説明

オゾン液変換装置、連通具および密閉容器

【課題】オゾン液の製造と滅菌済みの医療用容器等の密閉容器への移送と言った一連の作業を、外からの菌の侵入を招くことなく行うことができなく、オゾンを医療現場で積極的に活用することはできなかった。
【解決手段】密封容器3に収容された液体をオゾン液に変換するオゾン液変換装置1であって、両端が密封容器3と着脱自在に内部連通状態で接続され、密封容器3と共に液体循環経路を形成する液体閉鎖流路5と、液体閉鎖流路5の途中に配設されたオゾンガス取込み部11等と、液体に溶け込まなかったオゾンガスを経路外に排出するオゾンガス排出部27等とを備える。密封容器3内の液体はオゾン液に変換するが、オゾンガスは入り込まないので、容器が破損したりすることはなく、そのまま生理用食塩水や注射用水用の医療用バッグとして使用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オゾン液変換装置とその関連品に係り、特に医療用容器に収容された薬液にオゾンを溶け込ませるのに好都合なオゾン液変換装置と、その構成部品と、オゾンが溶け込んだ液体が収容された医療用容器等の密閉容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
注射(点滴=静脈注射含む)療法では、主に生理食塩水や注射用水が溶解用液として用いられ、特に感染症の注射療法では、抗生物質を添加して使用している場合が多い。而して、抗生物質を添加していても、菌を完全に遮断することは難しく、容器内で菌の増殖を許し、敗血症を引き起こした事故が報告されている。抗生物質の性質上、各抗生物質が有する抗菌スペクトル外の菌が生き残ったり、耐性菌の発現や増殖を助長したりしてしまうことと無縁ではないように思われる。
加えて、抗生物質を添加した場合には、使用後の廃液処理が面倒となる。
【0003】
一方、オゾンは強力な殺菌作用を有することが従来から知られており、現在ヨーロッパ諸国を中心にオゾン自家血療法、オゾン局所注射療法、オゾン直腸注入療法等のオゾン療法が試みられている。
然しながら、オゾンを抗生物質の代わりに添加する場合には、特許文献1に示すようなオゾン液の製造装置で予め薬液にオゾンを溶け込ませた後、さらに別の滅菌された医療用容器に移送する必要があり、その作業を菌の侵入を防いて所定の濃度を保ちながら行うことは難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−223404号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記したように、オゾンは有効且つ安全に使用できる濃度を保つことが非常に難しく、広く認められたオゾン療法はまだ確立されていない。生理食塩水、注射用水、および他の医療用容器に収容された薬液に、オゾンを安定した濃度で添加したものが利用できれば、あらゆる注射療法や既存のオゾン療法、さらに手術における術前、術中、術後の殺菌消毒にも有用と考えられる。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するために、オゾン液の製造と滅菌済みの医療用容器等の密閉容器への移送と言った一連の作業を、外からの菌の侵入を招くことなく行うことができる、新規且つ有用なオゾン液変換装置を提供することを目的とする。
また、本発明は、オゾン変換装置の取り扱いを一層容易にする、オゾン変換装置の構成部品を提供することを目的とする。
さらに、本発明は、オゾン変換装置により製造され、オゾンが溶け込んだ液体が収容された密閉容器、特に医療用密閉容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、密封容器に収容された液体をオゾン液に変換するオゾン液変換装置であって、両端が前記密封容器と着脱自在に内部連通状態で接続され、前記密封容器と共に液体循環経路を形成する液体閉鎖流路と、前記液体閉鎖流路の途中に配設されたオゾンガス取込み部と、前記液体閉鎖流路の途中で且つ前記オゾンガス取込み部の下流側に配設され、液体に溶け込まなかったオゾンガスを経路外に排出するオゾンガス排出部とを備え、前記密封容器から前記液体閉鎖流路に流出した液体に前記オゾンガス取込み部でオゾンを溶け込ませてオゾン液に変換し、前記オゾンガス排出部で溶け込まなかったオゾンガスを排出させた後に、前記オゾン液を前記密封容器内に戻すことで、前記密封容器に収容された液体をオゾン液に変換することを特徴とするオゾン液変換装置である。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載したオゾン液変換装置において、液体閉鎖流路の流路本体の両端に液体流出用と液体戻し用にそれぞれ導入針が内部連通状態で接続されており、密封容器としてセプタムの設けられたものを使用し、前記セプタムを前記導入針で穿刺することで前記液体閉鎖流路と前記密封容器とを接続し、前記導入針を抜き取ることで前記密封容器を密封状態に復元させることを特徴とするオゾン液変換装置である。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1または2に記載したオゾン液変換装置であって、 オゾンガス排出部は重力を利用した気液分離によりオゾンガスを排出し、オゾンガス取込み部の上流側に第1のチューブポンプが介挿され、前記オゾンガス排出部の下流側に第2のチューブポンプが介挿され、前記オゾンガス排出部での液位に応じて第2のチューブポンプの圧送量を制御させることを特徴とするオゾン液変換装置である。
【0010】
請求項4の発明は、請求項2に記載したオゾン液変換装置の一部を構成する連通具であって、2つの導入針が固定部に対してそれぞれ固定されて、前記2つの導入針間の位置関係が一定になっており、前記2つの導入針に流路本体の両端がそれぞれ着脱自在に接続されることを特徴とする連通具である。
【0011】
請求項5の発明は、請求項4に記載した連通具において、液体流出用導入針の針先側の突出寸法が、液体戻し用導入針の針先側の突出寸法よりも短いことを特徴とする連通具である。
【0012】
請求項6の発明は、請求項4また5に記載した連通具において、液体流出用導入針の針穴と液体戻し用導入針の針穴は互いに背を向けていることを特徴とする連通具である。
【0013】
請求項7の発明は、請求項1から3のいずれかに記載したオゾン液変換装置による変換作業により製造され、オゾンが液体に溶け込んでなる密閉容器である。
【0014】
請求項8の発明は、請求項7に記載した密閉容器において、医療用であることを特徴とする密閉容器である。
【発明の効果】
【0015】
本発明のオゾン液変換装置によれば、オゾン液の製造と医療用容器等の滅菌済みの密閉容器への移送と言った一連の作業を、外からの菌の侵入を招くことなく行うことができる。
また、本発明の連通具によれば、オゾン変換装置の取り扱いを一層容易にできる。
さらに、本発明のオゾン変換装置によれば、液体が収容された密閉容器、特に医療用容器をオゾンが溶け込んだものに変換できるので、そのまま医療用容器として利用することができる。
以上より、本発明によれば、医療現場で、抗生物質に代わってオゾンを積極的に活用できる途を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るオゾン変換装置全体の模式図である。
【図2】図1のオゾン変換装置の連通具の斜視図である。
【図3】図1のオゾン変換装置に取り付ける医療用バッグの断面図である。
【図4】図2の連通具と図3の医療用バッグとが内部連通するよう接続された状態を示す一部破断断面図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係るオゾン変換装置全体の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の第1の実施の形態に係るオゾン変換装置について、図面にしたがって説明する。
図1は装置全体の模式図であり、符号1はオゾン変換装置全体を示す。
このオゾン変換装置1は、医療現場に設置することを想定して設計されたものであり、密閉容器として医療用バッグ3が接続されている。この医療用バッグ3には、点適用の生理食塩水Lが収容されている。
【0018】
先ず、オゾン変換装置1の構成について説明する。
符号5は液体閉鎖流路を示し、この液体閉鎖流路5には流路本体7が設けられている。流路本体7は滅菌済みの可撓性チューブで構成されている。この流路本体7は複数のチューブが接続されてなり、オゾンが入り込んでいる経路部分はオゾン耐性のもので構成されている。
符号9は液体の強制循環手段としてのチューブポンプを示し、このチューブポンプ9は流路本体7の下流端寄りに介挿されている。このチューブポンプ9の作動により、流路本体7内を生理食塩水Lが矢印に示す方向に流れるようになっている。
【0019】
符号11は気液混合部を示し、この気液混合部11は流路本体7の途中にチューブポンプ9より下流側で配設されている。この気液混合部11には、ガス供給ライン13の一端(エジェクタ)が接続されており、ガス供給ライン13の他端には医療用酸素ボンベ15が接続されている。ガス供給ライン13には上流側から、圧力弁17、流量調節器19、圧力スイッチ21、給気弁23、オゾンガス発生部25が配設されており、給気弁23が開かれると、医療用酸素ボンベ15に蓄積された酸素ガスが圧力弁17で所定の圧力に減圧され、流量調節器19で所定の流量となった後、オゾンガス発生部25に向けて送給されるようになっている。
【0020】
圧力スイッチ21はLow Pressure Switchであり、医療用酸素ボンベ15の内部の酸素が消耗して少なくなり、圧力弁17で設定された圧力より下がってオゾンガス発生部25に規定圧力の純酸素を供給できなくなった場合にオゾンガス発生部25を停止すると共にエラー表示する。
オゾンガス発生部25は酸素を無声放電によりオゾンに転化するものであり、放電ユニットが備えられている。
上記構成部品とガス供給ライン13により、ガス取込み部が構成されている。
【0021】
符号27は気液分離部を示し、この気液分離部27は流路本体7の途中に気液混合部11より下流側で配設されている。この気液分離部27は槽構造をしており、重力を利用して気液分離作用を働かせるため、槽内上方に気液分離された気体、主にオゾンガスが流出できるだけの逃げ空間が確保されるような大きさに設計されている。この気液分離部27には液位センサー28が備えられており、液位が常時監視される。
符号29は排オゾン処理部を示し、この排オゾン処理部29にはオゾンを酸化して酸素に戻す触媒、例えばマンガン酸化物やパラジウム酸化物が備えられている。また、触媒の働きを活発にするために適宜作動するヒーターが備えられている。排オゾン処理部29には、気液分離部27の上部から延びたオゾンガス排出配管から溶け込まなかったオゾンガスが流入するので、そこでオゾンが分解されて無害な酸素になった後、大気中に放出されるようになっている。
上記構成部品により、オゾンガス排出部が構成されている。
【0022】
符号31はオゾン濃度計、この例では紫外線吸収方式のものを示し、このオゾン濃度計31は溶存オゾン濃度を測定するようになっている。オゾン濃度計31は濃度に比例してオゾンガス発生部25を制御するようになっており、オゾンガス発生部25では生理食塩水に常時所定濃度のオゾンを溶け込ませるようになっている。
符号32はピンチバルブを示し、このピンチバルブ32はオゾン濃度計31と、気液混合部11の間に介挿されている。
【0023】
説明を流路本体7に戻すと、符号33、35は薬液の導入針を示し、この導入針33、35が流路本体7の両端に差し込まれて接続されている。
図2にしたがって詳細に説明すると、導入針33、35は長さ寸法を除いて同じ寸法になっている。従って、導入針33について代表して説明する。導入針33の基端側の端部には、医療用バッグ3の先端部に形成された薬液注入口を封止するセプタム51(後で詳述)を貫くための刃先37が形成されている。刃先37は、この実施の形態では、導入針33の端部を斜めにカットすることにより形成されており、針穴39は楕円形になっている。
【0024】
符号41は円形テーブル状の固定部を示し、この固定部41の2つの穴に導入針33、35が挿通され、溶接等の適宜な固着手段により固着されて一体の連通具43になっている。
固定部41からの導入針33の針先側、すなわち刃先側の突出寸法(n1)は、導入針35の刃先側の突出寸法(n2)より短くなっている。
また、導入針33、35の針穴39は互いに背を向けている。
導入針33が医療用バッグ3から流路本体7への液体流出用に、導入針35が流路本体7から医療用バッグ3への液体戻し用に用いられる。
連通具43は、耐オゾン性および滅菌処理のために耐熱性を考慮して、チタン材で形成されている。なお、耐オゾン性および耐熱性を有する材料として使用可能なものは、チタン材に限定されるわけではなく、例えば、金属であればステンレスが、樹脂であればPFA(四フッ化エチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体が使用可能である。
【0025】
図1に示すように、オゾン変換装置1は、本体部と、その余の医療用酸素ボンベ15側とに分離される。また、本体部から脱着部は脱着できるようになっており、脱着部だけを滅菌処理したり、流路本体7のうちオゾンガスが流入する部分など疲労度の高い部分のチューブを適宜交換したりできるようになっている。
【0026】
次に、医療用バッグ3の構成について、図3にしたがって説明する。
医療用バッグ3は従来からの医療現場で薬液を収容するために慣用されているものであり、軟質のバッグ本体45と、バッグ本体45の下端部に装着された口栓部47とからなる。口栓部47の管状ポート49の下端開口には弾性栓体としてのセプタム51が嵌着され固定されている。
セプタム51は、導入針33、35が挿抜自在なものであり、例えばブチルゴム、 イソプレンゴム、熱可塑性エラストマー等で構成されている。導入針33、35を穿刺した後に抜き取ると、セプタム51は閉じられ、医療用バッグ3内を密封状態に戻す。
セプタム51には、図示のようにエックステンションチューブ53も穿刺されていてもよい。
【0027】
オゾン変換装置1の液体閉鎖流路5の導入針33、35と、医療用バッグ3との接続方法について説明する。
連通具43の導入針33、35の刃先37でセプタム51を穿孔すると共に、固定部41をセプタム51の下面に当接させると、図4に示す状態になる。
この状態で、液体閉鎖流路5は医療用バッグ3と内部連通状態で接続されたことになり、液体循環経路が形成される。医療用バッグ3内で、導入針33の刃先37はセプタム51から僅かに突出しただけで管状ポート49の下端側に留まっているが、導入針35の刃先37は管状ポート49の上端付近まで延びている。また、医療用バッグ3内で、導入針33と導入針35の針穴39は互いに背を向けている、すなわち対向していない。
【0028】
次に、オゾン変換装置1の運転による、医療用バッグ3に収容された生理食塩水Lのオゾン液への変換作業について説明する。
このオゾン変換装置1では、医療用バッグ3からの自然流下(重力流下)によって気液分離部27に流入する流量は、チューブポンプ9の圧送量と同程度になるようにオリフィスが確保されている。
従って、オゾン変換装置1の運転を開始すると、ピンチバルブ32が開いて生理食塩水Lは液体閉鎖流路5を通って気液分離部27の液位センサー28のセンシング位置まで充填される。そのセンシング位置まで充填されると、チューブポンプ9が起動して循環を開始する。チューブポンプ9は液位センサー28からの液位情報に基づいて圧送量が制御されるので、気液分離部27では所定の液位範囲内に維持されるようになっている。オゾン変換装置1が停止すると、チューブポンプ9が停止すると共に、ピンチバルブ32が閉じるので、医療用バッグ3内の液体が気液分離部27に流入することはない。
【0029】
医療用バッグ3に収容された生理食塩水Lは、導入針33を介して液体閉鎖流路5に流出し、気液混合部11でオゾンガスが吹き込まれ混合されて、オゾン液Bに変換され、気液分離部27で溶け込まなかったオゾンガスが分離される。その後に、オゾン液Bは、導入針35を介して医療用バッグ3内に戻される。
導入針33と導入針35の管状ポート49内での突出寸法が異なり、オゾンガスが溶解したオゾン液Bを吐き出す側の導入針35の針穴39が相対的に高い位置にあり、しかも導入針33と導入針35の針穴39は互いに背を向けているので、導入針35から吐き出されたオゾン液Bがそのまま導入針33側に吸い込まれること、すなわちショートパスが発生することはない。
【0030】
また、オゾン濃度計31からの濃度情報に基づいてオゾンガス発生部25が制御されることにより常に一定濃度のオゾン液Bが生成される。そのため、所定の運転立ち上がり期間を経過した後は、医療用バッグ3内のオゾン濃度は一定に維持されることになる。したがって、オゾン変換装置1を運転しながら、並行してエックステンションチューブ53から出力して使用することができる。
生理食塩水Lは半減期が約20分と比較的短く、しかも、半減期は塩化ナトリウム成分にも影響を大きく受けることから、オゾン液Bを並行して出力して使用することが望ましい。
【0031】
医療用バッグ3に収容された生理食塩水Lはオゾン液Bに変換しているが、医療用バッグ3自体の形状は何ら変わらない。
従って、医療従事者は、点滴用の導入針でセプタム51を再び穿孔させることで、従来と同じように、後から利用することもできる。その際オゾンは漏れ出すことはないので、安全である。
注射用水などのように半減期が長い場合には、予めオゾン水のバッグを複数準備しておくことで、治療現場での作業効率を上げることができる。
【0032】
本発明の第2の実施の形態に係るオゾン変換装置について、図5にしたがって説明する。
図5は装置全体の模式図であり、符号61はオゾン変換装置全体を示す。
このオゾン変換装置61は、第1の実施の形態に係るオゾン変換装置1と同じ構成部分を有しているので、同じ構成部分は同じ符号を付して説明を省略し、異なる部分についてのみ以下で説明する。
【0033】
符号63は第2のチューブポンプを示し、このチューブポンプ63は流路本体7の上流端寄りに、第1の実施の形態のピンチバルブ32に代わって介挿されている。
【0034】
オゾン変換装置61の運転を開始すると、チューブポンプ63が起動して生理食塩水Lは液体閉鎖流路5を通って気液分離部27の液位センサー28のセンシング位置まで充填される。そのセンシング位置まで充填されると、チューブポンプ9が起動して循環を開始する。チューブポンプ9は液位センサー28からの液位情報に基づいて圧送量が制御されるので、気液分離部27では所定の液位範囲内に維持されるようになっている。
オゾン変換装置61が停止すると、チューブポンプ63が停止するので、医療用バッグ3内の液体が気液分離部27に流入することはない。
【0035】
以上、本発明の実施の形態について詳述してきたが、具体的構成は、この実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計の変更などがあっても発明に含まれる。
例えば、密閉容器の開閉手段はセプタムに限定されず、例えば、予め剛性の口部が形成された栓部とそれを閉塞する蓋体のような組み合わせでもよい。但し、セプタムを使用した場合には、導入針の外周とセプタムが常時隙間なく接触することになるが、上記した口部を使用した場合には、導入針の導入進行時には導入針の外周と口部との間には隙間ができるので、セプタムを使用した方が導入針の密閉容器への接続時に菌が密閉容器内に侵入し難くなると思われる。従って、医療用の場合にはセプタムを使用することが推奨される。
【実施例】
【0036】
上記したオゾン変換装置1を用いて、25℃の周囲温度下、医療用バッグ3に収容された500mL注射用水に、オゾンガス濃度:150g/Nm、オゾンガス発生量:1g/hの条件で、オゾンを溶け込ませたところ、運転開始後60秒間で4.02ppmに到達した。
医療用バッグ3から採取したオゾン水の半減期は300分後であった。
一方、従来の一般的なオゾン水製造装置で上記と同じオゾン濃度になるように生成されたオゾン水を上記開口タイプの容器に採取した場合、半減期は30分後であった。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明のオゾン変換装置は、少量且つ単発的なオゾン液の使用分野、特に医療分野に利用可能である。
【符号の説明】
【0038】
1…オゾン変換装置(第1の実施の形態)
3…医療用バッグ 5…液体閉鎖流路
7…流路本体 9…(第1の)チューブポンプ
11…気液混合部 13…ガス供給ライン
15…医療用酸素ボンベ 17…圧力弁
19…流量調節器 21…圧力スイッチ
23…給気弁 25…オゾンガス発生部
27…気液分離部 28…液位センサー
29…排オゾン処理部 31…オゾン濃度計
32…ピンチバルブ 33、35…導入針
37…刃先 39…針穴
41…固定部 43…連通具
45…バッグ本体 47‥口栓部
49…管状ポート 51…セプタム
53…エックステンションチューブ
61…オゾン変換装置(第2の実施の形態)
63…第2のチューブポンプ
L…生理食塩水 B…オゾン液

【特許請求の範囲】
【請求項1】
密封容器に収容された液体をオゾン液に変換するオゾン液変換装置であって、
両端が前記密封容器と着脱自在に内部連通状態で接続され、前記密封容器と共に液体循環経路を形成する液体閉鎖流路と、
前記液体閉鎖流路の途中に配設されたオゾンガス取込み部と、
前記液体閉鎖流路の途中で且つ前記オゾンガス取込み部の下流側に配設され、液体に溶け込まなかったオゾンガスを経路外に排出するオゾンガス排出部とを備え、
前記密封容器から前記液体閉鎖流路に流出した液体に前記オゾンガス取込み部でオゾンを溶け込ませてオゾン液に変換し、前記オゾンガス排出部で溶け込まなかったオゾンガスを排出させた後に、前記オゾン液を前記密封容器内に戻すことで、前記密封容器に収容された液体をオゾン液に変換することを特徴とするオゾン液変換装置。
【請求項2】
請求項1に記載したオゾン液変換装置において、
液体閉鎖流路の流路本体の両端に液体流出用と液体戻し用にそれぞれ導入針が内部連通状態で接続されており、
密封容器としてセプタムの設けられたものを使用し、
前記セプタムを前記導入針で穿刺することで前記液体閉鎖流路と前記密封容器とを接続し、前記導入針を抜き取ることで前記密封容器を密封状態に復元させることを特徴とするオゾン液変換装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載したオゾン液変換装置であって、
オゾンガス排出部は重力を利用した気液分離によりオゾンガスを排出し、
オゾンガス取込み部の上流側に第1のチューブポンプが介挿され、前記オゾンガス排出部の下流側に第2のチューブポンプが介挿され、
前記オゾンガス排出部での液位に応じて第2のチューブポンプ圧送量を制御させることを特徴とするオゾン液変換装置。
【請求項4】
請求項2に記載したオゾン液変換装置の一部を構成する連通具であって、
2つの導入針が固定部に対してそれぞれ固定されて、前記2つの導入針間の位置関係が一定になっており、前記2つの導入針に流路本体の両端がそれぞれ着脱自在に接続されることを特徴とする連通具。
【請求項5】
請求項4に記載した連通具において、
液体流出用導入針の針先側の突出寸法が、液体戻し用導入針の針先側の突出寸法よりも短いことを特徴とする連通具。
【請求項6】
請求項4また5に記載した連通具において、
液体流出用導入針の針穴と液体戻し用導入針の針穴は互いに背を向けていることを特徴とする連通具。
【請求項7】
請求項1から3のいずれかに記載したオゾン液変換装置による変換作業により製造され、オゾンが液体に溶け込んでなる密閉容器。
【請求項8】
請求項7に記載した密閉容器において、医療用であることを特徴とする密閉容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−286690(P2009−286690A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【公開請求】
【出願番号】特願2009−189750(P2009−189750)
【出願日】平成21年8月19日(2009.8.19)
【出願人】(309002499)株式会社ヒューマンエンパワーメント (1)
【Fターム(参考)】