説明

エンボス加工装置

少なくとも1つのエンボス加工線要素(10)を含むエンボス加工面を有する剛性のエンボス加工ロール。この剛性のエンボス加工ロールにはエラストマー被覆ロールが対向しており、少なくとも1つのエンボス加工線要素は、トップ部(12)を含み、このトップ部は、第1の縁とこの第1の縁に対向する第2の縁、並びに、該第1の縁と第2の縁(21,23)の間で計測される幅Aを有する。前記第1の縁又は第2の縁のいずれかに隣接してステップ部(24)が配置され、このステップ部は、ライザ部(28)とランド部を有する。ランド部は、エンボス加工線要素のライザ部と側壁(18,19)の間で計測される幅Bを有し、ライザ部は、エンボス加工線要素の底に対して直交する軸に沿って計測されるランド部とトップ部の間の縦方向の高さCを有する。結果として、Aは、約0.010インチ(0.254mm)から約0.10インチ(2.54mm)の間であり、Bは、約0.010インチ(0.254mm)から約0.10インチ(2.54mm)の間であり、Cは、約0.0025インチ(0.0635mm)から約0.015インチ(0.381mm)の間であり、比C/Bは、約0.25から約1.5の間であり、A/Bの比は、約0.1から約10.0の間である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、エンボス加工装置に関する。
【0002】
エンボス加工とは、圧力下で、エンボス加工ロール上に彫刻された又は他の方法で形成された模様の深さ及び輪郭に基材の形状を一致をさせるため、基材を機械的に加工する工程をいう。これは、消費財の生産に汎用されている。製造業者は、織物、紙、合成材料、プラスチック材料、金属、及び木材から製造された製品に生地模様又はレリーフ模様を付与するべくエンボス加工工程を利用する。
【背景技術】
【0003】
多くの場合、エンボス加工ロールは、エンボス加工デザインを形成するように構成された複数個の個別エンボス加工要素を含む。最近、比較的に小さなエンボス加工面域を有する点又はダッシュ要素で形成されたデザインから、非常に大きなエンボス加工面域を有する曲線要素で形成されたデザインへの変化の傾向がある。例えば、花、蝶、及び幾何学図形の模様は、現在、典型的には、一連の個別の点又はダッシュ要素ではなく、実質的に連続状の曲線要素によって作成される。曲線要素によって形成される模様は、点状の外観となる点又はダッシュ加工要素により形成の模様よりも優れて審美的な魅力を有する傾向がある。所定のエンボス加工ニップ荷重に関連して、エンボス加工される基材に対して各エンボス加工要素が加える正味の力は、曲線要素(大面域)を使用した場合には、点要素(小面域)を使用した場合とは対照的に、格段に小さくすることが可能であると考えられる。すなわち、点要素から曲線要素に変更した場合の可能な結果は、基材における生成エンボス加工模様の格段の明瞭度の喪失である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第5693403号明細書
【特許文献2】米国特許第6077390号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
テイッシュペーパーのような紙の生産においては、多くの場合、使用者にとって良好な感触をもたらす高度の柔軟性と魅力的な審美的外観とを結合することが望ましい。テイッシュ基材のエンボス加工は、多くの場合、審美的外観の向上とともに、ふくらみ感とソフト感に貢献する。エンボス加工工程及びエンボス加工される基材の外観の向上は、テイッシュ材の特性及び/又は使用者による評価を高める。今日の高級テイッシュ製品の消費者は、完成品に、輪郭のはっきりとしたエンボス加工模様を求めている。消費者は、多くの場合、購入前にはテイッシュ製品に触って感触を知ることはできないので、エンボス加工形状の高度の明瞭さを質の表示と同一視する。したがって、エンボス加工分野には、エンボス加工工程によって基材にもたらされる外観及びエンボス加工形状の鮮明度を改善するという一般的な目的が存在する。さらに、曲線又は直線要素を使用した模様に関するエンボス加工形状の鮮明度を改善するという要請も、また、存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、一実施例において、鋼/ゴム・エンボス加工ニップを使用した場合、エンボス加工線要素のトップ面に小さなステップ部又は一連のノッチ部を含ませることにより、紙基材のエンボス加工形状の鮮明度の向上が可能なことを発見した。ステップ部又はノッチ部の特定の幾何学的構造の調整により、ゴムロールの弾性表面のステップ部又はノッチ部への入り込みが可能となり、これにより、曲線要素の表面に沿って追加的なはさみ込み箇所が設けられる。エンボス加工線要素を使用した場合、追加的なはさみ込み箇所は、基材内のエンボス加工模様を、さらに、設定し且つ画定し、エンボス加工形状の明瞭さ(明瞭度)の向上を促進する。
【0007】
したがって、一実施例において、この発明は、少なくとも1つのエンボス加工線要素を含有するエンボス加工面を有する剛性のエンボス加工ロールを含む装置として存在する。エラストマー被覆ロールが、剛性のエンボス加工ロール、並びに、第1の縁と該第1の縁に対向する第2の縁及びこの第1の縁と第2の縁の間で計測された幅Aを有するトップ部を含む少なくとも1つのエンボス加工線要素に対向する。第1の縁又は第2の縁のいずれかに隣接してステップ部が配置され、該ステップ部は、ライザ部とランド部とを有する。ランド部は、エンボス加工線要素の側壁とライザ部の間で計測された幅Bを有し、ライザ部は、エンボス加工線要素の基部に対して直交する軸線に沿ってランド部とトップ部の間で計測された縦の高さCを有する。結論として、Aは約0.010インチ(0.254mm)乃至約0.10インチ(2.54mm)の間であり、Bは約0.010インチ(0.254mm)乃至約0.10インチ(2.54mm)の間であり、Cは約0.0025インチ(0.0635mm)乃至約0.015インチ(0.381mm)の間であり、C/Bの比は約0.25乃至約1.5の間であり、A/Bの比は約0.1乃至約10.0の間である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】エンボス加工要素のトップ面の1つの縁に沿った小ステップ部を有するエンボス加工要素の一実施例の透視図である。
【図2】エンボス加工要素のトップ面の1つの縁に沿った一連のノッチ部を有するエンボス加工要素の別の実施例の透視図である。
【図3】エンボス加工要素のトップ面の両方の縁に沿った一連のノッチ部を有するエンボス加工要素の別の実施例の透視図である。
【図4】エンボス加工要素のトップ面の1つの縁に沿った一連のノッチ部を有するエンボス加工要素の別の実施例の透視図である。
【図5】エンボス加工要素のトップ面に設けた一連の孔を有するエンボス加工要素の別の実施例の透視図である。
【図6】エラストマー被覆ロールとはさみ合わせ状態にある彫刻されたエンボス加工ロールの間に配置されたテイッシュウエブ材の側面図である。
【図7】エンボス加工要素のトップ面の1つの縁に沿ったステップ部を有する曲線エンボス加工ライン要素によって形成された花のエンボス加工模様の透視図である。
【図8】エンボス加工要素のトップ面の1つの縁に沿った一連の異なる形状のノッチ部を有する別のエンボス加工要素の透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
この発明の上述した面及び他の特徴並びに利点は、以下の説明、添付請求項及び図面に関連してより適切に理解される。
【0010】
明細書及び図面における参照番号の繰り返し使用は、この発明の同一の又は類似の特徴又は要素の表示を意図している。
【0011】
定義
請求項を含むこの明細書に使用の様に、「から成る」、「有する」、及び「含む」との形の用語は、法律的に均等であって変更可能である。したがって、記載された要素、機能、過程、又は限定への追加として、記載されていない追加の要素、機能、過程、又は限定を設けることも可能である。
【0012】
この明細書に使用のように、「基材」とは、家事雑用、個人的ケア、健康管理、食品包装、又は化粧品の塗布又は除去に有用な柔軟なシート又はウエブ材である。適合する基材の非限定的例には、不織基材;織物基材;水力巻取基材;空気巻取基材;テイッシュペーパー、トイレットペーパー、紙タオル、紙ナプキン、又は顔拭きテイッシュのようなセルロースを含む紙基材;ワックスペーパー基材;セルロース繊維とポリマー繊維を含むコフォーム基材;湿式テイッシュ、湿式洗浄テイッシュ、湿式トイレットペーパー、及び赤ん坊用おしりふきのような湿式基材;食品の包装に使用するようなフイルム又はプラスチック基材;及びアルミニウム・フオイルのような金属基材が含まれる。さらに、前記基材の任意のものの2層以上を一つに積層又は積重した基材も適合可能である。
【0013】
この明細書の記載は、特定実施例の説明のためのみであり、この発明の範囲を限定する意図ではないことを当業者は理解されたい。
【0014】
エラストマー被覆ロールとの組合せにより基材を通過させるためのニップを形成する少なくとも1つの彫刻された剛性ロールを使用して、基材へのエンボス加工模様の付与が可能である。基材表面のエンボス加工のためには、1つ又は複数の一連のエンボス加工ニップの使用が可能である。ニップは、2つの表面を相互に押圧する特定荷重力に対する調節が可能であるか、又は、固定されたニップ幅のようにエラストマー被覆ロールの特定の変形に対して設定が可能である。当業界においてゴムロールとして一般的に知られているエラストマーロールは、剛性ロール上の隆起されたエンボス加工模様に対して押圧されたときに変形してへこむ表面を有している。両ロール間のニップを基材が通過する際に、剛性ロール上の模様が基材に付与される。剛性エンボス加工ロールの模様は、レーザ彫刻法、彫刻器具を使用する機械式彫刻法のような当業者に公知の各種の方法で、又は、CNC機械及びフライス加工ビットのようなマシンツールによる表面での模様の切削によって、彫刻されることが可能である。
【0015】
典型的には、剛性ロールとしては、鋼ロールが使用される。しかしながら、エラストマーロールの被覆材よりも格段に硬いプラスチック表面、他の金属表面、又はその他の材料の使用が可能である。エラストマー被覆ロールは、望ましくは、ショアAスケールのデュロメータ(Durometer)で約40乃至約80又は約60ショアA乃至約70ショアAの外表面硬度を有する。エラストマー被覆ロールは、望ましくは、約0.375インチ乃至約1インチ(約9.5mm乃至約24.5mm)の間の厚さを有するエラストマー材料によって被覆された鋼製芯材を有し、さらに、望ましくは、この厚さは、約0.5インチ乃至0.625インチ(約12.7mm乃至約15.9mm)の間である。エラストマーロールを被覆するのに有用な典型的材料には、天然又は合成ゴム、DuPontから市販のHypalon、ニトリルゴム、ポリウレタン、水素化ニトリル、スチレンゴム、及びEPDMゴムが含まれる。
【0016】
図1を参照するに、エンボス加工線要素10を図解する。エンボス加工線要素10は、直線セグメント、曲線セグメント、又は、直線セグメントと曲線セグメントの組合せ構造にできる。エンボス加工線要素10は、彫刻による高さHを有しており、これは、基部14に対して直交する軸線に沿った縦方向の間隔である。この高さは、エンボス加工線要素10の基部14とトップ部12の間で計測される。選択された要素の高さは、多くの場合、エンボス加工模様及びその適用に依拠して異なっている。エンボス加工される基材のかさを大きく増加する必要がある場合には、一般的に、比較的高い要素高さが用いられる。密度の高い完成品が必要とされるような場合には、一般的に、比較的低い要素高さが用いられる。
【0017】
エンボス加工紙タオル基材用の典型的な要素高さは、一般的には、約0.040インチ乃至約0.075インチ(約1.0mm乃至約1.9mm)の間であり、約0.055インチ(約1.4mm)が通常である。トイレットペーパー基材用の典型的な要素高さは、一般的には、約0.020インチ乃至約0.055インチ(約0.5mm乃至約1.4mm)の間であり、多くの場合、約0.040インチ(約1.0mm)が始点として選ばれる。紙ナプキン基材用の典型的な要素高さは、一般的に、約0.025インチ乃至約0.045インチ(約0.6mm乃至約1.1mm)の間であり、約0.035インチ(約0.9mm)が通常である。エンボス加工要素の高さに関連する2つの特許としては、1997年12月2日付けブラウン等に特許された「削減された要素高さによるエンボス加工」との名称の米国特許第5693403号(特許文献1)と2000年6月20日付けサルマン等に特許された「カレンダー仕上げされ且つエンボス加工されたテイッシュ製品」との名称の米国特許第6077390号(特許文献2)がある。
【0018】
側壁角度16は、エンボス加工要素10の基部14から延在する第1の側壁18及び第2の側壁19の、前記基部と交差する直交軸線に対する角度である。側壁角度は、一般的には、+3度乃至+30度であり、+22度が通常である。一般的には、側壁角度が大きければ、彫刻が容易であり、作動の際には粉塵がつかないように維持することが容易であり、一方、側壁角度が小さければ、改善されたエンボス加工形状明瞭度又は層接合を提供することができる。
【0019】
トップ部半径20及び底部半径22は、エンボス加工線要素のトップ部と底部での曲率半径をいう。底部半径22は、第1の側壁と第2の側壁18、19が基部14に交わる縁に沿った半径である。トップ部半径20は、第1の側壁18がトップ部12と交わる第1の縁21又は第1の縁と対向する第2の縁23のような、トップ部12の縁に沿った半径である。トップ部半径及び底部半径20、22は、概ね、同一であり、約0.001インチから約0.010インチ(約0.03mmから約0.25mm)の範囲であり、約0.005インチ(約0.13mm)が通常である。一般的には、半径が大きければ、彫刻が容易であり、所定のエンボス加工レベルでの低い劣化を達成し、一方、小さなトップ部半径は、エンボス加工形状明瞭度に関しては比較的優れており、所定のエンボス加工レベルで比較的大きなかさを生み出す。
【0020】
エンボス加工線要素10は、また、要素のトップ面12に隣接してステップ部24を含む。ステップ部24は、トップ部12の縁21、23のどちらかに隣接して配置可能である。ステップ部24は、基部14とライザ部28に実質的に平行なランド部26を含む。ライザ部28は、基部14に対して直交する軸線に対して角度付けされており、基部に対して直交する軸線からのライザ部角度30は、側壁18、19に関する側壁角度16と概ね同一の範囲である。この発明の各種の実施例において、ライザ部角度30は、基部に対して直交する軸線から、約+3度乃至約+30度の間とすることができる。
【0021】
エンボス加工線要素のトップ部12は、第1の縁と第2の縁21、23の間の計測でAとして示される幅を有し、ランド部26は、ライザ部28と第2の側壁19の間の計測でBとして示される幅を有する。ライザ部28は、基部14に対して直交する軸線に沿ったトップ部12とランド部26の間の縦方向の計測でCで示される高さを有する。さらに、エンボス加工線要素10は、側壁18が基部14につながる部分の要素に沿って計測した長さLを有する。エンボス加工線要素10の長さは、要素にわん曲部分があるならば、そのわん曲部分に沿って計測した全長である。ステップ部24は、実質的に、エンボス加工線要素10と同一の長さLを有する。一般的に、長さLは、約0.100インチ(約2.5mm)以上であり、又は、3A以上である。それで、エンボス加工線要素10の長さは、実質的に円形のトップ部12を有する典型的な「点」エンボス加工要素よりも格段に長い。
【0022】
本発明者は、ステップ部24の幾何学的構造が特定の寸法の範囲内にあるならば、そして、その寸法の幾つかの比が特定の範囲内にあるならば、テイッシュペーパーにおける改善されたエンボス加工形状明瞭度が達成されることを発見した。パラメータを表1に記述の限界内に維持することによって、ゴムロールのエラストマー表面は、ステップ部24によって画定される空所内に入り込むことができ、これにより、第3の縁25を形成する第2の側壁19にランド部26が交わる部分及び第2の縁23に沿ってライザ部28がトップ部12と交わる部分に追加的なはさみ込み箇所が創出される。これらの追加的はさみ込み箇所は、鋼/ゴム・エンボス加工ニップを使用した場合に、テイッシュ材に、より一層半永久的な折り目及びひだを創出し、エンボス加工製品のエンボス加工形状明瞭度を向上する。表1を参照するに、パラメータの範囲は、インチとミリメータとで提示されている。
【0023】


【0024】
表1内の各種パラメータの値は、概算であり、数値の前に大略又は約の用語が付されたとして読まれ且つ解釈されるべきである。単一列の欄表題の下に記載した個別数値は、特定のパラメータの範囲を形成するように使用可能である。パラメータの範囲は、パラメータに関して記載された最小値及び最大値を利用して確定可能である。例えば、パラメータAは、約0.010インチ乃至約0.1インチ(約0.25mm乃至約2.54mm)の間とすることができる。
【0025】
いずかの列に関する最大と最小内の追加的な範囲は、その列内の範囲の2つの端点を決定する欄表題のいずれかの一対を使用して形成することができる。例えば、記載された任意のパラメータに関する可能な範囲は、最小と最大の間、最小と高度に好ましいの間、最小と所望の間、最小と低度に好ましいの間、低度に好ましいと最大の間、低度に好ましいと高度に好ましいの間、低度に好ましいと所望の範囲、所望と最大の間、所望と高度に好ましいの間、又は、高度に好ましいと最大の間、である。
【0026】
一般的には、Aに対するB又はCの増加によってステップ部24が大きくなりすぎると、エンボス加工形状明瞭度は低下する。エンボス加工形状明瞭度の低下は、トップ部12によるよりもシェルフ部24によってゴムロールがテイッシュ材をはさみ込むので起こされると考えられる。理想的には、トップ部12とシェルフ部24によってエンボス加工基材に加えられるはさみ込み力は、トップ部の縁21、23及び第3の縁25に生起する同様の圧力又は力と同程度であることが必要である。すなわち、鋼/ゴム・エンボス加工ニップを使用したときには、幾何学的構造を表1に特定された範囲に維持することによって、格段に向上したエンボス加工形状明瞭度を実現する。一般的には、パラメータが「所望」の表題の欄に近づくほど、テイッシュペーパー製品に向上されたエンボス加工形状明瞭度が達成される。
【0027】
トイレットペーパー及び紙ナプキンの好実施例では、表1のパラメータは、その範囲をさらに狭めることができる。トイレットペーパー及びナプキンに関しては、テイッシュペーパーは、基本重量が比較的軽くそして比較的薄い傾向がある。また、トイレットペーパー及び紙ナプキンのエンボス加工は、装飾的効果が比較的に大であり、そして、完成品での構造かさ/容積が比較的に小である。すなわち、トイレットペーパー及びナプキンに関しては、Aは約0.010インチ乃至約0.020インチ(約0.25mm乃至約0.51mm)の間とすることができ、Bは約0.010インチ乃至約0.020インチ(約0.25mm乃至約0.51mm)の間とすることができ、Cは約0.004インチ乃至約0.010インチ(約0.10mm乃至約0.25mm)の間とすることができ、比C/Bは約0.38乃至約1.0の間とすることができ、比A/Bは約0.6乃至約3.0の間とすることができる。パラメータの全てが各々所望範囲内にあることは、必須ではない。例えば、Aは0.018インチ(約0.46mm)とし、Cは0.018インチ(約0.46mm)とすることが可能である。
【0028】
紙タオルの好実施例では、表1のパラメータは、さらに、その範囲を狭めることが可能である。紙タオルでは、テイッシュペーパーは、基本重量が比較的に大であり、そして、比較的に厚い傾向がある。また、装飾は重視せず、かさ/容積を増やすべく、紙タオルに対するエンボス加工は、比較的多い回数行われる。すなわち、紙タオルに関しては、Aは約0.020インチ乃至0.040インチ(約0.51mm乃至約1.02mm)の間とすることができ、Bは約0.020インチ乃至約0.040インチ(約0.51mm乃至約1.02mm)の間とすることができ、Cは約0.004インチ乃至約0.010インチ(約0.10mm乃至約0.25mm)の間とすることができ、比C/Bは約0.38乃至約1.0の間とすることができ、比A/Bは約0.6乃至約3.0の間とすることができる。パラメータの全てが各々の確認された範囲内にあることは、必須ではない。例えば、Aは0.018インチ(0.46mm)とし、Cは0.018インチ(0.46mm)とすることが可能である。
【0029】
ここで図2及び図3を参照するに、エンボス加工線要素10の2つの追加的な実施例が示されている。エンボス加工線要素10は、直線セグメント、曲線セグメント、又は直線セグメントと曲線セグメントの組合せとすることができる。エンボス加工線要素10は、彫刻された高さHを有しており、これは、基部14に対して直交する軸線に沿った縦方向の間隔を意味する。この高さは、エンボス加工線要素10の基部14とトップ部12の間で計測される。選択された要素高さは、多くの場合、エンボス加工模様とその適用に依拠して異なっている。エンボス加工される基材のかさを大きく増加する必要があるような場合には、一般的に、比較的高い要素高さが用いられる。密度の高い完成品が必要とされるような場合には、一般的に、比較的低い要素高さが用いられる。エンボス加工紙タオル基材での典型的な要素高さは、一般的に、約0.040インチ乃至約0.075インチ(約1.0mm乃至約1.9mm)の間であり、約0.055インチ(約1.4mm)が通常である。トイレットペーパー基材での典型的な要素高さは、一般的に、約0.020インチ乃至約0.055インチ(約0.5mm乃至約1.4mm)の間であり、多くの場合、約0.040インチ(約1.0mm)が始点として選ばれる。紙ナプキン基材での典型的な要素高さは、一般的に、約0.025インチ乃至約0.045インチ(約0.6mm乃至約1.1mm)の間であり、約0.035インチ(約0.9mm)が通常である。
【0030】
側壁角度16は、エンボス加工線要素10の基部14から延在する第1の側壁18及び第2の側壁19の、前記基部と交差する直交軸線に対する角度である。側壁角度は、一般的には、+3度乃至+30度であり、+22度が通常である。一般的には、側壁角度が大きければ、彫刻が容易であり、作動の際には粉塵がつかないように維持することが容易であり、一方、側壁角度が小さければ、改善されたエンボス加工形状明瞭度又は層接合を提供することができる。
【0031】
トップ部半径20及び底部半径22は、エンボス加工線要素のトップ部と底部での曲率半径をいう。底部半径22は、第1の側壁と第2の側壁18、19が基部14に交わる部分の半径である。トップ部半径20は、第1の側壁と第2の側壁18、19がトップ部12と交わる部分での、トップ部12の第1の縁21又は第2の縁23のいずれかに沿った半径である。トップ部半径及び底部半径20、22は、概ね、同一であり、約0.001インチから約0.010インチ(約0.03mmから約0.25mm)の範囲であり、約0.005インチ(約0.13mm)が通常である。一般的には、半径が大きければ、彫刻が容易であり、所定のエンボス加工レベルで低い劣化を達成し、一方、小さなトップ部半径は、エンボス加工形状明瞭度に関しては比較的優れており且つ所定のエンボス加工レベルで比較的大きなかさを生み出す。
【0032】
エンボス加工線要素10は、また、図1のステップ部24に沿って間隔をおいて配置された複数個のインテグラルブロック33によって形成された複数個のノッチ部32を含む。図2の例では、エンボス加工線要素10は、ステップ部に沿って等間隔に配置された3つのインテグラルブロック33を備えた図1のステップ部24を有するものとして考えられ得る。図3の例では、エンボス加工線要素10は、概念的に、要素の両側に沿ったステップ部24(図1)を有する両ステップ部に沿って、複数個の互い違いに配置されたブロック33を備え、これにより、第1の縁と第2の縁21、23の両方に沿って複数個の互い違いに配置されたノッチ部32を形成したとして考えられ得る。複数個のノッチ部32は、第1の縁又は第2の縁21、23のいずれかに沿って要素のトップ部12から金属を除去して形成するが、第1の縁21から第2の縁23までトップ部を完全に貫通する切除は行わない。複数個のノッチ部32は、トップ部12の第1の縁又は第2の縁のいずれか(図2の21又は23)に沿って、又は、両方の縁(図3)に沿って金属を除去して形成することができる。
【0033】
理論による制限を望まないが、複数個のノッチ部32は、トップ部12の外形に沿った全周囲長さを増やし、これは、したがって、エンボス加工模様の明瞭度を増加する。例えば、図2のエンボス加工線要素10がいずれのノッチ部32をも有していない場合を仮定すると、トップ部12の外形に沿った全長は、概ね2L+2(A+X)に等しい。図2において、トップ部12の外形に沿った全長は、特に、要素長さが格段に増え又はノッチ部の数が格段に増えているので、ノッチ部の無いトップ部12の外形に沿った全長よりも概ね(2X*ノッチ部の数)だけ増えている。図において、Xは、トップ部12に切削されたノッチ部32の幅を表す。方形凹部として形成された場合に、各ノッチ部32は、トップ部12の表面に存在する凹部上端縁34と2つの内側上端縁35を有する。凹部上端縁34は、エンボス加工線要素10の第2の縁23の位置からエンボス加工線要素の内側寄りの位置への移動にすぎないので、トップ部の外形の全長の増加に対する格段の効果はない。しかし、ノッチ部の深さが相当量増えた場合には、2つの内側上端縁35は、トップ部の外形に格段の長さ(概ね2X*ノッチ部の数)を加える。追加された内側上端縁35は、本質的にノッチ部の無いエンボス加工要素と同じ全長Lを有するエンボス加工線要素10に比較的多数の折り目形成縁及び模様形成縁を提供する。テイッシュ材は、比較的多数の縁に沿って且つ比較的長い全外形長さに沿って折り目づけが行われるので、改善されたエンボス加工形状明瞭度を実現する。
【0034】
複数個のノッチ部32は、図示した実質的四角形状に加え代替的な形状を有することができる。例えば、複数個のノッチ部32は、トップ部表面から見たときに、正方形、矩形、三角形、台形、楔形、正弦曲線形、卵形、円形、U字形状、又はトップ部外形に比較的長い折り目縁長さを加える他の形状とすることができる。図8を参照するに、三角形ノッチ部60、平坦な底部を有する円筒状ノッチ部62、台形ノッチ部64、及び半球状底部と円筒状側面を有する卵形ノッチ部66が、望ましいノッチ部の外形である。ノッチ部の作成のためにレーザ彫刻法を使用した場合、四角形ノッチ部32の側壁と底部は、多くの場合、円形の成形が可能で、図解されたような卵形ノッチ部66になる。
【0035】
複数個のノッチ部32は、すべて、図2に示す第2の縁23に沿うように、トップ部12の同一の縁に沿って配置可能である。代替的には、複数個のノッチ部32は、すべて、エンボス加工線要素10の第1の縁21に沿って配置可能である。代替的には、複数個のノッチ部32は、図3に示すようにトップ部12の第1の縁と第2の縁21、23の両方に沿って配置することにより互い違いに位置付け且つオフセットすることが可能である。
【0036】
複数個のノッチ部32は、該ノッチ部が図2、3及び8に示されるような形状に作成された場合、基部14及びライザ部28に実質的に平行なランド部26を含むことが可能である。ライザ部28は、基部14に対して直交する軸線に対して角度が付けられており、基部に対して直交する軸線からのライザ部角度30は、概ね、第1及び第2の側壁18、19に対する側壁角度16と同一の範囲内である。この発明の各種の実施例において、ライザ部角度30は、基部に対して直交する軸線から約+3度乃至約+30度の間とすることができる。異なるノッチ部に関するこの発明の別の実施例では、ランド部26を最小限にするか又は除去することができ、傾斜状ライザ部28は、図4に示すようにトップ部12が側壁18と交わる第1又は第2の縁21、23に狭い小溝を形成することによって複数個のノッチ部32を形成することができる。この例では、ライザ部角度30は、側壁角度16に対して格段に大きくされている。図4に示される四角形ノッチ部の代わりに、円形、三角形、半球形、又は他の形状のノッチ部の形成も可能である。
【0037】
エンボス加工線要素のトップ部12は、トップ面の各ノッチ部の凹部上端縁34より、第1又は第2の側壁18、19がトップ部12と交わる対向状の第1又は第2の縁21、23までのAで示される最小幅を有する。複数個のノッチ部32は、各々、ノッチ部32の上端において、凹部上端縁34と対応する第1又は第2の側壁18、19の間で計測したXで示される最大幅を有する。ライザ部28は、トップ部12とノッチ部の底部の間で計測した、基部14に対して直交する軸線に沿って縦方向で計測したCで示される高さを有し、ノッチ部の底部は、側壁18、19と交わって下方外縁37を形成する。エンボス加工線要素10は、第2の側壁19が基部14につながる部分で要素に沿って計測された長さLを有する。エンボス加工線要素10の長さは、もし、わん曲部分が要素に有るならば、わん曲部分に沿って計測した全長である。概略、長さLは、約0.100インチ(約2.54mm)以上であるか、又は、3A以上である。それで、エンボス加工線要素10は、実質的に円形のトップ部12を有する典型的な「点」エンボス加工要素よりも格段に長い。最後に、各ノッチ部32は、長さDを有しており、この箇所での材料は、第1又は第2の縁21、23から除去され、この長さは、エンボス加工線要素10の長さLよりも格段に短い寸法である。
【0038】
本発明者は、ノッチ部32の幾何学的構造が特定の寸法内にあれば、そして、その寸法の幾つかの比が特定の範囲内にあれば、テイッシュペーパーに改善されたエンボス加工形状明瞭度が生ずることを発見した。パラメータを表2に記述された限界内に維持することによって、ゴムロールのエラストマー表面は、各ノッチ部32によって画定される空所内に入り込むことができ、これによって、ノッチ部の内側面に沿って追加的なはさみ込み箇所が創出される。鋼/ゴム・エンボス加工ニップを使用した場合、これらの追加的なはさみ込み箇所が、エンボス加工製品に、さらに改善されたエンボス加工形状鮮明度を創出する。表2を参照するに、パラメータの範囲はインチ及びミリメータで提示される。
【0039】


【0040】
表2内の各種パラメータの値は、概算であり、数値の前に大略又は約の用語の付されたとして読まれ且つ解釈されるべきである。単一列の欄表題の下に記載した個別数値は、特定のパラメータの範囲を形成するように使用可能である。或る範囲は、パラメータに関する最小値及び最大値を利用して確定可能である。例えば、パラメータAは、約0.010インチ乃至約0.1インチ(約0.25mm乃至約2.54mm)の間とすることができる。
【0041】
いずかの列に関する最大と最小内の追加的な範囲は、その列内の範囲の2つの端点を決定する欄表題のいずれかの一対を使用して形成することができる。例えば、記載された任意のパラメータに関する可能な範囲は、最小と最大の間、最小と高度に好ましいの間、最小と所望の間、最小と低度に好ましいの間、低度に好ましいと最大の間、低度に好ましいと高度に好ましいの間、低度に好ましいと所望の間、所望と最大の間、所望と高度に好ましいの間、又は、高度に好ましいと最大の間、である。
【0042】
一般的には、ノッチ部の点在数が少なくなるにともない、エンボス加工形状明瞭度は低下する。さらに、D>約0.015インチ(0.38mm)でノッチ部が十分に長い場合を除き、被覆ロールのエラストマー表面が十分に深く入り込んで各ノッチ部の下方外縁37に接する可能性は低い。このことは、基材に模様を付けるのに利用可能な縁の全長を短くする。しかし、ノッチ部の長さDが長くなりすぎた場合には、ノッチ部は、最終のエンボス加工模様内で非常に目立ってしまう。一般的には、ノッチ部は、望ましくは、肉眼では気づかれず、ノッチ部のない要素の外側形状のみが見えるようにする。鋼/ゴム・エンボス加工ニップを使用した場合には、表2に記載された範囲の幾何学的構造を維持することにより、格段に向上したエンボス加工形状明瞭度が生ずる。一般的には、パラメータが「所望」との表題の欄に近づくにつれて、テイッシュペーパー製品に向上したエンボス加工形状明瞭度が生ずる。
【0043】
トイレットペーパー及び紙ナプキンに関する好実施例では、表2のパラメータは、さらに、その範囲を狭めることができる。トイレットペーパーとナプキンに関しては、テイッシュペーパーは、基本重量が比較的軽くそして比較的薄い傾向がある。また、トイレットペーパー及び紙ナプキンのエンボス加工は、装飾的効果が比較的に大であり、そして、完成品での構造かさ/容積が比較的に小である。すなわち、トイレットペーパー及びナプキンに関しては、Aは約0.010インチ乃至約0.020インチ(約0.25mm乃至約0.51mm)の間であり、Xは約0.010インチ乃至約0.020インチ(約0.25mm乃至約0.51mm)の間であり、Cは約0.010インチ乃至約0.020インチ(約0.25mm乃至約0.51mm)の間であり、Dは約0.008インチ乃至約0.015インチ(約0.20mm乃至約0.38mm)の間であり、比C/Xは約0.38乃至約2.0の間であり、比A/Xは約0.6乃至約3.0の間である。パラメータの全てが各々、所望の範囲内にあることは、必須ではない。
【0044】
紙タオルに関する好実施例では、表2のパラメータは、さらに、その範囲を狭めることができる。紙タオルに関しては、テイッシュペーパーは、基本重量が比較的重くそして比較的厚い傾向がある。また、紙タオルのエンボス加工は、より多くの場合に、装飾的効果は重要視せずに、かさ/容積の創出を目的として実施される。すなわち、紙タオルに関しては、Aは約0.020インチ乃至約0.040インチ(約0.51mm乃至約1.02mm)の間であり、Xは約0.020インチ乃至約0.040インチ(約0.51mm乃至約1.02mm)の間であり、Cは約0.004インチ乃至約0.010インチ(約0.10mm乃至約0.25mm)の間であり、Dは約0.008インチ乃至約0.015インチ(約0.20mm乃至約0.38mm)の間であり、比C/Xは約0.38乃至約1.0の間であり、比A/Xは約0.6乃至約3.0の間である。パラメータの全てが各々の確認された範囲内にあることは、必須ではない。
【0045】
図5を参照するに、別のエンボス加工線要素10が図解されている。エンボス加工線要素10は、直線セグメント、曲線セグメント、又は直線セグメントと曲線セグメントの組合せとすることができる。エンボス加工線要素10は、彫刻された高さHを有し、これは、基部14に対して直交する軸線に沿った縦方向の間隔をいう。この高さは、エンボス加工線要素10のトップ部12と基部14の間で計測される。選択された要素高さは、多くの場合、エンボス加工模様とその用途に依拠して異なる。エンボス加工される基材のかさを大きく増加させることが必要な場合には、一般的に、比較的高い要素高さが用いられる。密度の高い完成品が必要とされるような場合には、一般的に、比較的低い要素高さが用いられる。エンボス加工紙タオル基材での典型的な要素高さは、一般的に、約0.040インチ乃至約0.075インチ(約1.0mm乃至約1.9mm)の間であり、約0.055インチ(約1.4mm)が通常である。トイレットペーパー基材での典型的な要素高さは、一般的に、約0.020インチ乃至約0.055インチ(約0.5mm乃至約1.4mm)の間であり、多くの場合、約0.040インチ(約1.0mm)が始点として選ばれる。紙ナプキン基材での典型的な要素高さは、一般的に、約0.025インチ乃至約0.045インチ(約0.6mm乃至約1.1mm)の間であり、約0.035インチ(約0.9mm)が通常である。
【0046】
側壁角度16は、エンボス加工線要素10の基部14から延在する第1の側壁18と第2の側壁19の、基部に交差する直交の軸線に対する角度をいう。側壁角度は、一般的に、+3度乃至+30度であり、+22度が通常である。一般的には、側壁角度が大きければ、彫刻が容易であり、作動の際には粉塵がつかないように維持することが容易であり、一方、側壁角度が小さければ、改善されたエンボス加工形状明瞭度又は層接合を提供することができる。
【0047】
トップ部半径20及び底部半径22は、エンボス加工要素のトップ部及び底部の曲率半径をいう。底部半径22は、第1の側壁及び第2の側壁18、19が基部14に交わる縁に沿った半径である。トップ部半径20は、第1の側壁18がトップ部12と交わる第1の縁21又は第1の縁に対向する第2の縁23のような、トップ部12の縁に沿った半径である。トップ部半径及び底部半径20、22は、概ね、同一であり、約0.001インチから約0.010インチ(約0.03mmから約0.25mm)の範囲であり、約0.005インチ(約0.13mm)が通常である。一般的には、半径が大きければ、彫刻が容易であり、所定のエンボス加工レベルで低い劣化を実現し、一方、小さなトップ部半径は、エンボス加工形状明瞭度に関しては比較的優れており且つ所定のエンボス加工レベルで比較的大きなかさを生み出す。
【0048】
エンボス加工線要素10は、また、該要素のトップ部に配置された複数個のくぼみ36を含む。望ましくは、このくぼみは、トップ部から見た場合に、矩形又は四角形であるが、三角形、円形、卵形、又はその他の形状とすることが可能である。エンボス加工線要素のトップ部12は、トップ面において各くぼみ36を囲む内側上端縁35から、第1又は第2の側壁18、19がトップ部12と交わる対向する第1又は第2の縁21、23まで、Aで示される最小幅を有する。くぼみ36は、該線要素の各長さ方向及び幅方向に沿った、Dで示される最大長さ、並びに、Xで示される最大幅を有する。くぼみは、トップ部12からランド部26又は底部まで基部14に対して直交する軸線に沿って縦方向に計測した、Cで示される深さを有する。エンボス加工線要素10は、第2の側壁19が基部14につながる部分で該要素に沿って計測された長さLを有する。エンボス加工線要素10の長さは、該要素のわん曲部分があれば、該要素のわん曲部分に沿って計測された全長である。
【0049】
本発明者は、くぼみ36の幾何学的構造が特定の寸法内にあれば、テイッシュペーパーに改善されたエンボス加工形状明瞭度が生じることを発見した。パラメータを表3に記述された限界内に維持することによって、ゴムロールのエラストマー表面は、くぼみ36によって画定される空所内に入り込むことができ、これによって、各くぼみを囲む内側上端縁35に沿って基材をエンボス加工したとき、追加的なはさみ込み箇所が創出される。鋼/ゴム・エンボス加工ニップを使用した場合、これらの追加的なはさみ込み箇所が、基材に追加的な折り目又はひだを形成し、エンボス加工製品に、さらに改善されたエンボス加工形状鮮明度をもたらす。一般的には、その範囲が「所望」との表題の欄に近いほど、テイッシュペーパー製品に改善されたエンボス加工形状鮮明度が生ずる。表3を参照するに、パラメータの範囲はインチ及びミリメータで提示される。
【0050】


【0051】
表3内の各種パラメータの値は、概算であり、数値の前に大略又は約の用語が付されたとして読まれ且つ解釈されるべきである。単一列の欄表題の下に記載した個別数値は、特定のパラメータの範囲を形成するように使用可能である。或る範囲は、パラメータに関する最小値及び最大値を利用して確定可能である。例えば、パラメータAは、約0.010インチ乃至約0.1インチ(約0.25mm乃至約2.54mm)の間とすることができる。
【0052】
いずかの列に関する最大と最小内の追加的な範囲は、その列内の範囲の2つの端点を決定する欄表題のいずれかの一対を使用して形成することができる。例えば、記載された任意のパラメータに関する可能な範囲は、最小と最大の間、最小と高度に好ましいの間、最小と所望の間、最小と低度に好ましいの間、低度に好ましいと最大の間、低度に好ましいと高度に好ましいの間、低度に好ましいと所望の間、所望と最大の間、所望と高度に好ましいの間、又は、高度に好ましいと最大の間、である。
【0053】
トイレットペーパー及び紙ナプキンに関する好実施例では、表3のパラメータは、さらに、その範囲を狭めることができる。トイレットペーパーとナプキンに関しては、テイッシュペーパーは、基本重量が比較的軽くそして比較的薄い傾向がある。また、トイレットペーパー及び紙ナプキンのエンボス加工は、装飾的効果が比較的に大であり、そして、完成品での構造かさ/容積が比較的に小である。すなわち、トイレットペーパー及びナプキンに関しては、Aは約0.010インチ乃至約0.020インチ(約0.25mm乃至約0.51mm)の間であり、Xは約0.010インチ乃至約0.020インチ(約0.25mm乃至約0.51mm)の間であり、Cは約0.010インチ乃至約0.020インチ(約0.25mm乃至約0.51mm)の間であり、Dは約0.008インチ乃至約0.015インチ(約0.29mm乃至約0.38mm)の間であり、比C/Xは約0.38乃至約2.0の間であり、比A/Xは約0.6乃至約3.0の間である。パラメータの全てが各々所望された範囲内にあることは、必須ではない。
【0054】
紙タオルに関する好実施例では、表3のパラメータは、さらに、その範囲を狭めることができる。紙タオルに関しては、テイッシュペーパーは、基本重量が比較的重くそして比較的厚い傾向がある。また、紙タオルのエンボス加工は、より多くの場合に、装飾的効果は重要視せずに、かさ/容積の創出を目的として実施される。すなわち、紙タオルに関しては、Aは約0.015インチ乃至約0.030インチ(約1.27mm乃至約0.76mm)の間であり、Xは約0.010インチ乃至約0.020インチ(約0.25mm乃至約0.51mm)の間であり、Cは約0.004インチ乃至約0.010インチ(約0.10mm乃至約0.25mm)の間であり、Dは約0.008インチ乃至約0.015インチ(約0.20mm乃至約1.27mm)の間であり、比C/Xは約0.38乃至約1.0の間であり、比A/Xは約0.6乃至約3.0の間である。パラメータの全てが各々所望された範囲内にあることは、必須ではない。
【0055】
ここで図6を参照するに、外側エラストマー表面53を有するエラストマーロール52とはさみ合わせにされる剛性エンボス加工ロール50を含むエンボス加工装置48が示されている。エンボス加工ロール50とエラストマーロール52の間のニップに、ペーパーウエブ材54が配置される。エンボス加工ロールのエンボス加工面55は、隆起した彫刻模様を含有する。図7を参照するに、エンボス加工面55の一実施例のクローズアップが示されている。エンボス加工面55は、曲線パターンで配置された複数個の点エンボス加工要素56とこの曲線パターンの間に配置された複数個の花形エンボス加工要素58を含有する。点エンボス加工要素56は、平坦なトップ部12(ステップ部も、ノッチ部も、くぼみも無い)を有しており、従来の様式で形成されている。花形エンボス加工要素58は、図1に示すように要素トップ部12の内側の縁に沿ってステップ部24を有する曲線要素10で形成されている。花形エンボス加工要素58を形成する曲線要素10の試験では、同じ模様を有するものの、点エンボス加工要素56と同様の平坦なトップ部(ステップ部も、ノッチ部も、くぼみも無い)で形成された花形エンボス加工要素でエンボス加工されたテイッシュペーパーと比較したときに、格段に改善されたテイッシュペーパーのエンボス加工形状鮮明度又は明瞭度を示した。
【0056】
この発明の精神及び範囲からの逸脱することの無いこの発明の改良及び変更は、当業者には実施可能であり、このことは、添付請求項により詳細に記述される。例えば、雄型エンボス加工要素の設計に関連して上記に開示されたと同一の原理を雌型エンボス加工要素の設計に適用することができる。各種実施例の特徴面は、全体的に又は部分的に、交換が可能であると理解される。特許のための上記の適用において引用された全ての引用物、特許、又は特許出願は、適合する様式で、引証としてこの明細書に加えられる。加えられた引証とこの明細書の間に不一致又は矛盾がある場合には、この明細書に記載の情報が優先する。請求項に記載の発明の当業者による実施を可能とするための例の方法として書かれた先行する記述は、この発明の範囲を制限するものとは解釈されず、この発明の範囲は、請求項とその全ての均等物によって限定される。
【符号の説明】
【0057】
10 エンボス加工線要素
12 トップ部
14 基部
18 第1の側壁
19 第2の側壁
21 第1の縁
23 第2の縁
24 ステップ部
26 ランド部
28 ライザ部
32 ノッチ部
33 インテグラルブロック
34 凹部上端縁
35 内側上端縁
36 くぼみ
37 下方外縁
48 エンボス加工装置48
50 剛性エンボス加工ロール
52 エラストマーロール52

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのエンボス加工線要素を含むエンボス加工面を有する剛性エンボス加工ロールと、
前記剛性エンボス加工ロールに対向するエラストマー被覆ロールとを含み、
前記少なくとも1つのエンボス加工線要素は、トップ部とステップ部を含み、
前記トップ部は、第1の縁及び該第1の縁に対向する第2の縁並びに該第1の縁と該第2の縁の間で計測された幅Aを有し、
前記ステップ部は、前記第1の縁又は第2の縁のいずれかに隣接して配置され、且つ、ライザ部とランド部とを有し、前記ランド部は、前記エンボス加工線要素の側壁と前記ライザ部の間で計測された幅Bを有し、前記ライザ部は、前記エンボス加工線要素の基部に対して直交する軸線に沿って前記ランド部と前記トップ部の間で計測された縦方向の高さCを有し、
ここで、Aは約0.010インチ(0.254mm)乃至約0.100インチ(2.54mm)の間であり、Bは約0.010インチ(0.254mm)乃至約0.100インチ(2.54mm)の間であり、Cは約0.0025インチ(0.0635mm)乃至約0.015インチ(0.381mm)の間であり、C/Bの比は約0.25乃至約1.5の間であり、A/Bの比は約0.1乃至約10.0の間であることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つのエンボス加工線要素は、前記側壁が前記基部と交わる該要素の部分に沿って計測された長さLを含み、L/(A+B)の比は、約3.0よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
Aは約0.010インチ(0.254mm)乃至約0.020インチ(0.508mm)の間であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項4】
Bは約0.010インチ(0.254mm)乃至約0.020インチ(0.508mm)の間であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項5】
Cは約0.004インチ(0.1016mm)乃至約0.010インチ(0.254mm)の間であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項6】
Aは約0.010インチ(0.254mm)乃至約0.020インチ(0.508mm)の間であり、Bは約0.010インチ(0.254mm)乃至約0.020インチ(0.508mm)の間であり、Cは約0.004インチ(0.1016mm)乃至約0.010インチ(0.254mm)の間であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項7】
Aは約0.020インチ(0.508mm)乃至約0.040インチ(1.016mm)の間であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項8】
Bは約0.020インチ(0.508mm)乃至約0.040インチ(1.016mm)の間であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項9】
Aは約0.020インチ(0.508mm)乃至約0.040インチ(1.016mm)の間であり、Bは約0.020インチ(0.508mm)乃至約0.040インチ(1.016mm)の間であり、Cは約0.004インチ(0.1016mm)乃至約0.010インチ(0.254mm)の間であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記ステップ部に沿って配置され、前記トップ部の前記第1又は第2の縁に沿って複数個のノッチ部を形成する複数個のインテグラルブロックを含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記ノッチ部は、実質的に四角形状であることを特徴とする請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記トップ部の前記第1及び第2の縁両方に隣接して配置されたステップ部、並びに、前記両方のステップ部に沿って配置され前記第1及び第2の縁の両方に沿って複数個のノッチ部を形成する複数個のインテグラルブロックを含み、前記複数個のノッチ部は前記第1の縁から前記第2の縁に互い違いにオフセットして配置され、ノッチ部は、前記第1の縁から前記第2の縁までの全間隔にわたって延在しないことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項13】
少なくとも1つのエンボス加工線要素を含むエンボス加工面を有する剛性エンボス加工ロールと、
前記剛性エンボス加工ロールに対向するエラストマー被覆ロールとを含み、
前記少なくとも1つのエンボス加工線要素は、トップ部と複数個のノッチ部を含み、
前記トップ部は、第1の縁及び該第1の縁に対向する第2の縁を有し、
前記複数個のノッチ部は、前記第1の縁又は第2の縁のいずれかに沿って配置され、各ノッチ部は、前記第1の縁又は第2の縁の内側寄りに凹部上端縁を有し、
前記トップ部は、前記第1の縁又は第2の縁と前記ノッチ部の前記凹部上端縁との間で計測された幅Aを有し、
各ノッチ部は、前記凹部上端縁と前記第1又は第2の縁の間で計測された幅Xを有し、
各ノッチ部は、エンボス加工線要素の基部に対して直交する軸線に沿って、エンボス加工線要素の第1又は第2の側壁に前記ノッチ部が交わる下方外縁とトップ部の間で計測された高さCを有し、
前記少なくとも1つのエンボス加工線要素は、前記第1又は第2の側壁が前記基部と交わる該要素の部分に沿って計測された長さLを含み、
各ノッチ部は、前記第1又は第2の縁のいずれかに平行に計測された長さDを有し、
ここで、Aは約0.010インチ(0.254mm)乃至約0.100インチ(2.54mm)の間であり、Xは約0.010インチ(0.254mm)乃至約0.100インチ(2.54mm)の間であり、Cは約0.0025インチ(0.0635mm)乃至約0.015インチ(0.381mm)の間であり、Dは約0.005インチ(0.127mm)乃至0.015インチ(0.381mm)の間であり、C/Xの比は約0.25乃至約1.5の間であり、A/Xの比は約0.1乃至10.0の間であることを特徴とする装置。
【請求項14】
複数個のノッチ部が、前記第1及び第2の縁の両方に沿って配置され、ノッチ部は、前記第1の縁から前記第2の縁までの全間隔にわたって延在しないことを特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記複数個のノッチ部は、前記第1の縁から前記第2の縁に互い違いにオフセットして配置されていることを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項16】
Aは約0.010インチ(0.254mm)乃至約0.020インチ(0.508mm)の間であり、Xは約0.010インチ(0.254mm)乃至約0.020インチ(0.508mm)の間であり、Cは約0.010インチ(0.254mm)乃至約0.020インチ(0.508mm)の間であり、Dは約0.008インチ(0.2032mm)乃至約0.015インチ(0.381mm)の間であることを特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項17】
Aは約0.020インチ(0.508mm)乃至約0.040インチ(1.016mm)の間であり、Xは約0.020インチ(0.508mm)乃至約0.040インチ(1.016mm)の間であり、Cは約0.004インチ(0.1016mm)乃至約0.010インチ(0.254mm)の間であり、Dは約0.008インチ(0.2032mm)乃至約0.015インチ(0.381mm)の間であることを特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項18】
少なくとも1つのエンボス加工線要素を含むエンボス加工面を有する剛性エンボス加工ロールと、
前記剛性エンボス加工ロールに対向するエラストマー被覆ロールとを含み、
前記少なくとも1つのエンボス加工線要素は、トップ部と複数個のくぼみを有し、前記トップ部は第1の縁及び該第1の縁に対向する第2の縁を有し、
前記複数個のくぼみは前記トップ部に配置され、
各くぼみは、各くぼみを囲む内側上端縁を有しており、
前記トップ部は、前記第1又は第2の縁と前記内側上端縁の間で計測された幅Aを有し、
各くぼみは、前記第1又は第2の縁に平行に計測された長さDを有し、
各くぼみは、前記長さDに対して直角の方向で計測された幅Xを有し、
各くぼみは、前記エンボス加工線要素の基部に対して直交する軸線に沿って前記トップ部とランド部の間で縦方向に計測された深さCを有し、
前記少なくとも1つのエンボス加工線要素は、前記第1又は第2の側壁が前記基部に交わる部分で前記要素に沿って計測された長さLを有し、
ここで、Aは約0.010インチ(0.254mm)乃至約0.100インチ(2.54mm)の間であり、Xは約0.010インチ(0.254mm)乃至約0.100インチ(2.54mm)の間であり、Cは約0.0025インチ(0.0635mm)乃至約(X−0.005インチ(0.127mm))/(2*tan(3度))の間であり、Dは約0.005インチ(0.127mm)乃至約L−2Aの間であり、C/Xの比は約0.25乃至約7.0の間であり、A/Xの比は約0.1乃至約10.0の間であることを特徴とする装置。
【請求項19】
L/(2A+X)の比は、約3.0よりも大きいことを特徴とする請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記くぼみは、実質的に四角形状であることを特徴とする請求項18に記載の装置。
【請求項21】
Aは約0.010インチ(0.254mm)乃至約0.020インチ(0.508mm)の間であり、Xは約0.010インチ(0.254mm)乃至約0.020インチ(0.508mm)の間であり、Cは約0.010インチ(0.254mm)乃至約0.020インチ(0.508mm)の間であり、Dは約0.008インチ(0.2032mm)乃至約0.015インチ(0.381mm)の間であることを特徴とする請求項18に記載の装置。
【請求項22】
Aは約0.015インチ(0.381mm)乃至約0.030インチ(0.762mm)の間であり、Xは約0.010インチ(0.254mm)乃至約0.020インチ(0.508mm)の間であり、Cは約0.004インチ(0.1016mm)乃至約0.010インチ(0.254mm)の間であり、Dは約0.008インチ(0.2032mm)乃至約0.015インチ(0.381mm)の間であることを特徴とする請求項18に記載の装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公表番号】特表2010−535111(P2010−535111A)
【公表日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−504915(P2010−504915)
【出願日】平成20年2月19日(2008.2.19)
【国際出願番号】PCT/IB2008/050597
【国際公開番号】WO2008/132612
【国際公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【出願人】(504460441)キンバリー クラーク ワールドワイド インコーポレイテッド (396)
【Fターム(参考)】