説明

オペレータ監視装置及びオペレータ監視方法

【課題】複数のPOS端末装置を管轄する店舗サーバにおいて、POS端末装置のオペレータによる疑わしい販売処理に係るキー操作のパターンを摘出して警告を発するPOSシステムを提供する。
【課題手段】商品又はサービスの販売処理を行う複数のPOS端末装置を統括する店舗サーバが、前記POS端末装置における不正行為の可能性を有するオペレータによる複数の操作パターンと当該複数の操作パターンにおける処理データの閾値を設定して当該閾値を格納する記憶手段と、前記複数のPOS端末装置から送信される販売処理データを示す電子ジャーナルを受信する通信手段と、前記電子ジャーナルの内容を検閲する検閲手段と、前記電子ジャーナルの中の販売処理データ中に予め設定された前記複数の操作パターンの何れかが含まれているか否かをし、摘出された前記操作パターンに係るそれぞれの処理データが前記閾値に達しているか否かを判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品又はサービス等の販売処理を行う複数のPOS端末装置とこのPOS端末装置と通信回線を介して接続された店舗サーバとにより構成されたPOSシステムにおいて前記POS端末装置のオペレータによる不正行為を検出し警告するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
商品やサービス等を提供する小売店舗等に設置され、販売管理品目を販売時点においてリアルタイムに管理可能なPOS端末装置においては、当該小売店舗に雇用されているPOS端末装置のオペレータが不正行為によるキー操作を行い、販売商品の不正な持ち出しや不正の金銭授受が行われことがある。
【0003】
最近のPOS端末装置の操作に係わる販売商品のアイテムを登録するチェッカや金銭の授受を行うキャッシャ等のオペレータの不正行為の増加は、小売店に雇用されるPOS端末装置の操作が、必ずしも当該小売店の正規社員ではなく短期の臨時従業員等によって行われることが多くなっていることも要因の一つとなっている。このようなPOS端末装置のオペレータによる不正行為は、近年の高度に進歩したPOS端末装置が備える種々の販売処理(割引販売処理、返品処理、訂正処理、クレジットカード支払処理等)を可能にする多機能性を逆手に取って行われることが多い。
【0004】
図11は、POS端末装置において不正な販売処理がなされた第1の事例を示す。図11に示す事例では、商品名Cで、価格が¥4,800の商品の請求項目が入力された直後に、「直前訂正」キーによって、商品名欄に不正に「直訂」と入力され、¥−4,800が入力されており、これにより、価格が¥4,800の商品が詐取された。なお、このような「直前訂正」キーと同様の機能を有する「指定訂正」キーの不正な操作によっても、商品が詐取されることがある。
【0005】
図12は、POS端末装置において不正な販売処理がなされた第2の事例を示す。この事例では、商品名A〜Fの請求項目が全て入力され、小計の¥4,130が入力された直後に、「取引中止」キーによって、不正な「取引中止」の入力と共に¥0が入力されており、これにより、価格¥4,800の商品が詐取された。
【0006】
このような「取引中止」キーと同様の機能を有する「返品」キーまたは「取消」キーの不正な操作によっても、商品が詐取されることがある。また、「割引」キーや「値引」キーの不正な操作によっても、不正に割り引かれた商品が詐取されることがある。
【0007】
このため、従来から、店舗内を監視するビデオ映像と、本来の処理画面とを自動的に切り換えるようにして、監視機能を強化する提案が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0008】
また、設定された時間、若しくは上位機からのロック解除の指令が来るまでは、現金の受付や取り出しが一切できないようにしたレジスタシステムが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0009】
また、オペレータが離席したことを監視センサによって検出し、キャッシュドロア装置の現金引出金庫がオープンの状態で、前記オペレータの離席が一定時間を経過した時には、現金引出金庫をクローズ状態にするPOSシステムも知られている(例えば、特許文献3参照)。
【0010】
さらに、「誤打申請」キーを新設し、売上データを取り消す必要が生じた時に、この「誤打申請」キーを押下して新設の「誤打申請」フラグをセットしてから精算すると共に、管理者の承認を受けるPOS端末装置及びPOS管理システムが開示されている(例えば、特許文献4参照)。
【特許文献1】特開平8−124025号公報
【特許文献2】特開平9−251577号公報
【特許文献3】特開平10−211027号公報
【特許文献4】特開2004−30210号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、このような従来のPOSシステムでは何れも、POS端末装置のオペレータのキー操作による販売処理の内容をチェックするものではなく、不正な販売処理を監視するものではない。
【0012】
すなわち、特許文献1乃至3に記載の発明は、主にPOS端末装置を構成する金銭収納箱(キャッシュドロア)から、金銭が盗まれるのを監視したり金銭が抜き取られるようにするものであり、特許文献4に記載の発明は、キー操作の入力訂正を管理者の承認を得なければできないようにするものである。
【0013】
このため、本発明は、POSシステムを構成する店舗サーバにおいて、管轄する各POS端末装置のオペレータによる疑わしい販売処理に係るキー操作のパターンを集中的に摘出して警告を発するオペレータ監視システムの提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的に鑑みて、本発明は、商品又はサービスの販売処理を行う複数のPOS端末装置と当該POS端末装置と通信回線を介して接続された店舗サーバとにより構成されたPOSシステムにおいて前記POS端末装置のオペレータによる不正行為を検出し警告する監視装置であって、前記店舗サーバは、前記POS端末装置における不正行為の可能性を有するオペレータによる複数の操作パターンと当該複数の操作パターンにおける処理データの閾値を設定して当該閾値を格納する記憶手段と、前記複数のPOS端末装置から送信される販売処理データを示す電子ジャーナルを受信する通信手段と、前記電子ジャーナルの内容を検閲する検閲手段と、前記電子ジャーナルの中の販売処理データ中に予め設定された前記複数の操作パターンの何れかが含まれているか否かを照合する照合手段と、前記照合により摘出された前記操作パターンに係るそれぞれの処理データが前記閾値に達しているか否かを判定する判定手段と、前記閾値に達している前記操作パターンに係る販売処理をについて警告文を出力する出力手段と、の各手段を備えたことを特徴とするオペレータ監視装置を提供するものである。
【0015】
ここで、前記不正行為の可能性を含むキー操作のパターンには、「取消」キー、「中止」キー、「売価変更」キー、「値引」キー、「付与ポイント」キー、「直前消去」キー、「指定消去」キー、「下取り」キー、又は「クーポン」キーの何れか一つ又は複数のキー操作が含まれ、また、前記閾値は、前記不正行為の可能性を含むキー操作のパターン毎に、前記パターンの発生回数、前記パターンの発生回数頻度、売上データの取扱金額、又は/及び売上データの取扱金額割合を規定したものであることを特徴とする。
【0016】
そして、前記店舗サーバは、前記POS端末装置の業務終了後にそれぞれの前記電子ジャーナルデータを一括して受信するように構成されるが、前記POS端末装置におけるトランザクション毎に各POS端末装置から前記電子ジャーナルデータを受信するようにしてもよい。
【0017】
また、前記検閲手段による前記検閲及び前記照合手段による照合は、予め設定された時間又は前記店舗サーバへの所定のデータ入力により行われる。ここで、管理者以外のものが前記照合結果をチェックできなくさせるために、前記照合を開始するための前記所定のデータ入力は、予め設定されたパスワード又は暗証番号を含むようにする。
【0018】
本願は、さらに、商品又はサービスの販売処理を行う複数のPOS端末装置と当該POS端末装置と通信回線を介して接続された店舗サーバとにより構成されたPOSシステムにおいて前記POS端末装置のオペレータによる不正行為を検出し警告する監視方法であって、前記店舗サーバにおいて、前記POS端末装置における不正行為の可能性を有するオペレータによる複数の操作パターンと当該複数の操作パターンにおける処理データの閾値を設定して当該閾値を格納するステップと、前記複数のPOS端末装置から送信される販売処理データを示す電子ジャーナルを受信するステップと、前記電子ジャーナルの内容を検閲するステップと、前記電子ジャーナルの中の販売処理データ中に予め設定された前記複数の操作パターンの何れかが含まれているか否かを照合するステップと、前記照合により摘出された前記操作パターンに係るそれぞれの処理データが前記閾値に達しているか否かを判定するステップと、前記閾値に達している前記操作パターンに係る販売処理をについて警告文を出力するステップ出力手段と、の各ステップを有することを特徴とするオペレータ監視方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係るオペレータ監視装置は、POSシステムを構成する店舗内サーバにおいて管轄する全てのPOS端末装置のオペレータによる疑わしい販売処理に係るキー操作のパターンを探し出してその警告を発生させることを可能にした。そして、本オペレータ監視装置は、ソフトウェア・パッケージの形態にて提供され得るので、既存の店舗サーバの制御プログラムに影響を与えることなく導入することができるのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明に係るオペレータ監視装置の詳細について、図面を参照しつつ説明する。
【0021】
図1は、POSシステムにおけるオペレータ監視システムの全体構成を模式的に示すものである。図1に示すように、本実施形態に係るオペレータ監視システムは、複数のPOS端末装置1、2、3と、これらのPOS端末装置と通信回線(例えば、LAN)を介して接続された店舗サーバ4とにより構成される。そして、本オペレータ監視装置は、店舗サーバ4内に格納されるのである。
【0022】
図1において、POS端末装置1、2、3は、主要な構成要素として、POS端末装置を動作させるためのPOSソフトウェアにより動作し、各POS端末装置は、通常、バーコードスキャナを備えて顧客に買い上げられた商品を単品毎に登録し、商品の販売記録を示す電子ジャーナルデータを格納する。そして、店舗サーバ4は、通信手段28を構成する屋内通信回線(LAN)を介して各POS端末装置からそれぞれの電子ジャーナルデータを受信し、その中の販売データを検閲してオペレータによる不正行為の可能性を有する販売処理について警告文を作成し、店舗サーバ4のディスプレイ上に表示またはプリンタに印字出力するのである。
【0023】
図2は、図1に示した店舗サーバ4の技術的構成の例を示す。図2に示す店舗サーバ4は、フルキーボードのデータ入力手段15と、液晶パネル等の表示装置16及び印字装置17を備える。
【0024】
そして、店舗サーバ4は、固定のプログラムやデータを格納するROM19、ワーキングメモリとして使用すると共に変動データや一時的なデータを格納するRAM20、そしてデータ格納装置を備える。
【0025】
このデータ格納装置は、取り扱う商品のアイテム毎の価格や在庫量等を格納するPLUファイルを格納するPLUファイル格納装置21と、各種制御プログラムや各POS端末装置1、2、3から送信される販売記録を格納するプログラム/データ格納装置24を備え、CPU(中央演算装置)23がこれらの各装置を全体制御するようにしている。尚、PLUファイル格納装置21とプログラム/データ格納装置24は、同一の記憶装置(例えば、ハードディスク装置)で構成するようにしてもよい。
【0026】
ここで、POS端末装置1、2、3において商品が顧客により購入される場合、当該商品のバーコードがスキャナ(図示せず)により読み取られると、店舗サーバ4は、当該バーコードに係る商品の価格がPLUファイル格納装置21を参照して当該商品の価格データを読み出して当該POS端末装置に送信する。これを受けてPOS端末装置の表示装置(図示せず)にはその商品名と販売価格が表示される。このようにして商品の販売等が行われるとその売上記録及び販売処理に関する記録は、先ずPOS端末装置内のデータ記憶装置にジャーナルデータとして累積的に書き込まれる。当該ジャーナルデータは、従来のジャーナルプリンタにより印字記録されたジャーナル記録に代わるものであり、税務処理の際の売上を証明するため書き換えることができないようにされており、商品の返品処理、割引処理、中止処理等の販売管理データの全てを含む。
【0027】
そして、店舗サーバ4は、通常、各POS端末装置1、2、3の業務終了後にそれぞれの電子ジャーナルを一括して受信するように構成される。しかし、店舗サーバ4は、各POS端末装置におけるトランザクション(商品販売処理)毎に電子ジャーナルデータを受信するようにしてもよい。そして、店舗サーバ4における電子ジャーナルデータの検閲及び照合は、予め設定された時間、又は前記店舗サーバへの所定のデータ入力により行われるが、照合を開始するための所定のデータ入力は、予め設定されたパスワード又は暗証番号を認証することにより行うようにする。
【0028】
本発明は、このように、商品又はサービスの販売処理を行う複数のPOS端末装置1、2、3とこのPOS端末装置と通信回線を介して接続された店舗サーバ4とにより構成されたPOSシステムにおいて、店舗サーバ4が、各POS端末装置から送信されてくる電子ジャーナルデータを検閲してPOS端末装置のオペレータによる不正行為を検出し警告するのである。
【0029】
このため、本オペレータ監視装置30は、店舗サーバ4内に備えられるものであり、a)POS端末装置1における不正行為の可能性を有するオペレータによる複数の操作パターンと当該複数の操作パターンにおける処理データの閾値を設定して当該閾値を格納する記憶手段と、b)POS端末装置の販売処理データを示す電子ジャーナルの内容を検閲する検閲手段と、c)電子ジャーナルの中の販売処理データ中に予め設定された前記複数の操作パターンの何れかが含まれているか否かを照合する照合手段と、d)前記照合により摘出された前記操作パターンに係るそれぞれの処理データが前記閾値に達しているか否かを判定する判定手段と、e)前記閾値に達している前記操作パターンに係る販売処理をについて警告文を出力する出力手段と、の各手段を備えるのである。
【0030】
図3は、本発明のオペレータ監視装置30における制御フローの概要を説明するためのフローチャートを示す。
図3に示すように、本発明のオペレータ監視装置30は、店舗サーバ4内のプログラム/データ格納装置24内に、POS端末装置における不正行為の可能性を有するオペレータによる複数の操作パターンと当該複数の操作パターンにおける処理データの閾値を設定して当該閾値を格納しておく(S10)。そして、管轄する複数のPOS端末装置1、2、3から、夫々の電子ジャーナルデータを受信し、データ格納装置(ディスク装置)に格納する(S11)。
【0031】
次に、店舗サーバ4において、本オペレータ監視処理のための閲覧処理を開始する入力操作が行われる(S12)と、その権能を有する管理者であることを確認するために暗証番号又はパスワード等の確認を行い(S13)、正当な管理者であった場合には、POS端末装置の販売処理データを示す電子ジャーナルの内容を検閲する(S14)。
【0032】
次に、前記電子ジャーナルの中の販売処理データ中に予め設定された複数の操作パターンの何れかが含まれているか否かを照合し(S15)、この照合により摘出された前記操作パターンに係るそれぞれの処理データが前記閾値に達しているか否かを判定する(S16)。そして、設定されている閾値に達している操作パターンに係る販売処理があった場合には、それを知らせるための警告文を作成し(S17)、表示装置(図2の16)上に表示出力するか、印字装置(図2の17)に印字出力するのである。
【0033】
ここで、上記したステップ10(S10)において格納される不正行為の可能性を有するオペレータによる複数の操作パターンは、例えば、「取消」キー、「中止」キー、「売価変更」キー、「値引」キー、「付与ポイント」キー、「直前消去」キー、「指定消去」キー、「下取り」キー、又は「クーポン」キーの何れか一つ又は複数のキー操作に基づくのである。そして、前記閾値は、前記不正行為の可能性を含むキー操作のパターン毎に、前記パターンの発生回数、前記パターンの発生回数頻度、売上データの取扱金額、又は/及び売上データの取扱金額割合を規定したものである。
【0034】
以下、前記の不正監視ソフトウェアが備える不正な販売処理に係るキー操作パターンの有無を検証する具体例について説明する。
【0035】
図4は、不正なキー操作の可能性を有する販売処理に係るキー操作パターンの警告を要する発生金額の閾値を設定した説明図(その1)である。
【0036】
「取消」キーは、発生金額が¥50,000で、「中止」キーは発生金額が¥40,000で、「売価変更」キーは発生金額が¥20,000で、「直前値引」キーは発生金額が¥20,000で、「直前訂正」キーは発生金額が¥50,000で、「指定訂正」キーは発生金額が¥50,000で、「付与ポイント」キーは発生金額が¥7,000で、「下取り」キーは発生金額が¥30,000で、「クーポン」キーは発生金額が¥10,000で、それぞれ前記警告データが出力される。
【0037】
図5は、不正の監視対象となる販売処理に係るキー操作パターンの例(その1)を示す説明図である。
図5(a)において、3点の商品(「カメラA」、「カメラB」、及び「カメラC」)の商品価格が全て負(マイナス)の符号付で入力されており、それらの合計が¥−50,000に達している。また、図5(b)では、小計が¥40,000となる2点の商品(「カメラA」と「カメラB」)の売上データの入力の直後に「中止」キーが操作されている。
【0038】
図5(c)では、価格がそれぞれ¥10,000である2点の商品(「カメラA」と「カメラB」)の売上データの入力の直後に、それらの商品価格を¥30,000から¥10,000に変更したことを示す「売価変更」キーが操作されている。また、図5(d)では、小計が¥40,000となる2点の商品(「カメラA」と「カメラB」)の売上データの入力の直後に、¥20,000を値引きする「値引き」キーが操作されている。
【0039】
図5(e)では、価格が¥50,000となる1点の商品(「カメラB」)の売上データの入力の直後に¥−50,000の「直前訂正」キーが操作されている。また、図5(f)では、価格が¥50,000の1点の商品(「カメラB」)の売上データと、他の1点の商品(「カメラA」)の売上データの入力の直後に、最初の1点の商品(「カメラB」)の売上データを指定して訂正する¥−50,000の「指定訂正」キーが操作されている。
【0040】
図5(g)では、小計が¥70,000となる3点の商品(「カメラA」、「カメラB」、及び「カメラC」)の売上データを入力して、合計が出力された後で、「ポイント」キーが操作されて、当該顧客に対して7,000のポイント数が付与されている。また、図5(h)では、価格が¥30,000の1点の商品(「カメラA」)の売上データの入力の直後に、「下取り」キーが操作されて、価格が¥30,000の商品(「カメラA」)を下取りしたことにしている。
【0041】
そして、図5(i)では、価格が¥10,000の1点の商品(「カメラA」)の売上データの入力の直後に、「クーポン」キーが操作されて、価格の¥10,000分をクーポンで決済したことにしている。
【0042】
これらの売上データは、全て前述の設定された閾値(図4)による規制に引っ掛かり、よって、全て前述の警告データが出力される。但し、規制に引っ掛かることが2回発生した時に警告データを出力するように構成することもできる。
【0043】
図6は、不正なキー操作の可能性を有する販売処理に係るキー操作パターンの警告を要する発生金額の閾値を設定した説明図(その2)である。
図6では、「売価変更」キーが操作される売価変更処理に対する閾値として、発生金額を¥10,000、若しくは同閾値として、発生金額割合を25(%)とすることが示されている。
【0044】
図7は、不正の監視対象となる販売処理に係るキー操作パターン例(その2)を示す。
図7(a)では、ある(顧客ID:153218)に対して、1点の商品(「カメラA」)の売上データの入力と、価格が¥20,000である次の1点の商品(「カメラB」)の売上データの入力の直後に、直前の1点の商品(「カメラB」)の商品価格を¥30,000から¥20,000に変更したことを示す「売価変更」キーが操作されている。また、図7(b)では、同一の顧客(顧客ID:153218)に対して、(「カメラA」)の売上データの入力と、次の価格を¥1,000とした1点の商品(「カメラB」)の売上データが入力された直後に、直前の商品(「カメラB」)の商品価格を¥3,000から¥1,000に変更したことを示す「売価変更」キーが操作されている(この場合、価格の変更率が閾値の25(%)を超えている)。
【0045】
図8は、不正なキー操作の可能性を有する販売処理に係るキー操作パターンの警告を要する発生金額の閾値を設定した説明図(その3)である。
図8では、「取消」キーが操作される場合の閾値として、発生回数を25〔回〕、発生金額を¥500,000、発生回数頻度を50〔%〕、発生金額割合を50〔%〕とすることを規定している。また、「中止」キーが操作される場合の閾値として、発生回数を50〔回〕、発生金額を¥1,000,000、発生回数頻度を50〔%〕、発生金額割合を50〔%〕とすることが規定されている。また、「売価変更」キーが操作される場合の閾値として、発生回数を100〔回〕、発生金額を¥1,000,000、発生回数頻度を50〔%〕、発生金額割合を50〔%〕とすることを規定している。
【0046】
また、「直前値引」キーが操作される場合の閾値として、発生回数を100〔回〕、発生金額を¥1,000,000、発生回数頻度を50〔%〕、発生金額割合を50〔%〕とすることが規定されている。また、「直前訂正」キーが操作される場合の閾値として、発生回数を100〔回〕、発生金額を¥1,000,000、発生回数頻度を50〔%〕、発生金額割合を50〔%〕とすることを規定している。さらに、「指定訂正」キーが操作される場合の閾値として、発生回数を100〔回〕、発生金額を¥1,000,000、発生回数頻度を50〔%〕、発生金額割合を50〔%〕と規定している。そして、「付与ポイント」キーが操作される場合の閾値として、発生回数を10〔回〕、発生金額を¥200,000、発生回数頻度を20〔%〕、発生金額割合を20〔%〕とすることとを規定している。また、「下取り」キーが操作される場合の閾値として、発生回数を100〔回〕、発生金額を¥1,000,000、発生回数頻度を50〔%〕、発生金額割合を50〔%〕とすることが規定されている。さらに、「クーポン」キーが操作される場合の閾値として、発生回数を100〔回〕、発生金額を¥1,000,000、発生回数頻度を50〔%〕、発生金額割合を50〔%〕とすることを規定している。
【0047】
図9は、不正の監視対象となる販売処理に係るキー操作パターンの例(その3)を示す説明図である。
図9(a)では、価格が¥10,000である1点の商品(「カメラA」)の売上データの入力と、価格が¥10,000である次の1点の商品(「カメラB」)の売上データの入力の直後に、直前の1点の商品(「カメラB」)の商品価格を¥30,000から¥10,000に変更したことを示す「売価変更」キーが操作されている。また、図9(b)では、価格が¥10,000である1点の商品(「カメラC」)の売上データの入力と、価格が¥30,000である次の1点の商品(「カメラD」)の売上データの入力の直後に、直前の1点の商品(「カメラD」)の商品価格を¥20,000だけ値引きしたことを示す「値引き」キーが操作されている。
【0048】
図10は、収集された電子ジャーナルデータから抽出されたPOS端末装置オペレータ(レジ担当者)のレポート出力の具体例を示すものである。
図10に例示するレポート出力では、操作された特定キーの種類毎に、取引回数、取引金額、発生回数、取引金額、発生回数頻度、及び取引金額割合の数値が報告される(但し、図10では具体的な数値の記載を省略している)。
【0049】
ここで、特定キーの種類は、「売上」、「取消」、「中止」、「売価変更」、「値引」、「付与ポイント」、「直前消去」、「指定消去」、「下取り」、及び「クーポン」としている。
【0050】
このようなレポート出力は、予め設定された所定の周期または所定のタイミングで作成され、所定の操作で表示される。このようなレポート出力は、図2に示すレシート印字装置17により印字出力することも、当該印字出力と共に表示装置16を構成するオペレータ用表示装置に表示出力することも可能である。
【0051】
以上詳しく説明したように、本発明は、商品又はサービスの販売処理を行う複数のPOS端末装置と当該POS端末装置と通信回線を介して接続された店舗サーバとにより構成されたPOSシステムにおいて前記POS端末装置のオペレータによる不正行為を検出し警告する監視システムであって、前記店舗サーバは、前記POS端末装置における不正行為の可能性を有するオペレータによる複数の操作パターンと当該複数の操作パターンにおける処理データの閾値を設定して当該閾値を格納し、前記複数のPOS端末装置から送信される販売処理データを示す電子ジャーナルを受信する。そして、前記電子ジャーナルの内容を検閲する検閲手段と、前記電子ジャーナルの中の販売処理データ中に予め設定された前記複数の操作パターンの何れかが含まれているか否かを照合し、前記照合により摘出された前記操作パターンに係るそれぞれの処理データが前記閾値に達しているか否かを判定して、前記閾値に達している前記操作パターンに係る販売処理をについて警告文を出力するのである。
【0052】
ここで、前記不正行為の可能性を含むキー操作のパターンには、「取消」キー、「中止」キー、「売価変更」キー、「値引」キー、「付与ポイント」キー、「直前消去」キー、「指定消去」キー、「下取り」キー、又は「クーポン」キーの何れか一つ又は複数のキー操作が含まれ、また、前記閾値は、前記不正行為の可能性を含むキー操作のパターン毎に、前記パターンの発生回数、前記パターンの発生回数頻度、売上データの取扱金額、又は/及び売上データの取扱金額割合を規定したものである。
【0053】
これにより、本発明に係るオペレータ監視装置は、管轄する全てのPOS端末装置のオペレータによる疑わしい販売処理に係るキー操作のパターンを店舗サーバ4において一括して探し出しその警告を発生させることができるのである。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、商品又はサービス等の販売処理を行う複数のPOS端末装置とこのPOS端末装置と通信回線を介して接続された店舗サーバとにより構成されたPOSシステムにおいて前記POS端末装置のオペレータによる不正行為を検出し警告するシステムに関するものであり、産業上の利用可能性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明のオペレータ監視装置が適用されるPOSシステムの全体構成を模式的に示す。
【図2】図1に示した店舗サーバの技術的構成の例を示す。
【図3】本発明のオペレータ監視装置30における制御フローの概要を説明するためのフローチャートを示す。
【図4】本オペレータ監視装置において不正なキー操作の可能性を有する販売処理に係るキー操作パターンの警告を要する発生金額の閾値を設定した説明図(その1)を示す。
【図5】本オペレータ監視装置において不正の監視対象となる販売処理に係るキー操作パターンの例(その1)を示す。
【図6】本オペレータ監視装置において不正なキー操作の可能性を有する販売処理に係るキー操作パターンの警告を要する発生金額の閾値を設定した説明図(その2)を示す。
【図7】本オペレータ監視装置において不正の監視対象となる販売処理に係るキー操作パターンの例(その2)を示す。
【図8】本オペレータ監視装置において不正なキー操作の可能性を有する販売処理に係るキー操作パターンの警告を要する発生金額の閾値を設定した説明図(その3)を示す。
【図9】本オペレータ監視装置において不正の監視対象となる販売処理に係るキー操作パターンの例(その3)を示す。
【図10】収集された電子ジャーナルデータから抽出されたPOS端末装置オペレータ(レジ担当者)のレポート出力の具体例を示す。
【図11】POS端末装置において不正な販売処理がなされた第1の事例を示す。
【図12】POS端末装置において不正な販売処理がなされた第2の事例を示す。
【符号の説明】
【0056】
1:POS端末装置(ECR装置)
4:店舗サーバ
15:データ入力手段
16:表示装置
17:印字装置
19:ROM
20:RAM
21:PLUファイル格納装置
23:CPU(中央演算装置)
24:プログラム/データ格納装置
25:各種制御プログラム
26:ジャーナルデータ
30:オペレータ監視プログラム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品又はサービスの販売処理を行う複数のPOS端末装置と当該POS端末装置と通信回線を介して接続された店舗サーバとにより構成されたPOSシステムにおいて前記POS端末装置のオペレータによる不正行為を検出し警告する監視装置であって、
前記店舗サーバは、
前記POS端末装置における不正行為の可能性を有するオペレータによる複数の操作パターンと当該複数の操作パターンにおける処理データの閾値を設定して当該閾値を格納する記憶手段と、
前記複数のPOS端末装置から送信される販売処理データを示す電子ジャーナルを受信する通信手段と、
前記電子ジャーナルの内容を検閲する検閲手段と、
前記電子ジャーナルの中の販売処理データ中に予め設定された前記複数の操作パターンの何れかが含まれているか否かを照合する照合手段と、
前記照合により摘出された前記操作パターンに係るそれぞれの処理データが前記閾値に達しているか否かを判定する判定手段と、
前記閾値に達している前記操作パターンに係る販売処理をについて警告文を出力する出力手段と、
の各手段を備えたことを特徴とするオペレータ監視装置。
【請求項2】
前記不正行為の可能性を含むキー操作のパターンには、「取消」キー、「中止」キー、「売価変更」キー、「値引」キー、「付与ポイント」キー、「直前消去」キー、「指定消去」キー、「下取り」キー、又は「クーポン」キーの何れか一つ又は複数のキー操作が含まれていることを特徴とする請求項1に記載のオペレータ監視装置。
【請求項3】
前記閾値は、前記不正行為の可能性を含むキー操作のパターン毎に、前記パターンの発生回数、前記パターンの発生回数頻度、売上データの取扱金額、又は/及び売上データの取扱金額割合を規定したものであることを特徴とする請求項1又は2に記載のオペレータ監視装置。
【請求項4】
前記店舗サーバは、前記POS端末装置の業務終了後にそれぞれの前記電子ジャーナルデータを一括して受信するように構成されたことを特徴とする請求項1に記載のオペレータ監視装置。
【請求項5】
前記店舗サーバは、前記POS端末装置におけるトランザクション毎に各POS端末装置から前記電子ジャーナルデータを受信するように構成されたことを特徴とする請求項1に記載のオペレータ監視装置。
【請求項6】
前記検閲手段による前記検閲及び前記照合手段による照合は、予め設定された時間、又は前記店舗サーバへの所定のデータ入力により行われことを特徴とする請求項4又は5に記載のオペレータ監視装置。
【請求項7】
前記照合を開始するための前記所定のデータ入力は、予め設定されたパスワード又は暗証番号を含むことを特徴とする請求項6に記載のオペレータ監視装置。
【請求項8】
商品又はサービスの販売処理を行う複数のPOS端末装置と当該POS端末装置と通信回線を介して接続された店舗サーバとにより構成されたPOSシステムにおいて前記POS端末装置のオペレータによる不正行為を検出し警告する監視方法であって、
前記店舗サーバにおいて、
前記POS端末装置における不正行為の可能性を有するオペレータによる複数の操作パターンと当該複数の操作パターンにおける処理データの閾値を設定して当該閾値を格納するステップと、
前記複数のPOS端末装置から送信される販売処理データを示す電子ジャーナルを受信するステップと、
前記電子ジャーナルの内容を検閲するステップと、
前記電子ジャーナルの中の販売処理データ中に予め設定された前記複数の操作パターンの何れかが含まれているか否かを照合するステップと、
前記照合により摘出された前記操作パターンに係るそれぞれの処理データが前記閾値に達しているか否かを判定するステップと、
前記閾値に達している前記操作パターンに係る販売処理をについて警告文を出力するステップ出力手段と、
の各ステップを有することを特徴とするオペレータ監視方法。
【請求項9】
前記不正行為の可能性を含むキー操作のパターンには、「取消」キー、「中止」キー、「売価変更」キー、「値引」キー、「付与ポイント」キー、「直前消去」キー、「指定消去」キー、「下取り」キー、又は「クーポン」キーの何れか一つ又は複数のキー操作が含まれていることを特徴とする請求項8に記載のオペレータ監視方法。
【請求項10】
前記閾値は、前記不正行為の可能性を含むキー操作のパターン毎に、前記パターンの発生回数、前記パターンの発生回数頻度、売上データの取扱金額、又は/及び売上データの取扱金額割合を規定したものであることを特徴とする請求項8又は9に記載のオペレータ監視方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−241338(P2007−241338A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−58692(P2006−58692)
【出願日】平成18年3月3日(2006.3.3)
【出願人】(595000715)日本NCRビジネスソリューション株式会社 (3)
【Fターム(参考)】