説明

エンジンの吸気装置

【課題】一つのスロットル弁を通過した吸気を3方向に略均等に分配する。
【解決手段】スロットル弁53の下流側で分岐した第1〜第3の分岐通路48〜50と、これらの分岐通路の上流端とスロットル弁53との間に位置するピン52とを有する。第1の分岐通路48は、スロットル弁53を有する吸気通路51の中心線Cの延長線C1上で開口する。第2、第3の分岐通路49,50は、第1の分岐通路48の両側で開口する。ピン52は、第1〜第3の分岐通路48〜50の開口48〜50が並ぶ方向とは直交する方向であって吸気が流れる方向とは交差する方向に延びる棒体からなる。ピン52を前記延長線C1上に位置付けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸気を三つの気筒毎の分岐通路に分配する分流部材を備えたエンジンの吸気装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、吸気を一つのスロットル弁から複数の気筒毎の分岐通路に分配するエンジンの吸気装置としては、たとえば特許文献1に記載されたものがある。
この特許文献1に開示されたエンジンの吸気装置は、4気筒エンジンに吸気を供給するためのもので、1個のスロットル弁と、このスロットル弁を通った吸気を気筒毎に分配するための吸気マニホールドとを備えている。
【0003】
この吸気マニホールドは、スロットル弁が接続される上流側端部と、気筒毎の分岐通路が形成された下流側端部と、前記上流側端部と下流側端部との間に位置する分岐部とから構成されている。
前記分岐部は、スロットル弁を通過した吸気が2方向に分けられ、さらに、これらの吸気が再度2方向に分けられて気筒毎の(4本の)分岐通路に流入するように形成されている。
【0004】
この分岐部は、スロットル弁を通過した吸気を2方向に分けるために、板からなる分流部材を備えている。この分流部材は、その主面(表面または裏面)がスロットル弁と対向するように前記分岐部内に立設されている。すなわち、吸気は、この分流部材に当たることによって一側方と他側方とに分けられる。
【特許文献1】特開平8−61171号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に示されたエンジンの吸気装置は、3気筒エンジンに使用することはできないという問題があった。これは、特許文献1に記載されている吸気装置は4気筒エンジン用のもので、分流部材によって2方向に分けられた吸気をさらに二つずつに分ける構造が採られているからである。すなわち、この従来の吸気装置は、スロットル弁を通過した吸気を3方向に略均等に分けることができないからである。
【0006】
本発明はこのような問題を解消するためになされたもので、一つのスロットル弁を通過した吸気を3方向に略均等に分配することができるエンジンの吸気装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するために、本発明に係るエンジンの吸気装置は、スロットル弁と、このスロットル弁の下流側で分岐した3つの分岐通路と、これらの分岐通路の上流端と前記スロットル弁との間に設けられた分流部材とを有するエンジンの吸気装置であって、前記3つの分岐通路を、前記スロットル弁を有する吸気通路の中心線の延長線上で開口する第1の分岐通路と、この第1の分岐通路の両側で開口する第2、第3の分岐通路とから構成し、前記分流部材を、前記第1〜第3の分岐通路の開口が並ぶ方向とは直交する方向であって吸気が流れる方向とは交差する方向に延びる棒体によって形成し、前記延長線上に位置付けたものである。
【0008】
本発明は、前記発明において、第1〜第3の分岐通路の上流端の開口を、船外機用3気筒エンジンの側方で水平方向に並べ、第1〜第3の分岐通路の上流端の開口のうち、エンジンから最も離間する開口を有する分岐通路を、エンジンの最も上に位置する気筒に接続し、第1〜第3の分岐通路の上流端の開口のうち、エンジンに最も近接する開口を有する分岐通路を、エンジンの最も下に位置する気筒に接続したものである。
【0009】
本発明は、前記発明において、スロットル弁を気化器に設けたものである。
【0010】
本発明は、前記発明において、第1〜第3の分岐通路の中間部分に、それぞれ燃料噴射インジェクタを設けたものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、分配部材は、スロットル弁から第1の分配通路に向けて流れる吸気に対して吸気抵抗を付与するように機能する。第1の分岐通路の上流端の開口は、スロットル弁と対向するように開口していることから第2、第3の分岐通路の上流端の開口に較べて吸気が流入し易い。しかし、この第1の分岐通路に流入する吸気の量は、前記分配部材により吸気抵抗が付与されているために、第2、第3の分岐通路に流入する吸気の量と同等になると考えられる。
したがって、本発明によれば、一つのスロットル弁を通過した吸気を第1〜第3の分岐通路に略等しく分配することが可能なエンジンの吸気装置を提供することができる。
【0012】
第1〜第3の分岐通路を船外機用3気筒エンジンに接続する発明によれば、各気筒の吸気通路の長さを略等しく形成することができ、各気筒の吸気量を略等しくすることができるから、エンジンの回転を安定させることができる。
【0013】
スロットル弁を気化器に設ける発明によれば、吸気と燃料とを各気筒に均等に分配することができるから、より一層エンジンの回転を安定させることができる。
【0014】
第1〜第3の分岐通路に燃料噴射インジェクタを設ける発明によれば、燃料を各分岐通路に最適な供給量となるように供給することができ、エンジンの回転をさらに安定させることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
(第1の実施例)
以下、本発明に係るエンジンの吸気装置の一実施例を図1〜図6によって詳細に説明する。
図1は本発明に係るエンジンの吸気装置を備えた船外機の側面図、図2は本発明に係るエンジンの吸気装置の側面図、図3は本発明に係る吸気装置が設けられたエンジンの平面図で、同図においては、吸気装置および吸気装置に関連する部位を破断した状態で描いてある。図3に示す破断部分の断面位置を図2中にIII−III線で示す。
【0016】
図4は要部を拡大して示す断面図、図5および図6は吸気装置とシリンダヘッドとを船外機の後方から見た状態を示す背面図で、図5は、第1〜第3の分岐通路のうち最もエンジンに近接する分岐通路を最も下に位置する気筒に接続した例を示し、図6は、第1〜第3の分岐通路のうち中央に位置する分岐通路を最も下に位置する気筒に接続した例を示す。
【0017】
これらの図において、符号1で示すものは、この実施の形態による船外機を示す。この船外機1は、図1に示すように、船体2の船尾板3にクランプブラケット4とスイベルブラケット5とを介して操舵自在かつチルト可能に支持されたアッパーケーシング6と、このアッパーケーシング6の下端部に取付けられたロアケーシング7と、このロアケーシング7に回転自在に設けられたプロペラ8と、前記アッパーケーシング6の上端部に取付けられたガイドエキゾースト9と、このガイドエキゾースト9の上部に搭載されたエンジン10と、このエンジン10を覆うカウリング11などによって構成されている。
【0018】
前記エンジン10は、水冷式4サイクル3気筒エンジンで、クランクケース12、シリンダボディ13、シリンダヘッド14、ヘッドカバー15およびオイルパン16などを備えている。このエンジン10は、クランク軸17(図3参照)の軸線が上下方向を指向し、かつシリンダヘッド14がシリンダボディ13より船外機後側に位置する状態でガイドエキゾースト9の上に搭載されている。
【0019】
前記クランク軸17の下端部には、ドライブシャフト21が一体に回転するように接続されている。このドライブシャフト21は、図1に示すように、アッパーケーシング6を上下方向に貫通してロアケーシング7内に上方から挿入されており、前後進切替機構22を介してプロペラシャフト23に接続されている。前記プロペラ8は、このプロペラシャフト23に一体に回転するように設けられている。
【0020】
前記シリンダヘッド14には、図3に示すように、吸気弁24と排気弁25とが1気筒当たり1本ずつ設けられているとともに、全ての気筒の吸気弁24と排気弁25とを駆動するための動弁装置26が設けられている。図3において、符号27はピストンを示し、28はコンロッドを示す。
【0021】
前記吸気弁24は、図3に示すように、船外機右側(図3においては、符号を正しく読める状態として下側)に位置付けられており、燃焼室29からシリンダヘッド14の右側部に延びる吸気ポート30を開閉する。前記排気弁25は、シリンダヘッド14の船外機左側に位置付けられており、燃焼室29からシリンダヘッド14の左側部に延びる排気ポート31を開閉する。
【0022】
前記動弁装置26は、従来からよく知られているロッカーアーム式のもので、図3および図5に示すように、1本のカム軸32と、吸気弁用ロッカーアーム33と、排気弁用ロッカーアーム34と、バルブスプリング35などを備えている。
前記吸気ポート30の上流側端部は、シリンダヘッド14の船外機右側の端部に設けられた吸気装置41に接続され、前記排気ポート31の下流側端部は、シリンダボディ13とその下方に設けられた排気装置(図示せず)に接続されている。
【0023】
前記吸気装置41は、図2および図3に示すように、シリンダヘッド14の船外機右側の一端部に一体成形により一体に形成された吸気マニホールド42と、この吸気マニホールド42の上流側端部にジョイント43を介して接続された気化器44と、この気化器44の上流側端部に吸気管45を介して接続された吸気サイレンサー46などによって構成されている。
【0024】
前記吸気マニホールド42の上流側端部は、図3〜図5に示すように、後述するジョイント43と協働してスロットル弁下流側の吸気通路47を第1〜第3の分岐通路48〜50に分岐させるように形成されている。これらの第1〜第3の分岐通路48〜50の上流端の開口48a〜50aは、図5に示すように、シリンダヘッド14の側方で左右方向に並べられている。詳述すると、これら三つの開口48a〜50aのうち第1の分岐通路48の開口48aは、中央に位置付けられ、第2の分岐通路49の開口49aは、船外機右側に位置付けられ、第3の分岐通路50の開口50aは、船外機左側に位置付けられている。
【0025】
これらの三つの開口48a〜50aのうち、中央に位置する第1の分岐通路48の開口48aは、図2および図3に示すように、気化器44内に形成された吸気通路51(スロットル弁を有する吸気通路)の中心線Cの延長線C1上に位置付けられている。この実施例では、開口48aの中心は、上下方向と左右方向とにおいて前記延長線C1の上に位置するように形成されている。
【0026】
第1の分岐通路48は、図5に示すように、前記上流端の開口48aからシリンダヘッド14の側方において下方に延びており、このエンジン10三つの気筒のうち中央の気筒の吸気ポート30に船外機右側から接続されている。
第2の分岐通路49は、前記上流端の開口49a(最もエンジンから離間した位置にある開口49a)からシリンダヘッド14の側方において左斜め下側に延びており、前記三つの気筒のうち最も上に位置する気筒の吸気ポート30に船外機右側から接続されている。
【0027】
第3の分岐通路50は、前記上流端の開口50a(最もエンジンに近接した位置にある開口50a)からシリンダヘッド14の側方において下方に延びており、前記三つの気筒のうち最も下に位置する気筒の吸気ポート30に船外機右側から接続されている。なお、第1の分岐通路48と第3の分岐通路50とを接続する気筒は、図6に示すように、上記の例とは異なるように変えたとしても、テストの結果、エンジンの性能に大きな差が生じることがないことが分かった。図6に示す第1の分岐通路48は、最も下に位置する気筒の吸気ポート30に接続され、第3の分岐通路50は、中央の気筒の吸気ポート30に接続されている。
【0028】
前記ジョイント43の内部に形成されているスロットル弁下流側の吸気通路48は、図3および図4に示すように、上流端から下流端に向かうにしたがって左右方向の幅が漸次広くなるように形成されている。この吸気通路47の上下方向の幅は、図2に示すように一定である。
【0029】
このジョイント43の内部には、本発明でいう棒体からなる分流部材を構成するピン52が立設されている。この実施例によるピン52は、上下方向(第1〜第3の分岐通路48〜50の開口48a〜50aが並ぶ方向とは直交する方向であって吸気が流れる方向とは直交する方向)に延びる丸棒によって形成されている。このピン52の外径は、後述する気化器44内の吸気通路の内径より小さくなるように形成されている。このピン52の上端は、ジョイント43の上壁43a(図2参照)に接続され、ピン52の下端は、ジョイント43の下壁43b(図2参照)に接続されている。
【0030】
このピン52の左右方向の位置は、図2および図4に示すように、平面視において、気化器44内に形成された吸気通路51の中心線Cの延長線C1上に位置付けられている。また、このピン52の前後方向の位置は、図4に示すように、平面視において、ジョイント43内に第2、第3の分岐通路49,50を上流側へ延長するように引いた2本の仮想線L1,L2が交わる位置の近傍に位置付けられている。
【0031】
前記仮想線L1は、ジョイント43の上流端の開口43cのうち最も左側(図4においては上側)に位置する端縁と、第2の分岐通路49の上流端の開口49aのうち最も左側に位置する端縁とを結んでいる。前記仮想線L2は、ジョイント43の上流端の開口43cのうち最も右側(図4においては下側)に位置する端縁と、第3の分岐通路50の上流端の開口50aのうち最も右側に位置する端縁とを結んでいる。
【0032】
気化器44は、バタフライ弁からなるスロットル弁53を備えており、このエンジン10の全ての気筒の燃料供給量と吸気量とを制御する。前記スロットル弁53は、図2に示すように、エンジン10の右側方においてリンク機構54を介して操作ワイヤ55に接続されている。スロットル弁53は、前記操作ワイヤ55の他端部に接続されたスロットル操作子(図示せず)を操作することにより人為的に開閉させられる。
【0033】
前記吸気サイレンサー46は、従来からよく知られているもので、吸気音が減衰するような形状に内部の吸気通路が形成されているとともに、吸音材(図示せず)を備えている。
【0034】
このように構成された吸気装置41によれば、エンジン運転時に吸気は、吸気サイレンサー46から吸気管45、気化器44、ジョイント43および吸気マニホールド42を介してエンジン10に吸引される。このとき、気化器44内の吸気通路51からジョイント43内の吸気通路47に流入した吸気は、第1〜第3の分岐通路48〜50のうち、負圧になっている分岐通路に吸引される。
【0035】
第1の分岐通路48に吸気が吸引される場合、この吸気の大部分は、ジョイント43内を開口48aに向けて流れる際にピン52に当たる。吸気がピン52に当たることによって、その流れる方向が変えられて流速が低下する。すなわち、ピン52は、第1の分岐通路48に向けて流れる吸気に対して吸気抵抗を付与するとともに、吸気をピン52の両側方に分配するように機能する。
【0036】
一方、第2、第3の分岐通路49,50に吸引される吸気の大部分は、ジョイント43内の吸気通路47の上流端から各分岐通路49,50の上流端の開口49a,50aまで斜めに直接(途中でピン52によって妨げられることなく)流れる。このため、第2、第3の分岐通路49,50に吸引される吸気は、吸気抵抗が相対的に小さい状態でジョイント43内を通過する。
【0037】
前記第1の分岐通路48の上流端の開口48aは、スロットル弁53と対向するように開口していることから第2、第3の分岐通路49,50の上流端の開口に較べて吸気が流入し易い。しかし、この第1の分岐通路48に流入する吸気の量は、前記ピン52により吸気抵抗が付与されているために、第2、第3の分岐通路49,50に流入する吸気の量と同等になると考えられる。
したがって、この実施例によれば、一つのスロットル弁53を通過した吸気を第1〜第3の分岐通路48〜50に略等しく分配することができる。
【0038】
この第1の実施例によれば、第1〜第3の分岐通路48〜50の上流端の開口48a〜50aのうち、エンジン10から最も離間する開口49aを有する第2の分岐通路49を、エンジン10の最も上に位置する気筒に接続し、第1〜第3の分岐通路48〜50の上流端の開口48a〜50aのうち、エンジン10に最も近接する開口50aを有する第3の分岐通路50を、エンジン10の最も下に位置する気筒に接続している。
【0039】
このため、この実施例によれば、各気筒の吸気通路の長さを略等しく形成することができ、各気筒の吸気量を略等しくすることができるから、エンジン10の回転を安定させることができる。その上、第1〜第3の分岐通路48〜50のそれぞれの屈曲部分の最小曲げR(曲率半径)を大きくすることができるから、第1〜第3の分岐通路48〜50内を吸気が流れるときの抵抗を低減することができる。
また、この実施例によれば、スロットル弁53が気化器44に設けられているから、吸気と燃料とを各気筒に均等に分配することができ、より一層エンジン10の回転を安定させることができる。
【0040】
(第2の実施例)
図1〜図6に示した実施例では、エンジンに燃料を供給するために気化器を使用する例を示したが、図7および図8に示すように、気化器の代わりに燃料噴射インジェクタを使用することができる。
【0041】
図7は燃料噴射インジェクタを備えたエンジンの吸気装置を示す側面図、図8は燃料噴射インジェクタを備えたエンジンの平面図で、同図においては、吸気装置および吸気装置に関連する部位を破断した状態で描いてある。図8に示す破断部分の断面位置を図7中にVIII−VIII線で示す。これらの図において、前記図1〜図6によって説明したものと同一もしくは同等の部材については、同一符号を付し詳細な説明を適宜省略する。
【0042】
図7および図8に示す吸気マニホールド42の上端部には、スロットル弁装置61が接続されている。このスロットル弁装置61は、バタフライ弁からなるスロットル弁53を備えている。このスロットル弁装置61の上流側端部には吸気管45を介して吸気サイレンサー46が接続されている。
【0043】
この吸気マニホールド42におけるシリンダヘッド14側の端部には、3本の燃料噴射インジェクタ62が取付けられている。この燃料噴射インジェクタ62は、第1〜第3の分岐通路48〜50の中間部分にそれぞれ設けられており、吸気弁24を指向するように吸気ポート30内へ燃料を噴射する。
【0044】
この実施例による燃料噴射インジェクタ62は、第1〜第3の分岐通路48〜50より船外機後側であって、平面視において、シリンダヘッド14と吸気マニホールド42とによって挟まれた空間Sに位置付けられている。
これらの燃料噴射インジェクタ62は、その一端部に取付けられた燃料レール63から燃料が供給される。この燃料レール63は、上下方向に延びるパイプからなり、前記3本の燃料噴射インジェクタ62が取付けられている。また、この燃料レール63は、シリンダボディ13の右側方に位置付けられたベーパーセパレータタンク64(図7参照)に接続されている。このベーパーセパレータタンク64内の燃料は。図示していない高圧燃料ポンプによって燃料レール63に供給される。
【0045】
このように第1〜第3の分岐通路48〜50に燃料噴射インジェクタ62を設けることにより、燃料を各分岐通路48〜50に最適な供給量となるように供給することができ、エンジン10の回転をさらに安定させることが可能になる。
【0046】
上述した第1、第2の実施例では分流部材を丸棒からなるピン52によって構成する例を示したが、本発明に係る棒体からなる分流部材は、このような限定にとらわれることなく、断面多角形の柱状体でもよい。また、上述した実施例ではピン52を上下方向に延びるように形成しているが、ピン52は、前上がりまたは後上がりに傾斜させることもできる。
【0047】
さらに、上述した第1、第2の実施例では吸気マニホールド42とシリンダヘッド14とを一体成形により一体に形成する例について説明したが、吸気マニホールド42は、シリンダヘッド14とは別体に形成することができる。この場合は、吸気マニホールド42を固定用ボルトなどによってシリンダヘッド14に固定する。
【0048】
加えて、本発明に係るエンジンの吸気装置は、図1〜図8に示すように船外機用エンジンに適用する他に、車両用のエンジンやその他の汎用エンジンにも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明に係るエンジンの吸気装置を備えた船外機の側面図である。
【図2】本発明に係るエンジンの吸気装置の側面図である。
【図3】本発明に係る吸気装置が設けられたエンジンの平面図である。
【図4】要部を拡大して示す断面図である。
【図5】吸気装置とシリンダヘッドとを船外機の後方から見た状態を示す背面図である。
【図6】吸気装置とシリンダヘッドとを船外機の後方から見た状態を示す背面図である。
【図7】燃料噴射インジェクタを備えたエンジンの吸気装置を示す側面図である。
【図8】燃料噴射インジェクタを備えたエンジンの平面図である。
【符号の説明】
【0050】
1…船外機、10…エンジン、14…シリンダヘッド、41…吸気装置、42…吸気マニホールド、43…ジョイント、44…気化器、48…第1の分岐通路、49…第2の分岐通路、50…第3の分岐通路、52…ピン、53…スロットル弁、62…燃料噴射インジェクタ、C…中心線、C1…延長線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スロットル弁と、このスロットル弁の下流側で分岐した3つの分岐通路と、これらの分岐通路の上流端と前記スロットル弁との間に設けられた分流部材とを有するエンジンの吸気装置であって、
前記3つの分岐通路は、前記スロットル弁を有する吸気通路の中心線の延長線上で開口する第1の分岐通路と、
この第1の分岐通路の両側で開口する第2、第3の分岐通路とから構成され、
前記分流部材は、前記第1〜第3の分岐通路の開口が並ぶ方向とは直交する方向であって吸気が流れる方向とは交差する方向に延びる棒体によって形成され、前記延長線上に位置付けられていることを特徴とするエンジンの吸気装置。
【請求項2】
請求項1記載のエンジンの吸気装置において、第1〜第3の分岐通路の上流端の開口は、船外機用3気筒エンジンの側方で水平方向に並び、
第1〜第3の分岐通路の上流端の開口のうち、エンジンから最も離間する開口を有する分岐通路は、エンジンの最も上に位置する気筒に接続され、
第1〜第3の分岐通路の上流端の開口のうち、エンジンに最も近接する開口を有する分岐通路は、エンジンの最も下に位置する気筒に接続されていることを特徴とするエンジンの吸気装置。
【請求項3】
請求項2記載のエンジンの吸気装置において、スロットル弁は気化器に設けられていることを特徴とするエンジンの吸気装置。
【請求項4】
請求項2記載のエンジンの吸気装置において、第1〜第3の分岐通路の中間部分には、それぞれ燃料噴射インジェクタが設けられていることを特徴とするエンジンの吸気装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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