説明

オキシメチレンポリマーの製造方法及びその目的に適した装置

オキシメチレンポリマーの製造のための工程及び装置が記載されている。この方法は、好ましくは気密性のニーダー又は押出し機で、適当な場合には、ホルムアルデヒドのアセタール及びカチオン重合のための開始剤と一緒に環状アセタールの存在下で、オキシメチレン基を形成するモノマーの重合を包含する。ここで、重合の温度プロファイルは、沈殿ポリマーの効果によって最初は不均一である重合混合物が重合の終了時に均一相に変換されるように設計される。ポリマーが液状で存在する均一相は不活性化剤の添加を経て安定化される。
揮発性成分を除去した後、オキシメチレンポリマーは高耐熱性及び良好な機械特性を得られる。
オキシメチレンポリマーは、低エネルギーで製造でき、そしてそれらの特徴は重合中の温度プロファイルの指示を経て、要求通りに調整される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は改良されたオキシメチレンポリマーの製造方法、及びまたその目的に適した装置に関する。
【0002】
ポリオキシメチレンの製造は、それ自体は知られている。それは無水ホルムアルデヒドのアニオン重合を経て初めて行われ得、そして、次にホルムアルデヒド又はホルムアルデヒドの環状オリゴマー、主にトリオキサンのカチオン重合を経て行われ得る。ここで、重合はバルク(即ち、溶媒なしで)、又は沈殿重合の形の溶媒、又は加圧下で均一層における融液中のいずれかで行われ得る(例えば、独国特許出願公開第3147309A1号明細書).
【0003】
カチオン性開始剤を使用した重合の不利は、分子量低下及びホルメート(formate)末端基の形成を導く、ヒドリド移動のような副反応にもまた触媒作用を及ぼすことである(例えば、ペンゼックら、カチオン開環重合、Advances in Polymer Science、第 68/69号、122ページ参照)。従って、重合後、反応混合物は急激に及び完全に失活された。このことは、典型的には、不活性化剤、例えば塩基を重合混合物に添加することを経て達成される。
【0004】
この添加は水相又は有機溶媒−主に高温で−中において、それに続くろ過、そのご洗浄及び乾燥を伴って行われ得る。然しながら、失活は融液中でも行われ(例えば、独国出願公開3,703,790A号公報参照)、及びここで得られた固体相ポリマーはまず沈殿し、残存モノマーはこの工程の間に取り除かれ、及ぶ粗ポリマーは溶融し、及び得られた融液は不活性化剤(例えば、アミン又はホスフィン)と混合される。
【0005】
欧州特許出願公開第673,955Aは、粗ポリマーが揮発性塩基を含む蒸気で処理される工程を記載している。融液中で、アルカリ金属酸化物又はアルカリ土類金属を使用した失活もまた記載されている(これに関連する、特開2005−059255号公報参照)。カチオン重合沈殿のために記載されたこの工程の全てにおいて、粗ポリマーは、まず固体形態で得られ、粉砕され、適当な場合加熱され、続いて不活性化剤が混ぜられる。従って、これら工程の全ては、比較的複雑である。
【0006】
欧州特許出願公開第999,244号明細書は、低濃度で強プロトン酸を含む開始剤が使用された場合、独立した不活性化剤での処理を除くことを可能にすることを述べている。次に、一段階で、安定化、揮発分の除去及び配合段階(=安定剤、助剤、充填材、補強材、及び/又は着色剤の添加)を行うことが可能になる。上で述べたように、一般的に塩基である安定化剤はまた、失活作用の役割をする。然しながら繰り返すが、固体相ポリマーは第一段階で製造され、次いで混合され、溶融され、及び上述した添加剤を用いてペレット化される。この工程はコポリマー、特に高含量の安定化コモノマーを有するコポリマーに制限される。
【0007】
独国出願公開3,147,309には、加圧下の均一相において融液中で製造されるオキシメチレンポリマーにおける統合的な方法が記載されている。この方法において、モノマーの反応が完了するため、比較的高温で行われる。然しながら、この温度によって生じた結果は、副反応が、物質変換に対する要求される滞留時間において顕著になるというものである。この結果は、低分子量及び、有意に低収率である、より不安定な末端基であり、及び/又は特に低コモノマー含有したオキシメチレンホモ−及びコ−ポリマーの場合に、要求される低融液粘度を達成することを不可能にする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、高い安定性のオキシメチレンポリマー(以後、“POM”とも言う)の、単純な手段を使用して、低エネルギー費で行われ得る製造方法、及び低融液粘度のそれらを含む低コモノマー含有オキシメチレンホモ−及びコ−ポリマーの合成を可能にする製造方法を提供することである。
【0009】
本発明は、CH2−O−単位を形成する少なくとも1種のモノマーの重合で、
適当な場合には、少なくとも1種のC−C結合を有するそれと共に共重合可能な少なくとも1種のコモノマーと組み合わせての重合、及びまた
カチオン重合のための連鎖移動剤及び開始剤の存在下での重合を経由したオキシメチレンポリマーを製造する方法であって、
第一段階において不均一重合混合物中で重合を行うこと、及びこれに続いて、
第二段階において均一重合混合物中で重合を行うこと、
を含む方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明にかかる工程の好ましい一態様を示す。
【図2】図2は実施例1乃至3のポリマーのGPCカーブを示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
好ましい一態様として、本発明の工程は
i)−CH2−O−単位を形成し、そして適当な場合には、環状アセタールを含む、モ
ノマーの、
ホルムアルデヒドのアセタール及びカチオン重合のための開始剤の存在下での、重合であって、
重合混合物の温度が低いため、固体ポリマーが重合当初に液体モノマーとともに存在する程に低い重合
ii)実質的に均一なポリマー融液が、該重合終了時に、残り残存モノマーとともに存在する程に充分高く、該重合過程の温度を上昇すること、
iii)該ポリマー融液が不活性化剤と接触して、均一相中における活性ポリマー鎖が失活すること、並びに
iv)適当な場合には、不安定な鎖末端の分解及びポリマー融液の揮発分の除去を経由して、得られた融液を直接的に更に処理すること、
からなる手段を含む。
【0012】
好ましい一態様として、工程が、少なくとも均一系反応段階において、密閉系で行われ、このことは、反応が、モノマー自身、例えばトリオキサン又はホルムアルデヒドによって生じた圧力下行われることが知られている。
【0013】
本工程の第一段階、例えば段階i)は適当な場合には、1,3−ジオキソランのような環状アセタールの存在下で、−CH2−O−単位を形成するモノマーの重合として知られ
ている。重合は沈殿重合の形態で行われ、及びそれ故、固体ポリマーが、いまだ取り込まれず消費されていないモノマーとともに存在する。このことは、−CH2−O−単位を形
成するモノマー、又は異なるモノマーの混合物であるモノマーは、カチオン重合のための従来の開始剤を使用し、調整剤として、ホルムアルデヒドのアセタールのような連鎖移動剤を使用し、それ自体は既知の方法で反応される。典型的な温度は、40℃乃至150℃である。重合は、好ましくは2乃至100bar、好ましくは5乃至40barの圧力で行われる。
【0014】
この第一段階において、ポリマーが反応混合物中において実質的に沈殿している、つまり反応混合物は不均一の固体/液体混合物であるほど、重合温度は充分に低い。ここで、固相は沈殿したポリマーによって形成され、一方、液相は実質的に未だ変換していないモノマーからなる。重合変換は10%乃至70%、及び変換可能な(conveyable)混合物はそれ故存在する。
【0015】
本工程の第二段階において、第一段階に続いて、例えば段階ii)、重合温度は、不均一の固体/液体混合物が実質的に均一になるように昇温される。この温度上昇は、一方は重合/結晶化の熱を用いて、他方では外部からの熱供給を用いてもたらされ得る。このことは、重合が特定の温度プロファイルを伴って行えるようにする。制御された温度プロファイルは一部のポリマー特性、例えば、特定の範囲内での耐衝撃性又は弾性係数の要求に応じて調節を可能にする。重合/結晶化の熱の制御された利用は、この工程の段階で、エネルギーの効率的な利用を可能にする。他方では、適した加熱素子及び冷却素子を用いて工程の目的のための他の温度プロファイルを達成することも可能である。
【0016】
重合全体にわたって温度プロファイルは80℃乃至170℃に一般的に変化するが、同様に120℃乃至180℃でも実行され得る。第二段階における温度及び滞留時間は、望まれない副反応(ヒドリド移動)を抑制するために最小化された。典型的な上限温度−コモノマー含有量の作用−は100℃乃至170℃であり、及びこの温度又は最終温度は、反応混合物は実質的には均質、即ちポリマーは溶融している、となるように、発明によって調製される。
本発明工程の第二段階の終わり、例えば段階iii)には、重合を停止させるために、ポリマーと一緒に、適当な場合には、少量の固体成分及びトリオキサン及びホルムアルデヒドのようなまた未変換のモノマーを含むことができ、均一の液体反応混合物は不活性化剤と接触させられる。これらは重合混合物と混ぜられるとき、バルク形状であり得るか又は不活性の非プロトン性溶媒で希釈された形状であり得る。結果は、急速に及び完全に活性鎖末端の失活である。重合終了時の液体重合混合物が実質的に、しかし必ずしも完全にではなく、溶融されている場合でさえ、重合は終了され得ることに気付く。それ故、重量混合物は固体成分の質量の約5乃至10%をいまだに含む場合、不活性化剤の添加によって重合を終了することが可能である。
【0017】
任意の段階iv)は融液加水分解に関する先行技術に対応し、次にくる、ポリマーが溶融形態において、直接アセンブリに導入され得ることを除外する。
【0018】
本発明の工程の好ましい一態様において、密閉された集合(assemblies)における操作は、モノマーの沸点以上の温度で反応を行うことを可能にする。これはまた、モノマーが漏れないので、重合のよい収率を導く。
【0019】
好ましい一態様として、本発明工程の第一及び第二段階は、反応器への反応物の連続的な導入及び反応器からの物質の連続的な排出の間、反応器の内部に大気圧よりも高い圧力(superatmospheric pressure)の生成が可能であり、及び多数の相互に独立した加熱可能なゾーンを有する反応器において行われる。この反応器はまた、本発明によって提供される。
【0020】
この反応器は、押し出し器の排出口と連結した圧力保持弁を備えた押出し機がとりわけ好ましい。
【0021】
オキシメチレンポリマーの製造法に関し、−CH2−O−単位を形成するモノマー、又
は異なるモノマーの混合物は、上述した方法で反応させる。−CH2−O−単位を形成す
るモノマーの例は、ホルムアルデヒド又は、1,3,5トリオキサン (トリオキサン)
or 1,3,5,7テトロキサンのような環状オリゴマーである。
【0022】
オキシメチレンポリマーは一般的に枝分かれのない直線形ポリマーであって、一般的に少なくとも80mol%、好ましくは少なくとも90mol%、とりわけ95mol%のオキシメチレン単位(−CH2−O−)を含む。これらとともに−(CH2)x−O−単位を含むxが2乃至25の値とみなされ得るオキシメチレンポリマーも同様である。所望により、少量の分岐剤を使用できる。分岐剤の例として、官能性が3以上のアルコール、又はその誘導体、好ましくは三価乃至六価のアルコール又はその誘導体を使用できる。好ましい誘導体は、それぞれ2つのOH基がホルムアルデヒド、及び同様にエポキシドと反応した形である。分岐剤の量は普通、オキシメチレンポリマーの製造に使用されるモノマーの全量に基づいて、1質量%以下、好ましくは多くて0.3質量%以下である。
【0023】
本発明はまた、メトキシ末端基とともに、ヒドロキシアルキレン末端基−O−(CH2
)x−OH(式中、xは2乃至25の値とみなされ得る)を含むことができるオキシメチレンポリマーの製造を包含する。ジオールの存在下での重合は連鎖移動を経てヒドロキシアルキレン末端基を有するポリマーをもたらす。反応混合物中のジオールの濃度は−O−(CH2)x−OHの形で存在することを目的として、末端基の割合に依存し、そして1
0質量ppm乃至2質量%である。
【0024】
これらポリマーの分子量は容積溶融指数(volume melt index)MVRを用いて表現され、幅広い範囲で焼成できる。ポリマーは典型的に、式−(CH2−O
−)n−(式中、nは平均重合度(数平均)を表し、及び好ましくは500乃至10,000の範囲、特に500乃至4000の範囲の値で変動する。)で表される繰返し構造単位を有する。
【0025】
本発明で製造されたオキシメチレンポリマーはホルムアルデヒド又はトリオキサン又はテトロキサンのような環状オリゴマーに由来する。
【0026】
アルキルエーテル基、特にメトキシ基又はエトキシ基である、末端基の全量の少なくとも80%、好ましくは90%、より特に好ましくは少なくとも95%である。オキシメチレンポリマーを製造することが好ましい。特に好ましいオキシメチレンポリマーはトリオキサン由来である。特に好ましいオキシメチレンポリマーはトリオキサン由来である。
【0027】
−CH2−O−単位を形成し、特に好ましく利用されるモノマーはホルムアルデヒド又
はより特に好ましくはトリオキサンである。
【0028】
結果として得られるホモ−及びコ−ポリマーの分子量はホルムアルデヒドのアセタール(連鎖移動剤)の使用を経て調整され得る。これもまた、
ポリマーのエーテル化末端基の生成物を導き、それ故、キャッピング剤との別個の反応は含まれない。
【0029】
使用された連鎖移動剤はホルムアルデヒドのモノマーの又はオリゴマーのアセタールである。
【0030】
望ましい連鎖移動剤は式1
1−(O−CH2q−O−R2 (I),
(式中、R1及びR2は、お互いに独立して、一価の有機基、好ましくはブチル基、プロピル基のようなアルキル基、及び特にメチル基を表し、及び
qは1乃至50の全ての整数を表す)で表される化合物である。
【0031】
特に好ましい連鎖移動剤は、式中のq=1で表される、式Iで表される化合物であって、より特に好ましくはメチラールである。
【0032】
連鎖移動剤の使用量は、モノマー(混合物)に基づいて、一般的に5000ppm以下であり、好ましくは100乃至3000ppm以下である。
【0033】
使用される開始剤はオキシメチレンホモ−及びコ−ポリマーの製造に一般的に用いられるカチオン性開始剤を含み得る。これらの例としては、プロトン酸、例えばトリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸無水物のようなフッ素化又は塩素化アルキル−及びアリール−スルホン酸、四塩化スズ、五フッ化ヒ素、五フッ化リン、及び三フッ化ホウ素、並びに例えば三フッ化ホウ素エーテル、及び六フッ化リン酸トリフェニルメチルのようなカルボカチオン源のような、それらの複合化合物のようなルイス酸が挙げられる。
【0034】
開始剤として使用される一般的な量は、モノマー(混合物)に基づいて、0.005乃至50ppmであり、好ましくは0.01乃至1ppm乃至1ppmであり、特に好ましくは0.02乃至0.2ppmである。
【0035】
重合を終了するために、ポリマーとともにトリオキサン及びホルムアルデヒドのような未変換のモノマーを未だに含む、均一で液体の反応混合物
は不活性化剤と接触される。これらは、バルク形態又は不活性の非プロトン性溶媒で希釈された形態で、重合混合物に添加される。その結果は、活性鎖末端の素早い及び完全な失活である。
【0036】
使用できる不活性化剤としては、重合反応を終了するように、活性鎖末端と反応する化合物である。例としては、有機塩基であるトリエチルアミン又はメラミン、及び同様に無機塩基である炭酸カリウム又は酢酸ナトリウム。また、カルボキサミド、例えばジメチルホルムアミド、のような非常に弱い塩基を使用することも可能である。三級の塩基、例えばトリエチルアミン及びヘキサメチルメラミンは特に好ましい。
【0037】
使用される塩基の濃度は、重合材料の基づいて、1質量ppm乃至1質量%である。10ppm乃至5000ppmの濃度が好ましい。
【0038】
標準的な失活温度は125℃乃至180℃の範囲で、特に好ましくは135℃乃至160℃の範囲で、及びより特に好ましくは140℃乃至150℃の範囲で変化する。
【0039】
標準的な失活圧力は3乃至100barの範囲で、好ましくは5乃至40barの範囲で変化する。
【0040】
重合はPOMホモ−及びコ−ポリマーの製造として知られている反応器において行われ得る。主として、ニーダー又は押出し機が使用され、温度制御可能であり及び圧力抵抗性であるように設計されている。
【0041】
段階i)及びii)は、連続的な変換が不均一相における重合と実質的な均一相における重合の間に存在する、集合(assembly)において特に好ましく行われる。然しながら、この工程における二つの段階はまた、異なる集合(assembly)においても着手され得る。
【0042】
重合混合物の失活はニーダー若しくは押出し機、又は他に静的ミキサーを使用したチュ
ーブ状の反応器においてにおいて着手され得る。
【0043】
重合時間は、幅広い範囲で変化し、及び標準的には10秒乃至10分、好ましくは15秒乃至5分、及び特に好ましくは20乃至100秒の範囲で変化する。
【0044】
この失活は、非常に急速に進み、及び特に成分を混合することによって停止された。活性末端の失活の後、続いて耐熱性ポリマーを得るために末端基のキャッピングすることを更に必要としない。
【0045】
POMの失活の後、所定の間、不安定な末端基を取り除くためにそれは昇温され得る(熱加水分解)。続いて、液体の重合混合物は、減圧ゾーンに入れられ、そして残存モノマー及び溶媒は減圧の利用を経て除去され得る。この除去は異なる圧力での段階の大部分で行われ得る。
【0046】
この減圧ゾーンは熱ポリマー溶液又は熱ポリマー融液によって満たされた空間によって形成される。大気中の値より低い圧力(subatmospheric pressure)、好ましくは500mbarより低い圧力、とりわけ200mbarより低い圧力の利用は、後者の温度を利用して、ポリマー溶液から殆どの残存モノマー及びの残存溶媒を取り除く。本工程のこの段階は、好ましくは押出し機におけるチューブ状反応器の一部を区分けして行われ得る。然しながら、例えば、フラッシュチャンバーのような他のassembliesを使用することもできる。これらは、加圧下のポリマー溶液の場合、残存モノマーが吸引によって除去される前に、まず減圧ゾーンにおいて環境気圧へ減圧される。
【0047】
これによって、段階iii)の後、圧力を維持しながら、ポリマー溶液は、モノマー残留物及び溶媒残留物の吸引による減圧及び除去が行われる押出し機へ、移されるのが好ましい。
【0048】
二軸押出し機を使用することが特に好ましい。
【0049】
安定剤及び加工助剤(以後、添加剤ともいう)は、適当な場合には、減圧ゾーン中のPOMポリマーに配合される。
【0050】
本発明の工程の好ましい一変形において、モノマー残留物及び溶媒残留物の除去後、添加剤の混合物は押し出し器に注ぎこまれ、熱ポリオキシメチレンポリマーへ配合される。
【0051】
添加剤の混合物に使用され得る成分は、オキシメチレンポリマーの安定化及び/又は改質のために一般的に使用される化合部である。
【0052】
これらの例としては、抗酸化剤、酸スカベンジャー、ホルムアルデヒドスカベンジャー、UV安定剤、又は熱安定剤である。添加剤の混合物は、これらとともに、接着促進剤、潤滑剤、核形成剤、離型剤、充填材、補強材、又は帯電防止剤のような加工助剤、並びにまた成形材料に所望の特性を与える添加剤、例えば、染料及び/又は顔料、及び/又は衝撃改質剤、及び/又は導電性を付与する添加剤、及びまた上記添加剤の混合物、含み得るが、但し、実施例に言及した範囲の何れの制限するものではない。
【0053】
モノマー残留物及び溶媒残留物が減圧ゾーンから取り除かれるとすくに、、ポリマー融液は凝固される。このことは、減圧ゾーンから排出されているあいだ、又は直後におこり得る。適当な場合に添加剤を包含する、凝固したポリマーは、続いてそれ自体は知られている方法においてペレット化される。
【0054】
抽出段階は、ポリマーから、残留残存モノマー及び/又は溶媒及び/又はオリゴマー及び/又は他の混入物質を除去するために利用され得る。
【0055】
ペレット化及び抽出はそれ自体は知られているアセンブリーにおいて行われ得る。
【0056】
付着した抽出剤の残渣からペレットを取り除くために、
抽出段階後に乾燥工程があるのが好ましい。
【0057】
POMは、適当な場合には、それ自他は知られた方法で、再溶融し、添加剤を供給し、及び再結晶され得る。
【0058】
重合反応器(1)、その下流に導入された熱加水分解のための器(2)、及び揮発分の除去装置(3)を示す。
【0059】
下記のもの、−CH2−O−基を形成するモノマー、適当な場合にジオキソランのよう
な環状アセタール、ホルムアルデヒドのアセタール、好ましくはメチラールととものモノマー、からなる混合物を、モノマー供給口(4)を経て、及び
カチオン重合のための移動剤及び開始剤を、供給口(5)を経て、
重合反応器(1)に導入された。重合反応器(1)における重合は、当初は不均一相、例えば100度の温度で及び5乃至25barの圧力で、行われた。重合温度の増加は、重合の過程において、相不均一重合物を、ポリマーが液状形態で存在する実質的に均一相に徐々に変換した。第一反応器における反応混合物の平均滞留時間は約60秒である。続いて、重合は不活性化剤を添加することによって停止した。
【0060】
次に、反応混合物は熱加水分解のための容器(2)へ移された。そこで、重合混合物は20分間190℃まで加熱され、その結果、熱的に不安定なヘミアセタール鎖末端はホルムアルデヒドの開裂によって取り除かれた。
【0061】
次に、揮発分の除去装置(3)において、トリオキサン、モノマー残留物及び、適当な場合更なる揮発性成分は、反応混合物から吸引装置(7)によって取り除かれる。上記示された態様において、このことは、多くの段階で行われる。示されてはいないけれども、この装置はPOMポリマーに、添加剤、即ち、例えば安定剤及び加工助剤、更に凝集体及び/又は補強材、及び/又は他の添加剤および助剤の添加を受け入れることを許容する。最終製品は揮発分を除去したポリマー融液(8)の形で排出される。
【0062】
従って、図1は下記の段階を含む、好ましい工程を記載する:
a)トリオキサン及び、適当な場合には、ジオキサンのような環状アセタール及びメチラールは第一反応器において初充填として使用され、
b)反応混合物が沈殿ポリマーの効果によって不均一相を初期に形を成しているような圧力及び温度で、カチオン重合のための開始剤を添加することによって重合が行われ、
c)反応混合物が実質的に均一相に変換されるように、重合混合物の温度は昇温され、
d)不活性化剤は均一系反応混合物を添加され、重合を停止させ、
e)第二反応器において、反応混合物を加水分解が起きるような温度及び期間まで、例えば20分間190℃の温度まで、加熱され、及び
f)反応混合物が、不活性化された及び熱加水分解されたポリマーがトリオキサンから及び他の揮発性成分を取り除かれ、通気口をつけた押出し機へ排出さる、
【0063】
本発明の工程は高分子量及び所望の機械的特性に調整されたオキシメチレンポリマーを製造できる。
【0064】
本発明の製造されたオキシメチレンポリマーの容積溶融指数(volume melt
indices)は好ましくは100mL/10minより小さく、特に好ましくは1.5乃至40mL/minである(190℃で2.16kgの質量を利用した、DIN EN ISO 1133で決定した。)
【0065】
本発明の製造されたオキシメチレンポリマーは、さらに成形加工によってそれ自体は知られている方法、例えば、成型品を得るためにブロー成形、射出成形、又は押出成形によって、更に加工できる。
【0066】
本発明の製造されたオキシメチレンポリマーは高耐薬品性及び高耐熱性を特徴づけ、及びそれから製造された成型品は非常に優れた耐衝撃性を示す。
【0067】
以下に、実施例によって本発明が説明されるが、これら態様に限定されるものではない。
【実施例】
【0068】
実施例1−3
重合は、おおよそ等しい長さの夫々7つの独リチして調節できる加熱ステージを備えた気密の、耐圧性二軸押出機で行われた。押出し機で重合されるために、前方へ押出される前に、出発化合物はHPLCポンプによって測定され、及び成分を静的混合することによって予混合ゾーンで効率よく混合された。
【0069】
80℃に余熱されたトリオキサンの4kg/h並びにトリフルオロメタンスルホン酸300ppm及び取りエチルアンモニウムトリフラート600ppmが溶解したメチラールの4g/hは、スクリュー回転速度が120rpmである押出し機内に注入された。押出し機の端の圧力保持弁によって、圧力は18barで一定に保持した。個々の実施例に関する温度プロファイルは表1に示した。押出し機での滞留時間は約1分であった。ポリマーは融液の形態で排出され、受取器に集められた。冷却した後、ポリマー試料は沸騰ジメチルアセトアミド(DMAc)に溶解され、そして約1時間沸騰させ、不安定な鎖末端を除去した。冷却しして沈殿したポリマーはメタノール中で2回沸騰させ、ろ過し、そして乾燥した。図1は実施例1乃至3のポリマーの分子量分布を示す。
【0070】
【表1】

温度データは℃を表す
【0071】
図2は実施例1乃至3のポリマーのGPCカーブを示す。ここで、実施例1のポリマーはカーブ(1)に対応し;実施例2のポリマーはカーブ(2)に対応し、実施例3のポリマーはカーブ(3)に対応する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0072】
【特許文献1】独国特許出願公開第3147309A1号明細書
【特許文献2】独国出願公開3,703,790A号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第673,955A号明細書
【特許文献4】特開2005−059255号公報
【特許文献5】欧州特許出願公開第999,244号明細書
【特許文献6】独国出願公開3,147,309A号明細書
【非特許文献】
【0073】
【非特許文献1】Advances in Polymer Science、第68/69号、122ページ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
CH2−O−単位を形成する少なくとも1種のモノマーの重合で、
適当な場合には、少なくとも1種のC−C結合を有するそれと共に共重合可能な少なくとも1種のコモノマーと組み合わせて、及びまた
カチオン重合のための連鎖移動剤及び開始剤の存在下での重合を経由してオキシメチレンポリマーを製造する方法であって、
第一段階において不均一重合混合物中で重合を行うこと、及びこれに続いて、
第二段階において均一重合混合物中で重合を行うこと
を含む方法。
【請求項2】
第一段階及び第二段階との間の相転移が温度の上昇を経て起こる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
以下の方法:
i)−CH2−O−単位を形成し、そして適当な場合には、環状アセタールを含む、モ
ノマーの、
ホルムアルデヒドのアセタール及びカチオン重合のための開始剤の存在下での、重合であって、
重合混合物の温度が、固体ポリマーが重合当初に液体モノマーとともに存在する程に低い重合
ii)実質的に均一なポリマー融液が該重合終了時に残り残存モノマーとともに存在する程に充分高く、該重合過程の温度を上昇すること、
iii)該ポリマー融液が不活性化剤と接触して、均一相中における活性ポリマー鎖が失活すること、並びに
iv)適当な場合には、不安定な鎖末端の分解及びポリマー融液の揮発分の除去を経由して、得られた融液を直接的に更に処理すること、
を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
少なくとも第二段階において、前記重合が高い圧力下で行われ、これにより、気体相が形成されない、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
反応器中への反応物の連続的な導入及び反応器から材料の排出の間、該反応器の内部に大気圧よりも高い圧力(superatmospheric pressure)の発生を可能にしかつ多くの加熱可能なゾーンを有するところの反応器中で、
前記重合の第一及び第二段階がおこなわれる、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記反応器が、外部から密閉された押出し機又はニーダーである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記重合が、第一段階では60℃乃至140℃の温度で行われ及び第二段階では150℃以上の温度で行われる、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の方法
【請求項8】
前記重合の間、前記重合混合物からのモノマーが気相に移らない、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記重合が、両段階において、2乃至50barの圧力、好ましくは5bar乃至25barの圧力で行われる、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
重合終了時にまだ活性がある前記重合混合物が、一種以上の不活性化剤の添加を経て第
二段階で停止される、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記重合混合物が、失活した後、不安定な末端基の熱加水分解及び揮発分の除去のために高温にさらされる、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
反応器内部に大気圧よりも高い圧力(superatmospheric pressure)の発生、並びに該反応器への反応物の連続的な導入及び該反応器からの材料の連続的な排出を可能にし、及び多数の互いに独立した加熱可能なゾーンを有する、請求項1乃至11のいずれか1項に記載の方法を行うための反応器。
【請求項13】
圧力保持弁を備えた押出し機である、請求項12に記載の反応器。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2011−516703(P2011−516703A)
【公表日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−504365(P2011−504365)
【出願日】平成21年4月14日(2009.4.14)
【国際出願番号】PCT/EP2009/002713
【国際公開番号】WO2009/127386
【国際公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【出願人】(505110619)ティコナ ゲーエムベーハー (4)
【Fターム(参考)】