に出力する(ステップS88)。
【0094】
そして、群管理制御装置40のギャップセンサ出力変位量取得部44によりにエレベータ制御盤7からの変位量を取得すると、この変位量が対象号機の乗りかご2が振動したとみなせる所定値以上となった場合には(ステップS89のYES)、振動開始判別部45は、対象号機の乗りかご2と隣接号機の乗りかご2とのすれ違いによる振動が開始したと判別し、この旨を対象号機および隣接号機のエレベータ制御盤7に通知する(ステップS90)。
【0095】
振動が開始すると、対象号機の非接触案内装置11は、前述したゼロパワー制御により、振動を打ち消すための起磁力を発する。この起磁力である電圧指令値および電流出力値の情報は非接触案内装置用制御装置12の起磁力演算部24により演算されて対象号機のエレベータ制御盤7に出力される。
【0096】
そして、対象号機のエレベータ制御盤7が群管理制御装置40からの通知を受けると、パルス値検出部32は、ステップS90の処理による判別時点でのパルス値を基準パルス値として検出し、走行速度検出部35は、ステップS90の処理による判別時点での、乗りかご2の走行速度を検出する(ステップS91)。
【0097】
また、隣接号機のエレベータ制御盤7が群管理制御装置40からの通知を受けると、パルス値検出部32は、ステップS90の処理による判別時点でのパルス値を基準パルス値として検出し、走行速度検出部35は、ステップS90の処理による判別時点での、乗りかご2の走行速度を検出する(ステップS92)。
【0098】
そして、対象号機のエレベータ制御盤7は、自号機の非接触案内装置用制御装置12からの起磁力の情報を入力すると、この起磁力の情報をステップS91の処理で検出した基準パルス値、走行速度、ステップS83の処理で検出した荷重値および現在の走行方向である下降(DOWN)方向を示す情報と対応付けて群管理制御装置40に出力して起磁力取得部46により取得させる。
【0099】
また、隣接号機のエレベータ制御盤7は、ステップS92の処理で検出した基準パルス値、走行速度、ステップS84の処理で検出した荷重値および現在の走行方向を示す情報と対応付けて群管理制御装置40に出力する。
【0100】
群管理制御装置40は、これら出力された情報を入力して、起磁力取得部46により取得した起磁力の情報、固有の識別番号および各号機の号機名と共に記憶装置47の振動開始時情報テーブルに記憶する(ステップS93)。
【0101】
この記憶後、群管理制御装置40は、対象号機や隣接号機の異なる速度パターンを設定する場合には(ステップS94のYES)、ステップS82の処理に戻る。群管理制御装置40が異なる速度パターンを設定しない場合で(ステップS94のNO)、対象号機や隣接号機の乗りかご2に異なるテストウェイトを積載する場合には(ステップS95のYES)、ステップS81の処理に戻る。
また、異なるテストウェイトを積載しない場合には(ステップS95のNO)、下降テスト走行が終了する(ステップS96)。
【0102】
図14は、本発明の第2の実施形態におけるエレベータの群管理制御装置が記憶する振動開始時情報テーブルの構成例を表形式で示す図である。
図14に示すように、振動開始時情報テーブルには、上昇テスト走行および下降テスト走行により、各走行方向、各走行速度および各荷重値のそれぞれの組み合わせについて、ある対象号機の乗りかご2と隣接号機の乗りかご2とのすれ違いによる振動開始時点での対象号機および隣接号機の基準パルス値が、当該開始した振動により発生した起磁力である電圧指令値および電流出力値と対応付けて記憶される。
【0103】
次に、上昇テスト走行および下降テスト走行により振動開始時情報テーブルに必要十分な情報が記録された場合における、乗客を乗せた通常走行について説明する。図15は、本発明の第2の実施形態におけるエレベータの通常走行手順の一例を示すフローチャートである。
まず、群管理制御装置40は、割り当て号機のエレベータ制御盤7への指示によりは、当該号機の乗りかご2の通常走行を開始する(ステップS1011)。ここでは、群管理制御装置40は、割り当て号機の隣接号機のエレベータ制御盤7への指示により、当該号機の乗りかご2の通常走行を開始するとする。
【0104】
そして、対象号機のエレベータ制御盤7のパルス値検出部32は、パルスジェネレータ5からのパルス信号で示されるパルス値を検出し、この値を群管理制御装置40に出力する(ステップS102)。
【0105】
また、隣接号機のエレベータ制御盤7のパルス値検出部32は、パルスジェネレータ5からのパルス信号で示されるパルス値を検出し、この値を群管理制御装置40に出力する(ステップS103)。
【0106】
群管理制御装置40は、対象号機及び隣接号機の乗りかご2の現在の走行方向、荷重値および走行速度に対応する当該対象号機と隣接号機の基準パルス値を、記憶装置47に記憶される振動開始時情報テーブルから常に読み出している(ステップS104)。
【0107】
群管理制御装置40は、各号機のエレベータ制御盤7からのパルス値をパルス値取得部43により取得し、これらのパルス値の対応関係が、ステップS104の処理で読み出した対象号機の基準パルス値と隣接号機の基準パルス値との対応関係と等しくなった場合には(ステップS105のYES)、振動開始判別部45は、対象号機の乗りかご2のかご位置が、当該乗りかご2と隣接号機の乗りかご2とのすれ違いによる振動開始に相当するかご位置となったと判別する(ステップS106)。
【0108】
すると、群管理制御装置40は、対象号機の乗りかごの2現在の走行方向、荷重値、走行速度、隣接号機の乗りかごの2の現在の走行方向、荷重値、走行速度、および前述したように読み出した各号機の基準パルス値に対応付けられる対象号機の起磁力の情報を記憶装置47に記憶される振動開始時情報テーブルから読み出し、この情報を対象号機のエレベータ制御盤7を介して当該号機の非接触案内装置用制御装置12に出力する(ステップS107)。
【0109】
非接触案内装置用制御装置12が、エレベータ制御盤7からの起磁力の情報を入力すると、電力供給部23は、この入力した起磁力が非接触案内装置11から出力されるように電磁石16のコイルへの電圧指令および電流出力を行なう。これにより、対象号機の乗りかご2が隣接号機の乗りかご2とすれ違うことによる対象号機の乗りかご2の振動を打ち消すための起磁力が非接触案内装置11から出力されることになる(ステップS108)。この走行においては、ある号機の乗りかご2が隣接号機の乗りかご2とすれ違うことによる振動を未然に防止することができ、乗り心地に影響を及ぼすことがなくなる。
【0110】
図16は、本発明の第2の実施形態におけるエレベータの振動開始時情報の取得のための通常走行手順の一例を示すフローチャートである。
本実施形態では、第1の実施形態と同様に、前述した上昇テスト走行や下降テスト走行に限らず、通常走行時でも振動開始時情報を取得することができる。
【0111】
対象号機のエレベータ制御盤7が、呼び登録により、振動開始時情報取得のために自号機の乗りかご2の走行を開始させると(ステップS111)、このエレベータ制御盤7のパルス値検出部32は、自号機のパルスジェネレータ5からのパルス信号をもとに、乗りかご2のかご位置を検出して群管理制御装置40に出力し、群管理制御装置40のパルス値取得部43に取得させる(ステップS112)。
【0112】
また、隣接号機のエレベータ制御盤7が、呼び登録により、自号機の乗りかご2の走行を開始させると、このエレベータ制御盤7のパルス値検出部32は、自号機のパルスジェネレータ5からのパルス信号をもとに、乗りかご2のかご位置を検出して群管理制御装置40に出力し、群管理制御装置40のパルス値取得部43に取得させる(ステップS113)。
【0113】
群管理制御装置40は、これらのパルス値で示されるかご位置の対応関係が、対象号機の乗りかご2と隣接号機の乗りかご2との距離が一定以内となる位置となった場合には(ステップS114のYES)、この旨を対象号機のエレベータ制御盤7に通知する。
【0114】
通知を受けたエレベータ制御盤7のギャップセンサ出力変位量検出部33は、自号機の非接触案内装置11からのギャップセンサ出力値の信号を入力し、この信号を元にギャップセンサ出力値の所定時間内の変位量を検出して群管理制御装置40に出力する(ステップS115)。
【0115】
そして、群管理制御装置40のギャップセンサ出力変位量取得部44により対象号機の非接触案内装置用制御装置12からの変位量を取得すると、この変位量が対象号機の乗りかご2が振動したとみなせる所定値以上となった場合には(ステップS116のYES)、振動開始判別部45は、対象号機の乗りかご2と隣接号機の乗りかご2とのすれ違いによる振動が開始したと判別し、この旨を対象号機および隣接号機のエレベータ制御盤7に通知する(ステップS117)。
【0116】
振動が開始すると、対象号機の非接触案内装置11は、前述したゼロパワー制御により、振動を打ち消すための起磁力を発する。この起磁力である電圧指令値および電流出力値の情報は非接触案内装置用制御装置12の起磁力演算部24により演算されてエレベータ制御盤7を介して群管理制御装置40の起磁力取得部46により取得される。
【0117】
対象号機のエレベータ制御盤7が群管理制御装置40からの通知を受けると、このエレベータ制御盤7の荷重検出部31は、ステップS116の処理による判別時点での乗りかご2の荷重値を検出し、パルス値検出部32は、ステップS116の処理による判別時点でのパルス値を基準パルス値として検出し、走行速度検出部35は、ステップS116の処理による判別時点での、乗りかご2の走行速度を検出する(ステップS118)。
【0118】
また、隣接号機のエレベータ制御盤7が群管理制御装置40からの通知を受けると、このエレベータ制御盤7の荷重検出部31は、ステップS116の処理による判別時点での乗りかご2の荷重値を検出し、パルス値検出部32は、ステップS116の処理による判別時点でのパルス値を基準パルス値として検出し、走行速度検出部35は、ステップS116の処理による判別時点での、乗りかご2の走行速度を検出する(ステップS119)。
【0119】
そして、対象号機のエレベータ制御盤7は、自号機の非接触案内装置用制御装置12からの起磁力の情報を入力すると、この起磁力の情報をステップS118の処理で検出した基準パルス値、走行速度、荷重値および現在の走行方向を示す情報と対応付けて記憶装置47の振動開始時情報テーブルに記憶し(ステップS120)、呼び登録がなくなった時点で走行を終了する(ステップS121)。
【0120】
以上のように、本発明の第2の実施形態におけるエレベータでは、対象号機の乗りかご2と隣接号機の乗りかご2とのすれ違いによる両者の間の気流変動の影響で振動が開始した時点での、当該振動を打ち消すための非接触案内装置11からの起磁力、および各号機のかご位置情報、走行速度、荷重値、走行方向を対応付けて振動開始時情報として記録しておき、この記録後の通常走行において、各号機の基準かご位置の差が一定値となった場合に、当該記録したかご位置、走行速度、荷重値、走行方向と対応付けられる起磁力を非接触案内装置11から出力する。つまり、移動体のすれ違いによる実際の振動を検出することなしに振動を打ち消すための起磁力を出力出来るので、当該振動の発生を未然に防止することができる。
【0121】
なお、この発明は前記実施形態そのままに限定されるものではなく実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、前記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を省略してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【符号の説明】
【0122】
1…巻上機、2…乗りかご、3…メインロープ、4…吊り合い重り、5…パルスジェネレータ、6…そらせシーブ、7…エレベータ制御盤、8…ガイドレール、9…テールコード、10…昇降路、11…非接触案内装置、11a…磁石ユニット、12…非接触案内装置用制御装置、13…荷重センサ、14…ギャップセンサ、15…永久磁石、16…電磁石、21…電流検出器、22…演算器、23…電力供給部、24…起磁力演算部、31…荷重検出部、32…パルス値検出部、33…ギャップセンサ出力変位量検出部、34,45…振動開始判別部、35…走行速度検出部、36,47…記憶装置、40…群管理制御装置、41…割り当て制御部、42…荷重値取得部、43…パルス値取得部、44…ギャップセンサ出力変位量取得部、46…起磁力取得部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降路内に上下方向に敷設されたガイドレールと、
前記ガイドレールに沿って昇降する乗りかごと、
前記乗りかごに搭載され、前記ガイドレールと空隙を介して対向する電磁石と、前記空隙において前記電磁石と磁路を共有するように配置されるとともに前記乗りかごを案内するのに必要な起磁力を供給する永久磁石を備えた磁石ユニットと、
前記電磁石が前記空隙および前記ガイドレールと形成する磁気回路の前記空隙における状態を検出するセンサ部と、
前記センサ部の出力に基づいて前記電磁石の励磁電流を制御して前記磁気回路を安定化させる第1の案内制御手段と、
前記乗りかごの走行距離に比例した数のパルス信号を発生するパルス発生手段と、
前記パルス発生手段により発生したパルス信号を積算カウントすることでかご位置を演算するかご位置演算手段と、
前記乗りかごと他の移動体とのすれ違いにより当該乗りかごに外力が加えられた場合における、前記第1の案内制御手段により前記磁気回路を安定化させるための制御量、前記乗りかごの走行方向、および前記外力が加えられた時点で前記かご位置演算手段により演算したかご位置情報を検出する検出手段と、
前記検出手段による検出結果を記憶する記憶装置と、
前記検出後における前記乗りかごの走行時に前記かご位置演算手段により演算したかご位置が前記記憶装置に記憶したかご位置のうち前記乗りかごの現在の走行方向に対応付けられるかご位置と等しくなった場合に、前記記憶装置に記憶された制御量のうち、前記等しくなったかご位置および前記乗りかごの現在の走行方向に対応付けられる制御量により前記電磁石の励磁電流を制御して前記磁気回路を安定化させる第2の案内制御手段と
を備えたことを特徴とするエレベータ。
【請求項2】
前記乗りかごの荷重値を検出する荷重検出手段をさらに備え、
前記記憶装置は、
前記検出手段による検出結果を、前記外力が加えられた時点で前記荷重検出手段により検出した荷重値と対応付けて記憶し、
前記第2の案内制御手段は、
前記乗りかごの走行時に前記かご位置演算手段により演算したかご位置が前記記憶装置に記憶したかご位置のうち前記乗りかごの現在の走行方向に対応付けられるかご位置と等しくなった場合に、前記記憶装置に記憶された制御量のうち、前記等しくなったかご位置、前記乗りかごの現在の走行方向および前記等しくなった時点で前記荷重検出手段により検出した荷重値に対応付けられる制御量により前記電磁石の励磁電流を制御して前記磁気回路を安定化させる
ことを特徴とする請求項1に記載のエレベータ。
【請求項3】
前記乗りかごの走行速度を検出する速度検出手段をさらに備え、
前記記憶装置は、
前記検出手段による検出結果を、前記外力が加えられた時点で前記荷重検出手段により検出した荷重値および前記外力が加えられた時点で前記速度検出手段により検出した速度値と対応付けて記憶し、
前記第2の案内制御手段は、
前記乗りかごの走行時に前記かご位置演算手段により演算したかご位置が前記記憶装置に記憶したかご位置のうち前記乗りかごの現在の走行方向に対応付けられるかご位置と等しくなった場合に、前記記憶装置に記憶された制御量のうち、前記等しくなったかご位置、前記乗りかごの現在の走行方向、前記等しくなった時点で前記荷重検出手段により検出した荷重値、および前記等しくなった時点で前記速度検出手段により検出した速度値に対応付けられる制御量により前記電磁石の励磁電流を制御して前記磁気回路を安定化させる
ことを特徴とする請求項1に記載のエレベータ。
【請求項4】
前記乗りかごと他の移動体との距離を検出する距離検出手段と、
前記距離検出手段により検出した距離が所定値以内になった場合で前記センサ部による出力値が前記乗りかごが振動したと認められる所定条件を満たした場合に、前記乗りかごと他の移動体とのすれ違いにより当該乗りかごに外力が加えられたと判別する振動判別手段とをさらに備え、
前記検出手段は、
前記振動判別手段により乗りかごに外力が加えられたと判別した場合に、この判別時の、前記第1の案内制御手段により前記磁気回路を安定化させるための制御量、前記乗りかごの走行方向、および前記判別時に前記かご位置演算手段により演算したかご位置情報を検出する
ことを特徴とする請求項1に記載のエレベータ。
【請求項5】
複数台の乗りかごのうち、乗りかごの行先階を登録するための操作を受け付ける行先階登録装置の操作により登録された行先階に応答する乗りかごを割り当てる割り当て制御手段をさらに備え、
前記検出手段は、
前記割り当てた乗りかごと隣接号機の移動体とのすれ違いにより当該乗りかごに外力が加えられた場合における、前記案内制御手段により前記磁気回路を安定化させるための制御量、前記乗りかごと前記隣接号機の移動体との移動方向、および前記外力が加えられた時点で前記かご位置演算手段により演算した前記割り当てた乗りかご及び隣接号機の移動体の昇降位置を検出し、
前記第2の案内制御手段は、
前記検出後における前記割り当てた乗りかごの走行時に前記かご位置演算手段により演算した前記割り当てた乗りかごのかご位置および隣接号機の移動体の昇降位置の組み合わせが、前記記憶装置に記憶した、前記割り当てた乗りかごの現在の走行方向に対応付けられるかご位置および前記隣接号機の移動体の走行方向に対応付けられる昇降位置の組み合わせと等しくなった場合に、前記記憶装置に記憶された制御量のうち、前記組み合わせ、前記乗りかごの現在の走行方向および前記隣接移動体の移動方向に対応付けられる制御量により前記電磁石の励磁電流を制御して前記磁気回路を安定化させる
ことを特徴とする請求項1に記載のエレベータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−63429(P2011−63429A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−218070(P2009−218070)
【出願日】平成21年9月18日(2009.9.18)
【出願人】(390025265)東芝エレベータ株式会社 (2,543)
【Fターム(参考)】