説明

オゾン発生装置

【課題】使用場所の気温による破損を防止する。
【解決手段】供給されるガスを連続的に除湿可能な除湿手段131と、除湿手段131で除湿されたガスが供給され、オゾンを発生させる反応器14と、供給されるガスの温度が閾値より高い場合、除湿手段131で除湿したガスを反応器14に導入させ、供給されるガスの温度が閾値より低い場合、除湿手段131にガスを供給せずに、供給されるガスを反応器14に導入する制御手段とを備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はオゾンを発生するオゾン発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、医療機器や上下水の殺菌等でオゾンが利用されている。また、脱臭装置としてもオゾンが利用されることもある。このように利用されるオゾンは、オゾン発生装置によって発生させている。
【0003】
オゾン発生装置は、従来は室内に設置されて利用されるのが一般的であったが、近年では、その利用分野も広がり、屋外等の温度や湿度の管理が難しい場所で利用することもある。例えば、自動車に利用するオゾン発生装置が挙げられる。また、自動車に利用するオゾン発生装置は、省スペースかつ省エネルギーが重視される(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
オゾン発生装置では、反応器内にガスを供給し、放電を発生してオゾンを発生するものがあるが、反応器内を除湿する必要がある。すなわち、反応器内に湿気がある場合、オゾン発生のために放電を発生しても、湿気がない場合と比較すると、オゾンの発生量は著しく低下する。また、湿気が残存した状態で放電を続けた場合、電解質が反応器内で析出し、電極間の短絡等、反応器の破損の原因につながるおそれもある。
【0005】
湿気による弊害を防止するため、オゾン発生装置では、除湿手段で除湿したガスを反応器に供給し、この乾燥ガスを反応器内に流通させることで反応器を乾燥状態に保つことができる。反応器に供給するガスにはオゾン発生装置周囲の大気を利用することが一般的である。したがって、オゾン反応器が気温の低い場所に存在する場合、温度の低いガスが除湿手段に供給される。除湿手段の内部には、ガスから除いた湿気が残留していることがあるため、起動時に温度の低いガスが除湿手段に供給されると、除湿手段内が凍結破損するおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−21592号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように、従来のオゾン発生装置では、気温の低い場所で使用した場合に内部に破損が生じることがあった。
【0008】
上記課題に鑑み、使用場所の気温による破損を防止するオゾン発生装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、供給されるガスを連続的に除湿可能な除湿手段と、前記除湿手段で除湿されたガスが供給され、オゾンを発生させる反応器と、供給されるガスの温度が閾値より高い場合、前記除湿手段で除湿したガスを前記反応器に導入させ、供給されるガスの温度が閾値より低い場合、前記除湿手段にガスを供給せずに、供給されるガスを前記反応器に導入する制御手段とを備える。
【0010】
請求項2記載の発明は、供給されるガスの温度が閾値より低い場合、前記除湿手段を加温する加温手段を備え、前記制御手段は、供給されるガスの温度が閾値より低い場合であっても、前記除湿手段の温度が第2閾値より高くなったとき、供給されるガスを前記除湿手段に供給する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、使用場所の気温による破損を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施形態に係るオゾン発生装置について説明する図である。
【図2】図1のオゾン発生装置の中空糸膜ユニットについて説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明のオゾン発生装置の各実施形態について説明する。以下の各実施形態についての説明において、同一の構成については同一の符号を付して説明を省略する。例えば、実施形態に係るオゾン発生装置は、自動車に設置されるNOx除去のためのオゾンを発生する装置である。NOx除去のためのオゾン発生装置の場合、オゾン発生装置は、自動車のエンジンの運転の開始に合わせて、動作が開始する。
【0014】
図1に示すように、実施形態に係るオゾン発生装置1は、オゾン発生に使用するガスが供給されて埃等を除去するエアフィルタ11と、エアフィルタ11を通過したガスに圧力を加えるコンプレッサ12と、コンプレッサ12で圧力が加えられたガスを除湿する除湿部13と、除湿部13で除湿されたガスを利用してオゾンを発生させる反応器14と、エアフィルタ11、コンプレッサ12、除湿部(除湿手段)13及び反応器14とが内部に配置される筺体15とを備えている。オゾン発生装置1はその他、除湿部13でガスから除去された水分を排出する排水手段、内部を冷却する冷却手段、各手段を動作させる為の電力を供給する電源や、電源と各手段を接続するケーブル等を備えているが、それらについては図1では図示を省略している。
【0015】
このオゾン発生装置1には、ラインL1を介して空気等のオゾンの発生に利用されるガスが供給される。このオゾン発生装置1に供給されるガスには、埃等が含まれているため、エアフィルタ11を通過させる。エアフィルタ11で埃や塵等が除去されたガスは、ラインL2を介してコンプレッサ12に供給されて、圧力が加えられた後にラインL31を介して除湿部13に供給される。
【0016】
除湿部(除湿手段)13には、ラインL31を介して供給される湿気(水分)を含むガスを除湿し、湿気が除かれたガスをラインL41を介して排出する中空糸膜ユニット131と、センサ133の計測結果に応じてラインL31に設置されるバルブB1、ラインL32に設置されるバルブB2及びラインL41に設置されるバルブB3の開閉を制御する制御手段134とを備えている。また、図1に示す例では、除湿部13は、温度を計測するセンサ133を備えている。
【0017】
中空糸膜ユニット131は、一般的な中空糸膜を備える除湿手段である。中空糸膜ユニット131では、例えば、図2に示すように、膜131aによって内部をガスが通過できるような流路が形成されている。この膜131aで形成された流路を湿気を含むガスが通過する際には、湿気は膜131a外に排出され、湿気が除かれたガスのみが中空糸膜ユニット131から排出される。ここで、膜131aの間を通過するガスは、コンプレッサ12で加えられた圧力によって膜131aの間を通過することができる。
【0018】
センサ133は除湿部13へ供給されるガスの温度を計測する温度センサである。センサ133は、除湿部13内に設置される必要はなく、制御手段134がセンサ133で計測された値を入力することができればよい。
【0019】
ここで、中空糸膜ユニット131の膜131aの外周には、ガスから除かれた湿度が存在することがある。この湿度は、パージによって中空糸膜ユニット131から排出されるが、膜131aの表面に水分(湿気)が存在するときに温度の低いガスが供給されて中空糸膜ユニット131内の温度が低下すると、膜131aが凍結破損することがある。したがって、除湿部13では、センサ133で計測された温度が膜131aが凍結破損する可能性がある閾値を超える場合、中空糸膜ユニット131を使用せずに、ラインL32を介してガスを排出する。これは、温度が低いガスが含む湿気の量は微量であるため、センサ133で、測定された温度がこの閾値を超える場合には除湿せずに反応器14へ供給してもオゾンの発生量の低下等の影響を及ぼさないためである。
【0020】
オゾン発生装置1では、制御手段134は、センサ133の計測値が、中空糸膜ユニット131が凍結破損するおそれのある温度として予め定められた閾値(例えば、−5℃)より高い場合、バルブB1及びバルブB3を開状態に制御し、バルブB2を閉状態に制御する。これにより、図1(a)に示すように、コンプレッサ12から供給されるガスは、中空糸膜ユニット131に供給され、除湿された後に反応器14へ送出される。
【0021】
また、制御手段134は、センサ133の計測値が、中空糸膜ユニット131が凍結破損するおそれのある温度として予め定められた閾値より低い場合、バルブB1及びバルブB3を閉状態に制御し、バルブB2を開状態に制御する。これにより、図1(b)に示すように、コンプレッサ12から供給されるガスは、中空糸膜ユニット131には供給されずに、ラインL32を経由して反応器14へ送出される。
【0022】
その他、除湿部13が図1に示すように中空糸膜ユニット131を加温するヒータ135を備えている場合、制御手段134は、センサ133の計測値が予め定められた閾値より低い場合、中空糸膜ユニット131を加温するように制御してもよい。この場合、制御手段134は、中空糸膜ユニット131(膜131a)を凍結破損しない温度(第2閾値)に加温すると、バルブB1を開に制御して中空糸膜ユニット131内にガスを供給してパージした後に、バルブB3を開に制御するとともに、バルブB2を閉に制御してラインL32を通過したガスではなく、中空糸膜ユニット131で除湿されたガスを反応器14に供給するようにしてもよい。
【0023】
このように、膜131aを凍結破損しない温度にまで加温することができれば、低温のガスを供給した場合でも中空糸膜ユニット131を破損させることもない。また、反応器14に供給するガスから僅かな湿気をも除くことができるため、反応器14でのオゾンの発生量を増加させることができる。
【0024】
なお、中空糸膜ユニット131を加温するヒータ135は、中空糸膜ユニット131の加温用に独立して設置されるものの他、オゾン発生装置1の既存の手段を熱源として応用することもできる。例えば、コンプレッサ12で発生した熱を中空糸膜ユニット131の加温に利用してもよい。
【0025】
反応器14は、このようにして除湿部13から送出されたガスがラインL41を介して供給されると、オゾンを発生させて、オゾンを含むガスをラインL5を介して排出する。このオゾン発生装置1がNOx除去のためのオゾンの発生に利用されるものである場合、ラインL5から排出されたガスに含まれるオゾンは、NOx除去に利用される。なお、筺体15の形状や材質は限定しないが、埃、塵、湿気等が内部に入らないように密閉されていることが好ましい。
【0026】
なお、図示を省略するが、反応器14と接続されるラインL5にもバルブが設置されており、オゾン発生装置1が動作中にはガスが通過するように開状態にし、オゾン発生装置1が停止した際には湿気が反応器14やラインL41,L5に混入しないようにバルブを閉状態にすることが好ましい。このとき、中空糸膜ユニット131に乾燥したガスを供給して内部の湿気を外部にパージした後でバルブを閉状態にし、中空糸膜ユニット131を封止することが好ましい。
【0027】
さらに、上述した例では、除湿部13が備える除湿手段の一例として中空糸膜ユニット131を用いて説明したが、中空糸膜ユニット131に代えて、連続的に除湿が可能な他の除湿手段を利用してもよい。この際、例えば、エアコンを利用した除湿手段を利用することが考えられるが、軽量、小型、かつ消費エネルギーが少ない除湿手段を利用することが望ましい。
【0028】
さらに、本実施形態ではバルブを2個以上組み合わせているが、三方弁を使用して流出方向を変えることができる。
【0029】
上述したように、実施形態に係るオゾン発生装置1では、オゾン発生装置1に導入するガスの温度を計測し、計測された値が除湿手段131が凍結破損するおそれのある場合には、除湿処理を行なわずに反応器へ供給している。したがって、オゾン発生装置1において、ガスの温度が低いことによる破損を防止することができる。
【0030】
以上、各実施形態を用いて本発明を詳細に説明したが、本発明は本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載及び特許請求の範囲の記載と均等の範囲により決定されるものである。
【符号の説明】
【0031】
1…オゾン発生装置
11…エアフィルタ
12…コンプレッサ
13…除湿部
131…中空糸膜ユニット
131a…膜
133…センサ
134…制御手段
135…ヒータ
14…反応器
15…筺体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給されるガスを連続的に除湿可能な除湿手段と、
前記除湿手段で除湿されたガスが供給され、オゾンを発生させる反応器と、
供給されるガスの温度が閾値より高い場合、前記除湿手段で除湿したガスを前記反応器に導入させ、供給されるガスの温度が閾値より低い場合、前記除湿手段にガスを供給せずに、供給されるガスを前記反応器に導入する制御手段と、
を備えることを特徴とするオゾン発生装置。
【請求項2】
供給されるガスの温度が閾値より低い場合、前記除湿手段を加温する加温手段を備え、
前記制御手段は、供給されるガスの温度が閾値より低い場合であっても、前記除湿手段の温度が第2閾値より高くなったとき、供給されるガスを前記除湿手段に供給する
ことを特徴とする請求項1記載のオゾン発生装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−75792(P2013−75792A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−216942(P2011−216942)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】