説明

エンテロバクター・サカザキの同定のための発色性プレーティング培地

エンテロバクター・サカザキ細菌の同定のためのプレーティング培地であって、糖質を有するが、エンテロバクター・サカザキ細菌は当該培地中のいずれの糖質をも発酵することができない。当該培地はまた、pHが変化したときに培地の色を第一の色から第二の色へと変化させるpH指示色素、培地において第三の色を生じる、アルファ−グルコシダーゼおよびベータセレビオシダーゼ酵素にそれぞれ反応する第一および第二の発色性基質、および混合物を固形化するための寒天を含有する。当該糖質を発酵するがアルファ−グルコシダーゼおよび/またはベータ−セレビオシダーゼを産生しない微生物は第二の色のコロニーを産生し、エンテロバクター・サカザキ細菌を含むアルファ−グルコシダーゼおよび/またはベータ−セレビオシダーゼを産生する微生物は第三の色のコロニーを産生し、そして当該糖質を発酵しアルファ グルコシダーゼおよび/またはベータ−セレビオシダーゼを産生する微生物は、第二および第三の色の混合により生ずる色である第四の色のコロニーを生ずる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微生物の混合物を含有する環境から一つの特定の微生物を同定するためのデバイスに関する。より具体的には、本発明は複数の微生物を含有する環境からエンテロバクター・サカザキ(Enterobacter sakazakii)細菌の迅速な検出および同定のためのプレーティング培地に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の背景
エンテロバクター・サカザキは、細菌種として1980年に記載された。これはそれ以前は黄色色素性エンテロバクター・クロアカエ(Enterobacter cloacae)として知られていた。Leuschner、Baird、DonaldおよびCox“A Medium for the Presumptive Detection of Enterobacter sakazakii in Infant Formula”、Food Microbiology, 21 (2004), 527-533において報告されるように、エンテロバクター・サカザキは、高い致死率の新生児の髄膜炎の重症型に関連する。エンテロバクター・サカザキ髄膜炎の新生児の多くは感染後数日の間に死に至り、そして致死率は40%および80%の間で変化する、と報告されている、Nazarowec-WhiteおよびFarber、“Enterobacter sakazakii: A Review, International Journal of Food Microbiology 34 (1997) 103-113。エンテロバクター・サカザキ細菌の保有宿主は未知である一方、報告は粉末ミルクの乳幼児用製剤は感染のビヒクルであってもよいと示唆している。また、エンテロバクター・サカザキ細菌によって引き起こされる成人の感染の症例も報告されている。
【0003】
したがって、食物中または表面上のエンテロバクター・サカザキ細菌を検出し、同定するための迅速かつ正確なデバイスに対する明らかな需要がある。研究者らは、本願発明の前に、アルファ−グルコシダーゼ酵素に対して応答性の栄養寒天プレーティング培地を使用していたが、そのような培地は、偽陰性の産生を生じやすく、時間がかかり、そして望まない微生物のコロニーのために解読および解析が困難であった。したがって、そのような培地は、食物からのエンテロバクター・サカザキの単離および計数、または新生児および成人における感染の診断、のためには深刻な欠点を有する。Leuschner、Baird、DonaldおよびCox、上記、の論文は、酵素基質である4−メチル−ウンベリフェリル−アルファ−D−グルコシドを添加した栄養寒天を用いる、乳幼児用製剤におけるエンテロバクター・サカザキの検出および同定について記載する。このプレーティング培地は、いくつかのエンテロバクター・サカザキ分離株は基質である4−メチル−ウンベリフェリル−アルファ−D−グルコシドを利用できないので、相当の数の偽陰性を生じるであろう。さらに、この検出および同定工程は、別個の濃縮および検査工程を要求するため、過度に時間がかかる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の概要
本発明の目的は、本質的に偽陰性が生じない、エンテロバクター・サカザキの推定的な検出および同定のための培養プレーティング培地を提供することにある。
【0005】
本発明の目的はまた、従来技術のプレーティングよりも短時間でコロニーが生じ、そして観察および計数が可能な、エンテロバクター・サカザキ細菌の推定的な検出および同定のための培養プレーティング培地を提供することにある。
【0006】
本発明の目的はまた、容易に解読可能かつ他の非エンテロバクター・サカザキのコロニーと識別可能な、エンテロバクター・サカザキ細菌の推定的な検出および同定のための培養プレーティング培地を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、第一の色を呈し、そしてエンテロバクター・サカザキ細菌の増殖を促進するのに十分な栄養が提供された培養培地を提供することにより、本発明の目的を達成した。この培地にはまた、アルファ−グルコシダーゼ酵素に応答する第一の基質が提供されており、これにより培地を第二の色へと着色する。さらに、当該培地は少なくとも1の糖質、および、培地のpHの変化に応答する指示色素を、第三の色の培地へと色素を放出するために有する。当該糖質はエンテロバクター・サカザキによって発酵されない糖質のクラスから選択され、それによってエンテロバクター・サカザキ細菌が第二の色の培地においてコロニーを精製することを確実にする。当該糖質を発酵する微生物は、望まないコロニーを生成し、そしてこれらのコロニーは第三の色として現れる。すべてのエンテロバクター・サカザキ細菌により産生された酵素に応答するために、当該培地にはエンテロバクター・サカザキにより産生されるベータ−セレビオシダーゼに応答して、培地において同じ第二の色を生成する、第二の基質が提供される。
【0008】
当該培地は、4つの異なる群の微生物を識別する。第一に、当該糖質のいずれをも発酵せず、そして発色基質を使用しない微生物は、当該培地において第一の色のコロニーを生成する(当該培地の色)。第二に、糖質を発酵するが、発色基質を使用しない微生物は、当該培地において第二の色のコロニーを生成する。第三に、発色基質を使用するが、当該糖質のいずれをも発酵しない微生物は、当該培地において第三の色のコロニーを形成する(エンテロバクター・サカザキはこの群に属する)。第四に、糖質を発酵し、発色基質を使用する微生物は、当該培地において、第二および第三の色を一緒に混合して生じる色である、第四の色のコロニーを生成する。第一、第二、および第三の色を対比的な色になるよう選択することにより、4つすべての色が対比的となり得るので、処理しインキュベートしたプレートの表面上のコロニーの解読および計数を容易にする。
【0009】
本発明はまた、望まない微生物が培地上で増殖するのを妨げる。グラム陽性微生物、プロテウスおよびシュードモナス、についての阻害剤が培地の成分となる。効果的な阻害剤となるために、阻害剤は関心のある微生物を阻害してはならず、そして本願発明前にはプロテウスに対してエンテロバクター・サカザキの検出および同定のために寒天培地での使用のための効果的な阻害剤は知られていなかった。本発明者は、バンコマイシンおよびセフスルドイン(cefsuldoin)が、それぞれプロテウスおよびシュードモナスの阻害剤として機能すること、そしてエンテロバクター・サカザキの栄養培地における増殖に悪影響を与えないことを見出した。
【0010】
発明の詳細な説明
本発明のプレーティング培地は、特にタンパク質である、エンテロバクター・サカザキの増殖を促進する栄養素を含有する。好ましい態様において、トリプトン、ペプトンG、プロテオース−ペプトンおよびイーストエキストラクトの混合物が使用されるが、これらの成分のそれぞれは別個に使用でき、他の組合せにおいて使用でき、また、他の栄養素を使用できることが理解される。
【0011】
本発明者のエンテロバクター・サカザキの好ましい同定システムは、アルファ−グルコシダーゼ酵素と反応する基質を含有する固体プレーティング培地を利用する。好ましい基質は、切断されたときに濃い青色の沈殿物を生ずる5−ブロモ−4−クロロ−3−インドキシル−アルファ−D−グルコピラノシドである。本発明を実施するのに適した他の基質は、4−メチルウンベリフェリル−アルファ−D−グルコピラノシド、2−ナフチル−アルファ−D−グルコピラノシド、4−ニトロフェニル−アルファ−D−グルコピラノシド、5−ブロモ−6−クロロ−3−インドキシル−アルファ−D−グルコピラノシド、6−クロロ−3−インドキシル−アルファ−D−グルコピラノシド、3−インドキシル−アルファ−D−グルコピラノシド、および2−ニトロフェニル−アルファ−D−グルコピラノシドである。
【0012】
エンテロバクター・サカザキ細菌はアルファ−グルコシダーゼを産生する一方、すべてのエンテロバクター・サカザキがアルファ−グルコシダーゼ基質のみを伴うプレーティング培地によって検出されるわけではないので、したがって偽陰性という結果となる。この欠点を解消するため、本発明の培地はベータセレビオシダーゼ酵素に応答する第二の基質を組み込む。ほぼ100パーセントのエンテロバクター・サカザキはセレビオシダーゼを産生する。本発明の好ましい態様において、培地はセレビオシダーゼ酵素により切断される第二の基質を含有する;当該第二の基質は、第一の基質と同じ第三の色を生じ、よってエンテロバクター・サカザキ細菌についての偽陰性応答を除く。好ましい態様における第二の基質は、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドキシル−ベータ−D−セレビオシドである。ベータ−セレビオシダーゼ酵素に応答する他の基質は、4−メチルウンベリフェリル−ベータ−D−セレビオシド、2−ナフチル−ベータ−D−セレビオシド、4−ニトロフェニル−ベータ−D−セレビオシダーゼ、2−ニトロフェニル−ベータ−D−セレビオシダーゼ、5−ブロモ−6−クロロ−3−インドキシル−ベータ−D−セレビオシド、6−クロロ−3−インドキシル−ベータ−D−セレビオシド、および3−インドキシル−ベータ−D−セレビオシドである。
【0013】
5−ブロモ−4−クロロ−3−インドキシル−アルファ−D−グルコピラノシドおよび5−ブロモ−4−クロロ−3−インドキシル−ベータ−D−セレビオシドを用いた好ましい検出システムは、アルファ−グルコシダーゼおよびベータ−セレビオシダーゼ酵素に応答し、偽陰性を除くであろう。
【0014】
差別化システム(differentiation system)は、エンテロバクター・サカザキ細菌によって代謝されない1以上の糖質を用い、それはソルビトール、アドニトールおよびD−アラビトールの群から選択される。好ましい態様において、3つの糖質すべてが利用される。差別化システムはまた、指示色素をも用いる、これは培地のpHの変化に応答して培地の色を変化させるために色素をプレーティング倍地中に放出することにより応答するものであり、変化した色は培地の色および基質または(複数の)基質による活性化について生じた色とは著しく異なる。好ましい態様において、指示色素はフェノールレッドであり、これは培地のpHにおける酸性変化に応答して黄色を呈する。好ましい態様において、培地のpHは6.8から7.0に調整される。モル浸透圧濃度の目的で、塩化ナトリウムもまた培地に加えられる。
【0015】
本発明の好ましい態様においてはまた、エンテロバクター・サカザキの増殖を阻害しない阻害剤が用いられる。グラム陽性細菌の阻害剤が用いられ、そして好ましい態様においてそれは胆汁酸塩#3である。グラム陽性細菌の他の阻害剤もまた用いることができる。
【0016】
好ましい態様の培地は、好ましくはプロテウス属の増殖阻害剤を含有するが、公知のプロテウス属の阻害剤はエンテロバクター・サカザキの増殖をも阻害する。本発明者はバンコマイシンは、エンテロバクター・サカザキの増殖を遅延させることなくプロテウス属を遅延させることを見出し、そして本発明の培地の好ましい態様においてバンコマイシン塩酸塩はこの目的に組み込まれる。また、当該培地は、エンテロバクター・サカザキの増殖に影響を与えることなくシュードモナスおよびアエロモナス細菌を阻害するためにセフスロジンナトリウム水和物を含有する。
【0017】
プレーティング培地の好ましい態様は、以下の表に記載する割合で成分を含有する。
【0018】
【表1】

【0019】
セフスロジンナトリウム水和物およびバンコマイシン塩酸塩を除き、成分はいずれかの順序で混合され、pHは6.9から7.0に調整され、混合物を滅菌するため沸騰させ、そして混合物を室温まで冷ましておく。そしてその後、滅菌されたセフスロジンナトリウム水和物およびバンコマイシン塩酸塩を室温で、他の成分へ無菌的に添加する。次いで、当該調製物をプレートに注ぎ、そして暗所で48から72時間乾燥させ、そうしてプレートは使用する準備ができる。注がれたプレートの保管時間は、摂氏2度から8度で60日間までである。
【0020】
本発明の方法は、試験試料を播種するためのプレートまたはプレーティング培地の塊を必要とし、そして次いで播種された塊は一定の時間インキュベートして試験試料中の微生物を増殖させてコロニーを観察可能にする。本発明者は上述した好ましいプレーティング培地によれば、試験試料中に存在するエンテロバクター・サカザキのコロニーが裸眼で容易に観察可能なコロニーに増殖するのに、24時間の期間のインキュベーションが十分な時間であることを見出した。好ましいプレーティング培地における微生物の大量増殖は、トリプトン、ペプトン−G、プロテオース−ペプトン、イーストエキストラクト、ソルビトール、アドニトールおよびD−アラビトールによって提供される栄養素によるものであると信じられている。プレーティング培地塊の表面は、次いでアッセイされ、そして黒い沈殿を伴う青色〜黒色ないし青色〜灰色のコロニーの存在および数を記録する。また、透明から白色または黄色から緑色のコロニーの存在は、エンテロバクター・サカザキ以外の微生物を示すものとして記録される。
【0021】
インキュベートされたプレーティング培地の塊を観察するのに特別な装置を必要しないことを特に言及する。黒色の沈殿物を伴う青色〜黒色ないし青色〜灰色のコロニーの数および存在を記録するのに必要な時間は、他のコロニーが存在するときに必要な時間よりもずっと少ない。また、当該プレーティング培地中の成分には特に高価なものはない。したがって、試験試料のアッセイは、従来のプレーティング培地で行われるアッセイよりも少ないコストで行い得る。
【0022】
以下の表IIは、上述の方法による表Iに記載されるプレーティング培地の使用例を示すものであり、微生物を含有する試験試料は左欄に示され、そして観察されたコロニーの記述は右欄に示した。
【0023】
【表2】

【0024】
当業者は、本発明のプレーティング培地を利用する他の方法、または前述の本明細書おいて具体的に記載したものとは別の本発明の範囲内のプレーティング培地にを考え出すであろう。したがって、本発明の範囲は、前述の本明細書によって限定されるものではなく、むしろ付随する特許請求の範囲によるものであることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
他の微生物も含有するサンプルからのエンテロバクター・サカザキ(Enterobacter sakazakii)細菌の推定的な同定のための単離プレーティング培地であって、当該培地は第一の色で存在し、少なくとも1の糖質(エンテロバクター・サカザキ細菌は当該倍地中の当該糖質またはいずれの糖質も発酵できないが、当該糖質は他の微生物によって発酵されることができる)、培地のpHが変化したときに第一の色から第二の色へとプレーティング培地の色を変えるpH指示色素、アルファ−グルコシダーゼ酵素に反応して第三の色をプレーティング培地において反応の近傍で産生するための発色基質、および混合物を凝固するために十分な量の剤を含んでなり、それによって当該糖質を発酵するがアルファ−グルコシダーゼを産生しない微生物は当該プレーティング培地において第二の色のコロニーを産生し、アルファ−グルコシダーゼを産生し当該基質を使用するエンテロバクター・サカザキ細菌を含む培地中の微生物はプレーティング培地において第三の色のコロニーを産生し、そして、当該糖質を発酵しそしてアルファ−グルコシダーゼを産生する微生物はプレーティング培地において第四の色(これは第二および第三の色の混合の結果生じる色である)のコロニーを産生し、第一、第二、第三および第四の色は互いに対比的である、前記単離プレーティング培地。
【請求項2】
培地が第二の基質を含有し、当該第二の基質はベータ−D−セロビオシダーゼ酵素に反応してプレーティング培地において反応の近傍において第一の基質と同じ第三の色を産生する、請求項1を含んでなるエンテロバクター・サカザキ細菌の推定的な同定のための単離プレーティング培地。
【請求項3】
第一の基質が、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドキシル−アルファ−D−グルコピラノシド、4−メチルウンベリフェリル−アルファ−D−グルコピラノシド、2−ナフチル−アルファ−D−グルコピラノシド、4−ニトロフェニル−アルファ−D−グルコピラノシド、5−ブロモ−6−クロロ−3−インドキシル−アルファ−D−グルコピラノシド、6−クロロ−3−インドキシル−アルファ−D−グルコピラノシド、3−インドキシル−アルファ−D−グルコピラノシド、および2−ニトロフェニル−アルファ−D−グルコピラノシド、のクラスのメンバーである、請求項1を含んでなるエンテロバクター・サカザキ細菌の推定的な同定のための単離プレーティング培地。
【請求項4】
第二の基質が、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドキシル−ベータ−D−セロビオシド、4−メチルウンベリフェリル−ベータ−D−セロビオシド、2−ナフチル−ベータ−D−セロビオシド、4−ニトロフェニル−ベータ−D−セロビオシダーゼ、2−ニトロフェニル−ベータ−D−セロビオシダーゼ、5−ブロモ−6−クロロ−3−インドキシル−ベータ−D−セロビオシド、6−クロロ−3−インドキシル−ベータ−D−セロビオシド、および3−インドキシル−ベータ−D−セロビオシド、のクラスのメンバーである、請求項2を含んでなるエンテロバクター・サカザキ細菌の推定的な同定のための単離プレーティング培地。
【請求項5】
培地が少なくとも1の糖質を有し、当該糖質はソルビトール、アドニトール、およびD−アラビトール、のクラスのメンバーである、請求項1を含んでなるエンテロバクター・サカザキ細菌の推定的な同定のための単離プレーティング培地。
【請求項6】
指示色素がフェノールレッドである、請求項1を含んでなるエンテロバクター・サカザキ細菌の推定的な同定のための単離プレーティング培地。
【請求項7】
培地が、エンテロバクター・サカザキ細菌の増殖を促進する少なくとも1の栄養成分を含む、請求項1を含んでなるエンテロバクター・サカザキ細菌の推定的な同定のための単離プレーティング培地。
【請求項8】
栄養成分が、トリプトン、ペプトンG、プロテオース−ペプトン、およびイーストエキストラクトのクラスの1またはそれより多くのメンバーを含んでなる、請求項7を含んでなるエンテロバクター・サカザキ細菌の推定的な同定のための単離プレーティング培地。
【請求項9】
培地が、グラム陽性微生物、プロテウス属、シュードモナス属、およびエロモナス属のクラスの1またはそれより多くのメンバーを含む選択された非標的微生物の増殖を遅らせる1またはそれより多くの成分を含む、請求項1を含んでなるエンテロバクター・サカザキ細菌の推定的な同定のための単離プレーティング培地。
【請求項10】
プロテウス属の増殖を遅らせる成分がバンコマイシンである、請求項9を含んでなるエンテロバクター・サカザキ細菌の推定的な同定のための単離プレーティング培地。
【請求項11】
シュードモナス属およびエロモナス属の増殖を遅らせる成分がセフスロジンである、請求項9を含んでなるエンテロバクター・サカザキ細菌の推定的な同定のための単離プレーティング培地。
【請求項12】
グラム陽性微生物の増殖を遅らせる成分が胆汁酸塩#3である、請求項9を含んでなるエンテロバクター・サカザキ細菌の推定的な同定のための単離プレーティング培地。
【請求項13】
他の微生物も含有するサンプルからのエンテロバクター・サカザキ細菌の推定的な同定のための単離プレーティング培地であって、当該培地は第一の色で存在し、少なくとも1の糖質(エンテロバクター・サカザキ細菌は当該倍地中の当該糖質またはいずれの糖質も発酵できないが、当該糖質は他の微生物によって発酵されることができる)、培地のpHが変化したときに第一の色から第二の色へとプレーティング培地の色を変えるpH指示色素、アルファ−グルコシダーゼ酵素に反応する第一の発色基質およびベータ−セレビオシダーゼ酵素に反応する第二の発色基質(当該第一および第二の発色基質は同じ第三の色をプレーティング培地において反応の近傍で産生する)、および混合物を凝固するために十分な量の剤を含んでなり、それによって当該糖質を発酵するがアルファ−グルコシダーゼまたはベータ−セレビオシダーゼを産生しない微生物は当該プレーティング培地において第二の色のコロニーを産生し、当該基質を使用し、そしてアルファ−グルコシダーゼまたはベータ−セレビオシダーゼ、あるいはアルファ−グルコシダーゼおよびベータ−セレビオシダーゼを産生し、そしていずれの糖質も発酵しない、エンテロバクター・サカザキ細菌を含む培地中の微生物はプレーティング培地において第三の色のコロニーを産生し、そして、当該糖質を発酵しそしてアルファ−グルコシダーゼまたはベータ−セレビオシダーゼ、あるいはアルファ−グルコシダーゼおよびベータ−セレビオシダーゼを産生する微生物はプレーティング培地において第四の色(これは第二および第三の色の混合の結果生じる色である)のコロニーを産生し、第一、第二、第三および第四の色は互いに対比的である、前記単離プレーティング培地。
【請求項14】
第一の基質が、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドキシル−アルファ−D−グルコピラノシド、4−メチルウンベリフェリル−アルファ−D−グルコピラノシド、2−ナフチル−アルファ−D−グルコピラノシド、4−ニトロフェニル−アルファ−D−グルコピラノシド、5−ブロモ−6−クロロ−3−インドキシル−アルファ−D−グルコピラノシド、6−クロロ−3−インドキシル−アルファ−D−グルコピラノシド、3−インドキシル−アルファ−D−グルコピラノシド、および2−ニトロフェニル−アルファ−D−グルコピラノシド、のクラスのメンバーである、請求項13を含んでなるエンテロバクター・サカザキ細菌の推定的な同定のための単離プレーティング培地。
【請求項15】
第二の基質が、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドキシル−ベータ−D−セロビオシド、4−メチルウンベリフェリル−ベータ−D−セロビオシド、2−ナフチル−ベータ−D−セロビオシド、4−ニトロフェニル−ベータ−D−セロビオシダーゼ、2−ニトロフェニル−ベータ−D−セロビオシダーゼ、5−ブロモ−6−クロロ−3−インドキシル−ベータ−D−セロビオシド、6−クロロ−3−インドキシル−ベータ−D−セロビオシド、および3−インドキシル−ベータ−D−セロビオシド、のクラスのメンバーである、請求項13を含んでなるエンテロバクター・サカザキ細菌の推定的な同定のための単離プレーティング培地。
【請求項16】
他の微生物も含有するサンプルからのエンテロバクター・サカザキ細菌の推定的な同定のための単離プレーティング培地であって、当該培地は第一の色で存在し、ソルビトール、アドニトール、およびD−アラビトールのクラスのメンバーである少なくとも1の糖質(エンテロバクター・サカザキ細菌は当該倍地中の当該糖質またはいずれの糖質も発酵できないが、当該糖質は他の微生物によって発酵されることができる)、培地のpHが変化したときに第一の色から第二の色へとプレーティング培地の色を変えるpH指示色素、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドキシル−アルファ−D−グルコピラノシド、4−メチルウンベリフェリル−アルファ−D−グルコピラノシド、2−ナフチル−アルファ−D−グルコピラノシド、4−ニトロフェニル−アルファ−D−グルコピラノシド、5−ブロモ−6−クロロ−3−インドキシル−アルファ−D−グルコピラノシド、6−クロロ−3−インドキシル−アルファ−D−グルコピラノシド、3−インドキシル−アルファ−D−グルコピラノシド、および2−ニトロフェニル−アルファ−D−グルコピラノシドのクラスのメンバーである第一の発色基質、ベータ−セレビオシダーゼに反応する第二の発色基質、当該第二の発色基質は5−ブロモ−4−クロロ−3−インドキシル−ベータ−D−セロビオシド、4−メチルウンベリフェリル−ベータ−D−セロビオシド、2−ナフチル−ベータ−D−セロビオシド、4−ニトロフェニル−ベータ−D−セロビオシダーゼ、2−ニトロフェニル−ベータ−D−セロビオシダーゼ、5−ブロモ−6−クロロ−3−インドキシル−ベータ−D−セロビオシド、6−クロロ−3−インドキシル−ベータ−D−セロビオシド、および3−インドキシル−ベータ−D−セロビオシドのクラスのメンバーであり、当該第一および第二の発色基質は同じ第三の色をプレーティング培地において反応の近傍で産生する、および混合物を凝固するために十分な量の剤を含んでなり、それによって当該糖質を発酵するがアルファ−グルコシダーゼまたはベータ−セレビオシダーゼを産生しない微生物は当該プレーティング培地において第二の色のコロニーを産生し、1または両方の当該基質を使用し、そしてアルファ−グルコシダーゼまたはベータ−セレビオシダーゼ、あるいはアルファ−グルコシダーゼおよびベータ−セレビオシダーゼを産生し、そしていずれの糖質も発酵しない、エンテロバクター・サカザキ細菌を含む培地中の微生物はプレーティング培地において第三の色のコロニーを産生し、そして、当該糖質を発酵しそして当該基質を使用する微生物はプレーティング培地において第四の色(これは第二および第三の色の混合の結果生じる色である)のコロニーを産生し、第一、第二、第三および第四の色は互いに対比的である、前記単離プレーティング培地。
【請求項17】
培地が、グラム陽性微生物、プロテウス属、シュードモナス属、およびエロモナス属のクラスの1またはそれより多くのメンバーを含む選択された非標的微生物の増殖を遅らせる1またはそれより多くの成分を含む、請求項16を含んでなるエンテロバクター・サカザキ細菌の推定的な同定のための単離プレーティング培地。
【請求項18】
培地が、プロテウス属の増殖を遅らせるためにバンコマイシンを含む、請求項16を含んでなるエンテロバクター・サカザキ細菌の推定的な同定のための単離プレーティング培地。
【請求項19】
培地が、シュードモナス属およびエロモナス属の増殖を遅らせるためにセフスロジンを含む、請求項16を含んでなるエンテロバクター・サカザキ細菌の推定的な同定のための単離プレーティング培地。

【公表番号】特表2008−545382(P2008−545382A)
【公表日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−511410(P2008−511410)
【出願日】平成18年5月12日(2006.5.12)
【国際出願番号】PCT/US2006/018447
【国際公開番号】WO2006/124600
【国際公開日】平成18年11月23日(2006.11.23)
【出願人】(507375317)アール・アンド・エフ・プロダクツ・インコーポレーテッド (1)
【Fターム(参考)】