説明

エーテルアミド型化合物、その製造方法及び使用

本発明の要旨の一つは、エーテルアミド型の新規化合物である。本発明の別の要旨は、当該化合物の製造方法である。本発明の別の要旨は、当該化合物の、例えば植物保護製剤への特に溶媒としての使用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の要旨は、エーテルアミド型の新規化合物である。本発明の別の要旨は、当該化合物の製造方法である。本発明の別の要旨は、当該化合物の、例えば植物保護製剤における、特に溶媒としての使用である。
【背景技術】
【0002】
産業界では、例えば化学物質及び材料を製造し、化合物を処方し又は表面を処理するための溶媒として多数の化合物が使用されている。例えば、溶媒は、植物保護有効成分を処方するために、特に農業従事者により田畑に適用する前に水で希釈することを目的とした乳剤(EC)の状態で使用されている。
【0003】
産業界は、溶媒(特に極性溶媒)を使用しなければならない生成物及び方法を変更し又は最適化することを可能にする新規化合物に注目している。産業界では、特に、有利な作業特性を示す費用のかからない化合物が必要とされている。また、産業界では、有利であると認められる毒性プロフィール及び/又は生態学的特徴、特に低い揮発性(低含有量のVOC)、良好な生分解性、低い毒性及び/又は低レベルの危険性を有する化合物が必要とされている。
【0004】
溶媒としてジアルキルアミド類を使用することが知られている。これらのものは、式R−CONMe2(ここで、Rは炭化水素基、例えば、典型的には6〜30個の炭素原子を有するアルキル基である)の物質である。このような物質は、クラリアント社がGenagen(商標)という商品名で販売している。これらの溶媒は、特に、植物保護の分野において応用されている。しかしながら、これらの溶媒は、作業範囲が制限されており、しかも、使用可能な温度範囲内において所定の植物保護有効成分を所定の濃度で結晶を形成させることなく溶解させることができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特に植物保護製剤における新規な溶媒、及び特に処方できる有効成分の範囲を広げることができる及び/又はそれらの濃度範囲を広げることができる及び/又は操作条件を、特に安定性の点で、例えば低温で結晶を形成させることなく広げることのできる新規な化合物に対する要望が依然としてある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、次式(I):
abC(OR1)−CHRc−CONR23 (I)
(式中、
・Ra、Rb及びRcは、同一のもの又は異なるものであり、水素原子及び直鎖又は分岐アルキル基、好ましくはC1〜C3アルキル基から選択される基であり、
・R1はR’1又は−(AO)nR’1基であり、ここで
・R’1は、1〜36の範囲の平均炭素原子数を有する、飽和又は不飽和、直鎖又は分岐、随意に環状及び随意に芳香族の炭化水素基から選択される基であり、ここで、該芳香族基は、芳香環中にヘテロ原子を有することが可能であり、
・AOは、同一のもの又は異なるものであり、式:−CH2−CH2−O−、−CHMe−CH2−O−又は−CH2−CHMe−O−の基を表し、
・nは0以上、例えば0〜50の範囲の平均数であり、
・R2及びR3は、同一のもの又は異なるものであり、水素原子及び1〜36の範囲の平均炭素原子数を有する、飽和又は不飽和、直鎖又は分岐、随意に環状、随意に芳香族及び随意に置換された炭化水素基から選択される基であり、ここで、R2及びR3は一緒になって、置換されていてよい及び/又はヘテロ原子を含んでいてよい環を形成してよく、
・R2及びR3は、同時に水素原子ではない。)
の化合物を提供することによって、上記要望のうちの少なくとも一つを満たす。
【0007】
本発明の別の要旨は上記化合物の製造方法である。本発明の別の要旨は、当該化合物の界面活性剤、溶媒、共溶媒、剥離剤、結晶化抑制剤、洗浄剤、脱脂剤、可塑剤又は合体剤としての使用である。本発明の別の要旨は、本発明の化合物の添加による溶媒和、共溶媒和、可塑化、合体及び/又は結晶化抑制方法である。本発明の別の要旨は、本発明の化合物を含む製剤である。当該製剤は、特に植物保護製剤であることができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
略語の定義
本願においては、特に次の略語を使用する:Meはメチルを意味し、Etはエチルを意味し、IsoAmはイソアミルを意味し、cycloはシクロヘキシルを意味する。
【0009】
本願において、用語「材料組成物」とは、数種の化合物を含む、多少複合的な組成物を意味するものと解される。このものは、典型的には、未精製の又は精製が不完全な反応生成物であることができる。本発明の化合物は、これを含む材料組成物の状態で単離され及び/又は販売され及び/又は使用され得る。本発明の化合物は、純粋な分子の状態又は式(I)に相当する混合物の状態で、材料組成物に含まれることができる。
【0010】
本願において、用語「溶媒」とは、広い意味で、特に共溶媒、結晶化抑制剤又は剥離剤の機能を包含するものと解される。用語「溶媒」は、特に、操作温度では液体で、好ましくは20℃以下、好ましくは5℃、好ましくは0℃の融点を有し、固体材料を液体にすること又は液体媒体中での物質の固化や結晶化を防止する若しくは抑制することに寄与することのできる物質を意味することができる。
【0011】
本発明の化合物
本発明の化合物は、上記一般式(I)を有する。一般式(I)の数種の化合物の混合物も包含可能であることに留意すべきである。言い換えれば、当該化合物は、単独でもよいし混合物であってもよい。数種の化合物の混合物の文脈において、原子数又は単位数は、平均数として表すことができる。これらは数平均数である。化合物単独の場合には、これらは、通常、炭素数に関しては整数である。
【0012】
a、Rb及びRc基、同一のもの又は異なるものであり、水素原子及び直鎖又は分岐アルキル基から選択される基である。これらのアルキルは、特にC1−C6、好ましくはC1−C3アルキルであることができる。これらは、特にメチル又はエチル基であることができる。特定の実施形態によれば、炭素原子の総数は、R1、R2及びR3基を除き、4、5又は6である。
【0013】
特定の実施形態によれば、Ra、Rb及びRcから選択される基のうちの少なくとも一つは水素原子以外のものであり、例えば直鎖又は分岐アルキル基から選択される基であることに触れておく。これらのアルキルは、特にC1〜C6、好ましくはC1〜C3アルキルであることができる。これらは、特にメチル又はエチル基であることができる。特定の実施形態によれば、炭素原子の総数は、R1、R2及びR3基を除き、4、5又は6である。
【0014】
特定の実施形態によれば、Rcはメチル基であり、同一の又は異なるRa及びRbは、水素原子及び直鎖又は分岐アルキル基から選択される基であることができる。これらのアルキルは、特にC1〜C6、好ましくはC1〜C3アルキルであることができる。これらは、特にメチル又はエチル基であることができる。特定の実施形態によれば、炭素原子の総数は、R1、R2及びR3基を除き、4、5又は6である。
【0015】
特定の実施形態によれば、Rcは水素原子であり、Raは直鎖又は分岐アルキル基から選択される基であり、Rbは直鎖又は分岐アルキル基から選択される基である。これらのアルキルは、特にC1〜C6、好ましくはC1〜C3アルキルであることができる。これらは、特にメチル又はエチル基であることができる。特定の実施形態によれば、炭素原子の総数は、R1、R2及びR3基を除き、4、5又は6である。
【0016】
aは直鎖又は分岐アルキル基から選択される基であることができることに触れておく。これらのアルキルは、特にC1〜C6、好ましくはC1〜C3アルキルであることができる。これらは、特にメチル又はエチル基であることができる。特定の実施形態によれば、炭素原子の総数は、R1、R2及びR3基を除き、4、5又は6である。
【0017】
b及びRc、同一のもの又は異なるものであり、水素原子及び直鎖又は分岐アルキル基から選択される基であることができることに触れておく。これらのアルキルは、特にC1〜C6、好ましくはC1〜C3アルキルであることができる。これらは、特にメチル又はエチル基であることができる。特定の実施形態によれば、炭素原子の総数は、R1、R2及びR3基を除き、4、5又は6である。
【0018】
特定の実施形態によれば、
・Raは直鎖又は分岐アルキル基から選択される基である。これらのアルキルは、特にC1〜C6、好ましくはC1〜C3アルキルであることができる。これらは、特にメチル又はエチル基であることができる。特定の実施形態によれば、炭素原子の総数は、R1、R2及びR3基を除き、4、5又は6である。
・Rb及びRcは、同一のもの又は異なるものであり、水素原子及び直鎖又は分岐アルキル基から選択される基である。これらのアルキルは、特にC1〜C6、好ましくはC1〜C3アルキルであることができる。これらは、特にメチル又はエチル基であることができる。特定の実施形態によれば、炭素原子の総数は、R1、R2及びR3基を除き、4、5又は6である。
【0019】
特定の実施形態によれば、Rc=H及びRb=H又はRc=Me及びRb=H又はRc=H及びRb=Meである。特定の実施形態によれば、Raはメチル又はエチル基である。
【0020】
特定の実施形態によれば、Rc=H及びRb=H及びRa=Etである。この特定の実施形態は、例えば、2−ペンテンニトリル(2PNという場合もある)型の式(I’)のアルケンニトリルから出発する転化により実施できる。これは、特に、cis−2−ペンテンニトリル又はtrans−2−ペンテンニトリルであることができる。
【0021】
別の特定の実施形態によれば、Rc=M及びRb=H及びRa=Me又はRc=H及びRb=M及びRa=Meである。この特定の実施形態は、例えば、メチル−2−ブテンニトリル(2BNという場合もある)型の式(I’)のアルケンニトリルから出発する転化によって実施できる。これは、特に、cis−2−メチル−2−ブテンニトリル若しくはtrans−2−メチル−2−ブテンニトリルなどの2−メチル−2−ブテンニトリル、又はcis−3−メチル−2−ブテンニトリル若しくはtrans−3−メチル−2−ブテンニトリルなどの3−メチル−3−ブテンニトリルであることができる。
【0022】
特定の実施形態によれば、当該化合物は、第1化合物についてRc=H及びRb=H及びRa=Etであり、第2化合物についてRc=M及びRb=H及びRa=Meであるような化合物の混合物である。第1化合物と第2化合物とのモル比は、例えば、50/50〜99/1、好ましくは60/40〜90/10であることができる。
【0023】
2及びR3基は、同一のもの又は異なるものであり、水素原子及び1〜36の範囲の平均炭素原子数を有する、飽和又は不飽和、直鎖又は分岐、随意に環状、随意に芳香族及び随意に置換された炭化水素基から選択される基であり、R2及びR3は、一緒になって、これらが結合する窒素原子を含む環であって、置換されていてよく及び/又は追加のヘテロ原子を含んでいてよいものを形成してもよい。R2及びR3は、同時に水素原子ではないことに留意すべきである。言い換えれば、−CONR23基は−CONH2基ではない。これは−CONHR2基(ここで、R2は水素原子ではない)又は−CONR23基(ここで、R2及びR3は水素原子ではない)であることができる。R2及びR3は、同一のもの又は異なるものであり、例えば、メチル、エチル、プロピル(n−プロピル)、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、n−ペンチル、アミル、イソアミル、ヘキシル又はシクロヘキシル基、それらの混合物及び/又はそれらの組合せから選択できる。また、R2及びR3は、これらのものが一緒になって窒素原子と共にモルホリン、ピペラジン又はピペリジン基を形成するようなものであることもできる。R2及びR3は、特にメチル基であることができ、好ましくは両方がメチル基であることができる。
【0024】
1基は、典型的にはアルコールR1−OHに相当する基である。ある場合には、これは、単純なアルコールR’1−OHに相当することができる。別の場合には、これは式HO−(AO)nR’1のエトキシル化及び/又はプロポキシル化アルコールに相当することができる。R’1は、エトキシル化及び/又はプロポキシル化されていてよいそのアルコールの炭化水素残基を表す。R’1基は、1〜36の範囲の平均炭素原子数を有する、飽和又は不飽和、直鎖又は分岐、随意に環状及び随意に芳香族の炭化水素基から選択される基であり、該芳香族基は、芳香環中にヘテロ原子を含むことが可能である。該芳香族基のヘテロ原子は、酸素又は窒素原子であることができる。該芳香族基は直接結合していてもよいし、アルキル基により保持されていてもよいことに触れておく。該芳香族基環状基又は芳香族基は置換されていてよいことにも触れておく。R’1は、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、n−ペンチル、イソペンチル、イソアミル、n−ヘキシル、シクロヘキシル、n−オクチル、イソオクチル、2−エチルヘキシル、トリデシル、フェニル又はベンジル基及びそれらの混合物から選択できる。R’1は、R1−OHアルコールの多少複雑な混合物、例えばフーゼル油の用途に対応することができる多少複雑な混合物であることができることに留意すべきである。
【0025】
特定の実施形態によれば、R1はn−ヘキシル以外の基であり、Ra及び/又はRbは水素原子以外である。特定の実施形態によれば、R1はn−ブチル以外の基であり、Ra及び/又はRbは水素原子以外である。特定の実施形態によれば、R1はエチルヘキシル以外の基であり、Ra及び/又はRbは水素原子以外である。
【0026】
特定の実施形態によれば、R1はn−ヘキシル以外の基である。特定の実施形態によれば、R1はn−ブチル以外の基である。特定の実施形態によれば、R1はエチルヘキシル以外の基である。
【0027】
特定の実施形態によれば、R1基は環状基であり、好ましくはシクロヘキシル基である。特定の実施形態によれば、Ra=Rb=Rc=Hであり、R1は環状基であり、好ましくはシクロヘキシル基である。このような基を有する化合物は、溶媒特性及び/又は植物保護製剤の場合に特に有利な水への混和性を有する。
【0028】
基(AO)は、式−CH2−CH2−O−のエトキシ又は式−CHMe−CH2−O−若しくは−CH2−CHMe−O−のプロポキシを表す。数nは、0以上、例えば0〜50の範囲の平均数である。これは、典型的にはエトキシル化及び/又はプロポキシル化の程度を示す。エトキシ及びプロポキシが存在する場合には、これらはランダムに又はブロック状に分布できる。
【0029】
本発明の化合物は、好ましくは20℃、好ましくは5℃、好ましくは0℃以下の融点を有するようなものである。上で詳細に説明した基は、好ましくは、該化合物がこの特性を有するというようなものである。
【0030】
一実施形態によれば、本発明の化合物は、水に完全に混和できるものである。特定の実施形態によれば、本発明の化合物は、水に部分的に混和できるものである。水への混和性は、例えば、10重量%(25℃)未満、好ましくは2%未満、好ましくは1%未満又は0.1%であることができる。これは、0.001%を超える、好ましくは0.01%を超える又は0.1%を超えることができる。これは、例えば、0.01%〜2%、例えば0.1%〜1%であることができる。驚くべきことに、本発明の化合物は、水への混和性が低くても、特に植物保護製剤中の植物保護有効成分に対して良好な溶媒特性を示す。Ra、Rb及びRc基及び/又はR1基及び/又はR2及びR3基は、水への混和性を制御するように選択できる。
【0031】
本発明の化合物は、好ましくは次式の一つを有する:
【化1】

【0032】
この化合物は、これらの式を有する化合物の混合物であることができることも言及しておく。例えば、次の混合物が包含できる:
【化2】

【0033】
本発明の化合物は、式(I)に相当する化合物単独又は混合物以外の物質を含む材料組成物に含まれることができることも言及しておく。材料組成物中において、本発明の化合物は少なくとも10重量%に相当し得る。好ましくは、これは、材料組成物の主化合物である。用語「主化合物」とは、本願において、最も高い含有量を有する化合物(たとえ、その含有量が50%未満であっても)を意味するものと解される(例えば、Aが40%、Bが30%及びCが30%の混合物では、物質Aが主化合物である)。さらに好ましくは、本発明の化合物は、材料化合物の少なくとも50重量%、例えば70〜95重量%、さらには75〜90重量%に相当する。上記のように、材料組成物は反応生成物であることができる。該材料組成物の他の物質は、特に、不純物の副生成物、未反応物質又は式(I)の化合物とはならない出発化合物中に含まれる物質であることができる。
【0034】
方法
本発明の化合物は、特に、次式(I’)のアルケンニトリルから出発する転化により製造できる:
abC=CRc−CN (I’)。
【0035】
以下で述べる全ての方法及び手順において、例えば、目的としない副生成物を除去するために、適宜の分離工程及び/又は精製工程を順に使用することができることに留意すべきである。随意に、これらの副生成物を使用して他の生成物を製造することや、これらをこの方法に再導入するために転化させることが可能である。この方法の後に、ろ過工程及び/又は例えば蒸留による精製工程を行うことができる。
【0036】
特に、式R1−OHのアルコールを二重結合に付加することによる転化及び−CN基の−CONR23基への転化を含む方法による転化を実施することが可能である。これらの転化は、任意の順序で実施できる。しかしながら、−CN基の転化後にアルコールの付加を行うことが好ましい。
【0037】
該アルコールの付加は、既知の方法で、例えば塩基の存在下に、多くの場合触媒量で実施される。これはマイケル型の付加である。これは、溶媒中、好ましくは非水性溶媒中で実施できる。有利には、その場合、溶媒として式R1−OHのアルコールを過剰量で使用することができる。
【0038】
−CN基の転化は、特に、−CN基を−COOH又は−COOR’基(ここで、R'はC1−C4アルキルである)に転化させ、次いで式HNR23のアミンを使用して−COOH又は−COOR’基を−CONR23基に転化させることを含むことができる。
【0039】
一実施形態では、この方法は、次の工程を含む:
工程(1)式(I’)のアルケンニトリルと式R1−OHのアルコールとを反応させて次式(II’)のエーテルニトリルを得る:
abC(OR1)−CHRc−CN (II’)
工程(2)該エーテルニトリルの−CN基をアミド基に転化させて式(I)の生成物を得る。
【0040】
工程(1)は、典型的にはマイケル反応を構成する。上記のように、これは、塩基の存在下に、好ましくは非水性溶媒、例えば式R1−OHのアルコール中で、典型的には大過剰で実施できる。塩基として、例えば、水酸化アンモニウム、アルカリ金属などを使用することができる。
【0041】
工程(2)は、典型的には、−CN基の−CONR23基への転化を構成する。
【0042】
工程(2)は、有利には次の工程を含む:
工程(2a):−CN基を−COOH又は−COOR’基(ここで、R’はC1〜C4アルキルである)に転化させ、
工程(2b):式HNR23のアミンを使用して−COOH又は−COOR’基を−CONR23基に転化させて式(I)の化合物を得る。
【0043】
特定の実施形態によれば、工程(2)は次の工程を含む:
(2a')−CN基を加水分解によって直接、又は−COOR’基を形成させ、次いで加水分解によって−COOH基に転化させ、
(2b')該−COOH基を式HNR23のアミンと反応させることによって直接、又は−COCl基を形成させ、次いで式HNR23のアミンと反応させることによって−CONR23基に転化させて、式(I)の化合物を得る。
【0044】
特に次の手順を使用することができる:
(2a’1)−CN基を加水分解により−COOH基に転化させ、
(2b’1)該−COOH基を式HNR23のアミンと反応させることによって直接−CONR23基に転化させる。
【0045】
別法として次の手順を使用することができる:
(2a’1)−CN基を加水分解により−COOH基に転化させ、
(2b’2)−COCl基を形成させ、
(2b’3)式HNR23のアミンとの反応を実施する。
【0046】
別法として次の手順を使用することができる:
(2a’2)−COOR’基を形成させ、
(2a’3)加水分解を実施して−COOH基を与え、
(2b’1)該−COOH基を式HNR23のアミンと反応させることによって直接−CONR23基に転化させる。
【0047】
別法として次の手順を使用することができる:
(2a’2)−COOR’基を形成させ、
(2a’3)加水分解を実施して−COOH基を与え、
(2b’2)−COCl基を形成させ、
(2b’3)式HNR23のアミンとの反応を実施する。
【0048】
別の特定の実施形態によれば、工程(2)は次の工程を含む:
(2a”)−CN基を−COOR’基に転化させ、
(2b”)式HNR23のアミンを使用して該−COOR’基を−CONR23基に転化させて式(I)の化合物を得る。
【0049】
工程(2”)はアミノ基転移反応である。これは既知の方法で実施できる。この反応中に、エステル1モル当たり0.8〜1.2モル、好ましくは0.9〜1.1モル、好ましくは約1モルのアミンを使用することが好ましい。この反応は、特に、酸触媒又は塩基性触媒を使用して、例えば炭酸カリウム又はオルトチタン酸アルキルを使用して実施できる。この工程は、溶液の状態で、例えば水溶液又はトルエン溶液の状態で実施できる。この工程の間に、反応を促進させるために、形成されたメタノールを徐々に除去することが可能である。この除去は、例えば共沸による溶媒の除去を伴うことができる。メタノールの分離後に、除去された溶媒を該方法に再導入することができる。
【0050】
工程(2a”)及び(2a’2)は、ニトリルから出発するエステル化反応である。これらは既知の方法で実施できる。特にピナー反応を使用することができる。これらは、式R’OHのアルコールを、好ましくは過剰で使用して実施できる。このアルコールは、この反応の溶媒を構成することができる。
【0051】
工程(2a’1)は加水分解反応である。これは、既知の方法で、特に酸加水分解又は塩基性加水分解で実施できる。
【0052】
工程(2b’2)は既知の反応である。これは、特に塩化チオニルを使用して実施できる。これは塩酸の形成を伴う。これを捕捉するために、塩基、例えばトリエチルアミン(TEA)を使用することができる。この工程は、少なくとも0.8モル当量のアミン、好ましくは少なくともモル当量のアミンで実施できる。特に1.05〜1.4モル当量の過剰量を使用することができる。
【0053】
特に工程(1)でのアルコールの付加は、好ましくはアルケンニトリルに対して少なくとも1モル当量のアルコールを使用して実施される。大過剰のアルコール、例えば2〜20当量、特に5〜15当量を使用することができる。特に、この反応の溶媒としてアルコールを使用することができる。
【0054】
特に、出発アルケンニトリル化合物としては、次のアルケンニトリルを使用することができる:
・Rc=H及びRb=H及びRa=Et。これは、2−ペンテンニトリル(2PNという場合もある)型の式(I’)のアルケンニトリルである。このものは、特にcis−2−ペンテンニトリル又はtrans−2−ペンテンニトリルであることができる。
・Rc=Me及びRb=H及びRa=Me又はRc=H及びRb=Me及びRa=Me。これは、メチル−2−ブテンニトリル(2BNという場合もある)型の式(I’)のアルケンニトリルである。このものは、特に、2−メチル−2−ブテンニトリル、例えばcis−2−メチル−2−ブテンニトリル若しくはtrans−2−メチル−2−ブテンニトリル、又は3−メチル−2−ブテンニトリル、例えばcis−3−メチル−2−ブテンニトリル若しくはtrans−3−メチル−2−ブテンニトリルであることができる。
【0055】
アルケンニトリルの混合物であって、第1のものについてはRc=H及びRb=H及びRa=Etであり、第2のものについてはRc=Me及びRb=H及びRa=Meであるものを使用することができる。該第1対該第2のモル比は、例えば、50/50〜99/1、好ましくは60/40〜90/10であることができる。特に、cis−2−ペンテンニトリル(第1)及びtrans−2−メチル−2−ブテンニトリル(第2)の混合物を、例えば50/50〜99/1、好ましくは60/40〜90/10の第1対第2のモル比で使用することができる。
【0056】
別法として、本発明の化合物は、次式RabC=CRc−CO−NR12の不飽和化合物から出発する転化、例えばアクリルアミド化合物(この場合Rc=H)又はメタクリルアミド化合物(この場合Rc=CH3)から出発する転化により製造できる。例えば、式R1−OH又はR1-のアルコール又はアルコキシドと二重結合との反応によるマイケル付加によって行うことができる。このような反応は当業者には周知である。これらの反応は、塩基性触媒の存在下で実施できる。
【0057】
別法として、本発明の化合物は、次式RabC=CRc−COOH又はRabC=CRc−COOR’又はRabC=CRc−CONH2の不飽和化合物から出発する転化により製造できる。例えば、マイケル付加を実施し、次いで−COOH又は−COOR’又は−CONH2基をアミド化又はアミノ基転移又は置換反応により−CONR23基に転化させることが可能である。或いは、−COOH又は−COOR’基をアミド化又はアミノ基転移又は置換反応により−CONR23基に転化させ、次いでマイケル付加を実施することが可能である。
【0058】
使用−処方
本発明の化合物は、特に、界面活性剤、溶媒、共溶媒及び/又は結晶化抑制剤、可塑剤又は合体剤として使用できる。
【0059】
用語「共溶媒」とは、他の溶媒を併用できることを意味するものとする。溶媒又は共溶媒としての使用は、特に、ある種の化合物を処方物に、すなわち反応媒体に溶解させるための使用、除去すべき物質を完全に又は部分的に溶解させるための使用(脱脂、除去)及び/又は材料のフィルムの剥離を容易にするための使用を含む。
【0060】
界面活性剤としての使用については、アルコキシル化及び/又はプロポキシル化化合物、すなわち式(I)においてnが0以外のものを与えることが優先される。
【0061】
本発明の化合物は、特に、上記機能その他のために、植物保護製剤、洗浄用製剤、除去用製剤、脱脂用製剤、滑剤又は織物用製剤、塗料製剤、例えばペイント製剤、顔料又はインク製剤又はプラスチック製剤において使用できる。
【0062】
当該化合物は、例えば、水性塗料用製剤における合体剤として使用できる。
【0063】
当該化合物は、特に、例えば被覆ケーブルについての産業又はエレクトロニクス産業における樹脂用の溶媒として、特にPVDF用の溶媒として使用できる。
【0064】
当該化合物は、特に、エレクトロニクス産業における洗浄用及び/又は除去溶媒として使用できる。このものは、特にリチウム電池に使用できる。このものは、特に、フォトレジスト樹脂、重合体、ワックス、グリース又はオイルに対して使用できる。
【0065】
当該化合物は、特に、例えばインクの製造中又は塗装の際のインクの使用中において、インクの浄化のために使用できる。
【0066】
当該化合物は、特に、紙の製造及び/又はリサイクルのためのプロセスにおいて使用される篩いその他の器具を洗浄するために使用できる。
【0067】
当該化合物は、特にアスファルト又はタールサンドの線状のために、例えば塗装基板上、これらの材料を塗布するために使用される器具上、汚染された衣類上又は汚染された車両上で使用できる。
【0068】
当該化合物は、特に飛行機、ヘリコプター又はスペースシャトルなどの航空機を洗浄するために使用できる。
【0069】
当該化合物は、特に、金属表面、例えば特にスチール若しくはアルミニウム又はこれらの金属の合金から作られた器具、製造物品、金属シート又は型の表面での脱脂剤として使用できる。
【0070】
当該化合物は、特に硬表面又は織物表面上での洗浄用溶媒として使用できる。
【0071】
当該化合物は、特に器具、例えば鋳型の表面若しくは工業用地の表面(作業場、隔壁など)上にある塗料若しくは樹脂を除去するための溶媒として使用できる。塗料を除去するための製剤は、特に水性製剤(当該化合物は水との混合物である)又は溶剤型製剤(この場合、当該化合物は、溶媒又は水との混合物としての化合物である)であることができる。
【0072】
当該化合物は、特に熱可塑性重合体製剤への可塑剤として使用できる。
【0073】
洗浄用製剤及び/又は脱脂製剤は、特に、住居又は公共区域(ホテル、オフィス、工場など)において実施されるハウスホールドケア用の製剤であることができる。これらのものは、硬表面、例えば、床、台所若しくは風呂場の家具及び付属品の表面又は食器類を洗浄するための製剤であることができる。また、これらの製剤は、工業製品を脱脂し及び/又はこれらを洗浄するための産業分野においても使用できる。このような製剤は、製品、器具、型、生地その他の物品を洗浄し及び/又はストリップするために使用できる。
【0074】
本発明の化合物は、特に固体活性物質を含む植物保護製剤に使用できる。詳細については以下においてさらに説明するが、用語「溶媒」は、本発明の化合物又は該化合物を含む材料組成物を表すことができる。
【0075】
植物保護製剤における詳細な使用法
植物保護製剤は、一般に、活性化合物を含む濃縮植物保護製剤である。
【0076】
農業では、肥料や農薬、例えば殺虫剤、除草剤又は殺菌剤といった多数の活物質が使用されている。ここで、植物保護活性物質(又は活物質)について説明する。植物保護活性物質は、一般に、純粋な状態又は非常に濃縮された状態の物質である。これらは、農場では低濃度で使用しなければならない。この目的のため、該物質は、通常、農業従事者が重量基準で容易に希釈できるように他の成分と共に処方されている。ここで、植物保護製剤について説明する。農業従事者が行う希釈は、通常、該植物保護製剤と水とを混合させることによって実施される。
【0077】
つまり、植物保護製剤は、植物保護物質が、例えば溶液、エマルジョン、懸濁液又はサスポエマルジョンの状態で正確に分散した物質を得るために、農業従事者が重量を基準として容易に希釈できなければならない。それにより、植物保護製剤は、植物保護物質を比較的濃縮された状態で輸送すること、容易な包装及び/又は最終使用者にとっての容易な取り扱いが可能になる。異なる植物保護物質によって異なるタイプの植物保護製剤が使用できる。例えば、乳剤(「EC」)、濃縮エマルジョン(水中油型エマルジョン、「EW」)、マイクロエマルジョン(「ME」)、水和剤(「WP」)又は水分散性顆粒(「WDG」)が挙げられる。使用可能な製剤は、植物保護物質の物理的形状(例えば固体又は液体)及び水や溶媒などの他の化合物の存在下でのその物理化学的特性に依存する。
【0078】
農業従事者が、例えば水と混合することによって重量で希釈した後に、該植物保護物質は、異なる物理的形状:溶液、固体粒子の分散液、該物質の液滴の分散体、該物質が溶解している溶媒の液滴などで生じ得る。植物保護製剤は、一般に、これらの物理的形状を得ることを可能にする化合物を含む。これらは、例えば、界面活性剤、溶媒、無機担体及び/又は分散剤であることができる。これらの化合物は、天然の性質を有しないが、ただし、該製剤に役立つ中間体の性質を有する場合が非常に多い。植物保護製剤は、特に、液体の状態又は固体の状態であることができる。
【0079】
固体植物保護活性物質の植物保護製剤を製造するために、該物質を溶媒に溶解させることが知られている。このように、植物保護製剤は、該物質の溶媒への溶液を含む。該製剤は、固体の状態、例えば溶液が無機担体、例えばカオリン及び/又はシリカに含浸した水和剤(WP)の状態であることができる。或いは、該製剤は、液体の状態、例えば、溶媒及び溶液状の物質を含む単一の清澄液相を有し、水を加えることによって撹拌することなく又は穏やかに撹拌することでエマルジョンを形成することのできる乳剤(EC)の状態にあることができる。また、これは、水に分散された相が溶媒及び該溶媒への溶液の状態の該物質を含む濁った濃縮エマルジョン(EW)の状態であることもできる。また、これは、水に分散された相が溶媒及び該溶媒への溶液の状態の該物質を含む透明なマイクロエマルジョン(ME)の状態であることもできる。
【0080】
いくらかの固体植物保護有効成分は、配合するのが困難な場合が多い。例えば、テブコナゾールは、特に大豆の栽培のために特に効果的でかつ広く使用されている殺菌剤である。ある種の植物保護有効成分については、農業従事者にとって希釈するのが容易で、安定で、しかも安全性、毒性及び/又は生態毒性に関して実質的な不利益(知られている又は認知されている)のない濃縮製剤を製造するのが困難である。ある種の有効成分については、比較的高い濃度で満足のいく安定性でもって処方するのは困難である。特に、特に低温で及び/又は希釈中に及び/又は該希釈組成物を高温で保存中に、結晶の出現を回避することが必要である。これらの結晶は悪影響を及ぼす可能性、特に希釈組成物を散布するために使用する装置のフィルターを詰まらせる可能性、噴射装置を詰まらせる可能性、該製剤の活性全体を低下させる可能性、結晶を除去するための廃棄手順という不必要な課題ができる可能性、及び/又は農地にわたる活性物質の分布が不十分になる可能性がある。
【0081】
溶媒を含む製剤は、特に、
・大量の有効成分が溶解すること、
・厳しい条件下でも結晶が存在しないこと、
・生物活性が良好であること(これは、良好な溶媒和によるものであることができる)、及び/又は
・有益であると認識される安全性、毒性及び/又は環境毒性プロフィール
を示す。
【0082】
さらに、植物保護製剤は、
(a)植物保護活性物質、
(b)溶媒、
(c)随意成分として、少なくとも1種の乳化剤、好ましくは界面活性剤、及び
(d)随意成分として水
を含む濃縮植物保護製剤であることができる。
【0083】
植物保護活性物質(a)
植物保護活性物質、特に水不溶性固体物質は、当業者に知られている。該植物保護活性物質は、特に、除草剤、殺虫剤、ダニ駆除剤、殺菌剤又は殺鼠剤、例えばネズミ取りであることができる。
【0084】
好適な活物質の例としては、とりわけ、アメトリン、ジウロン、リニュロン、クロロトルロン、イソプロツロン、メタミトロン、ダイアジノン、アクロニフェン、アトラジン、クロロタロニル、ブロモキシニル、ブロモキシニルヘプタノエート、ブロモキシニルオクタノエート、マンコゼブ、マンネブ、ジネブ、フェンメディファム、プロパニル、フェノキシフェノキシ系列、ヘテロアリールオキシフェノキシ系列、CMPP、MCPA、2,4−D、シマジン、イミダゾリノン系列の活性物質、有機リン系化合物の群、特にアジンホス・エチル、アジンホス・メチル、アラクロール、クロルピリホス、ジクロホップ・メチル、フェノキサプロップ−P−エチル、メトキシクロル、シペルメトリン、フェノキシカルブ、シモキサニル、クロロタロニル、ネオニコチノイド系殺虫剤、トリアゾール系殺菌剤の群、例えば、アザコナゾール、ブロムコナゾール、シブロコナゾール、ジフェノコナゾール、ジニコナゾール、エポキシコナゾール、フェンブコナゾール、フルシラゾール、ミクロブタニル、テブコナゾール、トリアジメホン及びトリアジメノール、ストロビルリン類、例えば、ピラクロストロビン、ピコキシストロビン、アゾキシストロビン、ファモキサドン、クレソキシムメチル及びトリフロキシストロビン、又はスルホニル尿素類、例えば、ベンスルフロンメチル、クロリムロンエチル、クロルスルフロン、メトスルフロンメチル、ニコスルフロン、スルホメツロンメチル、トリアスルフロン並びにトリベヌロンメチルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0085】
水不溶性物質は、このリストから選択される。
【0086】
特に、次の植物保護活性物質を使用することができる。
【表1−1】

【表1−2】

【表1−3】

【表1−4】

【表1−5】

【表1−6】

【表1−7】

【0087】
これらの物質及び名称は当業者に知られている。数種の植物保護活性物質を組み合わせることが可能である。
【0088】
乳化剤(c)
植物保護製剤は、乳化剤、典型的には及び好ましくは界面活性剤を含むことができる。乳化剤とは、該製剤と水とを接触させた後に乳化又は分散を促進させるための試剤、及び/又はエマルジョン又は分散液を、例えば沈降を防止することによって安定化させる(経時的に及び/又は温度に関して)ための試剤のことである。
【0089】
界面活性剤は、概して非常に低いモル質量、例えば1000g/モル未満のモル質量を示す既知の化合物である。該界面活性剤は、塩化された状態又は酸の状態の陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、好ましくはポリアルコキシル化界面活性剤、陽イオン性界面活性剤又は両性界面活性剤(この用語にも双性界面活性剤も含まれる)であることができる。これらの界面活性剤の混合物又は組合せも含まれ得る。
【0090】
陰イオン性界面活性剤の例としては、次のものが挙げられるが、それらに限定されない:
・1個以上の炭化水素基で置換されていてよいアルキルスルホン酸又はアリールスルホン酸であって、その酸官能基が部分的に又は完全に塩化されたもの、例えば、1〜3個のC1〜C30、好ましくはC4〜C16アルキル基及び/又はC2〜C30、好ましくはC4〜C16アルケニル基で置換されたC8〜C50、特にC8〜C30、好ましくはC10〜C22アルキルスルホン酸、ベンゼンスルホン酸又はナフタレンスルホン酸。
・直鎖又は分岐アルキル部分が1個以上のヒドロキシル及び/又は直鎖若しくは分岐C2〜C4アルコキシル(好ましくはエトキシル、プロポキシル又はエトプロポキシル)基によって置換されていてよいアルキルスルホコハク酸のモノ又はジエステル。
・少なくとも1個のアルコキシル(エトキシル、プロポキシル又はエトプロポキシル)基で置換されていてよい、8〜40個、好ましくは10〜30個の炭素原子を有する少なくとも1個の飽和、不飽和又は芳香族の直鎖又は分岐炭化水素基を含むものから特に選択されるリン酸エステル。なお、これらのものは、1個又は2個の遊離の又は部分的に若しくは完全に塩化された酸基を有することが可能であるように、少なくとも1個のモノエステル化又はジエステル化リン酸エステル基を有する。好ましいリン酸エステルは、1〜4個のアルキル基によって置換されていてよい、リン酸のモノエステル及びジエステル並びにアルコキシル化(エトキシル化及び/又はプロポキシル化)モノ、ジ若しくはトリスチリルフェノール又はアルコキシル化(エトキシル化及び/又はプロポキシル化)モノ、ジ又はトリアルキルフェノール型のものである;リン酸及びアルコキシル化(エトキシル化又はエトプロポキシル化)C8〜C30、好ましくはC10〜C22アルコール型のもの;或いはリン酸及び非アルコキシル化C8〜C22、好ましくはC10〜C22アルコール型のものである。
・1個以上のアルコキシル(エトキシル、プロポキシル又はエトプロポキシル)基で置換されていてよく、かつ、スルフェート官能基が遊離酸の状態で存在し又は部分的に若しくは完全に中和された飽和又は芳香族アルコールから得られる硫酸エステル。例としては、1〜8個のアルコキシル(エトキシル、プロポキシル又はエトプロポキシル)単位を含むことができる飽和又は不飽和C8〜C20アルコールから特に得られる硫酸エステル;1〜3個の飽和又は不飽和C2〜C30炭化水素基で置換され、かつ、アルコキシル単位数が2〜40である、ポリアルコキシル化フェノールから得られる硫酸エステル;或いはアルコキシル単位数が2〜40であるポリアルコキシル化モノ、ジ又はトリスチリルフェノールから得られる硫酸エステルが挙げられる。
【0091】
陰イオン性界面活性剤は、酸の状態(これらは、潜在的に陰イオン性である)又は対イオンにより部分的に若しくは完全に塩化された状態であることができる。該対イオンは、ナトリウムやカリウムなどのアルカリ金属イオン、カルシウムなどのアルカリ土類金属イオン、又は式N(R)4+(式中、Rは同一のもの又は異なるものであり、水素原子、又は酸素原子によって置換されていてよいC1〜C4アルキル基を表す。)のアンモニウムイオンであることができる。
【0092】
非イオン性界面活性剤の例としては、次のものを挙げることができるが、それらに限定されない:
・少なくとも1個のC4〜C20、好ましくはC4〜C12アルキル基よって置換された又は少なくとも1個のアルキルアリール基によって置換されたポリアルコキシル化(エトキシル化、プロポキシル化又はエトプロポキシル化)フェノールであって、そのアルキル部分がC1〜C6アルキル部分であるもの。特に、アルコキシル単位の総数は2〜100である。例としては、ポリアルコキシル化モノ、ジ若しくはトリ(フェニルエチル)フェノール又はポリアルコキシル化ノニルフェノールが挙げられる。エトキシル化及び/又はプロポキシル化の中では、硫酸化及び/又はリン酸化ジ又はトリスチリルフェノール、10個のオキシエチレン単位を含むエトキシル化ジ(1−フェニルエチル)フェノール、7個のオキシエチレン単位を含むエトキシル化ジ(1−フェニルエチル)フェノール、7個のオキシエチレン単位を含むエトキシル化及び硫酸化ジ(1−フェニルエチル)フェノール、8個のオキシエチレン単位を含むエトキシル化トリ(1−フェニルエチル)フェノール、16個のオキシエチレン単位を含むエトキシル化トリ(1−フェニルエチル)フェノール、16個のオキシエチレン単位を含むエトキシル化及び硫酸化トリ(1−フェニルエチル)フェノール、20個のオキシエチレン単位を含むエトキシル化トリ(1−フェニルエチル)フェノール又は16個のオキシエチレン単位を含むエトキシル化及びリン酸化トリ(1−フェニルエチル)フェノールが挙げられる。
・ポリアルコキシル化(エトキシル化、プロポキシル化又はエトプロポキシル化)C6〜C22脂肪アルコール又は脂肪酸。アルコキシル単位数は1〜60である。用語「エトキシル化脂肪酸」には、エチレンオキシドによる脂肪酸のエトキシル化によって得られる生成物及びポリエチレングリコールによる脂肪酸のエステル化によって得られる生成物の両方が含まれる。
・植物又は動物由来のポリアルコキシル化(エトキシル化、プロポキシル化又はエトプロポキシル化)トリグリセリド。つまり、ラード、獣脂、ピーナッツ油、バター油、綿実油、亜麻仁油、オリーブ油、椰子油、ぶどう種子油、魚油、大豆油、ひまし油、菜種油、コプラ油又はココナツ油から得られ、かつ、1〜60個の総アルコキシル単位数を有するトリグリセリドが好適である。用語「エトキシル化トリグリセリド」は、エチレンオキシドによるトリグリセリドのエトキシル化によって得られる生成物及びポリエチレングリコールによるトリグリセリドのエステル交換により得られる生成物の両方を対象とする。
・随意にポリアルコキシル化(エトキシル化、プロポキシル化又はエトプロポキシル化)されたソルビタンエステル、特に、2〜50個の総アルコキシル単位数を有する、ラウリン酸、ステアリン酸又はオレイン酸などのC10〜C20脂肪酸の環化ソルビトールエステル。
【0093】
使用する乳化剤は次の製品(全てロディア社が販売する)である:
・Soprophor(商標)TSP/724:エトプロポキシル化トリスチリルフェノールを主成分とする界面活性剤
・Soprophor(商標)796/O:エトプロポキシル化トリスチリルフェノールを主成分とする界面活性剤
・Soprophor(商標)CY8:エトキシル化トリスチリルフェノールを主成分とする界面活性剤
・Soprophor(商標)BSU:エトキシル化トリスチリルフェノールを主成分とする界面活性剤
・Alkamuls(商標)RC:エトキシル化ひまし油を主成分とする界面活性剤
・Alkamuls(商標)OR/36:エトキシル化ひまし油を主成分とする界面活性剤
・Alkamuls(商標)T/20:ソルビタンエステルを主成分とする界面活性剤。
【0094】
該製剤は、有利には、乾物重量で、少なくとも4%、好ましくは少なくとも5%、好ましくは少なくとも8%の少なくとも1種の界面活性剤(c)を含む。
【0095】
溶媒は、芳香族及び/又は非芳香族界面活性剤と併用できることを言及しておく。
【0096】
植物保護製剤に関するそのほかの詳細
濃縮植物保護製剤は、好ましくは、大量の水を含まない。典型的には、含水量は、50重量%未満、有利には25重量%未満である。これは通常10重量%未満であろう。
【0097】
好ましくは、該製剤は、例えば乳剤(EC)、濃縮エマルジョン(EW)又はマイクロエマルジョン(ME)の形態の液体製剤である。この場合には、該製剤は、好ましくは、500g/L未満の水、より好ましくは250g/L未満の水を含む。これは通常100g/L未満であろう。
【0098】
該製剤は、有利には、
(a)活物質の重量を基準にして、植物保護物質を4〜60%、好ましくは10〜50%、
(b)重量を基準にして、溶媒を10〜92%、好ましくは20〜80%、
(c)乾物重量を基準にして、乳化剤、好ましくは界面活性剤を4〜60%、好ましくは5〜50%、好ましくは8〜25%、
(d)水を0〜10重量%
含むことができる。
【0099】
固体製剤、例えば、溶媒中に分散された植物保護物質を含む液体が鉱物によって担持された及び/又は固体マトリックス内に分散された製剤の製造は除外されない。
【0100】
該製剤は、勿論、植物保護活性物質、1種以上の溶媒、随意の1種以上の乳化剤及び随意の水以外の成分(又は「添加剤」)を含むことができる。このものは、特に、粘度変更剤、消泡剤、特にシリコーン消泡剤、固着剤、浸出防止剤、不活性充填剤、特に無機充填剤、不凍剤などを含むことができる。
【0101】
該製剤は、特に、物質(a)、(b)又は(c)の定義には包含されない「他の添加剤」と呼ばれる添加剤、例えば以下のものを含むことができる:
・通常は少量の、すなわち最も少ない量で存在する溶媒系の溶媒よりも少ない量の他の溶媒。他の溶媒は、溶媒系の形成部分であるとは解されない。特に、他の溶媒としては、ホスフェート、ホスホネート又はホスフィンオキシド類の溶媒、例えばTEBP、TBP、TEPO又はDBBPが挙げられる。また、アルキルジメチルアミド(ここで、該アルキルはC6〜C18アルキルである)、特にGenagenブランドで販売されているものも挙げられる。また、乳酸エステル、特にPurasolvブランドで販売されているものも挙げられる。また、脂肪酸のメチルエステル、特にPhytorobeブランドで販売されているものも挙げられる。また、二酸ジエステル(「DiBasic Esters」)、特にRhodiasolv RPDE及びRhodiasolv DIBブランドでロディア社が販売しているものも挙げられる。また、炭化水素留分、NMPなどの環状アミド及びラクトンも挙げられる。また、WO2008/074837号に記載されたビス(ジアルキルアミド)も挙げられる。
・結晶化抑制剤。これらは上記溶媒であることができる。また、これらは、非ポリアルコキシル化脂肪酸又は脂肪アルコールであることもできる。例えば、ロディア社が販売する製品Alkamuls(商標)OL700が挙げられる。
【0102】
植物保護製剤又は溶媒の混合物の従来の製造方法が使用できる。これらの成分の単なる混合を実施することも可能である。
【0103】
濃縮植物保護製剤は、希釈組成物を得るために、一般には水への希釈後に、例えば大豆の耕地又は耕作される農地に散布することを目的とするものである。希釈は、通常、農業従事者によりタンク内で(タンク混合)、例えば該組成物を散布することを目的とした装置のタンク内で直接実施される。農業従事者が他の植物保護物質、例えば殺菌剤、除草剤、農薬若しくは殺虫剤又は肥料を添加することも除外されない。したがって、当該製剤は、少なくとも1重量部の濃縮製剤と少なくとも10重量部の水、好ましくは1000重量部未満の水とを混合させることによって、植物保護活性物質の水希釈組成物を製造するために使用できる。希釈の程度及び農地に適用される量は、通常、植物保護物質と農地を処理するのに望ましい用量による。これは農業従事者が決定できる。
【0104】
そのほかの詳細又は利点は、限定を意図しない以下の実施例に照らせば明らかになるであろう。
【実施例】
【0105】

例1:CH3−CH2−CH(O−IsoAm)−(CH2)−CONMe2の製造
合成経路は次のとおりである:
【化3】

【0106】
第1工程
450g(5.003モル)のイソアミルアルコール、10g(0.06モル)のトリトンB(水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム)及び414.1g(5.003モル)の2PN(2−ペンテンニトリル)を周囲温度で装入し、そして35±4℃で12時間にわたり窒素ブランケット下で撹拌しながら保持した。
工程1の生成物(3−(イソペンチルオキシ)ペンタンニトリル)609.7gを、72%の収率及び98.8%の純度で得た。
【0107】
第2工程
1507mL(37.44モル)のメタノール、1.84の密度を有する350mL(6.24モル)の濃硫酸及び543g(3.12モル)の工程1の生成物を混合し、そして12時間にわたり撹拌しながら還流(80℃)させる。
この反応が完了したら、この媒体を1500mLの氷冷水上に注ぎ、次いで300mLの酢酸エチルで2回抽出する。一緒にした有機相をpH7〜8の炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄する。酢酸エチルを蒸発させた後に、工程2の粗生成物(3−(イソペンチルオキシ)ペンタン酸メチル)515g、すなわち、81.6%の収率を得た。
【0108】
第3工程
623g(3.08モル)の工程2の粗生成物、1750mL(43.5モル)のメタノール及び233g(3.39モル)の85%水酸化カリウムを55℃で12時間にわたり撹拌する。
この反応が完了したら、メタノールを蒸発させ、この媒体を希釈塩酸水溶液でpH4〜5に酸性化させる。
この媒体を500mLの酢酸エチルで2回抽出する。それらの有機相を一緒にし、この酢酸エチルを蒸発により除去し、520g、すなわち90%収率の工程3の生成物(3−(イソペンチルオキシ)ペンタン酸)を98%の純度で得た。
【0109】
第4工程
372g(1.94モル)の工程3の粗生成物及び465g(3.89モル)の塩化チオニルを55℃で4時間にわたり撹拌する。この反応が完了したら、塩化チオニルを蒸発させ、95.5%の純度を有する工程4の生成物(塩化3−(イソペンチルオキシ)ペンタノイル)380g、すなわち95.7%の収率を得た。
【0110】
第5工程
2500mLのトルエン、450mL(3.23モル)のトリエチルアミン、280mL(4.22モル)のジメチルアミン及び510g(2.36モル)の工程4の粗生成物を周囲温度で15時間にわたり混合する。
この反応が完了したら、形成した塩化トリエチルアンモニウムをろ過により除去し、300mLのトルエンで2回洗浄する。これらのトルエン相を一緒にし、そしてトルエンを蒸発により除去する。
その後、この生成物をpH7〜8の炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、酢酸エチルで抽出する。
酢酸エチルを蒸発により除去し、そして、生成物を分別蒸留(沸点:105℃/100Pa)により精製する。
98.3%の純度を有する工程5の生成物3−イソペンチルオキシ−N,N−ジメチルペンタンアミド400g、すなわち79%の収率を得た。
【0111】
例2:CH3−CH2−CH(OMe)−(CH2)−CONMe2の製造
この製造を例1と同様の方法で実施したが、ただし、イソアミルアルコールの代わりにメタノールを使用した。
【0112】
例3:CH3−CH2−CH(OCyclo)−(CH2)−CONMe2の製造
合成経路は次のとおりである:
【化4】

第1工程
1100mL(10.200モル)のシクロヘキサノール及び28g(0.067モル)のトリトンB(水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム)を窒素ブランケット下で装入する。800g(9.862モル)の2PN(2−ペンテンニトリル)をゆっくりと装入すると同時に温度を20±5℃に維持し、次いでこの混合物を周囲温度で38時間に保持すると共に、ガスクロマトグラフィーにより反応を監視する。得られる転化率は、主化合物についておよそ60%である。触媒を酢酸の添加により中和し、次いで中間体を減圧下で蒸留することにより単離する。
560gの工程1の生成物(3−(シクロヘキサノキシ)ペンタンニトリル)を90%を超える純度で得た。
【0113】
第2工程
1325mL(33.10モル)のメタノール、1.84の密度を有する358mL(6.62モル)の濃硫酸及び600g(3.31モル)の工程1の生成物を混合し、そして12時間にわたり撹拌しながら還流(80℃)させる。
この反応が完了したら、この媒体を1500mLの氷冷水上に注ぎ、次いで300モルの酢酸エチルで2回抽出する。一緒にした有機相を炭酸水素ナトリウム水溶液でpH7〜8まで洗浄する。酢酸エチルを蒸発させた後に、534gの工程2の粗生成物(3−(シクロヘキシルオキシ)ペンタン酸メチル)を得る。次いで、この中間体を減圧下で蒸留して90%を超える純度を有する、497gの生成物、すなわち70.2%の収率で生成させた。
【0114】
第3工程
N,N−ジメチルアミンの46%メタノール溶液284.5g(2.93モルのDMA)を1L反応器に装入する。この溶液を0℃±2℃に冷却する。
この反応器の冷却器が2℃のグリコール溶液を供給する。
次のものをN,N−ジメチルアミンのメタノール溶液上に導入する:
・第2工程の終了時に得られた、573gの3−(シクロヘキシルオキシ)ペンタン酸メチル(2.68モル)、
・22.9gのCH3ONaメタノール溶液(溶液の強さ:25重量%)。
CH3ONaを激しく撹拌しながら5分間にわたって導入する。
該反応素材の温度を2時間にわたり25℃にする。
この反応の進行をGC分析で監視する。
【0115】
転化率(%)
25℃で3時間保持 31.67
25℃で27時間保持 68.33
25℃で46時間保持 72.75
25℃で118時間保持 93.78
【0116】
CH3ONa及びN,N−ジメチルアミンの添加を次の時間で実施する:
【0117】
【表2】

【0118】
生成物の単離
以下で詳細に説明する処理を実施する:
DMAの除去:
過剰のDMA及びメタノールの一部分を減圧下(P<30mbar)で25℃未満の温度で蒸留する。
・蒸留重量:293g。
【0119】
触媒の中和:
・50gの水、続いて356gの塩酸水溶液(3.4%)の添加。該水性相の最終pHは7.01である。
水性相を沈降により分離し、有機相を300gの水で洗浄する。
【0120】
有機相の乾燥:
120gのシクロヘキサンを有機相に添加し、そしてその混合物を部分的減圧(圧力<21mbar/バルク温度<50℃)下で濃縮する。
【0121】
得られた反応素材:533.8gの淡黄色溶液。その組成は次のとおりである:
・CH3−CH2−CH(OCyclo)−(CH2)−CONMe2:87.69%
・メチル3−(シクロヘキシルオキシ)ペンタノエート: 7.43%
・不純物: 4.88%
モル収率は76%である。
【0122】
精製
上記プロトコールに従って得られた反応素材の987gをトッピングにより精製する。
トッピング条件:
・圧力<2mbar
・バルク温度:25〜90℃
・蒸留物の温度:25〜76℃
・蒸留重量:240g。
得られた反応素材:729gの淡黄色溶液。このものは、CH3−CH2−CH(OCyclo)−(CH2)CONMe293%から構成される。
【0123】
例4〜7:溶媒−植物保護製剤としての使用
各種植物保護有効成分の乳剤(EC)型製剤を、次の成分を混合させることによって製造する。
該製剤は、
・以下の表に示す重量(活性物質の)の有効成分、
・ロディア社が販売する、10重量%の界面活性剤Alkamuls(商標)RC、
・及び、溶媒として、上記例の化合物(残部)
を含む。
【0124】
例4は比較例であり、ここでは、溶媒として、Rhodiasolv(商標)ADMA 10製品(ロディア社(アジア太平洋地域)):溶媒アルキルジメチルアミドを使用している。
【0125】
次の試験を実施する:
・25℃での目視観察:製剤の様相を記録する。或いは結晶の存在を記録する。
0℃での目視観察:製剤を0℃で7日間放置し、製剤の様相を記録する、或いは結晶の存在を記録する(CIPAC試験MT39)。
・核形成による0℃での目視観察:活物質の結晶を、核形成のために0℃で7日間放置した製剤に導入し、そして該製剤を再度0℃で7日間にわたり放置する。製剤の様相を記録する、或いは結晶の存在を記録する。
【0126】
【表3】

【0127】
例8:テブコナゾールの製剤
次のEC製剤を製造する
Tech.テブコナゾール97% 258g/L
例3の溶媒 608g/L
Geronol(商標)TBE-724(界面活性剤、ロディア) 150g/L。
【0128】
製剤の特性を製造後に評価する:
・20℃での密度:1.016
・pH(5%溶液):6.3
・乳化(CIPAC試験、30℃で1%の濃度、24時間後)
A D C
0t O O
・乳化(CIPAC試験、30℃で5%の濃度、2時間後)
A D C
0t O O
・0℃での様相:濁った溶液、周囲温度で透明になる
・54℃での様相:透明な溶液。
【0129】
該製剤の特性を54℃で14日後に評価する:
・pH(5%溶液):5.1
・乳化(CIPAC試験、30℃で1%の濃度、4時間後)
A D C
0t O O
・乳化(CIPAC試験、30℃で5%の濃度、4時間後)
A D C
0t O O
・0℃での様相:濁った溶液、周囲温度で透明になる
・54℃での様相:透明な溶液

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次式(I)の化合物:
abC(OR1)−CHRc−CONR23 (I)
(式中、
・Ra、Rb及びRcは、同一のもの又は異なるものであり、水素原子及び直鎖又は分岐アルキル基、好ましくはC1〜C3アルキル基から選択される基であり、
・R1はR'1又は−(AO)nR'1基であり、ここで
・R'1は、1〜36の範囲の平均炭素原子数を有する、飽和又は不飽和、直鎖又は分岐、随意に環状及び随意に芳香族の炭化水素基から選択される基であり、ここで、該芳香族基は、芳香環中にヘテロ原子を有することが可能であり、
・AOは、同一のもの又は異なるものであり、式:−CH2−CH2−O−、−CHMe−CH2−O−又は−CH2−CHMe−O−の基を表し、
・nは0以上、例えば0〜50の範囲の平均数であり、
・R2及びR3は、同一のもの又は異なるものであり、水素原子及び1〜36の範囲の平均炭素原子数を有する、飽和又は不飽和、直鎖又は分岐、随意に環状、随意に芳香族及び随意に置換された炭化水素基から選択される基であり、R2及びR3は、一緒になって、これらが結合する窒素原子を含む環を形成してよく、該環は、置換されていてよく及び/又は追加のヘテロ原子を含んでいてよく、
・R2及びR3は、同時に水素原子ではない。)。
【請求項2】
1、R2及びR3基を除いた前記炭素原子の総数が4、5又は6である請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
・Rc=H及びRb=H、又は
・Rc=Me及びRb=H、又は
・Rc=H及びRb=Meである、
請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
aがメチル又はエチル基である、請求項1〜3のいずれかに記載の化合物。
【請求項5】
・Rc=H及びRb=H及びRa=Et、又は
・Rc=Me及びRb=H及びRa=Me、又は
・Rc=H及びRb=Me及びRa=Me
である、請求項1〜4のいずれかに記載の化合物。
【請求項6】
2及びR3が同一のもの又は異なるものであり、メチル、エチル、プロピル(n−プロピル)、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、n−ペンチル、アミル、イソアミル、ヘキシル若しくはシクロヘキシル基から選択されるか、又はこれらの基が一緒になって窒素原子と共にモルホリン、ピペラジン又はピペリジン基を形成する、請求項1〜5のいずれかに記載の化合物。
【請求項7】
2及びR3がメチル基である、請求項1〜6のいずれかに記載の化合物。
【請求項8】
R'1がメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、n−ペンチル、イソペンチル、イソアミル、n−ヘキシル、シクロヘキシル、n−オクチル、イソオクチル、2−エチルヘキシル、トリデシル、フェニル又はベンジル基から選択される、請求項1〜7のいずれかに記載の化合物。
【請求項9】
20℃以下、好ましくは5℃、好ましくは0℃の融点を有する、請求項1〜8のいずれかに記載の化合物。
【請求項10】
次式の一つ:
【化1】


を有する、請求項1〜9のいずれかに記載の化合物。
【請求項11】
式(I’)のアルケンニトリルから出発する転化による、請求項1〜10のいずれかに記載の化合物の製造方法:
abC=CRc−CN (I’)。
【請求項12】
前記転化が次の工程:
工程(1):式(I’)のアルケンニトリルと式R1−OHのアルコールとを反応させて式(II’):
abC(OR1)−CHRc−CN (II’)
のエーテルニトリルを得、
工程(2):該エーテルニトリルの−CN基をアミド基に転化させて式(I)の生成物を得ること
を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記工程(1)を塩基の存在下で、好ましくは非水性溶媒中で実施する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記工程(2)が次の工程:
工程(2a):−CN基を−COOH又は−COOR’基(ここで、R’はC1〜C4アルキルである)に転化させ、
工程(2b):式HNR23のアミンを使用して−COOH又は−COOR’基を−CONR23基に転化させて式(I)の化合物を得ること
を含む、請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
前記工程(2)が次の工程:
(2a’)−CN基を加水分解によって直接−COOH基に転化させ、又は−COOR’基を形成させ、次いで加水分解によって−COOH基に転化させ、
(2b’)該−COOH基を式HNR23のアミンと反応させることによって直接−CONR23基に転化させ、又は−COCl基を形成させ、次いで式HNR23のアミンと反応させることによって−CONR23基に転化させて、式(I)の化合物を得ること
を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記工程(2)が次の工程:
(2a”)−CN基を−COOR’基に転化させ、
(2b”)式HNR23のアミンを使用して該−COOR’基を−CONR23基に転化させて式(I)の化合物を得ること
を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
請求項1〜10のいずれかに記載の化合物の、界面活性剤、溶媒、共溶媒、剥離剤、結晶化抑制剤、洗浄剤、脱脂剤、可塑剤又は合体剤としての使用。
【請求項18】
植物保護製剤、洗浄用製剤、除去用製剤、脱脂用製剤、潤滑用製剤、塗料製剤、顔料又はインク製剤又はプラスチック製剤への、請求項17に記載の使用。

【公表番号】特表2011−518867(P2011−518867A)
【公表日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−506726(P2011−506726)
【出願日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際出願番号】PCT/EP2009/055287
【国際公開番号】WO2009/133181
【国際公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【出願人】(508076598)ロディア オペレーションズ (98)
【氏名又は名称原語表記】RHODIA OPERATIONS
【住所又は居所原語表記】40 rue de la Haie Coq F−93306 Aubervilliers FRANCE
【Fターム(参考)】