説明

オメガ3強化シリアル、グラノーラ、およびスナックバー

本開示は、改善されたシリアル製品、特に、スナックバー、およびステアリドン酸を含有する健康に良い脂質を本製品の組成に組み込むことにより、かかる製品を生産する方法を提供する。本開示の一実施形態において、SDA強化油を含むシリアル製品を開示する。本開示の別の実施形態において、SDA強化大豆油を含むスナックバーを開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、有益な脂肪酸の組み込みによる、グラノーラ等のシリアル製品およびスナックバーの所望の特性の増強に関する。より具体的には、ステアリドン酸を含む、ポリ不飽和脂肪酸を含むシリアル製品、およびその製品を生産する方法に関する。これらの改質されたシリアル製品は、従来のシリアル製品と比較して、保存期間を維持しながら栄養価における改善を示す。
【背景技術】
【0002】
本開示は、グラノーラ等のシリアル製品、およびステアリドン酸(「SDA」)またはSDA強化油を含むスナックバーを対象とする。具体的には、本開示は、改善された栄養価を有するシリアル製品、およびシリアル製品を生産する方法を提供する。
【0003】
従来より、スナックバーは、おやつまたは褒美と見なされている。しかしながら、近年、スナックバーは、食事の時間がない「忙しい」人々の唯一の栄養源として頻繁に使用されるため、食事の代わりとして、消費者の代表的な選択肢になった。故に、今日、スナックバーの考案は、常に変化する消費者の嗜好および期待(例えば、「健康によい」、「豊富なタンパク質源」、または「独特の味がする」)を満たすために、複雑なプロセスである可能性がある。したがって、今日、大半のスナックバー製造者は、得られるバーの健康的イメージの興味を沸かせるように、バーに変化を組み込むことを試みる。
【0004】
多くの研究が、食物脂肪と肥満およびアテローム性動脈硬化等の病理とを生理学的に関連付けている。時に、脂肪摂取は、医療機関によって推奨されない。最近になって、食物脂肪とそれらの健康への有益性との間の性質上の違いが認識されてきている。
【0005】
近年の研究は、それらの比較的単純な生物学的構造にもかかわらず、いくつかの方法で身体機能を改善するように見える、いくつかの種類の脂肪が存在することを決定している。実際、いくつかの脂肪は、ある生理学的プロセスに必須であり得る。そのより広範な分類の脂肪分子には、脂肪酸、イソプレノール、ステロイド、他の脂質、および油溶性ビタミンが挙げられる。これらの中に、脂肪酸がある。脂肪酸は、「主鎖」に、2〜26個の炭素原子を有し、それらの糖鎖構造に不飽和部位が全くないか、またはわずかを含むカルボン酸である。それらは一般的に約4.5の解離定数(pKa)を有し、正常な身体状態(7.4の生理学的pH)で、圧倒的多数が解離型であることを示唆している。
【0006】
実験が継続され、当業者は、飲食物における脂肪、特に脂肪酸の栄養的必要性を理解し始めている。この理由により、食品業界の多くは、食品生産の新たな焦点として、改質された製品を消費する消費者へのその結果的利点を有する、脂肪酸および脂質技術に焦点を置き始めた。この焦点は、特に、オメガ3脂肪酸の生産および飲食物への組み込みに集中している。オメガ3脂肪酸は、分子のメチル末端から3番目の炭素原子で始まる第1の二重結合(「不飽和」)を含む、長鎖ポリ不飽和の脂肪酸(18〜22炭素原子の鎖長)(LC−PUFA)である。それらは、それらの分子が、それらの炭水化物鎖に2つ以上の二重結合の「不飽和」を有するために、「ポリ不飽和」と呼ばれる。それらは、それらの炭素主鎖が少なくとも18個の炭素原子を有するため、「長鎖」脂肪酸と称される。ステアリドン酸「SDA」に加えて、脂肪酸のオメガ3族には、アルファリノレン酸(「ALA」)、エイコサテトラエン酸(ETA)、エイコサペンタエン酸(「EPA」)、ドコサペンタエン酸(DPA)、およびドコサヘキサエン酸(「DHA」)が含まれる。ALAは、EPAおよびDHAが、SDAの生産を含む一連の酵素反応によって身体内で形成されることから、「基本的」オメガ3脂肪酸と見なすことができる。ほとんどの栄養学者は、DHAおよびEPAが、最も有益な効果を有し、オメガ3脂肪酸の中で生理学的に最も重要であると指摘する。しかしながら、SDAもまた、有意な健康への有益性を有することが示されている。例えば、参照によって本明細書に組み込まれる、米国特許出願第7,163,960号を参照されたい。さらに、SDAは、赤血球細胞のEPAレベルを容易に増強させることが明らかになっている。
【0007】
ALAからの合成過程は、それぞれ、「伸長」(すなわち、分子が、新しい炭素原子を組み込むことによって長くなる)、および「不飽和化」(すなわち、新しい二重結合が生成される)と呼ばれる。天然では、ALAは、主に一定の植物の葉および種(例えば、亜麻)に見られるが、EPAおよびDHAは、たいてい、冷水の補食魚(例えば、マグロ、マス、イワシ、およびサケ)の組織、およびそれらが食べるいくつかの海藻または微生物中で生じる。
【0008】
単に、社会的消費のためのLC−PUFAの適切な供給の保証に伴う困難さに加えて、LC−PUFAを食品製品に加工するための費用は、しばしば、制限される。これらのオメガ3脂肪酸、および他のLC−PUFAのうちのいくつかは、迅速に酸化され得ることから、望ましくない匂いおよび香味につながる。したがって、酸化速度を低下するために、食品加工業者は、冷凍状態の油を流通させるか、または所望の脂肪酸をカプセル化しなければならず、それぞれは、加工費用および消費者へのその後の費用を大幅に増大する。この増大した費用にもかかわらず、食品会社は、確実な供給を開発することができれば、健康志向の消費者は、改善した飲食物に対してわずかな割り増し料金を払っても構わないであろうと考えているため、オメガ3脂肪酸および一般的により健康な食品油の供給に興味を示している。
【0009】
健康なヒトの飲食物における重要な構成要素として必須脂肪および油を開発し、提供する食品会社の動きに伴い、政府は、飲食物へのPUFAの取り入れを奨励するための規定の作成を開始している。しかしながら、高まる市場需要を満たすために十分な、オメガ3含有油の大口供給を開発することができないため、これらの必要性を満たすことが困難である。具体的に、近年では、食品会社は、すでに枯渇した世界的な魚種資源が、オメガ3脂肪酸に対する今後のヒトの栄養必要量におけるいかなる有意な増加も満たすことができないことを認識し始めた。
【0010】
さらに、すでに述べたように、オメガ3脂肪酸は商業的に高価なものと見なされ、海洋源で提供されるEPAおよびDHAもまた、非常に速い時間で化学的に酸化され、商業的に可用性を制限する。重要なことに、EPAおよびDHAの急速な分解過程の間に、これらの長鎖脂肪酸は、悪臭があり、ひどく不満足な感覚的性質(例えば、魚臭および味)を発達させ、商業的採用の観点から、多くの食料品または製品へのそれらの含有が困難になるか、あるいは不可能になる。そのため、食品製品へオメガ3脂肪酸を組み込むという、以前の試みは、それらが非常に不安定なEPAまたはDHAの追加を含んだため、あまり成功しなかった。
【0011】
さらに、αリノレン酸(ALA)等の従来のオメガ3脂肪酸を組み込む試みは、これらの脂肪酸が十分効果的に有益な形態に変換されないため、実用的ではない。栄養学的研究は、SDAは、ALAに比べて、インビボで3〜4倍より効果的に、ヒトのEPAに変換されるということを示した(Ursin,2003)。
【0012】
供給、安定性および調達上のこれらの制限は、費用を大きく増加させ、それに対応して、飲食物性オメガ3脂肪酸の入手可能度を制限する。故に、食料品、特に、シリアル製品の栄養価および保管期間を増強する必要性が存在する。本開示のSDA含有シリアル製品組成は、特定の消費者に必要な食物脂肪を提供するだけでなく、シリアル製品の商業生産のための他の食物改善も提供する。
【0013】
加えて、商業的に許容可能な方法で、シリアル製品にEPAおよびDHAまたは重要な前駆体を提供する、消費者が許容可能な手段を提供する必要性がある。当開示は、有益なオメガ3脂肪酸を含む、シリアル製品の形での魚または微生物によって供給されるオメガ3脂肪酸の代替物を提供し、改善された費用効率の高い生産および遺伝子導入植物に由来する豊富な供給を提示する源として、比較的化学的に安定したオメガ3脂肪酸(SDA)を利用して、それを行う。
【発明の概要】
【0014】
本開示は、得られる製品における脂肪酸プロファイル、および/または最終消費者の健康を改善するためにシリアル製品の使用に有意な量のステアリドン酸(18:4ω3)を含有するように設計される遺伝子導入植物からの油の組み込みを包含する。当開示の実施形態に従って、SDA含有油は、亜麻仁等の従来のオメガ3の代替物に比較して、強化した栄養価を提供し、魚油に関連する不味および低い安定特性がない。したがって、本開示の好ましい実施形態は、SDA等の有益なポリ不飽和脂肪酸の増加したレベルを有するシリアル製品を含む。
【0015】
本開示の特定の一実施形態において、シリアル製品を提供する。シリアル製品は、バインダ原料およびシリアル混合物を含む。バインダ原料は、SDA強化油を含む。
【0016】
本開示の別の実施形態において、SDA強化大豆油を含むスナックバーを提供する。スナックバーは、バインダ原料およびシリアル混合物を含む。バインダ原料は、SDA強化油、少なくとも1つの甘味料、および少なくとも1つの保湿剤を含む。
【0017】
さらに、上述のとおりシリアル製品を作製する方法を開示する。これらの方法は、SDA強化油を含むバインダ原料を提供することと、シリアル混合物を提供することと、バインダ原料でシリアル混合物をコーティングして、シリアル製品を作製することと、を含み得る。
【0018】
SDA強化油を得るための例示的ステアリドン酸源には、遺伝子組み換え大豆、遺伝子組み換え大豆油、遺伝子組み換えキャノーラ、遺伝子組み換えキャノーラ油、エキウム、およびエキウム油が挙げられる。付加的なステアリドン酸源は、大豆、ベニバナ、キャノーラ、エキウム、およびトウモロコシを含み得る。
【0019】
少なくとも一実施形態において、SDA強化油は、約10%(重量)〜約60%(重量)のSDAを含む。別の実施形態において、SDA強化油は、約10%(重量)〜約30%(重量)のSDAを含む。さらにより特に好ましい実施形態において、SDA強化油は、約20%(重量)のSDAを含む。
【0020】
少なくとも一実施形態において、SDA強化油を含むシリアル製品は、42グラムの分量のシリアル製品当たり約375mgのSDA強化油を含む。この量は、Jamesら(2003)に基づき、組織内のEPAを強化するために必要とされる1日当たりの最小限の量のSDAを最終消費者に確実に提供する。
【0021】
本開示の他の特徴および利点が、添付の図面を参照して、本開示の好ましい実施形態の次の詳細な説明から明白となるだろう。
定義
【0022】
次の定義は、当業者が本開示の全範囲をより容易に理解することを助けるために提供される。しかしながら、下記に提供される定義で示すように、提供される定義は、そのように示されない限り、排他的であることを意図しない。むしろ、それらは当業者が本開示の様々な描写的な実施形態に焦点を合わせるために提供される、好ましい定義である。
【0023】
本明細書に使用されるとき、「シリアル製品」という用語は、少なくとも1種類のグレインまたはシリアル材料を含む、任意の食品製品を指す。典型的には、シリアル製品は、朝食用シリアル、グラノーラ、スナックバー、および同等物の形態であることができる。
【0024】
本明細書に使用されるとき、「スナックバー」という用語は、シート形態に圧縮され、個々のバーに切り分けられているシリアルバーを指す。
【0025】
本明細書に使用されるとき、「SDA強化油」という用語は、少なくとも約10%(重量)のSDAを含む油を指す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
SDAの生産:
本開示は、ヒトの健康を改善する試みにおける、ステアリドン酸の植物を基盤とする生産のための改善した方法のためのシステムならびにヒトの飲食物へのその組み込みに関する。本生産は、食品への商業用の組み込みを可能にするような、十分に高い産出量でSDAを生産するように設計される遺伝子導入植物の利用によって可能になる。当開示の目的のため、酸および塩の形の脂肪酸、例えば、酪酸および酪酸塩、アラキドン酸およびアラキドン酸塩は、置き換え可能な化学的形態であると見なされる。
【0027】
全ての高等植物は、主要18炭素PUFAのLAおよびALA、ならびにいくつかの場合SDA(C18:4n3、SDA)を合成する能力を有するが、少数は、アラキドン酸(AA)、EPAまたはDHAを生産するため、さらに伸長し、これらを不飽和にすることが可能である。高等植物でのEPAおよび/またはDHAの合成は、故に、LAをAA、またはALAをEPAおよびDHAに変換させることを必要とされる全ての生合成酵素をコードする、いくつかの遺伝子の導入を必要とする。ヒトの健康におけるPUFAの重要性を考慮すると、遺伝子組み換えの油種でのPUFAの成功した生産(特にn−3分類)は、ひいては飲食物への使用のためのこれらの必須脂肪酸の持続可能な源を提供し得る。ほとんどのPUFA合成真核生物で機能する「従来型の」好気性経路は、γリノレン酸(GLA、18:3n6)およびSDAを産出するためにLAおよびALA双方のΔ6の不飽和から始まる。
【0028】
表1を見ると、当開示の油組成物に相対する油組成物の「標準」範囲を構成する基準を提供することが重要である。主として重要な可食油および脂肪のための基本組成基準を確立するために使用されるデータの重要な供給源は、英国のLeatherhead Food International機関の、農漁食糧省(MAFF)、the Federation of Oils、およびSeeds and Fats Associations(FOSFA)である。
【0029】
有意義な基準を規定するためには、十分な試料をそれらの油が純正である典型的地理的起源から採取することが好ましい。MAFF/FOSFAの研究作業において、600個を越える、一般的に10個の異なる地理的起源である、起源および経歴が知られている植物油種の信頼のおける商業試料は、11種の植物油のそれぞれのために研究された。抽出した油は、それらの全体の脂肪酸組成(「FAC」)を判定するために分析された。適宜、トリグリセリド、ステロールおよびトコフェノール組成の2位のFAC、トリグリセリド炭素数およびヨウ素価、油中のタンパク価、融点、ならびに固体脂肪含有量が判定される。
【0030】
1981年より前に、FACデータは、十分な質のデータが得られなかったため、公開基準に含まれなかった。1981年、必須組成基準として、FACの範囲を含む基準が承認された。MAFF/FOSFAの研究作業は、これらの範囲に後の改正のための基準を提供した。
【0031】
一般に、より多くのデータが入手可能になったため、脂肪酸範囲を、1981年に採用されたものよりも狭く、それによって、より具体的に提案することが可能になった。表1は、1981年にコーデックス委員会(CAC)により採用された油のFACの例、および1993年に開催されたコーデックス油脂委員会(CCFO)会議で提案された同一の油の範囲を提供する。
【0032】
【表1】

源:Codex Alimentarius Commission,1983年および1993年。
【0033】
最近になって、遺伝子導入植物からの油は、生成されている。本開示のいくつかの実施形態は、遺伝子組み換え大豆油等の遺伝子導入植物製品を組み込み得る。遺伝子導入植物等を生成するための遺伝子導入植物および方法は、参考文献で見ることが可能である。例えば、国際公開第2005/021761A1号を参照されたい。表2に示されるように、遺伝子組み換えの大豆油の組成は、受容された基準のものと比べて実質的に異なる。
【0034】
【表2】

【0035】
本開示の実施形態に従って、合理的に需要を供給するために改質することができる好ましい植物種は、大豆、キャノーラ、ヒマワリ、トウモロコシ、およびエチウムであるが、他の多くの植物も、必要な際および科学的に実践可能である際は含むことができる。本開示では、SDAの好ましい源は、高レベルのSDAを生成するように改変されている遺伝子組み換え大豆である。大豆は、油処理施設で処理され得、米国特許出願第2006/0111578A1号、第2006/0110521A1号、および第2006/0111254A1号に説明される方法に一致する方法で抽出され得る。
【0036】
一度生産されると、本開示のSDAは、多種多様なシリアル製品の健康特性を改善するために使用することができることが認識されるべきである。
バインダ原料:
【0037】
上述のとおり、本開示のシリアル製品は、バインダ原料およびシリアル混合物を含む。一実施形態において、SDA強化油に加えて、バインダ原料はさらに、大豆油、キャノーラ油、トウモロコシ油、菜種油、椰子油、およびそれらの組み合わせ等の液体油を含み得る。典型的には、これらの油は、精製、脱色、および防臭される。これらの液体油は、シリアル製品に改善した風味を提供する。さらに、椰子油等のいくつかの液体油は、改善された風味の他に、シリアル製品に対して非トランス脂肪の選択肢を消費者に提供する。
【0038】
典型的には、使用の際、バインダ原料は、さらに、約6.0%(重量)未満の量のこれらの液体油を含む。より具体的には、バインダ原料は、0.1%(重量)〜約6.0%(重量)の量のこれらの油を含み得る。特定の一実施形態において、バインダ原料は、約4.10%(重量)の量の液体油を含む。
【0039】
上記の油の脂肪配合は別として、シリアル製品のバインダ原料は、少なくとも1つの甘味料を含み得る。甘味料は、最終シリアル製品の風味および食感を改善するためにバインダ原料に添加される。故に、甘味料の種類およびバインダ原料に含まれる甘味料の量は、消費者により望まれる最終製品の風味によって異なる。
【0040】
甘味料はまた、シリアル製品の水分バランスを制御することに役立つことができる。具体的に、甘味料は、シリアル製品の保管中の水分移動を防止する。故に、甘味料の添加がないと、シリアル製品は、時間とともに硬質かつ脆性になり得る。
【0041】
好適な甘味料は、コーンシロップ、糖シロップ、および糖アルコールを含むことができる。糖シロップは、存在する糖の種類および分量に比例する甘味を提供する。糖シロップの添加は、スナックバー等のシリアル製品に所望の甘味を与える、付加的な強力な甘味料に対する必要性の低減をもたらす。
【0042】
スナックバーに使用されるとき、糖シロップの種類はまた、スナックバーの食感にも寄与することができる。一般に、より低レベルの複合糖質から成る糖シロップは、より軟質のスナックバーを作製する傾向がある。例えば、63DE(デキストロース当量)のコーンシロップは、42DEのコーンシロップと比較して、より軟質のスナックバーを生産する。糖シロップは、好適には、高フルクトースコーンシロップ、コーンシロップ、米シロップ、米シロップ固体、スクロース、蜂蜜、およびグルコースフルクトースシロップ、濃縮果汁、果汁、マルトデキストリン、グレインデキストリン、およびそれらの組み合わせからから成る群から選択され得、固体/粉末または液体形態であり得る。一実施形態において、糖シロップは、63DEのコーンシロップとしてTate&Lyle(Decatur,Ill.)から入手可能な、高デキストロース当量(DE)の酸・酵素変換コーンシロップである。63DEのコーンシロップは、単糖および二糖へ長鎖デキストランを酵素的に変換して、このコーンシロップに高濃度の発酵性糖を与えることによって作製される。別の実施形態において、糖シロップは、高フルクトースコーンシロップである。高フルクトースコーンシロップは、酵素的に由来し、異性化されて、主にデキストロースおよびフルクトースから成るサッカリド組成物を作製する、高変換コーンシロップである。
【0043】
バインダ原料に1つまたは複数の糖シロップを使用するとき、バインダ原料は、好適には、約5%(重量)〜約50%(重量)の糖シロップを含む。より好適には、本実施形態のバインダ原料は、約10%(重量)〜約40%(重量)の糖シロップを含む。
【0044】
一実施形態において、バインダ原料が糖シロップを含むとき、バインダ原料は、付加的には、1つ以上の充填剤を含む。充填剤は、一般的に、製品の有効エネルギーに有意に寄与することなく、つまり、シリアル製品のカロリー量を有意に増加することなく、シリアル製品の総容量に寄与する。例えば、シリアル製品内に存在する糖は、典型的には、シリアル製品に利用可能なエネルギーに寄与し、そのため、低エネルギーシリアル製品は、しばしば、通常、糖によって提供される容積に代わって、それらに添加された充填剤を必要とする。糖シロップとともに使用するための好適な充填剤には、例えば、マルトデキストリン、スターチ、ペクチン、ゼラチン、キサンタン、ジェラン、アルギン、グアー、コンニャク、イナゴマメ、オート繊維、大豆繊維、フラクトオリゴ糖、イヌリン、イソマルトオリゴ糖、小麦デキストリン、トウモロコシデキストリン、エンドウ繊維、およびこれらの組み合わせを挙げることができる。
【0045】
バインダ原料に、糖シロップとともに1つまたは複数の充填剤を使用するとき、バインダ原料は、好適には、約5%(重量)〜約30%(重量)の充填剤を含む。
【0046】
別の実施形態において、バインダ原料に使用される甘味料は、糖アルコールを含む。糖アルコールは、共通して、ポリオールまたは多価アルコールと称され得る。異なる糖アルコールは、シリアル製品の食感に異なる影響を及ぼす。例えば、スナックバーに使用されるとき、一般に、低分子量の糖アルコールは、長期保管中に軟らかい食感を維持する、より軟質のスナックバーを作製する傾向がある。好適な糖アルコールは、ソルビトール、マルチトール、グリセリン、ラクチトール、マンニトール、イソマルト、キシリトール、エリトリトール、および同等物、ならびにそれらの組み合わせから成る群から選択され得る。
【0047】
バインダ原料に1つまたは複数の糖アルコールを使用するとき、バインダ原料は、好適には、約0.5%(重量)〜約5%(重量)の糖アルコールを含む。より好適には、本実施形態のバインダ原料は、約1%(重量)〜約4%(重量)の糖アルコールを含む。
【0048】
一実施形態において、糖シロップの使用と同様に、バインダ原料が1つまたは複数の糖アルコールを含むとき、バインダ原料は、付加的には、1つまたは複数の充填剤を含む。本開示に使用するための好適な充填剤には、例えば、マルトデキストリン、スターチ、ペクチン、ゼラチン、キサンタン、ジェラン、アルギン、グアー、コンニャク、イナゴマメ、オート繊維、大豆繊維、フラクトオリゴ糖、イヌリン、イソマルトオリゴ糖、小麦デキストリン、トウモロコシデキストリン、エンドウ繊維、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0049】
バインダ原料に、糖アルコールとともに1つまたは複数の充填剤が使用されるとき、バインダ原料は、好適には、約5%(重量)〜約25%(重量)の糖シロップを含む。
【0050】
レシチンはまた、シリアル製品に改善された安定性を提供するために、バインダ原料に含まれ得る。さらに、レシチンは、改善された潤滑性を提供し、シリアル製品内の水分移動を制御し得る。
【0051】
典型的には、使用の際、バインダ原料は、約0.5%(重量)〜約1.5%(重量)の量のレシチンを含む。特定の一実施形態において、バインダ原料は、約0.90%(重量)の量のレシチンを含む。
【0052】
シリアル製品の水分移動を制御し、それによって、シリアル製品が時間とともに乾燥し、硬質かつ脆性になることを防止する際に役立つことができる別の材料は、1つまたは複数の保湿剤である。保湿剤としてバインダ原料に使用するために特に好ましいものは、グリセリンである。
【0053】
使用の際、バインダ原料は、典型的には、約1.0%(重量)〜約5.0%(重量)の量の少なくとも1つの保湿剤を含む。特定の一実施形態において、バインダ原料は、約2.11%(重量)の量のグリセリンを含む。
【0054】
一実施形態における上記の材料に加えて、バインダ原料は、1つまたは複数の塩またはブライン、酸化防止剤、および保存剤を含み得る。使用の際、塩化ナトリウムおよび塩化カリウム等の塩は、典型的には、約0.2%(重量)〜約1.0%(重量)の量のバインダ原料に含まれる。特定の一実施形態において、バインダ原料は、香味剤および保存剤の両方として働くように、約0.45%(重量)の量の塩を含む。
【0055】
バインダ原料に含まれ得る他の保存剤には、抗菌性保存剤、酸化防止剤、および金属捕捉剤が挙げられる。共通の抗菌性保存剤には、ベンゾン酸、ソルビン酸、安息香酸ナトリウム、およびソルビン酸カリウムが挙げられる。
【0056】
含まれるとき、抗菌性保存剤は、典型的には、約0.005%(重量)〜約0.02%(重量)の量のバインダ原料に存在する。
【0057】
製品内の脂肪酸の安定性をさらに改善する例示的な酸化防止剤は、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、トコフェノール(ビタミンE)、アスコルビン酸(ビタミンC)、ビタミンC塩(例えば、Lナトリウム、Lアスコルビン酸カルシウム)、ビタミンCエステル(例えば、アスコルビル−5,6−ジアセタート、アスコルビル−6−パルミテート)、エトキシキン、クエン酸、クエン酸カルシウム、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、第3級ブチルヒドロキノン(THBQ)および天然酸化防止剤(例えばローズマリー抽出物)等、ならびにその組み合わせを含む。バインダ原料に使用するための1つの特に好ましい酸化防止剤は、TBHQである。具体的には、TBHQは、本開示のシリアル製品に含まれ得る、殻なしナッツおよび他の高脂肪材料の酸化を制御するための抗酸化特性を示した。
【0058】
配合物に加えられる酸化防止剤の量は、典型的に、加えられる酸化防止剤、さらにはシリアル製品中の他の構成要素に依存する。添加される酸化防止剤の例示的な量は、約0.005%(重量)〜約0.02%(重量)を含む。特に好ましい一実施形態において、酸化防止剤は、TBHQであり、バインダ原料は、約0.01%(重量)を含む。

シリアル混合物:
【0059】
バインダ原料に加えて、本開示のシリアル製品は、典型的には、乾燥材料から作製される、シリアル混合物を含む。シリアル混合物は、1つまたは複数のグレインまたはシリアル材料(少なくとも1つのロールドオート、ナゲット/クリスプ微粒子、ドライミリングされたコーンミール、小麦、米、大麦、およびそれらの組み合わせ等)を含むことができる。
【0060】
大半のシリアル製品では、ドライミリングされたコーンミールが使用される。コーンミール、あら挽きコーン、コーンフラワー、およびコーンコーンはすべて、ドライミリングされたデントコーンの異なる形態であり、一般に、粒径分布においてのみ異なる。顆粒の選択は、シリアル製品の種類および必要とされる加工によって異なる。例えば、きめ細かい食感およびセル構造、または軟らかい噛み心地には、微細な顆粒のコーンミールが使用されなければならない。わずかに大きいセル構造を有する歯応えの良い食感には、荒い顆粒のコーンミールが望ましい。より具体的には、コーンミール内のスターチ(すなわち、コーンスターチ)は、コーンミールに伴う食感特質および特徴を達成する。これらの特質は、スターチ内のアミラーゼ/アミロペクチン比を変更することによって変更することができる。歯応えおよび強度がシリアル製品に必要とされるときに使用される、高アミラーゼまたは高アミロペクチンを有するコーンスターチは、市販で入手することができる。
【0061】
別の実施形態において、小麦をシリアル混合物に使用することができる。小麦は、2種類(硬質および軟質)に分類することができる。硬質小麦は、タンパク質がより高く、より強力な小麦粉を生成する。小麦スターチ粒は、他のグレインスターチと比較して、かなり大きく(20〜40μm)、典型的には、ベークド製品およびフライ製品に使用される。
【0062】
さらに別の実施形態において、単独または別のシリアルグレインと組み合わせて、米をシリアル製品に使用することができる。米国において、典型的に作製される4種類の米(長粒、中粒、短粒、およびもち米)が存在する。米スターチ粒は、すべてのグレインスターチの中で最小(2〜8μm)であり、したがって、非常に簡単に消化される。異なる米から作製される粉の品種は、物理的および化学的特性において大きな相違点を有し、シリアル製品のセル構造および膨張特性に影響を及ぼすことができる。典型的には、米粉は、マルチグレインシリアル製品の食感を改善することができる。特に好ましい実施形態において、米は、クリスピーな米の形態でシリアル混合物に使用される。
【0063】
別の実施形態において、オート、典型的には、ロールドオートは、シリアル製品のシリアル混合物に使用される。従来、オートは、オートがしばしば、高い油分(7〜9%)を有し、かつリパーゼが油の加水分解を触媒し、苦味のある遊離脂肪酸の生成につながるため、使用前に不活性化されなければならない酵素リパーゼを含むため、小麦およびコーンほど頻繁にはグレインベースのシリアル製品に使用されてこなかった。しかしながら、オートブランが血清コレステロールレベルを低下することができるという近年の発見は、食品産業において、オート市場を促進させている。
【0064】
いくつかのシリアル製品では、大麦を少量で使用して、繊維の追加を提供することができる。大麦は、マイルドな風味を有し、栄養的に、小麦と同様である。大麦スターチ粒は、他のシリアルグレインと比較して、中〜大の大きさである。
【0065】
一般に、シリアル混合物は、約50%(重量)〜約80%(重量)の量のグレインまたはシリアル材料を含む。例示的一実施形態において、シリアル混合物は、約65%(重量)の組み合わせた量のグレイン材料としてオートおよびクリスピーライスを含む。シリアル混合物のバランスは、典型的には、下記に説明する果実片および風味剤等の随意の材料から成る。
【0066】
上述のシリアル製品の主な材料(すなわち、バインダ原料および混合物等)に加えて、シリアル製品は、製品の種々の特性をさらに改善するために、付加的な随意の構成要素を含み得る。いくかの潜在的な付加的構成要素には、風味剤、ビタミン、ミネラル、ショートニング、ケーキ用ショートニング、スクラロース、サッカリン、アスパルテーム、アセサルフェーム、カリウム、タウマチン、グリシルリジン、果実片、ナッツ、ツリーナッツ、およびナッツバター、プロバイオディック、プレバイオティック、膨張剤、ピーナッツ粉、着色剤、酸化防止剤、濃縮果汁、酸味料(クエン酸およびりんご酸等)、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、ネオテーム、アセサルフェーム、チョコレートリキュール、およびそれらの組み合わせが挙げられる。これらの随意の構成要素は、バインダ原料もしくはシリアル混合物のいずれかに組み込むことができるか、またはバインダ原料およびシリアル混合物の両方に組み込むことができる。
【0067】
好適な風味剤には、例えば、ココアパウダー、ピーナッツ風味、バニラ、チョコレート、果汁風味、およびキャラメルを挙げることができる。風味剤はまた、グレインまたはシリアルの特色を含むこともできる。自然および合成風味剤は、本開示のシリアル製品に使用するために好適である。
【0068】
典型的には、使用の際、シリアル製品は、約0.1%(重量)〜約5.0%(重量)の量の1つまたは複数の風味剤を含む。特定の一実施形態において、バインダ原料は、約0.6%(バインダ原料重量)の量の果実風味剤を含む。この実施形態のシリアル製品は、約0.32%(重量)の量の果実風味剤を含む。
シリアル製品を生産する方法:
【0069】
さらに、本開示は、SDAを含むシリアル製品を作製する方法を対象とする。一般に、本開示のシリアル製品は、ステアリドン酸(SDA)強化油を含むバインダ原料を提供すること、シリアル混合物を提供すること、およびシリアル混合物をバインダ原料でコーティングしてシリアル製品を作製することによって生産される。
【0070】
シリアル製品のためのバインダ原料を調製するために、まず、液体糖シロップおよび糖アルコール等の液体構成要素、任意の液体保湿剤、および任意の液体風味剤または他の随意の液体構成要素を加熱して、液体流体作製する。典型的には、これらの材料を、約105°F(41℃)〜約110°F(43℃)の範囲の温度まで加熱することができる。特定の一実施形態において、これらの材料は、約105°F(41℃)の温度までダブルボイラー内で加熱される。
【0071】
加熱されると、バインダ原料の乾燥材料(例えば、乾燥甘味料、塩等)は、加熱された液体構成要素と混合される。次いで、混合物はさらに、混合物が約160°F(71.1℃)〜約170°F(76.7℃)の温度に達するまで加熱され得る。
【0072】
別個の容器内で、SDA強化油は、任意の他の液体油、レシチン、および酸化防止剤(使用の際)と配合される。配合は、食品産業において公知の任意の配合方法を使用して実施することができる。例えば、配合は、当該技術分野において公知の任意のミキサーを使用して、または手動の混合により、実施することができる。
【0073】
上記の加熱された混合物は、火から外され、SDA強化油と配合され得る。いくつかの実施形態において、バインダ原料に使用される、レシチン、酸化防止剤、および任意の他の液体油または構成要素等の材料は、加熱された混合物およびSDA強化油と配合され得る。典型的には、風味剤がバインダ原料に使用される場合、風味剤は、この時点で加熱された混合物およびSDA強化油と混合される。
【0074】
繰り返したら、バインダ原料を使用して、乾燥シリアル混合物をコーティングする。シリアル混合物は、上述のグレインおよびシリアル材料、ならびにシリアル混合物に使用される任意の他の随意の材料を、機械または手で混合することにより調製される。バインダ原料は、シリアル混合物がバインダ原料で十分にコーティングされるまで、シリアル混合物と混合される。「十分にコーティングされる」とは、シリアル混合物およびバインダ原料が、実質的に均一の混合物を形成するように混合されなければならないことを理解されたい。
【0075】
シリアル製品が形成されると、シリアル製品は、朝食用シリアル、グラノーラ、および同等物の形態のまま使用することができる。典型的には、シリアル製品は、約40%(重量)〜約60%(重量)のバインダ原料、および約40%(重量)〜約60%(重量)のシリアル混合物から成る。特定の一実施形態において、シリアル製品は、約50%(重量)のバインダ原料および約50%(重量)のシリアル混合物から成る。
【0076】
いくつかの実施形態において、バインダ原料およびシリアル混合物が、シリアル混合物をコーティングするために十分に混合された後、シリアル製品はさらに、ローリングピンまたはドラムを使用してシート状に広げられる。次いで、典型的には、シート状製品は、シリアル製品のバインダ原料が乾燥するために十分な時間を有することを確実にするために、約30分間の期間、保持される。
【0077】
次いで、シート状製品は、スナックバー等のシリアル製品に切り分けられ得る。典型的には、スナックバーは、食品産業において公知の任意の好適なサイズに切り分けられる。特定の一実施形態において、スナックバーは、約42グラムのサイズに切り分けられる。
【0078】
一実施形態において、製品は、製品をシート状にし、次いで、少なくとも第1のシート状シリアル製品を第2のシート状シリアル製品の上に積層することにより、多層スナックバーに作製される。二層の多層スナックバーとして本明細書に説明するとおり、スナックバーは、本開示の範囲から逸脱することなく、3層、4層、またはさらには5層等の2層以上の層を有するように生産することができることを理解されたい。さらに、多層スナックバーの層は、同一または異なるシリアル製品から成り得る。
【0079】
一実施形態において、製品は、スナックバーに梱包される、またはそれに切り分けられる前に、風味用または食感用コーティングで被覆または被せられ得る。コーティングは、上述の製品のいずれかに、風味、食感、および見栄えを加える。コーティングには、キャラメル、ダークチョコレート、ライトチョコレート、ミルクチョコレート、またはホワイトチョコレート、ヨーグルト、果実、ナッツ、グレイン、およびシリアル、またはそれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態において、糖を含有するキャラメルコーティングが使用され、別の態様では、キャラメルコーティングは、無糖キャラメルであり、マルチトール、マルトデキストリン、バター、カゼイン酸ナトリウム、天然香味料、塩、グリセロールモノステアレート、および大豆レシチンを含む。
【0080】
別の実施形態において、コーティングは、果実コーティングである。例えば、果実コーティングは、ラズベリーまたはチェリー等の乾燥果実片を含み得る。果実コーティングはまた、フリーズドライされた果実を含むことができる。製品中のナッツは、ピスタチオ、アーモンド、ピーナッツ、またはクルミを含むことができるが、任意の種類のナッツ、ならびに任意の組み合わせのナッツを使用し得る。ナッツはまた、炒られる、および/または塩で味付けされ得る。別の実施形態において、コーティングは、グレインまたはシリアルを含み、それには、ヒマワリ、芽、アマニ、亜麻、小麦フレーク、米スペルト、カムート、キノア、白ゴマ、大豆、大麦、キビ、オート、ライ麦、およびライ小麦が挙げられるが、これらに限定されない。
【0081】
コーティングは、配合製菓用コーティングまたは非製菓用(例えば、無糖)コーティングであることができる。コーティングは、滑らかであることができるか、または固体粒子もしくは固体片を含有することができる。コーティングは、チョコレート等の製菓用コーティング、またはチョコレート風味、ピーナッツバター風味、キャラメル風味、およびヨーグルト風味の製菓用コーティング等の他の製菓用コーティング(すなわち、チョコレートの認識基準を満たしていないコーティング)であり得る。
【0082】
コーティングは、シリアル製品のすべて、または一部を被覆し得る、例えば、上面または側面を被覆することができる。必要に応じて、コーティングは、タンパク質、カルシウム、ビタミン、および他のミネラル等の栄養素添加物を含み得る。
【0083】
加えて、上述の多層スナックバーとして、シート状製品の少なくとも2層が採用される。シート状層は、同一または異なり得る。同一または異なるシート状層は、隣接して存在し得るか、またはフィリング層により分離され得る。2つのシート状層のみが使用されるとき、単一のフィリング層は、2つのシート状層との間に存在する。3つ以上のシート状層が使用されるとき、シート状層との間に存在するフィリング層は、同一または異なり得る。加えて、多層スナックバーは、上述のとおりコーティングで被覆され得る。
【0084】
1つまたは複数のフィリング層は、果実フィリング、サンド型クッキークリームフィリング、アイシングフィリング、キャラメルフィリング、チョコレートフィリング、マシュマロフィリング、および同等物等の材料から成り得る。本明細書のフィリング層は、適用時に実質的に硬質の、スナックバーの形成に使用されるシート状シリアル製品のベース層とは対照的に、適用時に半固体および柔軟である。本明細書の好適なフィリング層の例は、ピーナッツクリーム層、果実フィリング層(イチゴ、グレープ、リンゴ、バナナ、ラズベリー、ブルーベリー、ミックスベリー、ネクタリン、オレンジ、パイナップル等)、マシュマロ、ファッジ、キャラメル、バタースコッチ、アイシング、サンド型クッキークリームフィリング(サンド型クッキーに使用される場合があるもの等)、およびバナナクリームである。
【0085】
調製されると、上述の種々のシリアル製品は梱包される。種々の梱包機械は、市場で入手可能であり、本明細書に説明しない。
【0086】
驚くべきことに、発明者は、上述のシリアル製品に遺伝子組み換え植物源からSDA組成物を含むことは、SDA(18:4)およびEPA(エイコサペンタエン酸)のオメガ3脂肪酸レベルを増大する上で非常に有効であることを見出した。さらに、大豆油等の植物源は、製品へより安定した脂肪酸を提供することが発見されている。具体的に、SDAの大豆油は、過酸化物価およびアニシジン価によって測定されるように、安定性試験での魚油と比較して、酸化するために5〜10倍長い時間がかかるということが示される。
【0087】
さらに、オメガ3脂肪酸を有さない従来のシリアル製品と比較して、SDAを含むシリアル製品の外見、香り、風味、食感、および全体の消費者受容性において大差がないことが見出された。具体的には、以下の実施例に示すとおり、2ヶ月目におけるSDA含有スナックバーは、外見、香り、風味、または食感の特質に有意な差異を示さなかった。同様の結果が、6ヶ月目、9ヶ月目、および12ヶ月目において見られた。
【0088】
さらに、6ヶ月目において、SDA含有スナックバーと対照バーとの間のすべての特質において差異があるが、差異は、競合オメガ3脂肪酸を含むスナックバーおよび対照スナックバーと比較して、SDA含有スナックバーと対照バーとの間の範囲は小さかった。同様の結果が、9ヶ月目および12ヶ月目において見られた。
本開示の実施形態
【0089】
下記の実施例は、本開示の一般的な実施形態を示すために含まれる。以下の実施例に開示される技術は、本開示の実践において良好に機能することが発明者によって見出された技術に相当し、それ故に、その実践のために好ましい様式を構成すると見なされ得るということが当業者に理解されるはずである。しかしながら、本開示を踏まえて、開示される特定の実施形態において、多くの変更がなされ得、本開示から逸脱することなしに同等または類似の結果を取得し得るということが、当業者には理解されるはずである。
【0090】
本明細書で開示され、特許請求される全ての組成物および方法は、本開示を踏まえて、過度の実験なしに、なされ、遂行され得る。本開示の組成および方法が、好ましい実施形態の観点から説明されているが、本開示の概念および範囲から逸脱することなしに変更が加えられ得るということが当業者には明白となるだろう。
【0091】
下記の例において、SDAを含有する、遺伝子組み換えの大豆油が使用された。トウモロコシまたはキャノーラ等の他の遺伝子導入植物に由来する油を使用する場合、類似の結果が取得されるであろう。
実施例1:スナックバー−12ヶ月の研究
【0092】
12ヶ月の研究を実施して、対照のスナックバー(すなわち、SDAを有さない従来のスナックバー)および、代替的または競合的オメガ3脂肪酸を使用する他のスナックバーと比較して、SDAを含有するスナックバーが、同等の感覚的保存期間を有したかどうかを判定した。
【0093】
分析されたスナックバーの組成物を表3〜8に示す。
【表3−1】

【表3−2】

【0094】
【表4−1】

【表4−2】

【0095】
【表5−1】

【表5−2】

【0096】
【表6−1】

【表6−2】

【0097】
【表7−1】

【表7−2】

【0098】
【表8−1】

【表8−2】

【0099】
シロップ流体を作成するために、約105°F(41℃)の温度までダブルボイラー内で、グリセリンおよび蜂蜜とともに、高フルクトースシロップおよび高マルトース7シロップを加熱することにより、スナックバーを調製した。次いで、糖、結晶性フルクトース、塩を、シロップ混合物に添加し、混合した。次いで、M100を、混合物中で配合し、混合物が約160°F(71.1℃)〜約170°F(76.7℃)の温度に達するまで、混合物をさらに加熱した。混合物を火から外し、オメガ3強化油(ある場合)、大豆油、TBHQ、およびレシチン等の配合油を添加した。最後にベリー風味剤を添加して、バインダ原料を生産した。
【0100】
バインダ原料が生産されると、シリアル混合物を、バインダ原料と混合し、それによって、バインダ原料でシリアル混合物をコーティングした。次いで、コーティングされたシリアル製品をシート状に広げ、約30分間放置した。最後に、シート状シリアル製品を、約42グラムのサイズを有するスナックバーに切り分けた。
【0101】
研究の期間にわたって、スナックバーを、73°F(22.8℃)の温度で保管した。次いで、スナックバーサンプルを官能分析に提出した。
【0102】
訓練された審査員団(5)が、配合物間を良好に区別する鍵となる記述的特質を特定し、定義するための討論および訓練セッションに参加した。続く格付けセッションで、審査団は、それぞれの特質の把握した強度を格付けするために、口頭によるアンカーを用いる、官能スペクトラム分析を使用した。それぞれのパネリストは、12ヶ月の期間にわたって、6つの時点(例えば、0ヶ月目、2ヶ月目、4ヶ月目、6ヶ月目、9ヶ月目、および12ヶ月目)における、それぞれのサンプルの1つの複製を評価した。味のついていないクラッカーおよびミネラルウォーターが、試料の間の口直しとして使用された。試料は、味見され、噛まれ、次に飲み込まれずに、吐き出された。
【0103】
配合物について示された感覚的特質および定義は、以下であった。

【0104】
加えて、12ヶ月の期間中の5回の期間(例えば、2ヶ月、4ヶ月、6ヶ月、9ヶ月、および12ヶ月)後のスナックバーの品質変化の割合、つまり、対照スナックバーの初期の評価からそれぞれの期間の最後までのそれぞれのスナックバーサンプルの品質的差異もまた、分析した。
【0105】
官能分析の結果を表9〜14に要約する。対照スナックバーと比較して、最初にSDA含有スナックバーで認識された差異は、香りに伴ったが、ある程度の風味まで、全体的に、特質のうちのいずれかにおいて有意な差異は存在しなかった。同様の結果が2ヶ月目に見られた。4ヶ月目に、SDA含有スナックバーと対照バーとの間のすべての特質においてわずかな差異が存在するが、差異は有意ではなく、代替的オメガ3脂肪酸を含むスナックバーと比較して、SDA含有スナックバーと対照バーとの間の差異は、より小さい範囲であった。6ヶ月目、9ヶ月目、および12ヶ月目に、差異は、対照バーと比較した、代替的オメガ3脂肪酸を含むスナックバーの差異と比較して、SDA含有スナックバーと対照バーとの間の範囲はより小さかった。
【0106】
【表9−1】

【表9−2】

スケール範囲0〜15
【0107】
【表10−1】

【表10−2】

スケール範囲0〜15
【0108】
【表11−1】

【表11−2】

スケール範囲0〜15
【0109】
【表12−1】

【表12−2】

スケール範囲0〜15
【0110】
【表13−1】

【表13−2】

スケール範囲0〜15
【0111】
【表14−1】

【表14−2】

スケール範囲0〜15
【0112】
結論:保存期間を通して、SDAを有するスナックバーの特質は、対照スナックバーと酷似した。競合する1組のオメガ3油で作製されたスナックバー(すなわち、代替的オメガ3脂肪酸含有油/粉末)と比較して、SDAを有するスナックバーの12ヶ月の保存期間後の異風味は、対照スナックバーと有意に異ならなかったが、オメガ3油の代替的形態はすべて、対照と有意に異なった。同様の結果は、SDAを有するスナックバーが、代替的オメガ3源よりも対照スナックバーとほとんど異ならなかった異様な香りで得られた。

実施例2:スナックバー−ヘドニック研究
【0113】
消費者が、対照スナックバー、および実施例1のオメガ3油/粉末を含むスナックバーの両方の全体の風味の全体の好き嫌い度を評価する、ヘドニック研究を実施した。
【0114】
具体的には、実施例1の訓練されたパネリストは、対照スナックバー、および実施例1の20%(重量)のSDA油を含むスナックバーの両方の風味および食感の好き度を判定するように依頼された。結果を表15に列挙する。
【表15】

*好き度スケール:9=非常に好き、8=かなり好き、7=程よく好き、6=少し好き、5=どちらでもない、4=少し嫌い、3=程よく嫌い、2=かなり嫌い、1=非常に嫌い。
【0115】
研究結果は、対照スナックバーと、SDA強化油を含むスナックバーとの間の全体の風味の好き度において統計的に有意な差異が存在しなかったことを示した。故に、SDAを強化したスナックバーは、対照バーと同様に許容可能であり、好まれる。
【0116】
REFERENCES
本出願の上記及び下記における引用文献は、参照により具体的に本明細書に組み入れられる。
1. Harris WS, DiRienzo MA, Sands SA, George C, Jones PG, and Eapen, AK (2007) Stearidonic Acid Increases the Red Blood Cell and Heart Eicosapentaenoic Acid Content in Dogs, Lipids 42:325-33.
2. James, M.J., Ursin V.M., and Cleland L.G. (2003) Metabolism of stearidonic acid in human subjects: comparison with the metabolism of other n−3 fatty acids. AM J CLIN NUTR 2003;77:1140-5.
3. Miles EA, Banerjee T. and Calder, P.C. (2004), The influence of different combinations of gamma−linolenic acid, stearidonic acid and EPA on immune function in healthy young male subjects. BR J NUTR. 2004 Jun;91(6):893−903.
4. Ursin G. et al., (2003), Modification of plant lipids for human health: Development of functional land−based omega−3 fatty acids. J. NUTR. 133:4271−4274.

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バインダ原料およびシリアル混合物を含むシリアル製品であって、前記バインダ原料は、ステアリドン酸(SDA)強化油を含む、シリアル製品。
【請求項2】
前記SDA強化油は、SDA強化大豆油である、請求項1に記載のシリアル製品。
【請求項3】
前記バインダ原料は、大豆油、キャノーラ油、トウモロコシ油、菜種油、椰子油、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される液体油をさらに含む、請求項1に記載のシリアル製品。
【請求項4】
前記バインダ原料は、糖シロップおよび糖アルコールから成る群から選択される少なくとも1つの甘味料をさらに含む、請求項1に記載のシリアル製品。
【請求項5】
前記バインダ原料は、レシチン、保湿剤、酸化防止剤、および塩のうちの少なくとも1つをさらに含む、請求項4に記載のシリアル製品。
【請求項6】
前記シリアル混合物は、ロールドオート、ナゲット/クリスプ微粒子、ドライミリングされたコーンミール、小麦、米、大麦、およびそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のシリアル製品。
【請求項7】
バインダ原料およびシリアル混合物を含むスナックバーであって、前記バインダ原料は、SDA強化大豆油、少なくとも1つの甘味料、および少なくとも1つの保湿剤を含む、スナックバー。
【請求項8】
42グラムの分量のスナックバー当たり約375mgのSDA強化大豆油を含む、請求項7に記載のスナックバー。
【請求項9】
前記バインダ原料は、大豆油、キャノーラ油、トウモロコシ油、菜種油、椰子油、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される液体油をさらに含む、請求項7に記載のスナックバー。
【請求項10】
前記甘味料は、高フルクトースコーンシロップ、コーンシロップ、米シロップ、スクロース、蜂蜜、グルコースフルクトースシロップ、濃縮果汁、果汁、マルトデキストリン、グレインデキストリン、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される糖シロップである、請求項7に記載のスナックバー。
【請求項11】
前記甘味料は、ソルビトール、マルチトール、グリセリン、ラクチトール、マンニトール、イソマルト、キシリトール、エリトリトール、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される糖アルコールである、請求項7に記載のスナックバー。
【請求項12】
前記バインダ原料は、約0.5%(重量)〜約1.5%(重量)のレシチン、約1.0%(重量)〜約5.0%(重量)の保湿剤、約0.005%(重量)〜約0.02%(重量)の酸化防止剤、および約0.2%(重量)〜約1.0%(重量)の塩をさらに含む、請求項7に記載のスナックバー。
【請求項13】
前記シリアル混合物は、少なくとも1つのロールドオート、ナゲット/クリスプ微粒子、ドライミリングされたコーンミール、小麦、米、大麦、およびそれらの組み合わせを含む、請求項7に記載のスナックバー。
【請求項14】
キャラメル、チョコレート、ヨーグルト、果実、ナッツ、グレイン、およびそれらの組み合わせから成る群から選択されるコーティングをさらに含む、請求項7に記載のスナックバー。
【請求項15】
前記スナックバーは、多層スナックバーである、請求項7に記載のスナックバー。
【請求項16】
人が消費するためのシリアル製品を生産する方法であって、
a.ステアリドン酸(SDA)強化油を含むバインダ原料を提供することと、
b.シリアル混合物を提供することと、
c.前記バインダ原料で前記シリアル混合物をコーティングして、前記シリアル製品を作製することと、
を含む、方法。
【請求項17】
約105°F(41℃)〜約110°F(43℃)の温度まで前記甘味料および前記保湿剤を加熱して、前記SDA強化大豆油と配合する前に液体構成物質を形成することをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
塩および酸化防止剤のうちの少なくとも1つと前記液体構成物質を混合することと、前記SDA強化大豆油と配合する前に、約160°F(71.1℃)〜約170°F(76.7℃)の温度まで前記混合物を加熱することと、をさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記シリアル製品をシート状に広げることと、前記シート状シリアル製品を、約30分間放置させることと、をさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
キャラメル、チョコレート、ヨーグルト、果実、ナッツ、グレイン、およびそれらの組み合わせから成る群から選択されるコーティングで前記シート状シリアル製品をコーティングすることをさらに含む、請求項19に記載の方法。

【公表番号】特表2012−524546(P2012−524546A)
【公表日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−507381(P2012−507381)
【出願日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際出願番号】PCT/US2010/032060
【国際公開番号】WO2010/124096
【国際公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(501231613)モンサント テクノロジー エルエルシー (71)
【Fターム(参考)】