説明

オプティカルフロー生成装置、生成方法、プログラム

【課題】入力画像のより広範囲な領域でオプティカルフローを生成するための技術を提供する。
【解決手段】オプティカルフロー生成装置1は、外部環境の輝度と外部環境までの距離を測定して取得し、入力画像として、輝度画像データ及び距離画像データを生成可能な外部カメラ2と、輝度画像データと距離画像データと輝度勾配の拘束条件に基づいて第1運動パラメータ拘束条件を生成する第1運動パラメータ拘束条件生成部9と、距離画像データと距離情報の拘束条件に基づいて第2運動パラメータ拘束条件を生成する第2運動パラメータ拘束条件生成部10と、第1運動パラメータ拘束条件と第2運動パラメータ拘束条件に基づいて運動パラメータQを算出する運動パラメータ算出部11と、運動パラメータQに基づいて入力画像の二次元オプティカルフローを生成する二次元オプティカルフロー生成部12と、によって構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オプティカルフロー生成装置、オプティカルフロー生成方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の技術として、特許文献1は、所定の間隔をおいて配置された複数のカメラから得られた入力画像に基づいて、対象物とカメラとの相対的な三次元的な移動を検出する方法を開示している。この文献1においては、複数のカメラを用いることで距離画像を生成すると共に、同一カメラを用いて二次元オプティカルフローを生成し、これらを組み合わせることで三次元オプティカルフローを生成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−84383号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述した特許文献1の検出方法では、入力画像の中で特徴のある部分についてしかオプティカルフローを生成することができないという問題がある。
【0005】
本願発明の目的は、入力画像のより広範囲な領域でオプティカルフローを生成するための技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明の第1の観点によれば、外部環境の輝度と前記外部環境までの距離を測定して取得し、入力画像として、輝度画像データ及び距離画像データを生成可能な画像データ生成手段と、前記輝度画像データを記憶する輝度画像記憶手段と、前記距離画像データを記憶する距離画像記憶手段と、前記輝度画像データと、前記距離画像データと、微小時間経過の前後で前記外部環境の輝度は変化しないとする輝度勾配の拘束条件と、に基づいて、前記外部環境に対する前記画像データ生成手段の相対的な運動を表現したものである運動パラメータの第1の拘束条件である第1運動パラメータ拘束条件を生成する第1運動パラメータ拘束条件生成手段と、前記距離画像データと、微小時間経過の前後で前記画像データ生成手段から前記外部環境までの距離は変化しないとする距離情報の拘束条件と、に基づいて、前記運動パラメータの第2の拘束条件である第2運動パラメータ拘束条件を生成する第2運動パラメータ拘束条件生成手段と、前記第1運動パラメータ拘束条件と前記第2運動パラメータ拘束条件に基づいて前記運動パラメータを算出する運動パラメータ算出手段と、前記運動パラメータに基づいて前記入力画像の二次元オプティカルフローを生成する二次元オプティカルフロー生成手段と、を含む、オプティカルフロー生成装置が提供される。以上の構成によれば、入力画像のより広範囲な領域でオプティカルフローを生成することができる。
【0007】
また、オプティカルフロー生成装置は、前記二次元オプティカルフローと、前記距離画像データと、に基づいて三次元オプティカルフローを生成する三次元オプティカルフロー生成手段を更に含む。
【0008】
本願発明の第2の観点によれば、外部環境の輝度と前記外部環境までの距離を測定して取得し、入力画像として、輝度画像データ及び距離画像データを生成可能な画像データ生成手段を用い、前記輝度画像データと、前記距離画像データと、微小時間経過の前後で前記外部環境の輝度は変化しないとする輝度勾配の拘束条件と、に基づいて、前記外部環境に対する前記画像データ生成手段の相対的な運動を表現したものである運動パラメータの第1の拘束条件である第1運動パラメータ拘束条件を生成するステップと、前記距離画像データと、微小時間経過の前後で前記画像データ生成手段から前記外部環境までの距離は変化しないとする距離情報の拘束条件と、に基づいて、前記運動パラメータの第2の拘束条件である第2運動パラメータ拘束条件を生成するステップと、前記第1運動パラメータ拘束条件と前記第2運動パラメータ拘束条件に基づいて前記運動パラメータを算出するステップと、前記運動パラメータに基づいて前記入力画像の二次元オプティカルフローを生成するステップと、を含むオプティカルフロー生成方法が提供される。
【0009】
また、オプティカルフロー生成方法は、前記二次元オプティカルフローと、前記距離画像データと、に基づいて三次元オプティカルフローを生成するステップを更に含む。
【0010】
本願発明の第3の観点によれば、コンピュータに、上記のオプティカルフロー生成方法を実行させるためのプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0011】
本願発明によれば、前記入力画像のより広範囲な画素のオプティカルフローを生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、オプティカルフロー生成装置のブロック図である。
【図2】図2は、オプティカルフロー生成フローである。
【図3】図3は、距離情報の拘束条件の説明図である。
【図4】図4は、三次元オプティカルフローの説明図である。
【図5】図5は、実施例の説明図である。
【図6】図6は、外部カメラをヨー方向に回転させた際のオプティカルフローの第1鳥瞰図である。
【図7】図7は、外部カメラをヨー方向に回転させた際のオプティカルフローの第2鳥瞰図である。
【図8】図8は、外部カメラをヨー方向に回転させた際のオプティカルフローの第3鳥瞰図である。
【図9】図9は、外部カメラをヨー方向に回転させた際のオプティカルフローの第4鳥瞰図である。
【図10】図10は、外部カメラをヨー方向に回転させた際のオプティカルフローをグレースケール画像に重畳させた第1図であって、図6に対応している。
【図11】図11は、外部カメラをヨー方向に回転させた際のオプティカルフローをグレースケール画像に重畳させた第2図であって、図7に対応している。
【図12】図12は、外部カメラをヨー方向に回転させた際のオプティカルフローをグレースケール画像に重畳させた第3図であって、図8に対応している。
【図13】図13は、外部カメラをヨー方向に回転させた際のオプティカルフローをグレースケール画像に重畳させた第4図であって、図9に対応している。
【図14】図14は、外部カメラをロール方向に回転させた際のオプティカルフローをグレースケール画像に重畳させた第1図である。
【図15】図15は、外部カメラをロール方向に回転させた際のオプティカルフローをグレースケール画像に重畳させた第2図である。
【図16】図16は、外部カメラをピッチ方向に回転させた際のオプティカルフローをグレースケール画像に重畳させた第1図である。
【図17】図17は、外部カメラをピッチ方向に回転させた際のオプティカルフローをグレースケール画像に重畳させた第2図である。
【図18】図18は、人を被写体としたときのオプティカルフローの第1鳥瞰図である。
【図19】図19は、人を被写体としたときのオプティカルフローの第2鳥瞰図である。
【図20】図20は、人を被写体としたときのオプティカルフローの第3鳥瞰図である。
【図21】図21は、人を被写体としたときのオプティカルフローの第4鳥瞰図である。
【図22】図22は、人を被写体としたときのオプティカルフローの第5鳥瞰図である。
【図23】図23は、人を被写体としたときのオプティカルフローをグレースケール画像に重畳させた第1図であって、図18に対応している。
【図24】図24は、人を被写体としたときのオプティカルフローをグレースケール画像に重畳させた第2図であって、図19に対応している。
【図25】図25は、人を被写体としたときのオプティカルフローをグレースケール画像に重畳させた第3図であって、図20に対応している。
【図26】図26は、人を被写体としたときのオプティカルフローをグレースケール画像に重畳させた第4図であって、図21に対応している。
【図27】図27は、人を被写体としたときのオプティカルフローをグレースケール画像に重畳させた第5図であって、図22に対応している。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1に示すオプティカルフロー生成装置1は、外部カメラ2と、パーソナルコンピュータ3と、によって構成されている。
【0014】
外部カメラ2は、外部環境の輝度と外部環境までの距離を測定して取得し、入力画像としての輝度画像データ及び距離画像データを生成可能な画像データ生成手段である。外部カメラ2は、所定時間間隔で輝度画像データ及び距離画像データを生成し、生成した輝度画像データ及び距離画像データを逐次、パーソナルコンピュータ3に出力する。輝度画像とは、各ピクセルに輝度が割り当てられた画像であって、典型的にはグレースケール画像に相当している。距離画像とは、各ピクセルに、外部カメラ2から外部環境までの距離が割り当てられた画像である。外部カメラ2は、例えば一般的な撮像カメラとTOF(Time Of Flight)測定装置の組み合わせによって実現される。TOF測定装置とは、距離測定装置の一種であって、光源と受光センサを有し、光源から出た光が外部環境で反射し、受光センサに届くまでの光の飛行時間(遅れ時間)と光速に基づいて外部環境(被写体)までの距離を算出する装置である。この種の外部カメラ2は、例えばMicrosoft社製のKinect(登録商標)として市販されている。
【0015】
パーソナルコンピュータ3は、CPU4(Central Proccessing Unit)、RAM5(Random Access Memory)、ROM6(Read Only Memory)によって構成されている。ROM6には、オプティカルフロー生成プログラムが記憶されている。オプティカルフロー生成プログラムは、RAM5にロードされる。CPU4は、RAM5にロードされたオプティカルフロー生成プログラムを逐次実行する。これにより、オプティカルフロー生成プログラムは、CPU4などのハードウェアを、グレースケール画像記憶部7(輝度画像記憶手段)、距離画像記憶部8(距離画像記憶手段)、第1運動パラメータ拘束条件生成部9(第1運動パラメータ拘束条件生成手段)、第2運動パラメータ拘束条件生成部10(第2運動パラメータ拘束条件生成手段)、運動パラメータ算出部11(運動パラメータ算出手段)、二次元オプティカルフロー生成部12(二次元オプティカルフロー生成手段)、三次元オプティカルフロー生成部13(三次元オプティカルフロー生成手段)として機能させるようになっている。
【0016】
グレースケール画像記憶部7は、外部カメラ2が生成した輝度画像データを記憶する。グレースケール画像記憶部7には、例えば、時刻tにおける輝度画像データや時刻t+Δtにおける輝度画像データなどがFIFO形式で記憶される。
【0017】
距離画像記憶部8は、外部カメラ2が生成した距離画像データを記憶する。距離画像記憶部8には、例えば、時刻tにおける距離画像データや時刻t+Δtにおける距離画像データなどがFIFO形式で記憶される。
【0018】
第1運動パラメータ拘束条件生成部9は、輝度画像データと、距離画像データと、輝度勾配の拘束条件と、に基づいて、外部環境に対する外部カメラ2の相対的な運動を表現したものである運動パラメータQの第1の拘束条件である第1運動パラメータ拘束条件を生成する。ここで、「輝度勾配の拘束条件」とは、微小時間経過の前後で外部環境の輝度は変化しないという普遍的原理に基づく拘束条件である。
【0019】
第2運動パラメータ拘束条件生成部10は、距離画像データと、距離情報の拘束条件と、に基づいて、運動パラメータQの第2の拘束条件である第2運動パラメータ拘束条件を生成する。ここで、「距離情報の拘束条件」とは、微小時間経過の前後で外部カメラ2から外部環境までの距離は変化しないという普遍的原理に基づく拘束条件である。
【0020】
運動パラメータ算出部11は、第1運動パラメータ拘束条件と第2運動パラメータ拘束条件に基づいて運動パラメータQを解析的に算出する。
【0021】
二次元オプティカルフロー生成部12は、運動パラメータQに基づいて入力画像の二次元オプティカルフローを生成する。
【0022】
三次元オプティカルフロー生成部13は、二次元オプティカルフローと、距離画像データと、に基づいて三次元オプティカルフローを生成する。
【0023】
次に、図2を参照しつつ、オプティカルフロー生成方法を詳しく説明する。
【0024】
先ず、外部カメラ2が、時刻t及び時刻t+Δtにおいて外部環境の輝度と外部環境までの距離を測定して取得し、入力画像として、輝度画像データ及び距離画像データを生成する(S300)。つまり、輝度画像データと距離画像データは、何れも入力画像である。輝度画像データは、各画素毎に輝度値を有する。距離画像データは、各画素毎に距離情報を有する。
【0025】
次に、第1運動パラメータ拘束条件生成部9が、下記式(1)で示す第1運動パラメータ拘束条件を生成する(S310)。下記式(1)の詳細を下記式(2)〜(6)で示している。下記式(1)に示すように、第1運動パラメータ拘束条件は、運動パラメータQを用いて線形的に記述できる。
【0026】
【数1】

【0027】
【数2】

【0028】
【数3】

【0029】
【数4】

【0030】
【数5】

【0031】
【数6】

【0032】
上記式(1)においてQは、運動パラメータQを意味している。上記式(2)において{V}=(Vx、Vy、Vz)Tは、外部カメラ2の外部環境に対する相対的な速度を示している。上記式(2)において{Ω}=(α、β、γ)Tは、外部カメラ2の外部環境に対する相対的な角速度を示している。ただし、"{}"で囲まれた文字はベクトル又は行列を意味している。また、上記式(3)及び(4)において、添字(1・・・m)は、入力画像中の注目画素を特定するためのものである。上記式(3)においてfx、fyは、注目画素mにおけるX、Y方向の輝度勾配である。上記式(4)においてftは、注目画素mにおける時間方向の輝度勾配である。上記式(5)において{x}は、注目画素mの入力画像中の位置ベクトルである。上記式(6)においてZは、距離画像データから得られる注目画素mの距離データである。上記式(6)においてcは外部カメラ2の焦点距離である。
【0033】
ここで、上記式(1)の導出過程を説明する。
【0034】
一般に、輝度勾配の拘束式は、下記式(7)に従う。下記式(7)において、(u、v)Tは、注目画素の入力画像中の速度ベクトルである。
【0035】
【数7】

【0036】
上記式(7)では、uとvが何れも未知数であるためそのままではuもvも求めることができない。そこで、従来では、上記式(7)に「小領域において二次元オプティカルフローは一定である」という条件を無理やり付加してuとvを求めていた。
【0037】
ところで、外部環境の任意の点である三次元空間上の点Pの座標を下記式(8)のように{X}とすると、下記式(9)となる。
【0038】
【数8】

【0039】
【数9】

【0040】
また、二次元座標と三次元座標の変換は、下記式(10)となる。上記式(9)を微分すると、下記式(11)となる。なお、下記式(11)において、{Z}にハットが付いたものは、Z方向の単位ベクトルを意味している。下記式(11)を上記式(9)に代入すると、下記式(12)となる。
【0041】
【数10】

【0042】
【数11】

【0043】
【数12】

【0044】
上記式(12)を各要素に分解すると、下記式(13)となる。
【0045】
【数13】

【0046】
そして、上記式(13)を上記式(7)に代入すると、前述した式(1)が最終的に得られる。
【0047】
次に、第2運動パラメータ拘束条件生成部10が、下記式(14)で示す第2運動パラメータ拘束条件を生成する(S320)。下記式(14)の詳細を下記式(15)及び(16)で示している。下記式(14)で示すように、第2運動パラメータ拘束条件は、運動パラメータQを用いて線形的な形で記述できる。
【0048】
【数14】

【0049】
【数15】

【0050】
【数16】

【0051】
上記式(15)においてgx、gyは、注目画素mにおけるX、Y方向の距離勾配である。上記式(15)において、ηは、(0、0、1、Y、―X、0)である。上記式(16)においてZimg(xm、ym)は、時刻tにおける注目画素mの距離データを意味する。上記式(16)においてZ'img(Xm、ym)は、時刻t+Δtにおける注目画素mの距離データを意味する。
【0052】
ここで、上記式(14)の導出過程を説明する。
【0053】
前述した式(9)のZ成分は奥行き方向の変位ΔZを意味しており、下記式(17)で表される。
【0054】
【数17】

【0055】
また、Z'imgをテイラー展開して二次以上の項を無視すると、下記式(18)が得られる。下記式(18)について必要であれば、図3を参照されたい。
【0056】
【数18】

【0057】
そして、上記式(17)及び(18)から下記式(19)が得られる。距離情報の拘束条件は、下記式(19)においてZ'―Z≒0に相当している。
【0058】
【数19】

【0059】
そして、上記式(19)を運動パラメータQで整理すると、前述した式(14)が得られる。
【0060】
次に、運動パラメータ算出部11が、運動パラメータQを算出する(S330)。上記式(1)と式(14)を統合させると、下記式(20)になる。下記式(20)の詳細を下記式(21)及び(22)で示している。
【0061】
【数20】

【0062】
【数21】

【0063】
【数22】

【0064】
上記式(20)は運動パラメータQの線形方程式となる。そして、上記式(20)より運動パラメータQの最小二乗解は、下記式(23)により解析的に求められる。なお、最小二乗解とは、未知数より方程式の数が多い連立方程式は一意に解を求めることができないことから、一番もっともらしい解をその連立方程式の解とするものである。
【0065】
【数23】

【0066】
次に、二次元オプティカルフロー生成部12は、運動パラメータQを用いて、二次元オプティカルフローを生成する(S340)。具体的には、上記式(23)を上記式(13)に代入することで、入力画像中の各画素の平面的な速度ベクトル、即ち二次元オプティカルフローが求められる。入力画像中の各画素の速度ベクトルは適宜、RAM5に記憶される。
【0067】
次に、三次元オプティカルフロー生成部13は、三次元オプティカルフローを生成する(S350)。具体的には、三次元オプティカルフロー生成部13は、RAM5に記憶されている二次元オプティカルフローと、距離画像記憶部8に記憶されている時刻tでの距離画像データと時刻t+Δtでの距離画像データと、に基づいて、図4に示すように、入力画像中の各画素の立体的な速度ベクトル、即ち三次元オプティカルフローを生成する。入力画像中の各画素の立体的な速度ベクトルは適宜、RAM5に記憶されると共に、図示しないディスプレイ上に表示される。
【0068】
以上に、オプティカルフロー生成装置1の構成と作動を説明した。次に、実際に生成された三次元オプティカルフローを例示する。実施例1〜3では、背景の壁面に若干の模様を付しているが、このような模様を取り除いても同様の結果になっていることは既に本願発明者らによって確認されている。
【0069】
(実施例1)
図5に示すように相互に直交する2つの壁面に対して対向する位置に外部カメラ2を設置し、外部カメラ2をヨー方向に回転させた際に生成された三次元オプティカルフローを検証した。図6〜9の鳥瞰図において、グレー色はTOF法によって検出した壁面そのものであり、黒い線分は三次元オプティカルフローを示している。図6〜9によれば、三次元オプティカルフローが壁面をトラッキングしている様子が判る。また、図10〜13のグレースケール画像において、白い線分は二次元オプティカルフローを示している。図10〜13によれば、外部カメラ2のヨー方向への回転に伴って水平な二次元オプティカルフローが生成されていることが判る。
【0070】
(実施例2)
次に、外部カメラ2をロール方向に回転させた際に生成された二次元オプティカルフローを検証した。図14及び図15のグレースケール画像において、白い線分は二次元オプティカルフローを示している。図14及び図15によれば、外部カメラ2のロール方向への回転に対応した適切な二次元オプティカルフローが生成されていることが判る。
【0071】
(実施例3)
次に、外部カメラ2をピッチ方向に回転させた際に生成された二次元オプティカルフローを検証した。図16及び図17のグレースケール画像において、白い線分は二次元オプティカルフローを示している。図16及び図17によれば、外部カメラ2のピッチ方向への回転に対応した適切な二次元オプティカルフローが生成されていることが判る。
【0072】
(実施例4)
次に、外部カメラ2を固定した状態で、外部カメラ2の前で人物にお辞儀をさせたときの三次元オプティカルフローを図18〜22に、二次元オプティカルフローを図23〜27に示す。図18〜22の鳥瞰図において、グレー色はTOF法によって検出した外部環境そのものであり、黒い線分は三次元オプティカルフローを示している。図18〜22によれば、人物の上下動に対応した三次元オプティカルフローが好適に生成されていることが判る。特に、図19においては人物の体のラインに沿った三次元オプティカルフローの生成が実現できていることが判る。図20には下方へ向かう三次元オプティカルフロー、図21及び図22には上方へ向かう三次元オプティカルフローが生成されている。図23〜27は必要に応じて参照されたい。図23〜27のグレースケール画像において、白い線分は二次元オプティカルフローを示している。
【0073】
以上説明したように、上記実施形態においてオプティカルフロー生成装置1は、要するに、以下の特長を有している。即ち、オプティカルフロー生成装置1は、外部環境の輝度と外部環境までの距離を測定して取得し、入力画像として、輝度画像データ及び距離画像データを生成可能な外部カメラ2と、輝度画像データを記憶する輝度グレースケール画像記憶部7と、距離画像データを記憶する距離画像記憶部8と、輝度画像データと、距離画像データと、輝度勾配の拘束条件と、に基づいて、第1運動パラメータ拘束条件を生成する第1運動パラメータ拘束条件生成部9と、距離画像データと、距離情報の拘束条件と、に基づいて、第2運動パラメータ拘束条件を生成する第2運動パラメータ拘束条件生成部10と、第1運動パラメータ拘束条件と第2運動パラメータ拘束条件に基づいて運動パラメータQを算出する運動パラメータ算出部11と、運動パラメータQに基づいて入力画像の二次元オプティカルフローを生成する二次元オプティカルフロー生成部12と、によって構成されている。以上の構成によれば、2種類の拘束条件を有機的に結合することで、入力画像のより広範囲な領域でオプティカルフローを生成することができる。
【符号の説明】
【0074】
1 オプティカルフロー生成装置
2 外部カメラ
3 パーソナルコンピュータ
7 グレースケール画像記憶部
8 距離画像記憶部
9 第1運動パラメータ拘束条件生成部
10 第2運動パラメータ拘束条件生成部
11 運動パラメータ算出部
12 二次元オプティカルフロー生成部
13 三次元オプティカルフロー生成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部環境の輝度と前記外部環境までの距離を測定して取得し、入力画像として、輝度画像データ及び距離画像データを生成可能な画像データ生成手段と、
前記輝度画像データを記憶する輝度画像記憶手段と、
前記距離画像データを記憶する距離画像記憶手段と、
前記輝度画像データと、前記距離画像データと、微小時間経過の前後で前記外部環境の輝度は変化しないとする輝度勾配の拘束条件と、に基づいて、前記外部環境に対する前記画像データ生成手段の相対的な運動を表現したものである運動パラメータの第1の拘束条件である第1運動パラメータ拘束条件を生成する第1運動パラメータ拘束条件生成手段と、
前記距離画像データと、微小時間経過の前後で前記画像データ生成手段から前記外部環境までの距離は変化しないとする距離情報の拘束条件と、に基づいて、前記運動パラメータの第2の拘束条件である第2運動パラメータ拘束条件を生成する第2運動パラメータ拘束条件生成手段と、
前記第1運動パラメータ拘束条件と前記第2運動パラメータ拘束条件に基づいて前記運動パラメータを算出する運動パラメータ算出手段と、
前記運動パラメータに基づいて前記入力画像の二次元オプティカルフローを生成する二次元オプティカルフロー生成手段と、
を含む、
オプティカルフロー生成装置。
【請求項2】
請求項1に記載のオプティカルフロー生成装置であって、
前記二次元オプティカルフローと、前記距離画像データと、に基づいて三次元オプティカルフローを生成する三次元オプティカルフロー生成手段を更に含む、
オプティカルフロー生成装置。
【請求項3】
外部環境の輝度と前記外部環境までの距離を測定して取得し、入力画像として、輝度画像データ及び距離画像データを生成可能な画像データ生成手段を用い、
前記輝度画像データと、前記距離画像データと、微小時間経過の前後で前記外部環境の輝度は変化しないとする輝度勾配の拘束条件と、に基づいて、前記外部環境に対する前記画像データ生成手段の相対的な運動を表現したものである運動パラメータの第1の拘束条件である第1運動パラメータ拘束条件を生成するステップと、
前記距離画像データと、微小時間経過の前後で前記画像データ生成手段から前記外部環境までの距離は変化しないとする距離情報の拘束条件と、に基づいて、前記運動パラメータの第2の拘束条件である第2運動パラメータ拘束条件を生成するステップと、
前記第1運動パラメータ拘束条件と前記第2運動パラメータ拘束条件に基づいて前記運動パラメータを算出するステップと、
前記運動パラメータに基づいて前記入力画像の二次元オプティカルフローを生成するステップと、
を含む、
オプティカルフロー生成方法。
【請求項4】
請求項3に記載のオプティカルフロー生成方法であって、
前記二次元オプティカルフローと、前記距離画像データと、に基づいて三次元オプティカルフローを生成するステップを更に含む、
オプティカルフロー生成方法。
【請求項5】
コンピュータに、請求項3又は4に記載のオプティカルフロー生成方法を実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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