説明

オクラ粉体及びその製造方法並びに補助食品の製造方法

【課題】オクラの高い栄養価を生かしたまま種々の料理等に簡単に利用し得るようにしたオクラ粉体の製造方法及びこのオクラ粉体を用いた補助食品の製造方法を提供する。
【解決手段】オクラを有姿のまま凍結乾燥した状態で粉末状態に粉砕することで、食品添加物として種々の料理に利用可能とする。また、オクラ粉体オクラを有姿のまま凍結乾燥した状態で粉末状態に粉砕する工程と、このオクラ粉体に澱粉などの賦形剤や増粘剤を加えてタブレット状とする工程と、によって補助食品を製造する。さらに、オクラを有姿のまま凍結乾燥した状態で粉末状態に粉砕する工程と、このオクラ粉体とハトムギやハブ茶などの物質とを混合する工程と、によってオクラ茶を製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、オクラ(Hibiscus esculentus linnaeus)粉体の製造方法及びオクラ粉体を用いた補助食品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
オクラはヌメっとした青臭い食感から、それを好む人と好まない人に二分され、好む人ではお浸しや煮物の付け合わせとして、好まない人では主に天ぷら等として食されてきた。
【0003】
近似、このような食材を食品添加物として加工して利用することで、種々の料理に簡単に利用できるようにする試みも行われている。
【0004】
例えば、茶殻については従来そのまま捨てられていたが、この茶殻を食品添加物として加工して茶殻粉末とすることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】 特開2003−111566号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、オクラについては、このような試みは全く行われていないのが現状である。
【0006】
本発明はかかる実情に鑑みて創案されたもので、その目的は、オクラの高い栄養価を生かしたまま種々の料理等に簡単に利用し得るようにしたオクラ粉体の製造方法及びオクラ粉体を用いた補助食品の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るオクラ粉体の製造方法は、オクラを有姿のまま凍結乾燥した状態で粉末状態に粉砕したことを特徴とするものである。ここで、乾燥方法としては、凍結乾燥または熱風乾燥の両方が可能であるが、熱風乾燥ではオクラに含まれているビタミン類が消失する可能性があるので、より好適には冷凍乾燥が良い。
【0008】
また、本発明に係る補助食品の製造方法は、オクラを有姿のまま凍結乾燥した状態で粉末状態に粉砕する工程と、このオクラ粉体に澱粉などの賦形剤や増粘剤を加えてタブレット状とする工程と、からなることを特徴とするものである。
【0009】
また、本発明に係る補助食品の製造方法は、オクラを有姿のまま凍結乾燥した状態で粉末状態に粉砕する工程と、このオクラ粉体とハトムギやハブ茶などの物質とを混合する工程と、からなることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、オクラを有姿のまま凍結乾燥した状態で粉末状態に粉砕することで、栄養価の高いオクラを種々の料理に利用することが可能となるとともに、食品としての管理が容易となり、多用途に利用することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0012】
本実施形態に係るオクラ粉体の製造方法は、オクラ自体を凍結乾燥した状態でミキサー等により粉末状に粉砕し、このオクラ粉末を食品添加物として使用するものである。または、オクラ自体を凍結乾燥させて水分を抜いた状態の有姿で食品として使用するものである。このように凍結乾燥させることで水分を含まず、食品添加物及び食品として管理し易いといった利点がある。
【0013】
特に、食品添加物として粉末状にすることで、種々の料理に利用でき、利用度が拡大するといった利点がある。また、食品として有姿のまま販売する場合には、水分を抜いているため壊れやすい状態になっているが、乾燥オクラを収容する例えばビニール袋に空気を入れて密封しておくことで、ユーザの手元まで有姿のままで提供することが可能となる。ユーザは、この有姿のオクラを手で壊しながら振りかけのようにしてご飯等に振りかけ、食することができる。
【0014】
本実施形態のオクラによる食品添加物の利用方法としては、オクラ液体については、うどんのめんや中華そばのめんなど穀物の加工品に添加したり、果汁飲料に添加したり、ヨーグルトに添加したり、お菓子(羊羹、あんこ、饅頭の生地)やパン、ジャムなどに添加したりして使用することができる。また、味噌汁やすまし汁などに加えるとまろみが出てコクのある吸い物となる。一方、残菜については、ジャムやその他の食料品に混ぜ合わせて使用することができる。残菜には、食物繊維が豊富であり、便秘や血流に効果がある。また、これらオクラ液体やその残菜を組み合わせて使用してもよい。例えば、うどんのめんや中華そばのめんにオクラ液体に加えその残菜も加えることで、より栄養価の高いかつ腰のあるめんに仕上げることができる。
【0015】
また、粉末状に粉砕したオクラや凍結乾燥後の有姿のオクラの利用方法としては、粉末状に粉砕したオクラに澱粉などを加えてタブレット(錠剤)状とすることにより、サプリメントとしてユーザに提供することができる。オクラは、粘液質による胃粘膜保護、便秘などの薬効があり、さらにカロチノイドも含まれ、健康増進や野菜不足に効果があるとされている。
【0016】
また、粉末化したオクラを焙煎し、ハトムギやハブ茶など美肌に効果があるといわれている物質などとブレンドして、美肌に効果のあるオクラ茶(ディーバック)としてユーザに提供することができる。なお、粉末化したオクラの利用方法は、これらに限定されるものではない。
【0017】
この他の利用方法としては、ハンドローションやボディーローション、化粧水、乳液などにオクラ粘液を混ぜ合わせることによって、よりしっとり感を得ることができる。
【0018】
本発明者は、オクラを原料とた食品添加物の形而変化について検証した。
【0019】
保管方法としては、冷凍保存したオクラの塊を自然解凍したものを、常温状態(一般家庭の小物入れで保管した状態)で保管した。検体はオクラの粘液5グラムを白色のシュリンクフィルムを巻き付けた茶色の容器に収納したものを3つ(検体A,B,C)用意した。検体Aは3年2カ月放置し、検体Bは2年7カ月放置し、検体Cは1年4カ月放置した。この3つの検体で、粘性度、色合、臭いを以下の方法で検証した。
【0020】
(粘性度の検証)
検証方法として、手の甲や手の平に容器から1滴を絞り出すときの液球の状態と着地した液の滑り状態(指先で回動しながら)を、臭いを嗅ぎながら、ゆっくりと滑り具合と広がり具合を実験した。その結果、検体Aについては、落下するときの糸引き状態が短いが、液の滑り状態と広がり具合は検体Bや検体Cと遜色は無かった。
【0021】
(色と臭いの検証)
純白の紙に容器から1滴たらし、液状のときと乾燥状態のときとを比較した。その結果、いずれの検体も変化は無かった。なお、加工時は緑色であるが、色合は数週間で少し黒味がかった色合になり、その後は急激な色の変化は見られなかった。なお、緑色状態のときは、野菜本来の青臭さはあるが、色の変化と共に臭みも無くなった。
【0022】
なお、オクラは薬効として、オクラに含まれるペクチンが作用して、便秘解消、消化促進、動脈硬化予防、胃炎や下痢などの予防に有効である。
【0023】
また、公的機関(社団法人大阪食品衛生協会食品検査センター)で生菌テストと酸化テストとを行った結果、オクラ液体及びその残菜について、何ら問題の無いことを確認している。
【0024】
さらに、凍結乾燥についても、公的機関(大阪府立産業技術総合研究所)で凍結乾燥の実験を行った。具体的には、実験用として生のオクラを230.67g用意し、これを凍結乾燥させて最終的に20.96gの乾燥オクラを得た。この乾燥オクラを有姿の状態で握るとパリパリと音を出しながら粒状に粉砕され、味は元の粘性を保ち、少し塩味と甘味のあるものとなり、生のオクラでは到底得られない良質の食感に変質していた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オクラを有姿のまま凍結乾燥した状態で粉末状態に粉砕したことを特徴とするオクラ粉体の製造方法。
【請求項2】
オクラを有姿のまま凍結乾燥した状態で粉末状態に粉砕する工程と、
このオクラ粉体に澱粉などの賦形剤や増粘剤を加えてタブレット状とする工程と、からなることを特徴とする補助食品の製造方法。
【請求項3】
オクラを有姿のまま凍結乾燥した状態で粉末状態に粉砕する工程と、
このオクラ粉体とハトムギやハブ茶などの物質とを混合する工程と、からなることを特徴とする補助食品の製造方法。
【請求項4】
前記請求項1に記載の製造方法によって製造されたことを特徴とするオクラ粉体。

【公開番号】特開2006−61167(P2006−61167A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−330785(P2005−330785)
【出願日】平成17年10月18日(2005.10.18)
【分割の表示】特願2003−413946(P2003−413946)の分割
【原出願日】平成15年11月7日(2003.11.7)
【出願人】(591149698)
【Fターム(参考)】