説明

オフセットパラボラアンテナ取付用のアンテナ装置

【課題】安価,省スペースで且つ取付けの容易なアンテナ装置を提供する。
【解決手段】アンテナ装置において,該アンテナ装置は受信可能状態に設置してあるオフセットパラボラアンテナの少なくとも上半分の周縁に取付ける為のアンテナ支持体と,該アンテナ支持体に保持されたアンテナ支柱と,該アンテナ支柱に着脱自在に固着したアンテナと,からなり,このアンテナ装置をオフセットパラボラアンテナの少なくとも上半分の周縁に取付けた時に,前記アンテナ支柱の軸線が鉛直に立設するように,前記アンテナ支柱が前記アンテナ支持体に対して可倒自在に固着すると共に,前記アンテナ支柱の寸法は,前記オフセットパラボラアンテナの電波到来方向を遮らない位置に前記アンテナが配設されるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,主にテレビ信号の受信に利用されるアンテナ装置に関し,詳しくはオフセットパラボラアンテナ取付用のアンテナ装置の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のテレビ共同受信においては,VHF用のアンテナ,UHF用のアンテナ,BSなどの衛星受信用アンテナ等を屋根の上に設置したアンテナ支柱に取り付け,各信号を混合器で混合するなどした後に同軸ケーブルによって受信信号が宅内に引き込まれるように構成されていた。(例えば,特許文献1参照)
ところが,衛星コンバーターの特性向上などによって衛星アンテナの小型化が進むと共に,パラボラ鏡面がアルミ材を使って形成されるなど軽量化も進み,一般ユーザーであっても例えばアンテナ支持装置をベランダ等に設置して衛星アンテナを取付けることも多くなってきた。(例えば,特許文献2参照)
ところが従来のUHF帯の地上アナログ放送に加えて,同じUHF帯の電波を使った地上ディジタル放送が開始されることになり,上述のようなテレビ共同受信システムには,この地上ディジタル放送を受信するためにUHFアンテナを新たにシステムに設置したり,地域においては従来の地上アナログ放送とは異なる送信塔からの地上ディジタル放送の電波を受信するために,更にUHFアンテナを追加したりする需要が生じてきた。
また,この地上ディジタル放送を受信するためには,小型アンテナで受信可能な地域もあり,この場合においてもベランダに取付けたアンテナ支持装置のアンテナ支柱に衛星アンテナに加えてUHFアンテナを取付ければ簡単に設置できる。(例えば,特許文献3参照)
【0003】
【特許文献1】特開平9−275513号公報
【特許文献2】特開平2002−280814号公報
【特許文献3】特開平2003−008316号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし,従来のアンテナ支柱一本に全てのアンテナを取付けて受信するテレビ共同受信システムのように,新しく追加するアンテナを既設のアンテナ支柱に取付けるには,大幅な改修工事が必要となり,一般ユーザーにおいて取付するためには危険を伴うものであった。
また,取付けを簡単に行なうためにベランダ等に取付けるためには,上述のような地上ディジタル放送受信用のアンテナ用に,ベランダへの取付けを簡単にするアンテナ支持装置を購入して取付けるか,衛星アンテナをベランダ等に取付ける為の既設のアンテナ支持装置を,アンテナが2つ取り付けられるものに変更することが必要となり,地上ディジタル放送を見るために経費がかさむといった問題があった。
そこで本願においては,こうした問題点を解決するためになされたものであり,
その目的は,小型アンテナと該アンテナを支持するアンテナ支持装置とからなるアンテナ装置を提供することにある。
他の目的は,オフセットパラボラアンテナに取付け可能なアンテナ装置を提供することにある。
他の目的は,オフセットパラボラアンテナに取付け可能な地上ディジタル放送用のアンテナ装置を提供することにある。
他の目的及び利点は,図面及びそれに関した以下の説明により容易に明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために,請求項1の発明は,アンテナ装置において,受信可能状態に設置してあるオフセットパラボラアンテナの少なくとも上半分の周縁に取付ける為のアンテナ支持体と,該アンテナ支持体に保持されたアンテナ支柱と,該アンテナ支柱に着脱自在に固着したアンテナと,から構成される。
【0006】
請求項2の発明は,請求項1に記載のオフセットパラボラアンテナ取付用のアンテナ装置において,前記アンテナ装置を受信可能状態に設置してあるオフセットパラボラアンテナの少なくとも上半分の周縁に取付けた時に,前記アンテナ支柱の軸線が鉛直に立設するように,前記アンテナ支柱が前記アンテナ支持体に対して可倒自在に固着できるように構成される。
【0007】
請求項3の発明は,請求項1又は請求項2に記載のオフセットパラボラアンテナ取付用のアンテナ装置において,前記アンテナ支柱の寸法は,前記オフセットパラボラアンテナの電波到来方向を遮らない位置に前記アンテナが配設されるように規定するように構成される。
【0008】
請求項4の発明は,請求項1乃至請求項3に記載のオフセットパラボラアンテナ取付用のアンテナ装置において,前記アンテナ装置はUHF帯用の信号受信用であるように構成される。
【0009】
請求項5の発明は,請求項1乃至請求項4に記載のオフセットパラボラアンテナ取付用のアンテナ装置において,前記アンテナ装置は受信可能状態に設置してあるオフセットパラボラアンテナの少なくとも上半分の周縁に取付けるように構成した。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば,アンテナ装置において,受信可能状態に設置してあるオフセットパラボラアンテナの少なくとも上半分の周縁に取付ける為のアンテナ支持体と,該アンテナ支持体に保持されたアンテナ支柱と,該アンテナ支柱に着脱自在に固着したアンテナと,から構成したので,
コストが安価で且つ省スペースにアンテナ装置を取付けることができる。
【0011】
請求項2の発明によれば,請求項1に記載のオフセットパラボラアンテナ取付用のアンテナ装置において,前記アンテナ装置を受信可能状態に設置してあるオフセットパラボラアンテナの少なくとも上半分の周縁に取付けた時に,前記アンテナ支柱の軸線が鉛直に立設するように,前記アンテナ支柱が前記アンテナ支持体に対して可倒自在に固着できるように構成したので,
衛星アンテナの設置の状態においてアンテナ装置を正しく鉛直に設置することができる。
【0012】
請求項3の発明によれば,請求項1又は請求項2に記載のオフセットパラボラアンテナ取付用のアンテナ装置において,前記アンテナ支柱の寸法は,前記オフセットパラボラアンテナの電波到来方向を遮らない位置に前記アンテナが配設されるように規定するように構成したので,
既存の衛星からの信号の受信に影響することなく,コストが安価で且つ省スペースにアンテナ装置を取付けることができる。
【0013】
請求項4の発明によれば,請求項1乃至請求項3に記載のオフセットパラボラアンテナ取付用のアンテナ装置において,前記アンテナ装置はUHF帯用の信号受信用であるように構成したので,
新しく開始された地上ディジタル放送の電波を受信するために,コストが安価で且つ省スペースにアンテナ装置を提供することができる。
【0014】
請求項5の発明によれば,請求項1乃至請求項4に記載のオフセットパラボラアンテナ取付用のアンテナ装置において,前記アンテナ装置は受信可能状態に設置してあるオフセットパラボラアンテナの少なくとも上半分の周縁に取付けるように構成したので,
例えば,ベランダ等に取付けられたオフセットパラボラアンテナに本発明のアンテナ装置を取付ける特に,ベランダの手すりから大きく上体を乗り出すことなく取付けができることから,取付けが容易で,特に取付時の安全性において優れたアンテナ装置を提供できるのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に,本発明を具体化した実施形態の例を,図面を基に詳細に説明する。
図1(a)は本発明に係るオフセットパラボラアンテナ取付用のアンテナ装置の第1実施例を示す側面図であり,(b)は(a)におけるA―A線断面図である。図2(a)は本発明の異なる例であり,(b)は(a)におけるB−B線断面図である。図3(a)はアンテナ装置をオフセットパラボラアンテナ取付用のアンテナ装置の第2実施例を示す側面図であり,(b)は(a)におけるC−C線断面図である。図4(a)は異なる実施例を示し,(b)は(a)におけるD−D線断面図である。図5は第2実施例のアンテナ支持装置の要部を拡大した断面図である。図6は本発明のアンテナ装置をオフセットパラボラアンテナに設置したときの側面図を示す。図7は本発明のアンテナ装置の取付位置を示す他の例を示す。
尚,以下の説明で方向を示す場合は,特に明示しない限り各図の(a)に示す正面図(ここではオフセットパラボラアンテナの背面方向から見た図である。)の方向を基準とする。
【実施例1】
【0016】
本願の第1実施形態について図1を用いて説明する。図1において1は本発明のオフセットパラボラアンテナ取付用のアンテナ装置であり,2に示すオフセットパラボラアンテナ上端部に取付けた状態を示している。
アンテナ装置1はアンテナ部3とアンテナ支柱8とアンテナ支持装置10とからなる。本発明の実施例において,前記アンテナ部3はアンテナ支持杆4に,図に示されていない複数の導波器と,放射器6と反射器7を備えた多素子アンテナで構成されており,このアンテナ部3には9に示す同軸ケーブルが接続されて,このアンテナ装置1はUHF帯の信号を用いた地上ディジタル放送を受信した信号を伝送するように構成されている。
【0017】
このアンテナ部3は,アンテナ取付金具5によって前記アンテナ支柱8に上端部に着脱自在に狭着されている。本願の実施例のアンテナ取付金具5は,アンテナ支持杆4に添え付けて,当付片5aとで前記アンテナ支柱8を挟持する添付片5bと,該添付片5bの反対側方向には,該添付片5bに対してアンテナ支持杆4を挟持するための挟持片5cが備えられ,前記当付片5a側から,添付片5b,アンテナ支持杆4,挟持片5cを挿通させたネジ棒5d,5dに,蝶ナット5e,5eを螺合させることによってアンテナ部3を,アンテナ支柱の上方端部に取付けている。またアンテナ支柱8の下方端部はアンテナ支持装置10に固着されている。
尚,アンテナ支柱8は,該アンテナ支柱8の軸線に直交する断面が円形をしているので,前記アンテナ部3はアンテナ支柱8の軸線に直交する方向に対して任意の方向に向けることができる。
【0018】
次に前記アンテナ支持装置10について説明する。本願の実施例において前記アンテナ支持装置10は本体ベース20と,当該本体ベース20に枢着された押圧片30と,前記枢着点より下方に位置する前記本体ベース20と前記押圧片30との先端部24,34を閉じる方向に付勢する付勢手段と,からなり,前記前記本体ベース20と前記押圧片30との先端部とでもって,オフセットパラボラアンテナ2の鏡面及び周縁部を挟み込むことによって固着される。
本体ベース20は金属材料を屈曲成形したものである。本体ベース20の略中央部には,本体ベース20から奥行方向(所謂オフセットパラボラアンテナの表面方向)に切り欠いて突設させた第1の突設片21が形成されている。この突設片21の略中央部には雌ネジが形成されており,該雌ネジには上方からネジ棒21aが螺合されている。
【0019】
更に前記突設片21に対して本体ベース20の左右方向端部には,前記突設片21と同じ方向に突設させた第2の突設片22a,22bが形成されている。
前記第1の突設片21と第2の突設片22a,22bとの間には,空間23が形成されており,この空間23にはオフセットパラボラアンテナの周縁に設けられた折返部2a及び鏡面の周縁部が収納されるような寸法に形成されている。即ち先ず前記折返部2aを前記空間22に収納したときに,折返部2aの内周面を前記第2の突設部22a,22bの上面に当接するように載置する。前記突設部22a,22bは相互に略ハ字型に配設されるように折り曲げ成形してあり,オフセットパラボラアンテナ2の形状に対応させることができる。次に前記第1の突設片21に備えさせたネジ棒21aの先端が前記折返部2aの外周面を押圧するように螺着させるように構成されているのである。
更に本体ベース20の下側部分は本発明においては略逆Y字型となるように左右に支持片24,24が形成されており,該支持片の先端部24a,24bは,オフセットパラボラアンテナ2の折返部2aを前記突設片21,22に収納したときに,前記オフセットパラボラアンテナ2の背面の一部に当接させるよう,前記オフセットパラボラアンテナ2の背面の湾曲方向に対応する方向に折り曲げ成形させてある。
【0020】
前記突設片21の上方には,本体ベース20の左右両端側から一体に折返し成形された枢着片25a,25bが形成されており,この枢着片25において後述の押圧片30と枢着されている。
更にその上方には,本体ベース20に形成した雌ねじに本体ベース20の手前側からネジ棒26a,26bが螺着されている。このネジ棒26a,26bの螺合の具合によって該ネジ棒の先端が後述の押圧片30の内面側を押付ける付勢手段を構成している。
【0021】
前記本体ベース20の上端部には,本体ベース20の手前側方向に向かって(所謂,オフセットパラボラアンテナ2の後面方向。)基部27が本体ベース20と一体的に形成されている。この基部27の上面には,前記アンテナ支柱8の下端部が溶接等の周知の方法で固着されている。尚,本願の実施例によれば前記基部27は本体ベースに対して直交する方向に突設させて固着されているが,この実施例に限定されるものでなく,オフセットパラボラアンテナの設置場所におけるオフセットパラボラアンテナの仰角に合うように折り曲げ角度を予め設定しておいても良いし,基部27と本体ベース20とをそれぞれ別体で形成して,基部27と本体ベース20とがなす角度を可変自在となるように枢着させても良い。
尚,本体ベース20に形成された凸部28a,28b,29a,29b・・・は夫々本体ベースの強度を補強するために備えたものである。
【0022】
次に押圧片30について説明する。この押圧片30は前記本体ベース20に対向する位置に配設され,前記本体ベース20の枢着片25a,25bに対向する位置に配設され,前記押圧片30に一体的に形成された枢着片35a,35bを備えており,前記枢着片25と前記枢着片35とは可動自在に枢着されている。
更に枢着片の上方には,前記本体ベース20に備えた付勢手段であるネジ棒26a,26bの先端が内面側に当接するように延設部36を備えている。また,該延設部36とは反対方向の下端部は,オフセットパラボラアンテナ2の前方向の湾曲に合わせて,該湾曲方向に折り返した押圧先端部34a,34bが,前記本体ベース20の支持片24,24と対向する位置となるように形成されている。
【0023】
尚,本発明の異なる実施形態を図2に示す。この実施例では付勢手段としてネジ棒を用いる替わりにバネ材40を用いた例を示す。上記第1の実施形態のアンテナ装置と同様の構成要素については同一符号を付与し,詳細な説明は省略する。
この実施例ではアンテナ支柱8は押圧片30に固着されており,オフセットパラボラアンテナ2の折返部2aに当接させる突設片を押圧片30側に形成(突設片31で示す。)している。また本体ベース20に形成した支持片24は長さが異なる24cを追加して3つ備えさせて付勢力を増すなどなど,実施例に示される構成に限定されること無く,各部を適宜に変更して構成しても良い。
【実施例2】
【0024】
次に本発明の第2の実施形態を図3を参照して説明する。尚,以下の説明においても,上記第1の実施形態のアンテナ装置と同様の構成要素については同一符号を付与し,詳細な説明は省略する。
【0025】
この実施例では,アンテナ装置1をオフセットパラボラアンテナ2に固着する方法を,付勢手段を用いて挟み込む方法から,ネジ棒を用いて鏡面に直接固着する方法である。
図3〜図5に示すようにこの実施例のアンテナ装置1は,アンテナ部3とアンテナ支柱8とアンテナ支持装置50とからなる。この実施例においてもアンテナ部はUHF帯の電波を受信するアンテナであって,スケルトンアンテナからなる放射器6と反射器7から構成されたものである。
【0026】
次にアンテナ支持装置50について説明する。このアンテナ支持装置50は本体ベース51にオフセットパラボラアンテナ2の前面側に配設される前側側壁56と,オフセットパラボラアンテナ2の後面側に配設される後側側壁52とを断面略コ字上に一体に形成したものであり,前記側壁に囲まれてなる空間に,前記オフセットパラボラアンテナ2の周縁部2aを収納するように構成されている。
本願の実施例においては,前記前側側壁56は連続的に形成されており,前記後側側壁52は左右両端部に支持片52a,52bを形成している。
更に前記空間には,前記支持片52a,52bの外形に対応した当付片54a,54bが備えられている。これらの当付片54a,54bは支持片52a,52bと,オフセットパラボラアンテナ2の背面との間に配設されており,前記支持片52a,52bの外側方向から,該支持片52a,52bに形成されたネジ孔にネジ棒55a,55bを螺合させることによって,該ネジ棒の先端を前記当付片54a,54bに押付けることによって,該当付片54a,54bをオフセットパラボラアンテナ2の周縁部2aの内周面及びオフセットパラボラアンテナ鏡面の背面に当付け,本体ベース51をオフセットパラボラアンテナの周縁部2aに固着されるように構成されている。
【0027】
図5を用いて更に詳しく説明する。尚,本図は説明を簡単にするために支持片52aについての詳細を示す要部拡大断面図である。
支持片52aの上部には長孔53aが形成されている。また,当付片54aは略フ字形に形成されており,この当付片54aの上側となる一方側の端部には凹部154,154が形成されている。前記当付片54aの図における左右方向の寸法は,前記長孔53aの長手方向の寸法よりやや短い寸法となるように形成されているので,前記当付片54aを図に対して略90°回転させ,該当付片54aの一方側を前記長孔53aの内側から挿通し,前記凹部154,154が前記長孔53aの周縁に対向する位置に配置させてから,前記当付片54aを図の姿勢に戻すように取付ける。このとき前記凹部154,154の底部の間隔は,前記長孔53aの短辺の寸法よりやや小さくなるように形成されているので,前記当付片54aは前記長孔53aに対して,(a)に示すように上下方向及び回転方向に可動自在に組付けられることになる。
【0028】
次にこのように構成された本体ベース51に対して,オフセットパラボラアンテナ2を取付ける方法について説明する。先ず,前記アンテナ2の周縁部2a及びアンテナ鏡面の周縁部を本体ベース51の内側に形成された空間に収納する。このとき,アンテナ2の前面側及び周縁部2aを本体ベース2の上面及び前側側壁52の内側に当接させる。次に前記当付片54aを前記アンテナ2の後面側及び周縁部2aの内周面に当接させるのであるが,前述のように当付片54aは上下方向及び回転方向に可動自在に本体ベース51に汲みつけられているので,この本体ベース51の取付け対象であるアンテナ2の背面形状に合わせて前記当付片54aを当付ける事ができるのである。このような状態において,支持片52aに螺合されたネジ棒55aを締付けることによってアンテナ2に本体ベース51を固着するのである。支持片51bについても同様である。
【0029】
前記本体ベース51には前記後側側壁52の構成する平面と並行配置されるように前記本体ベース51から一体的に延設された延設部57が形成されている。この延設部57の略中央部には貫通孔が形成されている。更にこの延設部と対向する位置には,前記貫通孔に枢着手段58によって回転自在に枢着するように形成された基台59が具備されている。
基台59には前記アンテナ支柱8を取付けるのであるが,該基台59にはオフセットパラボラアンテナ2の設置の状態に合わせてアンテナ支柱8を略鉛直方向に向けるために平面部59aが備えられており,相互に連設して略へ字形状に形成されている。尚,本発明の実施形態によれば基台59は平面部と枢着部とが一体的に形成されているのであるが,平面部と枢着部とが任意の角度を構成できるように別体で構成しても良い事は言うまでもない。また図4に示すように,本願のアンテナ装置1をオフセットセットパラボラアンテナ2の横方向に取付ける場合には,基台59の寸法をアンテナ部3がオフセットパラボラアンテナ2に当接しない所定長さに形成すればよい。
尚,図6にはオフセットパラボラアンテナに対する電波到来方向の詳細について示してある。図のように衛星からの電波は,仰角(電波到来方向と水平面とのなす角度)分だけ上方から到来する。そこで,上記第1及び第2の実施形態の何れにおいても,本発明のアンテナ装置1をオフセットパラボラアンテナ2に取付けた時に,アンテナ部3の各エレメント等が電波到来方向を遮らない寸法にアンテナ支柱の長さを所定長さに設定してある。
この図において60はアンテナ支持装置,61はベランダの手すりである。
更に図7(a)に示すように,本発明のアンテナ装置を屋根62の上に設置されている既設のアンテナマストに取付けられているオフセットパラボラアンテナ2に取付ける場合は,工事の安全等を鑑みて,前記オフセットパラボラアンテナ2の下部周縁に取付けるように構成下も良いし,例えば屋根の庇によって電波が遮られないように,ベランダの低い位置にオフセットパラボラアンテナ2を設置したような場合は,上記理由と同様に取り扱いの容易性から,オフセットパラボラアンテナ2の上端部周縁に取り付けるように構成した方が取付性が良いといったように,前記第1及び第2の実施形態に限定することなく,オフセットパラボラアンテナの周縁の何れに取付けるように構成してもよい事は言うまでもない。
【0030】
このように本願の実施例によれば,例えば新しく開始された地上ディジタル放送を受信するために,従来のアンテナ支柱一本に全てのアンテナを取付けて受信するテレビ共同受信システムに,新しく追加するアンテナを既設のアンテナ支柱に取付ける方法のように,大幅な改修工事や危険を伴うこともなく,また,取付けを簡単に行なうためにアンテナ装置をベランダ等に取付けるために,ベランダ等への取付けを簡単にするアンテナ支持装置を購入して取付けるか,衛星アンテナをベランダ等に取付ける為の既設のアンテナ支持装置を,アンテナが2つ取付けられるものに変更することで経費がかさむともなく,既設のオフセットパラボラアンテナの周縁部に取付けられることによって,設置のコストや作業性のよさや,設置場所を広く取る必要がない省スペース設計であるなど,有効性の高い小型のアンテナ装置を提供できるのである。
尚,本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく,本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各部の構成を適宜に変更して実施することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】(a)は本発明に係るオフセットパラボラアンテナ取付用のアンテナ装置の第1実施例を示す側面図であり,(b)は(a)におけるA―A線断面図である。
【図2】(a)は本発明の異なる例であり,(b)は(a)におけるB−B線断面図である。
【図3】(a)はアンテナ装置をオフセットパラボラアンテナ取付用のアンテナ装置の第2実施例を示す側面図であり,(b)は(a)におけるC−C線断面図である。
【図4】(a)は第2実施例の異なる例を示し,(b)は(a)におけるD−D線断面図である。
【図5】(a)は第2実施例のアンテナ支持装置の要部を拡大した断面図である。(b)は(a)におけるE−E線断面図である。
【図6】本発明のアンテナ装置をオフセットパラボラアンテナに設置したときの側面図を示す。
【図7】(a),(b)本発明のアンテナ装置の取付位置を示す他の例を示す。
【符号の説明】
【0032】
1…アンテナ装置,2…オフセットパラボラアンテナ,2a…周縁部(折返部),3…アンテナ部,4…アンテナ支持杆,5…アンテナ取付金具,5a当付片,5b…添付片,5c…挟持片,5d…ネジ棒,5e…蝶ナット,6…放射器,7…反射器,8…アンテナ支柱,9…給電線,10…アンテナ支持装置,20…本体ベース,21…第1の突設片,21a…ネジ棒,22…第2の突設片,23…空間,24…支持片,24a・24b・24c…先端部,25…枢着片,26…ネジ棒(付勢手段),27…基部,28・29……補強用凸部,30…押圧片,34…押圧先端部,35…枢着片,36…延設部,40…バネ材,50…アンテナ支持装置,51…本体ベース,52…後側側壁,52a・52b…支持片,53…長孔,54…当付片,154・154…凹部,55…ネジ棒,56…前側側壁,57…延設部,58…ネジ棒(枢着手段),59…基台,59a…平面部,60…アンテナ支持装置,61…ベランダ,62…屋根,63…ステー,64…アンテナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナ装置において,
受信可能状態に設置してあるオフセットパラボラアンテナの周縁に取付ける為のアンテナ支持体と,該アンテナ支持体に保持されたアンテナ支柱と,該アンテナ支柱に着脱自在に固着したアンテナと,からなるオフセットパラボラアンテナ取付用のアンテナ装置。
【請求項2】
前記アンテナ装置を受信可能状態に設置してあるオフセットパラボラアンテナの周縁に取付けた時に,前記アンテナ支柱の軸線が鉛直に立設するように,前記アンテナ支柱が前記アンテナ支持体に対して可倒自在に固着したことを特徴とした請求項1に記載のオフセットパラボラアンテナ取付用のアンテナ装置。
【請求項3】
前記アンテナ支柱の寸法は,前記オフセットパラボラアンテナの電波到来方向を遮らない位置に前記アンテナが配設されるように規定したことを特徴とした請求項1又は請求項2に記載のオフセットパラボラアンテナ取付用のアンテナ装置。
【請求項4】
前記アンテナ装置はUHF帯用の信号受信用であることを特徴とした請求項1乃至請求項3に記載のオフセットパラボラアンテナ取付用のアンテナ装置。
【請求項5】
前記アンテナ装置は受信可能状態に設置してあるオフセットパラボラアンテナの少なくとも上半分の周縁に取付けるように構成したことを特徴とした請求項1乃至請求項4に記載のオフセットパラボラアンテナ取付用のアンテナ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−80883(P2006−80883A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−262521(P2004−262521)
【出願日】平成16年9月9日(2004.9.9)
【出願人】(000113665)マスプロ電工株式会社 (395)
【Fターム(参考)】