説明

エーテル及び低濃度LiI電解質を用いる全温度Li/FeS2バッテリ

LiIを含む低重量モル濃度の電解質を組み込むリチウム電気化学セル設計を開示する。得られるセルは、広範囲の温度、条件、及びドレーン速度の下で優れた性能をもたらす。この電解質は、ジオキソラン及び非環式エーテルを含む溶媒配合物に溶解した0.5グラム分子又はそれ未満のヨウ化リチウムを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下の出願は、2005年8月16日出願の表題「低温Li/FeS2バッテリ」という名称の米国特許出願出願番号第11/204,694号の一部継続出願である。
【0002】
本発明は、リチウム/二硫化鉄セルのような1次電気化学セルのための非水電解質に関する。より具体的には、−40℃から21℃の温度での放電容量を有するリチウム−二硫化鉄セルと、全てエーテルの溶媒に溶解されたヨウ化リチウム0.3から0.5グラム分子の濃度を有する溶質から基本的に構成される電解質とが考えられている。
【背景技術】
【0003】
バッテリは、多くの携帯用電子デバイスに電力を提供するのに使用される。今日の消費者主導のデバイス市場においては、標準化された1次セルサイズ(例えば、AA又はAAA)及び特定の公称電圧(典型的には1.5V)が好ましい。更に、消費者は、多くの場合に、同等の現在利用可能な充電式(すなわち、2次)バッテリと比較して、1次バッテリをそれらの低コスト、利便性、信頼性、及び持続的な保管寿命の理由で使用することを選択する。1次リチウムバッテリ(負極の電気化学活物質としてリチウム金属又はリチウム合金を含有するもの)は、新しいデバイスのための選択されるバッテリとして、より小サイズ及びより高電力に向うそれらのデバイスにおける趨勢の理由から益々普及が進んでいる。
【0004】
1.5V消費者向けデバイスのために特に有用なリチウムバッテリの1つの種類は、AAサイズのためのIEC名称FR6及びAAAサイズのためのFR03を有するリチウム−二硫化鉄(又はLiFeS2)バッテリである。LiFeS2セルは、アルカリ、カーボン亜鉛、又は他の1次(すなわち、非充電式)バッテリシステムに比較して、特にドレーン速度でより高いエネルギ密度を与える。このようなバッテリは、正極の電気化学活物質として二硫化鉄、FeS2(パイライト又は黄鉄鉱とも称され、これは、バッテリ用途のための二硫化鉄の好ましい鉱物形態である)を使用する。
【0005】
原則的に、あらゆるバッテリ内の電解質は、望ましい温度範囲にわたってセル放電要件を満たすのに十分な電解質的及び電気的伝導性を提供するように選択すべきである。Brousselyに付与された米国特許第4,129,691号で示すように、リチウムバッテリ電解質中の溶質(すなわち、塩)濃度の増大は、その電解質の伝導性及び有用性において対応する増大をもたらすことが予想され、より高い伝導性は、望ましい属性であると推測される。しかし、特定の溶媒中の溶質の溶解度、リチウムベース電極上の適切な保護層の形成、及び/又はセル内の電気化学活物質又は他の材料と溶媒との適合性のような他の制限が、適切な電解質システムの選択を困難にする。非制限的な例として、Bakosに付与された米国特許第4,804,595号は、ある一定のエーテルが、プロピレンカーボネートのような溶媒に混合可能でない方法を説明している。更に別の電解質の欠陥及び非適合性は、特にそれらがLiFeS2セル、並びに多くの液体、溶媒、及び一般的なポリマー密封材料とのリチウムの反応性に関連する時に当業技術において公知でありかつ文書化されている。
【0006】
エーテルは、それらの一般的に低い粘性、良好な濡れ性、良好な低温放電性能、及び良好な高率放電特性のために、それらの極性が一部の他の一般溶媒に比べて相対的に低くても、リチウムバッテリ電解質溶媒として多くの場合に望ましい。エーテルは、パイライトを用いるセルにおいて特に有用であり、それは、このセルが、電極表面の劣化又は溶媒との好ましくない反応(例えば、重合)が発生する場合があるエーテル内でのより高電圧カソード材料と比較してより安定な傾向であるためである。LiFeS2セルに使用されてきたエーテルのうちには、1,2−ジメトキシエタン(DME)及び1,3−ジオキソラン(DIOX)があり、それらは、全てがWebberに付与された米国特許第5,514,491号又は第6,218,054号又は欧州特許0 529 802 B1に教示されたように一緒に使用されるか、又はGorkovenkoに付与された米国特許第7,316,867号(DIOX及び5−6炭素の1,3−ジアルコキシアルカンの使用)、Marple他に付与された第4,952,330号(設定された比率のDMEのような直鎖エーテル、DIOXのような環状エーテル、及びプロピレンカーボネートのようなアルキレンカーボネートの使用)、Kronenbergに付与された第3,996,069号(3−メチル−2−オキサドリドンとDIOX及び/又はDMEとの使用)、又はBowdenの米国特許公報第2008/0026296号A1(スルホラン及びDMEの使用)によって提案されたように溶媒の配合物として全部又は一部が使用されるかのいずれかである。Weberに付与された米国特許第5,229,227号(ジグライムのようなポリアルキレングリコールエーテルを伴う3−メチル−2−オキサゾリドンの使用)に開示されたようにDIOX又はDMEを特に含有しない他の溶媒も可能である。しかし、溶媒間の相互作用、並びにそれらの溶媒に対する溶質及び/又は電極材料の潜在的影響のために、機能する電気化学セル内の提案された配合物を実際に試験することなしには、このセルの理想的な電解質溶媒配合物及び得られる放電性能を予測することは、多くの場合に困難である。
【0007】
様々な電解質溶質が、LiFeS2セルの電解質に使用されてきており、ヨウ化リチウム(LiI)、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCF3SO3又は「リチウムトリフラート」)、リチウムビストリフルオロメチルスルホニルイミド(Li(CF3SO22N又は「リチウムイミド」)、過塩素酸リチウム(LiClO4)、リチウムヘキサフルオロアルセナート(LiAsF6)などが挙げられる。リチウムトリフラートを含有する電解質は、セルのかなり良好な電気特性及び放電特性を提供することができるが、このような電解質は、比較的低い導電率を有し、リチウムトリフラートは、比較的高価である。Webberに付与された先に示す米国特許第5,514,491号で説明するように、コストの低減とセル電気性能の改善の両方のために、ヨウ化リチウム(LiI)がリチウムトリフラートの代替として使用されている。「Energizer Holdinds Inc.」によって販売される1つの特定の銘柄のAA−サイズのFR06バッテリは、DIOX及びDMEを含有する溶媒混合物中に0.75重量モル濃度のLiIを有する非水電解質を現在含んでいる。
【0008】
セルのある一定の態様及び/又はその性能を強化するために、添加物を電解質内に使用することができる。例えば、Bolsterに付与された米国特許第5,691,083号は、FeS2、MnO2、又はTiS2を含むカソード材料を有するセルにおける望ましい開路電圧を達成するための非常に低濃度のカリウム塩の使用を説明している。Jiangの米国特許公報第2008/0026290号は、リチウム電極の表面上の保護フィルムの成長を遅らせるためのアルミニウム添加物の使用を開示している。これらの例の各々において、選択された添加物の恩典は、あらゆる有害な反応又は影響(バッテリの放電特性、安全性、及び寿命に関する)に対して釣り合うべきである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許出願出願番号第11/204,694号
【特許文献2】米国特許第4,129,691号
【特許文献3】米国特許第5,514,491号
【特許文献4】米国特許第6,218,054号
【特許文献5】欧州特許0 529 802 B1
【特許文献6】米国特許第7,316,867号
【特許文献7】米国特許第4,952,330号
【特許文献8】米国特許第3,996,069号
【特許文献9】米国特許公報第2008/0026296号A1
【特許文献10】米国特許第5,229,227号
【特許文献11】米国特許第5,691,083号
【特許文献12】米国特許公報第2008/0026290号
【特許文献13】米国特許第7,189,477号
【特許文献14】米国特許出願公報第2005/0244706号
【特許文献15】米国特許公報第2006/0046154号
【特許文献16】米国特許出願出願番号第11/439,835号
【特許文献17】米国特許出願出願番号第11/787,436号
【特許文献18】米国特許第5,290,414号
【特許文献19】米国特許公報第2005/0112462号
【特許文献20】米国特許公報第2005/233214号
【特許文献21】米国特許出願出願番号第11/493,314号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
最後に、上述のように、溶質のより高い濃度は、電解質の伝導性を一般的に高めると考えられるが、溶液の粘性のようなある一定の変数に基づくこの効果に対する限界が最終的に存在することが理解される(すなわち、伝導性は、溶質濃度が生成溶液の粘性を過大にするまではこの濃度と共に高まるが、粘性が過大となった濃度で伝導性は大きく低下する)。更に、ある一定のシステム(典型的に、非カルコゲンポリスルフィドが好ましいカソード材料である充電式リチウム−硫黄バッテリシステムにおける)は、塩の濃度がバッテリの充電の状態に関するインジケータであるように、電極自体の一部分が電解質溶液中に溶解してイオン伝導性を提供する「カソライト」を利用する。こうしたシステムにおいては、Mikhaylikに付与された米国特許第7,189,477号によって教示するように、最小限から存在しないまでのリチウムイオン濃度を完全に充電されたセルに性能を低下させることなく提供することができる。最終的に、LiFeS2及び他のリチウム電気化学セルは、電解質中に殆ど一定の塩含有量を維持し、電極から電解質にイオンを提供するこの性向を示さない。従って、カソライトシステムは、これに関してはLiFeS2システムに対する関連性を有さず、より一般的には、所定の電気化学システムからの教示を別の異種のシステムに盲目的に適用することに関連する落とし穴を例示している。
【課題を解決するための手段】
【0011】
改善した低温性能を有する電気化学セルが考えられている。このセルは、リチウム又は1%未満のアルミニウムを有するリチウムのようなリチウム合金で製造されたアノードを有する。カソードは、集電体上に被覆された二硫化鉄を含むが、リチウムに対する電位が2.8V未満又はそれに等しいあらゆる材料を考慮することができる。セパレータが、2つの電極の間に配置される。電極は、螺旋状に巻かれてジェリーロール電極アセンブリにすることができる。
【0012】
電解質は、1,3−ジオキソランと、1,2−ジメトキシエタン又はジグライムのような少なくとも1つの非環式エーテルとを含む溶媒配合物に溶解された0.5グラム分子のヨウ化リチウムから構成される。3,5−ジメチルイソオキサゾールのような付加的な任意的な共溶媒を含めることができる。電解質内のジオキソランの最適量は、60から70体積パーセントである。
【0013】
得られるセルは、低温での有意に増大した容量を供給し、一方で室温での容量の犠性はもしあっても僅かである。C15ドレーン速度(例えば、AAサイズのセルに対して200mA連続)で、本発明によるセルは、−40℃で少なくとも1000mAh及び室温(すなわち、21℃)で2800mAh以上を供給する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態によるLiFeS2バッテリの断面図である。
【図2A】様々なドレーン速度及び温度の下で放電されるFR6電池内に組込まれた様々な塩濃度を有するLiIベースの電解質の結果を示す図である。
【図2B】様々なドレーン速度及び温度の下で放電されるFR6電池内に組込まれた様々な塩濃度を有するLiIベースの電解質の結果を示す図である。
【図2C】様々なドレーン速度及び温度の下で放電されるFR6電池内に組込まれた様々な塩濃度を有するLiIベースの電解質の結果を示す図である。
【図2D】様々なドレーン速度及び温度の下で放電されるFR6電池内に組込まれた様々な塩濃度を有するLiIベースの電解質の結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明で使用される時の下記の用語は、本発明の開示全体を通じて以下のように定められて使用される。
【0016】
周囲温度(又は室温)−約20℃から約25℃、別途明記されない限り、情報は周囲温度で提供される。
【0017】
アノード−負極、より具体的には、本発明の意義の範囲内で、それは、1次電気化学的活物質としてのリチウム又は重量基準で少なくとも90%のリチウムを含有する合金から基本的に構成される。
【0018】
カソード−正極、より具体的には、本発明の意義の範囲内で、それは、1次電気化的活物質としての二硫化鉄を含み、1つ又はそれよりも多くの流動性のポリマー及び/又は伝導性添加物と共に金属集電体上に被覆される。
【0019】
セルハウジング−完全に機能するバッテリを構成する電気化学的活物質と、安全デバイスと、他の不活性成分とを物理的に包み込む構造体であり、容器(カップの形状に形成され、「缶」とも称される)と閉鎖体(容器の開口部に取り付けられ、電解質の流出及び水分/大気の流入を妨げるための通気及び密封機構から構成される)から構成される。
【0020】
DIOX−ジオキソランベースの溶媒、典型的に1,3−ジオキソラン。
【0021】
DME−ジメトキシエタンベースの溶媒、典型的に1,2ジメトキシエタン。
【0022】
電解質−1つ又はそれよりも多くの液状の有機溶媒中に溶解された1つ又はそれよりも多くの溶質であるが、この定義は、セルにイオン伝導性に与えるためにカソードが部分的又は完全に溶解することが予想される電気化学システム(すなわち、リチウム−硫黄バッテリに利用されるような「カソライト」)を含まない
【0023】
ジェリーロール(又は螺旋巻)電極アセンブリ−アノード及びカソードのストリップが、適切なポリマーセパレータと共に、それらの長さ又は幅に沿った例えばマンドレル又は中心コアの周りの巻き付けによって結合されてアセンブリにされたもの。
【0024】
公称−特性又は性能に対して予想することができるものを表す製造業者によって指定された値。
【0025】
塩−電解質の一部としてのイオン性化合物であり、リチウム又は一部の他の金属を典型的に含み、1つ又はそれよりも多くの溶質に溶解されたもの。
【0026】
セル設計
本発明は、実施することができる特定のセル設計を示す図1を参照してより良く理解することができる。セル10は、FR6型円筒形LiFeS2バッテリセルであるが、本発明は、FR03又は他のセルに同等な適用を有するはずである。セル10は、密封底部とセルカバー14及びガスケット16で密封される開放上端とを有する缶12の形態での容器を含むハウジングを有する。缶12は、ガスケット16及びカバー14を支持するために上端付近のビード又は縮小直径ステップを有する。ガスケット16は、缶12とカバー14の間に圧縮され、アノード又は負極18、カソード又は正極20、及び電解質がセル10内部に密封される。
【0027】
アノード18、カソード20、及びセパレータ26は、電極アセンブリ内に一緒に螺旋状に巻かれる。カソード20は、電極アセンブリの上端から延びて接触バネ24を用いてカバー14の内面に接続される金属集電体22を有する。アノード18は、金属リード(又はタブ)36によって缶12の内面に電気的に接続される。リード36はアノード18に固定され、電極アセンブリの底部から延び、この底部にわたって折り畳まれ、かつ電極アセンブリの側面に沿って上昇する。リード36は、缶12の側壁の内面に加圧接触される。電極アセンブリが巻かれた後、それは、製造工程における細工によって挿入前に互いに保持することができ、又は材料(例えば、セパレータ又はポリマーフィルム外側ラップ38)の外端を例えばヒートシール、接着、又はテーピングによって留めることができる。
【0028】
絶縁コーン46が電極アセンブリの上部の周囲部分の周りに設けられてカソード集電体22の缶12への接触が防止され、カソード20の底縁と缶12の底部との接触は、内側に折り畳まれたセパレータ26の延長部と缶12の底部に配置された電気絶縁性底部ディスク44とによって防止される。
【0029】
セル10は、分離した正端子カバー40を有し、これは、缶12の内側に圧着した上縁とガスケット16とによって所定の位置に保持され、1つ又はそれよりも多くの通気開口(図示せず)を有する。缶12は、負接触端子として機能する。接着ラベル48のような絶縁性ジャケットを缶12の側壁に付加することができる。
【0030】
端子カバー40の周囲フランジとセルカバー14の間には、不正な電気条件の下で電流の流れを実質的に制限する正温度係数(PTC)デバイス42が配置される。セル10は、圧力除去通気も含む。セルカバー14は、ウェル28の底部に通気孔30を有する内向き突出の中央通気ウェル28を含む開口を有する。開口は、通気ボール32と、通気ウェル28の垂直壁と通気ボール32の周囲の間に圧縮された薄壁熱可塑性ブッシング34とによって密封される。セル内部圧力が所定のレベルを超える時に、通気ボール32、又は通気ボール32及びブッシング34の両方が開口から押し出され、セル10から加圧ガスを放出する。別の実施形態では、圧力除去通気は、本明細書に引用によって全体的に組込まれる米国特許出願公報第2005/0244706号に開示するような破裂膜によって密封された開口とすることができ、又は引き裂き又は他の方法で破断することができ、密封プレート又は容器壁のようなセルの一部分内に通気開口を形成する鋳造溝のような比較的薄い区域とすることができる。
【0031】
電極アセンブリの側部と缶の側壁の間に配置された電極リード36の端子部分は、缶の側壁との電気的接触を強化して缶側壁に向けてリードを付勢するためにバネ様の力を提供する好ましくは非平面の缶内への電極アセンブリの挿入よりも前の形状を有することができる。セル製造中に、リードの成形された端子部分は、例えば、電極アセンブリの側部に向けて変形することができ、缶内へのその挿入が容易にされ、それに続いてリードの端子部分は、その初期の非平面形状に向けて部分的にはね返るが、少なくとも部分的に圧縮されたままとなって缶の側壁の内面に力が印加され、それによって缶との良好な物理的及び電気的接触が行われる。
【0032】
電解質
汚染物質として非常に少量(例えば、使用された電解質塩の重量基準で約500ppmよりも多くない)のみの水を含有する非水電解質が、製造中にセル内に配置される。電解質はLiFeS2セル内のイオン移動の主要媒体であるので、適切な溶質及び溶媒の組合せの選択が、セルの性能を最適化するのに重要である。更に、電解質のように選択された溶質と溶媒は、製造及び得られたセルの使用目的での適切な配合性及び粘性を有して、一方でバッテリによって潜在的に受ける温度の全体範囲(すなわち、−40℃から60℃)にわたって適切な放電性能を更にもたらされなければならない。更に、電解質は、非反応性又は不揮発性(又は従来型のポリマーの密封及び閉鎖機構によって実用的に保持されるのに十分低い沸点を少なくとも有する)でなければならない。
【0033】
溶媒及び電解質の混合性及び粘性は、バッテリの製造及び作動の態様に対して重要である。配合物に使用される全ての溶媒は、均質な溶液を保証するように混合可能でなくてはならない。同様に、大量生産の要求に適切であるために、溶媒は迅速に流れ、かつ分配されるのに十分低い粘性を有するべきである。
【0034】
加えて、溶媒及び電解質は、バッテリが恐らく露出されて保管されると考えられる温度範囲(すなわち、−40℃から60℃)に対して適切な沸点を有するべきである。より具体的には、溶媒は、この示された温度範囲内でのバッテリの安全な貯蔵及び作動を可能にするように十分に不揮発性でなければならない。同様に、溶媒及び電解質は、電極材料と反応して電極を劣化させるか又は放電でのバッテリの性能に悪影響を及ぼしてはならない。LiFeS2セルに使用された又は使用される可能な適切な有機溶媒は、以下のうちの1つ又はそれよりも多くを含む:1,3ジオキソラン、1,3ジオキソラン−ベースのエーテル(例えば、2−メチル−1,3−ジオキソラン又は4−メチル−1,3−ジオキソランなどのようなアルキル−及びアルコキシ−置換DIOX)、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジメトキシエタン−ベースのエーテル(例えば、ジグライム、トリグライム、テトラグライム、エチルグライムなど)、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、1,2−ブチレンカーボネート、2,3−ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、ギ酸メチル、γ−ブチロラクトン、スルホラン、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルプロピレン尿素、1,1,3,3−テトラメチル尿素、ベータアミノエノン、ベータアミノケトン、メチルテトラヒドロフルフリルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、2−メチルテトラヒドロフラン、2−メトキシテトラヒドロフラン、2,5−ジメトキシテトラヒドロフラン、3,5−ジメチルイソキサゾール(DMI)、1,2−ジメトキシプロパン(DMP)、及び1,2−ジメトキシプロパン−ベースの化合物(例えば、置換DMPなど)。
【0035】
塩は、選択された溶媒にほぼ又は完全に可溶でなければならず、かつ上述の溶媒の説明と同様に、あらゆる劣化又は悪影響があってはならない。LiFeS2セルに使用される代表的な塩の例としては、LiI(ヨウ化リチウム)、LiCF3SO3(リチウムトリフラート)、LiClO4(過塩素酸リチウム)、Li(CF3SO22N(リチウムイミド)、Li(CF3CF2SO22N、及びLi(CF3SO23Cが挙げられる。他の可能な候補は、リチウムビス(オキサラート)ボラート、臭化リチウム、ヘキサフルオロリン酸リチウム、及びヘキサフルオロヒ酸リチウムである。塩選択の2つの重要な態様は、それらがハウジング、電極、密封材料、又は溶媒と反応しないこと、及びバッテリが露出されると考えられる典型的に予期される条件(例えば、温度、電気的負荷など)の下で、それらが劣化又は電解質から沈殿しないことである。性能のある一定の態様を最大に引き出すために、1つよりも多い溶質を用いることは可能である。
【0036】
明白には、そうでないと言及されない限り、本明細書に説明する時の溶媒に対する溶質の濃度は、溶液のキログラム当たりの溶質のグラム分子(重量モル濃度)として最も良好に表現される。溶液の重量モル濃度は、温度及び圧力のような物理条件に関係なく一定に保たれ、それに対して一部の溶媒の容積は、典型的には温度と共に増大し、従って、重量モル濃度(すなわち、リットル当たりのグラム分子数)における低下がもたらされる。
【0037】
上述のように、Broussely特許は、より高い塩濃度がより良好な性能をもたらすことを教示している。具体的には、Brousselyによって考察された事実上全ての溶媒は、過塩素酸リチウム濃度が初期に高められる時に伝導性が増大することを示し、ジオキソランの場合には(Brousselyの図1及び図2における線C)、過塩素酸塩濃度と共に伝導性は増大を継続する。
【0038】
’491Webber特許における実施例は、この従来の理解を更に支持する。表4は、エーテル電解質内の個々のリチウムトリフラート及びヨウ化リチウムの重量モル濃度が低下する時にフラッシュ試験で必要とする回復時間が増大することを示している。同様に、表5においては、電解質の濃度及び容積の両方が低下する時により大きい電圧低下が起こっている。
【0039】
広範囲の温度にわたって機能するバッテリの機能に対してより大きい重要性が現在置かれている。この点に関して、LiFeS2バッテリは、特に魅力的であり、それは、他の広く利用されている消費者向けサイズのセル(例えば、アルカリ、カーボン亜鉛)と異なって、LiFeS2が、氷点をかなり下回る温度で容量を引き起こす機能を保持しているからである。換言すれば、これは、そのようなバッテリをリモートセンサ、航空機、軍用又は自動車の用途で使用する可能性を作り出す。
【0040】
ヨウ化リチウム及びリチウムトリフラートの塩が、Webberに付与された関連の米国特許公報第2006/0046154号に説明するように、改善した低温放電性能を提供するために組み合わせて使用される。そこに説明されているように、高いエーテル含量及び溶質としてLiI(単独溶質又はリチウムトリフラートとの組合せのいずれかで)を有するLiFeS2セルは、低温での高速放電で、放電の開始から直ぐに電圧の急速な低下を示す可能性がある場合がある。電圧は、このセルによって給電されているデバイスが作動しないことになるほど低下することがある。溶質としてLiIを除去し、リチウムトリフラートを単独の溶質とすることによりこの問題を解決することができるが、その時は、室温での高速及び高電力放電で作動電圧が過度に低くなると考えられる。
【0041】
従って、’154公報の提出に続き、低温でのLiI電解質の実行可能性が再試験された。判断基準としては(かつ1次バッテリの消費者の予想に沿って)、許容することができる電解質は、経済的であり、かつ市販及び工業的使用条件の全範囲、すなわち、−40℃から少なくとも60℃までにわたって機能をもたらすべきである。
【0042】
エーテル溶媒(例えば、DIOX、DMEなど)中のLiIの濃度を以前考えられていた0.5Mの閾値よりも低下させると、遜色ない室温での機能がそれでも提供され、より重要なことには、極低温での非常に大きくかつ意外な機能の改善が示されたことが全く予期せずに見出された。具体的には、65:35体積パーセントのDIOX:DMEエーテル配合物に溶解された0.75グラム分子が、現在のLiFeS2セルのために最も一般的であり、かつ最も考察された調製であるが、同じ溶媒中の0.4グラム分子及び0.35グラム分子LiIの濃度が、ドレーン速度に関係なく、−40℃で従来技術の容量の少なくとも2倍を引き起こしたことが見出された。ある速度では、この低濃度LiIは、飛躍的に良好な容量を提供した。更に、溶媒配合物は、それが少なくとも50体積パーセントのDIOX、より好ましくは65%のDIOXを含む場合が最も適正であったことが見出された。
【0043】
LiIの「標準的な」濃度を半分に低下させたことにより、室温での過度の容量の犠性なしに、顕著な利益を達成することができると考えられる。同時に、必要な溶質の量におけるこの低減は、特に、電解質がセルに提供されるより高価な原材料の1つである限り、製造業者がコスト節減を達成することも可能にする。
【0044】
更に別の予期しない結果として、この発見は、エーテルベースの溶媒配合物中のLiI溶質に制限されると思われる。過塩素酸リチウムのような一部の溶質は、−20℃より低い温度ではいずれの有意なレベルの容量も引き起こすことができなかった。リチウムトリフラートのような他の溶質は、従来技術の教示に従って挙動し、すなわち、より高い濃度はより高い容量を引き起こした。最後に、リチウムイミドのような溶質は、提供された溶質の濃度によって実質的に影響されなかったが、イミド溶質は、開回路電圧(OCV)に関して容認することができる長期安定性を提供せず、かつヨウ化リチウムとの比較において、リチウムイミドは有意により高価である。
【0045】
LiIの0.4グラム分子又はそれ未満の濃度が、本発明に好ましい濃度であると考察され、一方、エーテルの最も好ましい配合物は、約65体積%DIOX及び約35体積%DMEであり、任意的に提供された僅かなレベル(すなわち、<0.5体積%)のDMIを伴う。上記で特定されたもののような他のエーテル、及び/又は更に別の共溶媒を使用することもできる。同様に、エーテルの体積パーセントは、変えることができる。特に、10−90体積%DIOX及び/又はDIOXベースのエーテルは、10−90体積%の1つ又はそれよりも多くのDME、DMP、DMEベースのエーテルなどのような非環式エーテルと組み合わせることができる。以下で更に詳述するように、アノード及びカソードも変えることができる。
【0046】
他のセル構成要素
セル容器は、多くの場合に金属缶であり、図1での缶のように密封底部を有する。缶材料は、セル内に使用される活物質と電解質にある程度依存することになる。一般的な材料の種類は鋼である。例えば、缶は鋼で製造され、缶の外側を腐食から保護するために少なくとも外側がニッケルでメッキされる。メッキの種類は、様々な程度の耐食性を提供し又は望ましい外観を提供するように変えることができる。鋼の種類は、容器が形成される方式にある程度依存することになる。絞り缶のためには、鋼は、拡散焼鈍された低炭素のアルミニウムキルド「SAE 1006」又は同等の鋼とすることができ、「ASTM 9」から「ASTM 11」の粒径及び等軸から僅かに細長い粒形を有する。ステンレス鋼のような他の鋼を特別な要求を満たすために使用することができる。例えば、缶がカソードと電気的に接触している場合には、ステンレス鋼がカソード及び電解質による腐食に対する改善した耐性のために使用することができる。
【0047】
セルカバーは、金属とすることができる。ニッケルメッキ鋼を使用することができるが、特にカバーがカソードに電気的に接触している時は、ステンレス鋼が多くの場合に望ましい。カバー形状の複雑さも材料選択におけるファクタであろう。セルカバーは、厚い平坦円板のような単純な形状を有することができ、又はそれは、図1に示すカバーのようなより複雑な形状を有することができる。カバーが図1におけるものと類似した複雑な形状を有する時に、「ASTM 8−9」粒径を有する304型軟焼鈍ステンレス鋼を使用することができ、望ましい耐食性及び金属成形の容易さを提供する。成形されたカバーは、例えば、ニッケルでメッキすることができる。
【0048】
端子カバーは、周囲環境内の水による腐食に対する良好な耐性、良好な導電性、及び消費者向けバッテリ上に見える時の見栄えのする外観を有するべきである。端子カバーは、多くの場合、ニッケルメッキされた冷間圧延鋼から製造されるか又はカバーが成形された後にニッケルメッキされる鋼から製造される。端子が圧力除去通気の上に設けられる時に、端子カバーは、セルの通気を容易にするために1つ又はそれよりも多くの孔を一般的に有する。
【0049】
ガスケットは、望ましい密封特性を提供するあらゆる適切な熱可塑性材料で製造される。材料選択は、電解質組成にある程度依存する。適切な材料の例としては、ポリプロピレン、ポリフェニレンスルフィド、テトラフルオリド−ペルフルオロアルキルビニルエーテル・コポリマー、ポリブチレンテレフタレート、及びその組合せが挙げられる。好ましいガスケット材料としては、ポリプロピレン(例えば、米国デラウェア州ウィルミントン所在の「Basell Polyolefins」が提供するPRO−FAX(登録商標)6524)、及びポリフェニレンスルフィド(例えば、米国テキサス州ザウッドランズ所在の「Chevron Phillips」が提供するXTEL(登録商標)XE3035又はXE5030)が挙げられる。少量の他のポリマー、強化のための無機充填剤、及び/又は有機化合物もガスケットの主剤に添加することができる。
【0050】
ガスケットは、最善の密封を提供するためにシーラントで被覆することができる。エチレンプロピレンジエンターポリマー(EPDM)が適切なシーラント材料であるが、他の適切な材料を使用することもできる。
【0051】
ボール通気が使用される時に、通気ブッシングは高温での(例えば、75℃)低温フローに抵抗性のある熱可塑性材料で製造される。熱可塑性材料は、エチレン−テトラフルオロエチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンスルフィド、ポリフタルアミド、ペルフルオロ−アルコキシルカン、フッ素化ペルフルオロエチレン・ポリプロピレン及びポリエーテルエーテルケトンのような主剤を含む。エチレン−テトラフルオロエチレンコポリマー(ETFE)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、及びポリフタルアミドが好ましい。主剤は、高温での望ましい密封及び通気特性を有する通気ブッシングを提供するために熱安定化充填剤の添加によって改質することができる。ブッシングは、熱可塑性材料から注入成形することができる。TEFZEL(登録商標)HT2004(25重量パーセントの細断ガラス充填剤を含むFTFE樹脂)、ポリフタルアミド(例えば、テキサス州ヒューストン所在の「Solvay Advanced Polymers」が提供するAMODEL(登録商標)「ET 10011 NT)」、及びポリフェニレンスルフィド(例えば、米国テキサス州ザウッドランズ所在の「Chevron Phillips」が提供するXTEL(登録商標)XE3035又はXE5030)が、好ましい熱可塑性ブッシング材料である。
【0052】
通気ボール自体は、セル内容物と接触して安定であって望ましい密封及び通気特性を提供するあらゆる適切な材料で製造することができる。ガラス又はステンレス鋼のような金属を使用することができる。上述の通気ボールアセンブリに代えてホイル通気が利用される場合は(例えば、米国特許出願公報第2005/0244706号に従って)、上記で参照した材料を更に置換することができる。
【0053】
電極
アノードは、リチウム金属のストリップを含み、リチウムホイルとも称される。リチウムの組成は、変えることができるが、バッテリ等級のリチウムに対しては、純度は常に高い。リチウムは、望ましいセルの電気性能又は取扱いの容易さを提供するために、アルミニウムのような他の金属との合金とすることができるが、それにも関わらず、あらゆる合金内のリチウムの量は最大化すべきであり、かつ高温適用(すなわち、純リチウムの融点を超える)のように設計された合金は意図されない。適切なバッテリ等級のリチウム−アルミニウムホイルは、0.5重量パーセントのアルミニウムを含有し、米国ノースカロライナ州キングスマウンテン所在の「Chemetall Foote Corp.」から市販されている。
【0054】
共アノード、合金材料、又は別々の単一電極のいずれかとしてナトリウム、カリウム、亜鉛、マグネシウム、及びアルミニウムが含まれる、他のアノード材料も可能性を有する。結局、適切なアノード材料の選択は、そのアノードとLiI、カソード、及び/又は選択されたエーテルとの適合性に依存する。
【0055】
図1のセルなどでは、リチウムが高い導電率を有するので、別々の集電体(すなわち、その上にアノードが溶接又は被覆される金属ホイル又はアノードの長さに沿って延びる導電性ストリップのような導電性部材)は、アノードに対して必要としない。そのような集電体を用いないことにより、より多くの空間が容器内で活物質のような他の成分のために利用可能である。アノード集電体は、銅及び/又はそれらがセルの他の内部成分に露出された時に安定である限り他の高伝導性金属で製造することができる。
【0056】
電極の各々とハウジングに近接し又はこれと一体化した反対端子との間には電気接続を維持すべきである。電気リード36は、セル端子の一方へのアノード又は負極を接続する薄い金属ストリップで製造することができる(図1に示されているFR6の場合における缶)。アノードがこうしたリードを含む時に、リードはジェリーロール電極アセンブリの縦軸に沿って実質的に向けられ、かつアノードの幅に沿って部分的に延びている。これは、リードの端部をアノードの一部分内に埋め込むか又はリードの端部のような一部分をリチウムホイルの表面上に単にプレスすることによって達成される。リチウム又はリチウム合金は粘着性を有し、リードと電極の間の一般的に少なくとも僅かな十分な圧力又は接触が構成要素を互いに溶接する。負極には、ジェリーロール構造に巻かれる前にリードを設けることができる。リードは、適切な溶接によって接続することができる。
【0057】
リード36を構成する金属ストリップは、リードを通過して流れる電流の十分な伝達を可能にし、セルの耐用期間への影響が極めて少ないか又はないようにするために、十分に低い抵抗率を有するニッケル又はニッケルメッキ鋼で多くの場合に製造され、15mΩ/cm未満及び好ましくは4.5mΩ/cm未満を有するリードが理想的である。好ましい材料は、304ステンレス鋼である。他の適切な負極リード材料の例としては、以下に限定されるものではないが、銅、例えば、銅合金7025(約3%のニッケル、約0.65%のシリコン、及び0.15%のマグネシウムを含み、残りが銅及び少量の不純物である銅、ニッケル合金)、及び銅合金110である銅合金、及びステンレス鋼が挙げられる。材料は、この非水電解質が添加された後であってもセル内で安定した状態を保たなくてはならない。一般的に回避すべきであるが比較的少量の不純物として存在する可能な金属の例は、アルミニウム、鉄及び亜鉛である。
【0058】
カソードは、集電体と1つ又はそれよりも多くの電気化学的活物質を典型的に微粒子形態で含む混合物とを含むストリップの形態である。二硫化鉄が好ましい活物質であるが、本発明は、LiIに対して安定であり、かつ2.8V未満である対Li電位を有する大部分のカソード材料に適用することができ、それらにはCuO、CuO2、及びビスマスの全ての酸化物(例えば、Bi23など)が含まれる。特に、MnO2は不適切であり、その理由は、それがLiIに比較して高すぎる電位を有するからである。
【0059】
LiFeS2セルにおいて、活物質は、50重量パーセントを超えるFeS2を含む。カソードは、望ましいセル電気特性及び放電特性に基づいて1つ又はそれよりも多くの上述の付加活物質を含有することもできる。より好ましくは、LiFeS2セルカソードのための活物質は、少なくとも95重量パーセントのFeS2を含み、かつFeS2が単独のカソード活物質であるのが最も好ましい。少なくとも95重量パーセントの純度レベルを有するFeS2は、米国マサチューセッツ州ノースグラフトン所在の「Washington Mills」、オーストリア国ウィーン所在の「Chemical GmbH」、及び米国バージニア州ディルウィン所在の「Kyanite Mining Corp.」から市販されている。カソードのより広範囲の説明、その調製、及びこのカソードを製造する方法を以下に提供する。
【0060】
集電体は、カソード表面内に配置されるか又はその中に組み込むことができ、又はカソード混合物を薄い金属ストリップの一面又は両面上に被覆することができる。アルミニウムが、通例使用される材料である。集電体は、カソード混合物を包含するカソードの部分を超えて延びることができる。集電体のこの延長部分は、正端子に接続した電気リードに接触するための有利な領域を提供することができる。集電体の延長部分の容積を最小に保つことは、活物質及び電解質のために利用することができるセルの内部容積をそれに応じて大きくするのに望ましい。
【0061】
カソードは、セルの正端子に電気的に接続される。これは、多くの場合に図1に示すように薄い金属ストリップ又はバネの形態にある電気リードを用いて達成されるが、溶接接続も可能である。リードは、多くの場合、ニッケルメッキされたステンレス鋼で製造される。更に別の実施形態は、2007年11月29日又はそれ以降に公開されるはずである米国特許出願出願番号第11/439,835号、及び/又は2008年10月16日又はそれ以降に公開されるはずである米国特許出願出願番号第11/787,436号に開示されたものに類似した接続を利用することができ、これらの両方は本出願の出願人に譲渡され、本明細書に引用によって組込まれている。特に、セル設計がこの代替の電気接続/電流制限デバイスを利用することができる範囲でPTCの使用を回避することができる。標準PTCのような任意的な電流制限デバイスが、セルの暴走放電/加熱を防止するための安全機構として利用される場合には、適切なPTCが米国カリフォルニア州メンロパーク所在の「Tyco Electronics」によって販売されている。他の代替品を使用することもできる。
【0062】
セパレータ
セパレータは、イオン透過性で電気非伝導性である薄い微孔性膜である。それは、セパレータの孔隙内部に少なくとも何らかの電解質を保持することができる。セパレータは、アノードとカソードとの隣接する表面の間に配置され、この電極を互いから電気的に分離する。セパレータの一部分は、内部短絡を防止するためにセル端子と電気的に接触する他の構成要素も絶縁することができる。セパレータの縁部は、多くの場合に少なくとも1つの電極の縁部から延びており、アノードとカソードをそれらが完全に互いに整列してなくても電気的に接触しないことを保証する。しかし、電極を超えて延びるセパレータの量を最小にすることが望ましい。
【0063】
良好な高電力放電性能を提供するために、1994年3月1日に付与され、引用により本明細書に組込まれる米国特許第5,290,414号に開示された特性(少なくとも0.005μmの最小寸法及び5μmよりも大きくない最大寸法の直径を有する孔隙、30から70パーセントの範囲の空隙率、2から15オーム−cm2の面積比抵抗、及び2.5未満の屈曲度)をセパレータが有することが望ましい。
【0064】
適切なセパレータ材料は、セル製造工程、並びにセル放電中にセパレータに加わる圧力に対して内部短絡を引き起こす可能な裂け、割れ、孔、又は他の間隙の発現なしに持ち応えるほど十分に強くなければならない。セル内の全体のセパレータ容積をできるだけ小さくするために、セパレータは、できるだけ薄くなければならず、好ましくは25μm未満の厚み、より好ましくは20μm又は16μmのような22μmよりも大きくない厚みである。好ましくは少なくとも800、より好ましくは少なくとも1000キログラム力/平方センチメートル(kgf/cm2)である高い引張応力が望ましい。FR6型セルに対しては、好ましい引張応力は、縦方向において少なくとも1500kgf/cm2、横方向において少なくとも1200kgf/cm2であり、FR03型セルに対しては、好ましい引張強度は、縦及び横方向においてそれぞれ1300及び1000kgf/cm2である。好ましくは、平均絶縁破壊電圧は、少なくとも2000ボルト、より好ましくは少なくとも2200ボルト、最も好ましくは2400ボルトであることになる。好ましい最大有効孔径は、0.08μmから0.40μm、より好ましくは0.20μmよりも大きくない。好ましくは、BET比表面積は、40m2/gよりも大きくなく、より好ましくは少なくとも15m2/g、最も好ましくは少なくとも25m2/gであることになる。好ましくは、面積比抵抗は、4.3オーム−cm2、より好ましくは4.0オーム−cm2、最も好ましくは3.5オーム−cm2である。これらの特性は、引用により本明細書に組込まれる米国特許公報第2005/0112462号により詳細に説明されている。
【0065】
リチウムバッテリに使用されるセパレータ膜は、多くの場合、ポリプロピレン、ポリエチレン、又は超高分子量ポリエチレンで製造され、ポリエチレンが好ましい。セパレータは、二軸配向微孔性膜の単層とすることができ、又は2つ又はそれよりも多くの層を直交方向における望ましい引張強度を提供するように一緒に張り合わせることができる。コストをできるだけ小さくするためには単層が好ましい。適切な単層二軸配向ポリエチレン微孔性セパレータは、米国ニューヨーク州マセドニア所在の「EXXON Mobile Chemical Co.」から利用可能な「Tonen Chemical Corp.」から市販されている。「Setela F20DHI」等級セパレータは、20μmの公称厚みを有し、「Setela 16MMS」等級セパレータは、20μmの公称厚みを有する。類似の特性を有する適切なセパレータは、米国オリエンタル州レバノン所在の「Entek Membrances」からも市販されている。
【0066】
セル構成及び製造
アノード、カソード、及びセパレータストリップは、電極アセンブリ内で互いに結合される。電極アセンブリは、図1に示すような螺旋巻設計とすることができ、カソード、セパレータ、アノード、及びセパレータの交互のストリップをマンドレルの周りに巻くことによって製造され、巻き付けが終了した時に、マンドレルは、電極アセンブリから引き抜かれる。セパレータの少なくとも1つの層及び/又は電気絶縁フィルム(例えば、ポリプロピレン)の少なくとも1つの層が、電極アセンブリの周りに全体的に巻き付けられる。これは、いくつかの目的に役立ち、それは、アセンブリが互いに保持されることを助け、かつアセンブリの幅又は直径を望ましい寸法に調節するために使用することができる。セパレータ又は他の外側フィルム層の最も外側の端部は、一片の接着テープを用いるか又はヒートシールによって押え付けることができる。図1に示すように、アノードを最も外側の電極とすることができ、又はカソードを最も外側の電極とすることができる。いずれの電極もセル容器と電気的に接触することができるが、最も外側の電極が、缶と電気的に接触することを意図されたものと同じ電極である時は、最も外側の電極と容器の側壁との間の内部短絡を回避することができる。
【0067】
セルの缶は、あらゆる適切な処理を用いて閉鎖かつ密封することができる。この処理としては、以下に制限されるものではないが、圧着、リドロー、コレット、及びその組合せが挙げられる。例えば、図1のセルに対しては、電極と誘電体コーンが挿入された後、缶内にビードが形成され、ガスケット及びカバーアセンブリ(セルカバー、接触バネ、及び通気ブッシング)が、缶の開放端内に置かれる。ガスケット及びカバーアセンブリがビードに向けて下方に押される時に、セルは、ビードで支持される。ビードの上の缶の上部の直径は、セグメント化コレットを用いて縮小され、ガスケット及びカバーアセンブリがセル内の所定の位置に保持される。通気ブッシング及びカバー内の開口を通過して電解質がセル内に分注された後、通気ボールがブッシング内に挿入されセルカバー内の開口が密封される。PTCデバイス及び端子カバーがセルカバーを覆ってセルの上に置かれ、缶の先端が圧着ダイを用いて内側に曲げられ、ガスケット、カバーアセンブリ、PTCデバイス、及び端子カバーが保持され、ガスケットによる缶の開放端の密封が終わる。
【0068】
カソードに関しては、カソードは、一般的に、18から20μmの厚みを有するアルミニウムホイルである金属ホイル集電体上に、コーティングの加工性、伝導性、及び全体の効率を均衡させるように注意部深く選択すべきであるいくつかの材料を含有する混合物として被覆される。このコーティングは、主として二硫化鉄(及びその不純物)と、微粒子材料を互いに保持してこの混合物を集電体に付加させるのに一般的に使用される結合剤と、導体の量が活物質及び結合剤の導電率、集電体上のこの混合物の厚み及び集電体設計に依存するが、この混合物に改善した導電性を提供するために添加される金属、グラファイト、及びカーボンブラック粉末のような1つ又はそれよりも多くの伝導性材料と、コーティング方法、使用される溶媒、及び/又は混合方法自体に依存する様々な加工及び流動助剤とから構成される。
【0069】
以下は、カソード混合調製に利用することができる代表的な材料である:パイライト(少なくとも95%純度)、導体(イリノイ州シカゴ所在の「Superior Graphite」が提供する「Pure Black 205−110」及び/又はオハイオ州ウエストレーク所在のTimcalが提供するMX15)、及び結合剤/加工助剤(テキサス州ヒューストン所在の「Kraton Polymers」が提供するg1651のようなスチレン−エチレン/ブチレン−スチレン(SEBS)ブロックコポリマー、及びオランダ国ヘーレンフェーンからの「Efka 6950」)。少量の不純物は、上述の材料のいずれにも当然存在する場合があるが、カソード内部に存在するFeS2の量をできるだけ多くするために入手可能である最高純度のパイライト源を利用するように注意すべきである。
【0070】
セパレータに穴をあける危険性をできるだけ小さくするために、小さい粒径を有するカソード材料を使用することも望ましい。例えば、好ましくは、FeS2は、使用前に230メッシュ(62μm)スクリーンを通過して篩分され、又はFeS2は、米国特許公報第2005/233214号に説明するように粉砕又は加工することができ、この公報は引用により本明細書に組込まれる。他のカソード混合組成物は、化学的適合性/反応性に向けた観点、かつ類似の粒径に基づく機械的破損問題を回避するように注意深く選択すべきである。
【0071】
カソード混合物は、3ロール反転、コンマコーティング、又はスロットダイコーティングのような多くの適切な処理を用いてホイル集電体に付加される。2008年1月31日又はそれ以降に公開されるはずである米国特許出願出願番号第11/493,314号に説明されたコーティングの方法を使用することができ、この出願は引用により組込まれる。FeS2カソードを製造する1つの方法は、高揮発性有機溶媒(例えば、トリクロロエチレン)内の活物質混合物材料のスラリをアルミニウムシートの両側の上に圧延被覆し、コーティングを乾燥して溶媒を除去し、被覆されたホイルをカレンダー加工してコーティングを圧密化し、被覆されたホイルを望ましい幅で縦に切り、かつ縦に切られたカソード材料のストリップを切断することである。揮発性溶媒の使用は、こうした溶媒の回収効率を最大にするが、上述のカソード混合物を圧延被覆するために水性組成物を含む他の溶媒を利用することも可能である。
【0072】
あらゆる不要な溶媒を除去するための乾燥の後又はそれと同時に、得られたカソードストリップは、カレンダリングなどによって緻密化され、正極全体が更に圧密化される。このストリップが、次に、セパレータ及び類似(しかし、必ずしも同じとは限らない)寸法のアノードと共に螺旋状に巻かれてジェリーロール電極アセンブリを形成することになる事実を考慮すれば、この緻密化は、ジェリーロール電極アセンブリ内の電気化学物質の装填量を最大にする。しかし、ある程度の内部カソード空隙は、放電時の二硫化鉄の膨張と有機電解質による二硫化鉄の濡れとを可能にするために、並びにコーティングの不要な延伸及び/又は層間剥離を回避するために必要であるので、カソードは、過度に緻密化することはできない。
【実施例1】
【0073】
一連のLiFeS2セルが、図1に描かれた設計及び上述の好ましい材料に従って構成された。ポリプロピレンガスケットが使用された。溶媒配合物は、65体積%DIOX、35体積%DME、及び0.2体積%DMIであった。以下の表及び更に別の実施例に説明するように、これらのセルに提供された溶質の濃度及び組成のみが変更された。
【0074】
4つの異なる溶質:ヨウ化リチウム、リチウムイミド、過塩素酸リチウム、リチウムトリフラートが考察された。各溶質に関するセルロットが、上述で示された基準を用いた4つの異なる濃度で配合された。次に、これらのセルは、以下の表1に示すような様々な異なる温度で放電された。LiClO4を使用するセルは、21℃で試験されなかったが、典型的にこのようなセルは、その温度でLiIを用いる同等な電解質に対して同等の性能を与える。
【0075】
(表1)

【0076】
上述のデータは、過塩素酸リチウム及びリチウムトリフラートが温度の全範囲にわたって十分な機能を提供しないことを示している。考察されたヨウ化リチウム濃度の範囲内でも、最も低い重量モル濃度の電解質のみが、周囲温度での性能の有意な劣化のない一貫した性能を明らかにしている。リチウムイミドは、この範囲にわたって容認することができる機能を提供するように見られる一方、提供された溶質の濃度に関していずれの確定した傾向を示さない(場合によっては室温では例外であり、その場合は、より高い濃度を提供するという僅かな利点が存在する)。イミドのコストも、他の溶質との比較においてイミドを不利にする。
【実施例2】
【0077】
実施例1の結果を受けて、長期保管及び高温での保管に耐える機能を試験するために、リチウムイミド電解質がヨウ化リチウムと比較された。高温での保存は、室温での長期保存の影響を加速し、かつ模擬すると考えられる。十分な長期保存を提供するために、特に、セルは、許容されるフラッシュアンペア数を維持しながら、そのインピーダンス及びOCVのごく僅かの上昇のみを示さなければならない。
【0078】
セルは、上述の実施例1に従って製造されたが、長期保存に関する実現性が既に公知であり/確立されているヨウ化リチウム(ヨウ化リチウムを用いたFR6セルは、少なくとも10−15年の保管寿命を有する)に対して更に評価されるリチウムイミド電解質調製に関して重点が置かれた。この実施例2のセルは、次に、60℃で6週間保存され、その間、以下の表2で示すようにOCV、インピーダンス、及びフラッシュアンペア数が定期的に検査された。
【0079】
(表2)

【0080】
考察された全てのロットは、長期保存の後に何らかの悪影響を示すが、イミドロットの事実上全ては、濃度に関わらず、ヨウ化物のものと比較して有意に悪い性能を示している。従って、リチウムイミドは、消費者の期待を満たすのに十分な長期保存機能を提供しないと考えられる。
【0081】
比較において、低い重量モル濃度LiI電解質に関する長期保存データが表3に示されている。これらのデータは、別々の実験で生成されているが、比較の内容は、0.75mLiI電極の「対照」ロットによって提供され、しかし、供給源の制限が4週間を超える保存時間でこの実験を行うことを妨げたことに注意されたい。それに調和して、対照ロットは、表2に比較して表3においては僅かに悪く機能し、0.35mヨウ化物ロットの性能は、同様に低減されている場合がある。より注意すべきことには、低い重量モル濃度ロットに関するフラッシュアンペア数が保存時間に伴って低下しているとは見られず、かつインピーダンスの増大は、実施例からの全てのイミドに関する同じ期間にわたるこの増大に比較して非常に小さかった。
【0082】
(表3)

【実施例3】
【0083】
低温で達成される利点と周囲温度で提供される機能のレベルとの両方を確認するための温度の範囲にわたって、低濃度のヨウ化リチウムの更に別の研究が行われた。従って、セルが上述の実施例1に従って0.40グラム分子、0.50グラム分子、及び0.75グラム分子LiI濃度で製造され、図2A、図2B、図2C、及び図2Dにおいて様々な温度に関する結果が示されている。ここで注意すべきは、図Dにおける「DSC」は、断続パルスドレーン速度試験であるANSIデジタルスチールカメラ試験を意味することである。図2A、図2B、及び図2Cにおける「特性試験」は、セルが所定のカットオフ電圧まで漸進的に放電され、休止期間の後でより低いドレーン速度で次に再試験される順序的連続ドレーン速度試験を意味する。図2A、図2B、図2C、及び図2Dの各々において、「対照」電解質は、0.75mLiI調製のものであり、これらの図における事実上全ての電解質は、実施例1の配合物と同一の溶媒配合物を使用した。
【0084】
ここで注意すべきは、図2A及び図2Bにおける室温(21℃)及び−20℃のデータは、全ての電解質に対してほぼ類似しているが、より高いドレーン速度(すなわち、1000mA連続及びDSC)では、より高い濃度の電解質から僅かに良好な機能をもたらすことである。しかし、このより高温での僅かに良好な機能は、図2Cに示されている−40℃で試験された全てのドレーン速度での低グラム分子電解質の大幅に優れた性能に比較して見劣りする。図2Dは、ある一定の温度範囲にわたるDSC試験に関する電解質の比較性能を単に示すものである。
【実施例4】
【0085】
セルの別のロットが、同一の特性を有するが、電解質配合物と関係なくより多くの容量を引き起こすように設計された電極アセンブリも含んで構成された。ここで、LiI電解質は、0.75m、0.5m、及び0.35mで提供された。これらのセルは、2つの別々の温度で連続200mAの割合でドレーン試験された。0.75mセルは、21℃での1Vカットまで2,933mAhを提供したが、−40℃では1Vカットまで203mAhに過ぎなかった。0.5mセルは、2,917mAh及び617mAh、並びに0.35mセルは、2,847mAh及び1,343mAhをそれぞれ作り出した。従って、本発明による電解質は、周囲温度での従来技術の明らかにされた容量の97%より多くを提供し、一方、従来技術の電解質が低温性能のために特別に製造された電極と併せて使用された時であっても、低温での従来技術を超える300%から600%の改善をもたらした。
【0086】
データの全てを全体として考察すると、より低濃度の電解質は、従来技術調製のものとほぼ同じレベルで機能するが、全く意外にも、低温かつより高いドレーン速度では、これらの低濃度調製は、予期した機能レベルを超えて良好に機能する。
【実施例5】
【0087】
本発明の低濃度(0.35m)ヨウ化リチウム電解質が、実施例1で説明したセル設計及び構成に組込まれ、対照電解質(0.75m)も同様にされた。次に、未放電セルが、LiFeS2バッテリ分野での安全性のための非常に重要な測定値である衝撃及び破壊試験中の温度上昇に対してモニタされた。各ロットからの10個のバッテリが、衝撃での温度上昇がモニタされ、対照に対する72.6℃と比べて、低濃度電解質セルは、平均して57.2℃の最大高温となった。各ロットからの20個のバッテリが、平均的な低濃度セルが26.5℃、対照ロットが38.9℃である高温に対して破壊試験でモニタされた。
【0088】
本発明の特徴及びその利点は、特に本明細書に提供した実施例、図面、表、及び他の情報と、本発明を更に良好に理解するのに必要であって本明細書にその範囲で組み込まれた上述のあらゆる特許文献とを参照して本発明を実施する人々によって更に良く認められるであろう。同様に、開示された概念の意図を逸脱することなく様々な修正及び改良を本発明に対して行うことができることは、本発明の実施者、並びに当業者によって理解されるであろう。与えられる保護の範囲は、特許請求の範囲、並びに法的に許容された解釈の幅によって判断されるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リチウム又はリチウム合金で基本的に構成されたアノードと、
集電体上に被覆された二硫化鉄を含むカソードと、
前記アノードと前記カソードの間に配置され、該アノード、該カソード、及びセパレータが螺旋状に巻かれてジェリーロール電極アセンブリになるようなセパレータと、
少なくとも50体積パーセントのジオキソランと少なくとも1つの非環式エーテルとで基本的に構成される溶媒配合物に溶解された0.5グラム分子又はそれ未満のヨウ化リチウムを有する電解質と、
を含み、
同一に構成されたセルが約21℃の温度の同じ試験で与える容量の少なくとも30%を約−40℃の温度のC15連続放電速度で送出する、
ことを特徴とする電気化学セル。
【請求項2】
前記電解質は、約0.35グラム分子又はそれ未満の溶質を有することを特徴とする請求項1に記載の電気化学セル。
【請求項3】
前記非環式エーテルは、1,3−ジオキソラン、1,3−ジオキソランベースのエーテル、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジメトキシエタンベースのエーテル、ギ酸メチル、γ−ブチロラクトン、スルホラン、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N、N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルプロピレン尿素、1,1,3,3−テトラメチル尿素、β−アミノエノン、β−アミノケトン、メチルテトラヒドロフルフリルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、2−メトキシテトラヒドロフラン、2,5−メトキシテトラヒドロフラン、3,5−ジメチルイソキサゾール、及び1,2−ジメトキシプロパンから構成される群から選択された1つ又はそれよりも多くの有機溶媒から基本的に構成されることを特徴とする請求項2に記載の電気化学セル。
【請求項4】
前記溶媒配合物は、60から70体積パーセントのジオキソランを有することを特徴とする請求項1に記載の電気化学セル。
【請求項5】
リチウム、ナトリウム、カリウム、亜鉛、マグネシウム、アルミニウム、及びそれらの合金から構成される群から選択されたアノードと、
ヨウ化リチウム電解質に対して安定であり、かつ2.8V未満又はそれに等しい対リチウム電位を有するカソード材料と、
を含み、
前記ヨウ化リチウム電解質は、1つ又はそれよりも多くの有機溶媒に溶解された0.4グラム分子又はそれ未満のヨウ化リチウムから基本的に構成され、該有機溶媒は、1,3−ジオキソラン、1,3−ジオキソランベースのエーテル、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジメトキシエタンベースのエーテル、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、1,2−ブチレンカーボネート、2,3−ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、ギ酸メチル、γ−ブチロラクトン、スルホラン、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N、N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルプロピレン尿素、1,1,3,3−テトラメチル尿素、β−アミノエノン、β−アミノケトン、メチルテトラヒドロフルフリルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、2−メトキシテトラヒドロフラン、2,5−メトキシテトラヒドロフラン、3,5−ジメチルイソキサゾール、及び1,2−ジメトキシプロパンから構成される群から選択される、
ことを特徴とする電気化学セル。
【請求項6】
前記カソード材料は、FeS2、FeS、CuO、Cu22、及びビスマスの酸化物から構成される群から選択された少なくとも1つであることを特徴とする請求項5に記載の電気化学セル。
【請求項7】
リチウム又はリチウム合金で基本的に構成されたアノードと、
集電体上に被覆された二硫化鉄を含むカソードと、
前記アノードと前記カソードの間に配置され、該アノード、該カソード、及びセパレータが螺旋状に巻かれてジェリーロール電極アセンブリになるようなセパレータと、
50から90体積パーセントのDIOXと、DME、DMP、THF、及びDMIから構成される群から選択された少なくとも1つを含む10から50体積パーセントの有機溶媒配合物とから基本的に構成された混合物に溶解された0.4グラム分子又はそれ未満のヨウ化リチウムを有する電解質と、
を含み、
同一に構成されたセルが約21℃の温度の同じ試験で与える容量の少なくとも30%を約−40℃の温度のC15連続放電速度で送出する、
ことを特徴とする電気化学セル。
【請求項8】
前記混合物は、60から70体積パーセントのDIOXを有することを特徴とする請求項7に記載の電気化学セル。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【公表番号】特表2011−528167(P2011−528167A)
【公表日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−518712(P2011−518712)
【出願日】平成21年7月10日(2009.7.10)
【国際出願番号】PCT/US2009/004031
【国際公開番号】WO2010/008510
【国際公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【出願人】(397043422)エバレデイ バツテリ カンパニー インコーポレーテツド (123)
【Fターム(参考)】