説明

エンジンの制御装置

【課題】エンジンの制御装置に関し、冷却水循環が停止した際のエンジンの各種制御を適正化する。
【解決手段】エンジン暖機時にウォータジャケット13の冷却水循環を停止させるエンジンの制御装置において、水温センサ19と、エンジン運転状態検出センサ22,23と、エンジン運転状態に基づいて、冷却水の水温上昇幅を推定する冷却水温上昇幅推定部41と、エンジン始動時における水温センサ19の検出値に冷却水温上昇幅推定部41により推定された水温上昇幅を積算して推定冷却水温を算出する推定冷却水温演算部42と、運転状態検出センサ22,23の検出値及び、推定冷却水温演算部42により算出される推定冷却水温に基づいて、エンジン10の運転状態を制御する運転状態制御部45とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンの制御装置に関し、特に暖機時に冷却水循環を停止させるエンジンの制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エンジンの冷却システムとして、冷却水回路に冷却水を圧送供給する電動ウォータポンプを備え、暖機促進の観点から、冷却水温の低温時には電動ウォータポンプを停止させることで、冷却水の循環を停止させるシステムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−161748号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、一般的にエンジンの燃料噴射量、燃料噴射圧、吸入空気量等の各種制御に用いるパラメータの一つとして、サーモスタット周辺にある水温センサの検出値が用いられている。これは、冷却水が冷却水回路を循環してウォータジャケット内を流通している時は、水温センサで検出される冷却水温とシリンダ壁面温度とに相関があると考えられるためである。
【0005】
しかし、上述の暖機時にウォータポンプを停止させるようなシステムでは、冷却水循環の停止により、水温センサで検出値される冷却水温とシリンダ壁面温度との相関が成り立たなくなる場合がある。そのため、エンジンの各種制御に水温センサの検出値を用いると、特に冷却水循環が停止した状態では、運転状態に応じた最適な制御を行えない可能性がある。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みてなされたもので、その目的は、冷却水循環が停止した際のエンジンの各種制御を適正化して、エンジンの排気ガス悪化や失火による燃焼悪化を効果的に防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明のエンジンの制御装置は、ウォータジャケットを含む冷却水回路を備え、エンジン始動時から冷却水温が所定温度に上昇するまで前記ウォータジャケットの冷却水循環を停止させるエンジンの制御装置であって、前記冷却水回路内の冷却水温を検出する冷却水温検出手段と、少なくともエンジン回転数及び、燃料噴射量を含む前記エンジンの運転状態を検出する運転状態検出手段と、前記運転状態検出手段により検出されるエンジンの運転状態に基づいて、冷却水の水温上昇幅を所定時間毎に推定する冷却水温上昇幅推定部と、エンジン始動時における前記冷却水温検出手段の検出値を初期水温に設定し、該初期水温にエンジン始動時から所定期間経過時までに前記冷却水温上昇幅推定部により推定された各水温上昇幅を積算することで、該所定期間経過時の推定冷却水温を算出する推定冷却水温演算部と、少なくとも前記運転状態検出手段の検出値及び、前記推定冷却水温演算部により算出される推定冷却水温に基づいて、前記エンジンの運転状態を制御する運転状態制御部とを備えることを特徴とする。
【0008】
また、前記運転状態制御部は、前記推定冷却水温演算部により算出される推定冷却水温が所定温度よりも高くなった場合は、前記推定冷却水温に切り替えて前記冷却水温検出手段の検出値を前記エンジンの運転状態の制御に用いてもよい。
【0009】
また、外気温を検出する外気温検出手段と、前記推定冷却水温演算部により算出される推定冷却水温を、該推定冷却水温と前記外気温検出手段により検出された外気温との温度差に基づいて補正する推定冷却水温補正部とをさらに備えてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明のエンジンの制御装置によれば、冷却水循環が停止した際のエンジンの各種制御を適正化することができると共に、エンジンの排気ガス悪化や失火による燃焼悪化を効果的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に係るエンジンの制御装置を示す模式的なブロック構成図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るエンジンの制御装置の制御内容を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図1,2に基づいて、本発明の一実施形態に係るエンジンの制御装置を説明する。同一の部品には同一の符号を付してあり、それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
【0013】
図1に示すように、本実施形態に係るエンジンの制御装置1は、エンジン10のシリンダブロック12内に形成されたウォータジャケット13と、エンジン10の前方に所定の間隔を隔て配設されたラジエータ14と、ウォータジャケット13からの冷却水をラジエータ14に導くインレット配管15と、ラジエータ14からの冷却水をウォータジャケット13に導くアウトレット配管16と、冷却水をラジエータ14から迂回させるバイパス配管17と、冷却水の流路を切り替えるサーモスタット18と、冷却水の水温を検出する水温センサ19と、冷却水を圧送供給する電動ウォータポンプ20と、エンジン回転センサ22と、アクセル開度センサ23と、ECU(電子制御ユニット)40とを有する。なお、本実施形態において、ウォータジャケット13、ラジエータ14、インレット配管15、アウトレット配管16及びバイパス配管17は、本発明の冷却水回路を構成する。
【0014】
ウォータジャケット13は、シリンダブロック12内の図示しないシリンダ壁面に隣接して形成されている。また、シリンダブロック12側にあるウォータジャケット13の入口部13aは電動ウォータポンプ20の吐出口に接続され、シリンダヘッド11側にあるウォータジャケット13の出口部13bはインレット配管15の上流端に接続されている。すなわち、電動ウォータポンプ20により圧送供給されて入口部13aから流入した冷却水は、ウォータジャケット13内を流通した後、出口部13bからインレット配管15へと流れ込むように構成されている。
【0015】
ラジエータ14の上方側部に設けられた入口部14aには、インレット配管15の下流端が接続されている。また、ラジエータ14の下方側部に設けられた出口部14bには、アウトレット配管16の上流端が接続されている。すなわち、インレット配管15からラジエータ14に流入した冷却水は、ラジエータ14で外気との熱交換により冷却された後、アウトレット配管16から電動ウォータポンプ20を介してウォータジャケット13に戻されるように構成されている。
【0016】
バイパス配管17は、ラジエータ14を迂回するように、一端をインレット配管15に接続され、他端をアウトレット配管16に接続されている。また、バイパス配管17とインレット配管15との分岐部にはサーモスタット18が介装されている。
【0017】
サーモスタット18は、インレット配管15を流れる冷却水の水温が所定水温(例えば、85度)まで上昇すると開弁し、冷却水のラジエータ14への流通を許容する開閉弁として機能する。すなわち、冷却水の温度が所定温度(例えば、85度)未満の場合、サーモスタット18は閉弁され、冷却水はラジエータ14を迂回してバイパス配管17に流入する。一方、冷却水の温度が所定温度(例えば、85度)以上になると、サーモスタット18は開弁され、冷却水はインレット配管15からラジエータ14に流入するように構成されている。このサーモスタット18としては、例えば公知のワックスタイプのサーモスタットが使用される。
【0018】
水温センサ19は、冷却水の温度を検出するもので、サーモスタット18よりも上流側に位置するインレット配管15に設けられている。この水温センサ19はECU40に電気的に接続されており、検出された冷却水の温度は冷却水温TSとして出力される。
【0019】
電動ウォータポンプ20は、シリンダブロック12の入口部13aに隣接して設けられており、その取入口にはアウトレット配管16の下流端が接続されている。この電動ウォータポンプ20は、図示しないインペラの回転により冷却水を圧送する公知の遠心式ポンプで、図示しないインペラシャフトに接続された駆動モータ21を備えている。
【0020】
駆動モータ21は、ECU40と電気的に接続されており、ECU40から出力される電気信号に応じて作動が制御されている。すなわち、電動ウォータポンプ20は、ECU40によって駆動モータ21の作動が制御されることで、冷却水の圧送供給(循環)と、圧送供給の停止(循環の停止)とを行うように構成されている。
【0021】
エンジン回転数センサ22は、エンジン10の回転数を検出するもので、検出された回転数は電気的に接続されたECU40にエンジン回転数Nとして出力される。
【0022】
アクセル開度センサ23は、運転者によるアクセルペダル(不図示)の踏み込み量を検出するもので、検出された踏み込み量としての燃料噴射量は、電気的に接続されたECU40に燃料噴射量Qとして出力される。
【0023】
外気温センサ24は、エンジン10を搭載した車両(不図示)の外気温度を検出するもので、検出された外気温度は電気的に接続されたECU40に外気温TOUTとして出力される。
【0024】
ECU40は、エンジン10や車両の各種制御を行うもので、公知のCPUやROM、RAM、入力ポート、出力ポート等を備え構成されている。この各種制御を行うために、ECU40には、車速センサ(不図示)、水温センサ19、エンジン回転数センサ22、アクセル開度センサ23等の各種センサの出力信号がA/D変換された後に入力される。また、ECU40は、冷却水温上昇幅推定部41と、推定冷却水温演算部42と、推定冷却水温補正部43と、駆動モータ制御部44と、エンジン制御部45とを一部の機能要素として有する。これら各機能要素は、本実施形態では一体のハードウェアであるECU40に含まれるものとして説明するが、これらのいずれか一部を別体のハードウェアに設けることもできる。
【0025】
冷却水温上昇幅推定部41は、エンジン回転数N及び燃料噴射量Qに基づいて、シリンダ壁面に隣接して形成されたウォータジャケット13内にある冷却水の水温上昇幅ΔTを所定時間毎(例えば、1秒毎)に推定する。ECU40の記憶部には、予め実験等で作成したエンジン回転数Nと燃料噴射量Qと冷却水の水温上昇幅ΔTとの関係を示す水温上昇マップ(不図示)が記憶されている。冷却水温上昇幅推定部41は、この水温上昇マップから所定時間毎(例えば、1秒毎)にエンジン回転数N及び燃料噴射量Qに対応する水温上昇幅ΔTを読み取ることで、エンジン10の運転状態に応じたウォータジャケット13内の冷却水温上昇値を推定する。
【0026】
推定冷却水温演算部42は、冷却水循環が停止したエンジン暖機時におけるウォータジャケット13内の冷却水の推定温度(以下、推定冷却水温TEという)を算出する。より詳しくは、推定冷却水温演算部42は、エンジン始動時に水温センサ19により検出された冷却水温TSを初期水温T0として保存する。その後、推定冷却水温演算部42は、この初期水温T0にエンジン始動後から現在までの間に冷却水温上昇幅推定部41で所定時間毎に推定された各水温上昇幅ΔTを積算することで、現在の推定冷却水温TEを算出するように構成されている。例えば、初期水温T0が外気と同じ18℃の状態で、エンジン始動から現在までに水温上昇幅ΔTが8℃、6℃及び、9℃と3回ほど推定された場合、推定冷却水温演算部42は現在の推定冷却水温TEを41℃(=18℃+8℃+6℃+9℃)と算出する。
【0027】
推定冷却水温補正部43は、推定冷却水温演算部42により算出された推定冷却水温TEを外気温TOUTとの温度差に基づいて補正する。ECU40の記憶部には、予め実験等で作成した推定冷却水温TEと外気温との温度差及び補正量の関係を示す補正マップ(不図示)が記憶されている。推定冷却水温補正部43は、この補正マップから推定冷却水温TEと外気温TOUTとの温度差に対応する補正量を読み取ることで、伝熱を考慮した正確な補正推定冷却水温TCを算出する。
【0028】
駆動モータ制御部44は、電動ウォータポンプ20のインペラシャフトに接続された駆動モータ21の作動を制御する。具体的には、この駆動モータ制御部44は推定冷却水温補正部43により算出される補正推定冷却水温TCが所定温度(例えば85℃)に達するまでは、駆動モータ21に作動信号を出力しない。すなわち、エンジン10の暖機時は、冷却水の水温を早期に上昇させるべく、ウォータジャケット13内の冷却水の循環は停止されるように構成されている。一方、推定冷却水温補正部43により算出される補正推定冷却水温TCが所定温度(例えば85℃)以上になると、駆動モータ制御部44はエンジン回転数Nや燃料噴射量Qに応じた作動信号を駆動モータ21に出力する。すなわち、エンジン10の暖機終了後は、駆動モータ21がエンジン10の運転状態に応じて作動され、冷却水は電動ウォータポンプ20によりエンジン10の運転状態に応じて圧送供給されるように構成されている。
【0029】
エンジン制御部45は、エンジン回転数N、燃料噴射量Q、冷却水温等を含むエンジン10の運転状態を示すパラメータに基づいて、エンジン10の燃料噴射量、燃料噴射圧、吸入空気量、多段燃料噴射制御等の各種制御を行う。このエンジン制御部45は、推定冷却水温補正部43により算出される補正推定冷却水温TCが所定温度(例えば85℃)に達するまでは、この補正推定冷却水温TCをエンジン10の各種制御に用いる。その後、補正推定冷却水温TCが所定温度(例えば85℃)以上になると、エンジン制御部45は、各種制御に用いる補正推定冷却水温TCを水温センサ19の検出値(冷却水温TS)に切り替える。すなわち、電動ウォータポンプ20が停止して冷却水循環も停止するエンジン暖機時は、ウォータジャケット13内(すなわち、シリンダ壁面周辺)にある冷却水の補正推定冷却水温TCがエンジン10の各種制御に用いられる一方、電動ウォータポンプ20が駆動して冷却水も循環するエンジン暖機終了後は、より正確な値である水温センサ19の検出値(冷却水温TS)がエンジン10の各種制御に用いられるように構成されている。
【0030】
次に、本実施形態に係るエンジンの制御装置1による制御フローを図2に基づいて説明する。なお、本制御はエンジン10の始動(イグニッションスイッチのキースイッチON)と同時にスタートする。
【0031】
ステップ(以下、ステップを単にSと記載する)100では、冷却水の水温を早期に上昇させるべく、電動ウォータポンプ20の作動は停止状態に維持され、冷却水の循環も停止する。
【0032】
S110では、水温センサ19の検出値である冷却水温TSが推定冷却水温演算部42に読み込まれ、初期水温T0として保存される。
【0033】
S120では、エンジン回転数N及び燃料噴射量Qが冷却水温上昇幅推定部41に所定時間毎(例えば、1秒毎)に読み込まれると共に、ウォータジャケット13内にある冷却水の水温上昇幅ΔTが水温上昇マップに基づいて所定時間毎(例えば、1秒毎)に推定される。
【0034】
S130では、冷却水温上昇幅推定部41で所定時間毎(例えば、1秒毎)に推定される水温上昇幅ΔTが推定冷却水温演算部42に連続して読み込まれると共に、初期水温T0に各水温上昇幅ΔTを積算することで推定冷却水温TEが連続的(所定時間毎)に算出される。
【0035】
S140では、推定冷却水温演算部42で連続的に算出される推定冷却水温TEが推定冷却水温補正部43に連続して読み込まれると共に、補正マップから読み取られた推定冷却水温TEと外気温TOUTとの温度差に対応する補正量に基づいて、補正推定冷却水温TCが連続的に算出される。
【0036】
S150では、エンジン制御部45により、エンジン回転数N、燃料噴射量Q、補正推定冷却水温TC等を含むエンジン10の運転状態を示すパラメータに基づいて、エンジン10の燃料噴射量、燃料噴射圧、吸入空気量、多段燃料噴射制御等の各種制御が行われる。
【0037】
S160では、S120〜S140のステップで、所定時間毎に連続的に算出される補正推定冷却水温TCが所定温度(例えば85℃)に達したか否かが確認される。補正推定冷却水温TCが所定温度(例えば85℃)未満の場合はS120へと戻される。すなわち、電動ウォータポンプ20の作動は停止状態に維持され、冷却水の循環も停止状態で維持される。一方、補正推定冷却水温TCが所定温度(例えば85℃)以上の場合はS170へと進む。
【0038】
S170では、駆動モータ制御部44から、エンジン回転数Nや燃料噴射量Qに応じた作動信号が駆動モータ21に出力される。すなわち、冷却水は電動ウォータポンプ20によりエンジン10の運転状態に応じて圧送供給される。
【0039】
S180では、エンジン制御部45により、エンジン10の各種制御に用いられる推定冷却水温TEが水温センサ19の検出値(冷却水温TS)に切り替えられて本制御はリターンされる。すなわち、電動ウォータポンプ20が作動して冷却水が循環するエンジン暖機終了後は、より正確な値である水温センサ19の検出値(冷却水温TS)がエンジン10の各種制御に用いられる。
【0040】
以上のような構成により、本実施形態に係るエンジンの制御装置1によれば以下のような作用効果を奏する。
【0041】
エンジン暖機時に冷却水循環が停止した場合、エンジン10の運転状態に応じた冷却水の水温上昇幅ΔTが推定されると共に、エンジン始動時の初期水温T0にこの水温上昇幅ΔTを積算することで、シリンダ壁面温度と相関のあるウォータジャケット13内の推定冷却水温TEが算出される。また、算出された推定冷却水温TEは外気温TOUTとの温度差に応じて補正され、伝熱を考慮した正確な補正推定冷却水温TCとして算出される。さらに、算出された補正推定冷却水温TCは、冷却水循環が停止している間、エンジン10の燃料噴射量、燃料噴射圧、吸入空気量、多段燃料噴射制御等の各種制御を行うパラメータの一つとして用いられる。
【0042】
すなわち、冷却水循環が停止するエンジン暖機時は、水温センサ19の検出値とシリンダ壁面温度との相関が成り立たない場合があるが、本実施形態のエンジンの制御装置1によれば、シリンダ壁面温度と相関のあるウォータジャケット13内の正確な冷却水温が補正推定冷却水温TCとして算出され、エンジン10の各種制御はこの補正推定冷却水温TCに基づいて適正に行われることになる。
【0043】
したがって、冷却水循環が停止した状態におけるエンジン10の各種制御を精度良く最適化することが可能となり、排気ガス中のNOx濃度の悪化や、失火による燃焼の悪化を効果的に防止することができる。
【0044】
また、エンジン暖機時におけるエンジン10の各種制御を最適化し、失火による燃焼悪化を防ぐことで、エンジン10の燃費を効果的に向上することができる。
【0045】
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変形して実施することが可能である。
【0046】
例えば、上述の実施形態において、冷却水の圧送供給には、駆動モータ21を備える電動ウォータポンプ20を用いるものとして説明したが、エンジン10を駆動源とするウォータポンプを用いてもよい。この場合、ウォータポンプの作動停止は電磁クラッチのON・OFFにより制御すればよい。
【0047】
また、ECU40に予め記憶されている水温上昇マップを、冷却水が循環している時の水温センサ19の検出値と、算出された推定冷却水温TEとの温度差に基づいて書き換える学習機能を付加してもよい。
【符号の説明】
【0048】
10 エンジン
13 ウォータジャケット(冷却水回路)
14 ラジエータ(冷却水回路)
15 インレット配管(冷却水回路)
16 アウトレット配管(冷却水回路)
17 バイパス配管(冷却水回路)
19 水温センサ(冷却水温検出手段)
22 エンジン回転センサ(運転状態検出手段)
23 アクセル開度センサ(運転状態検出手段)
24 外気温センサ(外気温検出手段)
41 冷却水温上昇幅推定部
42 推定冷却水温演算部
43 推定冷却水温補正部
45 エンジン制御部(運転状態制御部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウォータジャケットを含む冷却水回路を備え、エンジン始動時から冷却水温が所定温度に上昇するまで前記ウォータジャケットの冷却水循環を停止させるエンジンの制御装置であって、
前記冷却水回路内の冷却水温を検出する冷却水温検出手段と、
少なくともエンジン回転数及び、燃料噴射量を含む前記エンジンの運転状態を検出する運転状態検出手段と、
前記運転状態検出手段により検出されるエンジンの運転状態に基づいて、冷却水の水温上昇幅を所定時間毎に推定する冷却水温上昇幅推定部と、
エンジン始動時における前記冷却水温検出手段の検出値を初期水温に設定し、該初期水温にエンジン始動時から所定期間経過時までに前記冷却水温上昇幅推定部により推定された各水温上昇幅を積算することで、該所定期間経過時の推定冷却水温を算出する推定冷却水温演算部と、
少なくとも前記運転状態検出手段の検出値及び、前記推定冷却水温演算部により算出される推定冷却水温に基づいて、前記エンジンの運転状態を制御する運転状態制御部と、を備えることを特徴とするエンジンの制御装置。
【請求項2】
前記運転状態制御部は、
前記推定冷却水温演算部により算出される推定冷却水温が所定温度よりも高くなった場合は、前記推定冷却水温に切り替えて前記冷却水温検出手段の検出値を前記エンジンの運転状態の制御に用いる請求項1に記載のエンジンの制御装置。
【請求項3】
外気温を検出する外気温検出手段と、
前記推定冷却水温演算部により算出される推定冷却水温を、該推定冷却水温と前記外気温検出手段により検出された外気温との温度差に基づいて補正する推定冷却水温補正部と、をさらに備える請求項1又は2に記載のエンジンの制御装置。

【図1】
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【図2】
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