説明

エンドエフェクタを作製するためのシステムおよび方法

【課題】結び目付きエンドエフェクタと、結び目付きエンドエフェクタを作製する方法とを提供すること。
【解決手段】縫合糸であって、長手方向軸を規定する本体部分と、該本体部分から一体的に形成されるエンドエフェクタであって、該エンドエフェクタは、第1の区画と第2の区画とを有し、各区画は少なくとも2つの行程を含み、該第2の区画の該少なくとも2つの行程は、該第1の区画の該少なくとも2つの行程を通過する、エンドエフェクタとを備えている、縫合糸。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の参照)
本願は、2009年8月25日に出願された米国仮特許出願第61/236,711号の利益と、この仮特許出願に対する優先権を主張し、この仮特許出願の内容の全体が本明細書において参照により援用される。
【0002】
(背景)
(技術分野)
本開示は、外科手術用縫合糸のためのエンドエフェクタに関する。より詳細には、本開示は、結び目付きエンドエフェクタと、結び目付きエンドエフェクタを結束する方法とに関する。
【背景技術】
【0003】
(関連技術の背景)
医療用縫合糸は、種々の材料から形成され得、制限のない用途において使用するように構成され得る。縫合糸の近位端部は、組織を穿刺するために、先鋭化された先端を有し得るか、または針を含み得る。縫合糸の遠位端部は、縫合糸が組織を通して引っ張られる場合に、組織との係合を維持するアンカまたはエンドエフェクタを含み得る。エンドエフェクタは、多くの大きさおよび構成で入手可能である。
【0004】
多くの例において、医療従事者は、縫合糸において結び目を結束して、組織内に縫合糸を固定することを好み得る。医療従事者は、この実践を便利であると見出し得るが、組織の端部に形成された結び目は、常に、縫合糸が組織を通して引っ張られることを防ぐために適しているわけではない。例えば、結び目はスリップし得るか、または組織を係合するには小さすぎる場合があり得る。さらに、特に、多くの手順において使用することが必要とされる細い縫合糸材料を用いて結び目を結束することは、退屈で、時間を浪費する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
それゆえ、結び目付きエンドエフェクタと、結び目付きエンドエフェクタを作製する方法とに対する継続したニーズがある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
従って、結び目付きエンドエフェクタを含む縫合糸が提供される。この縫合糸は、長手方向軸を規定する本体部分と、この本体部分から一体的に形成されたエンドエフェクタとを含み、このエンドエフェクタは、第1の区画と第2の区画とを有し、各区画は少なくとも2つの行程(throw)を含み、第2の区画の少なくとも2つの行程は、第1の区画の少なくとも2つの行程を通って形成される。第1および第2の区画は、それぞれ3つの行程を含み得る。第1の区画における行程の数は、第2の区画における行程の数と同数かまたは異なり得る。エンドエフェクタは、本体部分の遠位部分上に形成され得る。
【0007】
エンドエフェクタを形成する方法も提供される。この方法は、一本の縫合糸を提供するステップと、「n」個の行程を有する第1の区画を形成するために、マンドレルの周りに縫合糸の第1の端部を「n」回巻き付けるステップと、「m」個の行程を有する第2の区画を形成するために、第1の区画を通して縫合糸の第1の端部を「m」回巻き付けるステップと、マンドレルから縫合糸を取り外すステップと、第1の区画と第2の区画とを互いの周りにピンと張るために縫合糸の第1の端部および第2の端部を互いに反対の方向に引っ張るステップとを含む。縫合糸の第1の端部および第2の端部を互いに反対の引っ張ることによりエンドエフェクタが形成される。この方法は、エンドエフェクタの隣に縫合糸の第1の端部を切り取るステップをさらに含み得る。
【0008】
エンドエフェクタを形成するために使用されるマンドレルは、縫合糸の第1の端部を受容する少なくともチャネルを含む。マンドレルは、複数のチャネルまたは「m」個のチャネルを含み得る。「n」と「m」とは等しかったり、等しくなかったりする。第2のループに縫合糸の第2の端部を通すステップは、上から下の方向で、または下から上の方向で行われ得る。
【0009】
例えば、本発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
縫合糸であって、
長手方向軸を規定する本体部分と、
該本体部分から一体的に形成されるエンドエフェクタであって、該エンドエフェクタは、第1の区画と第2の区画とを有し、各区画は少なくとも2つの行程を含み、該第2の区画の該少なくとも2つの行程は、該第1の区画の該少なくとも2つの行程を通過する、エンドエフェクタと
を備えている、縫合糸。
(項目2)
上記第1の区画は、3つの行程を含む、上記項目に記載の縫合糸。
(項目3)
上記第2の区画は、3つの行程を含む、上記項目のいずれかに記載の縫合糸。
(項目4)
上記第1の区画における行程の数は、上記第2の区画における行程の数と等しい、上記項目のいずれかに記載の縫合糸。
(項目5)
上記第1の区画における行程の数は、上記第2の区画における行程の数と異なる、上記項目のいずれかにに記載の縫合糸。
(項目6)
上記エンドエフェクタは、上記本体部分の遠位端部に形成される、上記項目のいずれかにに記載の縫合糸。
(項目7)
エンドエフェクタを形成する方法であって、該方法は、
一本の縫合糸を提供するステップと、
「n」個の行程を有する第1の区画を形成するために、該縫合糸の第1の端部をマンドレルの周りに「n」回巻き付けるステップと、
「m」個の行程を有する第2の区画を形成するために、該第1の区画を通して、該縫合糸の第1の端部を「m」回巻き付けるステップと、
該マンドレルから該縫合糸を取り外すステップと、
該第1の区画と該第2の区画とを互いの周りにピンと張るために該縫合糸の該第1の端部および該第2の端部を互いに反対の方向に引っ張るステップと
を含む、方法。
(項目8)
上記縫合糸の上記第1の端部および上記第2の端部を反対の方向に引っ張ることは、エンドエフェクタを形成する、上記項目に記載の方法。
(項目9)
上記エンドエフェクタに隣接する上記縫合糸の上記第1の端部を切り取るステップをさらに含む、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目10)
上記マンドレルは、上記縫合糸の上記第1の端部を受容する少なくとも1つのチャネルを含む、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目11)
上記マンドレルは、複数のチャネルを含む、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目12)
上記マンドレルは、「m」個のチャネルを含む、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目13)
第2のループに上記縫合糸の上記第2の端部を通すステップは、上から下の方向で行われる、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目14)
第2のループに上記縫合糸の上記第2の端部を通すステップは、下から上の方向で行われる、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目15)
「n」と「m」とは等しい、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目16)
「n」と「m」とは等しくない、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目17)
「n」は3に等しい、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目18)
「m」は3に等しい、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目19)
エンドエフェクタを形成する方法であって、該方法は、
一本の縫合糸を提供するステップと、
該一本の縫合糸内に「n」個の行程を有する第1の区画を形成するステップと、
「m」個の行程を有する第2の区画を形成するために、該第1の区画に該縫合糸の第1の端部を「m」回通すステップと、
該第1の区画と該第2の区画とを互いの周りにピンと張るために該縫合糸の該第1の端部および該第2の端部を互いに反対の方向に引っ張るステップと
を含む、方法。
【0010】
(摘要)
結び目付きエンドエフェクタを含む縫合糸が提供される。この縫合糸は、長手方向軸を規定する本体部分と、この本体部分から一体的に形成されるエンドエフェクタとを含み、このエンドエフェクタは、第1の区画と第2の区画とを有し、各区画は、少なくとも2つの行程を含み、第2の区画の少なくとも2つの行程は、第1の区画の少なくとも2つの行程を通過する。第1の区画の行程の数は、第2の区画の行程の数と等しかったり、異なっていたりする。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付の図面は、本開示の実施形態を図示し、上記の開示の一般的な記載と共に、以下の実施形態の詳細な説明は、本開示の原理を説明することに役立つ。
【図1】図1は、本開示の実施形態に従うエンドエフェクタの斜視図である。
【図2】図2〜図10は、本開示に従うエンドエフェクタを形成する方法の連続的なステップを示す。
【図3】図2〜図10は、本開示に従うエンドエフェクタを形成する方法の連続的なステップを示す。
【図4】図2〜図10は、本開示に従うエンドエフェクタを形成する方法の連続的なステップを示す。
【図5】図2〜図10は、本開示に従うエンドエフェクタを形成する方法の連続的なステップを示す。
【図6】図2〜図10は、本開示に従うエンドエフェクタを形成する方法の連続的なステップを示す。
【図7】図2〜図10は、本開示に従うエンドエフェクタを形成する方法の連続的なステップを示す。
【図8】図2〜図10は、本開示に従うエンドエフェクタを形成する方法の連続的なステップを示す。
【図9】図2〜図10は、本開示に従うエンドエフェクタを形成する方法の連続的なステップを示す。
【図10】図2〜図10は、本開示に従うエンドエフェクタを形成する方法の連続的なステップを示す。
【図11A】図11Aは、本開示に従うエンドエフェクタの半自動作製のためのシステムの正面図であり、スプールとガイド部材と縫合糸巻き取りデバイスとを含む。
【図11B】図11Bは、図11Aの縫合糸巻き取りデバイスの上面図である。
【図12A】図12Aは、動作時の図11Aおよび図11Bの縫合糸巻き取りデバイスの正面図である。
【図12B】図12Bは、動作時の図12Aの縫合糸巻き取りデバイスの上面図である。
【図13A】図13Aは、ブレーキアセンブリが作動している、図11A〜図12Bの縫合糸巻き取りデバイスの正面図である。
【図13B】図13Bは、図13Aの縫合糸巻き取りデバイスの上面図である。
【図14A】図14Aは、縫合糸の手動操作の間の図11A〜図13Bの縫合糸巻き取りデバイスの正面図である。
【図14B】図14Bは、図14Aの縫合糸巻き取りデバイスの正面図である。
【図15A】図15Aは、ブレーキアセンブリが作動しておらず、縫合糸がマンドレルから取り外されている、図11A〜図14Bの縫合糸巻き取りデバイスの正面図である。
【図15B】図15Bは、図15Aの縫合糸巻き取りデバイスの正面図である。
【図16】図16は、図11A〜図15Bの縫合糸巻き取りデバイスの支援によって構成されたエンドエフェクタの側面図である。
【図17】図17は、図16のエンドエフェクタの側面図であり、余分な縫合糸材料が、エンドエフェクタから切り取られている。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(詳細な説明)
最初に図1を参照すると、本開示に従うエンドエフェクタの実施形態が、概してエンドエフェクタ10として示される。示されるように、エンドエフェクタ10は縫合糸12の第1の端部または遠位端部12a上に形成されているが、エンドエフェクタ10は、一本の縫合糸12に沿う任意の場所に形成され得る。縫合糸12は、分解可能材料、非分解可能材料、およびこれらの組み合わせで形成され得る。より詳細には、縫合糸12は、ポリエステル、ポリオルトエステル、ポリマー医薬、ポリヒドロキシブチレート(polydroxybutyrate)、ラクトン、タンパク質、カットガット、コラーゲン、カーボネート、それらのホモポリマー、それらのコポリマー、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される分解可能材料で形成され得る。他の実施形態において、縫合糸12を形成するために利用され得る適切な分解可能材料は、天然コラーゲン材料または合成樹脂を含み、これらは、アルキレンカーボネート(例えば、トリメチレンカーボネート、テトラメチレンカーボネートなど)、カプロラクトン、ジオキサノン、グリコール酸、乳酸、それらのホモポリマー、それらのコポリマー、およびそれらの組み合わせから導出されるものを含む。いくつかの実施形態において、グリコリドおよびラクチドベースのポリエステル、特にグリコリドおよびラクチドのコポリマーが縫合糸12を形成するために利用され得る。
【0013】
縫合糸12を形成するために利用され得る適切な非分解可能材料は、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレンおよびポリプロピレン、ポリエチレンおよびポリプロピレンのコポリマー、ならびにポリエチレンおよびポリプロピレンのブレンド)、ポリアミド(例えば、ナイロン)、ポリアミン、ポリイミン、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエーテルエステル(例えば、ポリブトエステル(polybutester))、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、1,4−ブタンジオール、ポリウレタン、およびこれらの組み合わせを含む。他の適切な非分解可能材料は、絹、コラーゲン、綿、リネン、炭素繊維などを含む。ポリプロピレンは、アイソタクチックポリポリプロピレン、あるいは、アイソタクチックポリプロピレンとシンジオタクチックポリプロピレンまたはアタクチックポリプロピレンとの混合物であり得る。
【0014】
縫合糸12は、当業者の範囲内の任意の技術(例えば、押し出し成形、成形、および/または溶液キャスティング)を用いて形成され得る。いくつかの実施形態において、縫合糸12は、2以上のフィラメントから構成されるヤーンを含み得、このヤーンは、同一の材料または異なる材料の複数のフィラメントを含み得る。縫合糸12が複数のフィラメントで構成されている場合、縫合糸12は、任意の公知の技術(例えば、編組、ウィービングまたはニッティング)を用いて構成され得る。縫合糸12は、不織縫合糸を生成するために組み合わされ得る。縫合糸12は、縫合糸形成プロセスの一部としてヤーンを形成するために、引き出され、方向付けられ、縮らされ、撚り合わされ、混紡され、または混繊され得る。一実施形態において、マルチフィラメント縫合糸は、編組によって生成され得る。編組は、当業者の範囲内の任意の方法で行われ得る。
【0015】
なお図1を参照して、エンドエフェクタ10は、組織または他の材料を通る縫合糸12の完全なる受容を防ぐように構成されている。エンドエフェクタ10は、縫合糸12の遠位端部12a上に、縫合糸12よりも数倍厚い結び目を形成する。エンドエフェクタ10は、第1の区画20と第2の区画30とを含む。第1の区画20および第2の区画30の各々は、それぞれ、複数の行程22a−cおよび32a−cから形成される。本明細書で使用される場合、行程は、2つのへりを少なくとも360度巻くことまたは織ることとして定義される。示されるように、第1の区画20および第2の区画30は、それぞれ、3つの行程22a−cおよび32a−cを含む。しかしながら、第1の区画20および第2の区画30は、任意の数の行程22a−cおよび32a−cを含み得ることが想定される。第1の区画20上の行程の数は、必ずしも、第2の区画30上の行程の数と等しくならないことがさらに想定される。一実施形態において、縫合糸12は、一本の縫合糸12に沿って形成された1以上のかえしを含む。
【0016】
手で、エンドエフェクタ10を形成する方法が、ここで、図2〜図8を参照して説明される。最初に図2を参照すると、縫合糸112は、まず所望の長さに切断される。一本の縫合糸112は、エンドエフェクタ110を結束する前に、縫合糸112が使用される用途に依存して変化し得る。結果生じるエンドエフェクタ110(図10)の所望の大きさは、縫合糸112の予め結束された長さにも影響する。エンドエフェクタ110の第1の区画120および第2の区画130のそれぞれに形成された行程122a−cおよび132a−c(図10)が多ければ多いほど、エンドエフェクタ110の形成前の縫合糸112の必要とされる長さが大きくなる。追加の長さは、エンドエフェクタ110を結束することを容易にするために提供され得る。追加の長さは、エンドエフェクタ110が結束された後に切り取られ得る。
【0017】
図3および図4を参照すると、縫合糸112の第1の短い端部112aが第1の行程122aを形成するためにマンドレル50(想像線で示される)の周りに巻き付けられる。第2の行程122bおよび第3の行程122cは、同様に形成され(それぞれ、図5および図6)、エンドエフェクタ110の第1の区画120が完了する。マンドレル50の周りに形成されるように開示されるが、エンドエフェクタ110の第1の区画120は、自由端部を有する任意の細長い物体の周りに形成され得る。あるいは、行程122a−cは、結び目層の第2の手部または自由手部に形成される。区画120は、任意の数「n」個の行程122を含み得る。3つの行程122a−cを含んで示されているが、区画120は3つより少ないか、または3つより多い行程を含み得る。
【0018】
図6〜図9を参照すると、縫合糸112の短い端部112aは、次に、第1の行程132aを形成するために、行程122a−cの周りに第1の区画を通して巻き付けられる。縫合糸112の短い端部112aは、「m」個の行程132a−cを形成するために、第1の区画を通して、「m」回巻き付けられ得る。行程132a−cは第2の区画130を形成する。示されるように、第1の端部112aは、3つの行程132a−cを形成するために、第1の区画120の周りに3回巻き付けられる。上述したように、第2の区画130は、3つより少ないか、または3つより多い行程132を含み得、必ずしも、第1の区画120を形成する行程122a−cの数「n」と等しくならない。マンドレル50(図3)は、第1の区画120の周りへの縫合糸112の第1の端部112aの巻き付けを容易にするように構成され得る任意の数のチャネル(図示されない)を含み得る。
【0019】
ここで、図10を参照すると、第1の区画120および第2の区画130を形成すると、縫合糸112はマンドレル50(図3)から取り外される。次いで、縫合糸112の第1の端部112aおよび第2の端部112bは、把持され、矢印「A」および「B」によって示されるように互いに反対の方向に引っ張られ得、第1の区画120および第2の区画130をピンと張り、エンドエフェクタ110を形成する。短い端部112aは、次いで、必要に応じて、エンドエフェクタの近くで、またはエンドエフェクタから離れて切断され得る。縫合糸112の短い端部112aを用いて形成されるように示され、記載されているが、エンドエフェクタ110は、縫合糸112のいずれかの端部112a、112bを用いて形成され得る。この態様で、縫合糸112のいずれかの端部112a、112bは、点線「y」および「z」によって表されるように、必要に応じて、エンドエフェクタの近くで、またはエンドエフェクタから離れて切断され得る。
【0020】
エンドエフェクタ210(図16)を形成する半自動化方法が、ここで、図11A〜図16を参照して記載される。まず、図12Aを参照すると、エンドエフェクタ210の半自動化作製のためのシステムが、概して、システム200として示される。示されるように、システム200は、糸の供給源(すなわち、スプール242)と、縫合糸112を方向付け、ピンと張るためのガイド243と、縫合糸巻き取りデバイス244とを含む。
【0021】
ここで、特に、図11Aおよび図11Bを参照すると、縫合糸巻き取りデバイス244は、基部246と、モータアセンブリ248と、モータアセンブリ248から延びているマンドレル250とを含む。マンドレル250は、マンドレル250の長さ方向に少なくとも部分的に沿って延びている複数の長手方向チャネル252を含む。以下にさらに詳細に論じるように、チャネル252は、エンドエフェクタ210(図16)の第2の区画220の形成を容易にする。マンドレル250は、モータアセンブリ248によって、マンドレル250の中心軸「x」の周りを回転するように構成されている。アーム254は、マンドレル250から横断方向に延びている。アーム254は、縫合糸212の第1の端部212aを固定するために、アーム254の遠位端部254b上にクランプ部材256を含む。縫合糸巻き取りデバイス244は、さらに、ブレーキアセンブリ260を含む。ブレーキアセンブリ260は、マンドレル250を係合するように構成されている。ブレーキアセンブリ260は、第1および第2のブレーキ部材262および264を含む。第1のブレーキ部材262および第2のブレーキ部材264は、それぞれ、基部246に旋回可能に固定され、マンドレル250を選択的に係合するように構成されている。
【0022】
さらに、図11Aおよび図11Bを参照すると、縫合糸212の第1の端部212aが最初にクランプ部材244に固定される。ここで、図12Aおよび図12Bを参照すると、モータアセンブリ248の作動が、マンドレル250を、矢印「C」の方向で長手方向軸「x」の周りに回転させる。マンドレル250の回転により、縫合糸212は、マンドレル250の周りに巻き付けられ、第1の行程222aを形成する。マンドレル250の継続した回転は、さらなる行程222b、222cを作製し、これにより、第1の区画220を形成する。エンドエフェクタ110に関して上述されたように、エンドエフェクタ210の第1の区画220は、任意の数の行程222であり得る。
【0023】
ここで、図13Aおよび図13Bを参照して、「n」個の行程222を含む第1の区画220を形成すると、ブレーキアセンブリ260が作動される。ブレーキアセンブリ260の作動は、第1のブレーキ部材262と第2のブレーキ部材264とを、それぞれ、矢印「D」および「E」の方向に旋回させ、マンドレル250と係合させることによって、マンドレル250を係止して、マンドレル250のさらなる回転を防ぐ。ブレーキ部材262、264は、さらに、第1の区画220の行程222a−cを係合することによって、第1の区画220の巻き付けが解かれた状態になることを防ぐように構成され得る。
【0024】
続けて図14Aおよび図14Bを参照すると、ブレーキアセンブリ260が作動されると、縫合糸212の第1の端部212aはクランプ240から取り外される。次いで、縫合糸212の第1の端部212aは、マンドレル250に形成されたチャネル252の第1のチャネル252aを用いて第1の区画220の行程222a−cの周りに巻き付けられる。第2のチャネル252bおよび第3のチャネル252cを用いると、縫合糸212の第1の端部212aは、第2の行程222bおよび第3の行程チャネル222cを形成するために、行程222a−cの周りにさらに2回巻き付けられる。上述したように、第2の区画230は、3つより多いか少ない行程222を含み得、必ずしも第1の区画220と行程222の数において等しい必要はない。
【0025】
ここで、図15Aおよび図15Bを参照して、第2の区画220を形成すると、ブレーキアセンブリ260の第1のブレーキ部材262および第2のブレーキ部材264は、矢印「F」および「G」の方向に、マンドレル250との係合から後退させられる。ブレーキアセンブリ260の係合解除は、縫合糸212が、矢印「H」の方向にマンドレル250からスライドされることを可能にする。縫合糸212がマンドレル250からスライドされると、縫合糸212の第1の端部212aおよび212bが、矢印「I」および「J」によって示される反対の方向に引っ張られる。
【0026】
ここで、図16を参照すると、縫合糸212がマンドレル250から取り外されると、第1の端部212aおよび212bを互いに反対の方向に継続的に引くことが、第1の区画220および第2の区画230を互いにピンと張った状態にさせ、その結果エンドエフェクタ210を形成する。縫合糸212は、マンドレル250から取り外される前、またはマンドレル250から取り外した後に、ある長さで切断され得る。
【0027】
ここで、図17を参照すると、エンドエフェクタ210は、縫合糸212から形成され、縫合糸212の第1の端部212aは、エンドエフェクタ210の近くで切断され、余分な材料を取り除く。縫合糸212の第1の端部212aは、必要に応じてエンドエフェクタ210の近くか、またはエンドエフェクタ210から離れて切り取られ得る。一実施形態において、縫合糸212の第1の端部212aは、使用中に、医療従事者に縫合糸212を後退させるか、または操作する手段を提供するために長いままにされる。
【0028】
本開示の例示的な実施形態が添付の図面を参照して本明細書に記載されてきたが、本開示はこれらの正確な実施形態に限定されないことと、様々な他の変更および修正が、本開示の範囲または精神から逸脱することなしに当業者によって実行され得ることとが理解されるべきである。例えば、縫合糸12は、エンドエフェクタ10の遠位に形成されることにより、組織内から縫合糸12を引き出すことを可能にするループを含み得ることが想定される。
【符号の説明】
【0029】
10 エンドエフェクタ
12 縫合糸
20 第1の区画
30 第2の区画
22a−c、32a−c 行程

【特許請求の範囲】
【請求項1】
縫合糸であって、
長手方向軸を規定する本体部分と、
該本体部分から一体的に形成されるエンドエフェクタであって、該エンドエフェクタは、第1の区画と第2の区画とを有し、各区画は少なくとも2つの行程を含み、該第2の区画の該少なくとも2つの行程は、該第1の区画の該少なくとも2つの行程を通過する、エンドエフェクタと
を備えている、縫合糸。
【請求項2】
前記第1の区画は、3つの行程を含む、請求項1に記載の縫合糸。
【請求項3】
前記第2の区画は、3つの行程を含む、請求項1に記載の縫合糸。
【請求項4】
前記第1の区画における行程の数は、前記第2の区画における行程の数と等しい、請求項1に記載の縫合糸。
【請求項5】
前記第1の区画における行程の数は、前記第2の区画における行程の数と異なる、請求項1に記載の縫合糸。
【請求項6】
前記エンドエフェクタは、前記本体部分の遠位端部に形成される、請求項1に記載の縫合糸。
【請求項7】
エンドエフェクタを形成する方法であって、該方法は、
一本の縫合糸を提供するステップと、
「n」個の行程を有する第1の区画を形成するために、該縫合糸の第1の端部をマンドレルの周りに「n」回巻き付けるステップと、
「m」個の行程を有する第2の区画を形成するために、該第1の区画を通して、該縫合糸の第1の端部を「m」回巻き付けるステップと、
該マンドレルから該縫合糸を取り外すステップと、
該第1の区画と該第2の区画とを互いの周りにピンと張るために該縫合糸の該第1の端部および該第2の端部を互いに反対の方向に引っ張るステップと
を含む、方法。
【請求項8】
前記縫合糸の前記第1の端部および前記第2の端部を反対の方向に引っ張ることは、エンドエフェクタを形成する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記エンドエフェクタに隣接する前記縫合糸の前記第1の端部を切り取るステップをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記マンドレルは、前記縫合糸の前記第1の端部を受容する少なくとも1つのチャネルを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記マンドレルは、複数のチャネルを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
前記マンドレルは、「m」個のチャネルを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項13】
第2のループに前記縫合糸の前記第2の端部を通すステップは、上から下の方向で行われる、請求項7に記載の方法。
【請求項14】
第2のループに前記縫合糸の前記第2の端部を通すステップは、下から上の方向で行われる、請求項7に記載の方法。
【請求項15】
「n」と「m」とは等しい、請求項7に記載の方法。
【請求項16】
「n」と「m」とは等しくない、請求項7に記載の方法。
【請求項17】
「n」は3に等しい、請求項7に記載の方法。
【請求項18】
「m」は3に等しい、請求項7に記載の方法。
【請求項19】
エンドエフェクタを形成する方法であって、該方法は、
一本の縫合糸を提供するステップと、
該一本の縫合糸内に「n」個の行程を有する第1の区画を形成するステップと、
「m」個の行程を有する第2の区画を形成するために、該第1の区画に該縫合糸の第1の端部を「m」回通すステップと、
該第1の区画と該第2の区画とを互いの周りにピンと張るために該縫合糸の該第1の端部および該第2の端部を互いに反対の方向に引っ張るステップと
を含む、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13A】
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【図13B】
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【図14A】
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【図14B】
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【図15A】
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【図15B】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−45716(P2011−45716A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−187701(P2010−187701)
【出願日】平成22年8月24日(2010.8.24)
【出願人】(507362281)タイコ ヘルスケア グループ リミテッド パートナーシップ (666)
【Fターム(参考)】