エンボス加工システムおよび加工品の製造方法
【課題】生産効率を維持しながら優れた転写効率で凹凸柄を原反に形成することができるエンボス加工システムを提供することを目的とする。
【解決手段】エンボス加工システム30は、エンボス加工によって原反20に凹凸柄を形成する装置である。エンボス加工システム30は、金属箔を含む被覆層28と原反とを重ね合わせる積層装置40と、原反と被覆層との積層体29にエンボス加工を施すエンボス加工装置50と、エンボス加工を施された積層体から被覆層を剥がす剥離装置45と、を備える。
【解決手段】エンボス加工システム30は、エンボス加工によって原反20に凹凸柄を形成する装置である。エンボス加工システム30は、金属箔を含む被覆層28と原反とを重ね合わせる積層装置40と、原反と被覆層との積層体29にエンボス加工を施すエンボス加工装置50と、エンボス加工を施された積層体から被覆層を剥がす剥離装置45と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンボス加工によって樹脂層を含む原反に凹凸柄を形成するエンボス加工システムに係り、とりわけ、生産効率を維持しながら優れた転写効率で凹凸柄を原反に形成することができるエンボス加工システムに関する。
【0002】
また、本発明は、エンボス加工によって樹脂層を含む原反に凹凸柄を形成して加工品を製造する製造方法に係り、とりわけ、加工品の生産効率を維持しながら優れた転写効率で凹凸柄を原反に形成することができるエンボス加工システムに関する。
【背景技術】
【0003】
今般、例えば特許文献1に示すように、エンボス加工は広く普及した加工方法となっている。特許文献1には、原反にエンボス加工を施すことにより、離型紙(加工品)を製造する方法が開示されている。この離型紙は、合皮製品、化粧シート、内装材等のシート状材料を作製するための型紙として用いられる。エンボス加工により離型紙を作製する際、被加工体となる原反は、離型紙の耐久性や離型紙を用いて作製されるシート状部材の光沢等を考慮し、紙や樹脂層を含んでいることが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−205311号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、原反にエンボス加工を施した場合、原反に一度付与した凹凸形状はしだいに平坦化していってしまう。原反を加工してなる加工品が離型紙として用いられる場合、離型紙の凹凸形状が平坦化すると、合皮製品、化粧シート、内装材等のシート状材料に形成される柄の深さも浅くなってしまう。すなわち、離型紙の凹凸形状が平坦化していくと、シート状材料に所望の凹凸形状を転写することが不可能となり、もはや、離型紙として使用することができなくなる。
【0006】
このような不具合は、とりわけ、粘弾性の性質を持つ樹脂層を含んだ原反に対してエンボス加工を行った際に顕著となる。一般的に、原反の損傷を回避するため、エンボス加工を低圧力で行うことが好ましいとされている。この目的を達成するため、エンボス加工中に原反が加熱される。加熱された樹脂層は、粘性の特性を強く呈するようになり、低圧力でも変形可能となる。また、樹脂層を加熱することによって応力緩和時間を短くすることができるが、それでもなお、樹脂層の応力緩和時間は0ではない。したがって、エンボス型面が原反に押圧されている時間が短ければ、原反を完全に塑性変形させることができない。そして、エンボス型面による圧力から解放された樹脂層は、弾性の性質により、元の形状に復元しようとする。すなわち、エンボス型面が離間した後に、樹脂層を含む原反に一度付与された凹凸形状はしだいに平坦化していくようになる。
【0007】
以上の不具合を回避するためには、原反にエンボス加工を施す際に、長時間にわたって原反にエンボス型面を押しつけておくことが必要となる。長時間にわたって原反にエンボス型面を押しつけておくと、紙や樹脂からなる原反をしっかりと塑性変形させることができる。しかしながら、このような解決方法によれば、原反にエンボス加工を施してなる加工品の生産効率が著しく低下してしまう。
【0008】
別の解決方法として、エンボス加工装置を複数台配置し、複数台のエンボス加工装置によって、連続並行して加工を行うことが考えられる。この方法によれば、生産効率を維持しながら、優れた転写効率で凹凸形状を原反に形成することができる可能性がある。しかしながら、実際には、原反の伸び等に起因して、各エンボス加工装置で形成される凹凸形状にずれが生じてしまうといった問題がある。結果として、各エンボス加工装置で形成される凹凸形状が重ならないため、深い凹凸形状を作製することすらできない。
【0009】
本発明はこのような点を考慮してなされたものであり、エンボス加工によって原反に凹凸柄を形成するエンボス加工システムであって、生産効率を維持しながら優れた転写効率で凹凸柄を原反に形成することができるエンボス加工システムを提供することを目的とする。また、本発明は、エンボス加工によって原反に凹凸柄を形成して加工品を製造する製造方法であって、加工品の生産効率を維持しながら優れた転写効率で凹凸柄を原反に形成することができる加工品の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明による第1のエンボス加工システムは、エンボス加工によって原反に凹凸柄を形成するエンボス加工システムであって、被覆層と前記原反とを重ね合わせる積層装置と、前記原反と前記被覆層との積層体にエンボス加工を施すエンボス加工装置と、を備え、前記被覆層は、エンボス加工時に前記原反のエンボス型面側の表面をなす材料よりも応力緩和時間が短くなる材料から、形成されていることを特徴とする。
【0011】
本発明による第2のエンボス加工システムは、エンボス加工によって原反に凹凸柄を形成するエンボス加工システムであって、金属箔を含む被覆層と前記原反とを重ね合わせる積層装置と、前記原反と前記被覆層との積層体にエンボス加工を施すエンボス加工装置と、を備えることを特徴とする。
【0012】
本発明による第1または第2のエンボス加工システムが、前記エンボス加工を施された積層体から前記被覆層を剥がす剥離装置を、さらに備えるようにしてもよい。
【0013】
本発明による第1または第2のエンボス加工システムが、前記エンボス加工を施された積層体を冷却する冷却装置を、さらに備えるようにしてもよい。
【0014】
また、本発明による第1または第2のエンボス加工システムにおいて、前記エンボス加工装置は、前記積層体を加熱しながら当該積層体にエンボス加工を施すように構成されていてもよい。
【0015】
さらに、本発明による第1または第2のエンボス加工システムにおいて、前記積層装置は、前記積層体と前記被覆層とを互いに向けて押圧するニップロールであるようにしてもよい。
【0016】
本発明による第1の加工品の製造方法は、エンボス加工によって原反に凹凸柄を形成して加工品を製造する製造方法であって、被覆層と前記原反とを重ね合わせる工程と、前記原反と前記被覆層との積層体にエンボス加工を施す工程と、を備え、前記被覆層は、前記エンボス加工を施す工程中に前記原反のエンボス型面側の表面をなす材料よりも応力緩和時間が短くなる材料から、形成されていることを特徴とする。
【0017】
本発明による第2の加工品の製造方法は、エンボス加工によって原反に凹凸柄を形成して加工品を製造する製造方法であって、金属箔を含む被覆層と前記原反とを重ね合わせる工程と、前記原反と前記被覆層との積層体にエンボス加工を施す工程と、を備えることを特徴とする。
【0018】
本発明による第1または第2の加工品の製造方法が、前記エンボス加工を施された積層体から前記被覆層を剥がす工程を、さらに備えるようにしてもよい。
【0019】
また、本発明による第1または第2の加工品の製造方法が、前記エンボス加工を施された積層体を冷却する工程を、さらに備えるようにしてもよい。
【0020】
さらに、本発明による第1または第2の加工品の製造方法において、前記エンボス加工を施す工程中、前記積層体を加熱しながら当該積層体にエンボス加工を施すようにしてもよい。
【0021】
本発明による第1のエンボス加工方法は、エンボス加工によって原反に凹凸柄を形成して加工品を製造する製造方法であって、被覆層と前記原反とを重ね合わせる工程と、前記原反と前記被覆層との積層体にエンボス加工を施す工程と、を備え、前記被覆層は、前記エンボス加工を施す工程中に前記原反のエンボス型面側の表面をなす材料よりも応力緩和時間が短くなる材料から、形成されていることを特徴とする。
【0022】
本発明による第2のエンボス加工方法は、エンボス加工によって原反に凹凸柄を形成して加工品を製造する製造方法であって、金属箔を含む被覆層と前記原反とを重ね合わせる工程と、前記原反と前記被覆層との積層体にエンボス加工を施す工程と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、生産効率を維持しながら優れた転写効率で凹凸柄を原反に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1は、本発明による一実施の形態を説明するための図であり、エンボス加工システム、および、エンボス加工システムによる加工品の製造方法を示す模式図である。
【図2】図2は、加工品の製造方法を説明するための図であって、積層体を形成する工程を示す図である。
【図3】図3は、加工品の製造方法を説明するための図であって、エンボス加工を行う工程を示す図である。
【図4】図4は、加工品の製造方法を説明するための図であって、積層体を冷却する工程を示す図である。
【図5】図5は、加工品の製造方法を説明するための図であって、被覆層を剥離させる工程を示す図である。
【図6】図6は、図2〜図5に示された製造方法によって得られた加工品(離型紙)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して本発明の
一実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
【0026】
図1および図2は本発明による一実施の形態を説明するための図である。このうちまず、主に図1を参照して、原反に凹凸柄を形成して加工品を製造するエンボス加工システムについて説明する。ここで、図1は、エンボス装置およびエンボス装置による加工品の製造方法を説明するための模式図である。
【0027】
以下に説明するエンボス加工システム30は、原反20から離型紙25を加工品として作製するように構成されている。得られた離型紙25は、ビニールレザーや壁紙等のシート状部材を作製するための型紙として用いられる。とりわけ以下においては、作製された離型紙25が、合成皮革として用いられるシート状部材30を作製するための型紙として機能するようになる例を説明する。なお、この離型紙25は繰り返し用いられ、複数枚のシート状部材を作製することができる。
【0028】
図1に示すように、エンボス加工システム30は、被覆層28と原反20とを重ね合わせる積層装置40と、原反20と被覆層28との積層体29にエンボス加工を施すエンボス加工装置50と、エンボス加工を施された積層体29から被覆層28を剥がす剥離装置45と、を有している。また、エンボス加工システム30は、エンボス加工を施された積層体29を冷却する冷却装置60を、さらに有している。
【0029】
まず、積層装置40について説明する。積層装置40は、シート状の原反20上に被覆シート27を積層するニップロールとして構成されている。この積層装置40は、順次供給されてくる原反20と、順次供給されてくる被覆シート27からなる被覆層28と、を有した積層体29(図2参照)を順次形成していく。
【0030】
なお、本明細書において、「積層」するとは、隣り合う二つの層を互いに対して固定することを要件とはしない。したがって、「積層」とは、接着剤(粘着材を含む概念)を用いて、二つの層を互いに対して接合する態様等に限られない。例えば、隣り合う二つの層を互いに対して単に重ね合わせただけの状態、言い換えると、重力や摩擦力のみによって互いに拘束され合っている状態をも、本明細書で用いる「積層」に含まれる。図示する例において、ニップロールからなる積層装置40は、原反20上に被覆シート27を直接載置し、さらに、互いに向けて押圧するように構成されている(図2参照)。
【0031】
次に、エンボス加工装置50について説明する。図1に示すように、エンボス加工装置50は、原反20に形成されるべき凹凸柄に対応した凹凸形状を有するエンボス型52と、エンボス型52に対向して配置され、エンボス型52との間で原反20を圧するようになるバックアップ体56と、を有している。本実施の形態において、エンボス型52は、ロール状のエンボスロールとして構成されている。エンボスロール52は回転駆動されるロール本体53を有し、ロール本体53の外周面には凹凸形状を有するエンボス型面53aが形成されている。本実施の形態においては、合成皮革用の離型紙10を作製することができるよう、エンボス型面53aの凹凸形状は、原反20に皮模様を付与し得るように形成されている。
【0032】
また、本実施の形態において、バックアップ体56は、エンボスロール52に対向して配置され、原反20の移動速度に同期して回転可能なバックアップロールとして構成されている。図3に示すように、バックアップロール56は、エンボスロール52との間で原反20を挟圧するようになる。
【0033】
エンボス加工装置50は、エンボスロール52のロール本体53に連結され、ロール本体53を回転駆動する駆動機構(図示せず)と、バックアップロール56に連結され、バックアップロール56を回転駆動する駆動機構(図示せず)と、をさらに有している。これらの駆動機構によって、エンボスロール52およびバックアップロール56は、原反20の搬送速度に同期するようにして回転し、エンボス型面の凹凸形状の形状を原反20に転写していく。
【0034】
なお、本実施の形態においては、バックアップロール56の外周面にも、エンボス型面53aの凹凸形状の形状に対応した凹凸形状が形成されている。これにより、エンボスロール52とバックアップロール56との間を通過する原反20(積層体29)に、極めて精度良く高低差のある凹凸柄を転写することができる。
【0035】
また、図1に点線で示すように、エンボスロール52およびバックアップロール56は、それぞれ、加熱装置(加熱機構)54,58を有している。加熱装置54,58は、原反20をエンボス加工している際に、当該原反20を加熱することができるように構成されている。図示する例において、加熱装置54,58は、それぞれ、エンボスロール52およびバックアップロール56に内蔵され、ロール外周面を加熱するようになっている。そして、外周面を介して、加熱装置54,58の熱が原反20(積層体29)に伝達されるようになっている。
【0036】
図1に示すように、エンボスロール52およびバックアップロール56は、上述した積層装置40の下流側に配置されている。したがって、被加工体としての原反20は、まず、積層装置40を構成するニップロール間を通過し、その後、エンボスロール52とバックアップロール56との間を通過するようになる。この際、積層装置40を構成するニップロールは、エンボス加工装置50へ積層体29を案内する案内ロールとしても機能する。
【0037】
次に、剥離装置45について説明する。剥離装置45は、積層装置40と同様に、一対のロールとして形成されている。一対のロールからなる剥離装置45は、後述する被覆層回収装置34と協同することにより、積層体29から被覆層28を取り除く、すなわち、加工品(離型紙)25から被覆層45を剥離させるようになる。この剥離装置40は、エンボス加工装置50の下流側に配置され、エンボス加工装置50で加工された積層体29(加工品25および被覆層28)を誘導する案内トールとしても機能する。
【0038】
次に、冷却装置60について説明する。冷却装置60は、エンボス加工を施された積層体29(加工品25および被覆層28)を冷却し得るように構成されている。図示する例において、冷却装置60は、冷却媒体を供給するノズルとして形成されている。図1に示すように、冷却装置60を構成するノズルは、エンボス加工を施されたシート状の積層体29の両方の面の側に、それぞれ、配置されている。また、冷却装置60を構成するノズルは、エンボス加工装置50と剥離装置45との間に配置されている。すなわち、エンボス加工を施されたシート状の積層体29は、両方の面の側から冷却媒体を吹き付けられ、冷却されるようになっている。なお、冷媒としては、エンボス加工装置50から送り出された積層体29の温度未満の温度を有する気体(例えば空気や窒素ガス)や、液体窒素等から適宜選択され得る。
【0039】
ところで、エンボス加工システム30は、原反20を供給する原反供給装置(図示せず)と、エンボス加工を施されてなる加工品を回収する加工品回収装置(図示せず)と、被覆層28をなすようになる被覆シート27を供給する被覆層供給装置32と、加工品から剥がされた被覆シート27を回収する被覆層回収装置34と、をさらに有している。
【0040】
そして、本実施の形態において、図示しない原反供給装置から供給される原反20は、紙からなる基材24と、基材24上に積層された合成樹脂層22と、からなっている(図2参照)。このような原反20は、例えば、所望の合成樹脂を溶剤と配合して基材24上にコーティングすることにより、製造され得る。この場合、原反20の合成樹脂層22は基材24上に平たく延び広がるとともに、優れた光沢を有するようになる。合成樹脂層22に含まれる樹脂は、例えばポリプロピレン等、製造されるべき離型紙25に対する要求に応じて種々選択される。具体例として、合成皮革用の離型紙を作製するためのエンボス加工システム30においては、30μm〜50μmの厚さを有したポリプロピレンからなる層を合成樹脂層22とし、150μm〜200μmの厚さを有した紙を基材24とすることができる。
【0041】
また、図3に示すように、原反20のうちの合成樹脂層22が、エンボスロール52のエンボス型面53aに対面し、原反20のうちの基材24が、バックアップロール56に対面するように、原反供給装置から原反20が供給される。
【0042】
一方、被覆層供給装置32から供給される被覆シート27は、エンボス加工装置50でのエンボス加工時の条件下において、原反20のエンボス型面53の側に位置する表面をなす材料(つまり、合成樹脂層22をなす材料)よりも、応力緩和時間が短い材料から形成されている。本実施の形態において、被覆シート27は、銅やアルミニウム等からなる箔として形成されている。また図1および図2に示すように、原反20のうちの合成樹脂層22の側に被覆層20が積層されるよう、被覆層積層装置32から被覆シート27が供給される。
【0043】
なお、被覆層28をなすようになる被覆シート27の厚さや材質は、後述するエンボス加工工程において、被覆シート27(被覆層28)が、エンボス型面25の凹凸形状に追従して塑性変形し得るように選択される。すなわち、被覆層28をなす被覆シート27の厚さや材質は、エンボス型面25の凹凸形状や加工圧力を適宜考慮して、設計される。例えば、合成皮革用の離型紙を作製するためのエンボス加工システム30においては、10μm〜20μmの厚さを有したアルミニウム箔を被覆シート27(被覆層28)として用いることができる。
【0044】
次にこのような構成からなるエンボス加工システム30を用い、加工品(離型紙)25を製造する方法について説明する。
【0045】
まず、原反供給装置から原反20が繰り出され、この原反20は積層装置40を構成する一対のニップロールの間に供給される。ここで供給される原反20は、上述したように、紙からなる基材24と、基材24上に積層された合成樹脂層22と、を有している(図2参照)。
【0046】
また、原反20の供給と並行して、被覆層供給装置32から被覆シート27が繰り出され、この被覆シート27も積層装置40を構成する一対のニップロールの間に供給される。図2に示すように、被覆シート27は、金属箔からなる被覆層28のみによって構成されている。
【0047】
そして、図2に示すように、積層装置40において、順次供給されてくる原反20上に、順次供給されてくる被覆シート27が重ね合わせられる。このようにして、積層装置40において、原反20と被覆層28とからなる積層体29が順次作製されていく。図2に示すように、作製される積層体29において、金属箔からなる被覆層28は、原反20の合成樹脂層22上に配置されている。
【0048】
その後、積層体29は、エンボス加工装置50に搬送されていく。図1および図3に示すように、積層体29は、エンボス加工装置50のエンボスロール52とバックアップロール56との間に送り込まれ、エンボスロール52とバックアップロール56との間で挟圧されるようになる。
【0049】
なお、図3に示すように、エンボス型面53aは、積層体29のうちの被覆層28に当接するようになる。また、図3に示すように、原反20については、合成樹脂層22がエンボス加工装置50のエンボスロール52側に位置し、基材24がバックアップロール56側に位置するようになる。すなわち、バックアップロール56の外周面は、原反20の基材24に当接するようになる。
【0050】
このエンボス加工工程中、エンボス加工装置50に内蔵された加熱装置54,58によって、例えば、エンボスロール52のエンボス型面53aは、90℃〜150℃程度の温度に加熱され、バックアップロール56の外周面は40℃〜90℃程度の温度に加熱され得る。この結果、エンボスロール52およびバックアップロール56の間を通過する積層体29は、加熱されながらエンボス加工を施されるようになる。とりわけ、積層体29のうちのエンボス型面53aに接触する被覆層28は、金属箔からなり、高い熱伝達率および熱伝導率を有している。このため、エンボス加工工程中に、エンボスロール52およびバックアップロール56の外表面に直接接触することのない原反20の合成樹脂層まで、エンボス加工装置50に内蔵された加熱装置54,58からの熱を高い効率で均一に伝達させることができる。
【0051】
以上のようなエンボス加工工程において、厚さを適切に設定された金属箔からなる被覆層28は、エンボス加工装置50からの圧力によって塑性変形することが可能となる。これにより、被覆層28はエンボス型面53aの外輪郭に沿うように変形され得る。
【0052】
また、エンボス加工工程中、被覆層28に隣接する原反20の合成樹脂層22は、加熱されて、粘弾性流体としての性質をより強く呈するようになる。このため、合成樹脂22の粘性に起因して、エンボス型面53aの外輪郭に精確に沿うように変形することが可能となる。また、バックアップロール56の外周面にも、エンボス型面53aの凹凸形状に対応した凹凸形状が形成されている。したがって、バックアップロール56の外周面に当接する原反20の基材24も、合成樹脂層22とともに、精度良く所望の形状に変形する。
【0053】
このようにして、エンボス型面53aの凹凸形状が、積層体29に高い精度で、転写され、積層体29(原反20)に所望の凹凸柄が形成されるようになる。凹凸柄を形成された積層体29は、その後、剥離装置45に向けて搬送される。
【0054】
ところで、上述したように、原反20の合成樹脂層22は、もともと粘弾性としての性質を有しており、さらにエンボス加工工程時には、加熱されていることから粘弾性としての性質をより強く有するようになる。したがって、エンボスロール52とバックアップロール56との間において、合成樹脂層22は、その粘性性質に起因して、或る程度自由に変形し得るが、その弾性性質に起因して合成樹脂層22の内部には応力が発生する。そして、エンボスロール52とバックアップロール56との間で積層体29(合成樹脂層22)が加圧されている時間は短時間であることから、積層体29(合成樹脂層22)がエンボス加工装置50から送り出される際に、合成樹脂層22の内部に発生した応力は、ほぼそのまま残留している。
【0055】
このため、積層体29(合成樹脂層22)がエンボス加工装置50から送り出された後、合成樹脂層22は、この内部応力に起因して、変形しようとする。同様に、原反20の紙からなる基材22も、エンボス加工装置50での加圧時間が短いことから、エンボス加工工程中に完全に変形しきっていない。すなわち、エンボス加工装置50によって加圧されている間、原反20は所望の形状に変形され得るが、エンボス加工装置50から送り出された後、原反20は加工前の形状(平らな形状)に戻ろうとする。したがって、エンボス加工装置50によっていったん所望の凹凸柄を原反20に形成することができたとしても、その後に、原反20が平坦化してしまうという不都合が生じ得る。
【0056】
一方、本実施の形態においては、原反20の合成樹脂層22上には金属箔からなる被覆層28が積層され、合成樹脂層22を含む原反20が被覆層28とともにエンボス加工を受けている。エンボス加工時およびエンボス加工後の温度が低下しきっていないとき、この金属箔からなる被覆層28の応力緩和時間は、合成樹脂層22の応力緩和時間と比較して、格段に短くなっている。したがって、エンボス加工装置50による短時間での加圧により、被覆層28は十分に塑性変形することができる。このため、積層体50がエンボス加工装置50から送り出された後においても、被覆層28は、エンボス型面53aから付与された凹凸形状を安定して維持することができる。そして、この凹凸形状を維持する被覆層28が原反20に積層された状態で原反20とともに搬送され、この搬送期間、被覆層28が原反20の復元力に抗していることによって、原反20の平坦化を大幅に抑制することができる。
【0057】
また、図1および図4に示すように、積層体29は、エンボス加工装置50から送り出された後、剥離装置45に到達するまでの間、冷却装置60によって積極的に冷却される。上述したように、積層体29のうちの被覆層28は、金属箔からなり、高い熱伝達率および熱伝導率を有している。このため、積層体20の温度を迅速に低下させることができる。
【0058】
積層体29の温度低下にともなって、原反20の合成樹脂層22の温度が低下すると、合成樹脂層22をなす樹脂材料の粘性性質は著しく低下する。すなわち、合成樹脂層22は、流動性を失って硬化し、容易に変形しないようになる。このため、積層体20が冷却されると、合成樹脂層22が、高い流動性を有していたエンボス加工時の変形で蓄積された内部応力によって、もはや平坦化されることはない。また、平坦化しようとする紙の復元力はそもそも微小であり、硬化した合成樹脂層22によって、十分に、紙からなる基材24の平坦化を防止することができる。
【0059】
このようにして、図1および図5に示すように、原反20上に積層された被覆層28によって原反20の変形が抑制されながら、積層体20が剥離装置45に搬送されていく。剥離装置45において、積層体29から被覆層28が取り除かれる。すなわち、凹凸形状を形成された原反20から、被覆層28(被覆シート29)が、剥がされる。剥離させられた被覆層28(被覆シート29)は、被覆層回収装置34に巻き取られる。このようにして、図6に示すように、凹凸形状を形成された原反20からなる加工品(離型紙)25が得られるようになる。
【0060】
以上のような本実施の形態によれば、被覆層28とともに原反20がエンボス加工を施され、エンボス加工後の一定期間の間、被覆層28は原反20に積層されたままとなっている。被覆層28は、エンボス加工時およびエンボス加工後の一定期間の間の状態においても応力緩和時間が十分に短い材料によって形成されており、エンボス加工時における短時間での圧力下で完全に変形しきるようになる。このため、エンボス加工後の一定期間の間、樹脂層22を含む原反20の平坦化が、この被覆層28によって、拘束されるようになる。この結果、エンボス加工速度を低下させることなく、生産効率を維持しながら優れた転写効率で凹凸柄を原反に形成することができる。
【0061】
また、本実施の形態においては、エンボス加工時に積層体29が加熱され、エンボス加工後に、冷却装置60によって積層体29が積極的に冷却されるようになる。したがって、原反20の樹脂層22をエンボス加工後に迅速に硬化させることができる。一方、樹脂層22の内部に発生した残留応力は、加熱されて流動性を有する樹脂層22を変形させた際に発生した応力であって、冷却によって硬化した樹脂層22を変形させ得る程度まで大きくはならない。したがって、エンボス加工によって原反20に形成した高精度の凹凸柄を、平坦化させることなく、ほぼそのままに維持することができる。
【0062】
なお、上述した実施の形態に関し、本発明の要旨の範囲内で種々の変更が可能である。
【0063】
例えば、上述した実施の形態において、合成皮革用の離型紙を加工品60として製造する例を挙げたが、これに限られず、その他の用途に用いられる加工品60を製造することも当然に可能である。
【0064】
また、上述した実施の形態において、エンボス加工システム30に冷却装置60を設け、エンボス加工後の積層体29を積極的に冷却する例を示したが、これに限られない。原反20の形状や原反20をなす材料の選択によっては、エンボス加工装置50から送り出された積層体29が、放熱による自然冷却によって、十分な冷却速度で冷却されることもある。また、エンボス加工装置50と剥離装置45との間の距離が長く、被覆層28によって原反20の変形を拘束しながら、原反20を十分な温度まで冷却することができることもある。これらの場合のように、剥離装置45によって被覆層28が剥離させられるまでに原反20を十分に冷却することができる場合には、冷却装置60を用いて積極的に原反20を冷却する必要はない。
【0065】
さらに、上述した実施の形態において、エンボス加工システム30が剥離装置45を有する例を示したがこれに限られない。例えば、剥離装置45によって被覆層28を取り除くことなく、エンボス加工を施された積層体29を巻き取るようにしてもよい。この場合、積層体29が実際に使用される直前に、被覆層28が取り外すようにすることができる。上述した実施の形態にように、原反20にエンボス加工を施してなる加工品25が離型紙として用いられる場合には、被覆層28が離型紙を保護するための保護フィルムとしても機能し得る。
【符号の説明】
【0066】
20 原反
22 樹脂層(合成樹脂層)
27 被覆シート
28 被覆層
29 積層体
30 エンボス加工システム
40 積層装置
45 剥離装置
50 エンボス加工装置
53a エンボス型面
54 加熱装置
58 加熱装置
60 冷却装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンボス加工によって樹脂層を含む原反に凹凸柄を形成するエンボス加工システムに係り、とりわけ、生産効率を維持しながら優れた転写効率で凹凸柄を原反に形成することができるエンボス加工システムに関する。
【0002】
また、本発明は、エンボス加工によって樹脂層を含む原反に凹凸柄を形成して加工品を製造する製造方法に係り、とりわけ、加工品の生産効率を維持しながら優れた転写効率で凹凸柄を原反に形成することができるエンボス加工システムに関する。
【背景技術】
【0003】
今般、例えば特許文献1に示すように、エンボス加工は広く普及した加工方法となっている。特許文献1には、原反にエンボス加工を施すことにより、離型紙(加工品)を製造する方法が開示されている。この離型紙は、合皮製品、化粧シート、内装材等のシート状材料を作製するための型紙として用いられる。エンボス加工により離型紙を作製する際、被加工体となる原反は、離型紙の耐久性や離型紙を用いて作製されるシート状部材の光沢等を考慮し、紙や樹脂層を含んでいることが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−205311号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、原反にエンボス加工を施した場合、原反に一度付与した凹凸形状はしだいに平坦化していってしまう。原反を加工してなる加工品が離型紙として用いられる場合、離型紙の凹凸形状が平坦化すると、合皮製品、化粧シート、内装材等のシート状材料に形成される柄の深さも浅くなってしまう。すなわち、離型紙の凹凸形状が平坦化していくと、シート状材料に所望の凹凸形状を転写することが不可能となり、もはや、離型紙として使用することができなくなる。
【0006】
このような不具合は、とりわけ、粘弾性の性質を持つ樹脂層を含んだ原反に対してエンボス加工を行った際に顕著となる。一般的に、原反の損傷を回避するため、エンボス加工を低圧力で行うことが好ましいとされている。この目的を達成するため、エンボス加工中に原反が加熱される。加熱された樹脂層は、粘性の特性を強く呈するようになり、低圧力でも変形可能となる。また、樹脂層を加熱することによって応力緩和時間を短くすることができるが、それでもなお、樹脂層の応力緩和時間は0ではない。したがって、エンボス型面が原反に押圧されている時間が短ければ、原反を完全に塑性変形させることができない。そして、エンボス型面による圧力から解放された樹脂層は、弾性の性質により、元の形状に復元しようとする。すなわち、エンボス型面が離間した後に、樹脂層を含む原反に一度付与された凹凸形状はしだいに平坦化していくようになる。
【0007】
以上の不具合を回避するためには、原反にエンボス加工を施す際に、長時間にわたって原反にエンボス型面を押しつけておくことが必要となる。長時間にわたって原反にエンボス型面を押しつけておくと、紙や樹脂からなる原反をしっかりと塑性変形させることができる。しかしながら、このような解決方法によれば、原反にエンボス加工を施してなる加工品の生産効率が著しく低下してしまう。
【0008】
別の解決方法として、エンボス加工装置を複数台配置し、複数台のエンボス加工装置によって、連続並行して加工を行うことが考えられる。この方法によれば、生産効率を維持しながら、優れた転写効率で凹凸形状を原反に形成することができる可能性がある。しかしながら、実際には、原反の伸び等に起因して、各エンボス加工装置で形成される凹凸形状にずれが生じてしまうといった問題がある。結果として、各エンボス加工装置で形成される凹凸形状が重ならないため、深い凹凸形状を作製することすらできない。
【0009】
本発明はこのような点を考慮してなされたものであり、エンボス加工によって原反に凹凸柄を形成するエンボス加工システムであって、生産効率を維持しながら優れた転写効率で凹凸柄を原反に形成することができるエンボス加工システムを提供することを目的とする。また、本発明は、エンボス加工によって原反に凹凸柄を形成して加工品を製造する製造方法であって、加工品の生産効率を維持しながら優れた転写効率で凹凸柄を原反に形成することができる加工品の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明による第1のエンボス加工システムは、エンボス加工によって原反に凹凸柄を形成するエンボス加工システムであって、被覆層と前記原反とを重ね合わせる積層装置と、前記原反と前記被覆層との積層体にエンボス加工を施すエンボス加工装置と、を備え、前記被覆層は、エンボス加工時に前記原反のエンボス型面側の表面をなす材料よりも応力緩和時間が短くなる材料から、形成されていることを特徴とする。
【0011】
本発明による第2のエンボス加工システムは、エンボス加工によって原反に凹凸柄を形成するエンボス加工システムであって、金属箔を含む被覆層と前記原反とを重ね合わせる積層装置と、前記原反と前記被覆層との積層体にエンボス加工を施すエンボス加工装置と、を備えることを特徴とする。
【0012】
本発明による第1または第2のエンボス加工システムが、前記エンボス加工を施された積層体から前記被覆層を剥がす剥離装置を、さらに備えるようにしてもよい。
【0013】
本発明による第1または第2のエンボス加工システムが、前記エンボス加工を施された積層体を冷却する冷却装置を、さらに備えるようにしてもよい。
【0014】
また、本発明による第1または第2のエンボス加工システムにおいて、前記エンボス加工装置は、前記積層体を加熱しながら当該積層体にエンボス加工を施すように構成されていてもよい。
【0015】
さらに、本発明による第1または第2のエンボス加工システムにおいて、前記積層装置は、前記積層体と前記被覆層とを互いに向けて押圧するニップロールであるようにしてもよい。
【0016】
本発明による第1の加工品の製造方法は、エンボス加工によって原反に凹凸柄を形成して加工品を製造する製造方法であって、被覆層と前記原反とを重ね合わせる工程と、前記原反と前記被覆層との積層体にエンボス加工を施す工程と、を備え、前記被覆層は、前記エンボス加工を施す工程中に前記原反のエンボス型面側の表面をなす材料よりも応力緩和時間が短くなる材料から、形成されていることを特徴とする。
【0017】
本発明による第2の加工品の製造方法は、エンボス加工によって原反に凹凸柄を形成して加工品を製造する製造方法であって、金属箔を含む被覆層と前記原反とを重ね合わせる工程と、前記原反と前記被覆層との積層体にエンボス加工を施す工程と、を備えることを特徴とする。
【0018】
本発明による第1または第2の加工品の製造方法が、前記エンボス加工を施された積層体から前記被覆層を剥がす工程を、さらに備えるようにしてもよい。
【0019】
また、本発明による第1または第2の加工品の製造方法が、前記エンボス加工を施された積層体を冷却する工程を、さらに備えるようにしてもよい。
【0020】
さらに、本発明による第1または第2の加工品の製造方法において、前記エンボス加工を施す工程中、前記積層体を加熱しながら当該積層体にエンボス加工を施すようにしてもよい。
【0021】
本発明による第1のエンボス加工方法は、エンボス加工によって原反に凹凸柄を形成して加工品を製造する製造方法であって、被覆層と前記原反とを重ね合わせる工程と、前記原反と前記被覆層との積層体にエンボス加工を施す工程と、を備え、前記被覆層は、前記エンボス加工を施す工程中に前記原反のエンボス型面側の表面をなす材料よりも応力緩和時間が短くなる材料から、形成されていることを特徴とする。
【0022】
本発明による第2のエンボス加工方法は、エンボス加工によって原反に凹凸柄を形成して加工品を製造する製造方法であって、金属箔を含む被覆層と前記原反とを重ね合わせる工程と、前記原反と前記被覆層との積層体にエンボス加工を施す工程と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、生産効率を維持しながら優れた転写効率で凹凸柄を原反に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1は、本発明による一実施の形態を説明するための図であり、エンボス加工システム、および、エンボス加工システムによる加工品の製造方法を示す模式図である。
【図2】図2は、加工品の製造方法を説明するための図であって、積層体を形成する工程を示す図である。
【図3】図3は、加工品の製造方法を説明するための図であって、エンボス加工を行う工程を示す図である。
【図4】図4は、加工品の製造方法を説明するための図であって、積層体を冷却する工程を示す図である。
【図5】図5は、加工品の製造方法を説明するための図であって、被覆層を剥離させる工程を示す図である。
【図6】図6は、図2〜図5に示された製造方法によって得られた加工品(離型紙)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して本発明の
一実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
【0026】
図1および図2は本発明による一実施の形態を説明するための図である。このうちまず、主に図1を参照して、原反に凹凸柄を形成して加工品を製造するエンボス加工システムについて説明する。ここで、図1は、エンボス装置およびエンボス装置による加工品の製造方法を説明するための模式図である。
【0027】
以下に説明するエンボス加工システム30は、原反20から離型紙25を加工品として作製するように構成されている。得られた離型紙25は、ビニールレザーや壁紙等のシート状部材を作製するための型紙として用いられる。とりわけ以下においては、作製された離型紙25が、合成皮革として用いられるシート状部材30を作製するための型紙として機能するようになる例を説明する。なお、この離型紙25は繰り返し用いられ、複数枚のシート状部材を作製することができる。
【0028】
図1に示すように、エンボス加工システム30は、被覆層28と原反20とを重ね合わせる積層装置40と、原反20と被覆層28との積層体29にエンボス加工を施すエンボス加工装置50と、エンボス加工を施された積層体29から被覆層28を剥がす剥離装置45と、を有している。また、エンボス加工システム30は、エンボス加工を施された積層体29を冷却する冷却装置60を、さらに有している。
【0029】
まず、積層装置40について説明する。積層装置40は、シート状の原反20上に被覆シート27を積層するニップロールとして構成されている。この積層装置40は、順次供給されてくる原反20と、順次供給されてくる被覆シート27からなる被覆層28と、を有した積層体29(図2参照)を順次形成していく。
【0030】
なお、本明細書において、「積層」するとは、隣り合う二つの層を互いに対して固定することを要件とはしない。したがって、「積層」とは、接着剤(粘着材を含む概念)を用いて、二つの層を互いに対して接合する態様等に限られない。例えば、隣り合う二つの層を互いに対して単に重ね合わせただけの状態、言い換えると、重力や摩擦力のみによって互いに拘束され合っている状態をも、本明細書で用いる「積層」に含まれる。図示する例において、ニップロールからなる積層装置40は、原反20上に被覆シート27を直接載置し、さらに、互いに向けて押圧するように構成されている(図2参照)。
【0031】
次に、エンボス加工装置50について説明する。図1に示すように、エンボス加工装置50は、原反20に形成されるべき凹凸柄に対応した凹凸形状を有するエンボス型52と、エンボス型52に対向して配置され、エンボス型52との間で原反20を圧するようになるバックアップ体56と、を有している。本実施の形態において、エンボス型52は、ロール状のエンボスロールとして構成されている。エンボスロール52は回転駆動されるロール本体53を有し、ロール本体53の外周面には凹凸形状を有するエンボス型面53aが形成されている。本実施の形態においては、合成皮革用の離型紙10を作製することができるよう、エンボス型面53aの凹凸形状は、原反20に皮模様を付与し得るように形成されている。
【0032】
また、本実施の形態において、バックアップ体56は、エンボスロール52に対向して配置され、原反20の移動速度に同期して回転可能なバックアップロールとして構成されている。図3に示すように、バックアップロール56は、エンボスロール52との間で原反20を挟圧するようになる。
【0033】
エンボス加工装置50は、エンボスロール52のロール本体53に連結され、ロール本体53を回転駆動する駆動機構(図示せず)と、バックアップロール56に連結され、バックアップロール56を回転駆動する駆動機構(図示せず)と、をさらに有している。これらの駆動機構によって、エンボスロール52およびバックアップロール56は、原反20の搬送速度に同期するようにして回転し、エンボス型面の凹凸形状の形状を原反20に転写していく。
【0034】
なお、本実施の形態においては、バックアップロール56の外周面にも、エンボス型面53aの凹凸形状の形状に対応した凹凸形状が形成されている。これにより、エンボスロール52とバックアップロール56との間を通過する原反20(積層体29)に、極めて精度良く高低差のある凹凸柄を転写することができる。
【0035】
また、図1に点線で示すように、エンボスロール52およびバックアップロール56は、それぞれ、加熱装置(加熱機構)54,58を有している。加熱装置54,58は、原反20をエンボス加工している際に、当該原反20を加熱することができるように構成されている。図示する例において、加熱装置54,58は、それぞれ、エンボスロール52およびバックアップロール56に内蔵され、ロール外周面を加熱するようになっている。そして、外周面を介して、加熱装置54,58の熱が原反20(積層体29)に伝達されるようになっている。
【0036】
図1に示すように、エンボスロール52およびバックアップロール56は、上述した積層装置40の下流側に配置されている。したがって、被加工体としての原反20は、まず、積層装置40を構成するニップロール間を通過し、その後、エンボスロール52とバックアップロール56との間を通過するようになる。この際、積層装置40を構成するニップロールは、エンボス加工装置50へ積層体29を案内する案内ロールとしても機能する。
【0037】
次に、剥離装置45について説明する。剥離装置45は、積層装置40と同様に、一対のロールとして形成されている。一対のロールからなる剥離装置45は、後述する被覆層回収装置34と協同することにより、積層体29から被覆層28を取り除く、すなわち、加工品(離型紙)25から被覆層45を剥離させるようになる。この剥離装置40は、エンボス加工装置50の下流側に配置され、エンボス加工装置50で加工された積層体29(加工品25および被覆層28)を誘導する案内トールとしても機能する。
【0038】
次に、冷却装置60について説明する。冷却装置60は、エンボス加工を施された積層体29(加工品25および被覆層28)を冷却し得るように構成されている。図示する例において、冷却装置60は、冷却媒体を供給するノズルとして形成されている。図1に示すように、冷却装置60を構成するノズルは、エンボス加工を施されたシート状の積層体29の両方の面の側に、それぞれ、配置されている。また、冷却装置60を構成するノズルは、エンボス加工装置50と剥離装置45との間に配置されている。すなわち、エンボス加工を施されたシート状の積層体29は、両方の面の側から冷却媒体を吹き付けられ、冷却されるようになっている。なお、冷媒としては、エンボス加工装置50から送り出された積層体29の温度未満の温度を有する気体(例えば空気や窒素ガス)や、液体窒素等から適宜選択され得る。
【0039】
ところで、エンボス加工システム30は、原反20を供給する原反供給装置(図示せず)と、エンボス加工を施されてなる加工品を回収する加工品回収装置(図示せず)と、被覆層28をなすようになる被覆シート27を供給する被覆層供給装置32と、加工品から剥がされた被覆シート27を回収する被覆層回収装置34と、をさらに有している。
【0040】
そして、本実施の形態において、図示しない原反供給装置から供給される原反20は、紙からなる基材24と、基材24上に積層された合成樹脂層22と、からなっている(図2参照)。このような原反20は、例えば、所望の合成樹脂を溶剤と配合して基材24上にコーティングすることにより、製造され得る。この場合、原反20の合成樹脂層22は基材24上に平たく延び広がるとともに、優れた光沢を有するようになる。合成樹脂層22に含まれる樹脂は、例えばポリプロピレン等、製造されるべき離型紙25に対する要求に応じて種々選択される。具体例として、合成皮革用の離型紙を作製するためのエンボス加工システム30においては、30μm〜50μmの厚さを有したポリプロピレンからなる層を合成樹脂層22とし、150μm〜200μmの厚さを有した紙を基材24とすることができる。
【0041】
また、図3に示すように、原反20のうちの合成樹脂層22が、エンボスロール52のエンボス型面53aに対面し、原反20のうちの基材24が、バックアップロール56に対面するように、原反供給装置から原反20が供給される。
【0042】
一方、被覆層供給装置32から供給される被覆シート27は、エンボス加工装置50でのエンボス加工時の条件下において、原反20のエンボス型面53の側に位置する表面をなす材料(つまり、合成樹脂層22をなす材料)よりも、応力緩和時間が短い材料から形成されている。本実施の形態において、被覆シート27は、銅やアルミニウム等からなる箔として形成されている。また図1および図2に示すように、原反20のうちの合成樹脂層22の側に被覆層20が積層されるよう、被覆層積層装置32から被覆シート27が供給される。
【0043】
なお、被覆層28をなすようになる被覆シート27の厚さや材質は、後述するエンボス加工工程において、被覆シート27(被覆層28)が、エンボス型面25の凹凸形状に追従して塑性変形し得るように選択される。すなわち、被覆層28をなす被覆シート27の厚さや材質は、エンボス型面25の凹凸形状や加工圧力を適宜考慮して、設計される。例えば、合成皮革用の離型紙を作製するためのエンボス加工システム30においては、10μm〜20μmの厚さを有したアルミニウム箔を被覆シート27(被覆層28)として用いることができる。
【0044】
次にこのような構成からなるエンボス加工システム30を用い、加工品(離型紙)25を製造する方法について説明する。
【0045】
まず、原反供給装置から原反20が繰り出され、この原反20は積層装置40を構成する一対のニップロールの間に供給される。ここで供給される原反20は、上述したように、紙からなる基材24と、基材24上に積層された合成樹脂層22と、を有している(図2参照)。
【0046】
また、原反20の供給と並行して、被覆層供給装置32から被覆シート27が繰り出され、この被覆シート27も積層装置40を構成する一対のニップロールの間に供給される。図2に示すように、被覆シート27は、金属箔からなる被覆層28のみによって構成されている。
【0047】
そして、図2に示すように、積層装置40において、順次供給されてくる原反20上に、順次供給されてくる被覆シート27が重ね合わせられる。このようにして、積層装置40において、原反20と被覆層28とからなる積層体29が順次作製されていく。図2に示すように、作製される積層体29において、金属箔からなる被覆層28は、原反20の合成樹脂層22上に配置されている。
【0048】
その後、積層体29は、エンボス加工装置50に搬送されていく。図1および図3に示すように、積層体29は、エンボス加工装置50のエンボスロール52とバックアップロール56との間に送り込まれ、エンボスロール52とバックアップロール56との間で挟圧されるようになる。
【0049】
なお、図3に示すように、エンボス型面53aは、積層体29のうちの被覆層28に当接するようになる。また、図3に示すように、原反20については、合成樹脂層22がエンボス加工装置50のエンボスロール52側に位置し、基材24がバックアップロール56側に位置するようになる。すなわち、バックアップロール56の外周面は、原反20の基材24に当接するようになる。
【0050】
このエンボス加工工程中、エンボス加工装置50に内蔵された加熱装置54,58によって、例えば、エンボスロール52のエンボス型面53aは、90℃〜150℃程度の温度に加熱され、バックアップロール56の外周面は40℃〜90℃程度の温度に加熱され得る。この結果、エンボスロール52およびバックアップロール56の間を通過する積層体29は、加熱されながらエンボス加工を施されるようになる。とりわけ、積層体29のうちのエンボス型面53aに接触する被覆層28は、金属箔からなり、高い熱伝達率および熱伝導率を有している。このため、エンボス加工工程中に、エンボスロール52およびバックアップロール56の外表面に直接接触することのない原反20の合成樹脂層まで、エンボス加工装置50に内蔵された加熱装置54,58からの熱を高い効率で均一に伝達させることができる。
【0051】
以上のようなエンボス加工工程において、厚さを適切に設定された金属箔からなる被覆層28は、エンボス加工装置50からの圧力によって塑性変形することが可能となる。これにより、被覆層28はエンボス型面53aの外輪郭に沿うように変形され得る。
【0052】
また、エンボス加工工程中、被覆層28に隣接する原反20の合成樹脂層22は、加熱されて、粘弾性流体としての性質をより強く呈するようになる。このため、合成樹脂22の粘性に起因して、エンボス型面53aの外輪郭に精確に沿うように変形することが可能となる。また、バックアップロール56の外周面にも、エンボス型面53aの凹凸形状に対応した凹凸形状が形成されている。したがって、バックアップロール56の外周面に当接する原反20の基材24も、合成樹脂層22とともに、精度良く所望の形状に変形する。
【0053】
このようにして、エンボス型面53aの凹凸形状が、積層体29に高い精度で、転写され、積層体29(原反20)に所望の凹凸柄が形成されるようになる。凹凸柄を形成された積層体29は、その後、剥離装置45に向けて搬送される。
【0054】
ところで、上述したように、原反20の合成樹脂層22は、もともと粘弾性としての性質を有しており、さらにエンボス加工工程時には、加熱されていることから粘弾性としての性質をより強く有するようになる。したがって、エンボスロール52とバックアップロール56との間において、合成樹脂層22は、その粘性性質に起因して、或る程度自由に変形し得るが、その弾性性質に起因して合成樹脂層22の内部には応力が発生する。そして、エンボスロール52とバックアップロール56との間で積層体29(合成樹脂層22)が加圧されている時間は短時間であることから、積層体29(合成樹脂層22)がエンボス加工装置50から送り出される際に、合成樹脂層22の内部に発生した応力は、ほぼそのまま残留している。
【0055】
このため、積層体29(合成樹脂層22)がエンボス加工装置50から送り出された後、合成樹脂層22は、この内部応力に起因して、変形しようとする。同様に、原反20の紙からなる基材22も、エンボス加工装置50での加圧時間が短いことから、エンボス加工工程中に完全に変形しきっていない。すなわち、エンボス加工装置50によって加圧されている間、原反20は所望の形状に変形され得るが、エンボス加工装置50から送り出された後、原反20は加工前の形状(平らな形状)に戻ろうとする。したがって、エンボス加工装置50によっていったん所望の凹凸柄を原反20に形成することができたとしても、その後に、原反20が平坦化してしまうという不都合が生じ得る。
【0056】
一方、本実施の形態においては、原反20の合成樹脂層22上には金属箔からなる被覆層28が積層され、合成樹脂層22を含む原反20が被覆層28とともにエンボス加工を受けている。エンボス加工時およびエンボス加工後の温度が低下しきっていないとき、この金属箔からなる被覆層28の応力緩和時間は、合成樹脂層22の応力緩和時間と比較して、格段に短くなっている。したがって、エンボス加工装置50による短時間での加圧により、被覆層28は十分に塑性変形することができる。このため、積層体50がエンボス加工装置50から送り出された後においても、被覆層28は、エンボス型面53aから付与された凹凸形状を安定して維持することができる。そして、この凹凸形状を維持する被覆層28が原反20に積層された状態で原反20とともに搬送され、この搬送期間、被覆層28が原反20の復元力に抗していることによって、原反20の平坦化を大幅に抑制することができる。
【0057】
また、図1および図4に示すように、積層体29は、エンボス加工装置50から送り出された後、剥離装置45に到達するまでの間、冷却装置60によって積極的に冷却される。上述したように、積層体29のうちの被覆層28は、金属箔からなり、高い熱伝達率および熱伝導率を有している。このため、積層体20の温度を迅速に低下させることができる。
【0058】
積層体29の温度低下にともなって、原反20の合成樹脂層22の温度が低下すると、合成樹脂層22をなす樹脂材料の粘性性質は著しく低下する。すなわち、合成樹脂層22は、流動性を失って硬化し、容易に変形しないようになる。このため、積層体20が冷却されると、合成樹脂層22が、高い流動性を有していたエンボス加工時の変形で蓄積された内部応力によって、もはや平坦化されることはない。また、平坦化しようとする紙の復元力はそもそも微小であり、硬化した合成樹脂層22によって、十分に、紙からなる基材24の平坦化を防止することができる。
【0059】
このようにして、図1および図5に示すように、原反20上に積層された被覆層28によって原反20の変形が抑制されながら、積層体20が剥離装置45に搬送されていく。剥離装置45において、積層体29から被覆層28が取り除かれる。すなわち、凹凸形状を形成された原反20から、被覆層28(被覆シート29)が、剥がされる。剥離させられた被覆層28(被覆シート29)は、被覆層回収装置34に巻き取られる。このようにして、図6に示すように、凹凸形状を形成された原反20からなる加工品(離型紙)25が得られるようになる。
【0060】
以上のような本実施の形態によれば、被覆層28とともに原反20がエンボス加工を施され、エンボス加工後の一定期間の間、被覆層28は原反20に積層されたままとなっている。被覆層28は、エンボス加工時およびエンボス加工後の一定期間の間の状態においても応力緩和時間が十分に短い材料によって形成されており、エンボス加工時における短時間での圧力下で完全に変形しきるようになる。このため、エンボス加工後の一定期間の間、樹脂層22を含む原反20の平坦化が、この被覆層28によって、拘束されるようになる。この結果、エンボス加工速度を低下させることなく、生産効率を維持しながら優れた転写効率で凹凸柄を原反に形成することができる。
【0061】
また、本実施の形態においては、エンボス加工時に積層体29が加熱され、エンボス加工後に、冷却装置60によって積層体29が積極的に冷却されるようになる。したがって、原反20の樹脂層22をエンボス加工後に迅速に硬化させることができる。一方、樹脂層22の内部に発生した残留応力は、加熱されて流動性を有する樹脂層22を変形させた際に発生した応力であって、冷却によって硬化した樹脂層22を変形させ得る程度まで大きくはならない。したがって、エンボス加工によって原反20に形成した高精度の凹凸柄を、平坦化させることなく、ほぼそのままに維持することができる。
【0062】
なお、上述した実施の形態に関し、本発明の要旨の範囲内で種々の変更が可能である。
【0063】
例えば、上述した実施の形態において、合成皮革用の離型紙を加工品60として製造する例を挙げたが、これに限られず、その他の用途に用いられる加工品60を製造することも当然に可能である。
【0064】
また、上述した実施の形態において、エンボス加工システム30に冷却装置60を設け、エンボス加工後の積層体29を積極的に冷却する例を示したが、これに限られない。原反20の形状や原反20をなす材料の選択によっては、エンボス加工装置50から送り出された積層体29が、放熱による自然冷却によって、十分な冷却速度で冷却されることもある。また、エンボス加工装置50と剥離装置45との間の距離が長く、被覆層28によって原反20の変形を拘束しながら、原反20を十分な温度まで冷却することができることもある。これらの場合のように、剥離装置45によって被覆層28が剥離させられるまでに原反20を十分に冷却することができる場合には、冷却装置60を用いて積極的に原反20を冷却する必要はない。
【0065】
さらに、上述した実施の形態において、エンボス加工システム30が剥離装置45を有する例を示したがこれに限られない。例えば、剥離装置45によって被覆層28を取り除くことなく、エンボス加工を施された積層体29を巻き取るようにしてもよい。この場合、積層体29が実際に使用される直前に、被覆層28が取り外すようにすることができる。上述した実施の形態にように、原反20にエンボス加工を施してなる加工品25が離型紙として用いられる場合には、被覆層28が離型紙を保護するための保護フィルムとしても機能し得る。
【符号の説明】
【0066】
20 原反
22 樹脂層(合成樹脂層)
27 被覆シート
28 被覆層
29 積層体
30 エンボス加工システム
40 積層装置
45 剥離装置
50 エンボス加工装置
53a エンボス型面
54 加熱装置
58 加熱装置
60 冷却装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンボス加工によって原反に凹凸柄を形成するエンボス加工システムであって、
被覆層と前記原反とを重ね合わせる積層装置と、
前記原反と前記被覆層との積層体にエンボス加工を施すエンボス加工装置と、を備え、
前記被覆層は、エンボス加工時に前記原反のエンボス型面側の表面をなす材料よりも応力緩和時間が短くなる材料から、形成されている
ことを特徴とするエンボス加工システム。
【請求項2】
エンボス加工によって原反に凹凸柄を形成するエンボス加工システムであって、
金属箔を含む被覆層と前記原反とを重ね合わせる積層装置と、
前記原反と前記被覆層との積層体にエンボス加工を施すエンボス加工装置と、を備える
ことを特徴とするエンボス加工システム。
【請求項3】
前記エンボス加工を施された積層体から前記被覆層を剥がす剥離装置を、さらに備える
ことを特徴とする請求項1または2に記載のエンボス加工システム。
【請求項4】
前記エンボス加工を施された積層体を冷却する冷却装置を、さらに備える
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のエンボス加工システム。
【請求項5】
前記エンボス加工装置は、前記積層体を加熱しながら当該積層体にエンボス加工を施すように構成されている
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のエンボス加工システム。
【請求項6】
前記積層装置は、前記積層体と前記被覆層とを互いに向けて押圧するニップロールである
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のエンボス加工システム。
【請求項7】
エンボス加工によって原反に凹凸柄を形成して加工品を製造する製造方法であって、
被覆層と前記原反とを重ね合わせる工程と、
前記原反と前記被覆層との積層体にエンボス加工を施す工程と、を備え、
前記被覆層は、前記エンボス加工を施す工程中に前記原反のエンボス型面側の表面をなす材料よりも応力緩和時間が短くなる材料から、形成されている
ことを特徴とする加工品の製造方法。
【請求項8】
エンボス加工によって原反に凹凸柄を形成して加工品を製造する製造方法であって、
金属箔を含む被覆層と前記原反とを重ね合わせる工程と、
前記原反と前記被覆層との積層体にエンボス加工を施す工程と、を備える
ことを特徴とする加工品の製造方法。
【請求項9】
前記エンボス加工を施された積層体から前記被覆層を剥がす工程を、さらに備える
ことを特徴とする請求項7または8に記載の加工品の製造方法。
【請求項10】
前記エンボス加工を施された積層体を冷却する工程を、さらに備える
ことを特徴とする請求項7〜9のいずれか一項に記載の加工品の製造方法。
【請求項11】
前記エンボス加工を施す工程中、前記積層体を加熱しながら当該積層体にエンボス加工を施す
ことを特徴とする請求項7〜10のいずれか一項に記載の加工品の製造方法。
【請求項1】
エンボス加工によって原反に凹凸柄を形成するエンボス加工システムであって、
被覆層と前記原反とを重ね合わせる積層装置と、
前記原反と前記被覆層との積層体にエンボス加工を施すエンボス加工装置と、を備え、
前記被覆層は、エンボス加工時に前記原反のエンボス型面側の表面をなす材料よりも応力緩和時間が短くなる材料から、形成されている
ことを特徴とするエンボス加工システム。
【請求項2】
エンボス加工によって原反に凹凸柄を形成するエンボス加工システムであって、
金属箔を含む被覆層と前記原反とを重ね合わせる積層装置と、
前記原反と前記被覆層との積層体にエンボス加工を施すエンボス加工装置と、を備える
ことを特徴とするエンボス加工システム。
【請求項3】
前記エンボス加工を施された積層体から前記被覆層を剥がす剥離装置を、さらに備える
ことを特徴とする請求項1または2に記載のエンボス加工システム。
【請求項4】
前記エンボス加工を施された積層体を冷却する冷却装置を、さらに備える
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のエンボス加工システム。
【請求項5】
前記エンボス加工装置は、前記積層体を加熱しながら当該積層体にエンボス加工を施すように構成されている
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のエンボス加工システム。
【請求項6】
前記積層装置は、前記積層体と前記被覆層とを互いに向けて押圧するニップロールである
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のエンボス加工システム。
【請求項7】
エンボス加工によって原反に凹凸柄を形成して加工品を製造する製造方法であって、
被覆層と前記原反とを重ね合わせる工程と、
前記原反と前記被覆層との積層体にエンボス加工を施す工程と、を備え、
前記被覆層は、前記エンボス加工を施す工程中に前記原反のエンボス型面側の表面をなす材料よりも応力緩和時間が短くなる材料から、形成されている
ことを特徴とする加工品の製造方法。
【請求項8】
エンボス加工によって原反に凹凸柄を形成して加工品を製造する製造方法であって、
金属箔を含む被覆層と前記原反とを重ね合わせる工程と、
前記原反と前記被覆層との積層体にエンボス加工を施す工程と、を備える
ことを特徴とする加工品の製造方法。
【請求項9】
前記エンボス加工を施された積層体から前記被覆層を剥がす工程を、さらに備える
ことを特徴とする請求項7または8に記載の加工品の製造方法。
【請求項10】
前記エンボス加工を施された積層体を冷却する工程を、さらに備える
ことを特徴とする請求項7〜9のいずれか一項に記載の加工品の製造方法。
【請求項11】
前記エンボス加工を施す工程中、前記積層体を加熱しながら当該積層体にエンボス加工を施す
ことを特徴とする請求項7〜10のいずれか一項に記載の加工品の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【公開番号】特開2010−260235(P2010−260235A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−112057(P2009−112057)
【出願日】平成21年5月1日(2009.5.1)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月1日(2009.5.1)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】
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