説明

オゾン微細気泡による汚染水の処理方法、及びオゾン微細気泡による汚染水の処理装置

【課題】汚染水とオゾンとの反応効率を十分に向上させることができるオゾン微細気泡による汚染水の処理方法、及びオゾン微細気泡による汚染水の処理装置を提供する。
【解決手段】汚染水の処理装置100は、オゾン反応槽1と、供給管2と、オ排出管3と、オゾン発生器4と、微細気泡発生器5と、オゾン供給手段6と、導入管7と、導出管8と、を備え、供給管2及び導出管8を介してオゾン反応槽1に流入する汚染水の総流入量と、排出管3を介してオゾン反応器1から流出する汚染水の流出量と、を調節して、オゾン反応槽1内の汚染水に、オゾン微細気泡の浮上速度以上の流速(例えば、1mm/秒以上)を有する下降流を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、汚染水とオゾン微細気泡とを反応させて汚染水に含まれる有機物を処理するオゾン微細気泡による汚染水の処理方法、及びオゾン微細気泡による汚染水の処理装置に関し、特に、汚染水とオゾンとの反応効率を向上させるためのオゾン微細気泡による汚染水の処理方法、及びオゾン微細気泡による汚染水の処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機物を含有する汚染水として、例えば、畜産排水、ゴミ処分場浸出水、バイオマスからの廃水等がある。これらの汚染水にはフミン酸等の有機物が多量に含まれており、例えば、COD(Chemical Oxygen Demand;化学的酸素要求量)=1500〜7000mg/L、BOD(Biochemical Oxygen Demand;生物化学的酸素要求量)=300〜1700mg/Lの値を示す。また、かかる汚染水は、SSや色度も高く、例えば、SS(Suspended Solid;浮遊物質量)=400〜18000mg/L、色度=2000〜3000を示す。
【0003】
このような汚染水に含まれる有機物を処理するために、例えば、汚染水に膜処理や凝集沈殿処理等を施して有機物を除去する技術がある。しかし、これらの技術では、薬剤の使用量が多くなりコストUPを招いてしまう。また、これらの技術では、汚染水に含まれる有機物を十分に除去することができず、特に色度を所定の基準値以下にすることが困難であった。
【0004】
そこで、近年、汚染水とオゾンとを反応させることにより、汚染水に含まれる有機物を処理する技術が開発されている。この技術は、汚染水にオゾンを曝気し、オゾンの酸化作用によって有機物を処理する技術であり、別途、薬剤を使用する必要がない点で優れている。しかし、曝気したオゾンは、気泡径が大きいため、汚染水中の浮上速度が速く、しかも汚染水に溶解しにくい。その結果、この技術では、汚染水とオゾンとを効率的に反応させることができず、特に色度を所定の基準値以下(例えば、100以下)にするには、オゾンの注入量が多量に必要であった。より具体的には、色度200〜400の汚染水を色度100以下にするには、汚染水1m当たりオゾンが1200〜2000g程度も必要であった。そのため、汚染水にオゾンを曝気する技術では、オゾンを製造するための設備費用やランニングコストが高くなってしまう。また、その際に得られた排ガスには、汚染水に未溶解のオゾンが多量に含まれており、オゾンは有害であることから、排ガス中のオゾンを処理するための設備(例えば、オゾン分解装置やオゾン吸着装置等)も必要となり、コストが高くなってしまう。
【0005】
従来、かかる問題を解決するために、汚染水とオゾン微細気泡とを反応させて汚染水に含まれる有機物を処理する技術が開発されている(例えば、特許文献1参照)。オゾン微細気泡は、曝気したオゾンと比べて気泡径が著しく小さいため(直径50μm以下)、汚染水中の浮上速度が遅くなり、しかも汚染水に溶解しやすい。従って、このような従来の技術によれば、汚染水とオゾンとの反応効率が一応向上することとなり、その結果、コストダウンを図ることも可能となる。
【特許文献1】特開2001−259667号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、汚染水にオゾン微細気泡を供給したとしても、オゾン微細気泡は汚染水中を所定の速度で浮上するとともに、その一部は汚染水に溶解しない。そのため、従来の技術にあっては、汚染水とオゾンとの反応効率を十分に向上させることができなかった。
【0007】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、汚染水とオゾンとの反応効率を十分に向上させることができるオゾン微細気泡による汚染水の処理方法、及びオゾン微細気泡による汚染水の処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、有機物を含有する汚染水とオゾン微細気泡とを反応させて前記有機物を処理するオゾン微細気泡による汚染水の処理方法であって、前記汚染水に、前記オゾン微細気泡の浮上速度以上の流速を有する下降流を形成することを特徴とする。
【0009】
かかる構成によれば、汚染水に形成された下降流の作用により、汚染水に供給されたオゾン微細気泡は、汚染水中を浮上することなく汚染水に滞留し続け、汚染水にほぼ完全に溶解する。これにより、汚染水とオゾンとの反応効率が十分に向上することとなる。
【0010】
また、本発明は、有機物を含有する汚染水とオゾン微細気泡とを反応させるオゾン反応器と、前記オゾン反応器の上部側に接続され該オゾン反応器に前記汚染水を供給する供給管と、前記オゾン反応器の下部側に接続され該オゾン反応器から反応後の前記汚染水を排出する排出管と、オゾン発生器と、直径50μm以下の微細気泡を発生させる微細気泡発生器と、前記オゾン発生器と前記微細気泡発生器とを連結し前記オゾン発生器で発生したオゾンを前記微細気泡発生器に供給するオゾン供給手段と、前記供給管と前記微細気泡発生器とを連結し該供給管内を流れる前記汚染水の一部を前記微細気泡発生器に導入する導入管と、前記微細気泡発生器と前記オゾン反応器の上部側とを連結し前記微細気泡発生器で生成されたオゾン微細気泡を含有する前記汚染水の一部を前記オゾン反応器に供給する導出管と、を備え、前記供給管及び前記導出管を介して前記オゾン反応器に流入する前記汚染水の総流入量と、前記排出管を介して前記オゾン反応器から流出する前記汚染水の流出量と、を調節して、前記オゾン反応器内の前記汚染水に、前記オゾン微細気泡の浮上速度以上の流速を有する下降流を形成することを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、有機物を含有する汚染水とオゾン微細気泡とを反応させるオゾン反応器と、前記オゾン反応器の上部側に接続され該オゾン反応器に前記汚染水を供給する供給管と、前記オゾン反応器の下部側に接続され該オゾン反応器から反応後の前記汚染水を排出する排出管と、オゾン発生器と、直径50μm以下の微細気泡を発生させる微細気泡発生器と、前記オゾン発生器と前記微細気泡発生器とを連結し前記オゾン発生器で発生したオゾンを前記微細気泡発生器に供給するオゾン供給手段と、前記オゾン反応器の下部側と前記微細気泡発生器とを連結し該オゾン反応器から前記汚染水の一部を回収して前記微細気泡発生器に導入する導入管と、前記微細気泡発生器と前記オゾン反応器の上部側とを連結し前記微細気泡発生器で生成されたオゾン微細気泡を含有する前記汚染水の一部を前記オゾン反応器に供給する導出管と、を備え、前記供給管及び前記導出管を介して前記オゾン反応器に流入する前記汚染水の総流入量と、前記排出管及び前記導入管を介して前記オゾン反応器から流出する前記汚染水の総流出量と、を調節して、前記オゾン反応器内の前記汚染水に、前記オゾン微細気泡の浮上速度以上の流速を有する下降流を形成することを特徴とする。
【0012】
さらに、本発明のオゾン微細気泡による汚染水の処理装置において、前記オゾン反応器は、配管で構成されていることが好ましい。
【0013】
さらに、本発明のオゾン微細気泡による汚染水の処理装置において、前記オゾン反応器は、前記下降流の作用によって自動的に回転駆動する攪拌用ファンを備えていることが好ましい。
【0014】
さらに、本発明のオゾン微細気泡による汚染水の処理装置において、前記オゾン反応器内の前記汚染水に超音波を付与する超音波発生器を備えていることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、オゾン微細気泡による汚染水の処理方法、及びオゾン微細気泡による汚染水の処理装置において、汚染水とオゾンとの反応効率を十分に向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、添付図面を参照しながら、本発明に係るオゾン微細気泡による汚染水の処理装置(以下、単に「汚染水の処理装置」という)の各実施形態について説明する。
【0017】
===第一実施形態===
図1Aは、本発明の第一実施形態における汚染水の処理装置100を示す概略構成図である。図1Aに示す汚染水の処理装置100は、オゾン反応槽1と、供給管2と、排出管3と、オゾン発生器4と、微細気泡発生器5と、オゾン発生器4と微細気泡発生器5とを連結するオゾン供給手段6と、供給管2と微細気泡発生器5とを連結する導入管7と、微細気泡発生器5とオゾン反応槽1の上部側とを連結する導出管8と、を備えている。
【0018】
かかる汚染水の処理装置100は、供給管2及び導出管8を介してオゾン反応槽1に流入する汚染水の総流入量と、排出管3を介してオゾン反応器1から流出する汚染水の流出量と、を調節して、オゾン反応槽1内の汚染水に、オゾン微細気泡の浮上速度以上の流速を有する下降流を形成するものである。より具体的には、下降流の流速は、ストークスの法則に基づいてオゾン微細気泡の直径に応じて定まり、例えば、オゾン微細気泡の気泡径が最大値50μmの場合には、オゾン微細気泡の浮上速度が約1mm/秒であることから下降流の流速を1mm/秒以上とする。
【0019】
オゾン反応槽1は、有機物を含有する汚染水とオゾン微細気泡とを反応させるための反応槽であり、その内部に攪拌用ファン11が設けられている。攪拌用ファン11は、汚染水に形成した下降流によって自動的に回転駆動するものである。オゾン反応槽1の高さ及び断面積は、汚染水に形成する下降流が気泡の上昇速度よりも速く、且つ汚染水に含まれている有機物の処理に必要な滞留時間を満足するように決定する。オゾン微細気泡は、直径50μm以下の微細気泡内にオゾンを含有させたものであり、オゾン発生器4、微細気泡発生器5及びオゾン供給手段6によって生成され、汚染水中に供給される。供給管2は、オゾン反応槽1の上部側に接続されオゾン反応槽1に汚染水を供給する。排出管3は、オゾン反応槽1の下部側に接続されオゾン反応槽1から反応後の汚染水を排出する。
【0020】
オゾン発生器4は、オゾンガスを発生させるものであればよく、特に限定されるものではない。また、微細気泡発生器5は、直径50μm以下の微細気泡(気泡数:6000個/cm以上)を発生させるものであり、例えば、気体を加圧して液体に過飽和状態にし、この気液混合流を吐出口のオリフィスで急減圧して微細気泡を発生させるものがある(特許3620797号参照)。オゾン供給手段6は、オゾン発生器4で発生したオゾンを微細気泡発生器5に供給する。導入管7は、供給管2内を流れる汚染水の一部を微細気泡発生器5に導入する。導出管8は、微細気泡発生器5で生成されたオゾン微細気泡を含有する汚染水の一部をオゾン反応槽1に供給する。
【0021】
ところで、汚染水の処理装置100は、供給管2を介して上流側から順に膜処理装置101及び凝集沈殿処理装置102に連結されており、これらの膜処理装置101及び凝集沈殿処理装置102を経た原水は、さらに汚染水の処装置100で処理される。かかる原水としては、例えば、畜産排水、ゴミ処分場浸出水、バイオマスからの廃水等がある。これらの原水にはフミン酸等の有機物が多量に含まれており、CODやBODが高く、またSSや色度等も高い。膜処理装置101は、原水に膜処理を施して浮遊物等を除去するための装置である。一方、凝集沈殿処理装置102は、膜処理装置101を経た原水に凝集沈殿処理を施して不純物等を除去するための装置である。
【0022】
膜処理装置101及び凝集沈殿処理装置102を経た原水(以下「汚染水」ともいう。)にあっては、浮遊物や不純物等が除去された際に有機物の一部も除去されているが、依然として有機物が残存しており、CODやBODが高く、またSSや色度等も高い。汚染水の処理装置100は、かかる汚染水に含まれる有機物を十分に処理して、CODやBODを低く、しかもSSや色度等を低くするための装置である。
【0023】
以上の構成によれば、オゾン反応槽1内の汚染水には、オゾン微細気泡の浮上速度以上の流速を有する下降流が形成されており、この下降流の作用によって、汚染水に供給されたオゾン微細気泡は、汚染水中を浮上することなく汚染水に滞留し続け、汚染水にほぼ完全に溶解する。これにより、汚染水とオゾンとの反応効率が十分に向上する。また、下降流の作用によって、攪拌用ファン11が自動的に回転駆動し始め、これによりオゾン微細気泡と汚染水とが十分に攪拌されることとなる。その結果、オゾン微細気泡は汚染水に溶解しやすくなり、汚染水とオゾンとの反応効率がよりいっそう向上する。従って、汚染水の色度を所定の基準値以下にする場合であっても、オゾンの注入量が少量で足りるようになり、例えば、汚染水1m当たりオゾンが400〜700g程度で足りる。そのため、オゾンを製造するための設備費用やランニングコストが低くなる。また、オゾン反応槽1の上層に滞留する排ガスには、オゾンがほとんど含まれておらず、排ガス中のオゾンを処理するための設備も不要となり、よりいっそうコストダウンを図ることができる。
【0024】
なお、図1Aには図示していないが、汚染水の処理装置100は、オゾン反応槽1内の汚染水に超音波を付与する超音波発生器を備えることが好ましい。かかる場合には、超音波の作用によりオゾン微細気泡が汚染水に溶解しやすくなり、汚染水とオゾンとの反応効率がよりいっそう向上する。
【0025】
<確認試験>
次に、本発明の効果を確認すべく、図1Aに示した汚染水の処理装置100における処理水の色度及びCODの推移を測定した。また、超音波処理を施した場合の処理水の酸素飽和度も測定した。各測定結果をそれぞれ図1B〜図1Dに示す。なお、本確認試験において、オゾン反応槽への汚染水の流入量は2L/minであり、オゾン反応槽はφ10cmであることから、下降流の速度は0.43cm/secとなる。一方、ストークスの法則から、50μmのオゾン微細気泡の浮上速度は0.14cm/secとなる。従って、下降流の速度は、オゾン微細気泡の浮上速度以上の流速を有することとなる。
【0026】
図1Bに示すように、処理水の色度は、一部誤差が生じたものの、単位水量あたりのオゾン量が多いほど、低い値を示す傾向にあった。そして、汚染水にオゾン微細気泡を供給した場合には、オゾンを曝気によって供給した場合と比べ、色度を基準値以下にするために要するオゾンの注入量が少量で足りることを示唆する結果を示した。なお、オゾン濃度21g/m、42g/m、汚染水3.5L、7.5Lの各ケースについて試験を行った。例えば、色度を約500以下にするために必要となるオゾンの注入量は、オゾンを曝気によって供給した場合には約1300g/mであったが、汚染水にオゾン微細気泡を供給した場合には約450g/mであった。
【0027】
図1Cに示すように、処理水のCOD(mg/L)は、汚染水にオゾン微細気泡を供給した場合の方が通常の曝気によってオゾンを供給した場合よりも著しく低下した。なお、同図に示す確認試験において、オゾンの濃度は42g/m、汚染水は3.5Lとした。
【0028】
図1Dに示すように、処理水の酸素飽和度(%)は、汚染水に超音波処理を施すことにより100%を超える値を示し、過飽和状態となった。特に、微細気泡を供給する際に超音波処理を併用した場合には、通常の曝気処理に超音波処理を併用した場合と比べると、よりいっそう過飽和状態となった。なお、同図では、オゾンではなく酸素の飽和度を測定しているが、オゾンの場合にも同様の効果、すなわち超音波処理を併用することによりオゾンの溶解を促進させる効果が期待できる。
【0029】
ところで、上記の各図面では明らかではないが、汚染水にオゾン微細気泡の浮上速度以上の流速を有する下降流を形成した場合には、下降流を形成しなかった場合と比べ、色度を所定の基準値以下にするために要するオゾンの注入量が少量で足りる結果を示した。
【0030】
以上の結果から、本発明の如く、汚染水にオゾン微細気泡の浮上速度以上の流速を有する下降流を形成した場合には、かかる下降流を形成しなかった場合と比べ、汚染水とオゾンとの反応効率が十分に向上すると推測される。
【0031】
また、超音波処理を併用することによりオゾンの溶解が促進し、汚染水とオゾンとの反応効率がよりいっそう向上すると推測される。
【0032】
===第二実施形態===
図2は、本発明の第二実施形態における汚染水の処理装置200を示す概略構成図である。但し、同図において、図1Aに示した第一実施形態と同一の箇所には同一の符号を付し、改良した箇所及び新たに付与した箇所にのみ新たな符号を付すこととし、本発明の主要部を中心に説明する。
【0033】
図2に示す汚染水の処理装置200は、図1Aに示した第一実施形態とほぼ同様の構成を有し、オゾン反応槽1と、供給管2と、排出管3と、オゾン発生器4と、微細気泡発生器5と、オゾン供給手段6と、導入管70と、導出管80と、を備えている。但し、本実施形態における汚染水の処理装置200では、図1Aに示した第一実施形態と異なり、導入管70は、オゾン反応槽1の下部側と微細気泡発生器5とを連結し該オゾン反応槽1から汚染水の一部を回収して微細気泡発生器5に導入する。また、導出管80は、微細気泡発生器5とオゾン反応槽1の上部側とを連結し微細気泡発生器5で生成されたオゾン微細気泡を含有する汚染水の一部をオゾン反応槽1に供給する。
【0034】
かかる汚染水の処理装置200は、供給管2及び導出管80を介してオゾン反応槽1に流入する汚染水の総流入量と、排出管3及び導入管70を介してオゾン反応槽1から流出する汚染水の総流出量と、を調節して、オゾン反応槽1内の汚染水に、オゾン微細気泡の浮上速度以上の流速を有する下降流を形成するものである。
【0035】
以上の構成によれば、汚染水がオゾン反応槽1内を循環することとなり、オゾン反応槽1内の汚染水に流速の大きな下降流を形成しやすくなる。その結果、オゾン反応槽1内の汚染水に、オゾン微細気泡の浮上速度以上の流速を有する下降流を形成することが容易となる。また、汚染水がオゾン反応槽1内を循環するため、オゾン反応槽1内において汚染水とオゾンとの反応が連続して繰り返されることとなり、汚染水とオゾンとの反応効率がよりいっそう向上する。さらに、微細気泡発生器5は、汚染水を導入管70及び導出管80を介してオゾン反応槽1内に循環させるため、循環ポンプと同様の機能を有する。従って、本実施形態の汚染水の処理装置200にあっては、別途、循環ポンプを設ける必要がなく、コストダウンにも寄与する。
【0036】
===第三実施形態===
図3は、本発明の第三実施形態における汚染水の処理装置300を示す概略構成図である。但し、同図において、図1Aに示した第一実施形態と同一の箇所には同一の符号を付し、改良した箇所及び新たに付与した箇所にのみ新たな符号を付すこととし、本発明の主要部を中心に説明する。
【0037】
図3に示す汚染水の処理装置300は、図1Aに示した汚染水の処理装置100とほぼ同様の構成を有し、オゾン反応器である配管10と、供給管2と、排出管3と、オゾン発生器4と、微細気泡発生器5と、オゾン供給手段6と、導入管7と、導出管8と、を備えている。但し、本実施形態における汚染水の処理装置300では、図1Aに示した第一実施形態と異なり、オゾン反応器が反応槽(例えば、図1Aのオゾン反応槽1参照)ではなく、上下に蛇行する配管10で構成されている。
【0038】
以上の構成によれば、汚染水が配管10内をオゾン微細気泡の浮上速度以上の流速で流れ、汚染水とオゾンとの接触の機会が著しく増加する。従って、本実施形態の汚染水の処理装置300にあっては、汚染水とオゾンとの反応効率がよりいっそう向上する。また、オゾン反応器が反応槽ではなく、配管10で構成されているため、スペースの縮小化を図ることも可能となり、コストダウンにも寄与することとなる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1A】本発明の第一実施形態における汚染水の処理装置を示す概略構成図である。
【図1B】処理水の色度測定結果を示すグラフである。
【図1C】処理水のCOD測定結果を示すグラフである。
【図1D】超音波処理を併用した場合における処理水の酸素飽和度測定結果を示すグラフである。
【図2】本発明の第二実施形態における汚染水の処理装置を示す概略構成図である。
【図3】本発明の第三実施形態における汚染水の処理装置を示す概略構成図である。
【符号の説明】
【0040】
1 オゾン反応槽
2 供給管
3 排出管
4 オゾン発生器
5 微細気泡発生器
6 オゾン供給手段
7,70 導入管
8,80 導出管
10 配管
100,200,300 汚染水の処理装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機物を含有する汚染水とオゾン微細気泡とを反応させて前記有機物を処理するオゾン微細気泡による汚染水の処理方法であって、
前記汚染水に、前記オゾン微細気泡の浮上速度以上の流速を有する下降流を形成することを特徴とするオゾン微細気泡による汚染水の処理方法。
【請求項2】
有機物を含有する汚染水とオゾン微細気泡とを反応させるオゾン反応器と、
前記オゾン反応器の上部側に接続され該オゾン反応器に前記汚染水を供給する供給管と、
前記オゾン反応器の下部側に接続され該オゾン反応器から反応後の前記汚染水を排出する排出管と、
オゾン発生器と、
直径50μm以下の微細気泡を発生させる微細気泡発生器と、
前記オゾン発生器と前記微細気泡発生器とを連結し前記オゾン発生器で発生したオゾンを前記微細気泡発生器に供給するオゾン供給手段と、
前記供給管と前記微細気泡発生器とを連結し該供給管内を流れる前記汚染水の一部を前記微細気泡発生器に導入する導入管と、
前記微細気泡発生器と前記オゾン反応器の上部側とを連結し前記微細気泡発生器で生成されたオゾン微細気泡を含有する前記汚染水の一部を前記オゾン反応器に供給する導出管と、を備え、
前記供給管及び前記導出管を介して前記オゾン反応器に流入する前記汚染水の総流入量と、前記排出管を介して前記オゾン反応器から流出する前記汚染水の流出量と、を調節して、前記オゾン反応器内の前記汚染水に、前記オゾン微細気泡の浮上速度以上の流速を有する下降流を形成することを特徴とするオゾン微細気泡による汚染水の処理装置。
【請求項3】
有機物を含有する汚染水とオゾン微細気泡とを反応させるオゾン反応器と、
前記オゾン反応器の上部側に接続され該オゾン反応器に前記汚染水を供給する供給管と、
前記オゾン反応器の下部側に接続され該オゾン反応器から反応後の前記汚染水を排出する排出管と、
オゾン発生器と、
直径50μm以下の微細気泡を発生させる微細気泡発生器と、
前記オゾン発生器と前記微細気泡発生器とを連結し前記オゾン発生器で発生したオゾンを前記微細気泡発生器に供給するオゾン供給手段と、
前記オゾン反応器の下部側と前記微細気泡発生器とを連結し該オゾン反応器から前記汚染水の一部を回収して前記微細気泡発生器に導入する導入管と、
前記微細気泡発生器と前記オゾン反応器の上部側とを連結し前記微細気泡発生器で生成されたオゾン微細気泡を含有する前記汚染水の一部を前記オゾン反応器に供給する導出管と、を備え、
前記供給管及び前記導出管を介して前記オゾン反応器に流入する前記汚染水の総流入量と、前記排出管及び前記導入管を介して前記オゾン反応器から流出する前記汚染水の総流出量と、を調節して、前記オゾン反応器内の前記汚染水に、前記オゾン微細気泡の浮上速度以上の流速を有する下降流を形成することを特徴とするオゾン微細気泡による汚染水の処理装置。
【請求項4】
請求項2又は3に記載のオゾン微細気泡による汚染水の処理装置において、
前記オゾン反応器は、配管で構成されていることを特徴とするオゾン微細気泡による汚染水の処理装置。
【請求項5】
請求項2から4のいずれかに記載のオゾン微細気泡による汚染水の処理装置において、
前記オゾン反応器は、前記下降流の作用によって自動的に回転駆動する攪拌用ファンを備えたことを特徴とするオゾン微細気泡による汚染水の処理装置。
【請求項6】
請求項2から5のいずれかに記載のオゾン微細気泡による汚染水の処理装置において、
前記オゾン反応器内の前記汚染水に、超音波を付与する超音波発生器を備えたことを特徴とするオゾン微細気泡による汚染水の処理装置。


【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図1A】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−260598(P2007−260598A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−90983(P2006−90983)
【出願日】平成18年3月29日(2006.3.29)
【出願人】(000000549)株式会社大林組 (1,758)
【Fターム(参考)】