説明

オフセット印刷用新聞用紙の製造方法

【課題】DPIの配合率が高いにもかかわらず、オフセット印刷時の裏抜けが顕著に改善され、印刷機のブランケットへの紙粉の堆積が少ない、印刷作業性及び印面品質に優れたオフセット印刷用新聞用紙を提供する。
【解決手段】填料を紙重量当たりの灰分として15重量%を超え40重量%未満の含有率で含有させると、オフセット印刷用新聞用紙の裏抜けが顕著に改善される。特に填料として、平均粒径が0.5〜5μmで、ゼータ電位が0mV以上である炭酸カルシウムを添加して、紙重量当たりの灰分として炭酸カルシウムを15重量%を超え40重量%未満の含有率で含有させると、裏抜けの改善のみならず、印刷機のブランケットへの紙粉の堆積も少なくなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オフセット印刷における印刷作業性、及び印面品質が良好なオフセット印刷用新聞用紙の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
新聞用紙はここ10年程度で8g/m程度の軽量化が進行し、現在は一部の大手ユーザーで40.5g/mの超々軽量新聞が使用されている。また、タワープレス印刷機の登場により両面カラー印刷も可能になったことから、ここ数年はカラー面の増加が急激に進み、近い将来は半分近くのページがカラー面となることも予想される。
【0003】
このような背景から、新聞用紙の品質に対する要求は年々高くなっているが、特に、裏抜け(印刷時の不透明度:印刷時に反対面の文字や絵柄が透けて見える現象)に対する要求は高い。紙の裏抜けを改善するためにはいくつかの方法があるが、比散乱係数の高い(光を通しにくい)パルプや填料を使用することが最も効果的である。パルプにおいて、比散乱係数が高いのはメカニカルパルプであるが、最近の脱墨パルプ(DIP)の高配合化によってその配合量は減少する傾向にあり、パルプ配合から裏抜けを上昇させることは困難な状況になっている。そのため、紙の不透明度を向上させるためには、繊維分よりも填料の割合を多くすることが有効であり、これまで紙中填料の含有率を向上させることが試みられてきた。
【0004】
新聞用紙のDIP配合率は、環境に対する意識の向上や製紙メーカーのコストダウン等の理由により年々増加する傾向にあり、現在では70%を超えるのも珍しくない。しかしながら、DIPの配合率が増加すると、紙厚の低下、強度の低下、オフセット印刷時の紙粉の堆積による罫線のカスレやベタ面のガサツキなどの品質問題が起こる。それらの問題の中でも、特に紙粉の堆積は、印面不良を引き起こすだけでなく、印刷機のブランケットに多く堆積した場合には、洗浄の時間が長くなるため作業性の悪化を引き起こす。新聞社はオンライン方式での原稿作成、ダイレクト製版技術の進歩などにより、近年、ますます高速・大量印刷を指向しているため、紙に要求される品質のなかでも、作業性に関するものは特に重要視される。紙粉の堆積がひどいと、その都度印刷を止めてブランケットを洗浄する必要があり、その時間が数10分でも伸びると、新聞の配達まで影響し、読者クレームを引き起こすために、新聞社では紙粉堆積量を非常に問題視する。
【0005】
上述した通り、裏抜け対策としては、新聞用紙の紙中填料の含有率を増加させることが最も効果的であるが、通常新聞用紙の紙中填料を多く増加させていくと、紙の表面強度や引張り強さ、紙厚が低下するという問題が発生する。特に表面強度の低下は、オフセット輪転印刷時に、印刷機のブランケットに堆積する紙粉量を増加させ、文字や罫線カスレやベタ面のガサツキ(着肉不良)を引き起こす。通常、新聞用紙に使用されているホワイトカーボンやタルク、カオリンといった填料の含有率を増加させると、紙粉量が増大することが知られており、また、DIP中の灰分もほとんどがこれらの填料に由来するものであるため、同様に紙中への持込量が多くなると、紙粉によるトラブルが発生する。
【0006】
紙粉を防止する方法としては、表面強度の高いパルプの配合や紙力増強剤の添加、酸化澱粉の外添などの手段が用いられているが、いずれの方法も紙粉発生量を効果的に抑制することは困難である。
例えば、変成澱粉を片面で塗布量0.7〜2.0g/m塗布することによって紙粉発生量を低減させることが開示されている(特開2002−294587号公報参照)が、このように澱粉の塗布量を増加させると、オフセット印刷時に湿し水によって紙表面が粘着性を示してトラブルを起こす、いわゆるネッパリの問題が発生する。また、紙粉量を管理できる物性値が見つかっていないため、紙粉堆積による罫線のカスレやベタ面の着肉不良の評価もできない状況であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−294587号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、DIPの配合率が高いにもかかわらず、オフセット印刷時の裏抜けが改善され、印刷機のブランケットへの紙粉の堆積が少ないオフセット印刷用新聞用紙を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、オフセット印刷時の裏抜けと紙粉の発生要因について鋭意検討した結果、裏抜けが良好で紙粉の発生が抑制されたオフセット印刷用新聞用紙は、オンサイト製造された分散剤を含有しない填料を紙重量当たりの灰分として15重量%を超え40重量%未満の含有率で含有させることによって達成され、さらに平均粒径が0.5〜5μmで、水に分散した状態でのゼータ電位が0mV以上である填料、好ましくは炭酸カルシウムを使用してもよいことを見出した。
すわなち、本発明は、填料を紙重量当たりの灰分として15重量%を超え40重量%未満の含有率で含有するオフセット印刷用新聞用紙の製造方法であり、さらに、平均粒径が0.5〜5μmで、水に分散した状態でのゼータ電位が0mV以上である填料、好ましくは炭酸カルシウムを使用するものである。
【発明の効果】
【0010】
紙粉の発生には紙表面における繊維と填料の相互作用が大きく関与しており、本発明では、オフセット印刷における印刷作業性、印面品質が良好なオフセット印刷用新聞用紙が得られる。本発明におけるオフセット印刷用新聞用紙は、不透明度が高く、裏抜けも良好である。また、オフセット印刷機のブランケット上に堆積する紙粉量が少なく、罫線カスレの問題もない。
【発明を実施するための形態】
【0011】
オフセット印刷後の裏抜けが改善されたオフセット印刷用新聞用紙は、填料の紙重量当たりの含有率が紙中灰分として15重量%を超え40重量%未満とすることによって達成できた。特に、平均粒径が0.5〜5μmで、水に分散した状態でのゼータ電位が0mV以上である填料を使用したとき、裏抜けの改善の効果は顕著で、かつ紙粉の発生が少ないオフセット印刷用新聞用紙となる。ここで、2種以上の填料を含有する場合、平均粒径及びゼータ電位は混合物としての値である。また、DIPを添加する場合、紙重量当たりの灰分として15重量%を超え40重量%未満の含有率は、本発明のオフセット印刷用新聞用紙のために添加される填料と添加されたDIP由来の填料の合計の含有率である。
【0012】
一般的に紙の表面強度は、繊維自体の強さに主に依存するが、繊維に対して填料の配合率を増加させていくと、それに比例して低下するとされている。しかしながら、本発明者らは、紙に灰分が存在している限り、繊維と填料の相互作用が紙の表面強度に大きく関与し、填料の粒径、電荷、親水性が紙の表面強度に関係することを見出した。紙は多孔質であることはよく知られているが、そのために紙中に存在する填料は、粒子が大きいほど紙表面の凹凸を形成するために紙の表面強度は低下する。また、アニオン性(マイナス電荷に帯電、ゼータ電位が0mV未満)の繊維に対してアニオン性の填料を添加すると、電荷的な結合力が低いため、カチオン性(プラス電荷に帯電、ゼータ電位が0mV以上)の填料を添加したときよりも表面強度は低くなる。
【0013】
本発明で使用する填料は、炭酸カルシウム、ホワイトカーボン、タルク、カオリン、イライト、酸化チタンなど一般的に製紙用内添填料として使用されているものであれば何れのものでも構わないが、上記に記載した理由から、平均粒径が0.5〜5μmである炭酸カルシウムの使用が望ましい。また、炭酸カルシウムのなかでも炭酸ガス化法や炭酸塩溶液化合法などの化学的方法によって製造された軽質炭酸カルシウム(PCC)が望ましく、さらに言えば、製紙工場内でオンサイト製造し、スラリー状態のまま紙に添加されるPCCは分散剤を添加していないので、ゼータ電位が0mV以上になるため望ましい。
【0014】
本発明のオフセット印刷用新聞用紙を抄造するために用いられる抄紙機は、両面脱水機構を有しているギャップフォーマー型抄紙機、ハイブリッドフォーマー型抄紙機、オントップフォーマー型抄紙機などが望ましいが、これらに限定されるものではない。
本発明で製造されるオフセット印刷用新聞用紙のパルプ原料としては、特に限定されるものではなく、グランドパルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、脱墨パルプ(DIP)、針葉樹クラフトパルプ(NKP)など、一般的に抄紙原料として使用されているものであればよい。
また、得られるオフセット印刷用新聞用紙の物性は、通常のオフセット印刷用新聞用紙程度の平滑度、摩擦係数などを有するレベルであれば良い。
【0015】
また、本発明で使用するクリア塗工剤は、澱粉、酸化澱粉、エステル化澱粉、エーテル化澱粉、カチオン化澱粉、酵素変性澱粉、アルデヒド化澱粉、ヒドロキシエチル化澱粉などの変性澱粉、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロースなどのセルロース誘導体、ポリビニルアルコール、カルボキシル変性ポリビニルアルコールなどの変性アルコール、スチレンブタジエン共重合体、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリルアミドなどから選ばれ、接着剤を含む水溶液、または水性ラテックスの状態で塗工される。また、スチレン・アクリル酸系共重合体、スチレン・マレイン酸系共重合体、オレフィン系化合物、アルキルケテンダイマー、アルケニル無水コハク酸等の表面サイズ剤を同時に塗工してもよい。
また、内添薬品として、ポリアクリルアミド、カチオン化澱粉などの乾燥紙力増強剤、ポリアミドアミンエピクロロヒドリン樹脂などの湿潤紙力増強剤を添加してもよい。
【実施例】
【0016】
以下、本発明を実施例及び比較例をあげてより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、実施例、比較例中の%は特に断りのない限り重量%を示す。
また、実施例及び比較例で使用した填料については、下記の方法にて粒径、ゼータ電位を測定した。また、実施例及び比較例で得られたオフセット印刷用新聞用紙について、下記の方法にて不透明度、灰分、裏抜け、紙粉、罫線カスレを評価した。
<填料粒径測定方法>
填料の粒径は、マルバーン(Malvern Instruments)社製の粒度分
布測定装置MastersizerSを用いて、平均粒径として測定した。なお、本実施例、比較例において2種以上の填料を使用している場合、その混合物の平均粒径である。<ゼータ電位測定方法>
ゼータ電位は、マルバーン(Malvern Instruments)社製ゼータサ
イザー3000HSを用い、電気泳動法によって測定した。なお、本実施例、比較例において2種以上の填料を使用している場合、混合物のゼータ電位を測定した。
<不透明度>
JIS P8138に準拠し測定した。
<紙中灰分測定方法>
紙中灰分は、JIS P8128に準拠して測定したが、炭酸カルシウムの紙中灰分量
を測定する場合は、灼熱温度を575℃とし、炭酸カルシウム以外の填料の紙中灰分量を測定するときは灼熱温度を900℃とした。
<紙粉、裏抜け、罫線カスレの評価方法>
紙粉は東芝オフセット輪転機を用い、印刷速度900rpmで墨単色印刷を行い、6万部印刷した後のブランケット上に堆積している紙粉をかきとり、その重量を測定し、100cmあたりの重量で表した。湿し水の膜厚は0.9μmとした。また、裏抜けは6万部印刷時の墨ベタ面の裏面の白さを白紙と比較し、目視で全く差が認められないものを◎、ほとんど差が認められないものを○、やや差があるものを△、極めて差があるものを×、として評価した。罫線カスレは、6万部印刷時の罫線部のカスレを目視にて観察し、全くないものを◎、ほとんど見られないものを○、やや目立つものを△、極めて目立つものを×、として評価した。
【0017】
[実施例1]
製紙用原料パルプとして、新聞脱墨パルプ(ろ水度120ml、以下DIPと略す。)、サーモメカニカルパルプ(ろ水度100ml、以下TMPと略す。)、針葉樹クラフトパルプ(ろ水度520ml、以下NKPと略す。)を50:30:20の配合比で混合したパルプスラリーに、填料として粒径2.1μm、ゼータ電位3.5mVの炭酸カルシウムを紙絶乾重量当たりの灰分として16%となるように添加し、ギャップフォーマー型抄紙機、抄速900m/分で、坪量43g/mの新聞用紙原紙を抄造し、さらにオンマシンのサイズプレスコーターでクリア塗工剤として酸化澱粉(商品名:SK−20、日本コーンスターチ(株)製)を塗工量がフェルト面、ワイヤー面ともに0.4g/mとなるように塗工し、オフセット印刷用新聞用紙を製造した。このオフセット印刷用新聞用紙について不透明度、灰分を測定し、オフセット輪転機による印刷試験で裏抜け、紙粉、罫線カスレの評価を行い、結果を表1に示した。
【0018】
[実施例2]
填料として炭酸カルシウムを紙絶乾重量当たりの灰分として16%、タルクを灰分として3%となるように添加した以外は、実施例1と同様にしてオフセット印刷用新聞用紙を製造した。このオフセット印刷用新聞用紙について不透明度、灰分を測定し、オフセット輪転機による印刷試験で裏抜け、紙粉、罫線カスレの評価を行い、結果を表1に示した。
また、填料の粒径、ゼータ電位の測定値も表1に示した。
【0019】
[実施例3]
製紙用原料パルプの配合比をDIP:TMP:NKP=75:20:5とし、填料として炭酸カルシウムを紙絶乾重量当たりの灰分として18%、タルクを灰分として3%となるように添加した以外は、実施例1と同様にしてオフセット印刷用新聞用紙を製造した。このオフセット印刷用新聞用紙について不透明度、灰分を測定し、オフセット輪転機による印刷試験で裏抜け、紙粉、罫線カスレの評価を行い、結果を表1に示した。
また、填料の粒径、ゼータ電位の測定値も表1に示した。
【0020】
[実施例4]
紙にクリア塗工を施さなかった以外は実施例3と同様にしてオフセット印刷用新聞用紙を製造した。このオフセット印刷用新聞用紙について不透明度、灰分を測定し、オフセット輪転機による印刷試験で裏抜け、紙粉、罫線カスレの評価を行い、結果を表1に示した。
また、填料の粒径、ゼータ電位の測定値も表1に示した。
【0021】
[実施例5]
製紙用原料パルプの配合比をDIP:TMP:NKP=90:5:5とし、填料として炭酸カルシウムを紙絶乾重量当たりの灰分として29%、ホワイトカーボンを灰分として7%となるように添加した以外は、実施例1と同様にしてオフセット印刷用新聞用紙を製造した。
このオフセット印刷用新聞用紙について不透明度、灰分を測定し、オフセット輪転機による印刷試験で裏抜け、紙粉、罫線カスレの評価を行い、結果を表1に示した。
また、填料の粒径、ゼータ電位の測定値も表1に示した。
【0022】
[実施例6]
製紙用原料パルプの配合比をDIP:TMP:NKP=90:5:5とし、填料として炭酸カルシウムを紙絶乾重量当たりの灰分として16%、ホワイトカーボンを灰分として10%となるように添加した以外は、実施例1と同様にしてオフセット印刷用新聞用紙を製造した。
このオフセット印刷用新聞用紙について不透明度、灰分を測定し、オフセット輪転機による印刷試験で裏抜け、紙粉、罫線カスレの評価を行い、結果を表1に示した。
また、填料の粒径、ゼータ電位の測定値も表1に示した。
【0023】
[実施例7]
製紙用原料パルプの配合比をDIP:TMP:NKP=90:5:5とし、填料として炭酸カルシウムを紙絶乾重量当たりの灰分として27%、タルクを灰分として6%となるように添加した以外は、実施例1と同様にしてオフセット印刷用新聞用紙を製造した。このオフセット印刷用新聞用紙について不透明度、灰分を測定し、オフセット輪転機による印刷試験で裏抜け、紙粉、罫線カスレの評価を行い、結果を表1に示した。
また、填料の粒径、ゼータ電位の測定値も表1に示した。
【0024】
[比較例1]
填料としてホワイトカーボンを紙絶乾重量当たりの灰分として5%となるように添加した以外は、実施例1と同様にしてオフセット印刷用新聞用紙を製造した。このオフセット印刷用新聞用紙について不透明度、灰分を測定し、オフセット輪転機による印刷試験で裏抜け、紙粉、罫線カスレの評価を行い、結果を表1に示した。オフセット印刷時の紙粉と罫線のカスレを評価し、結果を表1に示した。
また、填料の粒径、ゼータ電位の測定値も表1に示した。
【0025】
[比較例2]
填料として炭酸カルシウムを紙絶乾重量当たりの灰分として3%、ホワイトカーボンを灰分として5%となるように添加した以外は、実施例1と同様にしてオフセット印刷用新聞用紙を製造した。このオフセット印刷用新聞用紙について不透明度、灰分を測定し、オフセット輪転機による印刷試験で裏抜け、紙粉、罫線カスレの評価を行い、結果を表1に示した。
オフセット印刷時の紙粉と罫線のカスレを評価し、結果を表1に示した。
また、填料の粒径、ゼータ電位の測定値も表1に示した。
【0026】
[比較例3]
填料として炭酸カルシウムを紙絶乾重量当たりの灰分として5%、カオリンを灰分として2%となるように添加した以外は、実施例3と同様にしてオフセット印刷用新聞用紙を製造した。このオフセット印刷用新聞用紙について不透明度、灰分を測定し、オフセット輪転機による印刷試験で裏抜け、紙粉、罫線カスレの評価を行い、結果を表1に示した。
オフセット印刷時の紙粉と罫線のカスレを評価し、結果を表1に示した。
また、填料の粒径、ゼータ電位の測定値も表1に示した。
【0027】
[比較例4]
填料として炭酸カルシウムを紙絶乾重量当たりの灰分として2%、タルクを灰分として9%となるように添加した以外は、実施例3と同様にしてオフセット印刷用新聞用紙を製造した。このオフセット印刷用新聞用紙について不透明度、灰分を測定し、オフセット輪転機による印刷試験で裏抜け、紙粉、罫線カスレの評価を行い、結果を表1に示した。
また、填料の粒径、ゼータ電位の測定値も表1に示した。
【0028】
[比較例5]
填料として炭酸カルシウムを紙絶乾重量当たりの灰分として5%、タルクを灰分として7%となるように添加した以外は、実施例5と同様にしてオフセット印刷用新聞用紙を製造した。このオフセット印刷用新聞用紙について不透明度、灰分を測定し、オフセット輪転機による印刷試験で裏抜け、紙粉、罫線カスレの評価を行い、結果を表1に示した。
また、填料の粒径、ゼータ電位の測定値も表1に示した。
【0029】
[比較例6]
填料として炭酸カルシウムを紙絶乾重量当たりの灰分として1%、タルクを灰分として5%、ホワイトカーボンを灰分として8%となるように添加した以外は、実施例4と同様にしてオフセット印刷用新聞用紙を製造した。このオフセット印刷用新聞用紙について不透明度、灰分を測定し、オフセット輪転機による印刷試験で裏抜け、紙粉、罫線カスレの評価を行い、結果を表1に示した。
また、填料の粒径、ゼータ電位の測定値も表1に示した。
【0030】
【表1】

【0031】
表1に示されるように、実施例1〜7の填料を紙重量当たりの灰分として15重量%を超え40重量%未満の含有率で含有するオフセット印刷用新聞用紙は不透明度が高く、裏抜けも良好である。特に粒径が0.5〜5μmで、ゼータ電位が0mV以上である填料を含有し、クリア塗工剤を塗工した実施例1〜3、5のオフセット印刷用新聞用紙はオフセット印刷機のブランケット上に堆積する紙粉量が少なく、罫線カスレの問題もなかった。これに対して、填料を紙重量当たりの灰分として15重量%以下の含有率で含有する比較例1〜6のオフセット印刷用新聞用紙は不透明度が低く、裏抜けの改善は不十分であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オンサイト製造された分散剤を含有しない填料を添加する、紙重量当たりの灰分が15重量%を超え40%未満であるオフセット印刷用新聞用紙の製造方法。
【請求項2】
填料が炭酸カルシウムである請求項1記載のオフセット印刷用新聞用紙の製造方法。
【請求項3】
DIPを添加する請求項1または2記載のオフセット印刷用新聞用紙の製造方法。
【請求項4】
紙重量当たりの灰分として炭酸カルシウムを15重量%を超え40重量%未満含有する請求項1〜3のいずれかに記載のオフセット印刷用新聞用紙の製造方法。
【請求項5】
填料の平均粒径が0.5〜5μmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のオフセット印刷用新聞用紙の製造方法。
【請求項6】
填料のゼータ電位が0mV以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のオフセット印刷用新聞用紙の製造方法。
【請求項7】
オフセット印刷用新聞用紙原紙にクリア塗工剤を塗工することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のオフセット印刷用新聞用紙の製造方法。


【公開番号】特開2012−41672(P2012−41672A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−258485(P2011−258485)
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【分割の表示】特願2009−175984(P2009−175984)の分割
【原出願日】平成16年3月23日(2004.3.23)
【出願人】(000183484)日本製紙株式会社 (981)
【Fターム(参考)】