説明

オフセット印刷用新聞用紙の製造方法

【課題】メタリングロールの表面性及び顔料塗工液の表面張力を最適化することで、アプリケーターロールへの転写性が改善され、カラー巻の問題を解決し、印刷適正に優れたオフセット印刷用紙を生産し得る方法を提供することを課題とする。
【解決手段】水平に並設され、互いに圧接されながら回転する一対のメタリングロールと、一方のメタリングロールに圧接されて両メタリングロールの間をロールの回転により下方に通過した塗料を長尺の連続紙に塗布するアプリケーターロールを備えるゲートロールコーターにおける、JIS K 6768に規定される濡れ指数が50mN/m以上であるメタリングロールを使用して、表面張力がメタリングロールの濡れ指数以下である顔料塗工液を塗布するオフセット印刷用新聞用紙の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲートロールコーターを用いて顔料塗工液を表面塗布した印刷用紙、特に新聞用紙の製造方法に関し、ゲートロールコーターにおける顔料塗工時に発生するアプリケーターロール汚れ(以降、カラー巻)を改善した、印刷品質に優れたオフセット印刷用新聞用紙の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、コールドセットオフセット型輪転機が使用される新聞印刷においてはオフセット化、カラー化、高速化が急速に進んでおり、印刷媒体となる新聞用紙に関して、より優れたカラー印刷適性や印刷作業性を有する新聞用紙が求められている。加えて新聞広告をはじめとしたカラー画像には、より高い再現性を要求されるようになっている。刷版の製造工程や原画の鮮明さの進歩も顕著であるものの、通常の新聞用紙の条件でカラー印刷したものの色や鮮明さ等が通常の印刷用塗工紙などに比べ著しく劣るものであり、見た目に訴える力に欠けるものであった。
【0003】
最近、この新聞用紙のカラー画像の再現性を向上させるために、その画像を表現する網点(ドット)を極小化する高精細印刷に関する技術開発が進められている。しかし、表面性の粗悪な印刷用紙で高精細印刷を行うと、その極小化した網点が印刷用紙に反映されず(素抜け)、画像の再現性に問題が生じる欠点があった。
【0004】
印刷用紙の画像再現性を向上させる方法としては、平滑性の向上、顔料塗工層を設けることが考えられる。非塗工紙で平滑を向上させるには限界があるため、顔料を塗工することが考えられるが、新聞輪転は乾燥設備を持たないコールドセットオフセット型輪転機が主流のため、塗工量を増やしたものは印刷後のセットオフに影響を与えるだけでなく、最近の新聞用紙の軽量化が進んでいるため、塗工量にも限界がある。
【0005】
塗工量を抑えることができる塗工方式として、ツーロールサイズプレスコーターや、メタリングサイズプレスコーター、ゲートロールコーターなどのロールコーター、ロッドブレード、シムサイザー等があり、一般的な新聞マシンには外添サイズ剤塗布用としてゲートロールコーターが導入される場合が多い。
【0006】
ゲートロールでの塗工時のトラブルとしては、ロールでの塗工液剥離パターンによる塗工ムラの他に、ガムアップ、メタリングロールからアプリケーターロールへの転写不良によるカラー巻等の問題が多い。
【0007】
上記の如き課題を改善するために種々の提案がなされており、例えば特開平11−50392号公報(特許文献1)には、顔料と澱粉を特定の比率で配合した塗被液を、特定の直径を有するアプリケーターロールで塗布する際に、インナーゲートロール(メタリングロール)及びアウターゲートロール(ファウンテンロール)のアプリケーターロールに対する周速比を50〜80%とすることで、塗布面の面状を改善できる方法が提案されている。周速だけでは塗工量の調節幅が狭く、塗工面の面状を改善するには限界があった。
【0008】
また、特開2002−105893号公報(特許文献2)では、塗工速度が1400m/分以上であって、且つファウンテンロールの周速を塗工速度の45%以下20%以上、メタリングロールの周速を塗工速度の85%以下60%以上、さらに、ファウンテンロールの硬度が70〜90度で、ファウンテンロールとメタリングロールのロール直径が500mm以上とすることで、塗工液のスプラッシュやミストの発生を抑制する技術を提案している。この技術を利用することで、塗工液のスプラッシュやミストは押さえられたが、カラー巻の改善は十分ではなかった。
【0009】
他方で、特開平8−169063号公報(特許文献3)では、インナーゲートロール(メタリングロール)用のセラミック被覆ロールが開示されている。酸化クロムをセラミック被覆することで耐磨耗性、耐傷性を改善し、クロムメッキに比べて動摩擦係数、濡れ性をさらに改善し、塗りムラのないロールが開示されているが、これだけでは、カラー巻の改善は十分ではなかった。
【特許文献1】特開平11−50392号公報
【特許文献2】特開2002−105893号公報
【特許文献3】特開平8−169063号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、メタリングロールの表面性及び顔料塗工液の表面張力を最適化することで、アプリケーターロールへの転写性が改善され、カラー巻の問題を解決し、印刷適正に優れたオフセット印刷用紙を生産し得る方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、メタリングロールの表面性だけでなく、顔料塗工液の表面張力について検討を行い、最適化することによりアプリケーターロールへの転写性を解決し、カラー巻の発生しない、良好な塗工面を持ち、印刷適性に優れたオフセット印刷用新聞用紙を製造することを可能とした。
本発明は以下の発明を包含する。
【0012】
(1)水平に並設され、互いに圧接されながら回転する一対のメタリングロールと、一方のメタリングロールに圧接されて両メタリングロールの間をロールの回転により下方に通過した塗料を長尺の連続紙に塗布するアプリケーターロールを備えるゲートロールコーターにおける、JIS K 6768に規定される濡れ指数が50mN/m以上であるメタリングロールを使用して、表面張力がメタリングロールの濡れ指数以下である顔料塗工液を塗布するオフセット印刷用新聞用紙の製造方法。
【0013】
(2)前記メタリングロールのJIS B 0651触針式表面粗さ測定機で測定された最大表面粗さが3.0μm以上である(1)に記載のオフセット印刷用新聞用紙の製造方法。
【0014】
(3)前記メタリングロールのJIS R 2205準じて測定されたロール表層部の気孔率が8〜15%である(1)又は(2)に記載のオフセット印刷用新聞用紙の製造方法。
【0015】
(4)前記(1)〜(3)に記載されたオフセット印刷用新聞用紙の製造方法で製造されたオフセット印刷用新聞用紙。
【発明の効果】
【0016】
本発明により、顔料塗工液の塗布ムラのない、表面強度に優れたオフセット印刷用新聞用紙を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
一般的には、表面処理剤の塗布装置には、例えば、2ロールサイズプレス、ブレードメタリングサイズプレス、ロッドメタリングサイズプレス、ゲートロールコーター、ブレードコーター、バーコーター、ロッドブレードコーター、エアナイフコーター、カーテンコーター、スプレーコーター等が適宜使用されるが、新聞原紙の場合には、1000m/分を超える高速塗布が可能で、しかも紙表面塗布剤を紙表面に効率よく被覆させなければならないため、はゲートロールコーターで塗布することが好ましい。
【0018】
図1は、本発明で使用するゲートロールコーターの概念的な断面説明図である。図1に示すように、ゲートロールコーターは、原紙1を挟んでその両側にアプリケーターロール2a、2bがそれぞれ配置され、その外側にメタリングロール3a、3b、及びファウンテンロール4a、4bが各々配置された塗布装置で、紙の表裏両面に同時に塗布する装置である。そして塗布剤は図示していない塗布剤供給管からメタリングロールとファウンテンロールの間に供給され塗布剤ポンド5a、5bを形成する。ファウンテンロールとメタリングロールの間に供給された塗布剤はメタリングロール表面に薄い膜を形成し、アプリケーターロールを介して紙に転移される。メタリングロール2はアプリケーターロール1とファウンテンロール3に挟まれて設置されており、鉄鋼製ロールの防錆と耐磨耗性付与のために、当初からクロムめっき被覆されるのが一般的であった。近年、技術の進歩と共に様々な表面素材を持つロールが開発されており、タングステン溶射、セラミック溶射がその例である。そして、コーターによって、同じクロムメッキであっても、メッキ表面が平坦(プレーン)なものや粗面化して微細な凹凸を付けたものがある。
【0019】
本発明ではメタリングロールの濡れ指数(JIS K6768で規定)が50mN/m以上であるものを使用する。濡れ指数が50mN/m未満のものは、メタリングロール表面での顔料塗工液が広がりにくく、アプリケーターロールへの転写性不良の原因となるため好ましくない。JIS K 6768での濡れ指数の測定値上限は73mN/mであるが、メタリングロール表面の濡れ性に特に上限はない。ロール表面の濡れ性が高ければ高いほどロール表面への顔料塗工液のなじみが早く、高速マシンでの適用も可能となる。
また、メタリングロールの最大表面粗さ(JIS B0651触針式表面粗さ測定機で測定)が3.0μm以上であることが好ましい。最大表面粗さが3.0μm未満の場合メタリングロール表面で塗工液が広がりにくく、アプリケーターロールへの転写性不良の原因となるため好ましくない。20μmを超えるとロールパターン、スプラッシュが出易くなり好ましくない。
【0020】
さらに、本発明で使用するメタリングロール表面の気孔率(JIS R2205で規定)は8〜15%、であることが好ましく、さらに好ましくは12〜13%であり、気孔率のムラが少ないことが好ましい。気孔率が8%に満たない場合は、メタリングロール表面で顔料塗工液がひろがりにくく、アプリケーターロールへの転写性不良の原因となるため好ましくない。15%を超えたものはロール表面が脆くなり、耐久性に劣るため好ましくない。
【0021】
顔料塗工液の表面張力がメタリング表面の濡れ性を超えると、ロール表面で顔料塗工液がレべリングされにくくなり、スプリットパターンが消えにくくなる。ただし、25mN/m未満では、メタリングロールとファウンテンロールの間の二ップ出口側での塗工液のスプラッシュやミストの発生の原因になり、塗工剤の歩留まり低下やコーター周辺の塗工剤による汚れ発生など操業性の低下する虞がある。
【0022】
本発明の顔料塗工液については、表面張力がメタリングロールの濡れ指数以下であれば特に制限はない。顔料塗工液中の顔料としても、特に限定されるものではなく、主な顔料は炭酸カルシウムとカオリンを用いることが最適である。炭酸カルシウムでは針状、柱状、球状、紡錘状等があるが中でも立方体状のものがセットオフに効果があるため好ましい。立方体状軽炭は塗工層中で疎な構造をとりやすく、インキ中のビヒクル分を吸収する能力が高いためセットオフ抑制効果が高く、また、構造的に摩擦係数が発現し易い。炭酸カルシウムの粒子径は、小さいほうが塗工層のポア径が小さくなり、また、比表面積が大きくなるため、セットオフおよび不透明度に有利となる。炭酸カルシウムは不透明度向上効果が高いが、動摩擦係数が上昇する傾向にある。高速で運転される新聞輪転の場合には摩擦係数が低いと、ウェブテンションがかかりにくくなり、しわや紙流れ等を起こす恐れがあるが、高すぎてもしわになることがある上に版摩耗を起こす恐れがあるため、調整が必要となる。印刷作業性と印刷適性の点から動摩擦係数が0.5〜0.65の範囲になるように、また、不透明度向上効果とのバランスを考えてカオリンを併用する。
【0023】
塗工液のバインダーとして、特に限定されるものではないが、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体等の合成ラテックス類等のラテックス類または、酸化澱粉、酵素変性澱粉、ヒドロキシエチルエーテル化澱粉等のエーテル化澱粉、アセチル化やリン酸エステル化澱粉等のエステル化澱粉、疎水性澱粉等の澱粉類などが使用可能である。
【0024】
顔料塗工液を表面張力の調整については特に制限はないが、前記接着剤の添加量、配合量による調整方法、保水剤による調整方法があるが、保水剤による調整は、顔料塗工層への影響がすくないため好ましい。
保水剤としては、ポリカルボン酸、アクリル系共重合体などのアルカリ増粘タイプ、メタクリル酸−アクリル酸エステルの共重合体、アクリル系高分子、ポリエチレンオキサイドなどの親水性ベースポリマーの両末端に親油基を配した会合タイプ、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウムなどの天然由来タイプが挙げられるが、これら保水剤に限定されるものではない。
【0025】
なお、本発明においては、塗工液の副成分として、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド等の合成水溶性高分子類、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体等の合成ラテックス類、消泡剤、スライムコントロール剤、染料、耐水化剤、表面サイズ剤、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロースなどの水溶性セルロース類、アルギン酸、グアーガム、キサンタンガム、プルラン等の天然水溶性高分子誘導体類などを顔料塗工液の表面張力に影響を与えない範囲で、適宜配合しても差し支えない。
【0026】
本発明で用いるオフセット印刷用新聞用紙の原料パルプとして、特に限定されるわけではないが、化学パルプ(NBKP、LBLP等)、機械パルプ(GP、CGP、RGP、PGW、TMP等)、脱墨古紙パルプ(DIP等)を単独または任意の比率で混合して使用される。また、ホワイトカーボン、クレー、無定形シリカ、タルク、酸化チタン、炭酸カルシウムなどの製紙用填料が抄紙時に添加される。また、必要に応じて、内添サイズ剤、定着剤、紙力増強剤、歩留まり剤、耐水化剤、紫外線吸収剤等の公知公用の抄紙用薬品が適宜添加され、公知公用の抄紙機にて抄紙される。原紙の抄紙方法としては、酸性抄紙、中性抄紙、弱アルカリ抄紙等のいずれの方式での良い。
【0027】
原紙の抄造条件についても、特に限定はない。抄紙機としては、例えば、長網式抄紙機、ギャップフォーマー型抄紙機、円網式抄紙機、短網式抄紙機等の商業規模の抄紙機が、目的に応じて適宜選択して使用できる。
本発明のオフセット印刷用紙に使用する原紙は、特に限定されるものではないが、一般的には、坪量が30〜70g/m程度の範囲にある原紙が、目的に応じて適宜選択して使用される。この原紙の物性は、オフセット印刷機で印刷可能である必要があり、通常新聞用紙程度の引張強度(1.5kN/m以上)、引裂き強度(390mN以上)、などの物性を有するものであれば良い。
【0028】
なお、顔料塗工後の乾燥方法としては、例えば、蒸気乾燥、ガスヒーター乾燥、電気ヒーター乾燥、赤外線ヒーター乾燥等の各種方式が採用できる。
【0029】
本発明のオフセット印刷用紙の製造に際しては、塗料組成物の塗工層の形成後に、各種スーパーキャレンダー装置にて平滑化処理が施されるが、かかるキャレンダー装置としては、スーパーキャレンダー、ソフトキャレンダー、グロスキャレンダー、コンパクトキャレンダー、マットキャレンダー、マットスーパーキャレンダー等の一般に使用されているキャレンダー装置が適宜使用できる。キャレンダー仕上げ条件としては、剛性ロールの温度、キャレンダー圧、二ップ数、ロール速度、キャレンダー前の紙水分等が、要求される品質に応じて適宜選択される。さらに、キャレンダー装置は、コーターと別であるオフタイプとコーターと一体となっているオンタイプがあるが、どちらにおいても使用できる。使用するキャレンダー装置の材質は、剛性ロールでは金属もしくはその表面に硬質クロムメッキ等で鏡面処理したロールである。弾性ロールはウレタン樹脂等の樹脂ロール、コットン、ナイロン、アスベスト、アラミド繊維等を成型したロールが適宜使用される。なお、キャレンダーによる仕上げ後の塗工紙の調湿、加湿のための水塗り装置、静電加湿装置、蒸気加湿装置等を適宜組み合わせて使用することも勿論可能である。
【実施例】
【0030】
以下に実施例、比較例を挙げて、本発明を具体的に説明するが、勿論これらに限定されるものではない。また、例中の部および%は特に断らない限り、それぞれ重量部及び重量%を現す。
【0031】
評価方法
(カラー巻評価)
各実施例および比較例で得た顔料塗工液を図1で示すゲートロールコーターで塗工し、アプリケーターロールの汚れを目視にて判定した。
○:アプリケーターロールの汚れ発生なし
×:アプリケーターロールの汚れ発生
【0032】
(塗工液表面張力)
塗工液の表面張力は、デュヌイ表面張力計を用いて測定した。
【0033】
・原紙の作製
針葉樹クラフトパルプ10部、サーモメカニカルパルプ25部、グラウンドウッドパルプ5部、脱墨古紙パルプ60部の割合で混合して離解し、レファイナーでフリーネス130mlC.S.F(カナダ標準フリーネス)に調製したパルプからなるパルプスラリー100部に、パルプスラリーの固形分に対してホワイトカーボンを填料として2部、硫酸アルミニウムを2%、ロジンサイズ剤(商品名;SPG、荒川化学工業製)を0.4%添加して紙料を調製した。得られた紙料をツインワイヤー型抄紙機で抄紙し、米坪42g/mの原紙を作製した。
【0034】
・塗工液の調整
軽質炭酸カルシウム(ブリリアントS15、白石工業株式会社製)70部カオリン(商品名:ミラグロスJ、シール株式会社製)30部に対し、分散剤(商品名:アロンT−40、東亜合成株式会社製)0.05部を添加し、分散させた60%分散スラリーにスチレン−ブタジエンラテックス(商品名:T−2635R、JSR株式会社製)8.5部、加熱溶解した酸化トウモロコシ澱粉(商品名:王子エースA、王子コーンスターチ株式会社製)43部、潤滑剤(商品名:SN8004SP、サンノプコ株式会社製)0.23部、耐水化剤(商品名:スミレーズ SPI−102A、住友化学株式会社製)0.15部、蛍光染料(商品名:カヤホールBHT、日本化薬株式会社製)0.5部、保水剤(商品名:ソマレックス270K、ソマール株式会社製)0.2部からなる固形分濃度25%の顔料塗工液を調整した。
【0035】
・塗工
前記で得た原紙の両面に、前記で得た顔料塗工液を、直径810mmのメタリングロール、直径860mmのファウンテンロール、及び、直径が1070mmのアプリケーターロールで構成されたゲートロールコーターを使用して、周速が2bアプリケーターロールを100%として、3aメタリングロール85%、3bメタリングロール75%、4aファウンテンロール55%、4bファウンテンロール40%で、表1の塗工条件にて塗工を行いオフセット印刷用新聞用紙を得た。
【0036】
実施例1
表面濡れ指数が65mN/mで、表面最大粗さが2.6μm、表面の気孔率が8〜15%であるセラミック溶射メタリングロールを有するゲートロールコーターを用いて表面張力が46mN/mである前記塗工液を片面当たり1.4g/mとなるように塗布し、ソフトカレンダーで50kg/cmの圧力でカレンダー処理し、オフセット印刷用新聞用紙を得た。
【0037】
実施例2
表面最大粗さが4.6μmであるメタリングロールを用いた以外は、実施例1と同様にしてオフセット印刷用新聞用紙を得た。
【0038】
実施例3
顔料塗工液の保水剤量を0.5部にした以外は、実施例1と同様にしてオフセット印刷用新聞用紙紙を得た。
【0039】
比較例1
表面濡れ指数が30mN/mで、表面最大粗さが0.99μmであるクロムメッキ溶射メタリングロールを有するゲートロールコーターを用いた以外は、実施例1と同様にしてオフセット印刷用新聞用紙を得た。
【0040】
比較例2
表面濡れ指数が65mN/mで、表面最大粗さが2.6μm、表面の気孔率が8〜15%であるセラミック溶射メタリングロールを有するゲートロールコーターを用いて、顔料塗工液の澱粉を5.0部、保水剤を1.0部とした以外は、実施例1と同様にしてオフセット印用紙を得た。
【0041】
比較例3
表面濡れ指数が35mN/mで、表面最大粗さが2.7μmであるタングステン溶射メタリングロールを有するゲートロールコーターを用いた以外は実施例1と同様にしてオフセット印刷用新聞用紙を得た。
【0042】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0043】
この発明は、製紙機械、特に紙を製造する抄紙機に組み込まれて顔料塗工液を紙の表面に塗布するロールコーターの一種で、主として印刷用紙の製造に適したゲートロールコーターの表面性およびそれによって製造される印刷用紙に関するものである。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明に使用するゲートロールコーターの構成を概略的に示す断面図である。
【符号の説明】
【0045】
1 原紙
2a、2b アプリケーターロール
3a、3b メタリングロール
4a、4b ファウンテンロール
5a、5b 塗布剤ポンド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平に並設され、互いに圧接されながら回転する一対のメタリングロールと、一方のメタリングロールに圧接されて両メタリングロールの間をロールの回転により下方に通過した塗料を長尺の連続紙に塗布するアプリケーターロールを備えるゲートロールコーターにおける、JIS K 6768に規定される濡れ指数が50mN/m以上であるメタリングロールを使用して、表面張力がメタリングロールの濡れ指数以下である顔料を含んだ塗工液を塗布することを特徴とするオフセット印刷用新聞用紙の製造方法。
【請求項2】
前記メタリングロールのJIS B 0651触針式表面粗さ測定機で測定された最大表面粗さが3.0μm以上であることを特徴とする請求項1に記載のオフセット印刷用新聞用紙の製造方法。
【請求項3】
前記メタリングロールのJIS R 2205準じて測定されたロール表層部の気孔率が8〜15%であることを特徴とする請求項1又は2に記載のオフセット印刷用新聞用紙の製造方法。
【請求項4】
請求項1〜請求項3に記載されたオフセット印刷用紙の製造方法で製造されたことを特徴とするオフセット印刷用新聞用紙。

【図1】
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【公開番号】特開2008−196094(P2008−196094A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−35582(P2007−35582)
【出願日】平成19年2月16日(2007.2.16)
【出願人】(000122298)王子製紙株式会社 (2,055)
【Fターム(参考)】